白に紛れる魔獣

マスター:なちゅい

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/01/25 22:00
完成日
2016/01/28 20:46

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●雪に紛れるオオカミ達
 グラズヘイムにも、雪が舞う季節が訪れている。
 寒さが身に染みるこの時期。しかしながら、子供達にとってはそんなのはお構いなしだ。
「わぁぁい!」
「やったな、この!」
 まだ、幼い3人の子供達は周りのもの全てが遊びの対象。いくら冷たい雪だろうが、興味を持てば、それは子供達の遊び道具。雪玉を転がして雪だるまを作り、小さな雪玉を投げ合って雪合戦を行う。
 子供の1人がまた雪玉を作ろうと、地面にしゃがみ込む。その子はそこで、何か白く大きなそれに気づく。
「あ、あ……」
「ひ、ひいっ……」
 それは、狼だった。白い体毛の狼が4体。しかし、それはただの狼ではない。マテリアルがなくなって一度は死に絶え、歪虚となった魔獣だ。そいつらは、子供達を発見し、雪に紛れて近づいてきていたのだ。
 子供達は自分よりもはるかに大きな狼に見下ろされ、身がすくんでしまっている。圧倒的な力を前に、成す術の無い子供達は震えることしかできない。
「待て!」
 そこに駆けつけたのは、数人のハンター達だった。

●狼討伐の依頼
 話は数刻前にさかのぼる。
 近場の村にいたハンター達は、平原に住み着いた狼討伐の依頼を受けていた。
 なんでも、歪虚と化した狼は我が物顔で平原を駆け回り、騎士だけではなく、近場の住人達をも襲うという。
「皆の安全の為にも、雑魔の討伐を願います」
 カウンターの女性の言葉を受け、ハンター達は平原……雪が積もれば雪原だろうか。ともあれ、そこへと向かったのだ。
 早速、雪原で狼を発見したハンター達。彼らは、そこで、雑魔に襲われる子供達を発見したのだ。このままでは、子供達が危ない。ハンター達は雪原を子供達の血で染めてしまわぬ為に、武器を抜くのだった。

リプレイ本文

●白い世界で
 しんしんと降り積もる雪。
 真っ白な世界の中、いくつもの足跡がついていく。それは、グラスヘイムの平原を捜索していたハンター達がつけたものだ。
「雪の降る場所で動物狩り……。部族の集落に居たときを思い出すわね」
 探索中、コロラ・トゥーラ(ka5954)が呟く。
 クリムゾンウェストのとある一部族は白い狼をあがめており、その部族出身であるコロラもそうしていたという。だからこそ、狼を狩ることは少なかったのだが。
「でも、彼らはもう歪虚へと落ちた身。むしろ逆に、滅ぼすことこそが供養でしょう」
「狼か。……歪虚化したのなら、退かないだろうな」
 そうなれば、戦るしかないと鳳城 錬介(ka6053)は考える。
「さてさてどうしますかねえ」
 ノーマン・コモンズ(ka0251)はほとんど間をおかずに言葉を続ける。
「考える必要もないですねえ、急ぐとしますかねえ」
 もしかしたら、誰かが襲われているかもしれない。ハンター達はそんな予感に駆られていたのだ。
 そして、その予感は現実のものとなる。ハンター達が発見したのは、歪虚と化した狼に襲われかけている3人の子供だった。
 まだ子供と狼の距離はある。足にマテリアルを集中させて真っ先に近づいていたノーマン。彼は身を挺して子供を守ろうと手を広げる。子供達は恐ろしさの余り泣き出してしまっていた。
「せっかく綺麗な雪なのに、怖い思いをしてしまうなんて……」
 シャルア・レイセンファード(ka4359)はその状況を見過ごすことができない。
「ぎりぎりセーフかな?」
 駆けつけたウーナ(ka1439)は、狼が子供に襲い掛かる直前で両者の間に入りこむ。バイクに乗っていたマリィア・バルデス(ka5848)も敵を見据えていたが、その距離はもうほとんどなくなっている。愛車である大事なバイクで吶喊する必要はなさそうだ。
「なんか最近、狼ハンターじみてきたなぁ……。あ、キミたちは下がっててね。邪魔だから」
 ゲーム感覚で戦いを楽しむウーナ。テンション高く2丁のオートマチック銃を抜いていた。
「これは見逃せないのです、子供たちにはしっかり楽しんで貰いたいですね」
 だからこそ、雑魔の排除を。シャルアもその為に、魔杖『スキールニル』を構えるのだった。

