ゲスト
(ka0000)
スーパーテニヌ四天王と合宿
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/12 19:00
- 完成日
- 2015/09/20 23:53
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ジェオルジには高原地帯もあり、そこでは酪農も営まれている。夏でも比較的涼しい気候は牛や羊たちを穏やかに育み、地域の産業や食卓を支えもしている。
もちろん、避暑地としても多く来訪がある。
木陰のキャンプ地は散策やハンモックを吊っての読書にもってこい。
コテージを借りれば十人単位でお泊まりも。
炊き出しのできる水場に石組みの釜もある。
川のせせらぎでは思いっきり水遊びもできるだろう。小さな滝もある。
屋外ステージはいろいろ活用できそう。
そして最近、テニス場も完備された。
「そこで問題が発生しておるらしい」
午後のティータイムを過ごしていたフラ・キャンディ(kz0121)に、後見人のジル・コバルトが優雅に言った。フラは立って紅茶を飲んでいる。
「そうなんじゃ、フラちゃん」
「何とかしてくれんかのぅ」
途端に、ジルの背後に控えていたおっさんたちがフラにアップで迫って来る。
「わっ! な、なんなの? ちゃんと分かるように説明してよぅ」
フラ、まさかこうなるとは思わずソーサーを手に飲んでいた紅茶をこぼしそうになる。ジルは動じることもなく、「ほれ。そういう時のために立っているときはソーサーを必ず持っておくこと」などと教えている。どうやら休憩しつつ礼儀作法を教えていたようで。
それはともかく。
「せっかくわしら個人商人たちがジェオルジの避暑地にテニス場を整備してラケットやウエアを売り込んで儲けようと思っておったのに……」
「それなのにあいつらときおったら……」
「テニス道具一式を買ってもらったとはいえ……」
個人商人たちは一様に拳を固めてぐぬぬぬと歯ぎしりしている。
「ええと」
フラ、どう話せばちゃんと話してくれるのかなと困っていたり。
「とにかく、避暑地のテニスコートを占拠してほかの人に使えないようにしている奴らを懲らしめてくれ」
「奴らは『スーパー庭球軍四天王』と名乗り、テニスをしようとやって来た客に勝負を挑んでおるんじゃ」
「『負けたらハンモックで読書でもしてろ』と暴言を吐いて……とにかくその強いこと強いこと」
困った様子に気付いた商人たちは次々とフラに迫り惨状を説明する。
「ええと……それって、テニスが活発でいいんじゃない?」
「いーや! 奴らがやってるのはスポーツのテニスではなく、戦いのテニヌじゃ! 一般のテニス客がかなうはずもなく、今では一番金にならないハンモックで寝っ転がって読書が大盛況という我々には忌々しき事態となっておる!」
つまり、テニス目当ての人がテニスができず現地でラケットもウエアも売れない、ということらしい。
「そこで、流しの個人商人仲間からフラちゃんの評判を聞いてお願いにきたというわけじゃ!」
「あ……あの人かな?」
フラ、ほわほわほわんと赤い蝶ネクタイで甲高い声の、テニス道具一式とワンピース水着を押し売りにきた商人を思い出した。
「とにかく、ようやく海でのバカンスも落ち着きこれから高原バカンスに軸足が移ろうかというタイミング。ハンターさんらには独自技を鍛えるという流行りもあると聞く。コテージ一泊をつけるんで、ぜひフラちゃんたちに退治してもらいたいんじゃ!」
商人たちは一斉に頭を下げた。
「そ、それはいいけど、どうしてボクなの?」
フラ、素朴な疑問を口にした。
すると商人たち、今度は一斉にジルのほうをちらっ、と見た。フラも連れらてジルを見る。
「……そりゃ、ワシが一枚かんどると知れば忌み嫌う商人もおるじゃろうの」
ジル、苦み走った様子で話す。ある程度成功した人物らしいが、今は転落して昔関係のあった人々から存在をなかったことにされているらしい。逆に、一部の有力な商人に対する「虫除け」にもなるようで。
が、これにフラが少しムッとした。
「いいよ。ジルさんのためにボク、頑張るからっ!」
というわけで、避暑地のテニス場を独占する「スーパー庭球軍四天王」の「大吹雪山おろし」タケゾー、「Zスクランダー」ヘルマ、「超マテリアルヌンチャク」セッサク、「超マテリアルスピン」ピューマの四人を倒し、後は好きに過ごす人、求ム。
もちろん、避暑地としても多く来訪がある。
木陰のキャンプ地は散策やハンモックを吊っての読書にもってこい。
コテージを借りれば十人単位でお泊まりも。
炊き出しのできる水場に石組みの釜もある。
川のせせらぎでは思いっきり水遊びもできるだろう。小さな滝もある。
屋外ステージはいろいろ活用できそう。
そして最近、テニス場も完備された。
「そこで問題が発生しておるらしい」
午後のティータイムを過ごしていたフラ・キャンディ(kz0121)に、後見人のジル・コバルトが優雅に言った。フラは立って紅茶を飲んでいる。
「そうなんじゃ、フラちゃん」
「何とかしてくれんかのぅ」
途端に、ジルの背後に控えていたおっさんたちがフラにアップで迫って来る。
「わっ! な、なんなの? ちゃんと分かるように説明してよぅ」
