ゲスト
(ka0000)
集落を作りたいんですけど。
マスター:水貴透子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 2日
- 締切
- 2015/09/10 15:00
- 完成日
- 2015/09/15 21:39
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
それは、突然の依頼だった。
「……集落を作りたい、ですか?」
案内人は目を瞬かせながら、依頼してきた男性に言葉を返す。
なんでも、雑魔に集落をダメにされて、新しい場所を探している最中なのだとか。
そこで、良さそうな場所を見つけたのはいいが、そこにも雑魔がいるから退治してほしい――。
これが依頼内容を要約したものだ。
「森の中なのですが、それなりに木の実なども豊富ですし……」
「俺たちの集落は10人にも満たない人数なので、何とかやっていけると思うんです」
「……ただ、雑魔がいては住むに住めなくて」
確かに、男性の言う通りだ。
「別な集落に混ぜてもらうことは出来ないのですか?」
「むしろ、新たに集落を探すよりそっちの方が良かったのでは……?」
案内人の言葉に、男性はゆっくりと首を横に振る。
「いくら10人にも満たない人数だとしても、俺たちが入ればそれだけその集落に負担が来る」
「……言い方は悪いですが、結局後から何かを言われるのはよそ者の俺たちなんです」
「……なるほど、わかりました」
男性の言葉に、案内人は静かに頷く。
「人数が集まり次第、すぐに出発できるように手配しましょう」
こうして、オフィスに新しい依頼が貼りだされたのだった。
リプレイ本文
●集落のために
新しい集落を作りたい――……そう願う者達のために7名のハンターが集った。
「自分達だけの集落……か。確かに……彼らが言っていることは道理だ」
ライナス・ブラッドリー(ka0360)が任務内容を知り、小さな声で呟く。
「集落を作る予定なら、その時必要な物も探しておこうかしら。新しく出発する人達に対して、ちょっとだけでもおまけをしたいわ、水場とか、水分の多い果実とかあったらいいわね」
イリアス(ka0789)は呟いた後「けれど、今回は住んでいた雑魔を追い出しちゃうことになるから、ちょっと悪い気がするわね。仕方ないけれど、ごめんなさいって感じだわ」と言葉を付け足した。
「なるほどなるほど、依頼者と仲良くなれば……上手くいけば、村長夫人!? ご、ごほん、今のは風の音ですよぉ……」
天川 麗美(ka1355)は駄々漏れになった本音を慌ててにっこりシスタースマイルで誤魔化す。
「村長って言っても、10人程度らしいけどね。でもみんなの理想郷の第一歩! まずはここからってことで、夢の実現、お手伝いしましょう!」
リンカ・エルネージュ(ka1840)は自分の胸をドンと叩きながら呟く。
「けど、今回は普通の雑魔っぽいし……うーん、普通、普通……普通ねぇ? 普通っていうのがこれまた難しいんだよね、そもそも何を持って『普通』というのかすら定かじゃないし。ま、楽観は良くないから、気を抜かないようにきっちりお仕事、お仕事!」
どこまでも明るく呟いた後、リンカは任務に向かうために準備した物の確認を始める。
「けど、依頼者は凄いな。他人を頼るでもなく集落の再興……。素晴らしいと思う。そういうことなら、俺としても喜んで協力させてもらうよ」
Anbar(ka4037)は自らの部族を滅ぼされていることもあるせいか、なくなった集落を再興しようとする依頼者たちに感激して、いつも以上に気合いが入っているようだ。
「……しかし、集落を作るのはいいが、10人で村が維持できるのか?」
キャリコ・ビューイ(ka5044)が眉根を寄せながら疑問を言葉にする。
「うーん、でもそれは依頼人達の頑張り次第じゃないかな? 私達は依頼されたことをすればいいだけだし、依頼人達が心配っていう気持ちもあるけど、やってみなくちゃ分からないこともあると思うんだよね」
ギルミア・C(ka5310)はキャリコの言葉に答える。
「……そうだな、確かにその通りだ。それじゃ、まずは『やってみる』のためにも、俺達が雑魔を追い払って、集落を作れる環境にしなくてはならないな」
キャリコは僅かに微笑んだ後「……行こう、みんな」と言葉を投げかけたのだった。
●雑魔退治のために
