【聖呪】南進、その裏で……。

マスター:御影堂

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/10/23 19:00
完成日
2015/10/30 10:58

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 ゴブリン本隊の南下……その一報は北部一円の貴族領にも届けられていた。
 戦端を開いていたルサスール領も、多分に漏れず対応に追われていた。
 幸いなことに一団の動きはルサスール領を外れ、迂回するルートをとっている。

 だが、油断はできない。
 ルサスール家の執務室では、領主カフェ・W・ルサスールと息女サチコ・W・ルサスールが話をしていた。その表情は硬く、瞳は卓上の地図を睨んでいた。
 ゴブリンの動きを朱で示せば、ルサスール領が危機を回避できたことが、一目にしてわかる。
「ですが、油断することは出来ませんわ」
「そういうことだ。長兄と次兄には、戦列に加わってもらう。そこで……」
 カフェは言葉を区切り、腰をかけ直す。
「ワルワル団に……領内の警らを一任しようと思う」
「……随分と思い切りましたわね」
「暫定的措置だ。恒常的に任せるわけではないし、今回の一件が終わったら、今一度話し合う必要があるだろうな」
 
 カフェの娘、サチコは花嫁修業の逃亡の末、絶賛家出中の身である。
 そして、彼女はワルワル団という謎の一団の総帥を勝手に名乗っていた。一団の目的は、今となってはルサスール領民の平和のために尽くすことである。
 その思いが精霊に届いたのか、彼女は今回の騒動の中で覚醒をも果たす。

 カフェの複雑な胸の内は、語るまでもない。
「……まぁ、そのときがきましたら」とサチコはカフェから目をそらす。
「とりあえず、巡回ルートだが……」
 その反応を見なかったことにして、カフェが続けようとした、その時だ。
 サチコの従者、タロが慌てた様子で執務室を訪れた。
「サチコ様、カフェ様。直接的なゴブリンではないのですが、奇妙なものを見たとの一報が……」
「奇妙なもの?」
 小首を傾げるサチコへ、タロは気を静めてゆっくりと言葉を紡ぐ。
 おおよそ、それは次のようなものであった。

 人間のような姿をした何か。

「ざっくりしすぎですわ!?」
「どうやら、雑魔であると思われますが……」
「ゴブリンではなく?」
 最近の騒動といえば、ほぼ間違いなくゴブリン絡みであった。本隊が移動を開始しているとはいえ、はみ出し者が事件を起こすというのは想像に難くない。
 だが、雑魔となれば原因は異なる。
「自然発生にしては、人間に近い姿というのが気になるな……」
「それが、歪な姿をしており、継ぎ接ぎをしたような感じだそうです」
「継ぎ接ぎ、ですか?」
 眉を寄せ、顎に手を当ててサチコは思案する。
「手足に動物と思しきものを当てているような。歪んだ造形だといいます」
「場所はどこですの?」
 サチコの質問に、タロは言葉に詰まる。視線が泳ぎ、助けを求めるようにカフェへ向いた。
「構わん。サチ……ワルサー総帥には今しがた警らを頼んだところだ」
「では……」
 一息置いて、タロは続ける。
 それは、サチコにとって許しがたい場所であった。

 ルサスール領北部の町、オーレフェルト。
 そこよりやや南に位置する小さな村……ガレットという男が村長を務めている場所だ。サチコは今回の騒動の中で、ガレットと約束を交わし、避難を願った。
 そのガレットの村が、歪虚出現の地点であるという。

「……おと……カフェ様。早速ですが、出たいと思います」
「部隊を編成してからにしなさい。雑魔相手となれば、準備がいるだろう」
 気が急くサチコを諌め、カフェは書状を認める。
 早馬を出し、ハンターを募る。
 サチコは屋敷を出て、北の空を仰ぎ見る。歯噛みするように口を歪ませ、睨みつけるように目を細めるのであった。

