ゲスト
(ka0000)
地中に潜む影
マスター:神崎結衣

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/04 19:00
- 完成日
- 2014/08/11 06:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「あのムカデがまた出たらしいじゃねえか。地面の中からいきなり襲ってくるってんだから怖いもんだぜ」
「ああ、あの道は通れねえな……。遠回りになっちまうが、命には代えられねえ」
とある町の酒場は最近その話題で持ちきりだった。住人や商人がよく利用する道に、最近ムカデ型の雑魔が出没するようになったのだ。
その雑魔は普段は地面に潜っていて見えないが、人が通ると突然地中から体当たりをしかけてくるという。既に通行止めになっているのだが、迂回路があまりに遠いためか、「自分だけは大丈夫だろう」とこっそり通ろうとする人が後を絶たず、犠牲者は増え続けていた。
「生身で通る気にはならねえけど、馬に乗っていけばさっと通れねえかな」
「やめとけ。この間、三匹に一斉に狙われて馬車が粉々になったって聞いた。逃げようとした馬もだめだったらしい。どこにいても一瞬で追いつかれるってよ」
酒を傾けながら飛び交う噂話は、多少の誇張を含んではいても概ね事実である。襲われた人はほぼ確実に悲惨な結末になるのだが、それを遠くから見ていた人が町に戻って伝えた内容が広まっているのだ。
その雑魔は瞳の色が青色、赤色、金色の三匹おり、時にばらばらに、時に一斉に襲ってくる。その動きは素早く、狙いは正確で、とても逃げ切れるものではない。馬車から放り出された人が恐怖にうずくまっていると雑魔は息をひそめ、逃げようとすると即座に姿を現す――などなど。
「まじか……。さっさと退治してくれないもんかね」
「全くだよ。そういえばあのムカデは音に反応するって言って、兵士が拡声器で大声出したり岩投げたりしておびき寄せて倒そうとしたらしいんだが、何度やっても出てこなかったって話だ。帰ろうとして歩き出したら襲われたらしいが……」
「ああ、あの道は通れねえな……。遠回りになっちまうが、命には代えられねえ」
とある町の酒場は最近その話題で持ちきりだった。住人や商人がよく利用する道に、最近ムカデ型の雑魔が出没するようになったのだ。
その雑魔は普段は地面に潜っていて見えないが、人が通ると突然地中から体当たりをしかけてくるという。既に通行止めになっているのだが、迂回路があまりに遠いためか、「自分だけは大丈夫だろう」とこっそり通ろうとする人が後を絶たず、犠牲者は増え続けていた。
「生身で通る気にはならねえけど、馬に乗っていけばさっと通れねえかな」
「やめとけ。この間、三匹に一斉に狙われて馬車が粉々になったって聞いた。逃げようとした馬もだめだったらしい。どこにいても一瞬で追いつかれるってよ」
酒を傾けながら飛び交う噂話は、多少の誇張を含んではいても概ね事実である。襲われた人はほぼ確実に悲惨な結末になるのだが、それを遠くから見ていた人が町に戻って伝えた内容が広まっているのだ。
その雑魔は瞳の色が青色、赤色、金色の三匹おり、時にばらばらに、時に一斉に襲ってくる。その動きは素早く、狙いは正確で、とても逃げ切れるものではない。馬車から放り出された人が恐怖にうずくまっていると雑魔は息をひそめ、逃げようとすると即座に姿を現す――などなど。
「まじか……。さっさと退治してくれないもんかね」
「全くだよ。そういえばあのムカデは音に反応するって言って、兵士が拡声器で大声出したり岩投げたりしておびき寄せて倒そうとしたらしいんだが、何度やっても出てこなかったって話だ。帰ろうとして歩き出したら襲われたらしいが……」
リプレイ本文
●巨大ムカデの叩き方
「今回の雑魔はちょっと判断力たかいかも。数歩進んで停止だと怪しむかもだよ。最初は大きく動いて欲しいな」
「どうだろう、こちらを見つけ次第すぐ出てくるんじゃないか? あと戦闘に備えた準備も同時にしておきたいから――」
ムカデの出現地点に向かっている最中、一行は作戦を立てていた。メイム(ka2290)と柊 真司(ka0705)も、敵の誘き出し方について意見を交わしている。
