ゲスト
(ka0000)
花の旅・カランコエ
マスター:水貴透子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/05 19:00
- 完成日
- 2015/10/11 23:46
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
カランコエ……花言葉・あなたを守る
※※※
「初めまして。私はアイリス・フラワーと申します」
「今回はハンターの皆様に是非お願いがあって参りました」
花の香りをまとった彼女は、ハンターに是非同行してほしい場所があるのだとか……。
「私、実は旅をしておりまして、行く先々で花を植えているのです」
「今回も、とある施設に花を植えに行くはずだったのですが……雑魔がいるそうで、植えられません」
「その施設の人々も避難しておりまして、雑魔を退治して下さるとみんな施設に戻ってくることもできます」
「どうか、施設にはびこる雑魔退治の依頼を受けて頂けませんか?」
そういって、彼女は丁寧に頭を下げた。
「私には雑魔と戦う力はありません」
「こうして、花を植え、誰かの癒しになれば――……と思い、旅をつづけています」
「報酬はあまり多く出せないのですが、宜しくお願い致します」
にっこりとほほ笑む彼女に、案内人はオフィスに新しい依頼を貼りだしたのだった。
※※※
「初めまして。私はアイリス・フラワーと申します」
「今回はハンターの皆様に是非お願いがあって参りました」
花の香りをまとった彼女は、ハンターに是非同行してほしい場所があるのだとか……。
「私、実は旅をしておりまして、行く先々で花を植えているのです」
「今回も、とある施設に花を植えに行くはずだったのですが……雑魔がいるそうで、植えられません」
「その施設の人々も避難しておりまして、雑魔を退治して下さるとみんな施設に戻ってくることもできます」
「どうか、施設にはびこる雑魔退治の依頼を受けて頂けませんか?」
そういって、彼女は丁寧に頭を下げた。
「私には雑魔と戦う力はありません」
「こうして、花を植え、誰かの癒しになれば――……と思い、旅をつづけています」
「報酬はあまり多く出せないのですが、宜しくお願い致します」
にっこりとほほ笑む彼女に、案内人はオフィスに新しい依頼を貼りだしたのだった。
リプレイ本文
●花を植えるために
「皆様、今回はどうぞよろしくお願い致します」
アイリスは同行してくれるハンター達に深く頭を下げて挨拶をした。
「カランコエ……あなたを守る、か。素敵な花言葉、でも覚悟の要る花言葉、ね――……あたしは……誰を、何を、護りたいんだろう」
ケイ・R・シュトルツェ(ka0242)は自嘲気味に呟く。
「花を植えての旅……目的地、最終地点の無い旅になりそうですね、如何して花を植えて回るようになったのですか?」
ユキヤ・S・ディールス(ka0382)がアイリスに問い掛ける。
「雑魔がはびこる世界だからこそ、誰かの癒しになればと思って旅をしています」
「……アイリスさんの、アイリスさんにとっての、癒しは……?」
誰かのためにばかり行動するアイリスに、ユキヤが問いかけると「私は今の状態が癒しですよ」と柔らかな笑顔と共に言葉を返した。
「花に興味のない方が少しでも興味を持ってくれる、名前も知らない花だけど綺麗だなって思ってもらえる……それだけで、私は充分なんです」
「へぇ……」
アイリスの言葉に反応を示したのは、ザレム・アズール(ka0878)だった。
「満開の花を想像すると心が和むな、この仕事が終わったら植えるのを手伝ってもいいかな?」
「それはもちろん……! ありがとうございます!」
ザレムの言葉に、アイリスは嬉しそうに手を叩いて喜んだ。
「私、あなたの考えは好きよ――というか、ママも花を好きで植えていたわね。そのことを思い出したから、今回の依頼を受けたんだけど」
カーミン・S・フィールズ(ka1559)がニコニコと笑顔で話しかける。
「貴方のお母様も花が好きだったのですね、ふふ、なんだか私も嬉しいです」
「施設には雑草も伸び放題なのでしょうね」
