ダイアモンド・プリンセス

マスター:

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/09/09 19:00
完成日
2015/09/16 04:31

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●深夜
 それはどこにでもいるような、ありふれた強盗のお話。
「お父さん! お母さん! 誰か助けて!」
「騒ぐな! いいから付いてくるんだよ!」
 宝石商を営んでいた夫婦の元へ押し入った強盗達は、慣れた手つきでショーケースを破壊し、中に入っていた宝飾品を根こそぎ袋へと詰め込み、馬車へと放り込む。
 更に、拘束された宝石店の看板娘でもある夫婦の娘は、店内に陳列された宝石にも引けを取らないと例えられるほどの美人で、彼女目当てに来る男性客も居るほどなのだ。
 そんな彼女を売り飛ばせば、どれほどの利益になるだろうか。彼女を拘束し馬車へ乱暴に放り込んだリーダー格の男は、その上玉に幾らの値が付くのか舌なめずりしながらも、手下を集めて馬車を走らせる。
 夫婦の元へ残されたのは、壊された店と見逃してもらった命。夫は拘束された手足をどうにか動かしながらとりあえず外へ出ると、現場付近を通った男性により救助され、夫婦は自由の身となった。
「藁にも縋る思いで聞くが、私の娘を攫っていった強盗どもがどの方向へ逃げたか解るか? 私は、妻と共に育てた娘が唯一の生き甲斐なんだ……商品はどうでもいい、娘の行方だけでも……」
 救助してくれた男性にそう尋ねるも、静かに首を横に振る。その絶望が全身の体温を奪っていき、このまま凍えて死んでしまうのではないかとさえ錯覚してしまうような気さえしてきた。
「旦那さんは兎に角ハンターズソサエティへ向かうんだ。あそこはどうせ二十四時間営業だろ」
 とりあえずハンターに頼るしかないという状況。家族を支えてきた大黒柱が今までに感じたことの無い無力感に、夫は悔しさのあまり泣き崩れ、妻はその傍へそっと寄り添った。

●港町周辺
 普段は港町の玄関口として、様々な船を受け入れている波止場。一見華やかで犯罪とは無縁な場所に思えるが、その死角には市民のフリをした犯罪者が集まり、夜になれば盗んだものを売りさばく為の商船を待つ為にたむろするという噂が立っていた。
 一刻の事態を争っている夫妻が、娘を探し出す為に雇った便利屋からはそんな情報が寄せられ、更にハンター達が依頼をこなし易いよう色々準備をしてくれた。
 夫妻は黙ってこれを受け入れると、便利屋はハンターを集めて港町の宿に身を潜めていた。
「よく来たお前たち。もう一時間もすれば、件の強盗達が積荷を載せにやってくるだろう。そこで俺の計画はこうだ」
 蝋燭のみの薄暗い部屋で、便利屋は集まったハンター達に最も確実な奇襲方法を伝える。
「俺も物を売りたい強盗のフリをして出来るだけ船に近づく。馬車の中にはダイヤモンドよりも輝く偽物をたんまり積んでおく、連中に本物を見分けるだけの教養があるとは思えねぇ。俺はこいつを積む為に港へやってきて、お前たちはその護衛と、これから売られる奴隷と言う事で着いて来てもらう。二人は奴隷として、娘と一緒に船に乗るつもりで近づき、守るように陣取っておけ。これなら娘を安全かつ確実に保護出来るだろう。重要な残りは連中の背中にでも張り付いておけ、これにも理由があるが後で話す」
 便利屋は小休止に、と水差しから水をコップへ注ぎ、それを一口飲んでからため息を吐くと、再び説明を始める。
「俺が積荷を船へ運び始めたらそれが合図だ。お前達の好きなように強盗共を料理してやれ。突然警護に裏切られてビビッている所へ、奴隷役の二人は最優先で娘を俺の馬車へと連れていくんだ。いいか、誰一人躊躇うなよ? 一人でも躊躇ったら娘を戦闘に巻き込んじまうからな。余裕があったら盗まれた品物も全部取り返すんだ。やるんだったら最低でも次の昼ぐらいには宝石商を再開できるほどの品ぞろえにしてやろう。俺もあの宝石商の看板娘のファンでね。もし俺がお前たちのような覚醒者だったら、俺一人だけでもおっぱじめるつもりだったさ」
 便利屋は、自分には戦闘の実力が無い事を鼻で笑い、卑下しながら蝋燭の火を消し、開けられた窓から見下ろす。そこには不審な船団が港町にたむろしていたが、住民たちがすっかり寝静まっている時間帯である為、誰もその存在を気に留めない。
 絶望に囚われた娘の明日を賭けた戦いが、今幕を開けようとしていた。

