ゲスト
(ka0000)
【聖呪】巣穴に潜むゴブリン達
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/08/02 22:00
- 完成日
- 2015/08/07 00:12
みんなの思い出
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オープニング
●異能の力を持つゴブリン
アスランド地方。グラズヘイム王国北部、大峡谷周辺の荒野地帯。
この地方の荒野には多数のゴブリンが棲息している。
その3人の駆け出しハンター達も、人を襲うゴブリンがいると聞き、討伐に乗り出す為にこのアスランドへとやってきていた。
彼らが攻め入ったのは、ゴブリン達が潜伏するというとある巣穴。
荒野の中にぽっかりと空いた穴は、彼らにとって格好の潜伏場所だったのだ。
その情報を得た駆け出しハンター達は、巣穴へと突入する。ゆるやかな斜面を下りたハンター達は、暗い中灯りを頼りに進んでいく。150メートル程進んだ先、そこは明かりによって照らし出された空間があった。
そいつらはゆらりとハンター達の接近を察して動き出す。話にあった通り、7体のゴブリンがここを巣穴としているのは間違いない。
3人の駆け出しハンターは早速、ゴブリン達と交戦を始める。……だが、そいつらの動きは普通のゴブリンとは全く違っていた。
「噂には聞いていたが……」
1人のハンターは歯噛みする。
普通、ゴブリンなんて生き物は何も考えず、斧とか棍棒みたいなものを力任せに叩き付けてくるものだろう?
しかし、こいつらはなんだ。右手にいる4体は両手に刀を持ち、自在に操ってきやがる。
左手の3体も面倒だ。そいつは盾を構えて守りを固めつつ、刀を持つ仲間を守ったり、俺達の与えた傷を回復させているではないか。
「ゲッゲ、大人しくやられちまいな!」
刀を持つゴブリンは流暢に叫び、仲間達と共に襲ってくる。想像以上に強いゴブリン達。一度体勢を整え直そうとハンター達は入口へと駆けていくが、刀持ちの1体がすばやく回り込んできた。
「どこへいく、わざわざ来たんだ、ゆっくりしていけ」
ゴブリン達の下卑た笑いが巣穴にこだまする。ハンター達の額には冷や汗が浮かんでいた。
駆け出しハンターの1人がかろうじて生き延びて戻ってきたが、生憎と他の2人を助けることができなかったという。おそらくは、すでにゴブリン達に……。
ハンターズソサエティに戻ってきた彼の話を聞き、別のハンター達が動き出す。たかがゴブリンと侮ってはならないと、傷つく駆け出しハンターは告げる。
まるで、舞刀士や聖導士かと思わせる動きをし、人間を追いつめるという異能のゴブリン。このまま野放しにしていると、非情に危険だ。
新たなチームを編成したハンター達は、綿密な打ち合わせの上で、異能のゴブリンの討伐に乗り出す……。
アスランド地方。グラズヘイム王国北部、大峡谷周辺の荒野地帯。
この地方の荒野には多数のゴブリンが棲息している。
その3人の駆け出しハンター達も、人を襲うゴブリンがいると聞き、討伐に乗り出す為にこのアスランドへとやってきていた。
彼らが攻め入ったのは、ゴブリン達が潜伏するというとある巣穴。
荒野の中にぽっかりと空いた穴は、彼らにとって格好の潜伏場所だったのだ。
その情報を得た駆け出しハンター達は、巣穴へと突入する。ゆるやかな斜面を下りたハンター達は、暗い中灯りを頼りに進んでいく。150メートル程進んだ先、そこは明かりによって照らし出された空間があった。
そいつらはゆらりとハンター達の接近を察して動き出す。話にあった通り、7体のゴブリンがここを巣穴としているのは間違いない。
3人の駆け出しハンターは早速、ゴブリン達と交戦を始める。……だが、そいつらの動きは普通のゴブリンとは全く違っていた。
「噂には聞いていたが……」
1人のハンターは歯噛みする。
普通、ゴブリンなんて生き物は何も考えず、斧とか棍棒みたいなものを力任せに叩き付けてくるものだろう?
