ゲスト
(ka0000)
いままさに、ぼくらはうられていくのです
マスター:龍河流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 3日
- 締切
- 2016/01/24 22:00
- 完成日
- 2016/02/04 04:04
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ある晴れた昼下がり。
「やぁらぁれぇたぁ」
「くーーーーっ」
「はーなーせーーーーー」
今回のお仕事は。
行商人達や仕事で遠くに出張する職人達を護衛するだけの、とっても楽ちんなお仕事のはずでした。
依頼人の皆さんは人数がたくさんでしたが、気前がいい人達ばかり。
お食事も、お酒やお茶にお菓子まで、全部依頼人さんが出してくれます。おごりというやつです。
行く道はとっても寂しいけれど、危ないこともなくて、これはらくちんないいお仕事だと思っていたら……
なんと依頼人さん達は、人を売ったり買ったりするような、ものすごーく悪い奴らだったのです!
「ハンターといっても、たいしたことはなかったな」
「いい値が付くとありがたいねぇ」
「そうそう。あんなに金も掛けたんだから高く売れてくれなきゃ」
ハンターの皆さんが今まで歩いて来た道の先にあるのは、この悪い奴らが仲間と人を売り買いするところ。
それは……
市場に続く道。
「やぁらぁれぇたぁ」
「くーーーーっ」
「はーなーせーーーーー」
今回のお仕事は。
行商人達や仕事で遠くに出張する職人達を護衛するだけの、とっても楽ちんなお仕事のはずでした。
依頼人の皆さんは人数がたくさんでしたが、気前がいい人達ばかり。
お食事も、お酒やお茶にお菓子まで、全部依頼人さんが出してくれます。おごりというやつです。
行く道はとっても寂しいけれど、危ないこともなくて、これはらくちんないいお仕事だと思っていたら……
なんと依頼人さん達は、人を売ったり買ったりするような、ものすごーく悪い奴らだったのです!
「ハンターといっても、たいしたことはなかったな」
「いい値が付くとありがたいねぇ」
「そうそう。あんなに金も掛けたんだから高く売れてくれなきゃ」
ハンターの皆さんが今まで歩いて来た道の先にあるのは、この悪い奴らが仲間と人を売り買いするところ。
それは……
市場に続く道。
リプレイ本文
それは、とても素晴らしいお仕事でした。
ミリア・コーネリウス(ka1287)さんとボルディア・コンフラムス(ka0796)さんは、ものすごくご機嫌です。
だって、依頼人さん達がおごってくれるお酒が、どれも美味しいこと!
お食事だって、とってもたくさんあって、食べ放題!!
「かーっ、旨い! 酒を奢ってくれる奴に、悪い奴はいねえな」
「うまい話はないよなって思って、ごめんなさい」
「ミリアさん、その流れだと良く分かりませんよ」
ボルディアさんもミリアさんも、ちょー嬉しそう。お昼からお酒も飲ませてくれるお仕事なんて、普通はないのです。
仲良しのアルマ・アニムス(ka4901)さんが、その様子にぷふーって笑っています。ミリアさんが言いたいことが、依頼人さんより分かっているので、おかしくて仕方がないのでした。
そう。
この依頼人さん達は、時々護衛の依頼を出してくれるのだそうです。ハンターオフィスの人が言っていました。
その度にハンターさん達に色々とご馳走してくれたり、お礼の金額が良かったりして、当たりのお仕事だと知る人ぞ知る依頼人さん達でした。ミリアさんは、どうせ噂って半分くらいしかほんとじゃないしと思いつつやって来て、噂通りで感激しています。アルマさんも、ミリアさんが嬉しそうなので、大喜び。
今日も今日とて、美味しいものたっぷりの休憩をして、ミリアさんったらぐうぐう寝てしまいました。ボルディアさんも、こくりこっくりしています。いえ、お仕事の見張りは交代なので、別にいいんですけれどね。
だから、ミリアさんは自分とアルマさんとボルディアさんと、他の皆さんまでもが、しびれ薬を飲まされていたなんて、全然知らないのでした。
騙された!
