ゲスト
(ka0000)
【深棲】刃大蟹の上陸
マスター:蒼かなた

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/08 19:00
- 完成日
- 2014/08/15 18:30
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●出現
冒険都市リゼリオは海岸近くの平地と幾つかの島を含む都市だ。
今、その沖合いにはリアルブルーから世界を超えて漂流してきたサルヴァトーレ・ロッソが停留している。
その自由と冒険が約束された都市に今、大きな危機が迫っていた。
リゼリオに程近い場所に漁村がある。
毎日のように獲れる海の幸をリゼリオへ運んでは商売をしている海に生きる者達が住む村だ。
男達は今日も朝も明けぬうちから何時ものように漁にでていった。
そして何時もであれば昼前に戻ってくるはずなのだが、今日はそれよりもっと早くに漁村の船着場に船が帰ってきていた。
「一体どうしたんだ?」
「いや、それがな。網がこんなになっちまってなぁ」
船から降りてきた男が見せたのはボロボロになって大きな穴の空いてしまい使い物にならなくなった網だった。
丈夫な紐で作っていて大きな魚でもビクともしないものが、まるで鋭利な刃物で切られたかのようにスッパリと切り裂かれている。
「何か大物が掛かった手ごたえがあったんだがな? それで引っ張ったらコレだ」
「何だそりゃ? 海の中にでっかい刃物が泳いでるってか?」
不可解な事態に首を傾げる男達。魚も殆ど獲れておらず踏んだり蹴ったりだと漁に出ていた男は肩を落とす。
「んっ? ありゃなんだ?」
と、その時もう一人の男が海の方向に何かを見た。
そこには海面から黒い球状の物体が浮いていた。いや、波に揺られてもいないところを見ると浮いているというよりは突き出ているように見える。
よく分からない物体に目を細めていた男達だったが、次の瞬間。その球体は海の中に沈んで消えてしまった。
「何だったんだ、今の?」
「さあ? それより――」
男が言葉を続けようとした瞬間である。突然船着場にあった一艘の船が海面から跳ね上げられながら砕け散る。
「な、何だぁ!?」
海水の雨と船の破片が降り注ぐ中で男達が見たのは、二つの黒い双眸を持ち大きな鋏を振り上げた巨大な生物だった。
●ハンターオフィス
「蟹の歪虚?」
「ええ、そうです」
急遽召集されたハンター達にハンターオフィスの職員が説明を始める。
現れたのは今から数時間前。リゼリオ近くの漁村にて突如現れたその蟹の歪虚は船着場にある船を次々に破壊。
それが済むと桟橋を壊し、海上に壊すものがなくなれば今度は浜へと上がり浜辺にあった小屋や浜に上げていた船まで壊し始めた。
ただ只管に破壊を繰り返す。歪虚の特性としてはそれが非常に顕著に現れている個体のようだ。
「現在のところ漁村の家々は無事ですが時間の問題です」
浜辺にある物も全て壊し終えればさらに内陸、次は漁村自体が襲われるのは明らかだった。
早急に対処しないと一つの村が滅びる。ハンター達の責任は重大だ。
「危険な依頼ですが皆さん、宜しくお願いします」
冒険都市リゼリオは海岸近くの平地と幾つかの島を含む都市だ。
今、その沖合いにはリアルブルーから世界を超えて漂流してきたサルヴァトーレ・ロッソが停留している。
その自由と冒険が約束された都市に今、大きな危機が迫っていた。
リゼリオに程近い場所に漁村がある。
毎日のように獲れる海の幸をリゼリオへ運んでは商売をしている海に生きる者達が住む村だ。
男達は今日も朝も明けぬうちから何時ものように漁にでていった。
そして何時もであれば昼前に戻ってくるはずなのだが、今日はそれよりもっと早くに漁村の船着場に船が帰ってきていた。
「一体どうしたんだ?」
「いや、それがな。網がこんなになっちまってなぁ」
船から降りてきた男が見せたのはボロボロになって大きな穴の空いてしまい使い物にならなくなった網だった。
丈夫な紐で作っていて大きな魚でもビクともしないものが、まるで鋭利な刃物で切られたかのようにスッパリと切り裂かれている。
「何か大物が掛かった手ごたえがあったんだがな? それで引っ張ったらコレだ」
「何だそりゃ? 海の中にでっかい刃物が泳いでるってか?」
不可解な事態に首を傾げる男達。魚も殆ど獲れておらず踏んだり蹴ったりだと漁に出ていた男は肩を落とす。