フラ、まさかこうなるとは思わずソーサーを手に飲んでいた紅茶をこぼしそうになる。ジルは動じることもなく、「ほれ。そういう時のために立っているときはソーサーを必ず持っておくこと」などと教えている。どうやら休憩しつつ礼儀作法を教えていたようで。
それはともかく。
「せっかくわしら個人商人たちがジェオルジの避暑地にテニス場を整備してラケットやウエアを売り込んで儲けようと思っておったのに……」
「それなのにあいつらときおったら……」
「テニス道具一式を買ってもらったとはいえ……」
個人商人たちは一様に拳を固めてぐぬぬぬと歯ぎしりしている。
「ええと」
フラ、どう話せばちゃんと話してくれるのかなと困っていたり。
「とにかく、避暑地のテニスコートを占拠してほかの人に使えないようにしている奴らを懲らしめてくれ」
「奴らは『スーパー庭球軍四天王』と名乗り、テニスをしようとやって来た客に勝負を挑んでおるんじゃ」
「『負けたらハンモックで読書でもしてろ』と暴言を吐いて……とにかくその強いこと強いこと」
困った様子に気付いた商人たちは次々とフラに迫り惨状を説明する。
「ええと……それって、テニスが活発でいいんじゃない?」
「いーや! 奴らがやってるのはスポーツのテニスではなく、戦いのテニヌじゃ! 一般のテニス客がかなうはずもなく、今では一番金にならないハンモックで寝っ転がって読書が大盛況という我々には忌々しき事態となっておる!」
つまり、テニス目当ての人がテニスができず現地でラケットもウエアも売れない、ということらしい。
「そこで、流しの個人商人仲間からフラちゃんの評判を聞いてお願いにきたというわけじゃ!」
「あ……あの人かな?」
フラ、ほわほわほわんと赤い蝶ネクタイで甲高い声の、テニス道具一式とワンピース水着を押し売りにきた商人を思い出した。
「とにかく、ようやく海でのバカンスも落ち着きこれから高原バカンスに軸足が移ろうかというタイミング。ハンターさんらには独自技を鍛えるという流行りもあると聞く。コテージ一泊をつけるんで、ぜひフラちゃんたちに退治してもらいたいんじゃ!」
商人たちは一斉に頭を下げた。
「そ、それはいいけど、どうしてボクなの?」
フラ、素朴な疑問を口にした。
すると商人たち、今度は一斉にジルのほうをちらっ、と見た。フラも連れらてジルを見る。
「……そりゃ、ワシが一枚かんどると知れば忌み嫌う商人もおるじゃろうの」
ジル、苦み走った様子で話す。ある程度成功した人物らしいが、今は転落して昔関係のあった人々から存在をなかったことにされているらしい。逆に、一部の有力な商人に対する「虫除け」にもなるようで。
が、これにフラが少しムッとした。
「いいよ。ジルさんのためにボク、頑張るからっ!」
というわけで、避暑地のテニス場を独占する「スーパー庭球軍四天王」の「大吹雪山おろし」タケゾー、「Zスクランダー」ヘルマ、「超マテリアルヌンチャク」セッサク、「超マテリアルスピン」ピューマの四人を倒し、後は好きに過ごす人、求ム。
リプレイ本文
●
「ん~っ」
ふんわりしたトレーニングウエアにプリーツスカート姿の細い体が、ぐーんと弓なりになった。
深緑の翡翠色の髪が風に流れる。緋乃宮 姫翠(ka5031)である。
「やっぱり高原は気持ちいいですね」
周りの森や鳥の飛ぶ姿を見回し、にっこり。
「そんな爽やかな場所に困った奴らが困ったことしてやがるってか?」
後ろにいたヒュムネ・ミュンスター(ka4288)が、「まったく困ったもんだ」とため息。
「早めに退場してもらった方がいいだろうな」
さらにザレム・アズール(ka0878)が続いて歩いている。
そして、最後尾。
「ええと……」
銀の長髪に巫女装束風テニスウエア姿の弓月・小太(ka4679)が不安そうな顔つき。
「フラさん、一人で先に行ってるんですよね? ちゃんと僕たちを待ってくれてるといいんどすけどぉ」
どうやらフラ・キャンディ(kz0121)が先に乗り込んでいるらしい。
それはそれとして。
「わ、見てみて」
「へええっ。カッコいい人たちね~」
「可愛い子もいるじゃん」
「何言ってるのよ。テニスラケット持ってるんだからテニスに行くつもりよ。変なのが占拠してるから早く止めないと」
遠くでこちらを見ている若者たちがそんな会話をしている。
「……面倒だな。早く行こう」
ヒュムネ、皆を急かす。
その時だった。
「大吹雪山おろしぃ~っ!」
「うわっ!」
気合の声と打撃音がテニス場の方から聞こえてきた。
「フラさん?!」
「いかん。すぐに行こう」
叫ぶ小太に駆け出すザレム。
とにかくテニス場に急いだ。
「まったく、お洒落だファッションだウフフアハハだとどいもこいつも……一体テニスを何と心得るかぁッ!」
テニス場では、熊のような大男が仁王立ちし大声を張っていた。名をタケゾーという。
「だからってボクに当たることはないじゃない!」
コートの反対側で、フラが弾かれたラケットを拾いながら言い返す。仕草から手首を痛めたようだ。
が、腰をかがめてラケットに手を伸ばした時、アンダースコートがちらりん☆したのがまずかった。
「むむっ! ええい、貴様も同じだ! 行くぞ、『大吹雪山おろし』~」
ボールを放った後にブンブンラケットを頭上で振り回して……パワーサーブ、来たっ!
