ゲスト
(ka0000)
【闇光】決死撤退戦・怠惰
マスター:WTRPGマスター

- シナリオ形態
- グランド
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2015/11/08 19:00
- 完成日
- 2015/11/20 21:19
このシナリオは4日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
群発地震――否、地震ではない。
『それ』が歩く度に、辺境の大地は激しく揺れ動く。
浄化されて通り道となっていた人類の道を、逆に南下していく。
『それ』の前では障害と認識すらされていない。
足下には、薙ぎ倒された木々や崩された山。
そして――かつては人間だったであろう潰れた肉塊。
すべての物が、等しく平等に無価値で無意味であった。
「ヒュー! 小さいながらも頑張ってくれちゃって~。面倒ったらありゃしねぇ」
『それ』――ビックマーは片足を上げながらそう呟いた。
ビックマーの外見は王冠とマントを羽織ったクマのぬいぐるみに近い。
手足も体と比較してそれ程長くも無い。年頃の少女が小脇に抱えていれば、可愛らしさが引き立つだろう。
しかし、問題はその大きさだ。
ビックマーは城や山よりも遙かに巨大な体躯を持っていた。かの東方にて大暴れした歪虚王『九尾』よりも巨大な体。それが夢幻城より飛び出したかと思えば、人類圏に向けて南下を開始。既に撤退を開始している人類を追撃するかのように、ビックマーは一歩ずつ前へと突き進む。
「おいおい。これでも俺様はきれい好きなんだぜ?
足の裏を汚されちゃ-、堪らねぇよ。おうち帰ってゆっくり眠りな……ってもう無理だったな。すまんすまん」
独り言で軽口を叩くビックマー。
そこへビックマーの頭の上に乗っていた少女――ビックマーの王冠に寄りかかり、半ば寝ぼけ眼の少女――がぽつりと呟く。
「……もう帰ろう」
「まだエンジンもかかってない……ん? ありゃ、なんだ?」
ビックマーは目を凝らした。
石造りの建物だが、よく見れば人影が動いているように見受けられる。
大方、あそこでビックマーを迎え撃とうというのだろう。
「砦、だな。
よく見れば、人間が何やら準備してやがる。盛大なパーティーの準備ってところだな。
本当、ご苦労なこった」
軽くため息をつくビックマー。
ここでスルーしても構わないが、せっかく人間がパーティーを準備してくれているんだ。主役として参加してやらなければ可哀想というものだ。
ところが頭の上にいる少女は、パーティーに何の興味も示さない。
「……ねむいの」
「おいおいここからが本番だぜ? ダンディな俺様の活躍、見逃すなよ。
朝までダンスって訳にゃいかないが、チークタイムはムード満点に頼むぜ」
ビックマーは砦に向かって歩み出す。
地面は、一層激しく揺れ始める。
●
北伐へ参加した各国首脳陣を含む本隊は、夢幻城から撤退を開始。
しかし、歪虚がそのまま撤退を許す訳がない。
歪虚王を含む追撃部隊は、本隊を追いかけて南下を開始。想像以上に歪虚側の侵攻スピードは早く、このままでは本隊が歪虚王に追いつかれる可能性があった。
そこで人類側が取った作戦は――。
「兄貴、奴さんがこの砦に向かって進んできますぜ」
「……だろうな。ここからでも良く見えるぜ」
連合軍隊長の一人、ドワーフ王ヨアキム(kz0011)は、殿を買って出た。
立候補で隊長になった変わり者で、事実上の味噌っかすと目されていたヨアキム。