「んっ? ありゃなんだ?」
と、その時もう一人の男が海の方向に何かを見た。
そこには海面から黒い球状の物体が浮いていた。いや、波に揺られてもいないところを見ると浮いているというよりは突き出ているように見える。
よく分からない物体に目を細めていた男達だったが、次の瞬間。その球体は海の中に沈んで消えてしまった。
「何だったんだ、今の?」
「さあ? それより――」
男が言葉を続けようとした瞬間である。突然船着場にあった一艘の船が海面から跳ね上げられながら砕け散る。
「な、何だぁ!?」
海水の雨と船の破片が降り注ぐ中で男達が見たのは、二つの黒い双眸を持ち大きな鋏を振り上げた巨大な生物だった。
●ハンターオフィス
「蟹の歪虚?」
「ええ、そうです」
急遽召集されたハンター達にハンターオフィスの職員が説明を始める。
現れたのは今から数時間前。リゼリオ近くの漁村にて突如現れたその蟹の歪虚は船着場にある船を次々に破壊。
それが済むと桟橋を壊し、海上に壊すものがなくなれば今度は浜へと上がり浜辺にあった小屋や浜に上げていた船まで壊し始めた。
ただ只管に破壊を繰り返す。歪虚の特性としてはそれが非常に顕著に現れている個体のようだ。
「現在のところ漁村の家々は無事ですが時間の問題です」
浜辺にある物も全て壊し終えればさらに内陸、次は漁村自体が襲われるのは明らかだった。
早急に対処しないと一つの村が滅びる。ハンター達の責任は重大だ。
「危険な依頼ですが皆さん、宜しくお願いします」
リプレイ本文
●刃大蟹の進攻
ハンター達が転移門から転移してきたのは冒険都市リゼリオ近くの漁村の浜辺だった。
彼らの目の前には今まさに刃大蟹が巨大な鋏を振り上げ陸に上げられていた船を叩き壊した瞬間だった。
「へぇ~、アレがカニかぁ……カニって食べられるんだよね?」
少し遠目から眺める巨大な蟹の姿にウーナ(ka1439)はふと思った率直な意見を口から滑らせる。
「蟹は肉よりもダシが美味いでシュ!」
それに合わせる様にシュマ・グラシア(ka1907)も頷きながら蟹の美味しさを思い出している。
しかし今目の前にいる刃大蟹は見た目も無骨で色合いも含めてグロテスクだ。とても食欲が湧くような姿には見えない。
「さぁて、作戦開始だ!」
エヴァンス・カルヴィ(ka0639)の掛け声と共にハンター達が行動を開始する。
エヴァンスは蟹の前に躍り出ると注意を引こうと手にしたその大剣を目の前で振り回す。
「漁師の方々の営みがかかってます。此処を通すわけにはいきません」
その隣で同じく大剣を構えたミリア・コーネリウス(ka1287)も立ち塞がる。
それに続くようにノノトト(ka0553)も蟹の正面に立ち、身の丈以上もある盾を構える。
「た、盾で止められたら、いいんだけど……」
しかし対比してみれば刃大蟹の右の鋏はその盾以上な大きさをしている。
ノノトトはそれを見て少し動じるが果敢にその盾を構えたままその場で足に力を入れる。
刃大蟹は目の前に現れた3人にじぃと黒い眼球を向けるが、あまり興味がないのか遠くに見える漁村へと目をやっているように見える。
その頃、後方ではエリス・カルディコット(ka2572)が黄色い色したビニール製の風船に息を吹き込んでいる。みるみるうちに膨らんだそれは2メートル近くになるバナナボートだった。
「さあ、連結してみましょうかぁ」
おっとりとした口調でフィーネル・アナステシス(ka0009)も持ってきたバナナボートを紐で結んでいく。
「私の分もお願いしますね」
佐倉 桜(ka0386)も持ってきたバナナボートを側に置いて刃大蟹の元へと向かう。
彼女が手にした宝玉のついた杖を振るうと、淡い光が灯り前衛として刃大蟹の前に立つエヴァンスとミリアに守りの加護が宿る。
「シュマもやっちゃいまシュよ」
シュマも短い杖を振るうとノノトトの体に周囲の砂が簡易的に纏わりつきマテリアルの加護が施される。
刃大蟹は目の前にいる3人を進行の邪魔だと判断したのか右腕の大鋏を振り上げてそのまま地面に叩きつける。
「うぉっ、ぺっぺっ。大した威力じゃねぇか」
叩きつけられた衝撃で砂が巻き上げられてエヴァンスは顔に被った砂を払う。
「あんなの喰らったらぺっちゃんこだよ」
ノノトトは砂場に出来た大きなへこみを見てぶるっと背筋を振るわせる。
そこで動じずに一歩踏み込んだのはミリアだった。振りかぶった大剣を蟹の胴体向けて叩きつける。
「つぅ! 硬いですね」