しかし、こいつらはなんだ。右手にいる4体は両手に刀を持ち、自在に操ってきやがる。
左手の3体も面倒だ。そいつは盾を構えて守りを固めつつ、刀を持つ仲間を守ったり、俺達の与えた傷を回復させているではないか。
「ゲッゲ、大人しくやられちまいな!」
刀を持つゴブリンは流暢に叫び、仲間達と共に襲ってくる。想像以上に強いゴブリン達。一度体勢を整え直そうとハンター達は入口へと駆けていくが、刀持ちの1体がすばやく回り込んできた。
「どこへいく、わざわざ来たんだ、ゆっくりしていけ」
ゴブリン達の下卑た笑いが巣穴にこだまする。ハンター達の額には冷や汗が浮かんでいた。
駆け出しハンターの1人がかろうじて生き延びて戻ってきたが、生憎と他の2人を助けることができなかったという。おそらくは、すでにゴブリン達に……。
ハンターズソサエティに戻ってきた彼の話を聞き、別のハンター達が動き出す。たかがゴブリンと侮ってはならないと、傷つく駆け出しハンターは告げる。
まるで、舞刀士や聖導士かと思わせる動きをし、人間を追いつめるという異能のゴブリン。このまま野放しにしていると、非情に危険だ。
新たなチームを編成したハンター達は、綿密な打ち合わせの上で、異能のゴブリンの討伐に乗り出す……。
リプレイ本文
●ゴブリンと新人ハンターと
グラズヘイム王国北方、アスランド地方に広がる荒野。
ハンターズソサエティで依頼を受けたハンター達は、とある場所を目指して歩く。
「ゴブリン討伐だよ。実にハンターらしくてシンプルな目的だね」
確かに、Holmes(ka3813)の言うように、依頼自体はゴブリンを倒すという実に単純なもの。
「ここの所、北部三州がどうにも騒がしいね」
そこで、テリア・テルノード(ka4423)が列挙したのは、ゴブリンの活発化に、ホロム・ゴブリンの出現。
「民に平安をもたらすマギア様の使徒として、これは放っては置けないね」
そのテリアも見過ごせぬとやってきた、このゴブリン討伐依頼なのだが。
「流暢に喋り、刀や盾を操るゴブリン? それはまた、珍しいものだな」
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)が唸る。一般的には知能が低いとされるゴブリン達が、人並みの言語とスキルを操るというのだ。
「まるで、舞刀士や聖導士だな………。誰がその力を教えた……?」
「覚醒者の技能を用いるとは、はて。彼らも精霊との契約ができるのでしょうか」
この事態について、チマキマル(ka4372)はゴブリンが力を行使するに至った経緯を、椎乃はスキルの使用法、とりわけゴブリンも精霊を呼ぶことができるのかどうかと考えていたようだ。
「異種族にも覚醒者に成り得る者が出るのは喜ばしい事だけど、此方に敵意を持っているのでは放っておけないからね」
「……ゴブリンの中に、我々ハンターに似た力を身につけた者が現れたという事は、恐るべき事なのでしょうね」
Holmesはその事実を前向きに捉えつつも、その危険性を指摘する。Hollow(ka4450)も、これからのハンターの活動にも関わると考え、この依頼をその試金石とすべきだと考えていたようだ。
「まあ、相手がどんなゴブリンであろうとも、大王であるボクがいるのだ。安心するがよいぞ」
今回のゴブリンの存在を懸念するメンバー達の前で、ディアドラはどんと胸を叩く。小さい体ながらも、大王を自称する彼女のその言葉は何とも頼もしい。
その後、メンバー達は手短に打ち合わせを行いながら、目的地へと向かう。
「隊として行動する武装ゴブリンか」
ヴァイス(ka0364)が考えるのは、行方不明の新人ハンター2人のこと。
「もし、頭が回る連中ならば、一人逃げたことで増援がやってくると考えているかもしれん。そうすると、人質として生かしている可能性もあるが……」
ヴァイスはここに来る前、生き延びた新人1人に色々と話を聞いていた。残念ながら、その2人の安否については確認できていないという。
「置き去りのハンターも、どんな形であれ連れ戻しはしたいものですが」
帚木 椎乃(ka5324)もその聴取の最中、本音を口に出す。できればそれは、皆同じだろう。
「噂という情報があるのにそれを活かさず、駆け出しだけで赴くのは少々問題だね」
しかし、イーディス・ノースハイド(ka2106)は、新人達の向こう見ずな態度に少々呆れ、辛辣な言葉を口に出す。
「授業料は随分高くついたようだけれど、運が良ければ全額取返せるからね、お祈りでもして待っているといい」
