ゲスト
(ka0000)
お疲れさまの、一声を
マスター:四月朔日さくら

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/18 12:00
- 完成日
- 2015/09/24 15:31
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
リムネラ(kz0018)が東方に赴いてから、そろそろひと月以上。
辺境ユニオン『ガーディナ』はそんな彼女のいない間、まるで火の消えたようだった。それだけ、彼女の存在がこのガーディナでは大きいのだと、改めて思い知らされる。
しかし、東方の戦いも終結を向かえ、もうまもなくリムネラも帰ってくるであろう――きっと土産話も、積もる話も山のようにある筈だ。
でも、まずは何よりも。
「リムネラさんもお疲れでしょうからねぇ」
リムネラがいない間、ガーディナのもろもろの仕事を一手に引き受けていたジーク・真田(kz0090)が、小さくため息をついた。
ハンターズソサエティから受けた連絡によれば、東方の守護をしていた黒龍も消滅したという。リムネラの心中いかばかりか。
それならせめて、なにか疲れを癒やしてあげよう。
見知った顔と、見知った場所で、たわいない家庭料理を食べる。
何気ない日常の風景を、当たり前の毎日を、与えたい。
それはジークのみならず、ガーディナみんなの想いでもあった。
●
「慰労会を開きましょう」
誰からともなくそんな声が上がる。
「リムネラさんだけではなく、多くのハンターたちも今回の東征で力を使ったはず。みなさんにお疲れさまって言わないといけませんよね」
ジークもにっこり微笑む。
「皆をあたたかく出迎えましょう。ね」
その言葉に、仲間たちも頷くのだった。
リムネラ(kz0018)が東方に赴いてから、そろそろひと月以上。
辺境ユニオン『ガーディナ』はそんな彼女のいない間、まるで火の消えたようだった。それだけ、彼女の存在がこのガーディナでは大きいのだと、改めて思い知らされる。
しかし、東方の戦いも終結を向かえ、もうまもなくリムネラも帰ってくるであろう――きっと土産話も、積もる話も山のようにある筈だ。
でも、まずは何よりも。
「リムネラさんもお疲れでしょうからねぇ」
リムネラがいない間、ガーディナのもろもろの仕事を一手に引き受けていたジーク・真田(kz0090)が、小さくため息をついた。
ハンターズソサエティから受けた連絡によれば、東方の守護をしていた黒龍も消滅したという。リムネラの心中いかばかりか。
それならせめて、なにか疲れを癒やしてあげよう。
見知った顔と、見知った場所で、たわいない家庭料理を食べる。
何気ない日常の風景を、当たり前の毎日を、与えたい。
それはジークのみならず、ガーディナみんなの想いでもあった。
●
「慰労会を開きましょう」
誰からともなくそんな声が上がる。
「リムネラさんだけではなく、多くのハンターたちも今回の東征で力を使ったはず。みなさんにお疲れさまって言わないといけませんよね」
ジークもにっこり微笑む。
「皆をあたたかく出迎えましょう。ね」
その言葉に、仲間たちも頷くのだった。
リプレイ本文
●
リムネラの、そしてハンターたちの慰労会――と言うことで集まってくれたのは少ないが、まあ近くにいるハンターたちも巻き込んでしまえばいい。
何しろ誰もが疲れているのはどう見ても明らかなのだから。
準備自体はそう難しいものではない。そのために集まっている人間も決して多くないので、会場は安直ではあるかも知れないがユニオンのホールを使い、折角ならば辺境ゆかりの郷土料理を振る舞いたい、と思っている者もいる。
Uisca Amhran(ka0754)が、まさしくそれだ。彼女はリムネラのことを、信頼できる友人と認識している。何度も交流を深めているからこその信頼だろう。だからこそ、こんなことを言った。