しかし、ここの大舞台で体を張る決意をした。
被害を最小限に抑える為には、ここで誰かが歪虚王を相手に時間を稼がなければならない。もし、死ぬのであれば若者よりも自分のような奴がちょうどいい。
辺境ドワーフに伝わる戦装束であるバンカラ姿ではあるが、今日のヨアキムはちょっと本気モードです。
「それで、陽動の連中は?」
「…………ダメだ、発見されてみんなやられちまった」
部下のドワーフは大きく首を振った。
殿として時間を稼ぐ為には、マギア砦で籠城した時のように敵の目をこちらに惹き付けた方が簡単だ。陽動部隊がヴァル砦へ歪虚王を誘導に成功すれば、それだけでも本隊が撤退する時間を稼げる。
――もっとも、マギア砦と違って敵は歪虚王なのだが。
「そうか。あいつらのおかげで敵はこっちに来てくれるって訳だな」
ヨアキムは、空を見上げた。
陽動部隊は一矢報いる事無く歪虚王ビックマーの前に敗れ去ったが、決して無駄死にではない。ヴァル砦へビックマーが歩み寄る時間があるだけ、本隊はより早く撤退する事ができる。
「ヨアキム様。ご要望の品、地下城『ヴェドル』より運搬致しました」
「来たか、給仕」
辺境ドワーフの元で働く敏腕執事キュジィ(kz0078)。
いつもはその顔に笑顔を浮かべているが、今日は一切の笑顔がない。
逆に神妙な面持ちでヨアキムを見つめる。
「給仕じゃありません。キュジィです。
……いえ、ふざけている場合ではありません。何故、『あんな物』をこの砦に運び込まれたのでしょうか」
『あんな物』――それは、帝国から譲り受けた魔導エンジンを元にドワーフ工房で改良を加えられた試作品『ブロート』。魔導エンジンを大型化させた上、大量のマテリアルをエンジン内のポンプで強制的に循環させて高出力を引き出す設計だった。
しかし、ブロートは起動したが最後、停止できない事が判明。おまけに高熱を帯びた挙げ句、大爆発を起こす事が発覚。ヴェドルの倉庫で解体を待っていた完全な失敗作だ。
ヨアキムは、その失敗作をヴァル砦までキュジィに運搬させたのだ。
ブロートの使用目的――それをキュジィが気付かない訳がなかった。
「ヨアキム様、いざという時はブロートを起動させて自爆なさるおつもりですか。
考え直して下さい。あなたは……」
叫びにも見たキュジィの声を、ヨアキムは手で制した。
今、辺境ドワーフが保持する大火力武器はこのブロート以外にない。
ブロートの爆発は、計算上ヴァル砦そのものを吹き飛ばすには十分だ。そして、爆発に巻き込まれれば、無事で済むはずがない。
キュジィの考えは絶対に正しい。ここで命を落とせば、次の戦いへ赴く事はできない。
そんな事は分かってる。
全員が無事に撤退できればどれだけ良いか。
――だが。
「みんなが無事に撤退したとするじゃねぇか。
そうしたら、誰が歪虚王を止めるんだ?
この先にゃ、聖地もカペラが居るノアーラ・クンタウもあるんだぜ」
相手は、あの歪虚王だ。
先日東方で歪虚王の一角を倒せはしたが、今回は事情が違う。
ヨアキムが撤退すれば、歪虚王は南下を継続。その先には聖地リタ・ティトが――ヨアキムの娘カペラがいるノアーラ・クンタウが待っている。
倒す事はできずとも、手傷を負わせて侵攻スピードを落とせれば本隊は帰還できる。
そうすれば、聖地やノアーラ・クンタウを各国の優秀な兵士達が守ってくれる。
ヨアキムは、そう信じていた。
「おめぇら、よく聞け。
こっから先は生き残れる保証はねぇ! 逃げるなら今だ。愛する者がいる奴や死ぬのが怖ぇ奴はキュジィと一緒にノアーラ・クンタウへ戻れ。
