ゲスト
(ka0000)
百年旅~強盗モモンガの森
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/02/08 19:00
- 完成日
- 2016/02/22 23:12
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ここはとある街の広場。
フラ・キャンディ(kz0121)が演奏団「シェイクス」の音楽をバックに歌っている。
♪
蒼い風に誘われて、流れ流れて見知らぬ世界
紅い夕日に立ちすくむ、君の瞳に夢を見る
二人引き合うリラ・ゼーレ、揺れる世界でしっかりと
居場所を探した二人の奇跡
一人じゃないよ、僕がいる
旅路ささやく僕の声、明日をさえずる君の夢
過去から未来への想い、紡ぐ歌声踊る君
二人見上げる星の色、紅と蒼とのハーモニー
出会った運命、リラ・ゼーレ
一人じゃないよ、ほら私
明日へ導くリラ・ゼーレ
二人寄り添うハーモニー
♪
曲は、フラの音楽仲間のみんなで歌詞を出し合って即興で作った歌「リラ・ゼーレ」。グループの名前でもある。
「歌も良くなってきたわね。もともと発声のはっきりした娘だし、可愛らしいからこういう場所ではいけるわね」
見守るおかまプロデューサーのシェイクは集まった子供連れの反応に満足そうにしている。「あの子可愛い」という子供に、「元気がいいわねぇ」とにこにこ見守る母親などまずまずの盛り上がり。
「みんな、今日は聴いてくれてありがとっ」
ゆっさりとボリューム満点のスカートにウエストピッタリで薄い衣装をまとうフラは一曲終わって感謝の手を振っている。鳴り響く拍手にはやす口笛。
その時、人波をかき分けシェイクのそばに誰かが来た。
フラの後見人、ジルだ。
「シェイクよ。この先、フラに予定は入っとるか?」
「ちょっと先にあるだけね。そっちで何かあるの?」
逆に聞くシェイク。
「出資した商人から割のいい戦闘依頼が寄せられた。応じて良好な関係を保っときたい」
「あら、意外ね。もっと過保護かと思ったわ」
シェイク、くすくすとからかう。
「フラ自身どうするか分からんが、おそらく彼女には真の役目があるからの」
「へぇ。それってフラちゃんが言ってたの?」
「あの子は何も言わんし、里から何も託されてないじゃろ。……じゃが、運命というもんはある。そうするしか道はない、ともいうかの」
「運命、ね……」
「新たにエルフの集落を自分で作り同じ境遇のエルフ仲間を受け入れろ、ということじゃと思うがの。エルフの小さな村が点点と横のつながりも薄く様々な森の中にあるのはそうじゃないかとわしは思っとる。……そうでなければ村から掟の一言で放り出された子が不憫でならん」
溜息をつくジル。
「で、仕事内容は?」
からかいの様子を改めたシェイクが改めて聞いた。
ジルの持ってきた話は、以下の内容だ。
とある田舎村の里山に、「強盗モモンガ」と呼ばれるケモノがいるらしい。
樹から樹を滑空するのは普通のモモンガと同じだが、前肢の……両手首の外側に切れ味鋭い刃物が付いているのだという。性格は好戦的で、刃物を武器として積極利用する。風のようにすり抜けざまに切りかかり大型動物から縄張りを守る。
一見、樹上生活で木の実や樹皮など食すため大型動物との棲み分けができているように見えるが、実際は木に登って木の実を食すクマなどがいることを知っているため襲ってくる。本来夜行性のモモンガが日中に活動するのは、しっかりした攻撃手段のほかに奇襲に向く位置取りなど優位性があるから。
ついでに樹木を伐採することを知っているため人も積極的に襲ってくる。
「盗賊」の名がついているのは、キラキラ光る物や装飾品を奪ったり、ため込んだりするかららしい。
一方で、強盗モモンガがより大型で危険な獣を遠ざけるのに一定の効果があるという面もある。
今回の村ではハンターを雇って強盗モモンガの刃を折ってもらうことで対応している。
なお、名前は物騒だが見た目や仕草は大変可愛いらしいという。
「まあバケモノと戦うわけじゃないし、そこまで危険じゃないみたいね」
ほっとするシェイク。
「村人としては困ったもんじゃがの」
というわけでハンターオフィスに村の困りごとを代理で依頼。
フラ、強盗モモンガの無力化依頼に赴くことになる。