「今度こそ……わっ!」
またも力負けしてボールは横に飛んだ。
とんとん……とボールが転がる先には。
「その子、手首を痛めてるんだろう?」
ラケットの先でくるん、とん、とボールをすくい上げたザレムが指摘した。
「ひでぇな……。スポーツマンシップに則らねぇ奴らなら、それ相応の対応見せてやる」
ざ、と横にヒュムネが不機嫌そうに立つ。
「フラさん、大丈夫ですかぁ?」
さらに反対に、小太。
「あとあと、公共の場所を占領するのはダメですよーっ!!」
最後に姫翠が三人の前に躍り出る!
「わ、みんな!」
「ん? ようやく本命のお出ましか?」
声を上げるフラ。その後ろで、じっと座っていた三人の人物が立ち上がった。
テニヌ四天王である。
●
「別に占領していたわけではないわっ。勝ち残りのルールに従ってもらったまで……しかも相手はダブルスでもいいという好条件だ」
「じゃあ、ルールに従って負けて退場してもらいますっ!」
タケゾーの言葉に姫翠が前に出た。
勝負開始だ!
「必殺……大吹雪山おろし~!」
ラケットを頭上でぶん回してから、タケゾーのパワーサーブ、来た!
「あっ……」
姫翠、受けるもラケットを弾かれる。フラはこれの連続で手首を痛めた。
「ふむ。しかしお前はいいな。お洒落だがこびてない。ウフフアハハもしていない」
「褒めても駄目です。私のテニスで……」
「ん? お前のテニスとはなんだ?」
パワーサーブに対し、受け流しの極意で何とか耐えつつ返す姫翠。そのリターンをまたもラケットぶん回しから返してタケゾーが問う。
「私のテニスですか? ……自由にコートを舞うスポーツです!」
前に出てスパン、と鋭く返す。
「お?」
これが決まった。タケゾー、ラケットをぶん回していたら対応できなかったらしい。
というわけで、試合は競り合いとなる。
タケゾーは回転数を落とした威力減の大吹雪山降ろし。
片や姫翠はひらり舞うようにコートを駆け巡り電光石火や先手必勝のアーリーリターンで勝負。
互角の戦いを続けるが……パワーに勝るタケゾーが次第に押し始める。
「ふはは、どうした? そちらはダブルスでも良かったんだぞ?」
ついにフル回転させる余裕のできたタケゾーが勝ち誇って全力で返す!
その時だった!
「姫翠、合わせられるか?」
ジェットブーツでザレムがカットインしてきた!
「は、はい! 呼吸もステップも整えられます」
姫翠は、曲で言うなら突然の変調にアドリブで合わせるように、軽やかにジャンプした。
一直線の跳躍と、柔らかなステップがいま、一つになった。
「お望みどおり2人で来たぞ!」
「シンクロ・ツインレシーブです!」
――パシーン!
「お……おお?」
見事、受けたタケゾーのラケットを弾いた!
「み、見事だな」
タケゾー、これであっさりと負けを認めた。彼も姫翠との打ち合いでギリギリまで疲弊していたのだ。
●
「まあ、パワーだけってのは読みやすいよね」
次に、直角折れもみあげの熱血風少年が出てきた。ヘルマである。
こちらは、そのままザレムが残っている。
「いくぞ」
ザレムのサーブ。素早い動きでヘルマが返す。深い位置への一撃に、ザレムはロブで辛うじて対応。
「見ろ、『Zスクランダー』!」
これをヘルマ、ポールを足場に大跳躍して渾身のスマッシュ。その動きはZの文字そのものだった。
「……カモのお出ましだ」
これを見たヒュムネ、ゆらりと立ち上がる。
「ダブルスでも良かったんだよな?」
上着を脱ぎすて体に密着するウエアになりコートに入った。
「……いいだろう」
ザレムも羽織っていた上着を脱ぎすて軽装になった。
「少しでも軽くして空中戦でも挑むつもりかい?」
ヘルマは得意げに言いつつ、サーブ。
「やっぱ体が軽いな」
後衛のヒュムネ、両手持ちで鋭くリターン。低い弾道で相手コート隅に一直線だ。
「くっ!」
ヘルマも同じく低い弾道でリターン……が、これは前衛のザレムがボレー。
この展開がしばらく続いたが。
「そもそも空中戦にならなかったら、『Zスクランダー』なんて意味ねー特技だな」
ヒュムネ、ザレムのボレーに対応して前に出たヘルマに得意げに言ってリターン。
「ここだ、Zスクランダー!」
おっと。ここでまさかの水平Zスクランダー。後ろに球を追うのではなく、前に出てポールを足場に後ろに跳躍して追い付き返球した。
「何?」
「いい。普通に行こう」
呆れたヒュムネにザレムが策有りを告げる。
一体何をするのかと思えば、高いロブ。
「カモだ。Z!」
――パシン、パシーン!