ワシは引き留めたりはしねぇ。
だがもし、みんなが明日を迎える為の礎になる覚悟がある奴ぁここでワシと戦って……いや、ワシと一緒に死んでくれ!」
怒声にも似たヨアキムの叫び。
それは命を賭して歪虚王へ立ち向かう覚悟の証でもあった。
「……ヨアキム様。生きて、戻る事を願っております」
項垂れながら呟いたキュジィは、砦脱出を希望する者達を誘導する為に踵を返した。
ヨアキムはキュジィの背中を見送る事もせず、寂しそうに呟いた。
「悪いな。その約束は……できそうにねぇな」
●
「興味深い……実に興味深い」
ヴァル砦から少し離れた場所で、砦を観察していた、マントに包まれた姿の影。
――その名、コーリアスと称した。
「砦へ運び込んだ塊、おそらく切り札と言ったところかな」
あれが一体何なのか。それはコーリアスには分からない。
だが、それがどういう物であれど、『刺激』を求める彼にとって、新しい玩具は、非常に魅力的であった。
「あれがどういう理で動いているのか、興味が湧いてくるな。久々の『刺激』、逃すわけにもいかないな」
玩具が欲しければ、己の手で奪い取るのが筋だ。仮面を被り直し、彼は堂々と表から、砦へと歩み寄る。
「誰だ――」
警戒していた兵士は接近する不審者に対し、武器を構えようとした。その瞬間、彼は地面から突き出した巨大な鉄の拳によって、空中に打ち上げられる。
『不審者』に触れた槍は……一瞬にして錆付き。そして風化する。
「敵しゅ――」
もう一人の兵士の声は、そこで途切れる。兵士は大きく口を開け、空気を必死に吸い込もうとする。まるで、高山の上に投げ出されたかのように。
「やれやれ。面白くないな」
無造作に投げつけられる、結晶の槍が、兵士の喉を貫いた。直後――彼の手が、兵士の身体に触れると。触れられた場所から肉体が、物言わぬ黄金へと変化していく。
「どうせ死ぬのならば、面白い死に様が良かろう?」
倒れる兵士に目を向けようともせず。彼は悠々と、砦の中に向けて侵攻する。だが、僅かな物音を聞き届けたハンターが、彼を迎え撃つ為に出現したのもまた――時間の問題であった。
「ほう、これは雁首を揃えたな…面白くなりそうだ。玩具の入手と同時に、遊んでいこうかね」
いたずら好きな凶光が、その目に煌く。その身体の一部が、銀色の輝きを放つ何かに変わる。
様々な思惑を呑み込みながら、決死の撤退戦が始まろうとしていた。
『それ』が歩く度に、辺境の大地は激しく揺れ動く。
浄化されて通り道となっていた人類の道を、逆に南下していく。
『それ』の前では障害と認識すらされていない。
足下には、薙ぎ倒された木々や崩された山。
そして――かつては人間だったであろう潰れた肉塊。
すべての物が、等しく平等に無価値で無意味であった。
「ヒュー! 小さいながらも頑張ってくれちゃって~。面倒ったらありゃしねぇ」
『それ』――ビックマーは片足を上げながらそう呟いた。
ビックマーの外見は王冠とマントを羽織ったクマのぬいぐるみに近い。
手足も体と比較してそれ程長くも無い。年頃の少女が小脇に抱えていれば、可愛らしさが引き立つだろう。
しかし、問題はその大きさだ。
ビックマーは城や山よりも遙かに巨大な体躯を持っていた。かの東方にて大暴れした歪虚王『九尾』よりも巨大な体。それが夢幻城より飛び出したかと思えば、人類圏に向けて南下を開始。既に撤退を開始している人類を追撃するかのように、ビックマーは一歩ずつ前へと突き進む。
「おいおい。これでも俺様はきれい好きなんだぜ?