イスタ・イルマティーニ(ka1764)はにっこりと意味深に微笑みながら呟く。
「……雑草ですか? いえ、そこまではわかりませんけど……」
アイリスが目を瞬かせていると「ふふっ」とイスタは笑みを深くする。
「雑魔も花壇にはびこる雑草と思えば易いものですわ。アイリス様が無事に花を植えられるよう、施設周囲の雑魔はお任せください、その代わり――……素敵な花を植えてくださいね」
イスタの言葉に、アイリスは嬉しそうに微笑んだ。
「わたくし、多少は園芸の心得がありますので、花を植えるお手伝い致します」
古川 舞踊(ka1777)が優雅に微笑みながら問いかける。
「ありがとうございます、ふふっ、いつもはひとりで植えていたので今回は植えるのがとても楽しみです」
「わ、私にも手伝わせてください……!」
ミオレスカ(ka3496)も勢いよく手を挙げながら立候補をする。
「もちろんです。皆さん、今回はどうぞよろしくお願い致します」
再度頭を下げた後、ハンター達はアイリスを連れて、目的地に向け出発したのだった。
●雑魔退治に向けて
今回、ハンター達は班をふたつに分ける作戦を立てていた。
施設内調査班:イスタ、古川、ミオレスカ、ユキヤの4名。
施設外調査班:ケイ、ザレム、カーミンの3名。
「……ユキヤ、気をつけてね?」
ケイはユキヤに一言告げた後、他のハンターと共に施設内部へと入っていく。
「荒らされた様子はありませんね、雑魔は施設外にいると考えた方がいいのでしょうか……でも、はっきりしないので予想程度に留めておいた方がいいかもしれませんね」
ミオレスカは周囲を見渡しながら、他のハンターに告げる。
「もし、施設内部にいた場合は出入り口を1ヶ所か2ヶ所に絞って、他は閉じた方がいいかもしれませんね……その際は外の方に待ち構えてもらえるように連絡をしますから」
「OK、アイリスはなるべく安全な場所にいた方がいいんだが……雑魔がどこにいるか分からない以上、安全な場所――と言えるのがどこか分からないな、さて、どうしたものか……」
ザレムは口元に手を当てながら、迷うように考え込む。
「出来れば、私も一緒に行っていいですか? 皆さんの傍が一番安全だと思いますし……」
アイリスの言葉にザレムは迷いながらも「……分かった。俺が守るよ」と言葉を返す。
「1匹は確認されてるそうだけど、どんな奴? 雑魔も群れる奴はいるから増えてる可能性はあるかもね」
カーミンが呟き、それぞれ班ごとの行動に移ったのだった――……。
※施設内調査班
「連絡係は任せて下さい! なけなしのお金で『トランシーバー』を購入しましたのっ! 今回の任務で火を噴くような活躍を見せてみますわ!」
トランシーバーを握り締めながら、イスタが呟く。
「ふふっ、張り切っておられるのですね。ですがトランシーバーは火なんて噴きませんよ?」
くすくす、と微笑みながら古川が言葉を返す。
「それに、変わった点は見られませんね。施設内部も荒らされた様子はありませんし……」
古川は周りを見渡しながら呟くと「確かに、変わったところはないですね」とユキヤも頷きながら答えた。
「雑魔がいる、という情報だけで地上型なのか、それとも空を飛んでいるのかも分かりませんね。警戒は強めておくに越したことはありませんけど――……」
ユキヤが呟いた時、付近の窓ガラスを破りながら狼型雑魔が施設内に侵入してきた。
「イスタさん! 施設外にいる皆さんに連絡をお願いします!」
ユキヤが戦闘態勢を取りながら、イスタに言葉を投げかけるけど――……。
「ええっ! わ、分かりました! 施設外でも戦闘中とのことです!」
イスタが答えると同時に、外から銃声が響く。
「……向こうからの救援はアテに出来ない、ということですね」
ミオレスカも武器を構えながら呟く。
「施設内部で暴れると、この後が大変かもしれませんね。まずは外におびき出しましょう」
古川の言葉に、ミオレスカは頷き、施設内部班はそれぞれ雑魔を外に誘導する方向で動き始める。
「逃げられないように、足を奪わせてもらいますよ」
ユキヤは淡々とした口調で呟き『ホーリーライト』を雑魔に向けて放つ。