今回集まったハンター達は、班を2つに分けて行動する作戦をたてていた。
A班:イリアス、天川、リンカ、キャリコの4名。
B班:Anbar、ギルミア、ライナスの3名。
雑魔が複数いるということも考え、固まって行動するよりは別れて行動した方がいいと考えたのだろう。
「連絡を取れるように『短伝話』を持っていきますね、それでは、みなさんご武運を!」
天川がB班のメンバーに言葉を投げかけた後、ハンター達はそれぞれ行動を開始したのだった。
※A班
「この森、確かに木の実が豊富だね」
雑魔捜索をしながら、イリアスが周りを見渡す。
「大人数でなければ、それなりにやっていける場所――というのも頷けるわ」
「あそこには水場もあるし、雑魔さえいなければ快適に暮らせる場所かも」
イリアスの言葉に頷きながら、リンカが言葉を返す。
「あっ、キャリコさんが戻ってきましたね」
少し離れた場所から自分達のところへやってくるバイクを見かけて、天川が呟く。
キャリコは雑魔捜索のためにバイクを使って、他の3名より先行して捜索を行っていた。
「この周辺にはいなかったな、もう少し先に別の水場があったからそっちの方も見てくる」
キャリコが再びバイクを走らせようとした時「あっ!」と天川が彼を呼び止める。
「もし、雑魔がいたらこの辺までおびき寄せてもらえますか? この辺は結構開けていますし、戦いやすい場所だと思うので」
「分かった」
キャリコは短く言葉を返した後、再びバイクを走らせ始めた。
「雑魔によって住む場所をダメにされて、彼らが求めた新天地……ずっと穏やかに暮らしていられるように、頑張ろうね」
リンカが呟き、イリアスと天川が頷く。
「軽く地図を書いていますから、依頼者の人に渡してあげようかしら。彼らで森の全てを把握するのは結構大変だろうし、少しでも役に立てればいいかなって」
イリアスは簡易地図を見せながら呟く。
その時だった、先行していたキャリコがバイクを戻らせてきたのは――……。
「……どうやら、雑魔がいたみたいですねぇ」
天川は今までの穏やかな空気を一変させ、武器を構える。
「私は牽制射撃でみんなの攻撃のサポートをするよ」
イリアスも武器を構えながら呟く。
「――――来るっ!」
リンカが叫んだ瞬間、キャリコの背後から狼型雑魔が姿を現したのだった。
「電撃ビリビリですよぉ」
天川は呟きながら『エレクトリックショック』を雑魔に向けて放つ。
キャリコも『リボルバー・ヴァールハイト』を構え『強弾』を使用して攻撃を行う。
「そっちには逃がさないわよ」
雑魔が攻撃を避け、逃げようとしたのをイリアスは『魔導拳銃・エアスティーラー』を構え『エイミング』を使用しながら攻撃を行った。
イリアスの攻撃によって、雑魔の動きが鈍り、リンカは『ルーンソード』に『リチュエルフラム』を使用して、武器に火の精霊力を宿す。
「ごめんね、みんなが安心して住める集落の碁盤を作るために――……キミには、退場してもらうよっ」
強力な一撃をお見舞いし、キャリコと天川がリンカの離れた後に再び攻撃を仕掛ける。
こうしてA班は、森に潜む1体目の雑魔を退治することに成功したのだった。
※B班
「どうやら、向こうは雑魔を倒したらしいな。1匹らしいから、まだ残ってるみたいだが……」
A班の天川と連絡を取っていたのはAnbar。
B班が赴いた先は、結構道が険しく、捜索するのも一苦労するような場所ばかりだった。
「雨が降ってるわけでもないのに、常に地面がぬかるんでる……多分、向こうにある水場のせいだろうけどこの辺に居を構えるわけにはいかないね。水には困らないだろうけど、他の問題が山積みっぽいし」
ギルミアは小さなため息を零しながら呟く。
「……だが、ぬかるんでいるおかげで見つかるものもあるな」
ライナスは地面を指差しながら苦笑する。
Anbarとギルミアが彼の指を辿ると、そこには獣の足跡が遺されていた。
「……なるほど。雑魔も水を飲みにこの辺までは来るってことか? 奴らの生態はいまいち分からないから絶対とは言い切れないが……」
「ちょっと木の上から見てくるよ」
ギルミアはそう言いながら、パパッと素早い動きで木にのぼっていく。
「――――あっ! い、いるよ! ほら、あの1番高い木の近く、あそこに雑魔がいる!」
ギルミアが少し大きな声で叫ぶ。
「1番高い木……あれか、さほど距離は離れてないな」