リプレイ本文


「……っ! 振り切られないよう、しっかり捕まってて!」
 閑散とした村の中を、一匹の軍馬が走る。
 騎乗しているのは、天竜寺 舞(ka0377)。そして、彼女にしがみつくサチコである。
 彼女たちを追いたてるのは、一匹の鳥……いや翼を持ったゴブリンである。
 鳥ゴブリンは、両腕の代わりになる翼で地面を滑空し、魔法の矢を飛ばしてくる。
「もとはシャーマンだったのでしょうか」
「もう知性なさそうだけどね!」
 魔法の矢を何とか躱しながら、舞は進む。
「新手ですわ!」
 後ろを見たサチコは、四足歩行で走り来るゴブリンを見た。足や腕が狼にすげ替えられているのだ。身体と頭部がゴブリンなだけに、気味が悪い。
「おっと!」
 すかさず、陽山 神樹(ka0479)が割って入り、雷撃を放つ。
 疾駆する狼ゴブリンに雷撃がかすめ、行動を奪う。その隙に、神樹も舞たちを追う。
「ヒーローが逃げるのは心が痛いけど、戦闘放棄じゃないから……いいよね」
「……」
 神樹に同行するマホラ(ka5614)が大丈夫と頷く。
 指折り数え、マホラは敵の数を確認していた。
「てき きた」とハンドサインで告げ、マホラが駆け出す。神樹も並走する。

 サチコらが村に入ったのは、ほんの十分ほど前のこと。
 村に到着した時、サチコたちは北側の丘を陣取っていた。


「サチコさーん、気負いすぎていませんか? お顔が般若のようになっていますよー」
 険しい表情を見せるサチコに、最上 風(ka0891)はそう声をかけた。
「そんなこと、ありませんわ」と否定するサチコだが、表情は変わらない。
「噂は聞いてるけど、冷静にね。まぁ、逆上するとは思わないけどね」
 神樹もサチコを宥めるようにいう。
「サチコさま。安心してください。あの祠はここの住民の魂だ。見過ごしませんよ」
 ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)は、槍を携えて宣言する。
「なるほど、サチコさんにとって、大事なものがあるんですね」
 ヴォーイの言に、央崎 遥華(ka5644)がむんっと気合を入れる。
 仲間とのやり取りに、サチコの表情がわずかに緩む。
「それで、様子はいかがですか?」
「まさかとは思うが、こないだここで屠った奴らじゃないだろうな」
「ふむ。素体はゴブリンのようだけど……」
 何か妙な術でも使ったのかな、とイーディス・ノースハイド(ka2106)は評する。
 茨小鬼なる存在が、暗躍する中、様々な考えが巡る。
「何だかキマイラとか鵺とかそんな感じの雑魔だね。見た目で判断できるのが救いかな……?」
『ちゅうい とか ある?』
 距離をおいていたマホラも、地理情報を確認しに会話に混ざる。
 近くで見て、マホラは本当に角がないことを改めて思った。
 地図と合わせて、サチコから情報を聞き、それぞれ準備に入る。
「一緒に乗る?」
 舞に誘われたサチコは、状況を見て頷きを返すのだった。


 そして、今に戻る。
「戦え、ゴブリンども! 獲物として、ハンターたる私と!」
 槍を携え、堂々と宣言する不動シオン(ka5395)が狼ゴブリンを誘い出す。
「広場に誘い出すまでは、我慢だぞ」
「わかってるって」
 傍らで騎乗したイーディスが声をかける。シオンがうなずいたのを見て、さらに一体現れた狼ゴブリンを誘引する。目指すは中央にある広場だ。
 散っていたキメラゴブリンを、広場へ集める。それが提示された作戦だった。

 北側から入り、まっすぐに祠を目指す舞とサチコ。
 巡りながら、あぶれたキメラゴブリンを引きつける役をイーディスとシオンらが担っていた。

「祠に精霊が宿ってるかもしんねー! 頼むぜ!」
 広場に向かう途中、そんなことをヴォーイが告げていた。
 サチコと舞は、覚醒状態を見せつけるように広場を目指す。舞は酒を開け、匂いでも誘っていた。これが功を奏したのか、それとも野生の習性か。
 二体を引きつけ、舞たちは広場へとたどり着く。
「先着ですねー」
 囮役とは別ルートでやってきた風も、ほぼ同着だった。
 すぐさま祠を確認した彼女は、扉を閉めてサチコに中に誰もいないことを告げる。
「無事に退治して、ガレットさんに恩を売る……ではなく、吉報を届けたいですねー」
「そのためにも、守りきらないとね」
 舞が下馬し、向かい来るゴブリンを睨む。
 そのときだ、サチコが天を仰いだ。
「舞さん、二時の方向からなにか来ますわ!」
「……っと!」
 振り下ろされた鉤爪を軽やかに避け、舞は敵を見た。双眼鏡で確認された、猫ゴブリンである。両腕が猫のそれ。立体的で素早い動きを見せる猫ゴブリンの二撃目を、更に避ける。
 洗練された斬撃を繰り出し、相対する。

