ブルゲド族の危機

マスター:後醍醐

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2015/09/23 12:00
完成日
2015/09/24 20:49

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 彼女は行く、荒野を。
 傷ついた体を癒やすため。
 
「あたしは……一人か」
 アリシアの独白。
 上司とも言えるガエル・ソトもいない。
 アリシア、ただ独りだけだ。
「ならば――私が上に立つだけだ」
 飢餓に狂いそうな心と狂気の狭間の中での残されたまともな思考が答えを出す。
「それに――嗚呼、あれがほしい」
 大いなる渇望。
 アリシアは――動き出した。
 
 しばらく経って。
 アリシアの前に頭を垂れ、跪く集団がいた。
 数えきれないほどの――その殆どはゴブリンやオーク達だ。
「私がお前たちの王になる」
 アリシアは手下の歪虚も使い、オークやゴブリンの集落を制圧し支配下においてきた。
 無論それだけではない。
 アリシアの回りを護るように固めるオークやゴブリンの武装は上等なものだ。
 これらは、辺境を行く商人たちを襲い手に入れたものだ。
 その襲撃は結構な頻度になる。
 アリシアによって鍛えれられ『精鋭』とも呼べるオークやゴブリン達だ。
 
 ●
 辺境を行く商人の馬車。
 ほのぼのとした雰囲気ではなく、ピリピリとした雰囲気が当たりを包む。
「最近、頻繁に襲撃を受けてると言う話だが……」
 リーダーらしき全身鎧に身を包んだ男がしゃべる。
「王国や帝国から食い詰めてきた賊のせいでしょうかね?」
 リーダよりも若い、全身鎧に身を包んだ女性が答える。
「なんにしてもうちら『銀の盾』ギルドにかかればイチコロさ」
 少年のような少女、同じく全身鎧を身につけたのが答える。
「雑魔やそこら辺のゴブリンどもならこの鎧さえあれば無傷で済むからな」
 リーダの男が自慢するように言う。
 重騎士とも呼べるほどの全身鎧を包んだ8人のハンターの集団。
 それが『銀の盾』だ。
 馬車護衛のセオリー通り、後方と前方に索敵をだして荒野を進んでいる。
 
 だが――。
 
「敵襲だ!」
 前方を警戒していたハンターから警告の声が聞こえる。
 土埃を立ててリトルラプターに騎乗したゴブリン迫ってくる。
「抜刀!」
 ゴブリン程度ならどうにかなるだろう、と考えいたのだが……。
 ハンター達に向けて騎射を始めるゴブリン。
「ふん、そんなもの聞くものか……っ!?」
 自慢の前身鎧に突き刺さる矢。
 よく見れば――それは鉄でできた矢だ。
「盾を構えろ!」
 身の程より大きい盾を構えて護りに入るハンター達。
 だが――。
 より一層、大きな音が響き渡る。
 それは――オークであるからこそ可能な強弓による射撃だ。
 杭のような矢がハンター達に向かって飛んで来る。
 スキルを使いながら身を守るハンター達――だが。
「がっ……」
 スキルも切れ、盾も役に立たなくなった女性のハンターが敵の矢に殺される。
 ここまでならまだ彼等は撤退だできただろう――だが。
「あたしもいるんでね」
 いつもの拳銃と鉈を装備していないアリシアがやってくる。
 身を守っているハンター達に対して掌底等体術を使って内側からダメージを与える攻撃を繰り出す。
「硬い殻をまとっていても中身が脆弱なら意味が無い」
 こうして『銀の盾』のハンター達は全滅した。
「騎士の時代は、もう終わりだ」
 そして、アリシア達は新しい武器を手に入れることに成功した。
 ●
「……これで、ついに……」
 アリシア念願かなっての行動が取れる。
 それは――リーナ・ブルゲドが暮らす居留地への侵攻とリーナの捕縛。
「待ちに待ったこの時……」
 アリシアはリーナを自分のモノにするためにここまでやってきた。
 度重なるハンター達による撃退。
 それに対抗するための戦力としての『軍団』。
「ふふふ……これで、あの子豚ちゃんを美味しくいただける」
 ハンター達に勝利する様子を思い浮かべるアリシア。
「でも――」
 また、奴らに邪魔されるかもしれない――そう思うとイライライし始める。
「でもこれだけあれば――」
 その苛立つ気持ちを行軍する『軍団』を見て落ち着きを取り戻す。
 完全武装し赤揃えの装備を着たゴブリンやオーク達。
 アリシアの影響もあるのか歪虚にのまれているゴブリンやオーク達。
 その為、一般的なゴブリンやオークとは様子が違う。
 それらがリーナのブルゲド族の居留地へ向けて進軍していた。
 その数は先遣隊だけでも多い、増援を含めると膨大だ。
 
