ゲスト
(ka0000)
心優しき商人の激走
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/22 15:00
- 完成日
- 2016/01/27 16:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
頬に突き刺さるような冷たい風が、全身に纏うハンターの緊張感を煽る。
吐息は白く、流れる汗も即座に温度を失う。
視界の右前方。
ハンターの両目が捉えたのは、小高い丘で眠る一体のワイバーン。
大きな翼を折り曲げ、体を丸めるようにして眠っている。おかげで、ハンターたちには気づいていない。
現在地から、ワイバーンの眠る丘は大きな谷を隔てている。急な崖があるため、徒歩で移動するのは不可能に近い。
ワイバーンの様子に変化がないのを確認してから、ハンターは背後を振り返る。
そこには必死の形相で、山道を登る中年の男性がいた。背中には、小さな少女を背負っている。
男の名前はダンダ・ダッダ。商人であり、今回ハンターたちを雇った人物でもある。
「大丈夫か? すぐにお父さんが、お前を元気にしてやるからな」
背中でぐったりしている少女を励ますように、ダンダが言った。少女はダンダの娘だった。
ダンダの生まれ故郷の小さな村が、ゴブリンに攻め込まれたのが少し前。
元凶であるゴブリンは退治されたが、村の被害は甚大だった。
ハンターの協力を得て村を取り戻したはいいものの、ダンダの妻は帰らぬ人となり、大切な娘も相当に消耗していた。
懸命な看病を続けてきたが、状態は一向に良くならない。それどころか、少し前に少女の意識は混濁した。
高熱に襲われ、いつ命の灯が消えてもおかしくない。そんな中で、ダンダは商人仲間から愛娘を治せるかもしれない薬草の話を聞いた。
希少性が高く、持っている人間は少ない。だが、天はダンダを見放していなかった。
判明した数少ない持ち主のひとりは、かつてダンダが救済したことのある老齢の男性だった。
老齢の男性が貧困に窮していた際、困った時はお互いさまだからと可能な限りの援助をした。
大変に恩義を感じてくれていたあの男性であれば、きっと薬草を譲ってくれるとダンダは確信していた。
問題は、その人物が住む村まで結構な距離がある点だった。
ダンダの村からその村の間には大きな山があり、安全なルートは必然的に遠回りをする道になる。
馬車で急いでも、下手をすれば一週間ほどかかってしまう。危険な状態の娘に、時間的な猶予はない。
そこでダンダは決断した。魔獣も住むという山道を通ることを。
雇われたハンターたちはダンダと少女を気遣いながらも、日が落ちないうちに山を越えようと歩を進めていた。
そのために自分たちが少女を背負うと提案をするが、ダンダは決して首を縦に振らない。
「大丈夫です。足の爪が剥がれようとも、私が娘を背負います。あまり家に帰ってあげられなかった悪い父親ですが、それでも……父親ですので」
歯を食いしばり、懸命に足を動かすダンダ。
あともう少しで山道も終わりに差し掛かる。
そんな時だった。
待ち構えていたように野犬が現れたのである。しかも雑魔化しているようだ。
ハンターたちであれば雑魔化した野犬を殲滅するのは簡単だが、今回は依頼者のダンダを護衛しなければならない。
それにワイバーンの近くで戦えば、物音から目を覚ます危険性もある。
ワイバーンがハンターに気づけば、危険度は一気に上昇する。娘を背負うダンダを守るのも困難になる。
加えて時間もない。
ダンダの歩みを止めてしまえば、その分だけ少女の命が危険になっていく。
ダンダの進行ルートを確保しつつ、野犬を退け、ワイバーンを起こさないようにする。
難しいが、やるしかない。
ダンダを護衛するハンターは、それぞれの武器を取った。
頬に突き刺さるような冷たい風が、全身に纏うハンターの緊張感を煽る。
吐息は白く、流れる汗も即座に温度を失う。
視界の右前方。
ハンターの両目が捉えたのは、小高い丘で眠る一体のワイバーン。
大きな翼を折り曲げ、体を丸めるようにして眠っている。おかげで、ハンターたちには気づいていない。
現在地から、ワイバーンの眠る丘は大きな谷を隔てている。急な崖があるため、徒歩で移動するのは不可能に近い。
ワイバーンの様子に変化がないのを確認してから、ハンターは背後を振り返る。
そこには必死の形相で、山道を登る中年の男性がいた。背中には、小さな少女を背負っている。
男の名前はダンダ・ダッダ。商人であり、今回ハンターたちを雇った人物でもある。
「大丈夫か? すぐにお父さんが、お前を元気にしてやるからな」