 そうしている間に、ヴォーイらも追いついてきた。
「痛くないですから、ひとまず回復を受けてくださいねー」
「ぜぇぜぇ、帰ったらアーマースーツの手入れをしないと……」
 神樹、ヴォーイを含め複数人が負傷していた。並のゴブリンに比べ、明らかに身体能力が向上しているのだ。
 注射器の手厚い歓迎を受け、ヴォーイはすかさず戰槍を構えた。
「ここから先へは、行かせねーってんだ!」
 祠を背に大きく身体を回し、迫り来る狼と猫のゴブリンへ穂先を振るう。
 別の方角から合流したイーディスもヴォーイ同様、祠に背中を向ける。
「斬れば死ぬのは変わりない」
 前方の敵を薙ぎ払い、戦線を定める。そこから先へは向かわせない意志を示していた。

「……」
 舞が引き受けていた狼ゴブリンをマホラが手招きで挑発し、切り結ぶ。
 静かなマホラと対照的にシオンは、
「さあ来い! 誰も巻き込まず、我々と貴様らで真剣勝負だ!」
 宣戦布告をして、槍を突き立てる。
 シオンたちの後ろで、神樹と遥華は少し上を見ていた。
「あいつらは俺たちがやるしかないね」
「はい、頑張ります!」
 そこにいたのは、鳥ゴブリンたちだ。元シャーマンなのか、マジックアローを放つ。
 地上戦の邪魔にならないよう、神樹たちの戦いも始まった。


 神樹が三角の光を紡ぎ、地と空それぞれの敵を狙う。光が奔るが、奇しくも身体を捉えることができない。
 返すように鳥ゴブリンが魔法の矢を撃ち、神樹の腕をかすめた。
「くっ」
「私もあわせて行きますよ!」
 遥華がマジックアローを放つ。鳥ゴブリンの数は、三体。
 そのうちの一体に狙いを定め、翼を穿つ。
「負けてられないね」
 畳み掛けるように神樹も再びデルタレイを発動する。一体の鳥ゴブリンが、両翼を失い、地に落ちる頃、イーディスとヴォーイに迫り来る影があった。

「やっと、おでましか」
 誘引されていながら、様子を伺っていた熊ゴブリンである。いわずもがな身体に似合わぬ巨大な熊の手足を操るゴブリンだ。
 その巨体から繰り出される一撃を盾で捌き、イーディスは熊ゴブリンを含めた敵を薙ぐ。
 薙ぎ払いの隙をつき、抜けだそと猫ゴブリンが跳躍した。着地地点には、すでにシオンが踏み込んでいた。振り下ろされた強烈な一撃に、猫ゴブリンは後退する。
「私を無視するな。戦え!」
 間合いを詰めながらの熾烈な打ち合い、無論、シオンも無事では済まない。
 適度に自身の傷を癒しつつ、猫ゴブリンを追いたてる。

 ヴォーイ側にも、同様に熊ゴブリンが襲いかかっていた。
「ひとりで引受すぎですよー」
「んなこといったって!」
 加えて狼ゴブリンと猫ゴブリンが、周りを囲う。
 すり抜けようとするものには、すかさず槍を振るって弾き飛ばす。同時に襲いかかろうと狙うのであれば、「せいのっ!」と槍をぶん回して対抗する。
 適度に動物霊の力を借り俊敏さを高め、風から護りの光を受けながら奮戦する。