ヘルマの返した球は、すぐに自陣に返って来た。
とん、と着地すると相手コートでも着地する影が。
「君は飛んでるからコートがガラ空きだよ」
ザレム、特に高い球を打ったのはその狙いがあったからだ。
このままゲームは押し切った。
●
「小太さん。次、行きましょう!」
試合が決まったのを見て、姫翠が立った。
「フラさんに無理をさせるわけにはいきません!」
「ありがと、姫翠さん。……小太さん、大丈夫?」
立って振り返る姫翠に、座ったまま見直すフラ。
「あ、あんまり僕は熱血とかいうタイプではないのですがぁ」
小太、それでも逃げはしない。
「小太さんはどんなテニスをするんです?」
「ええと……」
しばし悩むが、試合に。
前でひらひらと妖精が花畑の花々を伝いステップするように動く姫翠。彼女のテニスそのものだ。そしてその姿はまるで何かを問いかけるよう。
この後姿を見て小太は思う。
自分の答えは……。
「そ、狙撃もテニスも似たようなものなのですぅ」
後衛でベースラインから、刺すような鋭い一撃。
これが敵コートの隅へぴしりと決まる。
「小太さん、すごいですっ!」
「……そ、そういうことに…しておきますぅ」
姫翡と小太は笑顔を交わすが、その後。
「ぬん、超マテリアルヌンチャク!」
敵、セッサクはとにかく動き回る。動き回りつつ、ラケットは絶えず肩を回したり腰を回したりとヌンチャクのように扱っている器用さ。その遠心力を使ったショットもパシリと乾いた打球音を残して鋭い。
加えて粘り強い。
もちろん姫翠も舞い踊り対抗。この奮闘を見て小太、瞳を改める。
「スキルをうまく使って何かできるといいのですけど……使えそうなのはこれくらいでしょうかぁ??」
前衛を抜けた球に回り込み、両手打ち。
いや、まるで二つの球を打ったような動き。ダブルシューティングだ。
が、もちろん球は一つ。フェイントにはなっている。
「ふんふん!」
対するセッサク、味のある技に嬉しそう。真似して二つの球を打つようなフェイントで返す。
「これなら…どうでしょう?」
今度は小太、レイターコールドショット。
「む?」
これは真似されない。
動きが阻害されたセッサクのリターンが甘くなり、その後は一方的な試合で勝利した。
●
「なかなかやるな? ついて来い」
「え……ええぇ!?」
試合を見たヒュムネ、戻って来た小太とすれ違いざま首根っこを掴んでコートに向かう。「小太さん、頑張れ」と苦笑しながらフラ。ザレムもやれやれと笑みをこぼしている。
「いいか? 次は……」
そして対戦相手のピューマをちらと見て、小太にごにょごにょ。
「わ、分かりましたぁ」
「どんな策を練ってもこの俺の『超マテリアルスピン』は無敵だ」
頷く小太に、ぴしりとラケットを向けるピューマ。
「そうか? てめーも弱点が多すぎる」
「ならば受けてみるがいい! サーブ、来い!」
ヒュムネの挑発に熱くなるピューマ。
――スタン。
「……弱点その1、『超マテリアルスピン』打法か何だかしらねーが、サーブに反応出来なきゃ意味ねーぜ?」
ヒュムネの高速サーブがコートの端を過ぎ去った。
「前の試合より上げてきたな? だが次はそうはいかん」
ピューマ、コースを読んだ。リターン時に体全体で回転する!
「超マテリアルスピン!」
「……は、反対側に」
小太のリターンはしかし、なぜか中央に一度ったピューマの方に飛んでいった。ヒュムネのリターンも同じく中央に吸い込まれる。
「これが超マテリアルスピン打法……この遠心力で少々のボールへの小細工はすべてキャンセルできる!」
どうやら小太のレイターコールドショットを封じているようだ。
「そうかい。……弱点その2、ボールがコート中央に集まったとしても、まともに打ち返せなきゃ意味がねぇ」
ヒュムネ、ラケットを振り回して渾身のショット。
受けたピューマ、やや返球が浮く。
――だっ……。
「これならどうだっ!」
チャンスボールにダッシュ。ヒュムネ、海老ぞりジャンプで渾身のスマッシュ!
「くっ……しかし、対応できる」
「そうかい?」
決まったが負け惜しみを言うピューマ。望み通り同じ展開に。
「そらっ!」
またもヒュムネ、守りを捨てて渾身撃。
「ヌンチャクの回転を上げる!」
何と、かろうじて返した!