ハンターオフィスでも評判がいい依頼人さんだよと言っていたし、まさか奴隷市場の人とは誰も思わなかったので、ハンターさん達は揃って捕まってしまいました。
悪い奴らは、皮の紐で皆さんをきりきりと縛ってくれちゃいました。え~いって千切るには、かなり力がいりそうです。
それでなくても、しびれ薬で動けません。しかも悪い奴らは、皆さんの荷物に身に着けていた武器なんかも片っ端から、隠していたのまで捜しまくって持って行ってしまいました。
だから、ディーナ・フェルミ(ka5843)さんの猫耳カチューシャもなければ、アルラウネ(ka4841)さんの可愛いコウモリイヤリングも外されてしまいました。
もちろん、リーリア・バックフィード(ka0873)さんのでっかい斧とか、ヴァルナ=エリゴス(ka2651)さんのでっかい斧なんて、他の人の武器と一緒に最初に持って行かれてしまいました。
とうとうステラ・レッドキャップ(ka5434)君の、大事な帽子まで持って行かれてしまいます。隠していたちっちゃい武器まで取られてしまい、皆さんのご機嫌はとっても斜めっていました。
ちなみに、ステラ君はお名前とスカートから悪い奴らからは女の子だと思われています。でも実は男の子なのでした。色々おごりで、旅の間もお金が掛からないよと言われたのでこの依頼を選んだ、けっこうお金にしっかりしているステラ君。今はおなかの中で、
『気前がいい奴らだと思ったんだけどなー、お別れなんて、がっかりだぜ』
と思っていました。このお考えを簡単にまとめると、『よし、殺す』。
あれ? 悪い奴ら、危ないかも?
『奴隷を扱うとは、なんと下種な連中……人の皮を被った魔物には、相応の末路を与えてあげましょう』
じーっと横になっているだけに見えるリーリアさんが、心の中でふふふと笑っています。悪い奴らなら、叩いて蹴って踏んで、爪を剥いで指を折って耳をそいで目を潰してもいいはずだわと、計画を立てているのでした。
お若くてほっそりした、お上品なお嬢さんに見えるリーリアさんですが、ハンターさんなので色々とやれます。
ボルディアさんは、お薬の効きがちょっと遅くて暴れたので、口まで塞がれてしまいました。でも、目付きが『星の彼方までぶっ飛ばす』と言っています。
そんな中、ディーナさんはとても悲しそうなお目々になっていました。まるで市場にひかれる子牛さんっぽい目のディーナさんの頭の中も、悲しそうかと言うと、
『うぅ~、メイスを振り回すのは得意じゃないの。重いんじゃなくて、ぐっしゃり潰す感覚が嫌なの。売られるのも死ぬのも嫌だけど、人を潰すのもやっぱり嫌~』
こんな感じ……でした。
もちろん、そこまで危ないことを考えている人ばかりではありません。
『これがいわゆるくっころですか……油断してしまいました』
縛られて横になったまま、静かに考えているのはヴァルナさんです。くっころが何かはさておいて、このまま売られてしまう訳にはいかないと、いい方法を考えようとしているようです。
きりきり縛られていますが、お薬が切れたら紐が切れないか試してみようとか、悪い奴らに覚醒者はいなさそうだから縛られたままでも勝てないかしらとか、。
とにかく他の皆さんも動けるようになってから、反撃開始が一番だわと考えて、結論は悪い奴らには痛くて怖い目にあってもらわないといけませんだそうです。
あんまり、変わらない?
いえいえ、アルラウネさんは怖い事なんて、ちっとも考えていません。そのはずです。
『他に誘拐された人がいたら、助けてあげないと』
ほら、人助けで頭がいっぱい。
『なんとか剣が手に入れば、襲ってくる人たちは切り伏せられると思うのよね。この際、最初は自分のじゃなくても我慢しなきゃかしら』
人助けで、いっぱい?