「『マジックアロー』!」
イスタも『ワンド』を振るいながら、スキルを使用する。
連続で同じ場所に攻撃を受け、雑魔も苦しそうな呻き声をあげる。
「ここは貴方のような雑魔が居ていい場所ではありませんよ、外に出て頂きます」
古川は『リボルバー・ヴァールハイト』で雑魔を撃ちぬき、裏口から雑魔を外へと追い出した。
「……」
ミオレスカはしっかりと狙いを定めて『レイターコールドショット』を使用して、雑魔を狙い撃つ。スキルを使用することで他への被害を最小限にとどめようという、ミオレスカの配慮だ。
ミオレスカの攻撃によって、雑魔は態勢を崩し、そのまま施設内部調査班によって無事退治されたのだった――……。
※施設外調査班
これは、まだ施設外調査班が雑魔と出会う前――……。
「どうやら、雑魔の種類は狼とか、犬――……そういう動物の類と見ていいかもしれないわね」
地面に残された足跡を見て、ケイがポツリと呟く。
「これが1匹と断定はできないけど、空ばかりを見ていては地上型の雑魔から狙われてしまう――……という可能性が出て来たわね」
「そういえば、さっきアイリスは『はびこる』と言ったな」
ザレムが足を止めながら、アイリスに問い掛ける。
「え? はい、施設の方からそう言われていて……すみません、私がもっと詳しく話を聞いて居られれば良かったのですけど」
「いや、アイリスを責めているわけではなく『はびこる』の第一意味は植物が繁茂することを指す。だからもしかしたら、相手は植物系の雑魔であることを示していたんじゃ――……と思ってな」
謝るアイリスに手を振り、ザレムが言葉を返す。
「へぇ、そうなんだ? 私、全然そういうの考えてなかったよ」
カーミンが感心したように言葉を返す。
「――意外と、その考えは当たっているかもしれないわね」
ケイが苦笑気味に地面を指差す。
「何かを引きずったような跡に見えない? まるで蛇のような長い物がずるずると……」
彼女が指差した先にあったものは、長い何かが地面を這った跡。
「うわぁ、気持ち悪い、もしかして本当に植物系なのかな? だとしたら――……」
カーミンが呟いた時、ケイが『ニードルウィップ』でパシンと彼女の背後を打ち付ける。
「な、何?」
「……後ろにお客さんが来ているみたいね、狼や植物でもなく――……」
ケイはやや引きつった笑みを浮かべながら呟く。
彼女につられるように、ハンター達、そしてアイリスが後ろを振り向くと――……。
「緑色の蛇なんて、不気味なだけね。美しくもないし、その醜悪な姿には死がお似合いよ」
そう呟きながらケイは『リボルバー・クラウン』を構えて『レイターコールドショット』を繰り出す。
「はいはい、そっちには逃がさないよー」
ケイの攻撃に雑魔が逃げ出そうとしたけれど、カーミンが『特殊強化鋼製ワイヤーウィップ』で攻撃を繰り出す。
「森の中であれば、植物と見紛うこともあったかもしれないな……だが、こんな場所では騙される奴などいないだろう。アイリス、後ろに下がっていた方がいい」
ザレムは『バーンブレイド』を振り上げ、雑魔に切りかかりながらアイリスに言葉を投げかける。
そして『デルタレイ』を使用して、光が雑魔を貫く。
「ニョロニョロしてて、どこが急所なのかイマイチ分からないな……まぁ、切断面を焼いて再生を防ぎながら斬っていけば、問題はないか」
ザレムは独り言のように呟き、再び『バーンブレイド』に持ち帰る。
「ふふっ、どこを見てるのかな? 私はこっちよ、こっち♪」
カーミンは『瞬脚』を使用して、雑魔の動きを翻弄する。
ハンター達からの攻撃でダメージを受け、既に雑魔の動きは鈍くなっていた。
「さようなら、あなたのいるべき場所にお帰りなさいな」
ケイは妖艶に微笑み、雑魔の懐にもぐりこんですかさず『エイミング』と『高加速射撃』を繰り出して攻撃を行い、施設外調査班の方も無事に雑魔を退治しおえたのだった――……。
●雑魔退治を終えて……。
「ありがとうございます、これで花を植えることが出来ます」
雑魔退治を終えて、周辺の見回りを終えた後、アイリスが深く頭を下げてきた。
