ゲスト
(ka0000)
【闇光】決死撤退戦・暴食
マスター:WTRPGマスター

- シナリオ形態
- グランド
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/11/08 19:00
- 完成日
- 2015/11/20 21:18
このシナリオは4日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
動き出した二体の歪虚王は、それぞれが別々の侵攻ルートで南下を続けていた。
人類軍は決死の誘導作戦により怠惰王をヴァル砦に誘導する事に成功したが、暴食王ハヴァマールは人類が構築した浄化キャンプを次々と破壊していく。
「第九キャンプ連絡途絶! 七、六キャンプは壊滅したとの報告が……!」
「撤退命令は出ている筈だ……何故退かん!?」
ここは第四浄化キャンプ。第五以降の浄化キャンプに力を伝えている重要な拠点である。
ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)は軍用の大型魔導伝話を抱えた通信兵の横で机に拳を振り下ろした。
「第五キャンプより連絡! ……我、歪虚王と交戦せり! 遅滞戦闘を行う……救援不要……!」
舌打ちし、テーブルに立てかけられた剣を引っ掴むヴィルヘルミナへ兵士が何人も飛びかかる。
「お待ち下さい陛下!」
「何を待てというのだ! 第五はすぐ近くだ! 仲間が死んでいるのだぞ!?」
二十近くあった浄化キャンプはその尽くを破壊された。
この第四キャンプは前線から逃れてきた負傷兵の呻き声で溢れ、皆が疲れ果て、寒さと死の恐怖に震えている。
「何故諦めるのだ……あと少しだというのに……っ」
「彼等は命を賭して時間を稼いでいるのです! 陛下はここで失われてはならないお方……どうか堪えてください!」
きつく目を瞑り、椅子に座り込むヴィルヘルミナ。
「ヨアキムも怠惰王を連れて……私の目算が誤っていたのか。いや、今はそのような事を考えている場合ではないな……」
深く息を吐き、直ぐに立ち上がる。
「奴はこのまま南下を続けるつもりだ。このままでは辺境に大きな被害が出る。少しでもここで時間を稼ぐ。全軍に防衛戦の用意を! 負傷者は直ぐに下がらせろ!」
●
「浄化の力ヲ伝え、闇ニ進軍スル……かヨうな力をヒトが持つトハな……」
壊滅した第五キャンプを見下ろし、暴食王は静かに呟く。そこへ血の翼で羽ばたくオルクス(kz0097)がやってくる。
「ヒトが持っていた断片的な技術を結集すれば、こういう事も可能になるのですわ」
「厄介よのゥ……。残す使命ハ大精霊共と北のみ、南は些事と思ウておったが……これは甘く見過ギたやもシれぬ」
戦場に倒れた人類軍の亡骸を見下ろし、王は巨大な掌を翳す。
そこへ無数の光が集まり、吸い込まれ、暴食王は黒霧の息を吐いた。
「獄炎ヲ討った事も看過ハできヌ。オルクス……余はこのマま南を目指すス。ヒトが一つになリきる前に、その希望を潰サねばならヌ」
「まだ不完全な状態なのに、よろしいのですか?」
「南へ向かエば生体マテリアルには困ルまい。おヌしらが用意した贄、この上ナく芳醇であっタぞ」
上半身のみの巨人は、両手でゆっくりと這うようにして前進する。
その姿を見つめ、オルクスは少しだけ寂しそうに目を細めた。
「真面目なんだから、剣王様。ヒトとの戦い、楽しかったけれど……もう終わりにしなきゃいけないのかしら」
王自らが始めた戦いに、全ての暴食の眷属が続くだろう。
この北伐戦を始めたゾンネンシュトラール帝国の皇帝を殺せば、ヒトはまた未知の闇を恐れるようになる。
「いいえ……一人殺してもまた新たな英雄が現れるだけ。だったら潰してしまいましょうか。“帝国”そのものを……ね?」
●
「バリケート作成急げ! 机でも椅子でもテントでもなんでも良い、全てバラして組み込むんだ!」
「負傷者は全員撤退したんだな!? よし……後はお前達だけだ。お前達も今すぐ第三キャンプを目指すんだ」
第四キャンプにて迎撃準備を進める帝国兵たち。そんな彼等を手伝い、まだ戦場に残るハンター達の姿があった。