フラ・キャンディ(kz0121)が演奏団「シェイクス」の音楽をバックに歌っている。
♪
蒼い風に誘われて、流れ流れて見知らぬ世界
紅い夕日に立ちすくむ、君の瞳に夢を見る
二人引き合うリラ・ゼーレ、揺れる世界でしっかりと
居場所を探した二人の奇跡
一人じゃないよ、僕がいる
旅路ささやく僕の声、明日をさえずる君の夢
過去から未来への想い、紡ぐ歌声踊る君
二人見上げる星の色、紅と蒼とのハーモニー
出会った運命、リラ・ゼーレ
一人じゃないよ、ほら私
明日へ導くリラ・ゼーレ
二人寄り添うハーモニー
♪
曲は、フラの音楽仲間のみんなで歌詞を出し合って即興で作った歌「リラ・ゼーレ」。グループの名前でもある。
「歌も良くなってきたわね。もともと発声のはっきりした娘だし、可愛らしいからこういう場所ではいけるわね」
見守るおかまプロデューサーのシェイクは集まった子供連れの反応に満足そうにしている。「あの子可愛い」という子供に、「元気がいいわねぇ」とにこにこ見守る母親などまずまずの盛り上がり。
「みんな、今日は聴いてくれてありがとっ」
ゆっさりとボリューム満点のスカートにウエストピッタリで薄い衣装をまとうフラは一曲終わって感謝の手を振っている。鳴り響く拍手にはやす口笛。
その時、人波をかき分けシェイクのそばに誰かが来た。
フラの後見人、ジルだ。
「シェイクよ。この先、フラに予定は入っとるか?」
「ちょっと先にあるだけね。そっちで何かあるの?」
逆に聞くシェイク。
「出資した商人から割のいい戦闘依頼が寄せられた。応じて良好な関係を保っときたい」
「あら、意外ね。もっと過保護かと思ったわ」
シェイク、くすくすとからかう。
「フラ自身どうするか分からんが、おそらく彼女には真の役目があるからの」
「へぇ。それってフラちゃんが言ってたの?」
「あの子は何も言わんし、里から何も託されてないじゃろ。……じゃが、運命というもんはある。そうするしか道はない、ともいうかの」
「運命、ね……」
「新たにエルフの集落を自分で作り同じ境遇のエルフ仲間を受け入れろ、ということじゃと思うがの。エルフの小さな村が点点と横のつながりも薄く様々な森の中にあるのはそうじゃないかとわしは思っとる。……そうでなければ村から掟の一言で放り出された子が不憫でならん」
溜息をつくジル。
「で、仕事内容は?」
からかいの様子を改めたシェイクが改めて聞いた。
ジルの持ってきた話は、以下の内容だ。
とある田舎村の里山に、「強盗モモンガ」と呼ばれるケモノがいるらしい。
樹から樹を滑空するのは普通のモモンガと同じだが、前肢の……両手首の外側に切れ味鋭い刃物が付いているのだという。性格は好戦的で、刃物を武器として積極利用する。風のようにすり抜けざまに切りかかり大型動物から縄張りを守る。
一見、樹上生活で木の実や樹皮など食すため大型動物との棲み分けができているように見えるが、実際は木に登って木の実を食すクマなどがいることを知っているため襲ってくる。本来夜行性のモモンガが日中に活動するのは、しっかりした攻撃手段のほかに奇襲に向く位置取りなど優位性があるから。
ついでに樹木を伐採することを知っているため人も積極的に襲ってくる。
「盗賊」の名がついているのは、キラキラ光る物や装飾品を奪ったり、ため込んだりするかららしい。
一方で、強盗モモンガがより大型で危険な獣を遠ざけるのに一定の効果があるという面もある。
今回の村ではハンターを雇って強盗モモンガの刃を折ってもらうことで対応している。
なお、名前は物騒だが見た目や仕草は大変可愛いらしいという。
「まあバケモノと戦うわけじゃないし、そこまで危険じゃないみたいね」
ほっとするシェイク。
「村人としては困ったもんじゃがの」
というわけでハンターオフィスに村の困りごとを代理で依頼。
フラ、強盗モモンガの無力化依頼に赴くことになる。
リプレイ本文
●
一行は強盗モモンガの出るという森に到着していた。
「別の普通の森だよね?」
フラ・キャンディ(kz0121)が周りを見回して皆に聞く。
「き、気を付けて下さい、フラさん…背後から襲われたら危ないですから」
はわわ、と弓月・小太(ka4679)が傍に寄った。
「うーん、確かに刃がついてるんじゃ、ちょっと危ないね」
霧雨 悠月(ka4130)も、口元に手を添えて考え込みつつ木々を見上げている。