背中でぐったりしている少女を励ますように、ダンダが言った。少女はダンダの娘だった。
ダンダの生まれ故郷の小さな村が、ゴブリンに攻め込まれたのが少し前。
元凶であるゴブリンは退治されたが、村の被害は甚大だった。
ハンターの協力を得て村を取り戻したはいいものの、ダンダの妻は帰らぬ人となり、大切な娘も相当に消耗していた。
懸命な看病を続けてきたが、状態は一向に良くならない。それどころか、少し前に少女の意識は混濁した。
高熱に襲われ、いつ命の灯が消えてもおかしくない。そんな中で、ダンダは商人仲間から愛娘を治せるかもしれない薬草の話を聞いた。
希少性が高く、持っている人間は少ない。だが、天はダンダを見放していなかった。
判明した数少ない持ち主のひとりは、かつてダンダが救済したことのある老齢の男性だった。
老齢の男性が貧困に窮していた際、困った時はお互いさまだからと可能な限りの援助をした。
大変に恩義を感じてくれていたあの男性であれば、きっと薬草を譲ってくれるとダンダは確信していた。
問題は、その人物が住む村まで結構な距離がある点だった。
ダンダの村からその村の間には大きな山があり、安全なルートは必然的に遠回りをする道になる。
馬車で急いでも、下手をすれば一週間ほどかかってしまう。危険な状態の娘に、時間的な猶予はない。
そこでダンダは決断した。魔獣も住むという山道を通ることを。
雇われたハンターたちはダンダと少女を気遣いながらも、日が落ちないうちに山を越えようと歩を進めていた。
そのために自分たちが少女を背負うと提案をするが、ダンダは決して首を縦に振らない。
「大丈夫です。足の爪が剥がれようとも、私が娘を背負います。あまり家に帰ってあげられなかった悪い父親ですが、それでも……父親ですので」
歯を食いしばり、懸命に足を動かすダンダ。
あともう少しで山道も終わりに差し掛かる。
そんな時だった。
待ち構えていたように野犬が現れたのである。しかも雑魔化しているようだ。
ハンターたちであれば雑魔化した野犬を殲滅するのは簡単だが、今回は依頼者のダンダを護衛しなければならない。
それにワイバーンの近くで戦えば、物音から目を覚ます危険性もある。
ワイバーンがハンターに気づけば、危険度は一気に上昇する。娘を背負うダンダを守るのも困難になる。
加えて時間もない。
ダンダの歩みを止めてしまえば、その分だけ少女の命が危険になっていく。
ダンダの進行ルートを確保しつつ、野犬を退け、ワイバーンを起こさないようにする。
難しいが、やるしかない。
ダンダを護衛するハンターは、それぞれの武器を取った。
リプレイ本文
●
強めの風に行く道を遮られようとも、ダンダの足は止まらない。愛娘を救うために前だけを見据えている。
「ダンダさんの気持ちは分かりますが、依頼の遂行のことを考えると困りましたね。とはいえ依頼を受けた以上は、全力を尽くしますが」
軽くため息をつきたい気持ちを押さえながら、エルバッハ・リオン(ka2434)が誰にも聞こえないように呟く。視線の先にいるのはもちろん、今も娘を背負うダンダだ。
「今回のボクらのお仕事は、娘を助けたいと言う切なるダンダさんの願いのサポートだよ」
依頼内容を確かめるように超級まりお(ka0824)が言い、玄間 北斗(ka5640)が頷く。
「ダンダさん、良いお父さんなのだぁ~。幼い娘さんの為にも、おいらも力を尽くしてお手伝いするのだ」
のんびりとした口調ながらも、確かな意思を感じさせる目で周囲の状況を確認する。
やや心配そうに口を開くのは白金 綾瀬(ka0774)だ。
「娘の為とはいえ、敵もいるんだからもう少し崖から離れて走ってほしいものだわ。まぁ、焦る気持ちもわかるけどね」
ハンターの全員が、難しい依頼になるかもしれないと予想する。その中には当然、黒耀 (ka5677)も含まれる。
「はてさて、困難な道ですが、命尽きる前に急ぎ確実に参りましょう……子は宝ですから」
言いつつ、すぐに訪れそうな戦闘を想定してカードの準備を整える。近くには、同じくカードを扱うルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)がいた。
「ルンルン忍法とカードの力を駆使して、ダンダさんと娘さんを護り、目的の村まで無事に送り届けちゃいます!」
ご先祖様は大ニンジャだという秋桜が、独特のポーズを決める。冷たい風が吹く中でも元気一杯だ。
護衛対象となるダンダの側には、蒼綺 碧流(ka3373)が立っている。
「今回もダンダさんを守り抜くのです……そしてオヤツを貰うのです!」
両手で握り拳を作り、瞳の中に決意という名の燃える炎を宿す。商人のダンダであれば、珍しいオヤツを持っているに違いないと信じて。