「地中に潜む敵は足音で地上の標的を察知しているようだ」というのが一行の概ねの見解であり、囮役と攻撃役、拘束役で役割分担をすることになった。
「幾ら地中に潜っていても奴らが攻撃する瞬間、そこにチャンスがあるはずなんだ」
「動きは随時観察しておいて、攻撃してくる向きも予測したいわね」
キヅカ・リク(ka0038)とジェーン・ノーワース(ka2004)は、誘い出した敵に効率よく攻撃することについて話していた。
「攻撃を集中させないといけないから、牽制射撃で攻撃を当てやすくしとかないとな」
「妾はムカデが潜らないよう縛り上げることを狙うでございます」
地中に潜ったり地上に出たりを繰り返す敵に時間をかけるのは面倒である。伊勢 渚(ka2038)とガルヴァート=キキ(ka2082)も、地上に出てきた時に攻撃を集中させるか、あるいは潜れないように拘束するかという話をしていた。
そうこうしている間に、一行の目の前には不自然な穴が幾つも開いたエリアが姿を現した。
●ムカデ退治
まずリクと真司が囮となり、少し離れて並び一直線に進んだ。リクはムカデが足元から抜ける障害になるように構えていた盾を地面に突き刺し、真司は敵の攻撃に備えて身体能力を強化しておく。リクは帯電したかのように電流線のオーラを纏っていた。
その後ろに、敵が出現したときに即座に攻撃できる間合いを保つように他の四人が続いた。
最初の邂逅は早く、一行はまだ数メートルしか進んでいなかった。
真司の足元から地鳴りのような音が聞こえた瞬間、赤い瞳の虫が右側から勢いよく飛び出してきた。
大きくもたげた頭、延々と連なる胴、そこから生えた大量の細い足。聞いた通り、異様に大きなムカデである。
「よし、誘い出せたな」
幸いにも狙いが逸れたらしく、真司はムカデの体当たりを食らうことはなかったため、すぐに魔導拳銃で攻撃した。
「動きが隙だらけだね」
その横から、リクも直線的な動きを予想して頭を狙って発砲した。
「畑でも害虫は駆除してるんだが……コレくらいのヤツはごめんだな、土地が枯れちまうよ」
渚は牽制射撃を行い、ムカデの注意を逸らした。
その隙にキキは七節棍が届く地点に移動し、鞭のように操ってムカデを縛り上げようとした。その攻撃は常より強力にムカデの胴に絡みついたものの、拘束には至らなかった。
メイムも先頭の二人の攻撃の隙を狙い、鞭で拘束を目指して攻撃した。こちらも鋭い一撃となったが、ムカデの足を引きちぎってしまい、拘束することは出来なかった。
素早くムカデに近づきスピアを振るったジェーンも、ばらばらと足を切り裂いていく。
一連の攻撃を食らったムカデは、そのまま真司の左側に向かって潜って行った。
再び静寂が訪れた荒野を進む一行は、一体ずつ倒す方が良さそうだという考えの下で赤い瞳のムカデを追って歩いた。渚は時折隠密して周囲を確認し、狙い撃つ機会を狙っていた。ジェーンも囮役から目を離さないようにしつつも近くの穴を気にしながら進んでいく。
しかし赤い瞳のムカデはそれなりに遠くに行ってしまったらしい。次に現れたのはまた別の個体であった。
再び地面が蠢いたかと思うと、真司の前方からは青い瞳のムカデ、リクの右側からは金色の瞳のムカデが同時に姿を現し、それぞれ真司とリクにぶつかってきた。
「そっちを先に叩いて!」
リクが青い瞳のムカデを優先して攻撃するように呼びかける。
金色の瞳のムカデの体当たりの勢いは、地面に刺さった盾によって少々弱まっていた。リクはそのまま盾を地面から抜いて構え、敢えて攻撃を受けた。
真司もフェンスシールドで攻撃を受けつつ、目の前のムカデに発砲した。
「さあ、今度こそ捕まえるよ!」
「縛り上げるでございます」
キキとメイムはリクの依頼に従って青い瞳のムカデを拘束しにかかる。胴に絡みつく二人からの攻撃を避けきれなかったムカデは、最終的にはメイムの鞭から抜け出せなくなった。動くことが困難になったムカデは大きく暴れ出す。
ともあれ狙いやすくなった敵に対して、渚は高威力のアサルトライフルにマテリアルを込めて更に強力な弾を撃ち出し、それによるダメージはムカデの生命力を大きく削いだ。