Anbarが眉をひそめ「木々を利用して近づくのがいいかもしれないな」とライナスが呟く。
「足音などが響けば、雑魔にも気づかれる。木の上からなら例え気づかれても先制を取れる可能性があると思うんだが……」
ライナスの言葉にAnbarとギルミアは互いに思案する。
「確かに、相手は鳥型ではないし、狼型なら木から飛び降りざまに攻撃が出来る――か……?」
Anbarが呟き、B班は木の上にのぼって移動を行い、雑魔へ近づく作戦を取った。
※※※
そして、それからしばらく経ち、3人は雑魔のほぼ上にまで到着した。
「俺が先に行くぜ」
Anbarは2人に言葉を残した後、そのまま木から降り立つ。
降りた時の勢いもあり『アックス・ライデンシャフト』を構え、雑魔に攻撃を仕掛ける。
その後『野獣の咆哮』を使用して雑魔を怯ませる。
「よーし! いっくよー!」
ギルミアは『引き絞り』を使用しながら、雑魔に向けて矢を放つ。スキルを使用しているおかげで、普段よりも強く矢を射ることが出来、雑魔へのダメージも増える。
「突然襲って悪いが、卑怯とは言ってくれるなよ。これも立派な戦法のひとつだからな」
ライナスは低く呟いた後『エイミング』と『強弾』を使用して、雑魔の足を狙い撃つ。
「……邪魔だ! 早くくたばっちまえ!」
Anbarは『闘心昂揚』を施した後に『クラッシュブロウ』を使用して、雑魔に強大な一撃を食らわす。
その時、ライナスとギルミアも同時に攻撃を行い、B班も無事に雑魔を退治することに成功したのだった――……。
●雑魔退治を終えて――。
ハンター達は雑魔退治を終えた後、それぞれこれからここに住む住人達のために木々の剪定などを行っていた。
「集落を作るのは並々ならぬ努力が必要だからな、少しでも手伝いが出来ればいいが……」
木々の剪定をしながら、集落が作りやすいようにしているのはライナス。
「この辺に家を作るのはいいかもしれないわね。水場も近いし、ほら、あの周辺には果実が多く生る木があるの。食料の傍に家を作る方がいいし、依頼人にもそう伝えておこうかしら」
イリアスは周りを見つめながら呟く。
「けど、あの木が邪魔っぽいですよねぇ。風が強い日なんか、あれ、折れちゃいそうですしぃ」
天川は木を見上げながら言う。確かに彼女の言う通り、折れてしまえば集落予定地点に直撃しそうな木がある。
「じゃあ、私が切ってくるよ。あんなのが落ちて来たら大変だしね。あと、もう1人くらいいてくれるといいんだけどなぁ……」
リンカが呟くと「俺が行く」とAnbarが軽く手をあげた。
「せっかく集落を作るんだ。終の棲家になるような場所になってほしいじゃないか。だから、俺に出来ることがあれば協力させてもらう。もちろん、いつでも呼べるように依頼人には俺の連絡先を教えておくつもりだ」
自分の部族を亡くした彼だからこそ、余計にここに住む人達には幸せになって欲しいと願う。
彼らが幸せに暮らすことで、自分もいつか――……という思いがあるのかもしれない。
「俺はどうしようか……雑魔に見つかりにくいように仕掛けをするのもいいかもしれないな。一応退治したとはいえ、またいつか奴らが来ないとも限らない。その時のために避難所――のような場所を作るのもいいし……とりあえず、周りを見てくる」
そう言って、キャリコはバイクに乗って周囲の見回りに行った。
敵は雑魔だけとは限らない。地盤や、地形、それらが人間に牙をむく時もあるのだから。
「家を作るんだから、木材が必要だよね? 私、取ってくるよ! それに、果実ばかりじゃ栄養が偏っちゃうから、肉! 狩猟する動物がいるかも調べておかないとだし!」
ギルミアは呟いた後、ツタを取り出した。
「あれぇ、何するんですかぁ、それぇ……」
天川が目を瞬かせながら呟くと「これ、対雑魔用に用意してたんだけど使わなかったから! いざという時のための罠に使ったりとか出来ないかなって」とにこにこと笑顔で言葉を返す。
「……それはいいんですけどぉ、今の時点から罠を仕掛けたら……ここに住む人達がまず最初に引っ掛かっちゃいますよぉ」
「…………あ」
天川の言葉に、ギルミアはツタを持ったままピシリと固まった。
そして、次の瞬間にはしょんぼりと顔を俯かせていた。
「い、いえっ、でもいつか役に立つかもしれないですしぃ……! 教えておいてあげるのもいいかもしれませんよぉ……?」
「そ、そうかなっ、そうだよね!」
天川の慰める言葉に、ギルミアはにっこりと笑顔で言葉を返す。