何もできずに着地するヒュムネのはるか後方、ラインぎりぎりにロブが落ちる。
しかし!
「……ええと、お疲れ様ですぅ」
小太、余裕でこれを拾ってポイント。前衛無し作戦が当たった。
そしてゲームの大勢の決した瞬間である。
●
戦いが終わり。
「まさかコートが空くとは」
「いいからテニスしましょう♪」
先の男女たちが、無人のコートに入りお洒落だファッションだウフフアハハだのし始めた。タケゾーはおのれぐぬぬ、とこれを忌々しそうに見るが負けたので入れない。
と、その顔が意外そうに呆ける。
背後からぽむとザレムに手を置かれたのだ。
「まあそう言わずあのグループが満足したらちょっと特訓に付き合ってくれねぇか?」
「そりゃいいが……」
「ザレム……物好きだな」
承諾するタケゾーとザレムを見てため息を吐くヒュムネ。
「そういうあんたもラケット担いでるじゃねぇか」
ヒュムネ、振り返るとセッサクがいた。ニヤついている。
「後でこってりしごいてやるからな」
不敵に笑うヒュムネである。
「じゃ、私はコテージ内を整理しておきますねっ」
そう言って姫翠が行った後。
「フラさん、水浴びをしてきましょう」
「たくさん汗かいたもんね」
小太はフラを誘って清流の滝に。
背中合わせで木陰で水着に着替えて……。
身体が冷えすぎることはない、と判断すると早速ばしゃ~ん、と水しぶき。
「今日はフリルなしのワンピースなんですねぇ」
「違う格好もいいかな、って」
「手首、大丈夫ですぅ?」
「うんっ」
「それじゃ……」
ぱしゃ、と水を掛ける小太。
びっくりしたかな、と不安になって様子をうかがうと……。
「んもう、倍返しだよっ」
ばしゃばしゃ~、と返って来てウフフアハハ。
こちらは、ハァ、ハァ……。
「どうした? もう息が上がったのか?」
ザレム、パワーのタケゾーに速度全開のテニスを展開し自らを追い込んでいた。
「いいや、楽しいねぇ」
「そうだ。だからそれを汚す奴はテニスで叩きのめしたかったのさ」
ウエアの脇をちらりんさせて、高打点からの強サーブを相手コートのライン際にぶち込む。大吹雪山おろしのリターンに驚異的なダッシュで前に詰める。
「もっと早く!」
自らを鼓舞し限界のスピードに取り組む。
「いいな、あんた。特訓にもってこいだ」
ヒュムネは超マテリアルヌンチャクのセッサクとひたすらラリーをしていた。
「渾身撃!」
「超マテリアルヌンチャク!」
セッサクはひねりを加える特訓をしていた。
ヒュムネは……。
「渾身撃! ……まだまだ俺様の渾身撃はこんなもんで満足しねぇ!」
鬼気迫るテニスで自らを追い込み続ける。
●
そして、夕暮れ。
「『あー…もう一歩も動けない』って、ザレムさんたらコートに大の字になってたんだよ」
夕焼けに染まるステージで、フラがくすっと微笑した。
向かいには姫翠が立っている。
「みなさん、特訓頑張ったんですね。……私も負けずに歌唱の特訓です」
「じゃ、気合を入れて……」
フラが言うと、姫翠は首を振った。
「せっかく自然が溢れる場所でのんびりと歌を歌うのも気持ちよいです」
言うと、すうっと息を吸い込んだ。
♪
何かを探して一人の旅路
気付けば一人じゃなくなった
不思議だね 君がそばにいる
茜の空を見上げてる
♪
はい、とフラを見る姫翠。フラも息を吸い込んだ。
♪
全てをなくして一人の旅路
気付けば一人じゃなくなった……
♪
「いいですねぇ…」
いつの間にかステージ前に小太が来た。
「ふぅん」
「ま、こういうのもいい」
ヒュムネとザレムも何事かと近寄った。
それだけではない。
ピューマたち四天王、そしてテニス客の男女、さらに他の客も集まって……。
夕焼け空の下、手拍子。
「ん~っ」
ふんわりしたトレーニングウエアにプリーツスカート姿の細い体が、ぐーんと弓なりになった。
深緑の翡翠色の髪が風に流れる。緋乃宮 姫翠(ka5031)である。
「やっぱり高原は気持ちいいですね」
周りの森や鳥の飛ぶ姿を見回し、にっこり。
「そんな爽やかな場所に困った奴らが困ったことしてやがるってか?」
後ろにいたヒュムネ・ミュンスター(ka4288)が、「まったく困ったもんだ」とため息。
「早めに退場してもらった方がいいだろうな」
さらにザレム・アズール(ka0878)が続いて歩いている。
そして、最後尾。
「ええと……」
銀の長髪に巫女装束風テニスウエア姿の弓月・小太(ka4679)が不安そうな顔つき。
「フラさん、一人で先に行ってるんですよね? ちゃんと僕たちを待ってくれてるといいんどすけどぉ」
どうやらフラ・キャンディ(kz0121)が先に乗り込んでいるらしい。
それはそれとして。
「わ、見てみて」
「へええっ。カッコいい人たちね~」
「可愛い子もいるじゃん」
「何言ってるのよ。テニスラケット持ってるんだからテニスに行くつもりよ。変なのが占拠してるから早く止めないと」
遠くでこちらを見ている若者たちがそんな会話をしている。
「……面倒だな。早く行こう」
ヒュムネ、皆を急かす。
その時だった。
「大吹雪山おろしぃ~っ!」
「うわっ!」
気合の声と打撃音がテニス場の方から聞こえてきた。
「フラさん?!」
「いかん。すぐに行こう」
叫ぶ小太に駆け出すザレム。
とにかくテニス場に急いだ。
「まったく、お洒落だファッションだウフフアハハだとどいもこいつも……一体テニスを何と心得るかぁッ!」
テニス場では、熊のような大男が仁王立ちし大声を張っていた。名をタケゾーという。
「だからってボクに当たることはないじゃない!」
コートの反対側で、フラが弾かれたラケットを拾いながら言い返す。仕草から手首を痛めたようだ。
が、腰をかがめてラケットに手を伸ばした時、アンダースコートがちらりん☆したのがまずかった。
「むむっ! ええい、貴様も同じだ! 行くぞ、『大吹雪山おろし』~」
ボールを放った後にブンブンラケットを頭上で振り回して……パワーサーブ、来たっ!
