ゲスト
(ka0000)
リアルすぎるお化け屋敷
マスター:水貴透子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/11 19:00
- 完成日
- 2014/08/18 22:55
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
普段は憂鬱な雑魔退治。
それを楽しく終わらせて頂くために、ワタクシ、考えました!
※※※
「ハンターの皆様、ご機嫌うるわしゅー!」
「あなたの街のアイドル、ハンターズソサエティの案内人でーす♪」
雑魔退治を依頼したい、という連絡を受けてハンター達は集まったのだが、
案内人の高すぎるテンションに、やや引き気味である。
「雑魔退治に向かうのを見送る事しかできない、そんなワタクシも少し考えたのです……!」
「ハンター達が快く雑魔退治に向かえる方法はないものか、と!」
ぐ、と拳を握りしめながら案内人は叫ぶ。
「そこでリアルお化け屋敷を開催したいとおもいまーす♪」
聞きなれぬ言葉に、ハンター達は眉根を寄せながら怪しい者でも見るような視線を案内人に向ける。
「聞くところによりますと、リアルブルーにはお化け屋敷なるものがあるとか!」
「人間がお化けに扮して、やってくる人達を驚かす場所らしいのです!」
「……それで、何がリアルお化け屋敷なんだ?」
ハンターの1人が質問を投げかけると……。
「実は廃墟に数匹の雑魔が潜んでいるという情報が入りました!」
「皆様にはそれを退治してきて欲しいのです!」
「退治は構わないが、情報は?」
「あ・り・ま・せーん♪」
「何が起こるかわからないドキドキ感! これはもうお化け屋敷ですよね! 頑張ってきてくださいね!」
案内人でありながら、情報の1つや2つも用意していない事にハンター達はイラッとした気持ちがこみ上げてくる。
「ちなみにお化け屋敷は2人1組で行く場所らしいので、2人1組で行って来て下さいねー♪」
(班分けまで決められるのかよ)
「もーしー、2人1組以外で行こうものなら減点! 報酬から差っ引いちゃいますのでヨロシク☆」
「わからなければいいって問題じゃないですからねー? 必ずバレますから! ……という事で、いってらっしゃい☆」
何が何やらの状態でハンター達は放り出されてしまい、
何もわからない状態での雑魔退治が始まったのだった。
リプレイ本文
●リアルお化け屋敷、開始
「幽霊屋敷、ですか……2人ペアでは危険でしょうに」
桐島 透(ka0333)は深いため息を吐きながら、こんな条件を出した案内人に対して毒づく。
「まぁ、あの案内人は後でシメるとして……今回は雑魔の入り込んだ廃墟か、リアルお化け屋敷とはよく言ったものだな」
毒づく桐島を見ながら、加山 斬(ka1210)も苦笑気味に呟く。
「随分と個性的な案内人でしたね、だいぶ特殊な条件にはなりましたが……雑魔の存在を許すわけにはいきません、全力で殲滅しましょう」
ラシュディア・シュタインバーグ(ka1779)は穏やかな笑みを浮かべながら、集まったハンター達に軽く頭を下げ「よろしくお願い致します」と言葉を付け足した。
「情報がないのと初の戦闘依頼で凄い緊張感じゃが、このどきどきをわくわくに変えて楽しく雑魔退治出来たら良いのぅ、まぁ、楽しむとはいえ、真面目に戦うがの」
ヴィルマ・ネーベル(ka2549)は微笑みながら呟く。見知らぬ者ばかりだけではなく、同じギルドの加山がいるせいか、彼女の緊張はやや軽減されているようだ。
「初めまして、私はセレスティア(ka2691)と言います、よろしくお願いしますね」
セレスティアは頭を下げ、丁寧に挨拶を行う。