「向こう側が少し歩きにくいから、あそこまで剪定しておくか。ギルミア、手伝ってくれ」
「は、はぁい!」
ライナスに呼ばれ、ギルミアはツタを片手に慌てて走っていく。
こうして、ハンター達によって新しい集落を作るための事前作業は終わったのだった。
後日、依頼人からオフィス宛に手紙が届いた。
ハンター達が色々と事前準備してくれたおかげで、スムーズに集落作りが出来たということ。
ハンター達がしてくれたことを無駄にしないよう、この地でしっかり生きていくと――……。
新しい集落を作りたい――……そう願う者達のために7名のハンターが集った。
「自分達だけの集落……か。確かに……彼らが言っていることは道理だ」
ライナス・ブラッドリー(ka0360)が任務内容を知り、小さな声で呟く。
「集落を作る予定なら、その時必要な物も探しておこうかしら。新しく出発する人達に対して、ちょっとだけでもおまけをしたいわ、水場とか、水分の多い果実とかあったらいいわね」
イリアス(ka0789)は呟いた後「けれど、今回は住んでいた雑魔を追い出しちゃうことになるから、ちょっと悪い気がするわね。仕方ないけれど、ごめんなさいって感じだわ」と言葉を付け足した。
「なるほどなるほど、依頼者と仲良くなれば……上手くいけば、村長夫人!? ご、ごほん、今のは風の音ですよぉ……」
天川 麗美(ka1355)は駄々漏れになった本音を慌ててにっこりシスタースマイルで誤魔化す。
「村長って言っても、10人程度らしいけどね。でもみんなの理想郷の第一歩! まずはここからってことで、夢の実現、お手伝いしましょう!」
リンカ・エルネージュ(ka1840)は自分の胸をドンと叩きながら呟く。
「けど、今回は普通の雑魔っぽいし……うーん、普通、普通……普通ねぇ? 普通っていうのがこれまた難しいんだよね、そもそも何を持って『普通』というのかすら定かじゃないし。ま、楽観は良くないから、気を抜かないようにきっちりお仕事、お仕事!」
どこまでも明るく呟いた後、リンカは任務に向かうために準備した物の確認を始める。
「けど、依頼者は凄いな。他人を頼るでもなく集落の再興……。素晴らしいと思う。そういうことなら、俺としても喜んで協力させてもらうよ」
Anbar(ka4037)は自らの部族を滅ぼされていることもあるせいか、なくなった集落を再興しようとする依頼者たちに感激して、いつも以上に気合いが入っているようだ。
「……しかし、集落を作るのはいいが、10人で村が維持できるのか?」
キャリコ・ビューイ(ka5044)が眉根を寄せながら疑問を言葉にする。
「うーん、でもそれは依頼人達の頑張り次第じゃないかな? 私達は依頼されたことをすればいいだけだし、依頼人達が心配っていう気持ちもあるけど、やってみなくちゃ分からないこともあると思うんだよね」
ギルミア・C(ka5310)はキャリコの言葉に答える。
「……そうだな、確かにその通りだ。それじゃ、まずは『やってみる』のためにも、俺達が雑魔を追い払って、集落を作れる環境にしなくてはならないな」
キャリコは僅かに微笑んだ後「……行こう、みんな」と言葉を投げかけたのだった。
●雑魔退治のために
今回集まったハンター達は、班を2つに分けて行動する作戦をたてていた。
A班:イリアス、天川、リンカ、キャリコの4名。
B班:Anbar、ギルミア、ライナスの3名。
雑魔が複数いるということも考え、固まって行動するよりは別れて行動した方がいいと考えたのだろう。
「連絡を取れるように『短伝話』を持っていきますね、それでは、みなさんご武運を!」
天川がB班のメンバーに言葉を投げかけた後、ハンター達はそれぞれ行動を開始したのだった。
※A班
「この森、確かに木の実が豊富だね」
雑魔捜索をしながら、イリアスが周りを見渡す。
「大人数でなければ、それなりにやっていける場所――というのも頷けるわ」
「あそこには水場もあるし、雑魔さえいなければ快適に暮らせる場所かも」
イリアスの言葉に頷きながら、リンカが言葉を返す。
「あっ、キャリコさんが戻ってきましたね」
少し離れた場所から自分達のところへやってくるバイクを見かけて、天川が呟く。
キャリコは雑魔捜索のためにバイクを使って、他の3名より先行して捜索を行っていた。
「この周辺にはいなかったな、もう少し先に別の水場があったからそっちの方も見てくる」