「今度こそ……わっ!」
またも力負けしてボールは横に飛んだ。
とんとん……とボールが転がる先には。
「その子、手首を痛めてるんだろう?」
ラケットの先でくるん、とん、とボールをすくい上げたザレムが指摘した。
「ひでぇな……。スポーツマンシップに則らねぇ奴らなら、それ相応の対応見せてやる」
ざ、と横にヒュムネが不機嫌そうに立つ。
「フラさん、大丈夫ですかぁ?」
さらに反対に、小太。
「あとあと、公共の場所を占領するのはダメですよーっ!!」
最後に姫翠が三人の前に躍り出る!
「わ、みんな!」
「ん? ようやく本命のお出ましか?」
声を上げるフラ。その後ろで、じっと座っていた三人の人物が立ち上がった。
テニヌ四天王である。
●
「別に占領していたわけではないわっ。勝ち残りのルールに従ってもらったまで……しかも相手はダブルスでもいいという好条件だ」
「じゃあ、ルールに従って負けて退場してもらいますっ!」
タケゾーの言葉に姫翠が前に出た。
勝負開始だ!
「必殺……大吹雪山おろし~!」
ラケットを頭上でぶん回してから、タケゾーのパワーサーブ、来た!
「あっ……」
姫翠、受けるもラケットを弾かれる。フラはこれの連続で手首を痛めた。
「ふむ。しかしお前はいいな。お洒落だがこびてない。ウフフアハハもしていない」
「褒めても駄目です。私のテニスで……」
「ん? お前のテニスとはなんだ?」
パワーサーブに対し、受け流しの極意で何とか耐えつつ返す姫翠。そのリターンをまたもラケットぶん回しから返してタケゾーが問う。
「私のテニスですか? ……自由にコートを舞うスポーツです!」
前に出てスパン、と鋭く返す。
「お?」
これが決まった。タケゾー、ラケットをぶん回していたら対応できなかったらしい。
というわけで、試合は競り合いとなる。
タケゾーは回転数を落とした威力減の大吹雪山降ろし。
片や姫翠はひらり舞うようにコートを駆け巡り電光石火や先手必勝のアーリーリターンで勝負。
互角の戦いを続けるが……パワーに勝るタケゾーが次第に押し始める。
「ふはは、どうした? そちらはダブルスでも良かったんだぞ?」
ついにフル回転させる余裕のできたタケゾーが勝ち誇って全力で返す!
その時だった!
「姫翠、合わせられるか?」
ジェットブーツでザレムがカットインしてきた!
「は、はい! 呼吸もステップも整えられます」
姫翠は、曲で言うなら突然の変調にアドリブで合わせるように、軽やかにジャンプした。
一直線の跳躍と、柔らかなステップがいま、一つになった。
「お望みどおり2人で来たぞ!」
「シンクロ・ツインレシーブです!」
――パシーン!
「お……おお?」
見事、受けたタケゾーのラケットを弾いた!