「ですが2人1組とは……それが決まりというならば仕方ありませんね、雑魔退治に決まりがある、というのは初耳ですが郷に入りては郷に従えという言葉もあるようですし……」
「単に、あの案内人が面白そうだからって理由で付け足したっぽいけどね……まぁ、とりあえず頑張るしかない……かな?」
デュプロ(ka0046)は苦笑気味に呟きながら、ちらり、と桐島を見つめる。
(仲良くしたいのだけど、どうしたらいいかしら)
悩める乙女らしく、小さなため息を吐きながらデュプロは心の中で呟いた。
「要は廃墟から敵を探し出して倒せば良いだけの事だ、酒の肴にはちょうど良い」
テスカ・アルリーヴァ(ka2798)は淡々とした口調で呟く。
「そうだな、後は班分けだが……ここに向かう途中で決めた通りでいいんだよな? なら、よろしく頼むぜ、相棒」
薄氷 薫(ka2692)がテスカの肩を軽く叩きながら話しかける。
目的地である廃墟に着くまでに、ハンター達は班分けを行っていた。
第1班・デュプロ&桐島
第2班・加山&ヴィルマ
第3班・ラシュディア&セレスティア
第4版・薄氷&テスカ
「……お化け屋敷は男女ペア、ねぇ? 気のせいか俺達は男同士に見えるんだが」
「仕方ないだろ、女性が足りないんだ……」
1組だけ男性同士のペアになり、薄氷とテスカはやや複雑な気持ちになる。
「……何とか、1回で終わらせたいですね……危険は、少しでも少ない方がいいですし」
桐島が呟き、ハンター達はそれぞれペアを組む相手と廃墟の中に入って行った。
※デュプロ&桐島ペア
「……よし、行こう」
魔導短伝話でカウントダウンを行い、ゼロと同時に伝話を切り、桐島がLEDライトを点灯させる。
デュプロは同時に覚醒を行って『強打』を使用して、壁を『金砕棒』で破壊して、廃墟の中に侵入した。
(……廃墟で誰も住んでませんし、壊しても文句は言われませんよね?)
桐島は心の中で呟きながら、デュプロが破壊した壁から廃墟に足を踏み入れた。
「なんか、怖いっていうか……不気味だね、何が出てきてもおかしくないかも」
ぴとっと桐島にくっつきながら、デュプロが桐島に話しかける。
「……そう、ですね……」
デュプロがくっついてくる事に対しては(怖いのかな……?)と思う程度であり、特別意識する様子はなかった――……というより分かっていないように思える。
(せっかく透くんとペアになれたんだし、これは仲良くなるチャンス……!)
ぐ、と桐島から見えない位置で、デュプロは拳を強く握り締める。
――が、その時、人の呻くような声が耳に響いてくる。
「……雑魔、ですね」
桐島は『デリンジャー』を構えながら、呻き声の方にライトを当てる。
すると予想通り、足を引きずりながらこちらに向かってくる雑魔の姿を確認した。
(……これから、仲良くなるために会話キャッキャウフフするはずだったのに……! 出てくるんなら、もう少し会話が弾んだ頃に出て来なさいよね……!)
桐島と会話をしようとした矢先に邪魔をされ、デュプロはその怒りを雑魔に向ける。
「透くん! ボクが引きつけるから、後方からお願いね!」
デュプロは『金砕棒』を構え、桐島に言葉を投げかけた後、雑魔に向かって走り出す。
(頼りになるなぁ、自分も頑張らないと……)
デュプロが『強打』を使用して、雑魔に攻撃を行い、少し距離を取った所を狙って、桐島も『強弾』を使用した攻撃を行う。
「お邪魔虫、透くんに怪我させようものなら……ミンチにしてあげる、上手く腐りかけてるし、コレで殴り続ければミンチなんて簡単なんだよ?」
デュプロは雑魔に攻撃を仕掛けながら、にっこりと黒い笑顔で話しかける――が、もちろんその言葉が通じるはずもない。
(……笑顔が、怖いです。どうしてあんなに怖い笑顔を見せるんでしょう……?)