弾丸をすり抜けて敵に接近したジェーンも、威力を高めた一撃を食らわせて一気に倒すことを試みる。
程なくして金色の瞳のムカデはリクの左側に向かって潜って行った。
「逃がさないよ!」
青い瞳のムカデは地中に潜ろうとしたが、拘束から抜け出すことが出来ずにその場に留まった。
メイムはムカデを逃がさないように鞭を強く握りつつ、盾を振って攻撃を試みた。
その横では、キキが七節棍で追撃する。
「弱っているみたいだし、一気に倒すわよ」
先ほどの攻撃でムカデが弱ったと見たジェーンは、その場から動かずに強い一撃を追加で見舞った。
「ああ、一匹ずつ確実に仕留めていこう」
「潜られると引っ張り出すのが面倒だからな」
真司とリクもそれぞれ発砲して胴に穴を開けたり足を落としたりしていく。
「土に還りな、肥やしにしてやるよ」
再び威力を高めた渚の銃弾を浴びたムカデは、一気に動く力を失ったらしい。尾の方からさらさらと砂のように消えていった。
青い瞳のムカデを倒した直後、僅かな音に真司が振り向いた。
「後ろか!」
いつの間にか地中で背後に潜られていたらしい。現れた赤い瞳のムカデの狙いは囮役の二人ではなく、後ろを歩いていたキキだった。
最初に現れたときに受けたダメージで危機感は覚えているのか、ムカデは体当たりではなく強く噛み付いてきた。キキはその威力を意外に弱いように感じたが、一旦動きを制限された。
「拘束されようとした恨みでもあるのでございますか。しかし妾も大人しく捕まりは致しません」
キキは直後に七節棍を顎に向かって打ちつけることで脱出を試み、狙い通りにムカデの顎の力が緩んだところで抜け出すことに成功した。
その後ろの方で振るわれていたメイムの鞭は狙いが僅かに逸れ、ムカデの足先を掠るに留まった。
渚の銃弾は足に、真司の銃弾は胴に命中し、そのときのムカデの反応から次第に弱りつつあることが推測できた。
「囮以外はほとんど動かないようにしていたはずだけどね」
囮である自分にうまく誘き寄せることができなかったため、リクも一気に倒すように攻撃側に入って弾を放つ。
「これでどうかしら」
最後にジェーンがマテリアルを込めた止めの一撃を放つと、赤い瞳のムカデは地中に潜る間も無くその動きを止めた。
その巨大な姿は、最初から何も無かったかのように、空間に溶けて消えていった。
それからしばらくの間地中からの気配は感じられず、真司とリクは他の四人と距離が離れないように周囲の往復を繰り返した。戦闘態勢を整え直したり、周囲を確認したりを数回こなし、ようやく最後の一体が姿を現した。
金色の瞳のムカデは真司に体当たりを仕掛けてきたが、真司はその気配に素早く反応し、横に飛びすさってそれを避けることに成功した。
「これ、モグラたたきみたいだなぁ」
先頭を歩いていたリクがムカデの動きに合わせて狙いを定めて発砲し、確かなダメージを与えていく。
「まったくだわ」
ジェーンは一気に距離を詰め、ムカデの胴にスピアを深く突き刺した。
「一気に倒せれば楽なんだが」
「潜られると手間だしな」
その隣から真司も魔導拳銃の引き金を引き、渚も攻撃と牽制の二発分の弾を放った。
「やはり地下から突然襲いかかってくるのは、脅威でございますね」
「道が穴だらけになっちゃうし!」
それぞれムカデに接近したキキとメイムが、ムカデの拘束を目指して武器を振る。しかしどちらの攻撃もムカデの足に当たり、その巨大な胴体はするりと鞭の間をすり抜けてしまった。
着実に生命力を削ったが倒すには至らず、ムカデは一行の前方に向かって地中に潜って行ってしまった。
金色の瞳のムカデが違う方向に行く前に地上に出てくるよう、真司とリクはやや大きく前進した。
その結果、金色の瞳のムカデとはすぐに再会することになった。
リクの前方に姿を現したムカデは大きく口を開けて噛み付こうとしてきた。リクは銃を構えて口の中を狙って発砲し、常よりも手応えのある攻撃を行うことに成功した。しかし噛み付いてきたのを避けることは出来ず、胴を拘束されて動くことが出来なくなった。
「こちらは気にせず攻撃していいよ」
駆け寄って脱出を手伝おうとした仲間に対してリクが言い、既に弱っているはずのムカデをここで倒すべく、一行は攻撃に移行した。