ダンダのすぐ前を歩くロニ・カルディス(ka0551)は、向かって右方にある崖を眺めたあと、視線を正面に移動させる。
視界の中には、血走った眼で唸り、鋭く尖った牙を見せつけるように露出させている野犬がいる。獲物を見つけた興奮の涎が、牙を凶悪に光らせる。
「こうにも障害しか出てこないとはな。いや、愚痴っても仕方がないか」
舌打ちしたくなるような気持ちを押さえ、ロニはフリーハンドバックラーの位置を確かめる。明らかに普通ではない――雑魔化してるとひと目でわかる野犬が突撃してきた場合、ダンダの元へ行かせないためにも受け止める必要があった。
各ハンターが雑魔化した野犬との戦闘を前に装備を確かめる中、脅威すら目に入ってないようにダンダは迷わず先へ向かっていく。
●
真っ先に動いたのは秋桜だった。手早く野犬雑魔を駆除できるよう、敵へ向かおうとする面々の戦闘力を地脈鳴動で上昇させる。
口付けした符を持ち、やはり独特のポーズを決める。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法ニンジャパワー! 目覚めてみんなのニンジャ力☆ あっ、まりおさんはキノコ力?」
「マンマ・ミーア!!」
秋桜の支援を受けたまりおが走り出す。前方にいる野犬に注意を向けながらも、目覚めたら一番の脅威となるだろう睡眠中のワイバーンを見る。
「よりによって何これ? ただでさえ崖っぷちを通る難所コースだってのに、野犬はゾロゾロ出てくるし。崖の向こう側でワイバーンが寝ているし」
ちょっとだけ呆れ気味の口調で言いつつも、ギブアップするつもりはないとばかりに速度を上げる。
まりおの他に秋桜の地脈鳴動で援護されたのは、ロニ、綾瀬、北斗の三人だった。
「道は俺たちに任せてくれ。ただ前だけ向いて、走ってもらって構わない」
娘を背負って歩くダンダに声をかけてから、ロニがまりおを追いかけるように走り出す。すぐ後ろには北斗も続く。
「万が一、足を滑らせでもしたらダンダさんはもとより、娘さんの命がそれこそ危ぶまれるのだ。急ぐ時こそ慎重に、安全第一で事に当たってなのだ」
忠告を送る北斗からやや遅れて、銃で遠距離攻撃が可能な綾瀬が野犬への対応に急ぐ。
「私達が道を切り開くから、ダンダは気にせず突っ切りなさい。ただ崖だけには気を付けるよう頼むわね」
口々に崖への注意を訴えるが、娘の命を救いたい一心のダンダは前しか見ていない。自分の足場すら気にしてないみたいだった。
野犬対応よりもダンダの護衛を優先させるエルバッハが、先行して足場の状況を確かめつつ、崖向こうにいるワイバーンの様子を窺う。
現在は睡眠中みたいだが、いつどのような拍子に目覚めるかわからない。警戒のしすぎくらいで丁度いいように思えた。
「ダンダさんがあまり崖に近づきすぎると、ワイバーンが起きてしまうかもしれませんね。可能な限り起こしたくはありませんが、起きて戦闘に加わる前提で行動しましょう」
碧流もダンダが崖下に落ちないよう、可能な限り気を遣っている。
「ダンダさんが崖ギリギリを走らないように、護衛しつつも前に出るのです。最悪の場合はあらゆるスキルを使用し、全火力でワイバーンに撃ち込みをするのです!」
「そうですね。なるべくワイバーンを起こさないよう、崖近くには近づかず、そこにいる敵との戦闘は極力避ける必要がありますね」
黒耀が碧流の発言に同調する。自身は無理に攻め込まず、先行した味方が突破された場合に備えて、敵の足止め用に地縛符を放つ。完成した不可視の結界が、野犬を今かと待ち受ける。
「女の子の命を助けて、幸せ家族を守る為にも、邪魔なんて絶対させないんだから!」
ワイバーンの姿を見て多少ビックリしつつも、気を取り直して秋桜はダンダの進路を確保するために山道を進む。
●
ハンターたちの動きが目に入ったらしく、雑魔化した野犬たちも一斉に動き出す。
「上等じゃんね♪ こうなったら意地でもダンダさんを無事に、此処を通り抜けさせてやるんだからっ!!」
いの一番に走ってきたまりおを狙おうとするが、その前に当のまりおは野犬の一体を飛び越えてしまう。
それもそのはず、まりおが狙っているのは、最初から一番奥にいる野犬だった。
まりおに突破された野犬の一体が、追いかけるのではなく腹立たしそうにまだ前方にいるハンターたちを睨みつけてくる。その中には、移動中のダンダも含まれていた。
「どうやらダンダには前しか見えてないようだな。ならば到達するだろう地点を予測し、その前に敵を排除、無理でも牽制してその場に足止めせねばなるまい」
接近してくるロニに、野犬の一体が飛びかかる。回避するのではなく、ロニはあえて盾で受け止める。
