雑木林に影八つ

マスター:四方鴉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/06/16 15:00
完成日
2014/06/18 20:57

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 夕闇、人里に程近い雑木林の落ち葉を散らし、駆け抜ける影がある。
 何かから逃げるよう、後を気にしつつ林へ逃げ込む影八つ、それは人と似た四肢を持ちながら人ではない亜人、コボルド。
 手負いの者も居るのだろうか、動きの鈍い一体を庇うよう別のコボルトが肩を貸し、その八体のコボルドは雑木林深くへその身を隠す。
 見通し悪く乱立する木々、雨露凌げる幾つもの窪地、落ち葉に隠され見えない悪路、その全てが逃げるコボルドの味方となる。
 数日後、頻発する襲撃事件と逃走するコボルトの目撃情報が寄せられ、ハンターズソサエティにコボルド排除の依頼が回されることになったのは、必然であった。


「コボルドが足場と見通しの悪い雑木林に住み着き、人里を襲っている様です。集落を自衛するのは可能ですが、自分達で打って出るのは地形も考えて危険と判断、ハンターへ依頼したようですね」
 集ったハンターへ説明を行うスタッフが、現状分かっている情報を取りまとめた資料を渡す。
 今回の目的は雑木林に住み着いたコボルド8体の討伐、という単純なもの。
 だが、雑木林という地形が敵となり討伐の難易度を引き上げていた。
「集落に出てきた所を返り討ち、という事も考えられたそうですが、周辺に住居は複数存在。また、不利を悟れば即座に雑木林に逃げれば大丈夫と学習したようですね。
 多数のハンターに依頼できるほどの報酬を用意できず、待ち構えての戦いでは、別の場所へ襲撃された場合に対応できない。
 少人数を分けて警護をすればハンターそのものに危険が及びますので、住民は住民で自分達を守り、ハンターには雑木林に篭ったコボルドを始末して欲しい、という形です」
 地の利を味方とし、ある程度地形を把握した相手。
 如何にして全ての敵を駆逐するか、その手段は全てハンター達へ委ねられていた。

リプレイ本文


 窪地、倒木などに足を取られつつ八人の男女が雑木林を進む。
「まだ見えないな。リンの方はどうだ?」
「こっちも……まだだね……」
 巡間 切那(ka0583)が後方警戒、木の上に上り周囲を警戒したリン(ka0721)が言葉を交わす。
「初めての依頼……何事も最初が肝心といいますが……」
「ん、ハンターとして初めてのお仕事だもん……頑張らないと」
 思うように進めず視界不良の状況に少し焦りつつロートス・リィエン(ka0513)の呟き、だが状況悪くとも成果を出さねばとアーニャ・リーニャ(ka0429)が自分に言い聞かせる意味も込めて返答。
 そんな歩が進まず視界不良の中でも、的確に仕事をこなすカトレア(ka1585)がいた。
 彼女の行動は足場が悪い、不意打ち出来たり隠れられそうな死角が多いという場所近辺の木にリボンを結ぶマーキング。
 後退したコボルドを追いかける際にこういった工夫は活きるだろう。
「えと……住人の人と、みなさんが大きな怪我をしない為の、お役に立てれば……」
 密集した中心付近で羊谷 めい(ka0669)がぐっと拳を握り、彼女も決意を示す中。
 銃器を構えたロア・シュヴァイツ(ka0423)と同じく、強力な遠距離魔法攻撃を持つエクセライト・ローゼン(ka0749)が密集陣の中軸に位置。
 低速ながら警戒を怠らず、周辺住民側へ向かった際に住民から発せられる合図を確認し、一行は進んでいく。