しかし手ごたえはなく寧ろ叩きつけた大剣ごしに伝わってきた反動がミリアの手を痺れさせる。
刃大蟹のほうも今の一撃に堪えた様子も無く、左右の鋏を横に大きく降りまわして正面にいる3人を薙ぎ払う。
「くそっ、適当にあしらう気か? 泣けるぜ……ライアンっ」
エヴァンスがそう声をかけると後ろに控えていた柴犬が吠えて一歩前に出る。
剣を構えなおしたエヴァンスは蟹へ接近し、それにあわせるようにライアンも蟹の脚に飛び掛る。
叩きつけた剣はまるで岩でも殴ったかのような感触だ。だが僅かながらに傷をつけることには成功した。
一方ライアンも蟹の脚に喰らいついたが岩に噛み付いたようなもので全く歯が立たず、刃大蟹もうっとおしいと思ったのか左の鋏で殴りつけライアンは砂浜へと叩きつけられた。
「ライアンっ!?」
「うわわ、そっちいっちゃダメー!?」
エヴァンスがペットのライアンに気をとられたところで刃大蟹は前進を開始しようとする。
それにノノトトがまた正面に立ちふさがる。刃大蟹はまたかといったように右の鋏を振りかぶって振り下ろす。
ノノトトの持つ盾と岩のように硬い鋏がぶつかり火花を散らす。物凄い重圧がノノトトを襲い思わず膝をついてしまう。
「わわっ、ちょっとお手伝いしたほうがいいかなぁ?」
砂浜を走って滑り込んだウーナが新調したばかりのアサルトライフルを構える。
タタタンっと軽い銃声と共に複数の弾丸が吐き出される。左の鋏に着弾した弾はビシと鋏にめり込むがへこませた程度だ。
しかしそれは思いの他に気を引いたのか刃大蟹がウーナに黒い瞳をギョロリと向ける。
「あ、あっれー?」
牽制のつもりが予想以上に気を引いてしまたことにウーナはたらりと冷や汗を流して後ずさる。
と、その時である。ウーナの後方で黄色い大きな物体が立ち上がった。
「完成いたしました!」
「さあ、こちらですよ」
エリス達が行っていたバナナボートの連結がやっと終わったのだ。
6メートル近い黄色い物体になったそれをフィーネルと桜で支えながら立ち上がらせてゆらゆらと揺らす。
ウーナを見ていた刃大蟹の黒く丸い球体上の眼がその大きく揺れるバナナボートへと向けられる。
そしてザッザザッと砂を蹴りながら刃大蟹はその黄色く大きい物体に向かって前進を始めたのだった。
●鋏と刃の攻防
「わわっ、こっちにきましたよ」
桜はバナナボートを引っ張りながら漁村から離れようと走る。
それを追う様に刃大蟹も砂浜を走る。その距離はあっという間に縮まってすぐに蟹の射程内へと収まる。
「皆さんしゃがんでくださいっ!」
エリスがそう言うとバナナボートを引っ張っていたフィーネルと桜は手を離して砂浜に倒れこむ。
それと同時に刃大蟹の右腕が横薙ぎに振るわれて3つの連結されたバナナボートがパンと音をたてて破裂した。
砂浜に倒れこんだ3人はなんとかかすり傷で済んだがもう少しであの大鋏に弾き飛ばされるところだった。
しかしこれで漁村からはそこそこの距離を取ることは出来た。作戦としては成功である。
刃大蟹は目標を破壊できたからか少し間を置いて、次に壊すべき目標を黒い目玉をギョロギョロと動かして探す。
「さあ、エヴァンスさん。今度こそ私達の力を見せてあげましょう」
「おう、任せろっ」
ミリアとエヴァンスは左右に分かれそれぞれの脚に大剣を叩きつける。
やはり岩を殴りつけたような感触しかしないが、ビキリと何かが割れるような音が聞こえた気がした。
「これならどうでシュか」
シュマが胸元で杖を構えるとその周囲に幾つものマテリアルの渦が発生しそこの拳大の石が召喚される。
杖を正面に向けると石の飛礫が刃大蟹へと向かいガツンと大きな衝撃を与えた。
「ギュオオォォ」
と、そこで初めて刃大蟹が雄たけびを上げる。
8本の脚を何度も地面に突き刺し、両鋏を地面に叩きつける。
それが何のポーズなのか分からないが明らかにハンター達へ敵意を向けた様子だった。
そこに横合いから一本の火の矢が飛び蟹の脚の一本を炎で包む。
「うーん、焼き蟹にするにはまだ火力がたりませんねぇ」
フィーネルはさらに距離を取りつつ次の呪文の詠唱に入る。
さらに一発の銃弾が刃大蟹の脚の関節へと突き刺さる。その攻撃は刃大蟹にダメージを与えたようでその脚を大きく振り上げた後に力を失くしたようにだらりと垂れ下げる。
「よし、やっぱり蟹なら関節部を狙えば――っ!」
魔導銃を構えたエリスが次の弾を撃ち込もうとした瞬間、蟹の体がこちらに向くのが見えた。