「施設の窓が割れたりしちゃったけど、まぁ、修理出来ないこともないし……ねぇ、カランコエ、あたしも一緒に植えてイイかしら? 誰かを、何かを、護るための契機として」
ケイの言葉に「もちろんです!」とアイリスは頷いて微笑む。
「僕も植えさせてください。いつか、あなた自身のための癒しが見つかるように」
ユキヤも優しく微笑みながら、作業の手伝いに入る。
「俺も手伝うよ。花壇もちょっと崩れてるし、力仕事なら任せろよ」
「ありがとうございます」
「花はいつ頃咲くんだ?」
ザレムが質問を投げかけると「開花時期は秋から春らしいのですが……」とアイリスが言葉を濁す。
「けど、環境次第で咲く時期が変わってくるので、はっきりと言うことが出来ないんです。特に、今は花の咲きにくい環境が多いですから……やっぱり花を咲かせるためには土が豊かでないと……」
アイリスは悲しそうに呟く。
恐らく彼女はこうして、今まで何度も植えては咲かなかった花々を見て来たのだろう。
そのことに気づいたのか、ハンター達も返す言葉に困っていた。
「ほらほら、暗い顔してちゃ咲くものも咲かないよ? えぇと、その花の名前は……」
「カランコエ、花言葉は『あなたを守る』です」
カーミンの言葉に、アイリスは微笑みながら言葉を返す。
「カランコエ、か……。母にあの日教えてもらった花の名前も、もう思い出せないような生活をしてるけど……想いの花は思い出として朽ちずに、今も心の裡にある」
カーミンは遠くを見つめながら呟く。言葉は静かだけど、表情はなんだかすっきりしている。
「ふふっ、花は色々なことを思い出させてくれるのですね。わたくしも色々な想いが胸によみがえってきます」
イスタは土いじりをしながら、穏やかな表情を見せて言葉を零す。
「この花が咲く頃、ここにいる人達も笑顔という花を咲かせてくださるといいですわね」
「そうですね、みんなが……その花を咲かせることが出来たら、悲しい思いをする人なんて世の中からいなくなるのでしょうね、いつか……いつか、そんな世界が見たいです」
イスタの言葉に、アイリスが言葉を返す。
ハンターは皆その想いを胸に戦いに身を投じしているのだろう。
「私は花を植えることしか出来ません、皆さんのように戦うすべがあればいいのですけどね」
「そんなことはありませんよ、自分に出来ることを探して、それを実行しているではないですか。だから、あなたは何も悲しむ必要はないと思います」
落ち込むアイリスを古川が慰める。
「そ、そうです! アイリスさんみたいに出来るのって、凄いと思います……! あの、だから、私もこの地に花を植えてもいいでしょうか……? 何か、アイリスさんの手伝いをしたいです」
ミオレスカの言葉に、アイリスは嬉しそうに微笑む。
「私、とてもいいハンターさん達に出会えたのですね。ありがとうございます、皆さんの苦労を無駄にしないためにも、このカランコエ――……絶対に咲かせてみせますから」
その後、ハンター達はアイリスを安全な場所まで送った。
彼女は旅を続けるそうだから、これからももしかしたらどこかで会うことがあるのかもしれない――……。
END
「皆様、今回はどうぞよろしくお願い致します」
アイリスは同行してくれるハンター達に深く頭を下げて挨拶をした。
「カランコエ……あなたを守る、か。素敵な花言葉、でも覚悟の要る花言葉、ね――……あたしは……誰を、何を、護りたいんだろう」
ケイ・R・シュトルツェ(ka0242)は自嘲気味に呟く。
「花を植えての旅……目的地、最終地点の無い旅になりそうですね、如何して花を植えて回るようになったのですか?」
ユキヤ・S・ディールス(ka0382)がアイリスに問い掛ける。
「雑魔がはびこる世界だからこそ、誰かの癒しになればと思って旅をしています」
「……アイリスさんの、アイリスさんにとっての、癒しは……?」
誰かのためにばかり行動するアイリスに、ユキヤが問いかけると「私は今の状態が癒しですよ」と柔らかな笑顔と共に言葉を返した。
「花に興味のない方が少しでも興味を持ってくれる、名前も知らない花だけど綺麗だなって思ってもらえる……それだけで、私は充分なんです」
「へぇ……」