「モモンガ達には悪いけど、縄張りに踏み込んだばかりに、怪我をする一般の人や子供が出るだろうし」
何とか穏便に、と考えていたらしい。その背後では、「それじゃ小太さん背後見ててね」と背中合わせになるフラ。
「んー、おもしろモモンガ。ウィンドカッター生物バージョン的な。……でも、刃がね~」
キーリ(ka4642)も同情的である。というか、やる気なさそうに見えて浮き浮きしている。証拠に、隣で悠月がキーリを見てくす、と微笑している。
「リアルブルーにはこれに似た「かまいたち」と呼ばれる自然現象を元にした怪異が伝承にありますけど…珍しい生き物なのでぜひとも調査をしたいですね」
一方で、クオン・サガラ(ka0018)は屈んでいる。持参した記録用の機材の確認をしているのだ。そんな背後で、小太が身長差により自分のお尻がフラのウエストの一番引いた部分にぴとっと密着する感覚に、「はわわ」と赤くなっていたり。
「ラフ、小太、面白そうデス。パティもやるデス」
そこにパトリシア=K=ポラリス(ka5996)が乱入。
「はわわ、おしくらまんじゅうじゃないですぅ」
「ボク、フラだよぅ」
どーん。
「何やってんのよ」
「いつもはキーリさんが何かやってるんだけどね」
尻餅を付いた三人に冷たく突っ込むキーリに、ぽりぽりと頬をかきながら補足する悠月だったり。
そんなフラの頭に、手の平からぽむ。
「フラ、感謝する……こういう仕事は嫌いじゃない」
見上げると鞍馬 真(ka5819)だった。
「真さん……こういうって、動物関係?」
「いや、そうじゃないが…」
言葉に詰まった真の横で、わんわん。新たな人影が現れる。
「動物に好かれる好かれないは別にして、動物の関わる依頼は好きよ。強盗モモンガには本当に申し訳ないけれど、人とモモンガが共生するために考えられたこういう依頼は大好きだわ」
犬二匹を連れての参加は、マリィア・バルデス(ka5848)。細めた緑の瞳がやわらかい。
この時、彼女の「共生」という言葉を聞いて呟く人が。
「誰かと誰かが一緒に生きたいと思ったら…変わらなきゃいけない時もある、のデスネ」
パティである。先ほどとは違い、真顔。
周りの皆もパティを見て真顔になった。はっ、と感じるものがあったようだ。
「この依頼ハ、モモンガさんと共存しようっていう村人さん達の選択だって、パティはそう信じているのデス」
パティ、ぐっと拳を固めた。
「そうだな」
真も同じ思いだったようで、試作振動刀「オートMURAMASA」の柄に手を掛けてはいじり、はやる気持ちを抑えた。
「うん、頑張ろう。村人とモモンガたちのために」
悠月も大きく頷いている。もちろん皆も。
「よし、トランシーバーの調子もいい。二人一組でしたね、行きましょう」
クオンの装備が終わったらしい。ひとまとめにしてまとめて立ち上がった。
作戦開始である。
●
森には二人一組の四班に分かれて入って行った。
こちら、小太とフラのコンビ。
「が、頑張って囮になるので、フラさんは刃の方の対応をお願いしますぅっ」
「うん、任せてっ」
というわけで、男らしく矢面に出るべく小太が先行する。
「でも、一匹だけじゃないから疲れたら交代するよ?」
「い、一匹見たら十匹って、何か別の黒い虫のような言い方ですねぇ……。あ、アレに比べたら見た目は可愛いのでまだいいですけどぉ」
フラの言葉に苦笑する小太。
その時だった。
きらん、と斜め上で光る何かに気付く小太。
「ま、まさかです?」
反射的に上体をひねる。
「小太さん!」
横からバタフライナイフを手にしたフラが光る何かと刃を合わせた。
すれ違い過ぎ去った方を向く二人。
「きゅ……」
見ると、やや大きなモモンガがいた。逃げようとしている。
「う、動くと撃ちますよぅ」
ぱんぱん、とアサルトライフル「RJBS」を構え制圧射撃する小太。
「えいっ、捕まえた!」
その隙にフラがダイブ。無事に捕獲した。左前肢は先ほどの交戦で砕けていた。
「か、可愛そうですが……」
小太、もう一方の刃を近接射撃で破壊。そして放してやる。
これで一匹完了。
「うまくいったね」
「頭上からの奇襲だけには注意しないとですねぇ。そ、それさえ防げば後はなんとかなりそうですよぉ」
手ごたえをつかんでにっこり笑顔の二人だった。
が、しかし!