リプレイ本文

●到着
 一台の馬車を先導するように、二台の魔導バイクが真夜中の道路を並走する。
 その内の一台である龍雲を駆るイレーヌ(ka1372)が、事前に話した奇襲作戦のアイデアとして、目立たない場所へ待ち伏せする為に一度隊列から外れた進路へ向かう。
 やがて馬車と樹導 鈴蘭(ka2851)の操る魔導バイク、グローサーベーアは、こそこそと集まる人影の集団の前で停止し、手綱を握っていた便利屋が降りてくると、あたかも顔見知りであるかのように振る舞い、手を振った。
「おーい、待ってくれよ! お前らのブツに引けを取らねえ、極上のブツを持ってきたんだ!」
 その便利屋の振る舞いが気に入らなかったのか、ランプの明かりでうっすらと見える強盗達の表情はあまり歓迎していない事を物語っていた。
 だが、強盗を取り仕切るリーダーらしき人物が便利屋に接触し、無警戒かつ大げさに彼の事をハグする。
「とんでもねぇ、待ってたんだ。俺の積荷が増えればそれだけ金になる。中身は空っぽでもな。何でって? 航海分の金を手数料として徴収するからさ」
 荷物が増えれば、それだけ収入になると便利屋の事を歓迎してか、強盗達もしぶしぶといった様子ではあるが、そんな便利屋を受け入れる素振を見せる。
「んで、一体どんなもんを持ってきたんだ?」
「先が見えるほど透き通ったダイアモンドに、上玉の奴隷二人だ。うち一人は男だが、そういう需要もあるみたいだ」
 便利屋は笑いながらそう答えると、実物を見せるよう強盗が要求してきた為、大げさに喜んで馬車へと戻る。
「先に覗くなよ! 極上の一品ってのは、独り占めすると途端に無価値になる」
 そう言いながら、彼は馬車が引いていたコンテナ型の荷車の扉を開け、中に居る覚醒者達含めてその場に居る者にこう告げるのだった。
「良いかお前達、いよいよだ。憎む気持ちは解るが、奴隷役の合図が有るまで絶対に攻撃するな。攻撃さえしなければ、雑談や商談、何でもやっていいぞ」
 便利屋はそう言うと、偽物のダイアモンドが目一杯詰め込まれ、梱包された木箱を抱えつつ、襲撃役のメンバーに指示を出す。
 指示を出されたメンバーである、天央 観智(ka0896)、樹導 鈴蘭、リリア・ノヴィドール(ka3056)の三人は、この時を待っていたかのような様子で各々の武器を手に取り、馬車を後にする。
「絶対に許さない……、一片の慈悲も与えない……、絶対に生かしておけない」
「余り殺気立つのは良くないと思うの。あたしたちは殺しが目的じゃなくて、娘を助けるのが目的だから」
 殺気立つ鈴蘭を宥めるように、リリアは本来の目的を彼女に伝える。
 その様を見て、一抹の不安を覚えた便利屋は、観智に彼女達を上手く纏めるように頼み込むのだが……。
「困りましたねぇ……、協力は作戦を成功させる上で重要な事なのですが……、余り僕がしゃしゃり出ちゃうと、彼女達の考える自由を奪う事になってしまうんです。困りました」
 彼はと言うと、彼女達の自由を尊重する余り、態度を決めかねている様子だった。
「ああー……それからスティード、雷、舞踏会への準備は終わったか?」
 だがあまり構っている時間が無い。商品が中々お披露目されない事に苛立っている強盗達に気づいた便利屋は強引に切り替え、奴隷役を務める二人にそんな冗談を飛ばす。
 その内の一人であるスティード・バック(ka4930)は細工を施した手枷と足枷を填め、便利屋に頼みごとを告げる。
「約束通り、私が目印を付けた箱は持っただろうな?」
「勿論だ。ちょっとダイアモンドの下敷きになってもらうが、構わないだろ?」
「船内に運べれば、どうでもいい」
 それだけの会話を交わすと、荷車から飛び降りる。その後を追うように、ゴシックドレスを身に纏った狭霧 雷(ka5296)が飛び降りようとすると、その直前に便利屋に止められた。
「はしたないぜお嬢様。掴まれ」
 便利屋は雷の手を優しくつかむと、足を持ってゆっくりと地面へと降ろした。ドレスを台無しにしないための配慮である。
「ありがとうございます」
「はしたなく振舞うのは賑やかになってからだ。それまではゆっくり歩くんだ」
「言われなくても、そのつもりです」
 便利屋の気遣いによってドレスを汚すことなく地面へと降り立った雷は、共に奴隷役となるパートナーのスティードと共に頷くと、荷物を抱えて歩き始めた便利屋の後をゆっくりと着いていった。