「こちらへ向かってきたか。好都合だ。しばらく動きを封じさせてもらうぞ」
腕全体に力を入れて、ロニは敵を押し返す。バランスを崩した野犬は上手く着地できず、その場に転倒する。狙い通りだった。
すぐに動けなくなった敵に、まずは綾瀬が両手に構えた銃で一撃を見舞う。
直撃し、瀕死となった野犬の一体に、ダンダの護衛をしながら戦況を見守っていたエルバッハが魔法攻撃の準備に入る。
「ファイアーボールでは味方を巻き込みかねませんね。雑魔の野犬には、ウィンドスラッシュで攻撃しましょう」
放たれた鋭い風が、瀕死だった野犬の一体を容赦なく切り裂いて消滅させる。
野生の本能で危機を察知しながらも、残りの野犬は逃げようとしない。殺戮衝動の赴くままに、怯んだりせずハンターへ襲い掛かる。
逃げ出してくれれば楽だったが、あくまでも向かってくるのであれば、ダンダの側へ行かせないようにするしかない。
闘心昂揚で戦闘態勢を整えた上で、北斗は六角棍の間合いを活かし、ノックバックで野犬の一体を吹き飛ばす。
威嚇するように他の野犬を睨みつけ、注意を自分に向けさせる。
「きちんと守ってみせるから、ダンダさんは娘さんの為にも、誤って崖に滑り落ちる様な事がないようにするのだ」
「ダンダさんの動向はこちらでも注視しておきましょう。加えて野犬がこちらへ向かってきても、仕掛けた地縛符で足止めをします。数が増えても、待ち構えて風雷陣の対象に加えましょう」
黒耀の言葉を受け、安心したように北斗は目の前にいる野犬への対応に全力を注ぐ。
「とにかく敵の注意を自分に引きつけて、ダンダさんの進路上に敵を寄せ付けないように戦うのだ」
野犬への対応が万全に近いとなれば、あとはワイバーンへの備えだ。崖向こうをチラリと見た秋桜が符をドローする。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……忍法土蜘蛛の術スカイ! 符をセットしてターンエンドです☆」
目覚めたワイバーンに、ダンダの進路へ真っ直ぐ飛ばれるのは脅威だ。そこで秋桜は、予測したワイバーンのルート上で発動するように地縛符を放った。
秋桜の行動を眺めながら、碧流もワイバーンへの警戒を続ける。
「野犬はたくさんですが、味方を信じて無視です。最優先で警戒すべきはワイバーンなのです……!」
脅威となるワイバーンはいまだ眠ったまま、最初に飛び出したハンターたちのおかげでダンダの側まで近寄らせていなかった。
そんな中、最奥の野犬を狙っていたまりおが敵の動きに気づく。
「標的の野犬が計算通りにボクを狙ってきたね。あとは倒すだけ。その他の野犬やワイバーンの対応は、皆に任せて大丈夫だよね」
大きな声でのまりおの言葉に、最初に反応したのは綾瀬だった。
「もちろん。ダンダの娘さんの命が掛かってるんだもの。邪魔をする奴は全部狙い撃つわ」
喋っている最中にも、銃で狙いをつけた野犬の一体を撃つ。
すでに北斗の攻撃で傷を負っていたのもあって、やや太めの黒い銃身が特徴の両手銃から勢いよく放出された弾丸が野犬の頭部を貫いた。
綾瀬の強烈な弾丸に倒れた野犬の奥では、まりおが標的に定めた別の野犬を丁度倒し終えたところだった。
着実に野犬の数は減り、ハンターがダンダの安全を確保できる領域がさらに広がる。
「寝る子をわざわざ起こす必要はあるまい。このまま一気に野犬を殲滅する。ダンダと、その娘の為にもな」
「異論はないわ。ダンダが無事にこの場を通り抜けられるように、進路上の敵を全部倒していくわ」
ロニがシールドバッシュで押し返し、倒れた野犬に綾瀬が銃弾でとどめを刺す。連携のとれた攻撃により、敵はまた一体数を減らした。
狙った獲物を仕留めたあとで、綾瀬は横目でいまだ眠り続けるワイバーンを見ながら言う。
「ワイバーンが起きた場合は優先して対処するつもりだったけど、杞憂に終わりそうね。確かにあえて目覚めさせる理由はないし、おとなしく眠っていてもらいましょう」
同意見だったらしいエルバッハも、奥から迫ろうとする最後の野犬をファイアーボールで攻撃しながら会話に参加する。
「ワイバーンが起きてこちらに向かって来たら、スリープクラウドをワイバーンに撃ち込んで眠らせて、崖下に墜落するように仕向けるつもりだったのですけどね」
危機管理しておくに越したことはない。依頼者の安全を確保する仕事であればなおさらだ。最後まで油断しないようにしつつ、エルバッハは一心不乱に前だけを目指すダンダに声をかける。
「もしもの時は、私がダンダさんの娘さんをすぐに助けて、背負って走ります。安心して、ご自分に出来ることをなさって下さい」
エルバッハの声が聞こえているのかいないのか、冷たい風に身を震わせながらもダンダは懸命に足を動かす。