「あ~、飯が旨いっていいよな」
ミリアさんだけは、すやすやと縛られていることも知らずにお休み中です。
そんなこんなで、皆さんを載せた馬車は、ごとごとと奴隷市場のあるという村に辿り着いたのです。
悪い奴らをどうするのかは、幾つか方法があります。
捕まえる。普通の方法です。
これをした場合、お役人か同盟の海軍か陸軍の詰所のどれか、一番近いところに『お礼にお金をくれてもいいんですけど』と言いながら連れて行くのが、ハンターさん達が良くやることらしいです。
でも、今回みたいな時はどうするか。ハンターさん達の頭の中を覗くと、簡単に分かります。
こいつら、許さん。叩きのめす。
人により、もっとすごいことも考えていたりしますけれど、まあまずはだいたいこれ。
そして、すごいこと考えている一番は……
「そろそろ、薬が、切れてきたようです。あいつら、ぶち殺す」
ぜーぜーしながら、小さなお声で他の人にお話ししているのは、アルマさんでした。体が大きいので、その分お薬の効き目が早く切れてきたみたいです。目が真っ赤に血走っているのは、お薬のせいに違いありません。手が真っ赤なのは、皮の紐を無理やりぶちっとやらかしたからです。
他の人達もちょっと元気になって来て、もぞもぞしながら『痛そう』と思っています。アルマさんと仲良しのミリアさんだけは、まだぐうすか寝ているので、全然気付いていませんけど。
とにもかくにも、アルマさんが紐をぶちっとやってから、他の人達の紐も解いてくれました。まだまだ動けそうにない人もいますが、縛られているよりはもちろん楽です。
でも、悪い奴らにばれないように、縛られたふりをしていますよ。どうもハンターさん達を馬車から下ろすのは後にして、悪い奴らは村にいた仲間となにやら相談しているようです。
「今回は人数が多いから、入れるところがないぞ」
「でもハンターは檻に入れた方が安心でしょ。子供をどこかに繋いでおけば?」
「もう人も揃ったから、とっとと商談を進めよう」
こんなお話をしているのが聞こえます。
これを聞いて、ディーナさんが一生懸命に動き始めました。他の皆さんが何をしているのかなと思ったら、ぴかっと光って……
「これで、皆さんも治せるのです」
どうやら、頑張って自分にキュアを掛けたみたいです。元気になったので、他の人達も治していきましょう。
でも回数制限があるから、どうしても二人は自力で治ってもらわないといけません。もうお薬が切れかけているアルマさんは大丈夫そうですが、もう一人……
「まだ、飲める~」
寝言が元気なミリアさんは、きっとキュアがなくても平気。そんな気がしました。他の人達も、同じです。
そんなわけで、すやすや寝ているミリアさん以外が元気に起き出しました。
さあ、悪い奴らは成敗です!
悲鳴がしました。
「どけどけーっ! 」
ボルディアさんが腕をぶんぶん振り回して、すごい勢いで走っていきます。走る途中にいた悪い奴は、右に左に殴り飛ばされて、飛んでいきました。
いえ、一人だけ引きずられている奴がいます。すぐ後ろをアルラウネさんが走っていて、時々そいつを棒で突きます。
別に苛めているのではありません。悪い奴に、他に誘拐されてきた人達のいる場所に案内させているだけです。
「ほら、しゃきしゃき白状しなさい。あ、金目のものを隠しているところがあるなら、それもね」
アルラウネさんの持っている棒は、ついさっき、「せーの!」の一声で五人の悪い奴をぶちのめした怖い棒です。普段持っている武器だったら、きっともっとたくさんの悪い奴がぶち殺されていたことでしょう。
まあ、ボルディアさんも素手でもう十人くらいは、宙に舞わせています。ぽーんと飛んでから、どすんと落ちた奴が無事のはずはありません。
つまり、二人の後ろには十五人くらいが変な格好で倒れているのでした。
もう一人、ディーナさんも一緒に走っていますけれど、誰も殴り飛ばしたりはしていません。お金になりそうな物を拾って、抱えています。悪い奴らが悪いことをして手に入れたものは、ひどい目に遭った人達に戻してあげなくてはいけません。