アイリスの言葉に反応を示したのは、ザレム・アズール(ka0878)だった。
「満開の花を想像すると心が和むな、この仕事が終わったら植えるのを手伝ってもいいかな?」
「それはもちろん……! ありがとうございます!」
ザレムの言葉に、アイリスは嬉しそうに手を叩いて喜んだ。
「私、あなたの考えは好きよ――というか、ママも花を好きで植えていたわね。そのことを思い出したから、今回の依頼を受けたんだけど」
カーミン・S・フィールズ(ka1559)がニコニコと笑顔で話しかける。
「貴方のお母様も花が好きだったのですね、ふふ、なんだか私も嬉しいです」
「施設には雑草も伸び放題なのでしょうね」
イスタ・イルマティーニ(ka1764)はにっこりと意味深に微笑みながら呟く。
「……雑草ですか? いえ、そこまではわかりませんけど……」
アイリスが目を瞬かせていると「ふふっ」とイスタは笑みを深くする。
「雑魔も花壇にはびこる雑草と思えば易いものですわ。アイリス様が無事に花を植えられるよう、施設周囲の雑魔はお任せください、その代わり――……素敵な花を植えてくださいね」
イスタの言葉に、アイリスは嬉しそうに微笑んだ。
「わたくし、多少は園芸の心得がありますので、花を植えるお手伝い致します」
古川 舞踊(ka1777)が優雅に微笑みながら問いかける。
「ありがとうございます、ふふっ、いつもはひとりで植えていたので今回は植えるのがとても楽しみです」
「わ、私にも手伝わせてください……!」
ミオレスカ(ka3496)も勢いよく手を挙げながら立候補をする。
「もちろんです。皆さん、今回はどうぞよろしくお願い致します」
再度頭を下げた後、ハンター達はアイリスを連れて、目的地に向け出発したのだった。
●雑魔退治に向けて
今回、ハンター達は班をふたつに分ける作戦を立てていた。
施設内調査班:イスタ、古川、ミオレスカ、ユキヤの4名。
施設外調査班:ケイ、ザレム、カーミンの3名。
「……ユキヤ、気をつけてね?」
ケイはユキヤに一言告げた後、他のハンターと共に施設内部へと入っていく。
「荒らされた様子はありませんね、雑魔は施設外にいると考えた方がいいのでしょうか……でも、はっきりしないので予想程度に留めておいた方がいいかもしれませんね」
ミオレスカは周囲を見渡しながら、他のハンターに告げる。
「もし、施設内部にいた場合は出入り口を1ヶ所か2ヶ所に絞って、他は閉じた方がいいかもしれませんね……その際は外の方に待ち構えてもらえるように連絡をしますから」
「OK、アイリスはなるべく安全な場所にいた方がいいんだが……雑魔がどこにいるか分からない以上、安全な場所――と言えるのがどこか分からないな、さて、どうしたものか……」
ザレムは口元に手を当てながら、迷うように考え込む。
「出来れば、私も一緒に行っていいですか? 皆さんの傍が一番安全だと思いますし……」
アイリスの言葉にザレムは迷いながらも「……分かった。俺が守るよ」と言葉を返す。
「1匹は確認されてるそうだけど、どんな奴? 雑魔も群れる奴はいるから増えてる可能性はあるかもね」
カーミンが呟き、それぞれ班ごとの行動に移ったのだった――……。
※施設内調査班
「連絡係は任せて下さい! なけなしのお金で『トランシーバー』を購入しましたのっ! 今回の任務で火を噴くような活躍を見せてみますわ!」
トランシーバーを握り締めながら、イスタが呟く。
「ふふっ、張り切っておられるのですね。ですがトランシーバーは火なんて噴きませんよ?」
くすくす、と微笑みながら古川が言葉を返す。
「それに、変わった点は見られませんね。施設内部も荒らされた様子はありませんし……」
古川は周りを見渡しながら呟くと「確かに、変わったところはないですね」とユキヤも頷きながら答えた。
「雑魔がいる、という情報だけで地上型なのか、それとも空を飛んでいるのかも分かりませんね。警戒は強めておくに越したことはありませんけど――……」
ユキヤが呟いた時、付近の窓ガラスを破りながら狼型雑魔が施設内に侵入してきた。
「イスタさん! 施設外にいる皆さんに連絡をお願いします!」