「俺達が絶対に2人を『連れて帰る』。だから、あんたは無理せず安静にしていてくれ」
イーディスはその際、1人帰ってきたハンターに優しい言葉も口にする。ヴァイスも新人ハンターとの別れ際に、そう約束していた。
ただ、状況を考えるに、その安否は……。荒野を歩くメンバー達の表情が陰る。
そんな一行の視界に見えてきたぽっかりと空いた穴。取り残された新人達の生死は気になるが、あくまで主目的はゴブリンの討伐。
「ゴブリンに逃げられたりしたら厄介だ」
また、新たなる被害が出る前に。ヴァイスを先頭にし、ハンター達はその穴へと突入していく。
一行はランタンを点灯させ、やや暗い洞窟を進む。微妙な傾斜はあるものの、その中は一本道。迷うことは全くなかった。
「…………!」
先頭で周囲に気を配っていたヴァイスが、通路の先に何かの気配を感じる。
しかし、そいつは隠れていることが気づかれたと知り、奥へと戻っていったようだ。
(「敵を誘き寄せて、範囲攻撃で一気に狙うのもありかもしれんが……」)
ディアドラは間近に迫った戦いについて、新たな策を巡らせようかと考えるも首を横に振る。今回は基本に立ち戻り、奥の空洞での戦闘を予定通り行おうとディアドラは考え直すのだった。
●異能の力を持つゴブリン
洞窟の中の空洞。そこは、ゴブリンどもの巣窟。
敵は戻ってきた見張りの伝達によって、ハンターの接近を知ったようだ。
「また、人間がのこのこ来おったか、愚かな奴らめ」
現れた7体のゴブリン達は、ハンターの姿を見て高笑いをする。
姿の見えない新人ハンターを人質に出すかとも考えた一行だが、ゴブリンどもは自分達の力に自信をもっているのか、その素振りを見せない。
これについては、ハンター達は個々で想いは様々。早くゴブリンを倒して2人を探したいと思う者もいれば、チマキマルのように、いっそ、最悪のパターンであったとしても、それはそれで戦いがやりやすいと考える者もいる。
「新人を容易く撃退したようだけれど、その程度の技量で私の防御を突き崩れるなどと思わない事だね」
イーディスはふっと笑い、いい気になっていたゴブリン達を挑発した。
「何なら、全員で掛かってきても構わないよ?」
「ぐぬ……おのれ!」
怒りを露わにするゴブリン達は、一斉に刀と盾を持って襲い掛かってくる。イーディスは向かってくる刀持ちのゴブリン達へとバスタードソードを薙ぎ払うが、それでも刀を手に向かい来る敵に、イーディスは盾を突き出して防御を行う。
「さぁ、勉強の時間だ」
小柄なHolmesだが、見下ろすような視線をゴブリン達に向ける。多少入れ知恵されたところで、所詮ゴブリンだと言わんばかりに。
ヴァイスはゴブリンの攻撃を後ろに通さないようにと、自身の体を壁とする。刀持ちの攻撃を受けてはいるが、その主な対象は盾持ちだ。
盾持ちのゴブリンは、ハンター達の攻撃を通さじと自分達を堅く守る。ならばとヴァイスは敵の体勢を崩そうと、スピアで攻めたてていく。
「一気にたたみかけて、葬り去りたいところだな」
ディアドラが仲間達へと告げる。
新人ハンターからの情報では、こいつらは聖導士のようなスキルを使うという。回復など厄介なことをされる前にディアドラは盾を構え、敵の盾での殴打に備える。
「ええ、ダメージを与えても、治癒などされたら戦いが長引くばかりです。まずそちらを優先しなくては」
その間、後ろの仲間達はディアドラの言葉通りに盾持ちを攻めたてる。
自らに攻性強化を施したHollowが、ゴブリンに照準を定めてカービン銃の引き金を引いた。
駆け出しハンターである椎乃は、突出しないようにと仲間達に合わせ動く。盾を持って前線に立ってくれるメンバーの側面をつかれぬようにと、彼は横に回り込もうとする敵へ踏み込み、斬りかかっていた。
前衛に守られる後衛メンバーも、敵の殲滅に全力を尽くす。
最初は様子見と、炎の矢を飛ばしたチマキマルだったが、彼はその後、前衛メンバーの武器に火の精霊力で強化を図り、支援へと回る。
同じく、味方の支援を行っていたテリアは、攻撃を行う仲間達を注視する。盾持ちに攻撃を仕掛けるタイミングを計っていたのだ。
前衛メンバーがたたみかけることで少し体勢がグラついた敵の隙を突き、テリアは影の如く黒い塊を飛ばす。
続けてそこを狙ったのは、Holmesだ。
マテリアルによって身体能力を高めたHolmesは、己の大鎌『グリムリーパー』に祖霊の力を篭める。彼女は敵の隙を突き、深く踏み込んで奥の敵までまとめて切り裂く!