だから、道を拓く人と行き先を聞き出す人と大事な物を集める人で一組になって、とっとこ走っているのです。
「随分いいものがあるの。こんなに悪いことしていたなんて、許せないの」
ぷんぷんしているディーナさんの感想に、悪い奴が悲鳴をあげました。
悪い奴らの作った村は、大騒ぎになっています。でも、ミリアさんはまだぐうすか寝ています。お薬がまだ効いているかもしれません。
代わりに、仲良しのアルマさんは二人分暴れていました。
「僕の右腕はどこですかね……?」
アルマさん、右の腕が義手なのでしたが、さっき取られてしまいました。つまり、片手で二人分大暴れしています。
「うん、後ろの方にあると思うぜ」
どかっ、ばきぃ、べしごん。
音がするたびに、赤いものがぴゅーって飛び散っている気もします。どう見ても、お子様向けの光景ではありません。しかし、一緒に走り回っているステラ君は、そんなことにはちっとも驚かないのでした。とっても冷静に、アルマさんの腕がある場所はさっきいたところの近くだったろうなと思っています。
驚く暇があったら、アルマさんがぶちってした奴から、お財布を取ったりしなくてはいけません。後で、捕まっていた人達と一緒に分ける必要があるのです。皆で、分けます。
こんなに大仕事をしているのですから、お金を貰わないなんてありえません。でも、独り占めもしません。ちょっと手間賃を懐に入れることは、あるかもないかも。
あと。
「きゃぁっ」
いきなり横から出てきた敵を、可愛い悲鳴で油断させて、生きてたらラッキーな痛い目に合わせたりするのにも、忙しいのでした。
一番忙しくて大変なのは、悪い奴を見ると真っ赤に染めそうなアルマさんを追い掛けることですけれども。
そんなこんなして、あっという間に悪い奴らはほとんどが動けなくなってしまいました。
悪い奴らの中には覚醒者さんがいなかったので、ハンターさん達は武器もほとんど使わずに、捕まっていた人達を助け出すことが出来ました。村にいた悪い奴は、誘拐犯も奴隷商人も買いに来た奴らも、片端からとっ捕まえてあります。いえ、ほとんどは縛らなくても動けませんけれど。
動ける奴がどうなっているかというと。
「口があれば、必要なことはしゃべれますよね。役人も調書を取るのに、苦労はないと思いますの」
にーっこり。
とてもステキな笑顔のリーリアさんから、ひどい目に遭った人達をどこから連れてきたのかとか、今までの悪行を書いたものがないのかとか、今回ここに来ていない取引相手はいるのかとかとか質問されていました。
「やり過ぎはいけませんが、自らの罪に見合った痛くて怖い目に遭うのに、遅いことも足りないこともありませんでしょう?」
お隣では、ヴァルナさんがさっき取り戻したでっかい斧を片手に、にこにことしています。にこにこ、ステキな笑顔。
このお二人がしているのは、取り調べです。誰がなんと言おうと、ただの取り調べ。
だって。
「自分達がしたことに比べれば、この程度のこと」
「やられても、当然だと理解できるはずですわ」
悪い奴らの中で偉い奴が、なかなか色々白状しないので、だんだんとヴァルナさんもリーリアさんも『手足がなくても、取り調べは出来るから』とでっかい斧をぶんぶんし始めました。このお二人、どちらもでっかい斧がお気に入りなのです。
残念ながら。
「こいつらが、悪党の頭かぁ!」
ようやくお薬が切れたミリアさんが、アルマさんが真っ赤だったとものすごく怒って怒鳴り込んで来たので、本当には斬りませんでした。いえ、リーリアさんは斬ってもいいかなと思っていたけれど、ミリアさんがぼこぼこし始めたのでヴァルナさんと適当なところで止める役になってしまったのです。
まあ、お話さえ出来ればいいので、歩けなくてもいいなとは思いましたけれど。
悪いことをするから、こんな目に遭っても仕方がないのです。というか、当然です。
ハンターさん達は、捕まっていた人達を助けて、悪い奴らに正義の鉄槌が下るようにするのに大忙しです。
このおかげで、捕まっていた人達はだいたいがおうちに帰れそうですし、悪い奴らはだいたい牢屋行き。こいつらと繋がっている人達は、これからひどい目に遭う予定です。