さらにその口元ではぶくぶくと何かが泡立ち、それが次第に加速する。
「カルディコットさんっ!」
桜は慌てて守護の光をエリスに纏わせる。それから一間も置かぬ間に蟹の口元から青白い水が高速で吐き出されそれがエリスを直撃する。
桜からの加護があっても物凄い衝撃を受け踏ん張ることも許されずエリスの体は弾き飛ばされ砂浜の上を転がる。
「く……うぅ。油断しちゃった」
「大丈夫ですか!」
倒れたエリスに桜が駆け寄る。彼女の手のひらに淡い光が宿るとそれをエリスに押し当てマテリアルを活性化させ治療を行う。
「ピンチをチャンスにしますよ」
そこにミリアが飛び込む。刃大蟹は水を吐き出した体勢のまま固まっており隙がある。
ミリアの大振りの大剣が刃大蟹が体を固定する為に地面に突き立てていた脚の一本に打ち付けられる。
関節を捉えた分厚い刃は亀裂を生み、比較的に薄いその関節部の殻を砕く、
「動かないんなら狙い放題だね」
ウーナも砂浜で膝立ちになってライフルを構え、関節部を狙って引き金を引く。
放たれた数発の弾丸のいくつかは殻の曲面に弾かれるが、一発の弾丸が関節の間を捉えその内部へと食い込む。
傷口から紫色の体液を撒き散らし、刃大蟹は咆哮のような声を上げながら暴れまわる。
「あっ、危ないっ」
刃大蟹が振り回す右の大鋏がエヴァンスに迫ったとき、ノノトトは盾を構えてそこに割り込む。
振り回された大鋏の衝撃は予想を超え、ノノトトは盾で防ぎつつも踏ん張りが利かず足が浮き砂浜の離れたところに弾き飛ばされる。
さらに刃大蟹の振るった左の鋏がエヴァンスをも弾き飛ばされた。しかしその衝撃の瞬間に赤褐色のエルフの女性の幻影が彼の背後に現れ何か祈りの仕草をする。
「くそっ……なんだか知らんが助かったのか?」
そして正面に残ったミリアに刃大蟹は右の大鋏を開き掴みかかった。
「くぅっ! これは不味いかもっ」
ミリアは辛うじて大剣を挟み込んでそのまま押し潰されることは免れたがこのままではそれも時間の問題だろう。
ギリギリと徐々に締め付けられていく鋏にミリアは一瞬死の予感を悟る。しかし、その時に急にミリアの胸元から光が溢れ球状の光の膜に覆われる。
その光に眼がくらんだのか刃大蟹は右の大鋏の力を緩めてしまいその瞬間にミリアも解放され砂浜へと落ちる。
「関節でシュ。滅多打ちにするのでシュ!」
シュマの周囲に幾つモノ石が召喚され、次々に脚の関節部分を狙って衝撃を与える。
その一発が殻を砕き、ぐちゅりと紫色の繊維をした肉質を顕にしさらに体液が溢れてくる。
「うっ、あれは食べられそうにないでシュ……」
「好機必殺。一気に行きますよ。炎と石礫、どちらがお嫌いですか?」
フィーネルもそれにあわせて炎と石の飛礫を飛ばす。刃大蟹は眼球に迫った飛礫を左の鋏で防ぐと、ビキリと小さな皹が入る。
そこで桜はやや側面に回りこんでロッドを翳す。そこにマテリアルが収束し光の弾丸となって放たれる。
光の弾丸は一直線に飛び、桜の狙い通りに刃大蟹の眼球を捉えた。
「フシャアアアアッ!?」
これまでにない悲鳴をあげる刃大蟹は両方を鋏を振り回し周囲のハンター達を遠ざける。
さらにぶくぶくと口元で音を鳴らし始めた。
「っ! 来ます、避けて!」
エリスは先ほど受けた一撃を思い出し全員に注意を喚起する。
ハンター達が射線から離れた瞬間に青白い激流が縦一直線に砂浜に跡を残す。
「今がチャンスだぜっ」
先ほどと同じく水流を吐き出した体勢で固まった刃大蟹に、エヴァンスは剣の切っ先を向け突撃する。
狙いは皹が入っている脚の関節。突き刺した大剣が殻を破り、そこを抉ることによって脚の肉ごと斬り飛ばす。
ミリアももう片側の脚を狙い大剣を叩きつけて殻を砕きその身を露出させる。
「本当に硬い場所ばかりなんだから。これならどう!」
ウーナの放った弾丸は甲羅や脚の殻の固い部分に跳ね返り、下腹部の腹の部分へと突き刺さる。
そこは容易に殻が砕け紫色の体液がボタボタとあふれ出ていく。
「よしっ、やっぱりお腹の辺りの殻は薄いみたいね」
刃大蟹が刃のついた脚を振り回すがそれはノノトトの構えた盾で防ぎ仲間を守る。
「しつこいカニでシュね。次は焼きガニでシュ!」
シュマが杖を振るうと炎の矢が飛び刃大蟹の甲羅の上で炸裂する。
そこにフィーネルの放ついくつもの石飛礫が炸裂し硬い甲羅に皹が入っていく。
「皹が入ってきてます。もう一押しですよ!」
エリスの放つ銃弾がさらに刃大蟹の脚の関節を砕いてその動きを鈍らせる。