「み、見事だな」
タケゾー、これであっさりと負けを認めた。彼も姫翠との打ち合いでギリギリまで疲弊していたのだ。
●
「まあ、パワーだけってのは読みやすいよね」
次に、直角折れもみあげの熱血風少年が出てきた。ヘルマである。
こちらは、そのままザレムが残っている。
「いくぞ」
ザレムのサーブ。素早い動きでヘルマが返す。深い位置への一撃に、ザレムはロブで辛うじて対応。
「見ろ、『Zスクランダー』!」
これをヘルマ、ポールを足場に大跳躍して渾身のスマッシュ。その動きはZの文字そのものだった。
「……カモのお出ましだ」
これを見たヒュムネ、ゆらりと立ち上がる。
「ダブルスでも良かったんだよな?」
上着を脱ぎすて体に密着するウエアになりコートに入った。
「……いいだろう」
ザレムも羽織っていた上着を脱ぎすて軽装になった。
「少しでも軽くして空中戦でも挑むつもりかい?」
ヘルマは得意げに言いつつ、サーブ。
「やっぱ体が軽いな」
後衛のヒュムネ、両手持ちで鋭くリターン。低い弾道で相手コート隅に一直線だ。
「くっ!」
ヘルマも同じく低い弾道でリターン……が、これは前衛のザレムがボレー。
この展開がしばらく続いたが。
「そもそも空中戦にならなかったら、『Zスクランダー』なんて意味ねー特技だな」
ヒュムネ、ザレムのボレーに対応して前に出たヘルマに得意げに言ってリターン。
「ここだ、Zスクランダー!」
おっと。ここでまさかの水平Zスクランダー。後ろに球を追うのではなく、前に出てポールを足場に後ろに跳躍して追い付き返球した。
「何?」
「いい。普通に行こう」
呆れたヒュムネにザレムが策有りを告げる。
一体何をするのかと思えば、高いロブ。
「カモだ。Z!」
――パシン、パシーン!
ヘルマの返した球は、すぐに自陣に返って来た。
とん、と着地すると相手コートでも着地する影が。
「君は飛んでるからコートがガラ空きだよ」
ザレム、特に高い球を打ったのはその狙いがあったからだ。
このままゲームは押し切った。
●
「小太さん。次、行きましょう!」
試合が決まったのを見て、姫翠が立った。
「フラさんに無理をさせるわけにはいきません!」
「ありがと、姫翠さん。……小太さん、大丈夫?」
立って振り返る姫翠に、座ったまま見直すフラ。
「あ、あんまり僕は熱血とかいうタイプではないのですがぁ」
小太、それでも逃げはしない。
「小太さんはどんなテニスをするんです?」
「ええと……」
しばし悩むが、試合に。
前でひらひらと妖精が花畑の花々を伝いステップするように動く姫翠。彼女のテニスそのものだ。そしてその姿はまるで何かを問いかけるよう。
この後姿を見て小太は思う。
自分の答えは……。
「そ、狙撃もテニスも似たようなものなのですぅ」
後衛でベースラインから、刺すような鋭い一撃。
これが敵コートの隅へぴしりと決まる。
「小太さん、すごいですっ!」
「……そ、そういうことに…しておきますぅ」
姫翡と小太は笑顔を交わすが、その後。
「ぬん、超マテリアルヌンチャク!」
敵、セッサクはとにかく動き回る。動き回りつつ、ラケットは絶えず肩を回したり腰を回したりとヌンチャクのように扱っている器用さ。その遠心力を使ったショットもパシリと乾いた打球音を残して鋭い。
加えて粘り強い。
もちろん姫翠も舞い踊り対抗。この奮闘を見て小太、瞳を改める。
「スキルをうまく使って何かできるといいのですけど……使えそうなのはこれくらいでしょうかぁ??」
前衛を抜けた球に回り込み、両手打ち。
いや、まるで二つの球を打ったような動き。ダブルシューティングだ。
が、もちろん球は一つ。フェイントにはなっている。
「ふんふん!」
対するセッサク、味のある技に嬉しそう。真似して二つの球を打つようなフェイントで返す。
「これなら…どうでしょう?」
今度は小太、レイターコールドショット。
「む?」
これは真似されない。
動きが阻害されたセッサクのリターンが甘くなり、その後は一方的な試合で勝利した。
●
「なかなかやるな? ついて来い」
「え……ええぇ!?」
試合を見たヒュムネ、戻って来た小太とすれ違いざま首根っこを掴んでコートに向かう。「小太さん、頑張れ」と苦笑しながらフラ。ザレムもやれやれと笑みをこぼしている。
「いいか? 次は……」
そして対戦相手のピューマをちらと見て、小太にごにょごにょ。
「わ、分かりましたぁ」
「どんな策を練ってもこの俺の『超マテリアルスピン』は無敵だ」
頷く小太に、ぴしりとラケットを向けるピューマ。
「そうか? てめーも弱点が多すぎる」
「ならば受けてみるがいい! サーブ、来い!」
ヒュムネの挑発に熱くなるピューマ。
――スタン。
「……弱点その1、『超マテリアルスピン』打法か何だかしらねーが、サーブに反応出来なきゃ意味ねーぜ?」
ヒュムネの高速サーブがコートの端を過ぎ去った。
「前の試合より上げてきたな? だが次はそうはいかん」
ピューマ、コースを読んだ。リターン時に体全体で回転する!