●潜入と救助
 大量のダイアモンドと極上の奴隷、特に雷が変装したお嬢様を見て気を良くした強盗達は、あっさり便利屋達を船内に入れる許可を出した。
 計画通りにスティードと雷が船内へ潜入するのを確認したリリアは、盗まれたであろう宝石が詰まった袋を抱えた強盗に対して大胆かつフレンドリーに話しかける。
「お兄さん。その宝石、お幾らで譲ってくれる? なの」
「正直、値段に関してはこの船で運んでからなんだ。だから君の商談には乗れないよ」
「そこを何とか! お願い! なの!」
 縋りつくような交渉に、どうしたら良いのか迷ってしまう強盗。見ればいいとこ育ちのお嬢様にも見えるし、お金にも困ってなさそうだ。
 そう感じた強盗は一度持っていた袋を下ろして、中身をリリアに見せた。
 そんなやり取りをしている頃、便利屋と奴隷役として乗り込んだ二人は周囲を見回し、攫われた娘の居場所等の情報を得ようとする。
 しかし、先に船内に乗り込んでいた強盗の一人が、彼らを歓迎するような様子で手を振って案内してきた。
「こっちだこっち。極上の奴隷が三人もいるぜ、こりゃ、取った宝石よりも値が張るかもな!」
 言いながら彼は、雷に触ろうとすると、彼は精一杯の抵抗という演技なのか、それを避けて嫌悪感を纏った表情で強盗を睨んだ。
「おいおい困るよ。ドレスとセットの売り物なんだから」
「へへっ、悪い悪い、こっちだ」
 便利屋に注意された強盗は雷に触ろうとした事を全く悪びれもせず、荷物がまとめられた船室に便利屋達を案内し、そこへ荷物を下ろすよう指示を出す。
「幸運を」
 便利屋は荷物を置きつつも、二人にそう告げると、スティードの荷物が入った箱を、彼が取り出しやすい場所に置き換えた上で船室を後にする。
 強盗はすっかり便利屋に気を許したのか、船室を施錠もせず彼と喋りながら持ち場を離れていった。ここまで無警戒なら、仕事もスムーズに行くだろう。
 雷が入り口に背を向けて座り込む、するとちょうど彼のシルエットで娘が死角となり、枷を外しても直に見つかる様子は無い。
 救助作業を始める為に二人が突然拘束を壊し始めたのを見た娘は、てっきり自分と同じ捕まった者だと思っていただけに、動揺を隠せない様子だった。
「安心してください。必ず助かりますから、もう少しの辛抱ですよ」
 そんな彼女がパニックを起こさないように、雷は優しく声をかける。
 スティードが木箱を開け、装備を整えつつ手枷に仕込んでいたシーブスツールで娘の拘束具の開錠を試みている最中、雷は彼女に外傷が無いかを確認し、もし開錠出来るのであれば自力で走って脱出できるかを尋ねた。
「特に怪我は無いようですね。お手数ですが、一緒に走って脱走出来そうですか?」
「はい、問題はありませんが……貴方達は?」
「説明は後だ。脱出した後は暇だろうから、その時にゆっくり聞かせてやる」
 見ず知らずの二人に拘束を解かれ、脱出出来るか突然尋ねられる。まるで本の世界をそのままにしたこの状況に、娘は不安を隠しきれていなかった。
 そんな娘の不安を他所に、スティードの作業が終了する。彼らは娘に一言も喋らないよう指示すると、雷が入り口から廊下の様子を覗き、強盗が見張っていないのを確認すると、娘を庇うように船室を後にした。
 船上まで見つからず上がってこれたのは、その船上の物陰から見えたリリアの妨害が予想以上に功を奏している為だったのだが、流石に強盗達が一か所しかない出入り口に集中しすぎている為、このまま脱出というわけには行かない。
 そこでスティードは雷と共謀し、娘を目立たない場所へ隠した後、舵輪を破壊し、救命ボードを切り離し夜の海という闇へと葬った。
 再び娘の元へ戻った彼らは、頃合いだろうと感じ共に頷くと、スティードはトランシーバーを取り出す。
「私だ。派手に遊んでくれ」