 一方。
 ブルゲド族 居留地
「皆さんよろしくお願いします」
 リーナ・ブルゲド(kz0039)がハンター達へ依頼の説明をしているところだった。
 秋ということもあり、狩猟する地域の雑魔の掃討を依頼したのだ。
 変わること無く続くいつもの日常。
「じゃあ、私達も行きましょう」
「はい、お嬢様」
 リーナもアラウ・チューとともに雑魔の掃討をハンター達とともに行うのだ。
 しかし――。
 遠くから聞こえる、ドラムを叩くような音――聞き慣れない音楽が聞こえてくる。
「ん? これ、英国擲弾兵じゃないか?」
 たまたま、観光にやってきたリアルブルー出身の一般人が答える。
 辺境観光の観光客を泊めることもままあるのだ。
「なんですかそれ?」
 疑問に思ったリーナが聞く。
「リアルブリーにあるイギリスっていう国の軍隊の行進曲だよ。こんな所で聞けるとはね」
 それからすぐに――
「敵襲だ!」
 こちらへ向かってくる『軍団』。
 整然と行進して赤で統一された装備をした集団。
「レッドコートの真似事かな? あれほど行軍できるのは練度も高そうだ」
 呟く一般人。
「急いで居留地を護らないと!」
 駆けていくリーナ。
 父は男衆とともに狩りに出て不在だ。
 居留地防衛のために残されたブルゲド族の戦士は40人とチュー族の10人。
 そして――この場に居合わせたハンター達8人だ。
 