そして。
「こんなことになりましたし、私は報酬には興味がありませんけれど」
「僕も、趣味働きだしなぁ」
「右腕が無事でしたから、まあなんでも」
「いやいや、依頼人の身元確認が甘かった詫びに貰っとけって」
「子供達の帰還補助に使ってくれるなら、いいけど」
「でも、あいつらたくさん貯めこんでましたから、貰える分があるならそれで」
「少しいただけると、報われる気がしますわね」
「皆さん、すごく頑張ってくれたんですから、ちゃんと報酬はあるべきなんです!」
いただけるものについては色々なご意見がありましたが、誘拐事件たくさん解決の報奨金がどんと出たので、普通に依頼をしたくらいのお金が貰えたようです。
ミリア・コーネリウス(ka1287)さんとボルディア・コンフラムス(ka0796)さんは、ものすごくご機嫌です。
だって、依頼人さん達がおごってくれるお酒が、どれも美味しいこと!
お食事だって、とってもたくさんあって、食べ放題!!
「かーっ、旨い! 酒を奢ってくれる奴に、悪い奴はいねえな」
「うまい話はないよなって思って、ごめんなさい」
「ミリアさん、その流れだと良く分かりませんよ」
ボルディアさんもミリアさんも、ちょー嬉しそう。お昼からお酒も飲ませてくれるお仕事なんて、普通はないのです。
仲良しのアルマ・アニムス(ka4901)さんが、その様子にぷふーって笑っています。ミリアさんが言いたいことが、依頼人さんより分かっているので、おかしくて仕方がないのでした。
そう。
この依頼人さん達は、時々護衛の依頼を出してくれるのだそうです。ハンターオフィスの人が言っていました。
その度にハンターさん達に色々とご馳走してくれたり、お礼の金額が良かったりして、当たりのお仕事だと知る人ぞ知る依頼人さん達でした。ミリアさんは、どうせ噂って半分くらいしかほんとじゃないしと思いつつやって来て、噂通りで感激しています。アルマさんも、ミリアさんが嬉しそうなので、大喜び。
今日も今日とて、美味しいものたっぷりの休憩をして、ミリアさんったらぐうぐう寝てしまいました。ボルディアさんも、こくりこっくりしています。いえ、お仕事の見張りは交代なので、別にいいんですけれどね。
だから、ミリアさんは自分とアルマさんとボルディアさんと、他の皆さんまでもが、しびれ薬を飲まされていたなんて、全然知らないのでした。
騙された!
ハンターオフィスでも評判がいい依頼人さんだよと言っていたし、まさか奴隷市場の人とは誰も思わなかったので、ハンターさん達は揃って捕まってしまいました。
悪い奴らは、皮の紐で皆さんをきりきりと縛ってくれちゃいました。え~いって千切るには、かなり力がいりそうです。
それでなくても、しびれ薬で動けません。しかも悪い奴らは、皆さんの荷物に身に着けていた武器なんかも片っ端から、隠していたのまで捜しまくって持って行ってしまいました。
だから、ディーナ・フェルミ(ka5843)さんの猫耳カチューシャもなければ、アルラウネ(ka4841)さんの可愛いコウモリイヤリングも外されてしまいました。
もちろん、リーリア・バックフィード(ka0873)さんのでっかい斧とか、ヴァルナ=エリゴス(ka2651)さんのでっかい斧なんて、他の人の武器と一緒に最初に持って行かれてしまいました。
とうとうステラ・レッドキャップ(ka5434)君の、大事な帽子まで持って行かれてしまいます。隠していたちっちゃい武器まで取られてしまい、皆さんのご機嫌はとっても斜めっていました。
ちなみに、ステラ君はお名前とスカートから悪い奴らからは女の子だと思われています。でも実は男の子なのでした。色々おごりで、旅の間もお金が掛からないよと言われたのでこの依頼を選んだ、けっこうお金にしっかりしているステラ君。今はおなかの中で、
『気前がいい奴らだと思ったんだけどなー、お別れなんて、がっかりだぜ』
と思っていました。このお考えを簡単にまとめると、『よし、殺す』。
あれ? 悪い奴ら、危ないかも?