「まあ、コボルドちゃんもお気の毒だけど、容赦はしないわ☆」
 不意打ちを仕掛け、ハンター側を一気に追い返す……と考えていたコボルド達に浴びせられたのは、容赦のない反撃であった。
 複数体に別れ時間差で出現、片方に集中している際に後から襲撃、と挟撃を考えていたのだが、開幕に襲い掛かった4体の中、1体がエクセライトのムチにしたたかに打ち据えられ。
「悪いが外すわけにはいかないのでね。ようやく回ってきた仕事だ」
 痛みに喘ぐコボルド狙い、ロアが自動拳銃の引き金を引く。
 乾いた発砲音、右肩から滲む血液は、戦意を奪うに十分だったが逃がす事は無い。
「……撃てるよ、私はこれを……」
 視界不良、足場も悪いならば、ほぼ零距離まで接近、格闘武器の感覚で銃器を使えば射線の問題は無い。
 また、仮に逃走しようとしても追撃は容易と考えたアーニャは身を屈め、逃走しようと試みたコボルドを追いかけ容赦ない発砲を。
 回転式拳銃の撃鉄が下りた時、コボルドは既に息絶えていたのだから。
「やれやれ、流石にカラスは事前に見つけてはくれませんでしたか」
「ま、そう上手くは行かないってことだろうよ。お互い目の前のを押さえるか」
 同刻、別のコボルドと向き合い相対するロートスと切那。
 ペットのカラスを偵察に、としたが思うようには動かずため息混じりに呟いたロートスの言葉が合図となり2人は行動。
 互いに速度と器用さに秀でる疾影士、流れるような動きで其々が自身の眼前に立ち威嚇するコボルドに接近。
 流石に足場が悪いのか、急所を狙い放った双方の攻撃は命中こそすれ、防御力を高める為に身に着けた胴着に吸い込まれたが敵の目を引きつけるには十分か。
 接近する相手が居なかった残るコボルドが突出気味なアーニャに接近、クラブの打撃を加える中、残る2体も其々眼前のロートス、切那に殴りかかるだけでは戦況は傾かない。
「……不意打ちしようと、後からと……もう、1体、別で、きたね」
「なら、固まってる方は私が支えます。リンさん、1体の方をお願いしますね」
 危機に陥った仲間を救うべく、伏せていたコボルドの接近。
 だが、警戒をしていたリンとすぐに動けるよう待機していたカトレアが即座に対応、双方が敵の足止めを果たせば失敗した挟撃となる。
 ならば、それは単純に戦力を散開させただけ、各個撃破の良い標的でしかなかったのだ。


「だいじょうぶ。負けたりなんてしません。癒しますから!」
 一人でコボルド3体に相対し、連打で膝を付いたカトレアを癒すめい。
 彼女の起こした柔らかな光はカトレアを蝕む激しい痛みを和らげ、まだ一手耐え切れる時間を稼ぐ貴重な回復となっていた。
「……厳しい、けど。手は……貸すよ」
 さらには、自身は別のコボルドと相対しつつ途中途中でリンが手裏剣を投擲。
 仲間と同時に襲い掛かろうとしている数任せの連携を絶つ事で、カトレアが攻撃を凌ぐ手助けをしていた為に、彼女が完全に倒される事は無かった。
 そして、半数が2人に足止めを受けているのなら、残るコボルドの方面が取り返しのつかない状況になるのは当然の結末か。
「あっ、この、逃げんじゃないわよ!? あー、仕方ない、アンタに決定☆」
 勝ち目が無いと判断、逃走したコボルドを狙うつもりだったエクセライトだが、視界の悪さと立ち並ぶ木々が邪魔で逃げた相手に追い討ちは出来ず。
 その代わりと狙われたコボルドに、彼女の放つ光の矢が命中。
 腹部に突き刺ささり痛みと共にうずくまれば、確実に数を減らそうと狙っていたロアが発砲。
 当たり所が悪くとも、今までの蓄積ダメージが重なって2体目のコボルドはその動きを止めていたのだ。
「これで2体目、逃げ出し始めたが……」
 硝煙立ち昇る銃口を下ろしロアが呟く。
 周辺住人には、鳴子を木々に仕掛け鳴れば大声で呼んでもらう手筈となっている。
 たった1体を追いかけるよりは、今近くに居る相手の数を減らしたほうが、住人の危険も下がり自分達の手間も少ない。
 それ故、一行はこの場での戦闘継続を選択、逃走する前に1体でも多く倒す事を目指し攻撃を。
「おいおい、逃げるなよ。さ、愉しく殺り合おうぜ?」
 不敵に笑い切那が走り、コボルドに切りかかる。
 さらには目の前の標的を逃がしたロートスが加勢に加わり、援護とばかりにアーニャも発砲。
 結果、3体目のコボルドも力なく大地に倒れ伏す結果となっていた。
「グルゥ……」
 半数の瓦解、勝ち目の喪失。
 ハンター達に奇襲を仕掛けようと、そして時間差で襲い掛かった時の勢いを完全に喪失、戦えば自分達が殺されると悟ったのだろう、残るコボルドも踵を返す。
 ここにきて、完全に戦況はハンター側に傾いたのだった。