 はたして無事に居留地を守りぬくことができるのか。
 
 それは――ハンター自身に委ねられている。

リプレイ本文

 ● 戦闘準備
 「死体が一匹で来ようが軍隊で来ようが俺様ちゃん的にはどっちでもいいじゃーん」
 相変わらず緊張感の欠片もないバトルジャンキーのゾファル・G・初火(ka4407)。
 最近ウォーモンガー的な素養にも目覚めつつあるような無いような感じできわめて自然な、むしろ近所に散歩にでも行くような気楽さで現われた。
 そんなゾファルは特に作戦もなく、作戦そのものは味方に任せている。
 ゾファル自身はただひたすらに剣を振り回すのが楽しい。
 現われた敵に対してざわめくブルゲド族やチュー族の人々。
「皆さん、聞いて下さい」
 アルファス(ka3312)が皆を集めて作戦の説明を行う。
「右翼は――」
 右翼にはブルゲド族の戦士10名、チュー族の戦士、アルファスが布陣と言うか形になる。
「左翼には――」
 左翼にはブルゲド族の戦士とリーナで30名、アルファス以外のハンター達。
 布陣の説明をするアルファス。
「それから――」
 アルファスは布陣後の動きを説明する――どう動くべきか。
 そんな説明を聞き流しているようで要所を抑えているゾファルだった。
「……」
 (彼女の有り方に憤りを感じる、私の在り方を嘲った彼女の言葉に殺意が湧き上がる……)
 説明を受けている中で、じっとアリシアがいるであろう方向に目を向けているのはマーゴット(ka5022)だ。
「……殺したい」
 (理由ははっきりとは言えない。だけど、彼女の在り方を認めてはいけないと私の中の何かが告げる。だから、出来る事ならここでアリシアを……彼女をここで殺したい)
「……どうしよう」
 (いやいやいやルーキーもルーキーの私が相手にするレベルの軍勢じゃないでしょ!)
 説明と敵の軍勢をみて焦りに焦りまくっているのはソフィア・フォーサイス(ka5463)。
 いつもは好奇心旺盛で純真無垢でテンション高めなソフィアもこの現状には驚きだ。
 (ゲームでいったらレベル1でラスボスに挑むのに近いでしょ!
うわー……マジかー……死んだらお姉ちゃんに怒られる。死ねない。なんとしてでも帰る。はぁー……)
 初依頼でこんな事になってしまったソフィア――彼女は何処まで出来るのだろうか。
「よしっ、やるかっ」
 前向きに考えるソフィアだった。
「厄介な敵です……が負ける訳には行きません。行きましょう。勝利を掴むのは我々です」
 説明を受けているシルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)。
 現状が困難な状況であるにもかかわらず前向きだ。
 それは今までの実績故かそれとも――。
「すごいことになったなぁ…」
 (俺みたいな素人コックががこんな合戦だなんてなあ、後はリーナ嬢だが、見た感じは解消……今のところは封じ込めちゃいるが、ひょんなところから再発しかねるのもなあ)
 説明を聞いていた大変なことになったと感じているリカルド=イージス=バルデラマ(ka0356)。
 リーナの様子を見てトラウマだったことについて心配をしていた。
「討ち果しても居留地を護れねば……!」
 守原 有希弥(ka0562)は迫りつつある敵の軍勢と味方の解説を聞いて、最悪事態――敗北して敵にブルゲド族が蹂躙される事を想像して気合を入れる。
「ボクらが居たのが運の尽きってね。さて食い散らかすぞ……」
 説明を聞いきながらじっと敵陣を見ているミリア・コーネリウス(ka1287)。
 多大な敵に対しても負けぬ気概で立ち向かおうとしている。
 様々な想いを載せて戦闘準備が行われる。
 ● 戦闘序盤
 両軍とも布陣が終わる――アリシア達の『軍団』は余裕を持っているのかハンター達の布陣を待っていた。
 互いの陣の間には緊張感が走る。
 そして――。
 何方か先の動いたのか――突如として戦闘が始まる。
 左翼陣営。
「敵の弓兵の動きを阻害します」
 回避運動を取りながら魔導バイクに乗車して接近するシルヴィア。
 ジグザグに動いたり、速度に緩急をつけながら接近を行う。
 無論、それに対して敵の弓兵も矢の雨を降らしてくる。
 全て回避と行かず、ダメージを受けてしまう。
 シルヴィアの『アサルトライフル「ヴォロンテAC47」』の射程は20SQ、対して敵の弓兵は最大で80SQ。
 敵弓兵に対して攻撃をかけているのはシルヴィア以外にもいるが魔導バイクの機動力と言えども接近は非常に厳しい。
 途中、弓兵部隊を守る等に展開するオークファイターと接敵。
 銃撃してこれを排除しようとするシルヴィア。
「いやー人気者だなあの子も、出待ちのファンがたくさんいるな、さて丁重にお帰りいただこうか」
 リカルドはバイクに乗車して左翼の外側に布陣しているゴブリンライダーに接近しようとする。
 一部、弓兵からの攻撃を受けるがゴブリンライダーへの接近に成功する。
 接近したリカルドはゴブリンライダーに対して『チャージング』を用いて足元に対して攻撃を行う。
 リカルドの『試作振動刀「オートMURAMASA」』によって脚を斬られて落ちるゴブリン。
 速度が乗った状態での落下の為、致命的なダメージを受けるゴブリン。
 混戦となるリカルドとゴブリンライダー。
 おかげで敵陣のゴブリンライダーの陣形が崩れる。
 突破口を開こうともう一度『チャージング』を行い、攻撃をするリカルド。
 混乱した敵に対して攻撃をかけていってゴブリンアーチャーまでの突破口を作ろうとする。
「弓兵をどうにかする前に騎兵をどうにかしないといけませんね」
 守原はリカルドと同じくゴブリンラーダへ向けて突撃を開始。
 蛇行しながらゴブリンライダーへ向かう。
 リカルドと同じく、一部の弓兵から攻撃を受けるもゴブリンライダーへの接近に成功する。
「騎手は重装だが馬具がない! 狙い目です!」