「ぐ、がああっっ!」
ついに盾ごと体を裂かれて、倒れてしまう盾持ち。
しかしながら、Holmesはいまいち踏み込みがしっくりきていないのか、首を傾げる。
「……まぁ、何度か試せば、身体が覚えてくれるさ」
また何度か試せばいいかと、Holmesは大鎌を握って敵へと言い放つ。
「キミ達が此方に対応するのが先か、ボク達が倒すのが先か……存分に学ぶ事だ」
ゴブリン達はぐぬと、口元を歪めた。
ただ、そうしている間にも、距離を詰めたHollowが光の三角形を展開する。その頂点から放たれる光が盾持ちへ、そして、刀持ちをも巻き込む。
強烈な光を浴びて悶絶する盾持ちに、ディアドラが振るった騎士剣を全体重を駆けて叩き込む!
「ボクの一撃を受けるがいい!」
いくら細身のディアドラとはいえ、その威力は数倍にも高められている。
体を袈裟懸けに斬られたゴブリンは泡を吹く。完全に白目を剥いたそいつは、卒倒してしまったのだった。
●異能であるがゆえに
その後も、盾持ちのゴブリンに攻め入るメンバー達。
己の力を過信していたゴブリンは、悠然と手にする盾で防御を固めていた。
だが、繰り返されるハンターの攻めに、傷が深くなってきたそいつは何かに祈りを捧げ始める。柔らかい光がゴブリンの体を癒していくが、ハンター達は悠長にゴブリンの回復など待ちはしない。
「誰か、盾持ちに一撃頼むぞ!」
「ふむ」
範囲攻撃を考えて呼びかけたディアドラの声に応じ、チマキマルが刀持ちを巻き込むように炎の球を投げ込む。
最後の盾持ちの体が刹那、燃え上がる。炎が消えると、そいつは前のめりに倒れていった。
残るは刀持ちのゴブリン4体。
それを相手にしていたイーディスは防御を行いつつ踏ん張っていたが、その傷は深い。他のメンバーが盾持ち撃破に重点を置いていたこと、そして、挑発によって敵の攻撃を一身に受け続けていたことが、深手を負う要因となっていた。
「このゴブリン、想像以上に……」
イーディスは決してゴブリンに力が劣っているわけではない。むしろ、彼女の技量はゴブリンを圧倒している。
「負けて……たまるか!」
イーディスがバスタードソードを構え、正面方向にいる敵数体を薙ぎ払う。それによって、真ん中に立っていた一体の首を斬り飛ばし、そいつの息の根を止めた。
ただ、相手はただのゴブリンではない。下手に知恵を付けている分、小細工を弄してイーディスの攻撃を受け流し、さらに精神を統一して彼女を攻めたてていたのだ。
「ゲッゲ、いっちまいな!」
ゴブリンの凶刃が、イーディスの体に深々と食い込む。
「……不覚を、とった……ね」
彼女はついに、夥しい量の血を流してその場に倒れてしまった。
盾持ちを撃破したメンバーが援護に回ってきたのは、まさにそのタイミングだった。
「これは、少し危ないね……」
深手を負うイーディスの回復に当たるテリアが精霊に祈りを捧げると、発せられた柔らかな光がイーディスを包むが、彼女は目覚めることはない。
同時に、イーディスの攻撃で傷つくゴブリン達へと、メンバー達は一気に攻め入った。
横に並び刀を振るうゴブリンの隊列を見たHolmesが、大鎌を構えて自身の周囲を見回す。
「おっと、失礼」
近場にいた仲間に注意を促したHolmes。仲間達が飛びのくのを確認し、彼女は大鎌を自身を中心に一回転させる。
右手側にいた1体の胴体から血が吹き出し、そいつは地面に崩れ落ちた。
徐々に減っていくゴブリン。
自らの力に自信を持っていたそいつらは、仲間とさほど連携を行う素振りを見せない。そこに、ハンター達が付け入る隙があった。
Holmesの呼びかけで飛びのいたスペースを利用して、切り込もうとしてくるゴブリン。椎乃がそれを察して、電光石火で敵の斬り込みを抑える。
斬りこもうとするゴブリンはもう1体いた。後ろにいて攻撃を受けたHollowが防御障壁を張り、体勢を整え直す。
その間に、ヴァイスがリーチの差を生かし、スピアの先を突き入れる。体の中心を穿たれたゴブリンは嗚咽を吐き、うな垂れてしまった。
全ての仲間を失った刀持ちのゴブリン。そいつは首を振り、わなわなと体を震わせる。
「俺は力は得たんだ、こんなはずがない……!」