「ええと……はわっ!」
「小太さんっ!」
足元がお留守で躓いた小太にフラが抱き着いたり。
「わ、こっちから?」
「フラさん、大丈夫です?」
背後から襲われ切らたフラを小太が手当したり。
この場合も、小太が幹を上がって逃げるモモンガを威嚇射撃で落として捕まえるなど、任務を完遂していた。
別の場所では。
「ふふ、クオンは背が高いデスカラ、パティは一緒に居ると安心デス♪」
パティとクオンのコンビが周囲を警戒しつつ歩いていた。
「まあ……あの中では誰と組んでも一番狙われやすいですからね」
飄々と答えるクオンが先頭である。
「そういえばさっきは屈んでいたからあまり目立ってなかったデス」
「う~ん。確かに屈むことの多い仕事をしてたけど」
クオンは整備技師でもあるので、ちょっと嬉しい言われようではある。
「まあ、必要以上に狙われない様に痕跡を見ながら……」
ざ、と周囲を警戒しながら歩を進めた時だった。
「違うデス違うデス。ここは目立ってモモンガさんに早く狙われるのが一番デス♪」
明るく主張するパティ。このあたり、性格の違いである。
「目立つって……」
もちろんクオンは整備師である。誰かが操作しやすいように調整することも仕事の内なので柔軟な対応ができる。が、得意でない分野の事に言葉が詰まる。
「例えば、歌をうたうデス。ラフたち、ここに来るまでに口ずさんでまシタ。……あれ?」
響くように返すパティ。早速、リラ・ゼーレのテーマを口ずさむが……歌詞は覚えていない。
「あとで教えてもらうデス♪」
それでもハミングでメロディーを口ずさむあたり、とっても前向きな性格である。
その時だった!
「危ない!」
パティの背後から迫る影に、クオンが両手をかざし光の障壁を生み出した。
――パリン。
「きゅっ……」
障壁は割れ、ぶつかった生物は地に落ちた。
お尻を向け大の字になっていたのはもちろん、強盗モモンガ。頭からぶつかったようでくらくらしている。
「モモンガさん捕まえまシタ~♪」
「さて」
パティが摘み上げたモモンガをクオンが覗き込んでいる。
「茶色の体毛に……膜の特徴は間違いなくモモンガだね。ムササビくらい大きいけど……刃はほぼ小指の所から出てるのか」
「わお。クオン、細かいですネ」
特徴を確認するクオンに、それを興味深そうに見守るパティ。
「よし、これで後は放すだけ」
「モモンガさんもお疲れデス……達者で暮らせヨー!」
最後にニッパーで刃を砕いたクオン。支えていたパティは安心してモモンガをもふもふしてから放してやるのだった。
その後。
「クオン、面白いデス」
匍匐前進するパティが楽しそうに言う。
「あそこにいるから……よし、せーので立ち上がります」
派手に立ち上がるクオン。
瞬間、襲ってくるモモンガ。
同時に舞う桜吹雪。
パティの桜幕符でモモンガは目視を誤りそのまま通過。着地して樹上に逃げようとしたところ……。
――どしっ!