 『デリンジャー』と『絡繰刀「紫電」』でリトルラプター狙いで攻撃を繰り出す守原。
 リカルドも攻撃している事もあり、混乱した敵を次々と攻撃していく。
「落ちた敵はお願いします!」
 落下した敵に対してはブルゲド族の戦士に頼みでとどめをさしてもらう。
 魔導バイクに乗車してブルゲド族の斉射と共にゴブリンライダーへと突撃するマーゴット。
 斉射とともに突撃したことによりゴブリンライダーへの接近は難なく行けた。
 先行しているリカルドや守原にお陰でゴブリンライダー達は混乱している。
 マーゴットは『試作雷撃刀「ダークMASAMUNE」』で一体ずつ確実に倒しながら一撃離脱を繰り返す。
 刀を振りかざし、防具のつけていないリトルラプターを狙い、落馬したゴブリンを確実に仕留めていく。
 そうやってゴブリンライダーを攻撃し続ける。 
「オークの弓が厄介だな……」
 オークアーチャーに向かってゴースロンに騎乗して向かうミリア。
 ブルゲド族の弓騎兵30名がゴブリンアーチャーに対して攻撃を行っているとは言え、正面からの突撃は敵からの手痛い反撃を受ける。
「鬱陶しいな……」
 正面を護るゴブリンファイターと戦闘に入るミリア。
 シルヴィアも戦闘を行っている。
 『グレートソード「テンペスト」』を振りかざして攻撃を行う。
「魔法か厄介だな」
 攻撃するミリアに対してゴブリンマジシャンによる魔術攻撃が飛んでくる。
 ミリアは『突撃魂』で威力を増して『薙ぎ払い』でゴブリンファイターをなぎ払う。
 グレートソードが敵の胴体へと当たり、横一文字に真っ二つにする。
 そのままの勢いで隣のゴブリンの胴体も叩き斬っていく。
 ミリアの薙ぎ払いによってゴブリンファイターに甚大な切肺を出して行く。
 目指すはオークアーチャー――まだ先は長い。
「今です!」
 アルファスは右翼で指揮をとっていた。
 右翼のブルゲド族の弓騎兵は妨害重視でゴブリンアーチャーに対して射撃を行っていた。
 左翼のブルゲド族の弓騎兵も攻撃を開始する。
「ここで放ちます」
 アルファス自身は盾を構えて防御しながら右翼のゴブリンライダーに対して『ファイアスローワー』を放つ。
 扇状に炎の破壊力の持ったエネルギーが敵を襲う。
 範囲に収まった敵は一溜まりもなかった。
 炎のエネルギーによって致命的なダメージを受けて倒されていく。
「残敵を掃討します」
 続けて『デルタレイ』を放つアルファス。
 三本の光が其々、残った敵を襲う。
 一体のリトルラプターの脚を吹き飛ばす。
 さらにもう一体の騎乗していたゴブリンの頭部を吹き飛ばす。
 最後の一体のリトルラプターの胴に当たり落下するゴブリン。
 続けてゴブリンライダーに攻撃をするアルファス。
 ゾファルは――。
 開戦と同時に重装馬でゴブリンライダーへ向けて突撃を開始する。
 シルヴィアやミリアと同じく正面からの突撃。
 同じようにゾファルも弓兵による攻撃を受けることになる。
 一気に加速したりして着弾のタイミングをずらすように回避行動を取るゾファル。
 回避するための行動をとってはいるもののダメージは免れない。
「邪魔じゃーん」
 ゾファルもまたシルヴィアとミリアと同じくゴブリンファイターとの戦闘に入る。
 『チャージング』で威力を増した『薙ぎ払い』で『ギガースアックス』によって攻撃する。
 薙ぎ払われるゴブリンファイター達。
 勢いのついた大斧がゴブリンの胴体を次々と切り裂いていく。
 纏めて敵を肉塊へと変えていく。
「がんばるっ」
 左翼から皆とともに突撃するソフィアは『シールド「フンケルン」』を斜めに構えながら突っ込んでいく。
 正面からの突撃の為、敵からの攻撃にダメージを受ける。
 ゴブリンアーチャーへと突撃したかったが、途中、ゴブリンファイターに妨害される。
「やあっ!」
 そのままの勢いで馬から飛び降りて『試作雷撃刀「ダークMASAMUNE」』で『疾風剣』を放つ。
 一気に間合いを詰められて貫き斬り敵を倒す。
 ソフィア以外にもシルヴィアとミリアもゴブリンファイターと戦闘している。
 ソフィアは『円舞』を使用して円を書くように体さばきで攻撃をする。
「死にたくないっ!」
 刀を振りかざし敵に斬りかかり、ダメージを与えるソフィア。
 首を刎ねられて倒されるゴブリンファイター。
 飛んでくる矢や攻撃には盾を使って防ぐ。
 混戦の中でソフィアは的にダメージを与えている。
 ● 戦闘中盤
「こんなところかな……」
 ゴブリンライダー相手に突破口を開けるべく戦闘していたリカルドはついに突破口を開けることに成功した。
 チャージングでオークアーチャーに突っ込むリカルド。
 オークアーチャーの足や手首、顎の付け根を狙って攻撃をする。
 リカルドの攻撃で弓が番えなくなったオークアーチャーに対してバイクから降りたリカルドは喉や顎下を突き上げて脳を破壊する攻撃を繰り出す。
「亞人は構造的には人間に近いから、手間かからなくていいんだよな」
 リカルドは同じようなやり方でオークアーチャーに対して攻撃を行い倒していく。
 周りの味方もオークアーチャーに攻撃しているようだ。
「時間稼ぎは大変だ」
 二刀を構えてアリシア本隊へ向かうリカルド。
 蟷螂型雑魔に対してリカルドは低い姿勢で同じ場所に留まらず、膝の部分を斬りつける攻撃をする。
 蟷螂型雑魔の姿勢が下がったら一気に首筋を斬り付けて攻撃をして倒す。
 位置取りに気をつけながら鎌に対して刀で防御しながら攻撃をする。
「ここまで来たとは元気がいいねぇ」
 蟷螂型雑魔と戦闘しているリカルドの前に現れるアリシア・ジーナス。
「勝てる気しねえが、まあ、何とかするしかねえな」
「そうかい? なんとか出来ればいいけどねっ!」
 『衝撃波』を顔面に打ち込もうとするリカルド。
 それを回避するアリシア。
「猫騙しかしら?」
「っち」
 拳銃サイドに回りこみアリシアの手首を狙うリアカルド。
「そうやすやすと狙わせないよ!」
「ふんっ」