しかし数本の脚が砕けようが暴れる、いや破壊するのを止めようとはしない。
狂気の歪虚はまさに狂ったようにその身が朽ちるまで戦いつけるのだ。
振るわれた脚の刃に砂が舞い、後衛の視界が一時的に遮られる。その瞬間にあの巨体がどこかへと一瞬で姿を消していた。
「あれっ、どこいっちゃったのっ!」
「危ない、上だよー!」
ノノトトの声に頭上を見上げるとそこには影ができ、あの巨体が今まさに落下してきていた。
あの巨体で砂場から跳躍し後衛にいたハンター達を押しつぶしにかかったのだ。
誰も直撃して押し潰されはしなかったもののその衝撃は凄まじく後衛にいた皆は吹き飛ばされ砂浜に投げ出される。
しかしその攻撃は無理をしていたのか刃大蟹の体中の罅から紫色の体液が滲み出る。
「えぇい、いい加減に観念しろぉ!」
後ろから迫ったエヴァンスが隙だらけの片脚に斬撃を叩きつけその脚をへし折る。
「ヴゥオオ……オォ」
苦しみの声なのか途切れ途切れの声を洩らしながらも、刃大蟹は右の大鋏を振り上げてフィーネルに向けて振り下ろす。
ガン、ガンと押しつぶすために何度も叩きつけられる。
「くぅっ、この間から、こんな場面が多いですねぇ」
悪態をつくもそれ以上の余裕はない。とさらにもう一発と振り下ろされた衝撃が先程より軽くなる。
「ボ、ボクだって防げるんだっ」
フィーネルの隣に立ったノノトトが盾を構えてその攻撃を防ぐのを手伝っている。
「大丈夫ですかお二人とも」
桜の治癒の力が二人を包み失われた体力を取り戻させる。
「これで終わりにします。我らの剣に断てぬもの等あんまりありません!」
「そこは何でも断てるって見栄をきっていいと思うぜ!」
側面に回りこんだミリアとエヴァンスがそれぞれの側面の脚をへし折る。
バランスを崩した刃大蟹はずんと砂の上に崩れ落ちるがそれでも尚ももがき続ける。
醜悪な顔の両目をギョロギョロと巡らせてハンター達の視界に捕らえる。
「もうこれでお仕舞いだよ」
「美味しくなさそうだけど、漸く焼きガニの完成でシュ」
大量の弾丸と炎が甲羅の隙間から入り込み内部を蹂躙する。
その一撃に耐えられなかったのか、刃大蟹はついに力尽き掲げていた右の大鋏を砂浜へと沈めた。
●その後
刃大蟹は死んだあと体中から紫色の体液と腐臭を撒き散らすとすぐに溶けるようにして消えてしまった。蟹を食べれるかと期待していた一同は揃って肩を落としている。
何はともあれハンターの活躍により漁村には被害は全くなく依頼は無事に成功したと言っていいだろう。
だが【深棲】の事件はまだまだ続く。ハンター達の仕事はこれからもっと忙しくなることだろう。
ハンター達が転移門から転移してきたのは冒険都市リゼリオ近くの漁村の浜辺だった。
彼らの目の前には今まさに刃大蟹が巨大な鋏を振り上げ陸に上げられていた船を叩き壊した瞬間だった。
「へぇ~、アレがカニかぁ……カニって食べられるんだよね?」
少し遠目から眺める巨大な蟹の姿にウーナ(ka1439)はふと思った率直な意見を口から滑らせる。
「蟹は肉よりもダシが美味いでシュ!」
それに合わせる様にシュマ・グラシア(ka1907)も頷きながら蟹の美味しさを思い出している。
しかし今目の前にいる刃大蟹は見た目も無骨で色合いも含めてグロテスクだ。とても食欲が湧くような姿には見えない。
「さぁて、作戦開始だ!」
エヴァンス・カルヴィ(ka0639)の掛け声と共にハンター達が行動を開始する。
エヴァンスは蟹の前に躍り出ると注意を引こうと手にしたその大剣を目の前で振り回す。
「漁師の方々の営みがかかってます。此処を通すわけにはいきません」
その隣で同じく大剣を構えたミリア・コーネリウス(ka1287)も立ち塞がる。
それに続くようにノノトト(ka0553)も蟹の正面に立ち、身の丈以上もある盾を構える。
「た、盾で止められたら、いいんだけど……」
しかし対比してみれば刃大蟹の右の鋏はその盾以上な大きさをしている。
ノノトトはそれを見て少し動じるが果敢にその盾を構えたままその場で足に力を入れる。
刃大蟹は目の前に現れた3人にじぃと黒い眼球を向けるが、あまり興味がないのか遠くに見える漁村へと目をやっているように見える。
その頃、後方ではエリス・カルディコット(ka2572)が黄色い色したビニール製の風船に息を吹き込んでいる。みるみるうちに膨らんだそれは2メートル近くになるバナナボートだった。
「さあ、連結してみましょうかぁ」