●合図
「おい、お前、それ何だよ」
 いつの間にか船上では宝石を売ってくれと船上に運ばれた袋の山を指さすリリアと、値段交渉を続ける強盗団の押問答を繰り広げているのを尻目に、トランシーバーを弄っていた観智を怪しんだ強盗の一人が、彼に近づき手にしているものを指さす。
「これですか? 仲間と連絡を取る為のトランシーバーですよ。遠くに居る仲間と会話する為の道具です」
 言いながら彼は周波数を合わせ、何時でも合図を受け取れる準備をしていた。
 他のトランシーバーを持ったメンバーも既に準備は終わっているだろう。後はスティードからの合図を待つばかりだ。
 そしてついに、その時がやってくる。
「了解しましたスティードさん。それでは、始めましょうか!」
 トランシーバーからの連絡を受け取った彼は突然走り出し、強盗達の注目を集めるような不審な行動に出た直後、『ファイアーボール』を唱え、五人ほどの強盗を一度に吹き飛ばす。
「や、野郎……舐めた真似しやがって!」
 その様子、吹き飛ばされた仲間を見た強盗達が一斉に観智の方へ剣を振り上げる。
 しかし、剣を手にしていた腕に苦無が突き刺さり、悲鳴を上げている所へ続けざまに杭が放たれ、柱へと貼り付けにした。
「なんで人攫いなんかをしたんだい? ……幸せな人たちを奴隷にするような輩はね。嫌いなんだ」
 彼は貼り付けにされた強盗に尋ねるように吐き捨てる。だが、彼の望むような返事は帰ってこなかった。
「うるせえ! そんなの金になるからに決まってるだろうが!」
 逆上した別の強盗が鈴蘭に向かってボウガンを向け引き金に指をかけた瞬間、輝く光の玉が足に命中し、その場で崩れる。
 続けざまに龍の唸りのような音が聞こえる方向を向くと、そこには魔導二輪である龍雲を強引に船上へ乗りつけつつ、ボウガンを持った強盗に向かってホーリーライトを放ったイレーヌの姿が有った。
「さて……仕事開始と行くか」
 便利屋の護衛としてついて来たとばかり思っていた強盗達は、その掌返しに動揺しながらも、盗品を守る為に抵抗し、船を出航させようとした。
 だが、船の舵輪は既に破壊され、緊急避難用の救命ボートも既に切り離されており、強盗達は陸路での逃亡を余儀なくされる。
 しかし、強盗達は何を考えてかそれでもなお奇襲した観智や、無意味に足止めしたリリアを憎むように攻撃を行う。
「お前達の所為で計画が全部パアだ! 責任取れよこの野郎!」
「貴方みたいな無責任な人……容赦しませんわ、なの!」
 リリアはそんな敵の憎悪に屈する事無く、マルチステップで距離を取りつつ強盗達が纏まっている所へウィンドチャクラムを投擲する。
 しかし、彼女はただ投擲しただけではない。彼女の髪や目がヒメユリのような赤色に染まり、投擲された武器はマテリアルで操られている事が一瞬で判断できた。
 だが、その事に気づいた頃にはもう遅い。既に纏まっていた三人の強盗達はぼろ雑巾のように切り刻まれ、皮膚からは紅色の蓮花が咲き誇るように血が噴き出していた。
 それからの船上は大乱闘と言ってもいいほどの様相を呈していた。
 観智がファイアーボールで応戦する最中、飛んできたボウガンの矢や振り下ろされる斬撃を全てイレーヌの持つトゥルムが受け止め、ムキになっている所へ鈴蘭が苦無を飛ばし無力化していく。
 そのどさくさに紛れて、三つの人影が船上を去ろうとしているのが、応戦しながら身を隠していた一人の強盗の目に留まる。彼はそれが自分達の仕事の成果物である事を瞬時に見抜き、咄嗟に飛び出してボウガンの引き金を引いた。
 その矢は娘を庇うように移動していた雷めがけて発射されていたようだが、相次ぐ混乱に心を乱されていたのか、狙いがズレて柱に突き刺さるだけに終わる。