まさか自分との会話を邪魔されたから、という理由だとも知らずに桐島は援護射撃を行いながら、かくりと首を傾げる。
雑魔そのものも大した強さではなかったらしく、2人で十分倒せる相手だった。
「何とかライトが切れる前に倒せて良かったね」
「……そうですね、ほとんどデュプロさんの働き、みたいな……ものですけど」
「そんな事ない、透くんが援護してくれたからボクは思いきり雑魔に向かっていけたんだよ」
甘い会話は出来なかったけど、それなりにお互いの距離は近づいた……ような気がする。
※加山&ヴィルマペア
「暗いな、足元には気を付けろよ?」
ヴィルマは戦闘依頼に初参加という事もあって、加山は彼女を気に掛けているようだ。
「まったく、案内人も何考えてんだ? 雑魔退治を遊びか何かと勘違いしてんじゃないか?」
加山はブツブツと文句を言っているが、それもヴィルマの事を考えての事だった。
初めての任務で危険な目に遭ったら、今後に影響があるかもしれない。
「ヴィルマ、俺から離れるなよ? 絶対に守ってやる」
「おお、何かその言葉は乙女的にキュンと来るものがあるのぅ、頼りにさせてもらうぞえ」
ヴィルマはからかい半分の言葉を投げかけると、加山は照れ臭そうに頬を染めた。
「しかし我とてそなたに守られるばかりではないぞ」
「あぁ、勿論だ。ヴィルマの魔法は頼りにしているぜ? ……まぁ、しかしこの廃墟を虱潰しに探すっていうのは、結構骨の折れる作業だよな……」
LEDライトで廊下を照らしながら、加山が呟く。
「……いや、割とそうでもないらしいのぅ」
ヴィルマが『フェアリーワンド』を持った手で、暗闇を指す。
「あー、向こうさんから来てくれたってワケか……」
ヴィルマが指した方向を見て、加山も不敵に微笑む。
LEDライトで照らされたそこには、ふらふらとよろめきながら歩く――雑魔がいた。
「まずは我が攻撃を行おう!」
ヴィルマは『集中』で魔法攻撃の威力を高めた後『マジックアロー』を放つ。
「ライト、任せたぜ」
加山は持っていたLEDライトをヴィルマに任せて『黒漆太刀』を構えた。
ヴィルマから離れすぎない位置を保ちながら、雑魔に攻撃を仕掛ける。
「ヴィルマ、そろそろスキル攻撃回数が尽きてくるんじゃないか? 無理はするなよ?」
「問題ないのじゃ、攻撃回数が尽きても我は『鉄パイプ』を所持しておる、いざとなったら魔法攻撃(物理)で戦えるのじゃ!」
(鉄パイプを振り回す魔術師……すげぇな)
鉄パイプで攻撃をするヴィルマを想像しながら、加山は苦笑する。
「この様子では、攻撃回数が尽きる前に雑魔の命の方が尽きてしまいそうじゃがの」
再び『マジックアロー』で攻撃を仕掛け、雑魔がよろめいた隙を見て加山は『強打』で雑魔を斬りつける。
2人の息がぴったりと合っているせいか、多少の負傷はしたものの、大きな怪我をする事なく雑魔の退治が出来た。
※ラシュディア&セレスティア
「お化け屋敷、なんて……相手は雑魔なのに」
セレスティアは深いため息を吐きながら、暗い廊下を歩きだす。
灯りはラシュディアが持つと言ってくれたので、セレスティアは地図を見るという役目をこなしながら廃墟の中を歩いて行く。
「お嬢、大丈夫ですか? さっきから顔色が悪いようですが……」
「もちろん大丈夫です、お化けなんて迷信に決まっていますし……ここにいるのはお化けではなく、確実に雑魔なのですから」
正直に言えばセレスティアはお化けや幽霊の類が苦手だった――が、それを言うのも恥ずかしいと考えており、騎士たる意地を見せながら歩みを進めていた。
(……けど、本当にお化けがいたらどうしましょう。これだけの廃墟、お化けの1匹や2匹いてもおかしくないくらいですし……)
セレスティアがぐるぐると考えていた時、ガタン、と物音が響く。
「きゃあっ!」
「大丈夫ですよ、風で窓が揺れただけですから……もし良ければ手でも繋ぎましょうか?」