 もう一方の手でアリシアの喉元や肘、膝を狙って攻撃する。
「へぇ、やるね」
「はぁっ」
 リカルドの攻撃に対して回避しながら、攻撃の合間に鉈で斬りかかるアリシア。
 剣撃の音が響き渡る。
「本気でいかせてもらおうかしら」
 体術を使ってリカルドへ攻撃するアリシア。
 リカルドは攻撃してくるアリシアを斬りつけようとする。
 双方、互いの攻撃を回避する。
「やっと近づけました」
 ゾファル、ミリアとソフィアと共にゴブリンファイターを排除したシルヴィア。
 敵の猛攻の中を魔導バイクで移動していた。
 銃の射程にゴブリンアーチャーを捉えて『制圧射撃』を行って行動を阻害を継続的に行う。
 これにより、ゴブリンアーチャーによる攻撃がだいぶ減ることになる。
「今までのお返しです」
 そして、ゴブリンアーチャーに対して銃撃して攻撃を行うシルヴィア。
 精強といえども初戦はゴブリン――シルヴィアの放つ鉛弾を受けて倒されていくゴブリンアーチャー。
 接近するのが難しかったのがウソのように銃撃して敵を倒していく。
 火を吹いた銃から飛び出す鉛弾はゴブリンアーチャーの武具を貫き致命的なダメージを与えて倒す。
「オークアーチャーは厄介ですね」
 ある程度ゴブリンアーチャーを排除したシルヴィアはオークアーチャーに対して銃撃を開始する。
 遠くではリカルドがオークアーチャーを攻撃しているのが見える。
 回りではミリアがゴブリンアーチャーを叩ききっている。
 アルファスも攻撃をしている。
 オークアーチャーに銃撃を浴びせるシルヴィア。
 さすがのオークもリアルブルーの銃器という兵器の前では無力だった。
「さぁ、排除していきましょう」
 頭部を狙われて崩れ落ちるように倒されるオークアーチャー。
 次々と敵を屠っていく。
 そうしているうちに、アリシア本隊を射程に捕らえることになった。
「出来れば……アリシアを狙いたいですが……」
 リカルドと戦闘中で狙うのは無理そうだ。
 回りの蟷螂型雑魔に対してて攻撃を行う。
「こいつを放っておけば、後続に被害が出る。なんにせよ出会ったからには背中は見せられない……いくぞ」
 ゴブリンファイターを掃討してゴブリンアーチャーと対峙するミリア。
 シルヴィアの制圧射撃のおかげで行動が阻害されている。
「ボクの剣を受けて無事で済むと思うなよ」
 大剣を振りかざして斬りかかるミリア。
 その時、突撃魂で威力を上げて薙ぎ払いを放つ。
 大剣が横薙ぎにゴブリンアーチャーを襲い、次々と胴体を真っ二つにする。
 薙ぎ払われた場所には横に真っ二つにされたゴブリンの躯があるだけだ。
 止まること無く、ミリアは攻撃を繰り替えず。
 その度に、敵が肉塊へと変わっていく。
 回りもゴブリンアーチャーを攻撃しているのか姿を見かけなくなる。
「厄介なオークアーチャーだな」
 オークアーチャーへと接近したミリアはシルヴィアの射線に入らないようにオークアーチャーに対して攻撃を開始する。
 多少頑丈なオークといえども、勢いをまして放つミリアの薙ぎ払いの前では無力だ。
「どうだ、ボクの剣は」
 薙ぎ払い攻撃によりオーク達の胴体に深い傷を負わせて倒すミリア。
 隣では喜々として大斧を振り回しているゾファルがいる。
 こうして、オークアーチャーへの攻撃を続けているとアリシア本隊が見えるようになる。
「足止めはいいが別に倒してしまっても構わないだろう?」
 (逃がしてまた軍を編成されてもたまらんしな)
 リカルドと戦闘しているアリシアへと向かうミリア。
「あら、新しいお客さんね」
 リカルドと戦闘していたアリシアはこちらに近づいてくるミリアに気がついた。
「あんた、俺と戦ってるんだろ」
「飽きたわ、替わりましょう」
 リカルドの前にアリシアが呼び出した蟷螂型雑魔が現れて前を塞いで邪魔をする。
 リカルドの邪魔をしている隙に移動するアリシア。
 リカルドから離脱してミリアに襲いかかる。
「ボクは飽きさせないよ」
 鉈の攻撃を大剣で受けるミリア。
 リカルドに背を見せないように距離をおきながらミリアと打ち合うアリシア。
「やっとですね」
 なんとかゴブリンライダーを掃討したアルファスはゴブリンアーチャーへ向けて移動する。
 シルヴィアの制圧射撃で敵の動きが弱っている隙に接近するアルファス。
「……やりますか」
 シルヴィアやミリアとゾファル、ソフィアに気をつけながらファイアスローワーを放つアルファス。
 扇状に広がる炎の破壊エネルギーがゴブリンアーチャーを襲う。
 範囲にいたゴブリンアーチャーに深いダメージを与えて倒す。
「まだまだですね」
 デルタレイを放ちゴブリンアーチャーを攻撃する。
 頭部に命中しそのまま砕く一撃。
 胴体に当たり、深手を負わせて倒す。
 脚へと当たり倒れこむ敵。
 次々とデルタレイを放ちゴブリンアーチャーを掃討していくアルファス。
 味方の攻撃もあり、掃討されるゴブリンアーチャー。
「一番の脅威ですね」
 他の仲間たちと共にオークアーチャーと対峙するアルファス。
 他の仲間と連携しながら攻撃を開始する。
 初手はいつものようにファイアスローワーを放ち扇状に攻撃する。
 近接されたオークアーチャーは近接攻撃手段を持っていなかったので脆かった。
 反撃を許さず放たれたファイアスローワーによりダメージを受けるオークアーチャー。
「撃ち漏らしたのを攻撃ですね」
 他の仲間とともにデルタレイで撃ち漏らした敵に攻撃を行う。
 三条の光が敵を襲う。
 頭部へと当たり飛ばされるモノ。
 胴体へと当たり、深い傷を負わせてダメージを受ける敵。
 番えていた腕をやられて吹き飛ばされて攻撃できなくなった敵。
 続けて、デルタレイを放ち敵へ止めを刺す。
「敵の魔術師部隊は健在ですね」
 アリシア部隊へと向かう味方とは別にまだ健在なゴブリンマジシャンへ向けて突撃するアルファス。
 構えた盾で攻撃を防ぎながら、ファイアスローワーを放つ。