クオンのショットアンカーが行く先に刺さり、ストップ。
満面の笑みでパティが首根っこを捕まえるのだったり。
そしてまた、観察タイム。
●
「そういえば動物って凶悪な武器を持ってる方が手加減知ってるのよね」
こちらは、キーリ。張り出す小枝を分けながらそんなことを口にする。
「ちょっと待って、キーリさん」
コンビを組む悠月が待ったをかけた。
「何よ、ユッキー」
「木々のざわめきを感じなかった?」
しっ、と人差し指を口の前に添えてから耳を澄ます悠月。超越感覚で音を探る。
が、ささやかな違和感を伴う音はそれきりしなかった。
「いる、と思ったんだけど……」
「ユッキーがそう言うなら……一応、キラキラ光る杖持ってきたのよ」
気配の探り合いに集中する悠月。その横でキーリがスターライトロッドを出して掲げた。振りかざした動きに合わせ、先端の宝石から星のキラメキが舞う。
「いた……来る!」
刹那、悠月の瞳が細められた。一瞬腰を落とすとキーリの脇を抜け一陣の風になる。
同時に、腰から日本刀「白狼」が鞘走った。
一連の動きはすべて、キーリの背後上空から向かってくる何かの迎撃のため。
悠月が軸足から体を伸ばした時、うぉーん、と狼の遠吠えが響いたッ!
――ばきっ。
伸ばした刀。
弾ける別の刃。
背後で、すちゃっと着地するモモンガの姿があったが、すぐにくらっと一回転してぽてっと崩れた。キーリが近寄って捕まえる。
「ふぅ……」
「ユッキー、刃砕いて」
紙一重の攻防。
気分の高揚する感覚。
そんな充実感に浸っていたがキーリに呼ばれてあっさりと気分を崩された。
振り返る瞳に、少し残念そうな色があるのも仕方がないだろう。
「ほら、女の子に野蛮な事させるつもり? ……何よーその目ー」
「いや、そうじゃなくてね……」
悠月、はいはいと従いモモンガのもう一つの刃を砕く。
その後の探索で、悠月はある発見をしていた。
「どしたの? ユッキー」
「あそこに巣がある」
何と、樹上の洞を目視で発見していた。
「登ってみようかな」
「……はい、囮お疲れ様ね」
――びたーん。
悠月の背後でキーリがアースウォール。ついでにスリープクラウドを掛けて完全に捕縛する。
モモンガが気付いたのはその直後だった。
「やぁ、随分物騒な物を持ってるんだね……その自慢の刀は、ここに置いて行って貰うね?」
悠月がモモンガを押さえ、刃を砕いた。
すっかりウルウルした瞳になるモモンガ。
「目印付けずに逃しても区別出来そうね。ふふん、どう。この動物愛っぷり」
「ええと……そら、巣にお帰り」
「……何よーその目ー」
今日もキーリは絶好調のようで。
その時だった。
「あいた」
二人の頭上から何かが落ちてきた。
イヤリングである。巣から落ちて……いや、落としてきたのだ。
こちら、真とマリィア。
「見事ね」
マリィアが地に落ちたモモンガの首根っこを捕まえつつ、背後に立つ真に言った。
真はいま、襲ってきたモモンガに対し試作振動刀「オートMURAMASA」を縦に構え防御し、さらに次の襲撃に備えその堅守防御の構えを解かずに全周囲を威圧するかのように仁王立ちしていたのだ。もちろん、捕縛するマリィアを守るためだ。
「マリィアさんのペットもこれでにおいを追うことができる」
真、背中越しにそれだけ言う。出発前にマリィアが残念がっていたことを覚えていた。
「そうね。村には強盗モモンガの毛皮みたいなものがなくてこの子たちににおいをかがせることができなかったけど、一匹捕獲すれば後は同じことね」
頷きながら リボルバー「グラソン」を抜いたマリィア。
左手で押さえていたモモンガの刃に押し当て、どんと接射。反対側にも押し当て、もう一発。
「さ、これでいいわ。……ごめんね、こっちの都合で。悪かったわね」
きゅう……と力なくうなだれる強盗モモンガ――いや、武器さえ折ってしまえば大人しくなるようで、いまは普通のモモンガと変わらないたたずまいになっていた――を放してやろうとする。
「あ、そうそう。はい、お詫びよ」