逃げようにも、入口はハンターが封鎖する形。強行突破をしようとする敵を見たディアドラは大きく踏み込み、特攻するゴブリンの体を貫く。
「ぐが……っ!」
口から血を吐くゴブリンは、その後すぐに息絶えてしまったのだった。
●新人ハンターの安否は……
ゴブリンを撃破したハンター達。
思いの外に手強いゴブリンを相手にハンター達に手加減する余裕はなく、その全てが絶命していたようだ。椎乃はそれが残念でならない。
「生きていたなら生け捕りにして、この技術を得た経緯を尋ねたかったですがね……」
チマキマルはその首を1つずつ切り落とし、それらに1つずつ棒を突き刺す。晒し首にしようとしているようだ。
「残虐ではあるかもしれんが、ゴブリン湧きはこれが一番効果的と依頼で学んだのでね」
それが本当に抑止効果があればよいが、一行の間には疑問の声も上がる。
「……今後、今回のような敵といつ遭遇するか分かりませんから、ゴブリン相手と言っても気を抜く事は出来なくなりますね」
Hollowの言うように、これ以降ゴブリン相手とて気を抜くことができなくなったというのが現状だろう。
倒れるイーディスの傷は深い。絶対安静が必須の状態だ。
意識のない彼女を気に掛けながらも、メンバー達は新人ハンターの捜索を行う。
生きていれば幸いだが、ゴブリンの好戦的な性格からそれは絶望的だとHolmesは考えていた。せめて弔いだけでもできればと、洞窟内をくまなく探す。
絶望的な状況の中でも、その痕跡を探す……。
「いたぞ、こっちだ!」
それを発見したディアドラが仲間達へと呼びかける。
そこには、血塗れになって、苦しそうに息をするハンター2人の姿があった。ゴブリンどもにいたぶられながらも、なんとか生き永らえていたようである。テリアがとり急ぎ、彼らの救護に当たっていた。
「ハンターに危険はつきもの……だが、君達はこの危険で多くを知ったはずだ」
長生きしてきたHolmesだからこそ、新人ハンター達へとへと諭すように語る。死に水を取らずに済んだのは僥倖だと。
「若人の世話をするのは、何時だって大人の役目さ」
メンバー達は、無事、ハンターを救い出したことを喜びながらも、その洞窟を後にしていくのだった。
グラズヘイム王国北方、アスランド地方に広がる荒野。
ハンターズソサエティで依頼を受けたハンター達は、とある場所を目指して歩く。
「ゴブリン討伐だよ。実にハンターらしくてシンプルな目的だね」
確かに、Holmes(ka3813)の言うように、依頼自体はゴブリンを倒すという実に単純なもの。
「ここの所、北部三州がどうにも騒がしいね」
そこで、テリア・テルノード(ka4423)が列挙したのは、ゴブリンの活発化に、ホロム・ゴブリンの出現。
「民に平安をもたらすマギア様の使徒として、これは放っては置けないね」
そのテリアも見過ごせぬとやってきた、このゴブリン討伐依頼なのだが。
「流暢に喋り、刀や盾を操るゴブリン? それはまた、珍しいものだな」
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)が唸る。一般的には知能が低いとされるゴブリン達が、人並みの言語とスキルを操るというのだ。
「まるで、舞刀士や聖導士だな………。誰がその力を教えた……?」
「覚醒者の技能を用いるとは、はて。彼らも精霊との契約ができるのでしょうか」
この事態について、チマキマル(ka4372)はゴブリンが力を行使するに至った経緯を、椎乃はスキルの使用法、とりわけゴブリンも精霊を呼ぶことができるのかどうかと考えていたようだ。
「異種族にも覚醒者に成り得る者が出るのは喜ばしい事だけど、此方に敵意を持っているのでは放っておけないからね」
「……ゴブリンの中に、我々ハンターに似た力を身につけた者が現れたという事は、恐るべき事なのでしょうね」
Holmesはその事実を前向きに捉えつつも、その危険性を指摘する。Hollow(ka4450)も、これからのハンターの活動にも関わると考え、この依頼をその試金石とすべきだと考えていたようだ。
「まあ、相手がどんなゴブリンであろうとも、大王であるボクがいるのだ。安心するがよいぞ」