「もし分かればなんですけれど、リムネラさんの出身部族を調べられたら……。それに、大霊堂のお料理なども振る舞ったら、リムネラさんは喜んでくれるんじゃないかな、と思ったんですけれど」
聖地にいたこともあるというウィスカのその提案自体は悪くない。しかし、ガーディナの補佐役も務めるジーク・真田(kz0090)はそれを聞いて、複雑そうな笑みを浮かべた。
「大霊堂の料理はともかくとして、リムネラさんの、出身部族……、ですか」
もともとジークはリムネラの熱心なファン。調べているのだろうと思いきや、小さく首を横に振る。
「……リムネラさんの素性は、僕にも分からないところがあるんです。ただ、辺境という環境を考えると、もしかしたら――」
ジークは小さく目を伏せた。ウィスカは、まずいことを聞いたかも知れないと思い至る。
言うまでもないことだが、辺境は歪虚との戦いの最前線だ。滅ぼされてしまった部族も数多ある。――リムネラ自身もまたそう言う出自ではないかと、言外に告げているのだ。もしそうなら、リムネラの『ふるさとの味』を探すのは不可能に近い。
「あ……そ、それなら、聖地のお料理だけの方がいいかもしれませんね。……確かに、そう言うことはあまり口にしない方ですもんね、リムネラさん」
「幼い頃から聖地で暮らしているから、もう聖地が故郷と言って差し支えないから、あえて何も言わないのかも知れませんし。でももしそう考えると……リムネラさんがあまり自分の過去について深くふれていないのも、うなずける気がします」
ジークもうなずき、そっと言う。
「誰の心も傷つけないで、暮らしていくのは、本当に大変ですね」
しかしリムネラは、まさに巫女――という風体でそれをやってのけようとする。まだ未熟な点もあるが、彼女のそう言う姿勢は誰もが好感を持っていることも知っていた。
きっとだから、このユニオンリーダーという仕事もやっていけるのだろう。
ウィスカは少しだけ、そんなリムネラを友と呼べることに誇りを覚えた。
●
「ジーク、例によって人集めは頼めるのだろう?」
そう言いながら微笑むのはレイス(ka1541)だ。ちなみにかつて、リムネラファンクラブを提案したのも彼である。
「ああ、ファンクラブもですけど、ユニオンの皆さんももう巻き込んでしまえたらいいなと思っていますよ」
今回はリムネラにはサプライズにしてやりたいが、他の職員やハンターにはオープンにしてしまうつもりらしい。みんなで楽しめる方が、確かに楽しいに違いないからだ。
ふむ、とレイスは頷く。好都合、といった感じだ。
「どっちにしてもユニオンリーダーと仲間でのパーティなら無礼講だろう? その辺りも周知させておいた方がいいだろうし」
さらにレイスは、カンパを募って何か小物をプレゼントしたいという。いつも大変な役目を負っているリムネラへの、感謝の想いを込めたいと。
「リムネラさんもきっと、喜びますよ。そう言う心遣い」
ジークもそう言って微笑んだ。
なにしろ、リムネラはあまり自分を飾るということをしない。見た目という点においても、である。
「うんうん、リムネラさんの喜びそうな物、用意できるといいですよね」
そう横で微笑みながら頷いているのはミオレスカ(ka3496)。料理がちょっぴり得意という、エルフの少女だ。そんな彼女が最近興味があるのはリアルブルーの調味料、醤油である。東方にも類似した文化があるとなって、好奇心はさらに急上昇だ。ちなみにジークはこう見えてリアルブルーで言う日本人の血が混じっているので、個人的には大喜びだ。
「ジークさんもいつもお疲れさまですけど、リムネラさんはきっともっとお疲れさまなんですよね。少しでも気を休ませて貰えればいいな、って、私も思います」
紅茶の淹れ方を覚えてそれほど間もないせいか、リムネラにも自分の振る舞うお茶でティーブレイクして貰いたいらしい。そう言うことはたしかに喜んでくれるだろうから、ジークも明るく笑ってみせる。