「何しに来たのかしんないけど、この村は荒らさせないよ!」
 舞は飛びかかる狼ゴブリンをするりとかわし、背中に刃を突き立てる。
 継ぎ目を狙うような一撃に、狼ゴブリンが地に伏せた。
「次は……」
「……」
 もう一匹引きつけていた猫ゴブリンは、マホラが担う。
 すばしっこい動きに、傷を負うも攻撃の手は緩めない。
「まだ やれる」とアイコンタクトで伝えるマホラに、そのまま任せて舞はヴォーイの応援に走る。
 マホラは舞を見送ると、しかりと猫ゴブリンを見る。
 司令官のような存在はいないらしい。熊ゴブリンも、そういう仕草は見せていない。
 烏合の衆といったところか。
 猫ゴブリンの一撃を受け、少し距離を取る。痛みがある間は、死んでないということ。
 精神を統一し、小太刀を水平に構える。敵の動きを見定め、地を蹴った。
 距離を詰めて、一文字に胴を撫で切りにする。
「……」
 それが止めとなり、猫ゴブリンは倒れこんだ。猫ゴブリンを見下ろし、動かないことを確認すると次の獲物を探す。ふと、見上げれば一匹の鳥ゴブリンが落ちてきた。


「二体目も堕ちたね」
 神樹のデルタレイに射抜かれ、二体目の鳥ゴブリンが墜落する。
 風の注射器乱舞を受けながら、神樹と遥華は最後の鳥ゴブリンに狙いを定める。
「狙い撃ちますよ」
 遥華は水弾を放ち、鳥ゴブリンの羽根を撃つ。その影響か、鳥ゴブリンがバランスを崩して高度を下げた。
「お」と見ている間に、猫ゴブリンを仕留めたばかりのマホラが距離を詰める。
 逃げ場を塞ぐようにマホラは斬りかかりざまに踏み込む。刃が真っ直ぐに突き立てられる。
 体勢を立て直そうとした鳥ゴブリンは、二度と飛ぶことができないのであった。
「順調ですよ、サチコさん!」
「えぇ、ですが油断せずに……」
 サチコの視線の先では、熊ゴブリンが豪腕を振るっていた。
 未だ残るは、猫、狼、熊ゴブリンがそれぞれ二体である。

 そのうち、猫ゴブリンの一体をシオンが引き受けていた。
 踏み込んざまに気合一閃。力強い打撃をシオンは繰り出す。
 外れれば、猫ゴブリンの猫パンチがカウンターで返ってくる。受けたダメージを体内のマテリアルを活性化させ、治癒しながら一合、二合と打ち合いに入る。
「どうした、そんなものか!」
 煽るようなことを口走りながら、次第にシオンが優位に立つ。振り下ろされた右腕をツーステップで躱すと、脳天へフラメアを叩き込んだ。
 ぐらつく身体へ追撃を与え、とどめを刺す。
「次の相手は、どいつだ?」
 見ればイーディスの薙ぎ払いの前に、狼ゴブリンが崩れ落ちていた。
 残る熊ゴブリンは、いまだ体力を残している。
「よしっ」と気合を入れ、シオンは駆け出すのだった。

「ここまで守りを固めれば、怖くないぜ」
 ヴォーイは風のプロテクションに加え、遥華から砂の鎧を与えられていた。
 狼および猫ゴブリンは度重なる槍撃に、虫の息。熊ゴブリンは、傷を追いながらも猛威を振るっていた。だが、その危険性も重ねに重ねた防御によって和らぐ。
 その場に飛び込んできたのは、舞だった。
「一気に終わらせるよ」
「おたくも来たのか! なら、終わらせるぜ」
 猫ゴブリンを足場に、舞は跳躍し熊ゴブリンの死角から肩へ刃を斬り入れる。
 足場にされた猫ゴブリンには、ヴォーイが槍撃を与えた。ゴブリンの身体と猫の腕。その継ぎ目を狙って放たれた一撃が、猫ゴブリンを猫とゴブリンに分かつ。
 崩壊した腕を置き、残された側で反撃を狙う。
「おっと」
 やや後退しつつも、まっすぐに敵を見据える。動きは早いが、知能が落ちているのか。単調な動きは、見飽きてきた。
 もう片方の腕を叩き切ると、猫ゴブリンはそこで正体をなくす。崩れたところに、トドメの一撃を与え、地面に縫い付けた。