 すべての敵を捉えたわけではないが、多くの敵を炎の破壊エネルギーが捉えてダメージを与える。
「厄介ですね」
 飛んでくる魔術を盾で防ぎながらデルタレイを放つ。
 アルファスを狙う残ったゴブリンマジシャンへ光が襲う。
 胴体に当たり物言わず絶命する一体。
 脚を吹き飛ばされ絶叫と共に倒れるもう一体。
 持っていた杖ごと腕を吹き飛ばされて倒れこむ最後の一体。
 瀕死のダメージを受けたゴブリンマジシャンに止めを刺しながらデルタレイを放つ。
 アルファスは敵を蹂躙していた。
 一方、ゾファルは。
 ゴブリンファイターを蹂躙し尽くしたゾファルはオークアーチャーに対して側面から突撃する。
 すでに味方もオークアーチャーとの戦闘に入っていたためタイミングよく側面を突く突撃をすることが出来た。
「十歩一殺じゃーん」
 大斧を馬上で振り回してオークアーチャーへ振りかざすゾファル。
 振りかざす度に敵の首を刈り取ったりと大暴れする。
「一気にいくじゃーん」
 チャージングで勢いを増して薙ぎ払いで大斧を振りかざす。
 薙ぎ払いの範囲にいたオークアーチャーの胴体に致命傷を与えて次々と倒していく。
 オークアーチャーを一通り蹂躙するとアリシアへ向かわずにゴブリンライダーへ向かっていく。
 ゾファルは敵を蹂躙し続けることにしたのだ。
 『衝撃波』を放ち、ゴブリンライダーを落下させつつ、チャージングからの薙ぎ払いを放つ。
 大斧を振り回してリトルラプターに騎乗しているゴブリンを叩き落としていく。
 ゾファルによってゴブリンライダーが蹂躙されていく。
 ソフィアは――。
 ゴブリンファイターをこえてゴブリンアーチャーを相手にしていた。
「弓兵相手なら近づけばっ!」
 近接装備のないゴブリンアーチャー相手に斬りこんでいくソフィア。
 周りの味方も戦闘をしている。
 動き続けながら止まらないように敵に対して攻撃を続ける。
 袈裟懸けに斬りかかり胴体に致命的なダメージを与えて倒したり。
「やられる前に倒せば、死なないっ!」
 疾風剣を使って攻撃しつつとっさに移動したりするソフィア。
 ゴブリンアーチャー相手に仲間もいることで圧倒していく。
 一通り、ゴブリンアーチャーを倒すとゴブリンマジシャンの方へ向かうソフィア。
「うひゃあっ!」
 盾を構えてゴブリンマジシャンの魔術から身を守るソフィア。
 疾風剣で敵へ接近し一撃を入れる。
 斬り伏せられるゴブリンマジシャン。
「最初に辛い事を経験しておけば後で今後何があっても頑張れるって言うけど……!! もうちょっと優しいのが良かったな……!!」
 敵の懐に入った円舞を使いながらゴブリンマジシャンへ斬りかかる。
「でもすっごいヤバい状況だけど楽しくなってきた!!」
 多数のマジシャン相手に剣を振りかざして斬りつけていくソフィア。
 無双状態までとは行かないが、動き回りながら相手の間を縫うように、舞うようにしながら攻撃を続けていく。
 ● 戦闘終盤
 形勢はハンター側へと傾きつつあった。
 ここで敵陣を崩すべき1つの策がなされた。
「私はブルゲド族、族長の娘! リーナ・ブルゲド!」
 リーナが名乗りを上げることで敵陣の陣形を崩そうと言うのだ。
「……行かなきゃ」
 ゴブリンライダーを相手していたマーゴットはアリシアが来ることに備えて移動する。
 一方。
「……子豚ちゃんのようね」
 リカルドとミリアを相手していたアリシアにリーナの名乗りが聞こえた。
「ボクから逃げるのかい?」
「俺達が相手だ」
「本来の目的を果たせて貰うよ」
 リカルドとミリアの前にアリシアが呼んだ蟷螂型雑魔とゴブリンマジシャンが二人のまえに立ち塞がる。
 敵に邪魔をされる二人――その隙にアリシアは動いた。
 リカルドとミリアに目もくれず、アリシアはリーナの方へ向かう。
 そして――邂逅。
 因縁の二人のマーゴットとアリシアのお互いが向き合う。
「殺す……不要な犠牲を増やさない為に、これ以上……私の在り方を否定させない為に」
「あんたのあり方を否定? いつ否定したのかい?」
 互いの剣戟を鳴らして打ち合う。
「私は! 私の手で命を奪った時、相手の顔を忘れないようにしている! アリシアはそれを否定した!」
「あぁ、『パンの数』の事ね。結局の所、殺したいから殺したいのでしょ? 現にあんたは自分を否定されたくないからあたしを殺そうとしている!」
 刀と鉈、鍔迫り合いをしてお互いが近くなる。
「違うっ!……アリシアのあり方を認めてはいけないと私の中の何かが告げるから……」
「何が違うんだい! 結局はあんたのエゴなんだよ!」
 鍔迫り合いから一旦離れる二人。
 互いに獲物を構えて見据えている。
「違うっ! 私はアリシアと違う! 飢えを満たす為に殺す事はしない……っ」
「くっ!」
 一瞬の隙を見てマーゴットの放った一撃がアリシアの腕に大ダメージを与える。
 ダメージを受けた腕をかばいながら距離を取るアリシア。
 隙を見計らうようににじり寄るマーゴット。
「っつ……いいや違わないさ! あんたはあんたのエゴのために人を殺してきた! 思い出すがいい! 殺した相手の血のぬくもりを! 手の中で命が抜けるその瞬間を!」
「違う! 違う!!」
 絶叫にも似たマーゴットの言葉とともにフラッシュバックする記憶。
 忘れていたナニカが濁流のようにマーゴットを襲う。
 ショックのあまりにへたり込んで涙を流すマーゴット。
「私は違う……私は違う……」
 幼子のように否定する言葉を続けるマーゴット。
「いいや、違わないね! あんたは私だよ!」
 容赦なくへたり込んだマーゴットに攻撃を仕掛けるアリシア。
 なぶり殺しに近い状況になろうとしたが――。
「そこまでだ!」
 アルファスのデルタレイがアリシアへ向かってくる。
「ッチ!」
 アルファスのデルタレイを回避したアリシア。
 マーゴットは想い人のマテリアルにより戦闘不能は免れたが重体となった。
 アルファスは傷ついたマーゴットを抱えて後退していく。