帝国兵はそんなハンターの肩を叩き、後方を指差す。
「ここは俺達でなんとかする。お前達ハンターは生きて帰るんだ」
冴えない中年男は苦笑を浮かべ。
「お前達がいつも道を切り開いてくれた。頼もしかったぜ……。正規軍人とは違う、傭兵風情だなんて思ってた時期もあったが……」
「ああ。お前達がいなきゃ俺達もとっくに死んじまってた」
「へへ、違いねぇ……。なあ、第五を守ってた連中はどうせ死んじまったよ。だけどあいつらは希望を守ろうとしたんだ。無駄じゃない……今度は俺達の番なんだ」
口々に感謝の言葉を口にする兵たち。しかしハンターは首を横に振る。
「お前達……いつもお前達ばかりが命を危険に晒す事はないんだ! 今は退いて……!」
帝国兵の手を振り払い、ハンターはバリケード作りを続ける。
男たちは顔を見合わせ、止まっていた作業を再開した。
「ありがとうな……。必ず生きて帰ろうな……!」
「皆朗報だ! 後方から補給物資と補充兵員が到着したぞ!」
逃げろと言っているのになぜ増援が来るのか。ハンターは兵士たちと一緒に苦笑を浮かべた。
次々に停車した大型の魔導トラックから兵装と共に魔導アーマーが降り立つ。
兵士たちは大急ぎで大砲を並べていく。その中には嘗て帝国の作戦で使われた試作兵器の姿もあった。
「こいつはスペルランチャーと……オイリアンテとかいう錬金銃か」
大型の砲撃兵装。これを上手く使えば、少しは戦況が楽になるかもしれない……そう考えた時だ。
雪原の向こうから地響きと共に巨大な影が迫ってくる。上半身だけの髑髏の巨人、暴食王ハヴァマールだ。
「なんだあの大きさは……」
「お、おい……あの黒い靄みたいなの……全部スケルトンか?」
ゆっくりと這って前進する暴食王に先行し、夥しい数のスケルトンがこちらへ迫ってくる。
それはもう、数を数えるのが嫌になるほど。骨の壁が全てを押し潰そうと近づいてくるかのようだ。
「総員、戦闘用意! これより暴食王を迎撃し、後方部隊が撤退完了するまでの時間を稼ぐ!」
姿を見せたヴィルヘルミナが剣を振るい、兵たちに指示を下す。
「いいか、時間を稼ぐだけで良い! 奴を倒す事は目的ではない。少しでも長くここで戦線を維持するぞ!」
第四キャンプを視界に捉えた暴食王が吼える。
口に収束した黒い光は球体を形成し、浄化キャンプ目掛けて放たれた。
距離があるからか、直撃はしない。しかし爆風と光は兵たちを竦ませ、降り注ぐ土砂に視界を遮られる。
「怯むな! これ以上犠牲を出さぬ為に……! これまでの犠牲を無駄にしない為に!」
「……愚カな。しかシ、だからコソ……。“それでも尚”ト言い続ケるおぬシらこそ、危険極まリない……」
既にこの世界の殆どは闇に覆われている。しかしほんの少し目を離せばヒトはまた立ち上がり、光を目指す。
「認メよう。ぬシらこそ次代の守護者。始メるぞ、救済ヲ。“血の宿業”に踊ル、哀れな愛シき我が宿敵よ……!」
大地から巨大な骨の剣を抜き、王は空を負のマテリアルで染め上げる。
何もかもを喰らい尽くし、死を与えるは“暴食”。
ヒトは今、次なる試練と対峙する――。
人類軍は決死の誘導作戦により怠惰王をヴァル砦に誘導する事に成功したが、暴食王ハヴァマールは人類が構築した浄化キャンプを次々と破壊していく。
「第九キャンプ連絡途絶! 七、六キャンプは壊滅したとの報告が……!」
「撤退命令は出ている筈だ……何故退かん!?」
ここは第四浄化キャンプ。第五以降の浄化キャンプに力を伝えている重要な拠点である。
ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)は軍用の大型魔導伝話を抱えた通信兵の横で机に拳を振り下ろした。
「第五キャンプより連絡! ……我、歪虚王と交戦せり! 遅滞戦闘を行う……救援不要……!」
舌打ちし、テーブルに立てかけられた剣を引っ掴むヴィルヘルミナへ兵士が何人も飛びかかる。
「お待ち下さい陛下!」
「何を待てというのだ! 第五はすぐ近くだ! 仲間が死んでいるのだぞ!?」