 熊ゴブリンに跳びかかった舞は、振り払われた腕から逃れると、体勢を立て直した。
 視界の端に、狼ゴブリンの姿が見える。
 だが、手の空いたマホラに行き場を塞がれ、神樹と遥華の連携を前に亡きものとなっていた。
 視線を戻し、熊ゴブリンを見上げる。
「んー、大きいけど」
 いつか見た茨小鬼に比べれば、マシだ。手脚だけが大きく、むしろバランスが悪い。
 近くにあった木箱を蹴って、飛びざまに一撃。
 着地地点へ振り下ろされた腕を避けつつ、さらに切り結ぶ。
「せいっ!」
 合わせてヴォーイが熊ゴブリンの頭を突く、バランスを崩し背中から熊ゴブリンが転がる。
 立ち上がるより先に、舞の刃が腕を継ぎ目から切り落とす。再び転倒した熊ゴブリンは、二度と起き上がることはなかった。

「重いっ……」
 のしかかるような熊の左腕を受け止め、その場で踏ん張りを利かす。連撃に右腕を振り上げた熊ゴブリンの側面から、シオンが踏み込みざまに一撃を見舞った。
 合わせるようにイーディスが熊ゴブリンを押し返し、がら空きの胴を突く。
「貴様はここで終わりだ!」
 シオンが立て続けに、熊ゴブリンの腱を切った。
 膝から崩れた熊ゴブリンをイーディスが弾き飛ばす。倒れこんだ先に、愛馬エクレールの姿があった。足を振り上げ、全体重をもって熊ゴブリンの頭蓋を粉砕する。
 だが、歪虚化した体はなおも動かんとする。
「一筋縄では、いかんか」
 駈け出したイーディスの横を、魔法の矢が通過していった。
 胸を穿たれ、頭のない熊ゴブリンはそのまま崩れ始めた。
「サチコさんの大切な村、守りぬきましたよ」
 振り返る遥華に、サチコは安堵の表情を浮かべるのだった。


「回復しますよ―」
「精霊の祠も無事そうだし、よかったぜ」
「私はおもいっきり戦えて満足だ」
 風がヴォーイやシオンに注射器を乱舞させる中、神樹はサチコに改めて報告に向かう。
「殲滅完了しましたワルサー指揮官……じゃなくてワルサー総帥!!」
「ありがとうございました」
「ここって総帥にとってどんな場所なのかな? ワルワル団初期メンバーとの思い出の場所とか?」
「私も、できれば総帥の口からお聞きしたいです」
 遥華も加わり、サチコに尋ねる。
 サチコはおずおずと、ゴブリンの脅威から逃れるために村を空けてもらったこと。そのときに、村長と力を尽くして村を護ると約束したことを語る。
「そうだったんですね」
「ここがきみにとって、護りたい場所ということか」
 いつの間にか、エクレールを労りながらイーディスも話に加わっていた。

 一方で、舞はゴブリンの姿を確かめようとしたのだが……。
「あれ……消えた?」
 いや、消えて当然かと思い直す。もし歪虚だとすれば、消えることのほうが多いのだ。
 難しい顔をしていると、マホラが近づいてきた。
『とくちょう かいた』とキメラゴブリンについてまとめたものを渡してくれた。
「ありがとう。やっぱり報告しないとね」
 一息ついて村を見渡す。
 ゴブリンたちとの決着は近い。静かな村に人の声が戻るまで、戦いは続く。
 嫌な予感を首筋に感じつつ、サチコは仲間たちと空を仰ぐのだった。

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MVP一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞ka0377
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイドka2106

重体一覧

参加者一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 幼女のお願いを聞いた者
    陽山 神樹(ka0479
    人間(蒼)|15才|男性|機導師

  • 最上 風(ka0891
    人間(蒼)|10才|女性|聖導士

  • ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613
    人間(紅)|27才|男性|霊闘士
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人

  • マホラ(ka5614
    鬼|19才|男性|舞刀士
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/10/22 00:29:25
アイコン 相談卓
最上 風(ka0891
人間(リアルブルー)|10才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/10/22 20:31:50