 後退するアルファス達を一瞥してリーナの方へ視線を向けるアリシア。
「それじゃあ、メインディッシュと生きましょうかね」
 マーゴットによりダメージを受けた腕をかばいながらリーナの方へ向かうアリシア。
 其処には守原がいた。
「また、お前か!」
「リーナさんはうちが守ります!」
 『絡繰刀「紫電」』を構えてアリシアと対峙する守原。
「ええい鬱陶しい!」
 鉈を納刀して体術で攻撃するアリシア。
「種も解らぬなら其の侭死ね」
 アリシアの打撃を回避する守原。
「ちょこまかと! お前さえいなければ!」
 ちらりと後方を気にするアリシア――『軍団』は壊滅寸前だ。
 アリシアに焦りが生まれる。
「せいっ!」
 アリシアが焦った隙に至近で刀で攻撃する守原。
「ぐうっ!」
 無事だった腕で守原の攻撃を受けるが祈りのマテリアルの力で大ダメージを受ける。
「ッチ、またこの展開か」
 両腕を諦めたアリシアは足技で守原を攻め立てる。
「惚れた人の前だと人間は強いのさ!」
 それを避ける守原。
 守原とアリシアの攻防は膠着状態へとなっていくが――。
「……時間のようだね」
 『軍団』を掃討したと思われるハンター達がこちらへと向かってきているのが見える。
 そして、居留地襲撃を知らされたブルゲド族族長以下男衆達の100名以上の集団も近づいてくるのが見えた。
「あたしは絶対に諦めない! そして、お前を倒してソイツを手に入れてやる! 絶対にだ!」
 そう言うと全速力で撤退するアリシア。
 こうしてブルゲド族の居留地に訪れた危機はハンター達とブルゲド族、チュー族との連携により助かった。
 そして、祈りによるマテリアルの力がなければ更に苦戦していただろう。
 ● 戦いが終わって
 治癒を受けている戦闘し参加者たち。
 ブルゲド族もチュー族も負傷はすれど重体者は出なかった。
 だが、その中で一人だけ重体を負ったハンターがいた。
 マーゴットだ。
 奇しくもアリシアに大ダメージを与えることが出来たが……。
「私は……違う……」
 虚ろな目でうわ言のように呟くマーゴット。
 アリシアとの戦闘で心身ともに重大なダメージを受けた。
 回りの他のハンター達はそんな様子のマーゴットを心配そうに見ている。
 身体は癒せるかもしれない、だがマーゴットの心は……。
 掛ける言葉のないハンター達であった。
 