「この、お返しです」
 逃げ出したコボルドに反撃とばかりにカトレアが杖を一振り。
 背中を打ち付けられつつも、転がるようにコボルドは木々の合間に逃走を、そして逃がすまいとして放たれたロア、エクセライト、アーニャの遠距離攻撃も木々に吸い込まれ、追い討ちとはいかなかった。
「だ、だいじょうぶ、ですか?」
 ボロボロのカトレアへ癒しの光を放ちつつ、めいが心配そうに駆け寄る。
 流石に消耗は激しいが、彼女が一時的に自己回復とめい、そしてリンの妨害と3人がかりで耐える行動を取った為にギリギリ、持ちこたえた格好である。
「……逃げた、方向は……こっち、かな……」
 そんな中、戦況を見渡していたが為に逃走を選択したコボルドを最後まで目視出来たリンが一方向を指し示し、移動速度に秀でたロートス、切那、リンが先行し追撃を。
 ランアウトにて速度を高めた3者の追撃、それはコボルドの予想を裏切る速度にて結果を示す。
「グルゥ!? ガウゥ!」
「おっと? 小さいからといって侮っていると痛い目みますよ……」
 追いついた面々が1体のコボルドに肉薄、真っ先に切り込んだロートスのダガーが驚愕するコボルドの背中に突き刺さり、その命を奪っていたのだ。
 更なる追撃、そして一行は次のコボルドを見つけるも駆け寄る速度は一旦減速。
「と、あのリボンは足場が悪い目印だな。無理に追いかけず見失わないようにいくぞ」
 カトレアが事前につけた目印を切那が発見、窪地が多い場所だった事を思い出し、足を取られぬよう慎重に追撃を。
 上手く自分の領域に引きこめたと思ったコボルドではあったが、3人が慎重に進む様を見て悔しそうに走り出していた。
「おおーい、こっちだ、こっちだー! 2匹だー!」
 同刻、雑木林の周りを固めていた住人からの叫び声。
 鳴子に引っ掛かったコボルドを威嚇、鳴子の罠と人影に脅えたコボルドは雑木林から飛び出すほうが危険と判断、逆方向に駆け出していたがそれはハンターの策どおり。
「さーて、逃がさないわよっと♪」
「はい、あっちから、きこえたので。こっちに、行ったと、思います」
 住人の声と自分達が遭遇した場所から逆算、雑木林内部を走るならこちら側と考えたエクセライトとめい。
 その予想通り、必死で雑木林内部に逃げ込んできたコボルドと、追撃した3人以外が遭遇するのは当然だろう。
「おっと、出会い頭か」
 コボルドにとっては不運な、ハンターにとっては幸運な出会い。
 逃げることに集中し警戒まで出来なかったコボルドに光の矢が、そして銃弾が叩き込まれ、即座に1体が倒れ伏す。
 恐慌状態のコボルドが別方向へ駆け出そうとした瞬間、反転した方から最後のコボルドが姿を現す。
 仲間の出現に安堵、一緒に逃げようとしたコボルドだが、次の瞬間その安堵は絶望へ。
「悪いな、終わらせたばかりなんだ」
 コボルドの背後に居たのは、切那を戦闘にリン、ロートス。
 血糊の着いたショートソードを一振りすれば、眼前のコボルドは力なく崩れ落ちる。
「……そういう、こと。取りこぼしが……出ないように……」
 ゆらり、とリンが最後のコボルドに近づき、ナイフを一突き。
 その一撃が致命傷、最後の1体が倒れた事でこの戦いは終わりを告げたのだ。


「……腰、ぬけちゃいました、です」
 初めての戦い、そして緊張の糸が途切れたのか、めいが力なくへたりこむ。
 別の場所では仲間にねぎらいの言葉をかけようとしたら、いつの間にかリンがいなくなっていた事にショックを受けるエクセライトが。
 別方向へ目を向ければ、恐怖からか緊張が緩んだか、コボルドとはいえ殺害してしまったからか、自分でも良く分からない感情で涙を一筋流すアーニャ。
 そんな彼女に気付いて声をかけたが為に、抱きつかれてしまったロートスが。
「動き始めた世界で……俺は何を見つけられるのかな……」
 などと、早期に雑木林から出たリンが呟き、無事の成功を祝福し、紅茶を飲もうと提案するロア。
 思い思いの状況に苦笑しつつ切那が、そしてカトレアが歩き出し……傾きかかった日差しの中、雑木林での戦いは終わりを告げたのであった。

依頼結果

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MVP一覧

  • 雷牙祓う癒し手
    カトレアka1585

重体一覧

参加者一覧


  • ロア・シュヴァイツ(ka0423
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士

  • アーニャ・リーニャ(ka0429
    エルフ|13才|女性|機導師

  • ロートス・リィエン(ka0513
    エルフ|12才|男性|疾影士
  • 豪気の女傑
    巡間 切那(ka0583
    人間(蒼)|20才|女性|疾影士
  • Sanctuary
    羊谷 めい(ka0669
    人間(蒼)|15才|女性|聖導士

  • リン(ka0721
    人間(紅)|20才|男性|疾影士

  • エクセライト・ローゼン(ka0749
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 雷牙祓う癒し手
    カトレア(ka1585
    エルフ|28才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/06/12 15:40:42
アイコン 作戦相談板
巡間 切那(ka0583
人間(リアルブルー)|20才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/06/16 09:22:42