怖がっているから、という理由ではなくセレスティアが初任務で緊張しているかもしれない――……そう思って、ラシュディアは手を繋ぐ事を提案して見たのだけど……。
「いえ、大丈夫です」
セレスティアは気恥ずかしさから首を縦に振る事が出来ず、ラシュディアの提案を断った。
「……まぁ、手を繋ぐ事になったとしてもすぐ離す事になっていたでしょうけどね」
ラシュディアはセレスティアの前に手を出し、これ以上進むな、という合図を送る。
「なるほど、ラシュディア君は下がってください。灯りを持ち、前を進んでくれたお礼です、私、しっかりとラシュディア君を守ってみせますから」
セレスティアは『ロッド』を構え、毅然とした態度で雑魔の前に出る。
「お嬢……」
「それにお忘れかもしれませんが、私の方がお姉さんなんですからね?」
セレスティアは悪戯っぽく微笑んだ後、雑魔に向かって駆けだした。
彼女が走り出した後、ラシュディアは『マジックアロー』を放つ。セレスティアが傷つかぬよう、スキルの出し惜しみをするつもりはないらしい。
「はっ……!」
セレスティアは『メイスファイティング』を使用して、打撃武器での戦闘能力を上昇させた後『ロッド』で雑魔に殴りかかる。
そして、セレスティアが大きな攻撃を受けぬよう、ラシュディアが『マジックアロー』で雑魔を攻撃する。
見知った仲のせいか、上手く連携が取れ、また雑魔の強さも平均より下だったせいか楽勝――……とまではいかないが、勝つ事が出来たのだった。
※薄氷&テスカペア
「……結構探したはずなんだが、見つからねぇなぁ」
薄氷はLEDライトで地図を照らし、探した場所に印をつけながら呟く。
廃墟に入ってから約1時間が経過したが、それらしい雑魔の姿はない。
1つ目のLEDライトが切れたら、入口に戻り状況報告をして、再び散策――……という流れを予め決めていた。
「そういえば、お化け屋敷は男女ペアが基本だと聞いたが……まぁ、こんな事もあるだろ」
テスカは苦笑気味に薄氷に話しかけ、彼も「そうだな」と肩を竦めながら答えた。
男性2人という事で、ドキドキウッフンタイムはないが、対雑魔戦にしては男性2人の方が頼もしい……かもしれない。
「とりあえず、ここを真っ直ぐ行った所まで捜索して1度戻る事を考えた方がいいかもな。LEDライトのエネルギー残量を考えると、それくらいが妥当ってトコだろう」
「他のペアは雑魔の退治を終えたらしいな、合計3匹……もしかしたら、4匹目はいない可能性が――……そんな事、なかったな」
テスカは言葉の途中で深いため息を吐き、薄氷に親指で前方を指した。
「人型……他のペアと同じようなタイプか、こいつで4匹目……何だって、こんな廃墟に人型の雑魔なんか現れたんだろうな」
薄氷とテスカはそれぞれ背中合わせの態勢を取り、暗闇という状況の中で、なるべく死角がないような戦法を取っていた。
「背中合わせ……戦場にいるような、久々に戦ってるって感じだ」
「はは、戦場にいるような――じゃねぇだろ、目の前に雑魔がいるんだし、ここは戦場だよ」
テスカの言葉にややからかいの混じった声で薄氷が言葉を返す。
「どうやら雑魔は1匹のようだな、俺の方に注意を向ける」
薄氷は『ロングソード』を構え、雑魔に向かって駆けだす。
その際、テスカが照らしているライトから外れないように注意をしながら攻撃を仕掛けた。
「目が眩んでくれれば、めっけもんなんだけどな」
テスカは『クレセントグレイブ』を構え、その射程距離を生かしながら攻撃を行う。
近接で攻撃を仕掛ける薄氷と違い、テスカはリーチの長さから、薄氷の援護を行う事が出来る。
薄氷とテスカはそれぞれ『強打』を使用しながら、互いに雑魔の左右から攻撃を行い、左右の攻撃に惑わされて動けなくなった雑魔を無事に斬り伏せたのだった――……。
●お疲れ様でした!