「僕はそう言う言葉だけでも十分です。前線に出て戦うと言うことは、基本的にありませんからね。リムネラさんへの気遣い、本当に感謝します」
ジークの、自身はたいしたことが出来ないという歯がゆさを伴った台詞。
しかしハンターたちは知っている。リムネラがいない間も、ユニオンの管理をしっかりしてくれていたジークのことを。
ぽん、とレイスがジークの肩を軽く叩く。
「ジークにも、感謝をしないとな」
その言葉に、ジークはわずかに顔を赤らめた。
●
さて、パーティ決行は穏やかな休日を選んだ。
ハンターも、あるいはそうでない人も、場合によっては訪れてくれるかも知れないからだ。あらかじめ、慰労会についてはある程度の宣伝はうってある。と言っても、リムネラに気づかれない程度、ではあるが。
そんなリムネラはと言うと、遠征の疲れもあってこの日はのんびりとしていた。ヘレと脇で戯れていたり、その様子は本当にごく普通の少女である。
「あ、リムネラさん! ちょっとこっちに来てお茶でも飲みませんか?」
ミオレスカはそう言って、リムネラに声をかけた。彼女が今いるのはホールではなく談話室。ホールではリムネラのファンクラブメンバーをはじめとした面々が着々と慰労会の準備をしている。
ミオレスカが用意したのは、少し濃いめに淹れた紅茶に甘めのスコーン。
「マァ。ありがとうございマス」
甘い物好きのリムネラにしてみれば、ありがたい差し入れだ。その隙に、他の仲間たちはパーティの準備を整える。
その準備が出来た頃を見計らい、ウィスカが笑顔でリムネラのところを訪れた。
「リムネラさん! ちょっとこちらに来てくれませんか?」
呼ばれたことに不思議に思いながらも、リムネラは立ち上がる。
てくてくと歩いて、ホールに入ると――わっと歓声が上がった。まるで彼女を出迎えるかのように。
リムネラが少し目を丸くさせると、ジークがそっと微笑む。
「リムネラさんと、そしてハンターの皆さんと、今回の東方への遠征はお疲れだったろうと思って……人集めは難航しましたけど、みんな、みんなへの、慰労会を開こうと思って」
「ジークが提案してくれたんだ。リムネラ嬢も、俺たちハンターも、一息つけるように、とな」
レイスが助け船を出す。
机の上には辺境のものを中心とした料理の数々。それに、たくさんのドリンク。まさしく無礼講という言葉がしっくりくる。
特にその中でも目を引くのは、質素ながら美味しそうな香りを漂わせている料理だ。野菜や根菜中心のいわゆる精進料理に近い、大きな木の葉のうえに並べられたその料理は、リムネラの目を釘付けにする。それは、リムネラにとっては懐かしさを感じさせるものだった。そう――
「聖地の、料理――」
「はい、こういうものがリムネラさんには懐かしいかなと思って」
ウィスカがそう言うと、リムネラは思わず笑顔で頷いた。
「そうじゃな、皆の衆も、そしてリム殿も、東方ではお疲れじゃ! 今日は飲めや歌えの慰労の宴、と参ろうではないか!」
そう言って楽しそうに笑うのは、星輝 Amhran(ka0724)。東方からの移民の血を引くという彼女は、笑いながら杯を突き出す。
「東方での戦ではお疲れさまじゃ! まだまだ多くの問題はあろうが、今日ばかりは楽しもうぞ!」
その言葉にハンターたちは、手にしていたコップをぶつけ合った。
「……本当は、チューダさんもお呼びしたかったんですけど」
ウィスカはそんなことを言う。チューダは自称ではあるが仮にも幻獣王、そうなかなか場所を離れるわけにも行かないのは仕方が無いだろうとリムネラは優しく諭した。
「キット、チューダさんモ忙しいのです、カラ……幻獣王、デスシ」
言われればたしかにその通りなので、ウィスカは素直に頷く。
あの自称幻獣王なら、きっと『幻獣たちの明るい明日を考えて試行錯誤をしているのであります! リゼリオまで行くなど余裕はないのです!』とか何とか、そんなもっともらしい台詞を言っているのだろう。なんだかそう考えると愉快に感じられて、少女たちはクスクスと笑う。
「おやリム殿、もっと飲まぬかえ? ほれ、イスカも」