二十近くあった浄化キャンプはその尽くを破壊された。
この第四キャンプは前線から逃れてきた負傷兵の呻き声で溢れ、皆が疲れ果て、寒さと死の恐怖に震えている。
「何故諦めるのだ……あと少しだというのに……っ」
「彼等は命を賭して時間を稼いでいるのです! 陛下はここで失われてはならないお方……どうか堪えてください!」
きつく目を瞑り、椅子に座り込むヴィルヘルミナ。
「ヨアキムも怠惰王を連れて……私の目算が誤っていたのか。いや、今はそのような事を考えている場合ではないな……」
深く息を吐き、直ぐに立ち上がる。
「奴はこのまま南下を続けるつもりだ。このままでは辺境に大きな被害が出る。少しでもここで時間を稼ぐ。全軍に防衛戦の用意を! 負傷者は直ぐに下がらせろ!」
●
「浄化の力ヲ伝え、闇ニ進軍スル……かヨうな力をヒトが持つトハな……」
壊滅した第五キャンプを見下ろし、暴食王は静かに呟く。そこへ血の翼で羽ばたくオルクス(kz0097)がやってくる。
「ヒトが持っていた断片的な技術を結集すれば、こういう事も可能になるのですわ」
「厄介よのゥ……。残す使命ハ大精霊共と北のみ、南は些事と思ウておったが……これは甘く見過ギたやもシれぬ」
戦場に倒れた人類軍の亡骸を見下ろし、王は巨大な掌を翳す。
そこへ無数の光が集まり、吸い込まれ、暴食王は黒霧の息を吐いた。
「獄炎ヲ討った事も看過ハできヌ。オルクス……余はこのマま南を目指すス。ヒトが一つになリきる前に、その希望を潰サねばならヌ」
「まだ不完全な状態なのに、よろしいのですか?」
「南へ向かエば生体マテリアルには困ルまい。おヌしらが用意した贄、この上ナく芳醇であっタぞ」
上半身のみの巨人は、両手でゆっくりと這うようにして前進する。
その姿を見つめ、オルクスは少しだけ寂しそうに目を細めた。
「真面目なんだから、剣王様。ヒトとの戦い、楽しかったけれど……もう終わりにしなきゃいけないのかしら」
王自らが始めた戦いに、全ての暴食の眷属が続くだろう。
この北伐戦を始めたゾンネンシュトラール帝国の皇帝を殺せば、ヒトはまた未知の闇を恐れるようになる。
「いいえ……一人殺してもまた新たな英雄が現れるだけ。だったら潰してしまいましょうか。“帝国”そのものを……ね?」
●
「バリケート作成急げ! 机でも椅子でもテントでもなんでも良い、全てバラして組み込むんだ!」
「負傷者は全員撤退したんだな!? よし……後はお前達だけだ。お前達も今すぐ第三キャンプを目指すんだ」
第四キャンプにて迎撃準備を進める帝国兵たち。そんな彼等を手伝い、まだ戦場に残るハンター達の姿があった。
帝国兵はそんなハンターの肩を叩き、後方を指差す。
「ここは俺達でなんとかする。お前達ハンターは生きて帰るんだ」
冴えない中年男は苦笑を浮かべ。
「お前達がいつも道を切り開いてくれた。頼もしかったぜ……。正規軍人とは違う、傭兵風情だなんて思ってた時期もあったが……」
「ああ。お前達がいなきゃ俺達もとっくに死んじまってた」
「へへ、違いねぇ……。なあ、第五を守ってた連中はどうせ死んじまったよ。だけどあいつらは希望を守ろうとしたんだ。無駄じゃない……今度は俺達の番なんだ」
口々に感謝の言葉を口にする兵たち。しかしハンターは首を横に振る。
「お前達……いつもお前達ばかりが命を危険に晒す事はないんだ! 今は退いて……!」
帝国兵の手を振り払い、ハンターはバリケード作りを続ける。
男たちは顔を見合わせ、止まっていた作業を再開した。
「ありがとうな……。必ず生きて帰ろうな……!」
「皆朗報だ! 後方から補給物資と補充兵員が到着したぞ!」
逃げろと言っているのになぜ増援が来るのか。ハンターは兵士たちと一緒に苦笑を浮かべた。
次々に停車した大型の魔導トラックから兵装と共に魔導アーマーが降り立つ。
兵士たちは大急ぎで大砲を並べていく。その中には嘗て帝国の作戦で使われた試作兵器の姿もあった。
「こいつはスペルランチャーと……オイリアンテとかいう錬金銃か」
大型の砲撃兵装。これを上手く使えば、少しは戦況が楽になるかもしれない……そう考えた時だ。