『奴隷を扱うとは、なんと下種な連中……人の皮を被った魔物には、相応の末路を与えてあげましょう』
じーっと横になっているだけに見えるリーリアさんが、心の中でふふふと笑っています。悪い奴らなら、叩いて蹴って踏んで、爪を剥いで指を折って耳をそいで目を潰してもいいはずだわと、計画を立てているのでした。
お若くてほっそりした、お上品なお嬢さんに見えるリーリアさんですが、ハンターさんなので色々とやれます。
ボルディアさんは、お薬の効きがちょっと遅くて暴れたので、口まで塞がれてしまいました。でも、目付きが『星の彼方までぶっ飛ばす』と言っています。
そんな中、ディーナさんはとても悲しそうなお目々になっていました。まるで市場にひかれる子牛さんっぽい目のディーナさんの頭の中も、悲しそうかと言うと、
『うぅ~、メイスを振り回すのは得意じゃないの。重いんじゃなくて、ぐっしゃり潰す感覚が嫌なの。売られるのも死ぬのも嫌だけど、人を潰すのもやっぱり嫌~』
こんな感じ……でした。
もちろん、そこまで危ないことを考えている人ばかりではありません。
『これがいわゆるくっころですか……油断してしまいました』
縛られて横になったまま、静かに考えているのはヴァルナさんです。くっころが何かはさておいて、このまま売られてしまう訳にはいかないと、いい方法を考えようとしているようです。
きりきり縛られていますが、お薬が切れたら紐が切れないか試してみようとか、悪い奴らに覚醒者はいなさそうだから縛られたままでも勝てないかしらとか、。
とにかく他の皆さんも動けるようになってから、反撃開始が一番だわと考えて、結論は悪い奴らには痛くて怖い目にあってもらわないといけませんだそうです。
あんまり、変わらない?
いえいえ、アルラウネさんは怖い事なんて、ちっとも考えていません。そのはずです。
『他に誘拐された人がいたら、助けてあげないと』
ほら、人助けで頭がいっぱい。
『なんとか剣が手に入れば、襲ってくる人たちは切り伏せられると思うのよね。この際、最初は自分のじゃなくても我慢しなきゃかしら』
人助けで、いっぱい?
「あ~、飯が旨いっていいよな」
ミリアさんだけは、すやすやと縛られていることも知らずにお休み中です。
そんなこんなで、皆さんを載せた馬車は、ごとごとと奴隷市場のあるという村に辿り着いたのです。
悪い奴らをどうするのかは、幾つか方法があります。
捕まえる。普通の方法です。
これをした場合、お役人か同盟の海軍か陸軍の詰所のどれか、一番近いところに『お礼にお金をくれてもいいんですけど』と言いながら連れて行くのが、ハンターさん達が良くやることらしいです。
でも、今回みたいな時はどうするか。ハンターさん達の頭の中を覗くと、簡単に分かります。
こいつら、許さん。叩きのめす。
人により、もっとすごいことも考えていたりしますけれど、まあまずはだいたいこれ。
そして、すごいこと考えている一番は……
「そろそろ、薬が、切れてきたようです。あいつら、ぶち殺す」
ぜーぜーしながら、小さなお声で他の人にお話ししているのは、アルマさんでした。体が大きいので、その分お薬の効き目が早く切れてきたみたいです。目が真っ赤に血走っているのは、お薬のせいに違いありません。手が真っ赤なのは、皮の紐を無理やりぶちっとやらかしたからです。
他の人達もちょっと元気になって来て、もぞもぞしながら『痛そう』と思っています。アルマさんと仲良しのミリアさんだけは、まだぐうすか寝ているので、全然気付いていませんけど。
とにもかくにも、アルマさんが紐をぶちっとやってから、他の人達の紐も解いてくれました。まだまだ動けそうにない人もいますが、縛られているよりはもちろん楽です。
でも、悪い奴らにばれないように、縛られたふりをしていますよ。どうもハンターさん達を馬車から下ろすのは後にして、悪い奴らは村にいた仲間となにやら相談しているようです。