おっとりとした口調でフィーネル・アナステシス(ka0009)も持ってきたバナナボートを紐で結んでいく。
「私の分もお願いしますね」
佐倉 桜(ka0386)も持ってきたバナナボートを側に置いて刃大蟹の元へと向かう。
彼女が手にした宝玉のついた杖を振るうと、淡い光が灯り前衛として刃大蟹の前に立つエヴァンスとミリアに守りの加護が宿る。
「シュマもやっちゃいまシュよ」
シュマも短い杖を振るうとノノトトの体に周囲の砂が簡易的に纏わりつきマテリアルの加護が施される。
刃大蟹は目の前にいる3人を進行の邪魔だと判断したのか右腕の大鋏を振り上げてそのまま地面に叩きつける。
「うぉっ、ぺっぺっ。大した威力じゃねぇか」
叩きつけられた衝撃で砂が巻き上げられてエヴァンスは顔に被った砂を払う。
「あんなの喰らったらぺっちゃんこだよ」
ノノトトは砂場に出来た大きなへこみを見てぶるっと背筋を振るわせる。
そこで動じずに一歩踏み込んだのはミリアだった。振りかぶった大剣を蟹の胴体向けて叩きつける。
「つぅ! 硬いですね」
しかし手ごたえはなく寧ろ叩きつけた大剣ごしに伝わってきた反動がミリアの手を痺れさせる。
刃大蟹のほうも今の一撃に堪えた様子も無く、左右の鋏を横に大きく降りまわして正面にいる3人を薙ぎ払う。
「くそっ、適当にあしらう気か? 泣けるぜ……ライアンっ」
エヴァンスがそう声をかけると後ろに控えていた柴犬が吠えて一歩前に出る。
剣を構えなおしたエヴァンスは蟹へ接近し、それにあわせるようにライアンも蟹の脚に飛び掛る。
叩きつけた剣はまるで岩でも殴ったかのような感触だ。だが僅かながらに傷をつけることには成功した。
一方ライアンも蟹の脚に喰らいついたが岩に噛み付いたようなもので全く歯が立たず、刃大蟹もうっとおしいと思ったのか左の鋏で殴りつけライアンは砂浜へと叩きつけられた。
「ライアンっ!?」
「うわわ、そっちいっちゃダメー!?」
エヴァンスがペットのライアンに気をとられたところで刃大蟹は前進を開始しようとする。
それにノノトトがまた正面に立ちふさがる。刃大蟹はまたかといったように右の鋏を振りかぶって振り下ろす。
ノノトトの持つ盾と岩のように硬い鋏がぶつかり火花を散らす。物凄い重圧がノノトトを襲い思わず膝をついてしまう。
「わわっ、ちょっとお手伝いしたほうがいいかなぁ?」
砂浜を走って滑り込んだウーナが新調したばかりのアサルトライフルを構える。
タタタンっと軽い銃声と共に複数の弾丸が吐き出される。左の鋏に着弾した弾はビシと鋏にめり込むがへこませた程度だ。
しかしそれは思いの他に気を引いたのか刃大蟹がウーナに黒い瞳をギョロリと向ける。
「あ、あっれー?」
牽制のつもりが予想以上に気を引いてしまたことにウーナはたらりと冷や汗を流して後ずさる。
と、その時である。ウーナの後方で黄色い大きな物体が立ち上がった。
「完成いたしました!」
「さあ、こちらですよ」
エリス達が行っていたバナナボートの連結がやっと終わったのだ。
6メートル近い黄色い物体になったそれをフィーネルと桜で支えながら立ち上がらせてゆらゆらと揺らす。
ウーナを見ていた刃大蟹の黒く丸い球体上の眼がその大きく揺れるバナナボートへと向けられる。
そしてザッザザッと砂を蹴りながら刃大蟹はその黄色く大きい物体に向かって前進を始めたのだった。
●鋏と刃の攻防
「わわっ、こっちにきましたよ」
桜はバナナボートを引っ張りながら漁村から離れようと走る。
それを追う様に刃大蟹も砂浜を走る。その距離はあっという間に縮まってすぐに蟹の射程内へと収まる。
「皆さんしゃがんでくださいっ!」
エリスがそう言うとバナナボートを引っ張っていたフィーネルと桜は手を離して砂浜に倒れこむ。
それと同時に刃大蟹の右腕が横薙ぎに振るわれて3つの連結されたバナナボートがパンと音をたてて破裂した。
砂浜に倒れこんだ3人はなんとかかすり傷で済んだがもう少しであの大鋏に弾き飛ばされるところだった。
しかしこれで漁村からはそこそこの距離を取ることは出来た。作戦としては成功である。
刃大蟹は目標を破壊できたからか少し間を置いて、次に壊すべき目標を黒い目玉をギョロギョロと動かして探す。
「さあ、エヴァンスさん。今度こそ私達の力を見せてあげましょう」
「おう、任せろっ」
ミリアとエヴァンスは左右に分かれそれぞれの脚に大剣を叩きつける。