雪原の向こうから地響きと共に巨大な影が迫ってくる。上半身だけの髑髏の巨人、暴食王ハヴァマールだ。
「なんだあの大きさは……」
「お、おい……あの黒い靄みたいなの……全部スケルトンか?」
ゆっくりと這って前進する暴食王に先行し、夥しい数のスケルトンがこちらへ迫ってくる。
それはもう、数を数えるのが嫌になるほど。骨の壁が全てを押し潰そうと近づいてくるかのようだ。
「総員、戦闘用意! これより暴食王を迎撃し、後方部隊が撤退完了するまでの時間を稼ぐ!」
姿を見せたヴィルヘルミナが剣を振るい、兵たちに指示を下す。
「いいか、時間を稼ぐだけで良い! 奴を倒す事は目的ではない。少しでも長くここで戦線を維持するぞ!」
第四キャンプを視界に捉えた暴食王が吼える。
口に収束した黒い光は球体を形成し、浄化キャンプ目掛けて放たれた。
距離があるからか、直撃はしない。しかし爆風と光は兵たちを竦ませ、降り注ぐ土砂に視界を遮られる。
「怯むな! これ以上犠牲を出さぬ為に……! これまでの犠牲を無駄にしない為に!」
「……愚カな。しかシ、だからコソ……。“それでも尚”ト言い続ケるおぬシらこそ、危険極まリない……」
既にこの世界の殆どは闇に覆われている。しかしほんの少し目を離せばヒトはまた立ち上がり、光を目指す。
「認メよう。ぬシらこそ次代の守護者。始メるぞ、救済ヲ。“血の宿業”に踊ル、哀れな愛シき我が宿敵よ……!」
大地から巨大な骨の剣を抜き、王は空を負のマテリアルで染め上げる。
何もかもを喰らい尽くし、死を与えるは“暴食”。
ヒトは今、次なる試練と対峙する――。
リプレイ本文
該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。
http://www.wtrpg10.com/event/bt008/opening
http://www.wtrpg10.com/event/bt008/opening
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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【遊撃遅滞戦闘】相談所2 ユノ(ka0806) エルフ|10才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/11/08 18:35:48 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/07 20:34:07 |
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選択肢表明所 カナタ・ハテナ(ka2130) 人間(リアルブルー)|12才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/07 20:41:54 |
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質問卓 カナタ・ハテナ(ka2130) 人間(リアルブルー)|12才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 00:47:59 |
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遊撃遅滞戦闘相談所 カナタ・ハテナ(ka2130) 人間(リアルブルー)|12才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 15:29:02 |
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![]() |
第四キャンプ防衛相談所 カナタ・ハテナ(ka2130) 人間(リアルブルー)|12才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 18:22:05 |