「今回は人数が多いから、入れるところがないぞ」
「でもハンターは檻に入れた方が安心でしょ。子供をどこかに繋いでおけば?」
「もう人も揃ったから、とっとと商談を進めよう」
こんなお話をしているのが聞こえます。
これを聞いて、ディーナさんが一生懸命に動き始めました。他の皆さんが何をしているのかなと思ったら、ぴかっと光って……
「これで、皆さんも治せるのです」
どうやら、頑張って自分にキュアを掛けたみたいです。元気になったので、他の人達も治していきましょう。
でも回数制限があるから、どうしても二人は自力で治ってもらわないといけません。もうお薬が切れかけているアルマさんは大丈夫そうですが、もう一人……
「まだ、飲める~」
寝言が元気なミリアさんは、きっとキュアがなくても平気。そんな気がしました。他の人達も、同じです。
そんなわけで、すやすや寝ているミリアさん以外が元気に起き出しました。
さあ、悪い奴らは成敗です!
悲鳴がしました。
「どけどけーっ! 」
ボルディアさんが腕をぶんぶん振り回して、すごい勢いで走っていきます。走る途中にいた悪い奴は、右に左に殴り飛ばされて、飛んでいきました。
いえ、一人だけ引きずられている奴がいます。すぐ後ろをアルラウネさんが走っていて、時々そいつを棒で突きます。
別に苛めているのではありません。悪い奴に、他に誘拐されてきた人達のいる場所に案内させているだけです。
「ほら、しゃきしゃき白状しなさい。あ、金目のものを隠しているところがあるなら、それもね」
アルラウネさんの持っている棒は、ついさっき、「せーの!」の一声で五人の悪い奴をぶちのめした怖い棒です。普段持っている武器だったら、きっともっとたくさんの悪い奴がぶち殺されていたことでしょう。
まあ、ボルディアさんも素手でもう十人くらいは、宙に舞わせています。ぽーんと飛んでから、どすんと落ちた奴が無事のはずはありません。
つまり、二人の後ろには十五人くらいが変な格好で倒れているのでした。
もう一人、ディーナさんも一緒に走っていますけれど、誰も殴り飛ばしたりはしていません。お金になりそうな物を拾って、抱えています。悪い奴らが悪いことをして手に入れたものは、ひどい目に遭った人達に戻してあげなくてはいけません。
だから、道を拓く人と行き先を聞き出す人と大事な物を集める人で一組になって、とっとこ走っているのです。
「随分いいものがあるの。こんなに悪いことしていたなんて、許せないの」
ぷんぷんしているディーナさんの感想に、悪い奴が悲鳴をあげました。
悪い奴らの作った村は、大騒ぎになっています。でも、ミリアさんはまだぐうすか寝ています。お薬がまだ効いているかもしれません。
代わりに、仲良しのアルマさんは二人分暴れていました。
「僕の右腕はどこですかね……?」
アルマさん、右の腕が義手なのでしたが、さっき取られてしまいました。つまり、片手で二人分大暴れしています。
「うん、後ろの方にあると思うぜ」
どかっ、ばきぃ、べしごん。
音がするたびに、赤いものがぴゅーって飛び散っている気もします。どう見ても、お子様向けの光景ではありません。しかし、一緒に走り回っているステラ君は、そんなことにはちっとも驚かないのでした。とっても冷静に、アルマさんの腕がある場所はさっきいたところの近くだったろうなと思っています。
驚く暇があったら、アルマさんがぶちってした奴から、お財布を取ったりしなくてはいけません。後で、捕まっていた人達と一緒に分ける必要があるのです。皆で、分けます。
こんなに大仕事をしているのですから、お金を貰わないなんてありえません。でも、独り占めもしません。ちょっと手間賃を懐に入れることは、あるかもないかも。
あと。
「きゃぁっ」
いきなり横から出てきた敵を、可愛い悲鳴で油断させて、生きてたらラッキーな痛い目に合わせたりするのにも、忙しいのでした。