おっと。
マリィア、放す前にクルミを持参していたことを思い出した。一つ取り出し渡してやる。
モモンガ、それを腹の袋に入れると幹に取り付きわしわしと登って逃げて行った。
それからはマリィアの犬が生き生きしてきた。
「アルファ、ガンマ、頼んだわよ」
当てもなく歩くのではなくなったため、やりやすくなった。
というか、ほかの組より大所帯で脅威的なので襲われやすくなっていた。
もちろん、先に気付くときもある。
「おん!」
「そこね」
ぱんぱん、と銃声。見上げた犬の鼻先を確認したマリィアが二丁拳銃で制圧射撃。
「……来るだろうな」
真、わざとマリィアから離れ攻撃を誘うように移動する。この時には射撃は止んでいる。
モモンガ、背後への射撃もあったことから真の方に飛んだ。マリィアが攻撃させたともいう。
「回避するまでもないな」
さすがに真、奇襲ではなく分かっている攻撃には完全に対応。刃を当てにいき、モモンガの武器を砕いた。
「きゅ……」
着地したモモンガはバランスを崩し、こてっ。
そこを?捕まえる真。そして武器を構える。
「縄張りを守りたい故の行動なのだろうが…悪く思うな」
ぱきっ。
これで無力化完了。
「……達者で生きろよ」
ちん、と刀を収める真。
逃げるモモンガを見送る背中に、これから縄張りは村人が守ってくれるはずだ、との思いを宿し。
●
トランシーバーで作業の進捗を話し合い、やがて撤収した。
「なかなかの資産家だったわ」
「私もイヤリングをもらったわ」
村で、キーリとマリィアがきらりと光る小物について話していた。キーリと悠月の場合は巣を見逃してくれたこと、マリィアの場合はクルミのお礼だろう。
「ぼ、僕たちはナッツでしたねぇ」
小太の言葉。ほかの人はそうだったようで。
「興味深いですね。恩義を感じる知能はあるのか」
クオンは皆の話をまとめていた。
「見た目はとても可愛らしかったですよね。家族も多いはずなんだけど、どうだろう」
悠月はクオンにそんな話を振ってみる。
「あれ? 刃を折っても、子供は刃付きのまま?」
フラ、思わずつぶやく。
「誰かを傷付けたくなければ出て行くだろう。……あの森に来たのも、案外そんな理由かもしれんな」
分からないでもない、という感じに真。
フラもしんみりしてしまうが……。
「ラフ~。ラフ達の歌を教えてほしいデスネ!」
「あんっ、フラだよぅ~」
パティがフラに抱き着き~。
「仕方ないわね~。蒼い風に誘われて~♪」
「くすっ。君の瞳に夢を見る~♪」
「で、出会った運命、リラ・ゼーレ~♪」
キーリが歌い出し、悠月が続くと小太も歌う。
「あの時の歌か……ちょっと照れ臭いが」
嬉しくはある、と心の中で呟いて、真がこっそり伴奏する。
「一人じゃないよ、ボクがいる♪」
やがて、村人も交え皆で歌うのだった。
一行は強盗モモンガの出るという森に到着していた。
「別の普通の森だよね?」
フラ・キャンディ(kz0121)が周りを見回して皆に聞く。
「き、気を付けて下さい、フラさん…背後から襲われたら危ないですから」
はわわ、と弓月・小太(ka4679)が傍に寄った。
「うーん、確かに刃がついてるんじゃ、ちょっと危ないね」
霧雨 悠月(ka4130)も、口元に手を添えて考え込みつつ木々を見上げている。
「モモンガ達には悪いけど、縄張りに踏み込んだばかりに、怪我をする一般の人や子供が出るだろうし」
何とか穏便に、と考えていたらしい。その背後では、「それじゃ小太さん背後見ててね」と背中合わせになるフラ。
「んー、おもしろモモンガ。ウィンドカッター生物バージョン的な。……でも、刃がね~」
キーリ(ka4642)も同情的である。というか、やる気なさそうに見えて浮き浮きしている。証拠に、隣で悠月がキーリを見てくす、と微笑している。
「リアルブルーにはこれに似た「かまいたち」と呼ばれる自然現象を元にした怪異が伝承にありますけど…珍しい生き物なのでぜひとも調査をしたいですね」