「みなさん、お疲れ様でした! お化け屋敷は楽しかったですかっ!」
本部に帰還すると、案内人の甲高い声がハンター達を出迎えた。
「お望み通り2人組ペアでやって来たわよ、ご満足頂けたかしら? 案内人さん?」
「……デュプロさん、笑顔が怖いですよ」
案内人に詰め寄るデュプロに桐島が苦笑混じりに話しかける。
「あんたが情報出す事をサボってたって、ちゃーんと上の奴に報告しといたから!」
加山は爽やかな笑顔で告げると、案内人の顔色がどんどん青ざめていく。
「ちょっとぉ! 何て事してくれるんですか! 減給されちゃいます、ゲンキュー!」
「……あんな変な条件をつけたんですから、当然ですよ」
庇う余地なし、と判断したのかラシュディアも肩を竦めながら呟く。
「まぁ、我は楽しかったがな。しかしお化けに会えなかったのは残念じゃ、いた方がロマンがあるんじゃがのぅ」
「お、お化けとの遭遇は遠慮したいです……! いても構いませんが、私の前には現れないで欲しいです……!」
「運良く1回の捜索で終われた事くらいかね、良かったって思えるのは……」
「次はもっと手ごたえのある奴と戦いたいけどなー、今回のは手ごたえ無さすぎだろ」
テスカの言葉に「それでは、もっと無理難題な条件を考えておきます!」と案内人が叫んだのを見て、こいつ、誰かどうにかしないとダメだ……と全員の心が一致したのだった。
その数日後、案内人は減給されたらしくこの世の終わりのような表情で仕事をする姿が見かけられたのだとか……。
END
「幽霊屋敷、ですか……2人ペアでは危険でしょうに」
桐島 透(ka0333)は深いため息を吐きながら、こんな条件を出した案内人に対して毒づく。
「まぁ、あの案内人は後でシメるとして……今回は雑魔の入り込んだ廃墟か、リアルお化け屋敷とはよく言ったものだな」
毒づく桐島を見ながら、加山 斬(ka1210)も苦笑気味に呟く。
「随分と個性的な案内人でしたね、だいぶ特殊な条件にはなりましたが……雑魔の存在を許すわけにはいきません、全力で殲滅しましょう」
ラシュディア・シュタインバーグ(ka1779)は穏やかな笑みを浮かべながら、集まったハンター達に軽く頭を下げ「よろしくお願い致します」と言葉を付け足した。
「情報がないのと初の戦闘依頼で凄い緊張感じゃが、このどきどきをわくわくに変えて楽しく雑魔退治出来たら良いのぅ、まぁ、楽しむとはいえ、真面目に戦うがの」
ヴィルマ・ネーベル(ka2549)は微笑みながら呟く。見知らぬ者ばかりだけではなく、同じギルドの加山がいるせいか、彼女の緊張はやや軽減されているようだ。
「初めまして、私はセレスティア(ka2691)と言います、よろしくお願いしますね」
セレスティアは頭を下げ、丁寧に挨拶を行う。
「ですが2人1組とは……それが決まりというならば仕方ありませんね、雑魔退治に決まりがある、というのは初耳ですが郷に入りては郷に従えという言葉もあるようですし……」
「単に、あの案内人が面白そうだからって理由で付け足したっぽいけどね……まぁ、とりあえず頑張るしかない……かな?」
デュプロ(ka0046)は苦笑気味に呟きながら、ちらり、と桐島を見つめる。
(仲良くしたいのだけど、どうしたらいいかしら)
悩める乙女らしく、小さなため息を吐きながらデュプロは心の中で呟いた。
「要は廃墟から敵を探し出して倒せば良いだけの事だ、酒の肴にはちょうど良い」
テスカ・アルリーヴァ(ka2798)は淡々とした口調で呟く。
「そうだな、後は班分けだが……ここに向かう途中で決めた通りでいいんだよな? なら、よろしく頼むぜ、相棒」
薄氷 薫(ka2692)がテスカの肩を軽く叩きながら話しかける。
目的地である廃墟に着くまでに、ハンター達は班分けを行っていた。
第1班・デュプロ&桐島
第2班・加山&ヴィルマ
第3班・ラシュディア&セレスティア
第4版・薄氷&テスカ
「……お化け屋敷は男女ペア、ねぇ? 気のせいか俺達は男同士に見えるんだが」
「仕方ないだろ、女性が足りないんだ……」
1組だけ男性同士のペアになり、薄氷とテスカはやや複雑な気持ちになる。
「……何とか、1回で終わらせたいですね……危険は、少しでも少ない方がいいですし」
桐島が呟き、ハンター達はそれぞれペアを組む相手と廃墟の中に入って行った。
※デュプロ&桐島ペア
「……よし、行こう」
魔導短伝話でカウントダウンを行い、ゼロと同時に伝話を切り、桐島がLEDライトを点灯させる。
デュプロは同時に覚醒を行って『強打』を使用して、壁を『金砕棒』で破壊して、廃墟の中に侵入した。
(……廃墟で誰も住んでませんし、壊しても文句は言われませんよね?)