一番忙しくて大変なのは、悪い奴を見ると真っ赤に染めそうなアルマさんを追い掛けることですけれども。
そんなこんなして、あっという間に悪い奴らはほとんどが動けなくなってしまいました。
悪い奴らの中には覚醒者さんがいなかったので、ハンターさん達は武器もほとんど使わずに、捕まっていた人達を助け出すことが出来ました。村にいた悪い奴は、誘拐犯も奴隷商人も買いに来た奴らも、片端からとっ捕まえてあります。いえ、ほとんどは縛らなくても動けませんけれど。
動ける奴がどうなっているかというと。
「口があれば、必要なことはしゃべれますよね。役人も調書を取るのに、苦労はないと思いますの」
にーっこり。
とてもステキな笑顔のリーリアさんから、ひどい目に遭った人達をどこから連れてきたのかとか、今までの悪行を書いたものがないのかとか、今回ここに来ていない取引相手はいるのかとかとか質問されていました。
「やり過ぎはいけませんが、自らの罪に見合った痛くて怖い目に遭うのに、遅いことも足りないこともありませんでしょう?」
お隣では、ヴァルナさんがさっき取り戻したでっかい斧を片手に、にこにことしています。にこにこ、ステキな笑顔。
このお二人がしているのは、取り調べです。誰がなんと言おうと、ただの取り調べ。
だって。
「自分達がしたことに比べれば、この程度のこと」
「やられても、当然だと理解できるはずですわ」
悪い奴らの中で偉い奴が、なかなか色々白状しないので、だんだんとヴァルナさんもリーリアさんも『手足がなくても、取り調べは出来るから』とでっかい斧をぶんぶんし始めました。このお二人、どちらもでっかい斧がお気に入りなのです。
残念ながら。
「こいつらが、悪党の頭かぁ!」
ようやくお薬が切れたミリアさんが、アルマさんが真っ赤だったとものすごく怒って怒鳴り込んで来たので、本当には斬りませんでした。いえ、リーリアさんは斬ってもいいかなと思っていたけれど、ミリアさんがぼこぼこし始めたのでヴァルナさんと適当なところで止める役になってしまったのです。
まあ、お話さえ出来ればいいので、歩けなくてもいいなとは思いましたけれど。
悪いことをするから、こんな目に遭っても仕方がないのです。というか、当然です。
ハンターさん達は、捕まっていた人達を助けて、悪い奴らに正義の鉄槌が下るようにするのに大忙しです。
このおかげで、捕まっていた人達はだいたいがおうちに帰れそうですし、悪い奴らはだいたい牢屋行き。こいつらと繋がっている人達は、これからひどい目に遭う予定です。
そして。
「こんなことになりましたし、私は報酬には興味がありませんけれど」
「僕も、趣味働きだしなぁ」
「右腕が無事でしたから、まあなんでも」
「いやいや、依頼人の身元確認が甘かった詫びに貰っとけって」
「子供達の帰還補助に使ってくれるなら、いいけど」
「でも、あいつらたくさん貯めこんでましたから、貰える分があるならそれで」
「少しいただけると、報われる気がしますわね」
「皆さん、すごく頑張ってくれたんですから、ちゃんと報酬はあるべきなんです!」
いただけるものについては色々なご意見がありましたが、誘拐事件たくさん解決の報奨金がどんと出たので、普通に依頼をしたくらいのお金が貰えたようです。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 4人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
僕らは仔牛じゃない アルマ・A・エインズワース(ka4901) エルフ|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/01/24 20:00:28 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/24 13:12:33 |