と、そこへ星輝も入ってきて、言いながら笑う。もっともリムネラは酒は決して強くないし、普段も滅多に口にすることはない。一口飲めば顔がほてってしまう程度に弱いのだ。いっぽういわゆるウワバミ、あるいはザルと呼ばれる大酒飲みの星輝は、既に結構な量のアルコールを摂取しているようだがまったくそのようにはみえない。さらに星輝は、感謝とねぎらいの気持ちを込めて一差し舞を披露しよう、と不敵に微笑んだ。
「先祖の故郷奪還の記念じゃ!」
星輝は、本当に嬉しそうだ。やはり、ルーツである東方の奪還は何よりも嬉しかったのだろう。
――やがて、よく通る声が、ホールにこだまする。
「遠き彼方に望むは東 手握り屠りて葬りて虚
向かいて狐 清めたるや 人の心の強き事
あぁ晴やこの空 晴よ征く先 想い思いもそれぞれよ
そら飲めや歌えや祝の宴ぞ お天道様を拝むまで」
鈴を片手に持って打ち鳴らし、もう片方の手で扇をもって踊るそのさまは、ちょうど日本舞踊とよく似ている。
ゆったりと、しかししっかりと。
舞というのはまさしくこういうものなのだと、しみじみ思う。
言の葉は、まさしく東方の戦いを示しており、それがまたあのときの激戦を思い起こさせる。しかし嫌な気持ちにはならない。
むしろどこか、安心できるような、そんな言の葉。
その言の葉に、誰もが心をふるわせた。
●
まさかこんなサプライズが待っているとは思っていなかったリムネラは、一部始終をそれでも笑顔を浮かべて眺めている。と、
「リムネラ嬢も、何はともあれお疲れさまだ」
気づけば横にはレイスが立っていた。
「これは皆からの気持ちにすぎないが……」
小さな箱をそっと渡す。なかには可愛らしい色をした髪飾りが入っていた。
「ありがとう、ございマス」
「こちらはリムネラさんへのねぎらいの手紙ですよ」
ウィスカも、ぽんと束になった手紙を渡す。心のこもった贈り物に、リムネラは感謝の言葉しかない。
「ヘレもお疲れさまだな。何か食べるか?」
レイスがリムネラの相棒に尋ねてみると、幼い白龍は小さく首をかしげ、そして差し出されたクッキーをもぐもぐと食べる。しっぽをぱたぱたと動かしているのは、きっと嬉しいからだろう。
「ヘレも何かと大変だろうが、リムネラ嬢のこともしっかり守るんだぞ」
「うん、ヘレちゃんもお疲れさま!」
ウィスカとレイスに代わる代わる言われ、ヘレはまたしっぽをぱたぱたと動かす。まるで、喜んで! と言っているかのように。
「……戦災地ではなく、安全にのんびりと楽しめる、こういったお茶とお食事を、大事にしたいですね。きっとこういう時間が、また明日からの活力になりますから」
ミオレスカがにっこり笑うと、食後のお茶をみんなに振る舞った。今度は香り高い、如何にも上品な感じのお茶である。
受け取ったハンターたちも頷いて、そして笑う。
「それでもみんながいたから何とかなったんだしな。やっぱり、ハンターの力って言うのはみんなで集まってこそ、なんだろうな」
そんな声が聞こえて、ハンター仲間もうんうんと頷く。
ひとりの力では、決してなしえなかった東方の作戦。
みんながいるから、みんながいたから、勝って、こうやってわいわいと騒ぐことが出来る。
その幸福をしみじみと感じながら、誰もがその日は歌い騒ぐ。
――東方の解放とハンターたちの無事の帰還を、ともに讃え合いながら。
リムネラの、そしてハンターたちの慰労会――と言うことで集まってくれたのは少ないが、まあ近くにいるハンターたちも巻き込んでしまえばいい。
何しろ誰もが疲れているのはどう見ても明らかなのだから。
準備自体はそう難しいものではない。そのために集まっている人間も決して多くないので、会場は安直ではあるかも知れないがユニオンのホールを使い、折角ならば辺境ゆかりの郷土料理を振る舞いたい、と思っている者もいる。
Uisca Amhran(ka0754)が、まさしくそれだ。彼女はリムネラのことを、信頼できる友人と認識している。何度も交流を深めているからこその信頼だろう。だからこそ、こんなことを言った。