 雷は間一髪の所でボウガンの矢を避けた事を気にする事無く船外へ出ると、代わりにスティードがそのボウガン持ちに近づき、突然エールを開栓し、中身を噴射する。
「ぐわっ! 目がっ!」
 目を潰され、身動きが取れなくなった強盗を更に追撃するように、裏拳を食らわせ、失神させる。
「人を殴るのは好かんが、法に基づく最小限度は躊躇わん主義だ」
 彼はそれだけを言うと、指を鳴らし、戦いの輪へ加わる。ちょうど強盗達を取り囲むような構図になり、先ほど失神した強盗も彼の手によって輪の中心へと放り込まれるようになる。
 追い込まれた強盗達、まだ突破できるはずだとしきりに彼ら五人を見回す。娘を逃してしまったかもしれないが、この宝石だけでも輸送できれば。そう考えていると、途端に眠気が襲ってくる。
 強盗たちは五人を倒すことに夢中になりすぎて、観智の放ったスリープクラウドのガスに気づかなかったのだ。幾ら戦歴の兵隊崩れでも、こればかりは耐えられない。
「皆さん、取り囲みのご協力感謝します。彼らには贖罪に生きてほしいですからね……」
 彼は皆の助力に安堵した様子で礼の言葉を述べ、彼らが抵抗できないよう拘束しつつ、更生を願う。
 強盗達が寝静まったお蔭で、静寂を取り戻した夜の港町。娘を無事保護した雷の報告を受けた五人は、リリアの活躍により足止めされた宝石の袋の山をそれぞれ持ち、荷車の中へと放っていく。
「良いぞ、此奴らそこまでデカくない強盗団の様で、増援の心配は無さそうだ。おはようは牢屋のベッドで過ごすことになるだろう」
 便利屋はそれだけ言うと、盗品を全て取り返した事を確認し、馬車を発進させ、その後を追いこすように二台の魔導バイクが駆け抜けていく。
「あの……ありがとう……ございます」
 両親の元を引き離され、とても怖い思いをしたのか、助け出された娘は涙ぐみながら馬車に乗っていた四人にお礼を述べる。
 その涙を、リリアは優しく拭い、安心させるように娘を抱きしめた。
「私達よりも、一番張り切っていた便利屋に礼を言っておくことだ」
「そうですね、こうしてあなたが自由になれたのも、率先して行動を起こした便利屋さんのお蔭です。今は余韻に浸っているようなので、お礼は後でも良いでしょう」
 スティードは謙虚に言い、観智が発案者の評価をするも、その発案者である便利屋はいつの間にか昇り始めていた朝日を見てか、それとも大仕事を終えた達成感を抑えきれなかったのか、大声で歌い始めていた。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • 世界の北方で愛を叫ぶ
    樹導 鈴蘭(ka2851
    人間(紅)|14才|男性|機導師
  • それでも尚、世界を紡ぐ者
    リリア・ノヴィドール(ka3056
    エルフ|18才|女性|疾影士

  • スティード・バック(ka4930
    人間(紅)|38才|男性|霊闘士
  • 能力者
    狭霧 雷(ka5296
    人間(蒼)|27才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
スティード・バック(ka4930
人間(クリムゾンウェスト)|38才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/09/09 00:47:33
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/08/29 20:54:30