側では碧流がワイバーンを警戒しながら、ダンダが崖下へ落ちないように気を付けている。
「どうやらワイバーンは起きないみたいですね。ならば、このまま進むのです。何としてもダンダさんに、娘さんを助けてもらいたいのです……!」
「私もワイバーンが起きてこちらへ迫った場合は最優先で相手をするつもりでしたが、どうやらその必要はなさそうですね。では、雑魔の野犬退治に全力を尽くさせていただきます」
黒耀が符を構える前方では、今も北斗が野犬の一体と対峙していた。腕に鋭い牙を立てられようとも、簡単にはその場を動かない。
「ダンダさんが安全地帯に行くまでの辛抱なのだぁ~。ちょっと厳しいけど、頑張るのだぁ~」
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 娘さんを心配する思い、邪魔なんてさせないんだからっ」
援護に回った秋桜が五色光符陣を撃ち、雑魔化した野犬へダメージを与えると同時に光で目をくらませた。
「野犬も残り一体となっておりますし、火炎符に切り替えて終わりにいたしましょう」
隙だらけになった野犬に火炎符を命中させるのは難しくなく、黒耀の一撃で野犬の殲滅は終了した。
●
先を急ぐダンダの護衛が依頼というのもあり、結局起きなかったワイバーンをハンターたちは放置した。
野犬の雑魔は遭遇したので全部だったようで、他にはいなかった。
それでも厳しい山道。鍛えられているハンターならいざ知らず、商人のダンダが娘を背負って越えるのはひと苦労だった。
ダンダの希望もあってハンターは手を出さないものの、口々に励まし、そして目的の村が見えた。
「あそこに……あそこに行けば……娘は……」
「安堵するのはまだ早い。最後の最後まで気を抜かないことだ」
ダンダに注意喚起こそしたが、ロニの口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。
「けど、まぁ、頑張ったよね」
まりおに褒められ、ダンダが涙ぐむ。
その様子を見ていた北斗も、つられるように若干の涙を瞳に浮かべた。
「良い話なのだぁ~」
「そうですね。娘さんの命もまだあります。依頼は成功ですね」
北斗とダンダを交互に見て、黒耀が優しげな微笑みを見せる。
「うんうん。邪魔した雑魔と、起きそうな飛竜にはぷんぷんでしたけど!」
ここまで来れば、眠っているワイバーンを起こさないように気を遣う必要もない。秋桜の言葉に一同が笑う。
「ようやく落ち着きを取り戻したみたいね。山道ではどうなることかと思ったわよ」
綾瀬に言われ、娘を背負いながらダンダは面目ありませんと頬を掻く。
希望が見えてきたことで、綾瀬の指摘どおりにダンダはかなりの平常心を取り戻していた。
「それでも、早く村へ行きたいのに変わりはないでしょう。私達も最後の最後まで護衛します」
お願いしますと、改めてエルバッハに頭を下げるダンダの隣で、碧流がその通りですと力強く頷いた。
「村に着かなければ、オヤツを貰えません! それは一大事なのです!」
朗らかに笑うダンダを周囲を護衛しながら、ハンターたちは目指す村へと続く大地を踏みしめる。
山道ではとても冷たかった風が、今では赤子をあやす母親の手のように、なんともいえない心地よさを感じさせてくれた。
強めの風に行く道を遮られようとも、ダンダの足は止まらない。愛娘を救うために前だけを見据えている。
「ダンダさんの気持ちは分かりますが、依頼の遂行のことを考えると困りましたね。とはいえ依頼を受けた以上は、全力を尽くしますが」
軽くため息をつきたい気持ちを押さえながら、エルバッハ・リオン(ka2434)が誰にも聞こえないように呟く。視線の先にいるのはもちろん、今も娘を背負うダンダだ。
「今回のボクらのお仕事は、娘を助けたいと言う切なるダンダさんの願いのサポートだよ」
依頼内容を確かめるように超級まりお(ka0824)が言い、玄間 北斗(ka5640)が頷く。
「ダンダさん、良いお父さんなのだぁ~。幼い娘さんの為にも、おいらも力を尽くしてお手伝いするのだ」
のんびりとした口調ながらも、確かな意思を感じさせる目で周囲の状況を確認する。
やや心配そうに口を開くのは白金 綾瀬(ka0774)だ。
「娘の為とはいえ、敵もいるんだからもう少し崖から離れて走ってほしいものだわ。まぁ、焦る気持ちもわかるけどね」
ハンターの全員が、難しい依頼になるかもしれないと予想する。その中には当然、黒耀 (ka5677)も含まれる。
「はてさて、困難な道ですが、命尽きる前に急ぎ確実に参りましょう……子は宝ですから」