桐島は心の中で呟きながら、デュプロが破壊した壁から廃墟に足を踏み入れた。
「なんか、怖いっていうか……不気味だね、何が出てきてもおかしくないかも」
ぴとっと桐島にくっつきながら、デュプロが桐島に話しかける。
「……そう、ですね……」
デュプロがくっついてくる事に対しては(怖いのかな……?)と思う程度であり、特別意識する様子はなかった――……というより分かっていないように思える。
(せっかく透くんとペアになれたんだし、これは仲良くなるチャンス……!)
ぐ、と桐島から見えない位置で、デュプロは拳を強く握り締める。
――が、その時、人の呻くような声が耳に響いてくる。
「……雑魔、ですね」
桐島は『デリンジャー』を構えながら、呻き声の方にライトを当てる。
すると予想通り、足を引きずりながらこちらに向かってくる雑魔の姿を確認した。
(……これから、仲良くなるために会話キャッキャウフフするはずだったのに……! 出てくるんなら、もう少し会話が弾んだ頃に出て来なさいよね……!)
桐島と会話をしようとした矢先に邪魔をされ、デュプロはその怒りを雑魔に向ける。
「透くん! ボクが引きつけるから、後方からお願いね!」
デュプロは『金砕棒』を構え、桐島に言葉を投げかけた後、雑魔に向かって走り出す。
(頼りになるなぁ、自分も頑張らないと……)
デュプロが『強打』を使用して、雑魔に攻撃を行い、少し距離を取った所を狙って、桐島も『強弾』を使用した攻撃を行う。
「お邪魔虫、透くんに怪我させようものなら……ミンチにしてあげる、上手く腐りかけてるし、コレで殴り続ければミンチなんて簡単なんだよ?」
デュプロは雑魔に攻撃を仕掛けながら、にっこりと黒い笑顔で話しかける――が、もちろんその言葉が通じるはずもない。
(……笑顔が、怖いです。どうしてあんなに怖い笑顔を見せるんでしょう……?)
まさか自分との会話を邪魔されたから、という理由だとも知らずに桐島は援護射撃を行いながら、かくりと首を傾げる。
雑魔そのものも大した強さではなかったらしく、2人で十分倒せる相手だった。
「何とかライトが切れる前に倒せて良かったね」
「……そうですね、ほとんどデュプロさんの働き、みたいな……ものですけど」
「そんな事ない、透くんが援護してくれたからボクは思いきり雑魔に向かっていけたんだよ」
甘い会話は出来なかったけど、それなりにお互いの距離は近づいた……ような気がする。
※加山&ヴィルマペア
「暗いな、足元には気を付けろよ?」
ヴィルマは戦闘依頼に初参加という事もあって、加山は彼女を気に掛けているようだ。
「まったく、案内人も何考えてんだ? 雑魔退治を遊びか何かと勘違いしてんじゃないか?」
加山はブツブツと文句を言っているが、それもヴィルマの事を考えての事だった。
初めての任務で危険な目に遭ったら、今後に影響があるかもしれない。
「ヴィルマ、俺から離れるなよ? 絶対に守ってやる」
「おお、何かその言葉は乙女的にキュンと来るものがあるのぅ、頼りにさせてもらうぞえ」
ヴィルマはからかい半分の言葉を投げかけると、加山は照れ臭そうに頬を染めた。
「しかし我とてそなたに守られるばかりではないぞ」
「あぁ、勿論だ。ヴィルマの魔法は頼りにしているぜ? ……まぁ、しかしこの廃墟を虱潰しに探すっていうのは、結構骨の折れる作業だよな……」
LEDライトで廊下を照らしながら、加山が呟く。
「……いや、割とそうでもないらしいのぅ」
ヴィルマが『フェアリーワンド』を持った手で、暗闇を指す。
「あー、向こうさんから来てくれたってワケか……」
ヴィルマが指した方向を見て、加山も不敵に微笑む。
LEDライトで照らされたそこには、ふらふらとよろめきながら歩く――雑魔がいた。
「まずは我が攻撃を行おう!」
ヴィルマは『集中』で魔法攻撃の威力を高めた後『マジックアロー』を放つ。
「ライト、任せたぜ」