足の裏を汚されちゃ-、堪らねぇよ。おうち帰ってゆっくり眠りな……ってもう無理だったな。すまんすまん」
独り言で軽口を叩くビックマー。
そこへビックマーの頭の上に乗っていた少女――ビックマーの王冠に寄りかかり、半ば寝ぼけ眼の少女――がぽつりと呟く。
「……もう帰ろう」
「まだエンジンもかかってない……ん? ありゃ、なんだ?」
ビックマーは目を凝らした。
石造りの建物だが、よく見れば人影が動いているように見受けられる。
大方、あそこでビックマーを迎え撃とうというのだろう。
「砦、だな。
よく見れば、人間が何やら準備してやがる。盛大なパーティーの準備ってところだな。
本当、ご苦労なこった」
軽くため息をつくビックマー。
ここでスルーしても構わないが、せっかく人間がパーティーを準備してくれているんだ。主役として参加してやらなければ可哀想というものだ。
ところが頭の上にいる少女は、パーティーに何の興味も示さない。
「……ねむいの」
「おいおいここからが本番だぜ? ダンディな俺様の活躍、見逃すなよ。
朝までダンスって訳にゃいかないが、チークタイムはムード満点に頼むぜ」
ビックマーは砦に向かって歩み出す。
地面は、一層激しく揺れ始める。
●
北伐へ参加した各国首脳陣を含む本隊は、夢幻城から撤退を開始。
しかし、歪虚がそのまま撤退を許す訳がない。
歪虚王を含む追撃部隊は、本隊を追いかけて南下を開始。想像以上に歪虚側の侵攻スピードは早く、このままでは本隊が歪虚王に追いつかれる可能性があった。
そこで人類側が取った作戦は――。
「兄貴、奴さんがこの砦に向かって進んできますぜ」
「……だろうな。ここからでも良く見えるぜ」
連合軍隊長の一人、ドワーフ王ヨアキム(kz0011)は、殿を買って出た。
立候補で隊長になった変わり者で、事実上の味噌っかすと目されていたヨアキム。
しかし、ここの大舞台で体を張る決意をした。
被害を最小限に抑える為には、ここで誰かが歪虚王を相手に時間を稼がなければならない。もし、死ぬのであれば若者よりも自分のような奴がちょうどいい。
辺境ドワーフに伝わる戦装束であるバンカラ姿ではあるが、今日のヨアキムはちょっと本気モードです。
「それで、陽動の連中は?」
「…………ダメだ、発見されてみんなやられちまった」
部下のドワーフは大きく首を振った。
殿として時間を稼ぐ為には、マギア砦で籠城した時のように敵の目をこちらに惹き付けた方が簡単だ。陽動部隊がヴァル砦へ歪虚王を誘導に成功すれば、それだけでも本隊が撤退する時間を稼げる。
――もっとも、マギア砦と違って敵は歪虚王なのだが。
「そうか。あいつらのおかげで敵はこっちに来てくれるって訳だな」
ヨアキムは、空を見上げた。
陽動部隊は一矢報いる事無く歪虚王ビックマーの前に敗れ去ったが、決して無駄死にではない。ヴァル砦へビックマーが歩み寄る時間があるだけ、本隊はより早く撤退する事ができる。
「ヨアキム様。ご要望の品、地下城『ヴェドル』より運搬致しました」
「来たか、給仕」
辺境ドワーフの元で働く敏腕執事キュジィ(kz0078)。
いつもはその顔に笑顔を浮かべているが、今日は一切の笑顔がない。
逆に神妙な面持ちでヨアキムを見つめる。
「給仕じゃありません。キュジィです。
……いえ、ふざけている場合ではありません。何故、『あんな物』をこの砦に運び込まれたのでしょうか」
『あんな物』――それは、帝国から譲り受けた魔導エンジンを元にドワーフ工房で改良を加えられた試作品『ブロート』。魔導エンジンを大型化させた上、大量のマテリアルをエンジン内のポンプで強制的に循環させて高出力を引き出す設計だった。
しかし、ブロートは起動したが最後、停止できない事が判明。おまけに高熱を帯びた挙げ句、大爆発を起こす事が発覚。ヴェドルの倉庫で解体を待っていた完全な失敗作だ。
ヨアキムは、その失敗作をヴァル砦までキュジィに運搬させたのだ。
ブロートの使用目的――それをキュジィが気付かない訳がなかった。
「ヨアキム様、いざという時はブロートを起動させて自爆なさるおつもりですか。
考え直して下さい。あなたは……」
叫びにも見たキュジィの声を、ヨアキムは手で制した。
今、辺境ドワーフが保持する大火力武器はこのブロート以外にない。
ブロートの爆発は、計算上ヴァル砦そのものを吹き飛ばすには十分だ。そして、爆発に巻き込まれれば、無事で済むはずがない。
キュジィの考えは絶対に正しい。ここで命を落とせば、次の戦いへ赴く事はできない。
そんな事は分かってる。
全員が無事に撤退できればどれだけ良いか。
――だが。
「みんなが無事に撤退したとするじゃねぇか。
そうしたら、誰が歪虚王を止めるんだ?