これまで同様に鞭のように振るわれたキキの七節棍はムカデの胴に巻き付き、その身体を拘束することに成功した。
「妾が押さえておくでございます」
「わかった!」
キキがムカデの拘束に成功したため、メイムは攻撃に集中してウィップで胴を強く打ちつけた。
「悪いな、虫でもオレは容赦しないぞ? 断罪に差別はしない主義だ」
次に渚が放った弾丸が敵に残っていた力を一気に削り取った。
ムカデはその場でリクを離し、地中に潜る間もなく姿を失っていった。
●仕事終わりに
「いやあ、助かりましたよ! ありがとうございます」
依頼主である気の良さそうな中年の男が現場まで足を運んできて、笑顔を浮かべて一行に礼を述べた。
渚は仕事終わりに恒例の煙草を吸いながら、虫の死骸が残らなかったのは良かったと思いつつ目の前に広がる光景を眺めた。
「でも、このままで馬車は通れそうですか?」
同じく真司は、眼前の不自然に穴が開いた道を見渡す。歩いたり、単に馬に乗ったりする場合にはうまく避けながら通れなくもないだろうが、商人が乗るような大きめの馬車は車輪がひっかかりそうに思えた。
「少なくとも道の真ん中にある穴は埋めないといけないでしょうねえ……。通りにくいと苦情が増えても困りますし。ちょっと人を集めてきますよ」
「出来ることがあれば俺も手伝いますよ」
「おや、よろしいので? 人手は多い方が良いですから、お言葉に甘えさせてもらいますよ」
男は真司の申し出にまた頭を下げ、道を補修する人と道具を調達するために町へ戻っていった。
「今回の雑魔はちょっと判断力たかいかも。数歩進んで停止だと怪しむかもだよ。最初は大きく動いて欲しいな」
「どうだろう、こちらを見つけ次第すぐ出てくるんじゃないか? あと戦闘に備えた準備も同時にしておきたいから――」
ムカデの出現地点に向かっている最中、一行は作戦を立てていた。メイム(ka2290)と柊 真司(ka0705)も、敵の誘き出し方について意見を交わしている。
「地中に潜む敵は足音で地上の標的を察知しているようだ」というのが一行の概ねの見解であり、囮役と攻撃役、拘束役で役割分担をすることになった。
「幾ら地中に潜っていても奴らが攻撃する瞬間、そこにチャンスがあるはずなんだ」
「動きは随時観察しておいて、攻撃してくる向きも予測したいわね」
キヅカ・リク(ka0038)とジェーン・ノーワース(ka2004)は、誘い出した敵に効率よく攻撃することについて話していた。
「攻撃を集中させないといけないから、牽制射撃で攻撃を当てやすくしとかないとな」
「妾はムカデが潜らないよう縛り上げることを狙うでございます」
地中に潜ったり地上に出たりを繰り返す敵に時間をかけるのは面倒である。伊勢 渚(ka2038)とガルヴァート=キキ(ka2082)も、地上に出てきた時に攻撃を集中させるか、あるいは潜れないように拘束するかという話をしていた。
そうこうしている間に、一行の目の前には不自然な穴が幾つも開いたエリアが姿を現した。
●ムカデ退治
まずリクと真司が囮となり、少し離れて並び一直線に進んだ。リクはムカデが足元から抜ける障害になるように構えていた盾を地面に突き刺し、真司は敵の攻撃に備えて身体能力を強化しておく。リクは帯電したかのように電流線のオーラを纏っていた。
その後ろに、敵が出現したときに即座に攻撃できる間合いを保つように他の四人が続いた。
最初の邂逅は早く、一行はまだ数メートルしか進んでいなかった。
真司の足元から地鳴りのような音が聞こえた瞬間、赤い瞳の虫が右側から勢いよく飛び出してきた。
大きくもたげた頭、延々と連なる胴、そこから生えた大量の細い足。聞いた通り、異様に大きなムカデである。
「よし、誘い出せたな」
幸いにも狙いが逸れたらしく、真司はムカデの体当たりを食らうことはなかったため、すぐに魔導拳銃で攻撃した。
「動きが隙だらけだね」
その横から、リクも直線的な動きを予想して頭を狙って発砲した。
「畑でも害虫は駆除してるんだが……コレくらいのヤツはごめんだな、土地が枯れちまうよ」
渚は牽制射撃を行い、ムカデの注意を逸らした。