加山は持っていたLEDライトをヴィルマに任せて『黒漆太刀』を構えた。
ヴィルマから離れすぎない位置を保ちながら、雑魔に攻撃を仕掛ける。
「ヴィルマ、そろそろスキル攻撃回数が尽きてくるんじゃないか? 無理はするなよ?」
「問題ないのじゃ、攻撃回数が尽きても我は『鉄パイプ』を所持しておる、いざとなったら魔法攻撃(物理)で戦えるのじゃ!」
(鉄パイプを振り回す魔術師……すげぇな)
鉄パイプで攻撃をするヴィルマを想像しながら、加山は苦笑する。
「この様子では、攻撃回数が尽きる前に雑魔の命の方が尽きてしまいそうじゃがの」
再び『マジックアロー』で攻撃を仕掛け、雑魔がよろめいた隙を見て加山は『強打』で雑魔を斬りつける。
2人の息がぴったりと合っているせいか、多少の負傷はしたものの、大きな怪我をする事なく雑魔の退治が出来た。
※ラシュディア&セレスティア
「お化け屋敷、なんて……相手は雑魔なのに」
セレスティアは深いため息を吐きながら、暗い廊下を歩きだす。
灯りはラシュディアが持つと言ってくれたので、セレスティアは地図を見るという役目をこなしながら廃墟の中を歩いて行く。
「お嬢、大丈夫ですか? さっきから顔色が悪いようですが……」
「もちろん大丈夫です、お化けなんて迷信に決まっていますし……ここにいるのはお化けではなく、確実に雑魔なのですから」
正直に言えばセレスティアはお化けや幽霊の類が苦手だった――が、それを言うのも恥ずかしいと考えており、騎士たる意地を見せながら歩みを進めていた。
(……けど、本当にお化けがいたらどうしましょう。これだけの廃墟、お化けの1匹や2匹いてもおかしくないくらいですし……)
セレスティアがぐるぐると考えていた時、ガタン、と物音が響く。
「きゃあっ!」
「大丈夫ですよ、風で窓が揺れただけですから……もし良ければ手でも繋ぎましょうか?」
怖がっているから、という理由ではなくセレスティアが初任務で緊張しているかもしれない――……そう思って、ラシュディアは手を繋ぐ事を提案して見たのだけど……。
「いえ、大丈夫です」
セレスティアは気恥ずかしさから首を縦に振る事が出来ず、ラシュディアの提案を断った。
「……まぁ、手を繋ぐ事になったとしてもすぐ離す事になっていたでしょうけどね」
ラシュディアはセレスティアの前に手を出し、これ以上進むな、という合図を送る。
「なるほど、ラシュディア君は下がってください。灯りを持ち、前を進んでくれたお礼です、私、しっかりとラシュディア君を守ってみせますから」
セレスティアは『ロッド』を構え、毅然とした態度で雑魔の前に出る。
「お嬢……」
「それにお忘れかもしれませんが、私の方がお姉さんなんですからね?」
セレスティアは悪戯っぽく微笑んだ後、雑魔に向かって駆けだした。
彼女が走り出した後、ラシュディアは『マジックアロー』を放つ。セレスティアが傷つかぬよう、スキルの出し惜しみをするつもりはないらしい。
「はっ……!」
セレスティアは『メイスファイティング』を使用して、打撃武器での戦闘能力を上昇させた後『ロッド』で雑魔に殴りかかる。
そして、セレスティアが大きな攻撃を受けぬよう、ラシュディアが『マジックアロー』で雑魔を攻撃する。
見知った仲のせいか、上手く連携が取れ、また雑魔の強さも平均より下だったせいか楽勝――……とまではいかないが、勝つ事が出来たのだった。
※薄氷&テスカペア
「……結構探したはずなんだが、見つからねぇなぁ」
薄氷はLEDライトで地図を照らし、探した場所に印をつけながら呟く。
廃墟に入ってから約1時間が経過したが、それらしい雑魔の姿はない。
1つ目のLEDライトが切れたら、入口に戻り状況報告をして、再び散策――……という流れを予め決めていた。
「そういえば、お化け屋敷は男女ペアが基本だと聞いたが……まぁ、こんな事もあるだろ」
テスカは苦笑気味に薄氷に話しかけ、彼も「そうだな」と肩を竦めながら答えた。