キャリコが再びバイクを走らせようとした時「あっ!」と天川が彼を呼び止める。
「もし、雑魔がいたらこの辺までおびき寄せてもらえますか? この辺は結構開けていますし、戦いやすい場所だと思うので」
「分かった」
キャリコは短く言葉を返した後、再びバイクを走らせ始めた。
「雑魔によって住む場所をダメにされて、彼らが求めた新天地……ずっと穏やかに暮らしていられるように、頑張ろうね」
リンカが呟き、イリアスと天川が頷く。
「軽く地図を書いていますから、依頼者の人に渡してあげようかしら。彼らで森の全てを把握するのは結構大変だろうし、少しでも役に立てればいいかなって」
イリアスは簡易地図を見せながら呟く。
その時だった、先行していたキャリコがバイクを戻らせてきたのは――……。
「……どうやら、雑魔がいたみたいですねぇ」
天川は今までの穏やかな空気を一変させ、武器を構える。
「私は牽制射撃でみんなの攻撃のサポートをするよ」
イリアスも武器を構えながら呟く。
「――――来るっ!」
リンカが叫んだ瞬間、キャリコの背後から狼型雑魔が姿を現したのだった。
「電撃ビリビリですよぉ」
天川は呟きながら『エレクトリックショック』を雑魔に向けて放つ。
キャリコも『リボルバー・ヴァールハイト』を構え『強弾』を使用して攻撃を行う。
「そっちには逃がさないわよ」
雑魔が攻撃を避け、逃げようとしたのをイリアスは『魔導拳銃・エアスティーラー』を構え『エイミング』を使用しながら攻撃を行った。
イリアスの攻撃によって、雑魔の動きが鈍り、リンカは『ルーンソード』に『リチュエルフラム』を使用して、武器に火の精霊力を宿す。
「ごめんね、みんなが安心して住める集落の碁盤を作るために――……キミには、退場してもらうよっ」
強力な一撃をお見舞いし、キャリコと天川がリンカの離れた後に再び攻撃を仕掛ける。
こうしてA班は、森に潜む1体目の雑魔を退治することに成功したのだった。
※B班
「どうやら、向こうは雑魔を倒したらしいな。1匹らしいから、まだ残ってるみたいだが……」
A班の天川と連絡を取っていたのはAnbar。
B班が赴いた先は、結構道が険しく、捜索するのも一苦労するような場所ばかりだった。
「雨が降ってるわけでもないのに、常に地面がぬかるんでる……多分、向こうにある水場のせいだろうけどこの辺に居を構えるわけにはいかないね。水には困らないだろうけど、他の問題が山積みっぽいし」
ギルミアは小さなため息を零しながら呟く。
「……だが、ぬかるんでいるおかげで見つかるものもあるな」
ライナスは地面を指差しながら苦笑する。
Anbarとギルミアが彼の指を辿ると、そこには獣の足跡が遺されていた。
「……なるほど。雑魔も水を飲みにこの辺までは来るってことか? 奴らの生態はいまいち分からないから絶対とは言い切れないが……」
「ちょっと木の上から見てくるよ」
ギルミアはそう言いながら、パパッと素早い動きで木にのぼっていく。
「――――あっ! い、いるよ! ほら、あの1番高い木の近く、あそこに雑魔がいる!」
ギルミアが少し大きな声で叫ぶ。
「1番高い木……あれか、さほど距離は離れてないな」
Anbarが眉をひそめ「木々を利用して近づくのがいいかもしれないな」とライナスが呟く。
「足音などが響けば、雑魔にも気づかれる。木の上からなら例え気づかれても先制を取れる可能性があると思うんだが……」
ライナスの言葉にAnbarとギルミアは互いに思案する。
「確かに、相手は鳥型ではないし、狼型なら木から飛び降りざまに攻撃が出来る――か……?」
Anbarが呟き、B班は木の上にのぼって移動を行い、雑魔へ近づく作戦を取った。
※※※
そして、それからしばらく経ち、3人は雑魔のほぼ上にまで到着した。
「俺が先に行くぜ」
Anbarは2人に言葉を残した後、そのまま木から降り立つ。
降りた時の勢いもあり『アックス・ライデンシャフト』を構え、雑魔に攻撃を仕掛ける。
その後『野獣の咆哮』を使用して雑魔を怯ませる。
「よーし! いっくよー!」
ギルミアは『引き絞り』を使用しながら、雑魔に向けて矢を放つ。スキルを使用しているおかげで、普段よりも強く矢を射ることが出来、雑魔へのダメージも増える。
「突然襲って悪いが、卑怯とは言ってくれるなよ。これも立派な戦法のひとつだからな」
ライナスは低く呟いた後『エイミング』と『強弾』を使用して、雑魔の足を狙い撃つ。