言いつつ、すぐに訪れそうな戦闘を想定してカードの準備を整える。近くには、同じくカードを扱うルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)がいた。
「ルンルン忍法とカードの力を駆使して、ダンダさんと娘さんを護り、目的の村まで無事に送り届けちゃいます!」
ご先祖様は大ニンジャだという秋桜が、独特のポーズを決める。冷たい風が吹く中でも元気一杯だ。
護衛対象となるダンダの側には、蒼綺 碧流(ka3373)が立っている。
「今回もダンダさんを守り抜くのです……そしてオヤツを貰うのです!」
両手で握り拳を作り、瞳の中に決意という名の燃える炎を宿す。商人のダンダであれば、珍しいオヤツを持っているに違いないと信じて。
ダンダのすぐ前を歩くロニ・カルディス(ka0551)は、向かって右方にある崖を眺めたあと、視線を正面に移動させる。
視界の中には、血走った眼で唸り、鋭く尖った牙を見せつけるように露出させている野犬がいる。獲物を見つけた興奮の涎が、牙を凶悪に光らせる。
「こうにも障害しか出てこないとはな。いや、愚痴っても仕方がないか」
舌打ちしたくなるような気持ちを押さえ、ロニはフリーハンドバックラーの位置を確かめる。明らかに普通ではない――雑魔化してるとひと目でわかる野犬が突撃してきた場合、ダンダの元へ行かせないためにも受け止める必要があった。
各ハンターが雑魔化した野犬との戦闘を前に装備を確かめる中、脅威すら目に入ってないようにダンダは迷わず先へ向かっていく。
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真っ先に動いたのは秋桜だった。手早く野犬雑魔を駆除できるよう、敵へ向かおうとする面々の戦闘力を地脈鳴動で上昇させる。
口付けした符を持ち、やはり独特のポーズを決める。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法ニンジャパワー! 目覚めてみんなのニンジャ力☆ あっ、まりおさんはキノコ力?」
「マンマ・ミーア!!」
秋桜の支援を受けたまりおが走り出す。前方にいる野犬に注意を向けながらも、目覚めたら一番の脅威となるだろう睡眠中のワイバーンを見る。
「よりによって何これ? ただでさえ崖っぷちを通る難所コースだってのに、野犬はゾロゾロ出てくるし。崖の向こう側でワイバーンが寝ているし」
ちょっとだけ呆れ気味の口調で言いつつも、ギブアップするつもりはないとばかりに速度を上げる。
まりおの他に秋桜の地脈鳴動で援護されたのは、ロニ、綾瀬、北斗の三人だった。
「道は俺たちに任せてくれ。ただ前だけ向いて、走ってもらって構わない」
娘を背負って歩くダンダに声をかけてから、ロニがまりおを追いかけるように走り出す。すぐ後ろには北斗も続く。
「万が一、足を滑らせでもしたらダンダさんはもとより、娘さんの命がそれこそ危ぶまれるのだ。急ぐ時こそ慎重に、安全第一で事に当たってなのだ」
忠告を送る北斗からやや遅れて、銃で遠距離攻撃が可能な綾瀬が野犬への対応に急ぐ。
「私達が道を切り開くから、ダンダは気にせず突っ切りなさい。ただ崖だけには気を付けるよう頼むわね」
口々に崖への注意を訴えるが、娘の命を救いたい一心のダンダは前しか見ていない。自分の足場すら気にしてないみたいだった。
野犬対応よりもダンダの護衛を優先させるエルバッハが、先行して足場の状況を確かめつつ、崖向こうにいるワイバーンの様子を窺う。
現在は睡眠中みたいだが、いつどのような拍子に目覚めるかわからない。警戒のしすぎくらいで丁度いいように思えた。
「ダンダさんがあまり崖に近づきすぎると、ワイバーンが起きてしまうかもしれませんね。可能な限り起こしたくはありませんが、起きて戦闘に加わる前提で行動しましょう」
碧流もダンダが崖下に落ちないよう、可能な限り気を遣っている。
「ダンダさんが崖ギリギリを走らないように、護衛しつつも前に出るのです。最悪の場合はあらゆるスキルを使用し、全火力でワイバーンに撃ち込みをするのです!」
「そうですね。なるべくワイバーンを起こさないよう、崖近くには近づかず、そこにいる敵との戦闘は極力避ける必要がありますね」
黒耀が碧流の発言に同調する。自身は無理に攻め込まず、先行した味方が突破された場合に備えて、敵の足止め用に地縛符を放つ。完成した不可視の結界が、野犬を今かと待ち受ける。
「女の子の命を助けて、幸せ家族を守る為にも、邪魔なんて絶対させないんだから!」
ワイバーンの姿を見て多少ビックリしつつも、気を取り直して秋桜はダンダの進路を確保するために山道を進む。
●