 こうして、居留地に被害を出さずに護ることが出来た。
 一人の少女の犠牲により。
 
 ブルゲド族の危機 Fin

依頼結果

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MVP一覧

  • 渾身一撃
    守原 有希弥ka0562
  • 《聡明》なる天空の術師
    アルファスka3312
  • 元凶の白い悪魔
    マーゴットka5022

重体一覧

  • 元凶の白い悪魔
    マーゴットka5022

参加者一覧

  • 凶獣の狙撃手
    シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338
    人間(蒼)|14才|女性|猟撃士
  • ……オマエはダレだ?
    リカルド=フェアバーン(ka0356
    人間(蒼)|32才|男性|闘狩人
  • 渾身一撃
    守原 有希弥(ka0562
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • 《聡明》なる天空の術師
    アルファス(ka3312
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 元凶の白い悪魔
    マーゴット(ka5022
    人間(蒼)|18才|女性|舞刀士
  • 無垢なる黒焔
    ソフィア・フォーサイス(ka5463
    人間(蒼)|15才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/09/20 21:11:42
アイコン 防衛戦質問所
守原 有希弥(ka0562
人間(リアルブルー)|19才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/09/21 23:59:55
アイコン 防衛戦相談所
守原 有希弥(ka0562
人間(リアルブルー)|19才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/09/23 02:44:44