今回のゴブリンの存在を懸念するメンバー達の前で、ディアドラはどんと胸を叩く。小さい体ながらも、大王を自称する彼女のその言葉は何とも頼もしい。
その後、メンバー達は手短に打ち合わせを行いながら、目的地へと向かう。
「隊として行動する武装ゴブリンか」
ヴァイス(ka0364)が考えるのは、行方不明の新人ハンター2人のこと。
「もし、頭が回る連中ならば、一人逃げたことで増援がやってくると考えているかもしれん。そうすると、人質として生かしている可能性もあるが……」
ヴァイスはここに来る前、生き延びた新人1人に色々と話を聞いていた。残念ながら、その2人の安否については確認できていないという。
「置き去りのハンターも、どんな形であれ連れ戻しはしたいものですが」
帚木 椎乃(ka5324)もその聴取の最中、本音を口に出す。できればそれは、皆同じだろう。
「噂という情報があるのにそれを活かさず、駆け出しだけで赴くのは少々問題だね」
しかし、イーディス・ノースハイド(ka2106)は、新人達の向こう見ずな態度に少々呆れ、辛辣な言葉を口に出す。
「授業料は随分高くついたようだけれど、運が良ければ全額取返せるからね、お祈りでもして待っているといい」
「俺達が絶対に2人を『連れて帰る』。だから、あんたは無理せず安静にしていてくれ」
イーディスはその際、1人帰ってきたハンターに優しい言葉も口にする。ヴァイスも新人ハンターとの別れ際に、そう約束していた。
ただ、状況を考えるに、その安否は……。荒野を歩くメンバー達の表情が陰る。
そんな一行の視界に見えてきたぽっかりと空いた穴。取り残された新人達の生死は気になるが、あくまで主目的はゴブリンの討伐。
「ゴブリンに逃げられたりしたら厄介だ」
また、新たなる被害が出る前に。ヴァイスを先頭にし、ハンター達はその穴へと突入していく。
一行はランタンを点灯させ、やや暗い洞窟を進む。微妙な傾斜はあるものの、その中は一本道。迷うことは全くなかった。
「…………!」
先頭で周囲に気を配っていたヴァイスが、通路の先に何かの気配を感じる。
しかし、そいつは隠れていることが気づかれたと知り、奥へと戻っていったようだ。
(「敵を誘き寄せて、範囲攻撃で一気に狙うのもありかもしれんが……」)
ディアドラは間近に迫った戦いについて、新たな策を巡らせようかと考えるも首を横に振る。今回は基本に立ち戻り、奥の空洞での戦闘を予定通り行おうとディアドラは考え直すのだった。
●異能の力を持つゴブリン
洞窟の中の空洞。そこは、ゴブリンどもの巣窟。
敵は戻ってきた見張りの伝達によって、ハンターの接近を知ったようだ。
「また、人間がのこのこ来おったか、愚かな奴らめ」
現れた7体のゴブリン達は、ハンターの姿を見て高笑いをする。
姿の見えない新人ハンターを人質に出すかとも考えた一行だが、ゴブリンどもは自分達の力に自信をもっているのか、その素振りを見せない。
これについては、ハンター達は個々で想いは様々。早くゴブリンを倒して2人を探したいと思う者もいれば、チマキマルのように、いっそ、最悪のパターンであったとしても、それはそれで戦いがやりやすいと考える者もいる。
「新人を容易く撃退したようだけれど、その程度の技量で私の防御を突き崩れるなどと思わない事だね」
イーディスはふっと笑い、いい気になっていたゴブリン達を挑発した。
「何なら、全員で掛かってきても構わないよ?」
「ぐぬ……おのれ!」
怒りを露わにするゴブリン達は、一斉に刀と盾を持って襲い掛かってくる。イーディスは向かってくる刀持ちのゴブリン達へとバスタードソードを薙ぎ払うが、それでも刀を手に向かい来る敵に、イーディスは盾を突き出して防御を行う。
「さぁ、勉強の時間だ」
小柄なHolmesだが、見下ろすような視線をゴブリン達に向ける。多少入れ知恵されたところで、所詮ゴブリンだと言わんばかりに。
ヴァイスはゴブリンの攻撃を後ろに通さないようにと、自身の体を壁とする。刀持ちの攻撃を受けてはいるが、その主な対象は盾持ちだ。
盾持ちのゴブリンは、ハンター達の攻撃を通さじと自分達を堅く守る。ならばとヴァイスは敵の体勢を崩そうと、スピアで攻めたてていく。