●子供の保護を
 4体もの狼と対すれば、力を持たない子供には恐怖しか覚えない。それが雑魔ならばなおのこと。
「うわーーん!」
「パパ、ママーー!!」
 狼を前にした子供達は泣き始めてしまっていた。
 ともあれ、子供達の安全を第一に。目の前の狼は間もなく襲ってくる。ノーマンは特殊強化鋼製ワイヤーウィップを握り、先んじて敵の牽制を行う。鞭を避けようとした敵は、脚がもつれて転んでいた。
(ちょっと面倒な状況になっちゃったね。面倒だけど、まず子供達を守らなきゃ……と)
 後ろで震える子供達をちらりと見たウーナはすぐに正面を向き、敵2体目がけて連続して銃弾を撃つ。
 そうして弾幕を張った彼女に、仲間達も続く。
「α、γ、行って狼の気を散らせ!」
 バイクから降りたマリィアは連れていた2匹の犬に銘じつつ、自らは魔導銃で制圧射撃を行う。狙うはウーナの射撃から漏れた敵2体。マリィアが銃撃を展開すると、敵は少し怯んでいたようだ。
「この子達は、貴方達の餌ではないわ」
 子供達に近づくなという意思を込め、コロラも虹の弓を携えて矢を射る。牽制を考えた一矢。当たってしまったらその時はその時と考えていたが、絶妙な位置に放ったその一射は敵の手前の地面に突き刺さり、フリーになっていた敵の脚を止める。
「子供たちから、離れてください!」
 シャルア―も魔杖を振るい、魔法の矢を放つ。威嚇射撃のつもりでの一撃だったが、エネルギーの矢は狼の胸を正面から貫いた。
 体を子供と狼の間へと割って入る錬介。子供達の身柄を確保した彼は両手に獲物……盾とウォーピックを構える。
「少々刺激的な場面を見せる事になるけど、仕方ない」
 子供達の体に傷をつけるわけにもいかないのだ。
(許してくれると嬉しいな)
 彼は止むを得ず、ピックの鈍器部分で狼を殴りつけていく。
「子供達を避難させる時間を、1秒でも稼ぎませんと……!」
 コロラはその時間を稼ぐべく、オートマチック「アレニスカ」へと武器を持ち変えて銃撃を放つ。その際、拳銃が届く範囲内を立ち回り、子供達を守っていたようだ。
 依然として怯える子供達に、シャルアは手を差し伸べる。
「大丈夫なのですよ。絶対、守りますから」
 すると、子供の1人がシャルアの背後へと回る。他の子供達は泣きながらも、その子に続いて移動していく。錬介も一緒になり、子供達を連れて安全な後方へと下がっていくのだった。

●白い世界に似合わぬ雑魔達
 生あるハンター達へと食らいついて来る、雑魔となった狼達。
 それもあって敵と距離を詰めたウーナは敵に食らいつかれながらも、銃をリロードする。
「狼4体、いただくよ!」
 彼女はその上で、主武器であるオートマチック『チェイサー』から先に弾丸を放った。
 同じく、敵の爪で引き裂かれていたノーマン。体内に毒を注入されながらも、彼の中でスイッチが入ったようだ。日本刀『骨喰』を振り上げ、楽しそうに狼へと斬りかかっていく。
 マリィアは敵の布陣を確認しつつ、グラゾンを発砲する。
 最悪の事態も想定して銃弾の管理を行っていた彼女だが、仲間達がうまく動いてくれたおかげでその銃弾を使うこともなく、比較的気楽に立ち回れていたようだ。
 子供達は仲間がうまく避難させてくれていたので、彼女は本格的に敵の殲滅に当たるべく、魔導銃をリロードさせて、近場の敵から狙い撃つ。その1発が狼の頭部を砕くと、そいつは霧散するように消えていった。
「……後ろの子供達には触れさせませんよ」
 後ろに下がり、子供達を守る錬介がピックを突き出すと、まるで影が固まったかのような黒い塊が飛び、狼に衝撃を与えた。
 だが、狼は4本の脚で着地し、凝りもせずにハンター達に向かってくる。
(人より瞬発力のある狼が相手だからね)
 コロラは戦いながら一度弓をリロードし、敵の動きを注視していた。雑魔となり果てた狼だったが、そこまで生前の動きと変わっているわけではない。
 彼女は狩猟知識を生かして敵の動きを読み、先回りしつつ敵の動きを牽制しようとする。だが、そこは雑魔。彼女が知っている知識とは違った跳躍を行う。
 一瞬驚くコロラだったが、それでも、彼女の放つ銃撃が敵の牽制に成功していたようだ。
「今です!」
「いい加減寒いし、さっさと皆殺しになってほしいんだよね!」
 仲間と連携つつ、援護を行っていたウーナだったが、覚醒したいた彼女は残忍さと攻撃性が増していて。
「逝っちゃいなよ!」
 そいつ目がけ、ウーナは跳弾を放つ。地面を跳ねた弾丸は敵が大きく開いた口の中へ。そして、敵の身体を貫いた。その狼は叫び声を上げる間もなく、凍てつきそうな空気の中に消え去っていった。
 狼との戦いはハンターが優勢に進める。
 シャルアは前線で戦うノーマンを支援すべく矢を放つ。その矢はまるで氷のように冷たい色をした炎を纏う。それを受けたオオカミは衝撃で刹那硬直してしまうが、そこにノーマンが迫る。
「さあさあ、子供を襲おうとした浅ましい獣達。死んでもらいましょうかねえ」
 子供の安全を確保したことで、ノーマンの表情が一変する。彼は嬉々として狼に襲い掛かっていた。彼は鞭を使って敵の身体へと巻き付け、切り刻まんとする。
 しかしながら、敵も歪虚となった獣。しぶとく己の身を投げ出し、体当たりを繰り出してくる。ノーマンはそれを食らい、全身を強打されてなお、嬉しそうに笑っている。
 そんな中、弾丸の管理をしつつ、リロードを繰り返していたマリィア。彼女は敵に近づき、零距離射撃を叩き込む。その衝撃に耐えられなかった狼は爆ぜ飛んでしまった。
 残る1体の狼は仲間を失ったこともあり、この場からの逃走を考えて後ろへと走り出す。
 コロラがそれに気づき、弓へと持ちかえて射撃を行う。ウーナも前方に青く輝く幾何学円状の的を投影し、それ目がけて発砲する。
 その銃弾を尻に受け、動きを一瞬止めた狼。そいつ目がけて迫ったのは、錬介が放った光を纏ったノーマンだ。
 仲間達が攻撃を浴びせる中、ゆらりとそいつに近づくノーマンは、狼の脚を切り落とす。
 バランスを崩して倒れる敵に、仲間達は追撃を行う。そこでノーマンは敵の頭を踏み砕こうとするのだが、狼は抵抗を図り、転がって逃げ出す。
 それでも、彼は笑みを崩さずに追いかけ、ムチで敵の頭を叩き割ってしまう。すると、頭だけではなく、体までもがその場で飛び散ったのだった。