その隙にキキは七節棍が届く地点に移動し、鞭のように操ってムカデを縛り上げようとした。その攻撃は常より強力にムカデの胴に絡みついたものの、拘束には至らなかった。
メイムも先頭の二人の攻撃の隙を狙い、鞭で拘束を目指して攻撃した。こちらも鋭い一撃となったが、ムカデの足を引きちぎってしまい、拘束することは出来なかった。
素早くムカデに近づきスピアを振るったジェーンも、ばらばらと足を切り裂いていく。
一連の攻撃を食らったムカデは、そのまま真司の左側に向かって潜って行った。
再び静寂が訪れた荒野を進む一行は、一体ずつ倒す方が良さそうだという考えの下で赤い瞳のムカデを追って歩いた。渚は時折隠密して周囲を確認し、狙い撃つ機会を狙っていた。ジェーンも囮役から目を離さないようにしつつも近くの穴を気にしながら進んでいく。
しかし赤い瞳のムカデはそれなりに遠くに行ってしまったらしい。次に現れたのはまた別の個体であった。
再び地面が蠢いたかと思うと、真司の前方からは青い瞳のムカデ、リクの右側からは金色の瞳のムカデが同時に姿を現し、それぞれ真司とリクにぶつかってきた。
「そっちを先に叩いて!」
リクが青い瞳のムカデを優先して攻撃するように呼びかける。
金色の瞳のムカデの体当たりの勢いは、地面に刺さった盾によって少々弱まっていた。リクはそのまま盾を地面から抜いて構え、敢えて攻撃を受けた。
真司もフェンスシールドで攻撃を受けつつ、目の前のムカデに発砲した。
「さあ、今度こそ捕まえるよ!」
「縛り上げるでございます」
キキとメイムはリクの依頼に従って青い瞳のムカデを拘束しにかかる。胴に絡みつく二人からの攻撃を避けきれなかったムカデは、最終的にはメイムの鞭から抜け出せなくなった。動くことが困難になったムカデは大きく暴れ出す。
ともあれ狙いやすくなった敵に対して、渚は高威力のアサルトライフルにマテリアルを込めて更に強力な弾を撃ち出し、それによるダメージはムカデの生命力を大きく削いだ。
弾丸をすり抜けて敵に接近したジェーンも、威力を高めた一撃を食らわせて一気に倒すことを試みる。
程なくして金色の瞳のムカデはリクの左側に向かって潜って行った。
「逃がさないよ!」
青い瞳のムカデは地中に潜ろうとしたが、拘束から抜け出すことが出来ずにその場に留まった。
メイムはムカデを逃がさないように鞭を強く握りつつ、盾を振って攻撃を試みた。
その横では、キキが七節棍で追撃する。
「弱っているみたいだし、一気に倒すわよ」
先ほどの攻撃でムカデが弱ったと見たジェーンは、その場から動かずに強い一撃を追加で見舞った。
「ああ、一匹ずつ確実に仕留めていこう」
「潜られると引っ張り出すのが面倒だからな」
真司とリクもそれぞれ発砲して胴に穴を開けたり足を落としたりしていく。
「土に還りな、肥やしにしてやるよ」
再び威力を高めた渚の銃弾を浴びたムカデは、一気に動く力を失ったらしい。尾の方からさらさらと砂のように消えていった。
青い瞳のムカデを倒した直後、僅かな音に真司が振り向いた。
「後ろか!」
いつの間にか地中で背後に潜られていたらしい。現れた赤い瞳のムカデの狙いは囮役の二人ではなく、後ろを歩いていたキキだった。
最初に現れたときに受けたダメージで危機感は覚えているのか、ムカデは体当たりではなく強く噛み付いてきた。キキはその威力を意外に弱いように感じたが、一旦動きを制限された。
「拘束されようとした恨みでもあるのでございますか。しかし妾も大人しく捕まりは致しません」
キキは直後に七節棍を顎に向かって打ちつけることで脱出を試み、狙い通りにムカデの顎の力が緩んだところで抜け出すことに成功した。
その後ろの方で振るわれていたメイムの鞭は狙いが僅かに逸れ、ムカデの足先を掠るに留まった。
渚の銃弾は足に、真司の銃弾は胴に命中し、そのときのムカデの反応から次第に弱りつつあることが推測できた。
「囮以外はほとんど動かないようにしていたはずだけどね」
囮である自分にうまく誘き寄せることができなかったため、リクも一気に倒すように攻撃側に入って弾を放つ。
「これでどうかしら」
最後にジェーンがマテリアルを込めた止めの一撃を放つと、赤い瞳のムカデは地中に潜る間も無くその動きを止めた。