「一気にたたみかけて、葬り去りたいところだな」
ディアドラが仲間達へと告げる。
新人ハンターからの情報では、こいつらは聖導士のようなスキルを使うという。回復など厄介なことをされる前にディアドラは盾を構え、敵の盾での殴打に備える。
「ええ、ダメージを与えても、治癒などされたら戦いが長引くばかりです。まずそちらを優先しなくては」
その間、後ろの仲間達はディアドラの言葉通りに盾持ちを攻めたてる。
自らに攻性強化を施したHollowが、ゴブリンに照準を定めてカービン銃の引き金を引いた。
駆け出しハンターである椎乃は、突出しないようにと仲間達に合わせ動く。盾を持って前線に立ってくれるメンバーの側面をつかれぬようにと、彼は横に回り込もうとする敵へ踏み込み、斬りかかっていた。
前衛に守られる後衛メンバーも、敵の殲滅に全力を尽くす。
最初は様子見と、炎の矢を飛ばしたチマキマルだったが、彼はその後、前衛メンバーの武器に火の精霊力で強化を図り、支援へと回る。
同じく、味方の支援を行っていたテリアは、攻撃を行う仲間達を注視する。盾持ちに攻撃を仕掛けるタイミングを計っていたのだ。
前衛メンバーがたたみかけることで少し体勢がグラついた敵の隙を突き、テリアは影の如く黒い塊を飛ばす。
続けてそこを狙ったのは、Holmesだ。
マテリアルによって身体能力を高めたHolmesは、己の大鎌『グリムリーパー』に祖霊の力を篭める。彼女は敵の隙を突き、深く踏み込んで奥の敵までまとめて切り裂く!
「ぐ、がああっっ!」
ついに盾ごと体を裂かれて、倒れてしまう盾持ち。
しかしながら、Holmesはいまいち踏み込みがしっくりきていないのか、首を傾げる。
「……まぁ、何度か試せば、身体が覚えてくれるさ」
また何度か試せばいいかと、Holmesは大鎌を握って敵へと言い放つ。
「キミ達が此方に対応するのが先か、ボク達が倒すのが先か……存分に学ぶ事だ」
ゴブリン達はぐぬと、口元を歪めた。
ただ、そうしている間にも、距離を詰めたHollowが光の三角形を展開する。その頂点から放たれる光が盾持ちへ、そして、刀持ちをも巻き込む。
強烈な光を浴びて悶絶する盾持ちに、ディアドラが振るった騎士剣を全体重を駆けて叩き込む!
「ボクの一撃を受けるがいい!」
いくら細身のディアドラとはいえ、その威力は数倍にも高められている。
体を袈裟懸けに斬られたゴブリンは泡を吹く。完全に白目を剥いたそいつは、卒倒してしまったのだった。
●異能であるがゆえに
その後も、盾持ちのゴブリンに攻め入るメンバー達。
己の力を過信していたゴブリンは、悠然と手にする盾で防御を固めていた。
だが、繰り返されるハンターの攻めに、傷が深くなってきたそいつは何かに祈りを捧げ始める。柔らかい光がゴブリンの体を癒していくが、ハンター達は悠長にゴブリンの回復など待ちはしない。
「誰か、盾持ちに一撃頼むぞ!」
「ふむ」
範囲攻撃を考えて呼びかけたディアドラの声に応じ、チマキマルが刀持ちを巻き込むように炎の球を投げ込む。
最後の盾持ちの体が刹那、燃え上がる。炎が消えると、そいつは前のめりに倒れていった。
残るは刀持ちのゴブリン4体。
それを相手にしていたイーディスは防御を行いつつ踏ん張っていたが、その傷は深い。他のメンバーが盾持ち撃破に重点を置いていたこと、そして、挑発によって敵の攻撃を一身に受け続けていたことが、深手を負う要因となっていた。
「このゴブリン、想像以上に……」
イーディスは決してゴブリンに力が劣っているわけではない。むしろ、彼女の技量はゴブリンを圧倒している。
「負けて……たまるか!」
イーディスがバスタードソードを構え、正面方向にいる敵数体を薙ぎ払う。それによって、真ん中に立っていた一体の首を斬り飛ばし、そいつの息の根を止めた。
ただ、相手はただのゴブリンではない。下手に知恵を付けている分、小細工を弄してイーディスの攻撃を受け流し、さらに精神を統一して彼女を攻めたてていたのだ。
「ゲッゲ、いっちまいな!」
ゴブリンの凶刃が、イーディスの体に深々と食い込む。
「……不覚を、とった……ね」
彼女はついに、夥しい量の血を流してその場に倒れてしまった。