「もし分かればなんですけれど、リムネラさんの出身部族を調べられたら……。それに、大霊堂のお料理なども振る舞ったら、リムネラさんは喜んでくれるんじゃないかな、と思ったんですけれど」
聖地にいたこともあるというウィスカのその提案自体は悪くない。しかし、ガーディナの補佐役も務めるジーク・真田(kz0090)はそれを聞いて、複雑そうな笑みを浮かべた。
「大霊堂の料理はともかくとして、リムネラさんの、出身部族……、ですか」
もともとジークはリムネラの熱心なファン。調べているのだろうと思いきや、小さく首を横に振る。
「……リムネラさんの素性は、僕にも分からないところがあるんです。ただ、辺境という環境を考えると、もしかしたら――」
ジークは小さく目を伏せた。ウィスカは、まずいことを聞いたかも知れないと思い至る。
言うまでもないことだが、辺境は歪虚との戦いの最前線だ。滅ぼされてしまった部族も数多ある。――リムネラ自身もまたそう言う出自ではないかと、言外に告げているのだ。もしそうなら、リムネラの『ふるさとの味』を探すのは不可能に近い。
「あ……そ、それなら、聖地のお料理だけの方がいいかもしれませんね。……確かに、そう言うことはあまり口にしない方ですもんね、リムネラさん」
「幼い頃から聖地で暮らしているから、もう聖地が故郷と言って差し支えないから、あえて何も言わないのかも知れませんし。でももしそう考えると……リムネラさんがあまり自分の過去について深くふれていないのも、うなずける気がします」
ジークもうなずき、そっと言う。
「誰の心も傷つけないで、暮らしていくのは、本当に大変ですね」
しかしリムネラは、まさに巫女――という風体でそれをやってのけようとする。まだ未熟な点もあるが、彼女のそう言う姿勢は誰もが好感を持っていることも知っていた。
きっとだから、このユニオンリーダーという仕事もやっていけるのだろう。
ウィスカは少しだけ、そんなリムネラを友と呼べることに誇りを覚えた。
●
「ジーク、例によって人集めは頼めるのだろう?」
そう言いながら微笑むのはレイス(ka1541)だ。ちなみにかつて、リムネラファンクラブを提案したのも彼である。
「ああ、ファンクラブもですけど、ユニオンの皆さんももう巻き込んでしまえたらいいなと思っていますよ」
今回はリムネラにはサプライズにしてやりたいが、他の職員やハンターにはオープンにしてしまうつもりらしい。みんなで楽しめる方が、確かに楽しいに違いないからだ。
ふむ、とレイスは頷く。好都合、といった感じだ。
「どっちにしてもユニオンリーダーと仲間でのパーティなら無礼講だろう? その辺りも周知させておいた方がいいだろうし」
さらにレイスは、カンパを募って何か小物をプレゼントしたいという。いつも大変な役目を負っているリムネラへの、感謝の想いを込めたいと。
「リムネラさんもきっと、喜びますよ。そう言う心遣い」
ジークもそう言って微笑んだ。
なにしろ、リムネラはあまり自分を飾るということをしない。見た目という点においても、である。
「うんうん、リムネラさんの喜びそうな物、用意できるといいですよね」
そう横で微笑みながら頷いているのはミオレスカ(ka3496)。料理がちょっぴり得意という、エルフの少女だ。そんな彼女が最近興味があるのはリアルブルーの調味料、醤油である。東方にも類似した文化があるとなって、好奇心はさらに急上昇だ。ちなみにジークはこう見えてリアルブルーで言う日本人の血が混じっているので、個人的には大喜びだ。
「ジークさんもいつもお疲れさまですけど、リムネラさんはきっともっとお疲れさまなんですよね。少しでも気を休ませて貰えればいいな、って、私も思います」
紅茶の淹れ方を覚えてそれほど間もないせいか、リムネラにも自分の振る舞うお茶でティーブレイクして貰いたいらしい。そう言うことはたしかに喜んでくれるだろうから、ジークも明るく笑ってみせる。