男性2人という事で、ドキドキウッフンタイムはないが、対雑魔戦にしては男性2人の方が頼もしい……かもしれない。
「とりあえず、ここを真っ直ぐ行った所まで捜索して1度戻る事を考えた方がいいかもな。LEDライトのエネルギー残量を考えると、それくらいが妥当ってトコだろう」
「他のペアは雑魔の退治を終えたらしいな、合計3匹……もしかしたら、4匹目はいない可能性が――……そんな事、なかったな」
テスカは言葉の途中で深いため息を吐き、薄氷に親指で前方を指した。
「人型……他のペアと同じようなタイプか、こいつで4匹目……何だって、こんな廃墟に人型の雑魔なんか現れたんだろうな」
薄氷とテスカはそれぞれ背中合わせの態勢を取り、暗闇という状況の中で、なるべく死角がないような戦法を取っていた。
「背中合わせ……戦場にいるような、久々に戦ってるって感じだ」
「はは、戦場にいるような――じゃねぇだろ、目の前に雑魔がいるんだし、ここは戦場だよ」
テスカの言葉にややからかいの混じった声で薄氷が言葉を返す。
「どうやら雑魔は1匹のようだな、俺の方に注意を向ける」
薄氷は『ロングソード』を構え、雑魔に向かって駆けだす。
その際、テスカが照らしているライトから外れないように注意をしながら攻撃を仕掛けた。
「目が眩んでくれれば、めっけもんなんだけどな」
テスカは『クレセントグレイブ』を構え、その射程距離を生かしながら攻撃を行う。
近接で攻撃を仕掛ける薄氷と違い、テスカはリーチの長さから、薄氷の援護を行う事が出来る。
薄氷とテスカはそれぞれ『強打』を使用しながら、互いに雑魔の左右から攻撃を行い、左右の攻撃に惑わされて動けなくなった雑魔を無事に斬り伏せたのだった――……。
●お疲れ様でした!
「みなさん、お疲れ様でした! お化け屋敷は楽しかったですかっ!」
本部に帰還すると、案内人の甲高い声がハンター達を出迎えた。
「お望み通り2人組ペアでやって来たわよ、ご満足頂けたかしら? 案内人さん?」
「……デュプロさん、笑顔が怖いですよ」
案内人に詰め寄るデュプロに桐島が苦笑混じりに話しかける。
「あんたが情報出す事をサボってたって、ちゃーんと上の奴に報告しといたから!」
加山は爽やかな笑顔で告げると、案内人の顔色がどんどん青ざめていく。
「ちょっとぉ! 何て事してくれるんですか! 減給されちゃいます、ゲンキュー!」
「……あんな変な条件をつけたんですから、当然ですよ」
庇う余地なし、と判断したのかラシュディアも肩を竦めながら呟く。
「まぁ、我は楽しかったがな。しかしお化けに会えなかったのは残念じゃ、いた方がロマンがあるんじゃがのぅ」
「お、お化けとの遭遇は遠慮したいです……! いても構いませんが、私の前には現れないで欲しいです……!」
「運良く1回の捜索で終われた事くらいかね、良かったって思えるのは……」
「次はもっと手ごたえのある奴と戦いたいけどなー、今回のは手ごたえ無さすぎだろ」
テスカの言葉に「それでは、もっと無理難題な条件を考えておきます!」と案内人が叫んだのを見て、こいつ、誰かどうにかしないとダメだ……と全員の心が一致したのだった。
その数日後、案内人は減給されたらしくこの世の終わりのような表情で仕事をする姿が見かけられたのだとか……。
END
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 8人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 テスカ・アルリーヴァ(ka2798) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/08/11 18:19:30 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/07 16:59:56 |