盾持ちを撃破したメンバーが援護に回ってきたのは、まさにそのタイミングだった。
「これは、少し危ないね……」
深手を負うイーディスの回復に当たるテリアが精霊に祈りを捧げると、発せられた柔らかな光がイーディスを包むが、彼女は目覚めることはない。
同時に、イーディスの攻撃で傷つくゴブリン達へと、メンバー達は一気に攻め入った。
横に並び刀を振るうゴブリンの隊列を見たHolmesが、大鎌を構えて自身の周囲を見回す。
「おっと、失礼」
近場にいた仲間に注意を促したHolmes。仲間達が飛びのくのを確認し、彼女は大鎌を自身を中心に一回転させる。
右手側にいた1体の胴体から血が吹き出し、そいつは地面に崩れ落ちた。
徐々に減っていくゴブリン。
自らの力に自信を持っていたそいつらは、仲間とさほど連携を行う素振りを見せない。そこに、ハンター達が付け入る隙があった。
Holmesの呼びかけで飛びのいたスペースを利用して、切り込もうとしてくるゴブリン。椎乃がそれを察して、電光石火で敵の斬り込みを抑える。
斬りこもうとするゴブリンはもう1体いた。後ろにいて攻撃を受けたHollowが防御障壁を張り、体勢を整え直す。
その間に、ヴァイスがリーチの差を生かし、スピアの先を突き入れる。体の中心を穿たれたゴブリンは嗚咽を吐き、うな垂れてしまった。
全ての仲間を失った刀持ちのゴブリン。そいつは首を振り、わなわなと体を震わせる。
「俺は力は得たんだ、こんなはずがない……!」
逃げようにも、入口はハンターが封鎖する形。強行突破をしようとする敵を見たディアドラは大きく踏み込み、特攻するゴブリンの体を貫く。
「ぐが……っ!」
口から血を吐くゴブリンは、その後すぐに息絶えてしまったのだった。
●新人ハンターの安否は……
ゴブリンを撃破したハンター達。
思いの外に手強いゴブリンを相手にハンター達に手加減する余裕はなく、その全てが絶命していたようだ。椎乃はそれが残念でならない。
「生きていたなら生け捕りにして、この技術を得た経緯を尋ねたかったですがね……」
チマキマルはその首を1つずつ切り落とし、それらに1つずつ棒を突き刺す。晒し首にしようとしているようだ。
「残虐ではあるかもしれんが、ゴブリン湧きはこれが一番効果的と依頼で学んだのでね」
それが本当に抑止効果があればよいが、一行の間には疑問の声も上がる。
「……今後、今回のような敵といつ遭遇するか分かりませんから、ゴブリン相手と言っても気を抜く事は出来なくなりますね」
Hollowの言うように、これ以降ゴブリン相手とて気を抜くことができなくなったというのが現状だろう。
倒れるイーディスの傷は深い。絶対安静が必須の状態だ。
意識のない彼女を気に掛けながらも、メンバー達は新人ハンターの捜索を行う。
生きていれば幸いだが、ゴブリンの好戦的な性格からそれは絶望的だとHolmesは考えていた。せめて弔いだけでもできればと、洞窟内をくまなく探す。
絶望的な状況の中でも、その痕跡を探す……。
「いたぞ、こっちだ!」
それを発見したディアドラが仲間達へと呼びかける。
そこには、血塗れになって、苦しそうに息をするハンター2人の姿があった。ゴブリンどもにいたぶられながらも、なんとか生き永らえていたようである。テリアがとり急ぎ、彼らの救護に当たっていた。
「ハンターに危険はつきもの……だが、君達はこの危険で多くを知ったはずだ」
長生きしてきたHolmesだからこそ、新人ハンター達へとへと諭すように語る。死に水を取らずに済んだのは僥倖だと。
「若人の世話をするのは、何時だって大人の役目さ」
メンバー達は、無事、ハンターを救い出したことを喜びながらも、その洞窟を後にしていくのだった。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/29 21:03:10 |
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【相談卓】いざ討伐 テリア・テルノード(ka4423) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/08/01 21:37:59 |