その巨大な姿は、最初から何も無かったかのように、空間に溶けて消えていった。
それからしばらくの間地中からの気配は感じられず、真司とリクは他の四人と距離が離れないように周囲の往復を繰り返した。戦闘態勢を整え直したり、周囲を確認したりを数回こなし、ようやく最後の一体が姿を現した。
金色の瞳のムカデは真司に体当たりを仕掛けてきたが、真司はその気配に素早く反応し、横に飛びすさってそれを避けることに成功した。
「これ、モグラたたきみたいだなぁ」
先頭を歩いていたリクがムカデの動きに合わせて狙いを定めて発砲し、確かなダメージを与えていく。
「まったくだわ」
ジェーンは一気に距離を詰め、ムカデの胴にスピアを深く突き刺した。
「一気に倒せれば楽なんだが」
「潜られると手間だしな」
その隣から真司も魔導拳銃の引き金を引き、渚も攻撃と牽制の二発分の弾を放った。
「やはり地下から突然襲いかかってくるのは、脅威でございますね」
「道が穴だらけになっちゃうし!」
それぞれムカデに接近したキキとメイムが、ムカデの拘束を目指して武器を振る。しかしどちらの攻撃もムカデの足に当たり、その巨大な胴体はするりと鞭の間をすり抜けてしまった。
着実に生命力を削ったが倒すには至らず、ムカデは一行の前方に向かって地中に潜って行ってしまった。
金色の瞳のムカデが違う方向に行く前に地上に出てくるよう、真司とリクはやや大きく前進した。
その結果、金色の瞳のムカデとはすぐに再会することになった。
リクの前方に姿を現したムカデは大きく口を開けて噛み付こうとしてきた。リクは銃を構えて口の中を狙って発砲し、常よりも手応えのある攻撃を行うことに成功した。しかし噛み付いてきたのを避けることは出来ず、胴を拘束されて動くことが出来なくなった。
「こちらは気にせず攻撃していいよ」
駆け寄って脱出を手伝おうとした仲間に対してリクが言い、既に弱っているはずのムカデをここで倒すべく、一行は攻撃に移行した。
これまで同様に鞭のように振るわれたキキの七節棍はムカデの胴に巻き付き、その身体を拘束することに成功した。
「妾が押さえておくでございます」
「わかった!」
キキがムカデの拘束に成功したため、メイムは攻撃に集中してウィップで胴を強く打ちつけた。
「悪いな、虫でもオレは容赦しないぞ? 断罪に差別はしない主義だ」
次に渚が放った弾丸が敵に残っていた力を一気に削り取った。
ムカデはその場でリクを離し、地中に潜る間もなく姿を失っていった。
●仕事終わりに
「いやあ、助かりましたよ! ありがとうございます」
依頼主である気の良さそうな中年の男が現場まで足を運んできて、笑顔を浮かべて一行に礼を述べた。
渚は仕事終わりに恒例の煙草を吸いながら、虫の死骸が残らなかったのは良かったと思いつつ目の前に広がる光景を眺めた。
「でも、このままで馬車は通れそうですか?」
同じく真司は、眼前の不自然に穴が開いた道を見渡す。歩いたり、単に馬に乗ったりする場合にはうまく避けながら通れなくもないだろうが、商人が乗るような大きめの馬車は車輪がひっかかりそうに思えた。
「少なくとも道の真ん中にある穴は埋めないといけないでしょうねえ……。通りにくいと苦情が増えても困りますし。ちょっと人を集めてきますよ」
「出来ることがあれば俺も手伝いますよ」
「おや、よろしいので? 人手は多い方が良いですから、お言葉に甘えさせてもらいますよ」
男は真司の申し出にまた頭を下げ、道を補修する人と道具を調達するために町へ戻っていった。
依頼結果
依頼成功度 | 普通 |
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面白かった! | 5人 |
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MVP一覧
- 白煙の狙撃手
伊勢 渚(ka2038)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/08/04 18:48:16 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/31 06:43:24 |