「僕はそう言う言葉だけでも十分です。前線に出て戦うと言うことは、基本的にありませんからね。リムネラさんへの気遣い、本当に感謝します」
ジークの、自身はたいしたことが出来ないという歯がゆさを伴った台詞。
しかしハンターたちは知っている。リムネラがいない間も、ユニオンの管理をしっかりしてくれていたジークのことを。
ぽん、とレイスがジークの肩を軽く叩く。
「ジークにも、感謝をしないとな」
その言葉に、ジークはわずかに顔を赤らめた。
●
さて、パーティ決行は穏やかな休日を選んだ。
ハンターも、あるいはそうでない人も、場合によっては訪れてくれるかも知れないからだ。あらかじめ、慰労会についてはある程度の宣伝はうってある。と言っても、リムネラに気づかれない程度、ではあるが。
そんなリムネラはと言うと、遠征の疲れもあってこの日はのんびりとしていた。ヘレと脇で戯れていたり、その様子は本当にごく普通の少女である。
「あ、リムネラさん! ちょっとこっちに来てお茶でも飲みませんか?」
ミオレスカはそう言って、リムネラに声をかけた。彼女が今いるのはホールではなく談話室。ホールではリムネラのファンクラブメンバーをはじめとした面々が着々と慰労会の準備をしている。
ミオレスカが用意したのは、少し濃いめに淹れた紅茶に甘めのスコーン。
「マァ。ありがとうございマス」
甘い物好きのリムネラにしてみれば、ありがたい差し入れだ。その隙に、他の仲間たちはパーティの準備を整える。
その準備が出来た頃を見計らい、ウィスカが笑顔でリムネラのところを訪れた。
「リムネラさん! ちょっとこちらに来てくれませんか?」
呼ばれたことに不思議に思いながらも、リムネラは立ち上がる。
てくてくと歩いて、ホールに入ると――わっと歓声が上がった。まるで彼女を出迎えるかのように。
リムネラが少し目を丸くさせると、ジークがそっと微笑む。
「リムネラさんと、そしてハンターの皆さんと、今回の東方への遠征はお疲れだったろうと思って……人集めは難航しましたけど、みんな、みんなへの、慰労会を開こうと思って」
「ジークが提案してくれたんだ。リムネラ嬢も、俺たちハンターも、一息つけるように、とな」
レイスが助け船を出す。
机の上には辺境のものを中心とした料理の数々。それに、たくさんのドリンク。まさしく無礼講という言葉がしっくりくる。
特にその中でも目を引くのは、質素ながら美味しそうな香りを漂わせている料理だ。野菜や根菜中心のいわゆる精進料理に近い、大きな木の葉のうえに並べられたその料理は、リムネラの目を釘付けにする。それは、リムネラにとっては懐かしさを感じさせるものだった。そう――
「聖地の、料理――」
「はい、こういうものがリムネラさんには懐かしいかなと思って」
ウィスカがそう言うと、リムネラは思わず笑顔で頷いた。
「そうじゃな、皆の衆も、そしてリム殿も、東方ではお疲れじゃ! 今日は飲めや歌えの慰労の宴、と参ろうではないか!」
そう言って楽しそうに笑うのは、星輝 Amhran(ka0724)。東方からの移民の血を引くという彼女は、笑いながら杯を突き出す。
「東方での戦ではお疲れさまじゃ! まだまだ多くの問題はあろうが、今日ばかりは楽しもうぞ!」
その言葉にハンターたちは、手にしていたコップをぶつけ合った。
「……本当は、チューダさんもお呼びしたかったんですけど」
ウィスカはそんなことを言う。チューダは自称ではあるが仮にも幻獣王、そうなかなか場所を離れるわけにも行かないのは仕方が無いだろうとリムネラは優しく諭した。
「キット、チューダさんモ忙しいのです、カラ……幻獣王、デスシ」
言われればたしかにその通りなので、ウィスカは素直に頷く。
あの自称幻獣王なら、きっと『幻獣たちの明るい明日を考えて試行錯誤をしているのであります! リゼリオまで行くなど余裕はないのです!』とか何とか、そんなもっともらしい台詞を言っているのだろう。なんだかそう考えると愉快に感じられて、少女たちはクスクスと笑う。