ハンターたちの動きが目に入ったらしく、雑魔化した野犬たちも一斉に動き出す。
「上等じゃんね♪ こうなったら意地でもダンダさんを無事に、此処を通り抜けさせてやるんだからっ!!」
いの一番に走ってきたまりおを狙おうとするが、その前に当のまりおは野犬の一体を飛び越えてしまう。
それもそのはず、まりおが狙っているのは、最初から一番奥にいる野犬だった。
まりおに突破された野犬の一体が、追いかけるのではなく腹立たしそうにまだ前方にいるハンターたちを睨みつけてくる。その中には、移動中のダンダも含まれていた。
「どうやらダンダには前しか見えてないようだな。ならば到達するだろう地点を予測し、その前に敵を排除、無理でも牽制してその場に足止めせねばなるまい」
接近してくるロニに、野犬の一体が飛びかかる。回避するのではなく、ロニはあえて盾で受け止める。
「こちらへ向かってきたか。好都合だ。しばらく動きを封じさせてもらうぞ」
腕全体に力を入れて、ロニは敵を押し返す。バランスを崩した野犬は上手く着地できず、その場に転倒する。狙い通りだった。
すぐに動けなくなった敵に、まずは綾瀬が両手に構えた銃で一撃を見舞う。
直撃し、瀕死となった野犬の一体に、ダンダの護衛をしながら戦況を見守っていたエルバッハが魔法攻撃の準備に入る。
「ファイアーボールでは味方を巻き込みかねませんね。雑魔の野犬には、ウィンドスラッシュで攻撃しましょう」
放たれた鋭い風が、瀕死だった野犬の一体を容赦なく切り裂いて消滅させる。
野生の本能で危機を察知しながらも、残りの野犬は逃げようとしない。殺戮衝動の赴くままに、怯んだりせずハンターへ襲い掛かる。
逃げ出してくれれば楽だったが、あくまでも向かってくるのであれば、ダンダの側へ行かせないようにするしかない。
闘心昂揚で戦闘態勢を整えた上で、北斗は六角棍の間合いを活かし、ノックバックで野犬の一体を吹き飛ばす。
威嚇するように他の野犬を睨みつけ、注意を自分に向けさせる。
「きちんと守ってみせるから、ダンダさんは娘さんの為にも、誤って崖に滑り落ちる様な事がないようにするのだ」
「ダンダさんの動向はこちらでも注視しておきましょう。加えて野犬がこちらへ向かってきても、仕掛けた地縛符で足止めをします。数が増えても、待ち構えて風雷陣の対象に加えましょう」
黒耀の言葉を受け、安心したように北斗は目の前にいる野犬への対応に全力を注ぐ。
「とにかく敵の注意を自分に引きつけて、ダンダさんの進路上に敵を寄せ付けないように戦うのだ」
野犬への対応が万全に近いとなれば、あとはワイバーンへの備えだ。崖向こうをチラリと見た秋桜が符をドローする。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……忍法土蜘蛛の術スカイ! 符をセットしてターンエンドです☆」
目覚めたワイバーンに、ダンダの進路へ真っ直ぐ飛ばれるのは脅威だ。そこで秋桜は、予測したワイバーンのルート上で発動するように地縛符を放った。
秋桜の行動を眺めながら、碧流もワイバーンへの警戒を続ける。
「野犬はたくさんですが、味方を信じて無視です。最優先で警戒すべきはワイバーンなのです……!」
脅威となるワイバーンはいまだ眠ったまま、最初に飛び出したハンターたちのおかげでダンダの側まで近寄らせていなかった。
そんな中、最奥の野犬を狙っていたまりおが敵の動きに気づく。
「標的の野犬が計算通りにボクを狙ってきたね。あとは倒すだけ。その他の野犬やワイバーンの対応は、皆に任せて大丈夫だよね」
大きな声でのまりおの言葉に、最初に反応したのは綾瀬だった。
「もちろん。ダンダの娘さんの命が掛かってるんだもの。邪魔をする奴は全部狙い撃つわ」
喋っている最中にも、銃で狙いをつけた野犬の一体を撃つ。
すでに北斗の攻撃で傷を負っていたのもあって、やや太めの黒い銃身が特徴の両手銃から勢いよく放出された弾丸が野犬の頭部を貫いた。
綾瀬の強烈な弾丸に倒れた野犬の奥では、まりおが標的に定めた別の野犬を丁度倒し終えたところだった。
着実に野犬の数は減り、ハンターがダンダの安全を確保できる領域がさらに広がる。
「寝る子をわざわざ起こす必要はあるまい。このまま一気に野犬を殲滅する。ダンダと、その娘の為にもな」
「異論はないわ。ダンダが無事にこの場を通り抜けられるように、進路上の敵を全部倒していくわ」
ロニがシールドバッシュで押し返し、倒れた野犬に綾瀬が銃弾でとどめを刺す。連携のとれた攻撃により、敵はまた一体数を減らした。
狙った獲物を仕留めたあとで、綾瀬は横目でいまだ眠り続けるワイバーンを見ながら言う。