ユキヤが戦闘態勢を取りながら、イスタに言葉を投げかけるけど――……。
「ええっ! わ、分かりました! 施設外でも戦闘中とのことです!」
イスタが答えると同時に、外から銃声が響く。
「……向こうからの救援はアテに出来ない、ということですね」
ミオレスカも武器を構えながら呟く。
「施設内部で暴れると、この後が大変かもしれませんね。まずは外におびき出しましょう」
古川の言葉に、ミオレスカは頷き、施設内部班はそれぞれ雑魔を外に誘導する方向で動き始める。
「逃げられないように、足を奪わせてもらいますよ」
ユキヤは淡々とした口調で呟き『ホーリーライト』を雑魔に向けて放つ。
「『マジックアロー』!」
イスタも『ワンド』を振るいながら、スキルを使用する。
連続で同じ場所に攻撃を受け、雑魔も苦しそうな呻き声をあげる。
「ここは貴方のような雑魔が居ていい場所ではありませんよ、外に出て頂きます」
古川は『リボルバー・ヴァールハイト』で雑魔を撃ちぬき、裏口から雑魔を外へと追い出した。
「……」
ミオレスカはしっかりと狙いを定めて『レイターコールドショット』を使用して、雑魔を狙い撃つ。スキルを使用することで他への被害を最小限にとどめようという、ミオレスカの配慮だ。
ミオレスカの攻撃によって、雑魔は態勢を崩し、そのまま施設内部調査班によって無事退治されたのだった――……。
※施設外調査班
これは、まだ施設外調査班が雑魔と出会う前――……。
「どうやら、雑魔の種類は狼とか、犬――……そういう動物の類と見ていいかもしれないわね」
地面に残された足跡を見て、ケイがポツリと呟く。
「これが1匹と断定はできないけど、空ばかりを見ていては地上型の雑魔から狙われてしまう――……という可能性が出て来たわね」
「そういえば、さっきアイリスは『はびこる』と言ったな」
ザレムが足を止めながら、アイリスに問い掛ける。
「え? はい、施設の方からそう言われていて……すみません、私がもっと詳しく話を聞いて居られれば良かったのですけど」
「いや、アイリスを責めているわけではなく『はびこる』の第一意味は植物が繁茂することを指す。だからもしかしたら、相手は植物系の雑魔であることを示していたんじゃ――……と思ってな」
謝るアイリスに手を振り、ザレムが言葉を返す。
「へぇ、そうなんだ? 私、全然そういうの考えてなかったよ」
カーミンが感心したように言葉を返す。
「――意外と、その考えは当たっているかもしれないわね」
ケイが苦笑気味に地面を指差す。
「何かを引きずったような跡に見えない? まるで蛇のような長い物がずるずると……」
彼女が指差した先にあったものは、長い何かが地面を這った跡。
「うわぁ、気持ち悪い、もしかして本当に植物系なのかな? だとしたら――……」
カーミンが呟いた時、ケイが『ニードルウィップ』でパシンと彼女の背後を打ち付ける。
「な、何?」
「……後ろにお客さんが来ているみたいね、狼や植物でもなく――……」
ケイはやや引きつった笑みを浮かべながら呟く。
彼女につられるように、ハンター達、そしてアイリスが後ろを振り向くと――……。
「緑色の蛇なんて、不気味なだけね。美しくもないし、その醜悪な姿には死がお似合いよ」
そう呟きながらケイは『リボルバー・クラウン』を構えて『レイターコールドショット』を繰り出す。
「はいはい、そっちには逃がさないよー」
ケイの攻撃に雑魔が逃げ出そうとしたけれど、カーミンが『特殊強化鋼製ワイヤーウィップ』で攻撃を繰り出す。
「森の中であれば、植物と見紛うこともあったかもしれないな……だが、こんな場所では騙される奴などいないだろう。アイリス、後ろに下がっていた方がいい」
ザレムは『バーンブレイド』を振り上げ、雑魔に切りかかりながらアイリスに言葉を投げかける。
そして『デルタレイ』を使用して、光が雑魔を貫く。
「ニョロニョロしてて、どこが急所なのかイマイチ分からないな……まぁ、切断面を焼いて再生を防ぎながら斬っていけば、問題はないか」
ザレムは独り言のように呟き、再び『バーンブレイド』に持ち帰る。
「ふふっ、どこを見てるのかな? 私はこっちよ、こっち♪」