「おやリム殿、もっと飲まぬかえ? ほれ、イスカも」
と、そこへ星輝も入ってきて、言いながら笑う。もっともリムネラは酒は決して強くないし、普段も滅多に口にすることはない。一口飲めば顔がほてってしまう程度に弱いのだ。いっぽういわゆるウワバミ、あるいはザルと呼ばれる大酒飲みの星輝は、既に結構な量のアルコールを摂取しているようだがまったくそのようにはみえない。さらに星輝は、感謝とねぎらいの気持ちを込めて一差し舞を披露しよう、と不敵に微笑んだ。
「先祖の故郷奪還の記念じゃ!」
星輝は、本当に嬉しそうだ。やはり、ルーツである東方の奪還は何よりも嬉しかったのだろう。
――やがて、よく通る声が、ホールにこだまする。
「遠き彼方に望むは東 手握り屠りて葬りて虚
向かいて狐 清めたるや 人の心の強き事
あぁ晴やこの空 晴よ征く先 想い思いもそれぞれよ
そら飲めや歌えや祝の宴ぞ お天道様を拝むまで」
鈴を片手に持って打ち鳴らし、もう片方の手で扇をもって踊るそのさまは、ちょうど日本舞踊とよく似ている。
ゆったりと、しかししっかりと。
舞というのはまさしくこういうものなのだと、しみじみ思う。
言の葉は、まさしく東方の戦いを示しており、それがまたあのときの激戦を思い起こさせる。しかし嫌な気持ちにはならない。
むしろどこか、安心できるような、そんな言の葉。
その言の葉に、誰もが心をふるわせた。
●
まさかこんなサプライズが待っているとは思っていなかったリムネラは、一部始終をそれでも笑顔を浮かべて眺めている。と、
「リムネラ嬢も、何はともあれお疲れさまだ」
気づけば横にはレイスが立っていた。
「これは皆からの気持ちにすぎないが……」
小さな箱をそっと渡す。なかには可愛らしい色をした髪飾りが入っていた。
「ありがとう、ございマス」
「こちらはリムネラさんへのねぎらいの手紙ですよ」
ウィスカも、ぽんと束になった手紙を渡す。心のこもった贈り物に、リムネラは感謝の言葉しかない。
「ヘレもお疲れさまだな。何か食べるか?」
レイスがリムネラの相棒に尋ねてみると、幼い白龍は小さく首をかしげ、そして差し出されたクッキーをもぐもぐと食べる。しっぽをぱたぱたと動かしているのは、きっと嬉しいからだろう。
「ヘレも何かと大変だろうが、リムネラ嬢のこともしっかり守るんだぞ」
「うん、ヘレちゃんもお疲れさま!」
ウィスカとレイスに代わる代わる言われ、ヘレはまたしっぽをぱたぱたと動かす。まるで、喜んで! と言っているかのように。
「……戦災地ではなく、安全にのんびりと楽しめる、こういったお茶とお食事を、大事にしたいですね。きっとこういう時間が、また明日からの活力になりますから」
ミオレスカがにっこり笑うと、食後のお茶をみんなに振る舞った。今度は香り高い、如何にも上品な感じのお茶である。
受け取ったハンターたちも頷いて、そして笑う。
「それでもみんながいたから何とかなったんだしな。やっぱり、ハンターの力って言うのはみんなで集まってこそ、なんだろうな」
そんな声が聞こえて、ハンター仲間もうんうんと頷く。
ひとりの力では、決してなしえなかった東方の作戦。
みんながいるから、みんながいたから、勝って、こうやってわいわいと騒ぐことが出来る。
その幸福をしみじみと感じながら、誰もがその日は歌い騒ぐ。
――東方の解放とハンターたちの無事の帰還を、ともに讃え合いながら。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/09/16 23:48:44 |
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![]() |
リムネラさんお疲れ様会準備室 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/09/17 08:02:50 |