「ワイバーンが起きた場合は優先して対処するつもりだったけど、杞憂に終わりそうね。確かにあえて目覚めさせる理由はないし、おとなしく眠っていてもらいましょう」
同意見だったらしいエルバッハも、奥から迫ろうとする最後の野犬をファイアーボールで攻撃しながら会話に参加する。
「ワイバーンが起きてこちらに向かって来たら、スリープクラウドをワイバーンに撃ち込んで眠らせて、崖下に墜落するように仕向けるつもりだったのですけどね」
危機管理しておくに越したことはない。依頼者の安全を確保する仕事であればなおさらだ。最後まで油断しないようにしつつ、エルバッハは一心不乱に前だけを目指すダンダに声をかける。
「もしもの時は、私がダンダさんの娘さんをすぐに助けて、背負って走ります。安心して、ご自分に出来ることをなさって下さい」
エルバッハの声が聞こえているのかいないのか、冷たい風に身を震わせながらもダンダは懸命に足を動かす。
側では碧流がワイバーンを警戒しながら、ダンダが崖下へ落ちないように気を付けている。
「どうやらワイバーンは起きないみたいですね。ならば、このまま進むのです。何としてもダンダさんに、娘さんを助けてもらいたいのです……!」
「私もワイバーンが起きてこちらへ迫った場合は最優先で相手をするつもりでしたが、どうやらその必要はなさそうですね。では、雑魔の野犬退治に全力を尽くさせていただきます」
黒耀が符を構える前方では、今も北斗が野犬の一体と対峙していた。腕に鋭い牙を立てられようとも、簡単にはその場を動かない。
「ダンダさんが安全地帯に行くまでの辛抱なのだぁ~。ちょっと厳しいけど、頑張るのだぁ~」
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 娘さんを心配する思い、邪魔なんてさせないんだからっ」
援護に回った秋桜が五色光符陣を撃ち、雑魔化した野犬へダメージを与えると同時に光で目をくらませた。
「野犬も残り一体となっておりますし、火炎符に切り替えて終わりにいたしましょう」
隙だらけになった野犬に火炎符を命中させるのは難しくなく、黒耀の一撃で野犬の殲滅は終了した。
●
先を急ぐダンダの護衛が依頼というのもあり、結局起きなかったワイバーンをハンターたちは放置した。
野犬の雑魔は遭遇したので全部だったようで、他にはいなかった。
それでも厳しい山道。鍛えられているハンターならいざ知らず、商人のダンダが娘を背負って越えるのはひと苦労だった。
ダンダの希望もあってハンターは手を出さないものの、口々に励まし、そして目的の村が見えた。
「あそこに……あそこに行けば……娘は……」
「安堵するのはまだ早い。最後の最後まで気を抜かないことだ」
ダンダに注意喚起こそしたが、ロニの口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。
「けど、まぁ、頑張ったよね」
まりおに褒められ、ダンダが涙ぐむ。
その様子を見ていた北斗も、つられるように若干の涙を瞳に浮かべた。
「良い話なのだぁ~」
「そうですね。娘さんの命もまだあります。依頼は成功ですね」
北斗とダンダを交互に見て、黒耀が優しげな微笑みを見せる。
「うんうん。邪魔した雑魔と、起きそうな飛竜にはぷんぷんでしたけど!」
ここまで来れば、眠っているワイバーンを起こさないように気を遣う必要もない。秋桜の言葉に一同が笑う。
「ようやく落ち着きを取り戻したみたいね。山道ではどうなることかと思ったわよ」
綾瀬に言われ、娘を背負いながらダンダは面目ありませんと頬を掻く。
希望が見えてきたことで、綾瀬の指摘どおりにダンダはかなりの平常心を取り戻していた。
「それでも、早く村へ行きたいのに変わりはないでしょう。私達も最後の最後まで護衛します」
お願いしますと、改めてエルバッハに頭を下げるダンダの隣で、碧流がその通りですと力強く頷いた。
「村に着かなければ、オヤツを貰えません! それは一大事なのです!」
朗らかに笑うダンダを周囲を護衛しながら、ハンターたちは目指す村へと続く大地を踏みしめる。
山道ではとても冷たかった風が、今では赤子をあやす母親の手のように、なんともいえない心地よさを感じさせてくれた。
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相談卓 エルバッハ・リオン(ka2434) エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/01/22 00:55:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/20 23:52:00 |