カーミンは『瞬脚』を使用して、雑魔の動きを翻弄する。
ハンター達からの攻撃でダメージを受け、既に雑魔の動きは鈍くなっていた。
「さようなら、あなたのいるべき場所にお帰りなさいな」
ケイは妖艶に微笑み、雑魔の懐にもぐりこんですかさず『エイミング』と『高加速射撃』を繰り出して攻撃を行い、施設外調査班の方も無事に雑魔を退治しおえたのだった――……。
●雑魔退治を終えて……。
「ありがとうございます、これで花を植えることが出来ます」
雑魔退治を終えて、周辺の見回りを終えた後、アイリスが深く頭を下げてきた。
「施設の窓が割れたりしちゃったけど、まぁ、修理出来ないこともないし……ねぇ、カランコエ、あたしも一緒に植えてイイかしら? 誰かを、何かを、護るための契機として」
ケイの言葉に「もちろんです!」とアイリスは頷いて微笑む。
「僕も植えさせてください。いつか、あなた自身のための癒しが見つかるように」
ユキヤも優しく微笑みながら、作業の手伝いに入る。
「俺も手伝うよ。花壇もちょっと崩れてるし、力仕事なら任せろよ」
「ありがとうございます」
「花はいつ頃咲くんだ?」
ザレムが質問を投げかけると「開花時期は秋から春らしいのですが……」とアイリスが言葉を濁す。
「けど、環境次第で咲く時期が変わってくるので、はっきりと言うことが出来ないんです。特に、今は花の咲きにくい環境が多いですから……やっぱり花を咲かせるためには土が豊かでないと……」
アイリスは悲しそうに呟く。
恐らく彼女はこうして、今まで何度も植えては咲かなかった花々を見て来たのだろう。
そのことに気づいたのか、ハンター達も返す言葉に困っていた。
「ほらほら、暗い顔してちゃ咲くものも咲かないよ? えぇと、その花の名前は……」
「カランコエ、花言葉は『あなたを守る』です」
カーミンの言葉に、アイリスは微笑みながら言葉を返す。
「カランコエ、か……。母にあの日教えてもらった花の名前も、もう思い出せないような生活をしてるけど……想いの花は思い出として朽ちずに、今も心の裡にある」
カーミンは遠くを見つめながら呟く。言葉は静かだけど、表情はなんだかすっきりしている。
「ふふっ、花は色々なことを思い出させてくれるのですね。わたくしも色々な想いが胸によみがえってきます」
イスタは土いじりをしながら、穏やかな表情を見せて言葉を零す。
「この花が咲く頃、ここにいる人達も笑顔という花を咲かせてくださるといいですわね」
「そうですね、みんなが……その花を咲かせることが出来たら、悲しい思いをする人なんて世の中からいなくなるのでしょうね、いつか……いつか、そんな世界が見たいです」
イスタの言葉に、アイリスが言葉を返す。
ハンターは皆その想いを胸に戦いに身を投じしているのだろう。
「私は花を植えることしか出来ません、皆さんのように戦うすべがあればいいのですけどね」
「そんなことはありませんよ、自分に出来ることを探して、それを実行しているではないですか。だから、あなたは何も悲しむ必要はないと思います」
落ち込むアイリスを古川が慰める。
「そ、そうです! アイリスさんみたいに出来るのって、凄いと思います……! あの、だから、私もこの地に花を植えてもいいでしょうか……? 何か、アイリスさんの手伝いをしたいです」
ミオレスカの言葉に、アイリスは嬉しそうに微笑む。
「私、とてもいいハンターさん達に出会えたのですね。ありがとうございます、皆さんの苦労を無駄にしないためにも、このカランコエ――……絶対に咲かせてみせますから」
その後、ハンター達はアイリスを安全な場所まで送った。
彼女は旅を続けるそうだから、これからももしかしたらどこかで会うことがあるのかもしれない――……。
END
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/10/05 05:39:00 |
|
![]() |
行動のすりあわせ カーミン・S・フィールズ(ka1559) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/10/05 05:42:14 |