「超マテリアルスピン!」
「……は、反対側に」
小太のリターンはしかし、なぜか中央に一度ったピューマの方に飛んでいった。ヒュムネのリターンも同じく中央に吸い込まれる。
「これが超マテリアルスピン打法……この遠心力で少々のボールへの小細工はすべてキャンセルできる!」
どうやら小太のレイターコールドショットを封じているようだ。
「そうかい。……弱点その2、ボールがコート中央に集まったとしても、まともに打ち返せなきゃ意味がねぇ」
ヒュムネ、ラケットを振り回して渾身のショット。
受けたピューマ、やや返球が浮く。
――だっ……。
「これならどうだっ!」
チャンスボールにダッシュ。ヒュムネ、海老ぞりジャンプで渾身のスマッシュ!
「くっ……しかし、対応できる」
「そうかい?」
決まったが負け惜しみを言うピューマ。望み通り同じ展開に。
「そらっ!」
またもヒュムネ、守りを捨てて渾身撃。
「ヌンチャクの回転を上げる!」
何と、かろうじて返した!
何もできずに着地するヒュムネのはるか後方、ラインぎりぎりにロブが落ちる。
しかし!
「……ええと、お疲れ様ですぅ」
小太、余裕でこれを拾ってポイント。前衛無し作戦が当たった。
そしてゲームの大勢の決した瞬間である。
●
戦いが終わり。
「まさかコートが空くとは」
「いいからテニスしましょう♪」
先の男女たちが、無人のコートに入りお洒落だファッションだウフフアハハだのし始めた。タケゾーはおのれぐぬぬ、とこれを忌々しそうに見るが負けたので入れない。
と、その顔が意外そうに呆ける。
背後からぽむとザレムに手を置かれたのだ。
「まあそう言わずあのグループが満足したらちょっと特訓に付き合ってくれねぇか?」
「そりゃいいが……」
「ザレム……物好きだな」
承諾するタケゾーとザレムを見てため息を吐くヒュムネ。
「そういうあんたもラケット担いでるじゃねぇか」
ヒュムネ、振り返るとセッサクがいた。ニヤついている。
「後でこってりしごいてやるからな」
不敵に笑うヒュムネである。
「じゃ、私はコテージ内を整理しておきますねっ」
そう言って姫翠が行った後。
「フラさん、水浴びをしてきましょう」
「たくさん汗かいたもんね」
小太はフラを誘って清流の滝に。
背中合わせで木陰で水着に着替えて……。
身体が冷えすぎることはない、と判断すると早速ばしゃ~ん、と水しぶき。
「今日はフリルなしのワンピースなんですねぇ」
「違う格好もいいかな、って」
「手首、大丈夫ですぅ?」
「うんっ」
「それじゃ……」
ぱしゃ、と水を掛ける小太。
びっくりしたかな、と不安になって様子をうかがうと……。
「んもう、倍返しだよっ」
ばしゃばしゃ~、と返って来てウフフアハハ。
こちらは、ハァ、ハァ……。
「どうした? もう息が上がったのか?」
ザレム、パワーのタケゾーに速度全開のテニスを展開し自らを追い込んでいた。
「いいや、楽しいねぇ」
「そうだ。だからそれを汚す奴はテニスで叩きのめしたかったのさ」
ウエアの脇をちらりんさせて、高打点からの強サーブを相手コートのライン際にぶち込む。大吹雪山おろしのリターンに驚異的なダッシュで前に詰める。
「もっと早く!」
自らを鼓舞し限界のスピードに取り組む。
「いいな、あんた。特訓にもってこいだ」
ヒュムネは超マテリアルヌンチャクのセッサクとひたすらラリーをしていた。
「渾身撃!」
「超マテリアルヌンチャク!」
セッサクはひねりを加える特訓をしていた。
ヒュムネは……。
「渾身撃! ……まだまだ俺様の渾身撃はこんなもんで満足しねぇ!」
鬼気迫るテニスで自らを追い込み続ける。
●
そして、夕暮れ。
「『あー…もう一歩も動けない』って、ザレムさんたらコートに大の字になってたんだよ」
夕焼けに染まるステージで、フラがくすっと微笑した。
向かいには姫翠が立っている。
「みなさん、特訓頑張ったんですね。……私も負けずに歌唱の特訓です」
「じゃ、気合を入れて……」
フラが言うと、姫翠は首を振った。
「せっかく自然が溢れる場所でのんびりと歌を歌うのも気持ちよいです」
言うと、すうっと息を吸い込んだ。
♪
何かを探して一人の旅路
気付けば一人じゃなくなった
不思議だね 君がそばにいる
茜の空を見上げてる
♪
はい、とフラを見る姫翠。フラも息を吸い込んだ。
♪
全てをなくして一人の旅路
気付けば一人じゃなくなった……
♪
「いいですねぇ…」
いつの間にかステージ前に小太が来た。
「ふぅん」
「ま、こういうのもいい」
ヒュムネとザレムも何事かと近寄った。
それだけではない。
ピューマたち四天王、そしてテニス客の男女、さらに他の客も集まって……。
夕焼け空の下、手拍子。
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- 幻獣王親衛隊
ザレム・アズール(ka0878)
重体一覧
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/11 10:10:26 |
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相談場所です! 緋乃宮 姫翠(ka5031) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/09/11 22:10:07 |