この先にゃ、聖地もカペラが居るノアーラ・クンタウもあるんだぜ」
相手は、あの歪虚王だ。
先日東方で歪虚王の一角を倒せはしたが、今回は事情が違う。
ヨアキムが撤退すれば、歪虚王は南下を継続。その先には聖地リタ・ティトが――ヨアキムの娘カペラがいるノアーラ・クンタウが待っている。
倒す事はできずとも、手傷を負わせて侵攻スピードを落とせれば本隊は帰還できる。
そうすれば、聖地やノアーラ・クンタウを各国の優秀な兵士達が守ってくれる。
ヨアキムは、そう信じていた。
「おめぇら、よく聞け。
こっから先は生き残れる保証はねぇ! 逃げるなら今だ。愛する者がいる奴や死ぬのが怖ぇ奴はキュジィと一緒にノアーラ・クンタウへ戻れ。
ワシは引き留めたりはしねぇ。
だがもし、みんなが明日を迎える為の礎になる覚悟がある奴ぁここでワシと戦って……いや、ワシと一緒に死んでくれ!」
怒声にも似たヨアキムの叫び。
それは命を賭して歪虚王へ立ち向かう覚悟の証でもあった。
「……ヨアキム様。生きて、戻る事を願っております」
項垂れながら呟いたキュジィは、砦脱出を希望する者達を誘導する為に踵を返した。
ヨアキムはキュジィの背中を見送る事もせず、寂しそうに呟いた。
「悪いな。その約束は……できそうにねぇな」
●
「興味深い……実に興味深い」
ヴァル砦から少し離れた場所で、砦を観察していた、マントに包まれた姿の影。
――その名、コーリアスと称した。
「砦へ運び込んだ塊、おそらく切り札と言ったところかな」
あれが一体何なのか。それはコーリアスには分からない。
だが、それがどういう物であれど、『刺激』を求める彼にとって、新しい玩具は、非常に魅力的であった。
「あれがどういう理で動いているのか、興味が湧いてくるな。久々の『刺激』、逃すわけにもいかないな」
玩具が欲しければ、己の手で奪い取るのが筋だ。仮面を被り直し、彼は堂々と表から、砦へと歩み寄る。
「誰だ――」
警戒していた兵士は接近する不審者に対し、武器を構えようとした。その瞬間、彼は地面から突き出した巨大な鉄の拳によって、空中に打ち上げられる。
『不審者』に触れた槍は……一瞬にして錆付き。そして風化する。
「敵しゅ――」
もう一人の兵士の声は、そこで途切れる。兵士は大きく口を開け、空気を必死に吸い込もうとする。まるで、高山の上に投げ出されたかのように。
「やれやれ。面白くないな」
無造作に投げつけられる、結晶の槍が、兵士の喉を貫いた。直後――彼の手が、兵士の身体に触れると。触れられた場所から肉体が、物言わぬ黄金へと変化していく。
「どうせ死ぬのならば、面白い死に様が良かろう?」
倒れる兵士に目を向けようともせず。彼は悠々と、砦の中に向けて侵攻する。だが、僅かな物音を聞き届けたハンターが、彼を迎え撃つ為に出現したのもまた――時間の問題であった。
「ほう、これは雁首を揃えたな…面白くなりそうだ。玩具の入手と同時に、遊んでいこうかね」
いたずら好きな凶光が、その目に煌く。その身体の一部が、銀色の輝きを放つ何かに変わる。
様々な思惑を呑み込みながら、決死の撤退戦が始まろうとしていた。
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サポート一覧
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/11/07 20:02:15 |
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【行先表明卓】 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/07 19:57:50 |
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【質問卓】 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 15:34:08 |
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【怠惰王戦総合相談卓】 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 18:54:43 |
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![]() |
【コーリアス対応相談卓】 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 18:38:54 |
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![]() |
【ビックマー対応相談卓】 Uisca=S=Amhran(ka0754) エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/11/08 18:57:32 |