「……邪魔だ! 早くくたばっちまえ!」
Anbarは『闘心昂揚』を施した後に『クラッシュブロウ』を使用して、雑魔に強大な一撃を食らわす。
その時、ライナスとギルミアも同時に攻撃を行い、B班も無事に雑魔を退治することに成功したのだった――……。
●雑魔退治を終えて――。
ハンター達は雑魔退治を終えた後、それぞれこれからここに住む住人達のために木々の剪定などを行っていた。
「集落を作るのは並々ならぬ努力が必要だからな、少しでも手伝いが出来ればいいが……」
木々の剪定をしながら、集落が作りやすいようにしているのはライナス。
「この辺に家を作るのはいいかもしれないわね。水場も近いし、ほら、あの周辺には果実が多く生る木があるの。食料の傍に家を作る方がいいし、依頼人にもそう伝えておこうかしら」
イリアスは周りを見つめながら呟く。
「けど、あの木が邪魔っぽいですよねぇ。風が強い日なんか、あれ、折れちゃいそうですしぃ」
天川は木を見上げながら言う。確かに彼女の言う通り、折れてしまえば集落予定地点に直撃しそうな木がある。
「じゃあ、私が切ってくるよ。あんなのが落ちて来たら大変だしね。あと、もう1人くらいいてくれるといいんだけどなぁ……」
リンカが呟くと「俺が行く」とAnbarが軽く手をあげた。
「せっかく集落を作るんだ。終の棲家になるような場所になってほしいじゃないか。だから、俺に出来ることがあれば協力させてもらう。もちろん、いつでも呼べるように依頼人には俺の連絡先を教えておくつもりだ」
自分の部族を亡くした彼だからこそ、余計にここに住む人達には幸せになって欲しいと願う。
彼らが幸せに暮らすことで、自分もいつか――……という思いがあるのかもしれない。
「俺はどうしようか……雑魔に見つかりにくいように仕掛けをするのもいいかもしれないな。一応退治したとはいえ、またいつか奴らが来ないとも限らない。その時のために避難所――のような場所を作るのもいいし……とりあえず、周りを見てくる」
そう言って、キャリコはバイクに乗って周囲の見回りに行った。
敵は雑魔だけとは限らない。地盤や、地形、それらが人間に牙をむく時もあるのだから。
「家を作るんだから、木材が必要だよね? 私、取ってくるよ! それに、果実ばかりじゃ栄養が偏っちゃうから、肉! 狩猟する動物がいるかも調べておかないとだし!」
ギルミアは呟いた後、ツタを取り出した。
「あれぇ、何するんですかぁ、それぇ……」
天川が目を瞬かせながら呟くと「これ、対雑魔用に用意してたんだけど使わなかったから! いざという時のための罠に使ったりとか出来ないかなって」とにこにこと笑顔で言葉を返す。
「……それはいいんですけどぉ、今の時点から罠を仕掛けたら……ここに住む人達がまず最初に引っ掛かっちゃいますよぉ」
「…………あ」
天川の言葉に、ギルミアはツタを持ったままピシリと固まった。
そして、次の瞬間にはしょんぼりと顔を俯かせていた。
「い、いえっ、でもいつか役に立つかもしれないですしぃ……! 教えておいてあげるのもいいかもしれませんよぉ……?」
「そ、そうかなっ、そうだよね!」
天川の慰める言葉に、ギルミアはにっこりと笑顔で言葉を返す。
「向こう側が少し歩きにくいから、あそこまで剪定しておくか。ギルミア、手伝ってくれ」
「は、はぁい!」
ライナスに呼ばれ、ギルミアはツタを片手に慌てて走っていく。
こうして、ハンター達によって新しい集落を作るための事前作業は終わったのだった。
後日、依頼人からオフィス宛に手紙が届いた。
ハンター達が色々と事前準備してくれたおかげで、スムーズに集落作りが出来たということ。
ハンター達がしてくれたことを無駄にしないよう、この地でしっかり生きていくと――……。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 5人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 リンカ・エルネージュ(ka1840) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/09/09 12:56:09 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/08/31 13:00:02 |