やはり岩を殴りつけたような感触しかしないが、ビキリと何かが割れるような音が聞こえた気がした。
「これならどうでシュか」
シュマが胸元で杖を構えるとその周囲に幾つものマテリアルの渦が発生しそこの拳大の石が召喚される。
杖を正面に向けると石の飛礫が刃大蟹へと向かいガツンと大きな衝撃を与えた。
「ギュオオォォ」
と、そこで初めて刃大蟹が雄たけびを上げる。
8本の脚を何度も地面に突き刺し、両鋏を地面に叩きつける。
それが何のポーズなのか分からないが明らかにハンター達へ敵意を向けた様子だった。
そこに横合いから一本の火の矢が飛び蟹の脚の一本を炎で包む。
「うーん、焼き蟹にするにはまだ火力がたりませんねぇ」
フィーネルはさらに距離を取りつつ次の呪文の詠唱に入る。
さらに一発の銃弾が刃大蟹の脚の関節へと突き刺さる。その攻撃は刃大蟹にダメージを与えたようでその脚を大きく振り上げた後に力を失くしたようにだらりと垂れ下げる。
「よし、やっぱり蟹なら関節部を狙えば――っ!」
魔導銃を構えたエリスが次の弾を撃ち込もうとした瞬間、蟹の体がこちらに向くのが見えた。
さらにその口元ではぶくぶくと何かが泡立ち、それが次第に加速する。
「カルディコットさんっ!」
桜は慌てて守護の光をエリスに纏わせる。それから一間も置かぬ間に蟹の口元から青白い水が高速で吐き出されそれがエリスを直撃する。
桜からの加護があっても物凄い衝撃を受け踏ん張ることも許されずエリスの体は弾き飛ばされ砂浜の上を転がる。
「く……うぅ。油断しちゃった」
「大丈夫ですか!」
倒れたエリスに桜が駆け寄る。彼女の手のひらに淡い光が宿るとそれをエリスに押し当てマテリアルを活性化させ治療を行う。
「ピンチをチャンスにしますよ」
そこにミリアが飛び込む。刃大蟹は水を吐き出した体勢のまま固まっており隙がある。
ミリアの大振りの大剣が刃大蟹が体を固定する為に地面に突き立てていた脚の一本に打ち付けられる。
関節を捉えた分厚い刃は亀裂を生み、比較的に薄いその関節部の殻を砕く、
「動かないんなら狙い放題だね」
ウーナも砂浜で膝立ちになってライフルを構え、関節部を狙って引き金を引く。
放たれた数発の弾丸のいくつかは殻の曲面に弾かれるが、一発の弾丸が関節の間を捉えその内部へと食い込む。
傷口から紫色の体液を撒き散らし、刃大蟹は咆哮のような声を上げながら暴れまわる。
「あっ、危ないっ」
刃大蟹が振り回す右の大鋏がエヴァンスに迫ったとき、ノノトトは盾を構えてそこに割り込む。
振り回された大鋏の衝撃は予想を超え、ノノトトは盾で防ぎつつも踏ん張りが利かず足が浮き砂浜の離れたところに弾き飛ばされる。
さらに刃大蟹の振るった左の鋏がエヴァンスをも弾き飛ばされた。しかしその衝撃の瞬間に赤褐色のエルフの女性の幻影が彼の背後に現れ何か祈りの仕草をする。
「くそっ……なんだか知らんが助かったのか?」
そして正面に残ったミリアに刃大蟹は右の大鋏を開き掴みかかった。
「くぅっ! これは不味いかもっ」
ミリアは辛うじて大剣を挟み込んでそのまま押し潰されることは免れたがこのままではそれも時間の問題だろう。
ギリギリと徐々に締め付けられていく鋏にミリアは一瞬死の予感を悟る。しかし、その時に急にミリアの胸元から光が溢れ球状の光の膜に覆われる。
その光に眼がくらんだのか刃大蟹は右の大鋏の力を緩めてしまいその瞬間にミリアも解放され砂浜へと落ちる。
「関節でシュ。滅多打ちにするのでシュ!」
シュマの周囲に幾つモノ石が召喚され、次々に脚の関節部分を狙って衝撃を与える。
その一発が殻を砕き、ぐちゅりと紫色の繊維をした肉質を顕にしさらに体液が溢れてくる。
「うっ、あれは食べられそうにないでシュ……」
「好機必殺。一気に行きますよ。炎と石礫、どちらがお嫌いですか?」
フィーネルもそれにあわせて炎と石の飛礫を飛ばす。刃大蟹は眼球に迫った飛礫を左の鋏で防ぐと、ビキリと小さな皹が入る。
そこで桜はやや側面に回りこんでロッドを翳す。そこにマテリアルが収束し光の弾丸となって放たれる。
光の弾丸は一直線に飛び、桜の狙い通りに刃大蟹の眼球を捉えた。
「フシャアアアアッ!?」
これまでにない悲鳴をあげる刃大蟹は両方を鋏を振り回し周囲のハンター達を遠ざける。
さらにぶくぶくと口元で音を鳴らし始めた。
「っ! 来ます、避けて!」
エリスは先ほど受けた一撃を思い出し全員に注意を喚起する。
ハンター達が射線から離れた瞬間に青白い激流が縦一直線に砂浜に跡を残す。