●子供達と雪遊び!
 無事、雑魔を討伐したハンター達。
「ふふ、綺麗な雪景色なのですよ」
 シャルアは改めて平原を見渡す。この周囲は戦闘で荒れてはいたが、少し遠方に目をやれば、また雪が降り積もって真っ白な光景が広がっている。
 戦いが終わったことで気が抜けたのだろう。シャルアは足を滑らせて思いっきり尻もちをついてしまう。仲間や子供達が笑う中、彼女はちょっとだけ顔を真っ赤にしつつ、頭を下げる。
「今回はお疲れ様なのですよ。おかげで無事完遂できたのですよ」
 シャルアは交友のあるノーマンへと最初に挨拶をし、他の仲間達にも声をかけに回っていた。
 そのノーマンは子供と接している。脅威がなくなったことで、子供達はまた楽しく雪遊びを始めていた。ノーマンは雪を転がし、雪だるまを作り始める。
「雪遊び? なにそれ、面白いの?」
 ウーナは雪に無縁の生活を歩んできていたこともあり、その知識すらもない。錬介が雪玉を作るのを見て、ウーナもそれを真似してみる。
「こうやって、雪を固めて……。丸めて、おっきくして……。へぇー……、よっし、でっかく作ってやろっか?」
 コロラもウーナ達と一緒になって雪だるまを作る。程なく、彼らは自分達の身長よりも大きな雪だるまを作り上げ、子供達を喜ばせていたようだ。
「軍人も良かったけど、ハンターの良い所は、陣営を気にせず人助けできる所よね。……ふふ」
 マリィアはこの状況を楽しむ。温かい飲み物が何かあればよかったのだが、雪合戦をすることで、メンバー達も子供達もすぐに体が温まったようだ。
 さらに、マリィアの要望もあって、子供1人が小さなソリを持ってきていた。それを、マリィアの犬2匹が代わる代わる子供を引いて、楽しませる。
 子供達と思いっきり遊ぶ錬介はこんなことを考える。
(皆の今日の思い出が怖いものではなく、楽しいものになりますように)
 今日という日が、子供達の大切な思い出になるように。ハンター達は子供達が満足するまで一緒に遊び続けるのだった。

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MVP一覧

  • 想い伝う花を手に
    シャルア・レイセンファードka4359

重体一覧

参加者一覧

  • まめしの伝道者
    ノーマン・コモンズ(ka0251
    人間(紅)|24才|男性|疾影士
  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 想い伝う花を手に
    シャルア・レイセンファード(ka4359
    人間(紅)|18才|女性|魔術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 弓師
    コロラ・トゥーラ(ka5954
    人間(紅)|28才|女性|猟撃士
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/23 20:34:01
アイコン 相談卓
ノーマン・コモンズ(ka0251
人間(クリムゾンウェスト)|24才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/01/24 22:55:14