「今がチャンスだぜっ」
先ほどと同じく水流を吐き出した体勢で固まった刃大蟹に、エヴァンスは剣の切っ先を向け突撃する。
狙いは皹が入っている脚の関節。突き刺した大剣が殻を破り、そこを抉ることによって脚の肉ごと斬り飛ばす。
ミリアももう片側の脚を狙い大剣を叩きつけて殻を砕きその身を露出させる。
「本当に硬い場所ばかりなんだから。これならどう!」
ウーナの放った弾丸は甲羅や脚の殻の固い部分に跳ね返り、下腹部の腹の部分へと突き刺さる。
そこは容易に殻が砕け紫色の体液がボタボタとあふれ出ていく。
「よしっ、やっぱりお腹の辺りの殻は薄いみたいね」
刃大蟹が刃のついた脚を振り回すがそれはノノトトの構えた盾で防ぎ仲間を守る。
「しつこいカニでシュね。次は焼きガニでシュ!」
シュマが杖を振るうと炎の矢が飛び刃大蟹の甲羅の上で炸裂する。
そこにフィーネルの放ついくつもの石飛礫が炸裂し硬い甲羅に皹が入っていく。
「皹が入ってきてます。もう一押しですよ!」
エリスの放つ銃弾がさらに刃大蟹の脚の関節を砕いてその動きを鈍らせる。
しかし数本の脚が砕けようが暴れる、いや破壊するのを止めようとはしない。
狂気の歪虚はまさに狂ったようにその身が朽ちるまで戦いつけるのだ。
振るわれた脚の刃に砂が舞い、後衛の視界が一時的に遮られる。その瞬間にあの巨体がどこかへと一瞬で姿を消していた。
「あれっ、どこいっちゃったのっ!」
「危ない、上だよー!」
ノノトトの声に頭上を見上げるとそこには影ができ、あの巨体が今まさに落下してきていた。
あの巨体で砂場から跳躍し後衛にいたハンター達を押しつぶしにかかったのだ。
誰も直撃して押し潰されはしなかったもののその衝撃は凄まじく後衛にいた皆は吹き飛ばされ砂浜に投げ出される。
しかしその攻撃は無理をしていたのか刃大蟹の体中の罅から紫色の体液が滲み出る。
「えぇい、いい加減に観念しろぉ!」
後ろから迫ったエヴァンスが隙だらけの片脚に斬撃を叩きつけその脚をへし折る。
「ヴゥオオ……オォ」
苦しみの声なのか途切れ途切れの声を洩らしながらも、刃大蟹は右の大鋏を振り上げてフィーネルに向けて振り下ろす。
ガン、ガンと押しつぶすために何度も叩きつけられる。
「くぅっ、この間から、こんな場面が多いですねぇ」
悪態をつくもそれ以上の余裕はない。とさらにもう一発と振り下ろされた衝撃が先程より軽くなる。
「ボ、ボクだって防げるんだっ」
フィーネルの隣に立ったノノトトが盾を構えてその攻撃を防ぐのを手伝っている。
「大丈夫ですかお二人とも」
桜の治癒の力が二人を包み失われた体力を取り戻させる。
「これで終わりにします。我らの剣に断てぬもの等あんまりありません!」
「そこは何でも断てるって見栄をきっていいと思うぜ!」
側面に回りこんだミリアとエヴァンスがそれぞれの側面の脚をへし折る。
バランスを崩した刃大蟹はずんと砂の上に崩れ落ちるがそれでも尚ももがき続ける。
醜悪な顔の両目をギョロギョロと巡らせてハンター達の視界に捕らえる。
「もうこれでお仕舞いだよ」
「美味しくなさそうだけど、漸く焼きガニの完成でシュ」
大量の弾丸と炎が甲羅の隙間から入り込み内部を蹂躙する。
その一撃に耐えられなかったのか、刃大蟹はついに力尽き掲げていた右の大鋏を砂浜へと沈めた。
●その後
刃大蟹は死んだあと体中から紫色の体液と腐臭を撒き散らすとすぐに溶けるようにして消えてしまった。蟹を食べれるかと期待していた一同は揃って肩を落としている。
何はともあれハンターの活躍により漁村には被害は全くなく依頼は無事に成功したと言っていいだろう。
だが【深棲】の事件はまだまだ続く。ハンター達の仕事はこれからもっと忙しくなることだろう。
依頼結果
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- 青竜紅刃流師範
ウーナ(ka1439)
重体一覧
参加者一覧
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼相談用スレッド ウーナ(ka1439) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/08/08 18:50:12 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/06 00:05:12 |