一方で、クオン・サガラ(ka0018)は屈んでいる。持参した記録用の機材の確認をしているのだ。そんな背後で、小太が身長差により自分のお尻がフラのウエストの一番引いた部分にぴとっと密着する感覚に、「はわわ」と赤くなっていたり。
「ラフ、小太、面白そうデス。パティもやるデス」
そこにパトリシア=K=ポラリス(ka5996)が乱入。
「はわわ、おしくらまんじゅうじゃないですぅ」
「ボク、フラだよぅ」
どーん。
「何やってんのよ」
「いつもはキーリさんが何かやってるんだけどね」
尻餅を付いた三人に冷たく突っ込むキーリに、ぽりぽりと頬をかきながら補足する悠月だったり。
そんなフラの頭に、手の平からぽむ。
「フラ、感謝する……こういう仕事は嫌いじゃない」
見上げると鞍馬 真(ka5819)だった。
「真さん……こういうって、動物関係?」
「いや、そうじゃないが…」
言葉に詰まった真の横で、わんわん。新たな人影が現れる。
「動物に好かれる好かれないは別にして、動物の関わる依頼は好きよ。強盗モモンガには本当に申し訳ないけれど、人とモモンガが共生するために考えられたこういう依頼は大好きだわ」
犬二匹を連れての参加は、マリィア・バルデス(ka5848)。細めた緑の瞳がやわらかい。
この時、彼女の「共生」という言葉を聞いて呟く人が。
「誰かと誰かが一緒に生きたいと思ったら…変わらなきゃいけない時もある、のデスネ」
パティである。先ほどとは違い、真顔。
周りの皆もパティを見て真顔になった。はっ、と感じるものがあったようだ。
「この依頼ハ、モモンガさんと共存しようっていう村人さん達の選択だって、パティはそう信じているのデス」
パティ、ぐっと拳を固めた。
「そうだな」
真も同じ思いだったようで、試作振動刀「オートMURAMASA」の柄に手を掛けてはいじり、はやる気持ちを抑えた。
「うん、頑張ろう。村人とモモンガたちのために」
悠月も大きく頷いている。もちろん皆も。
「よし、トランシーバーの調子もいい。二人一組でしたね、行きましょう」
クオンの装備が終わったらしい。ひとまとめにしてまとめて立ち上がった。
作戦開始である。
●
森には二人一組の四班に分かれて入って行った。
こちら、小太とフラのコンビ。
「が、頑張って囮になるので、フラさんは刃の方の対応をお願いしますぅっ」
「うん、任せてっ」
というわけで、男らしく矢面に出るべく小太が先行する。
「でも、一匹だけじゃないから疲れたら交代するよ?」
「い、一匹見たら十匹って、何か別の黒い虫のような言い方ですねぇ……。あ、アレに比べたら見た目は可愛いのでまだいいですけどぉ」
フラの言葉に苦笑する小太。
その時だった。
きらん、と斜め上で光る何かに気付く小太。
「ま、まさかです?」
反射的に上体をひねる。
「小太さん!」
横からバタフライナイフを手にしたフラが光る何かと刃を合わせた。
すれ違い過ぎ去った方を向く二人。
「きゅ……」
見ると、やや大きなモモンガがいた。逃げようとしている。
「う、動くと撃ちますよぅ」
ぱんぱん、とアサルトライフル「RJBS」を構え制圧射撃する小太。
「えいっ、捕まえた!」
その隙にフラがダイブ。無事に捕獲した。左前肢は先ほどの交戦で砕けていた。
「か、可愛そうですが……」
小太、もう一方の刃を近接射撃で破壊。そして放してやる。
これで一匹完了。
「うまくいったね」
「頭上からの奇襲だけには注意しないとですねぇ。そ、それさえ防げば後はなんとかなりそうですよぉ」
手ごたえをつかんでにっこり笑顔の二人だった。
が、しかし!
「ええと……はわっ!」
「小太さんっ!」
足元がお留守で躓いた小太にフラが抱き着いたり。
「わ、こっちから?」
「フラさん、大丈夫です?」
背後から襲われ切らたフラを小太が手当したり。
この場合も、小太が幹を上がって逃げるモモンガを威嚇射撃で落として捕まえるなど、任務を完遂していた。
別の場所では。
「ふふ、クオンは背が高いデスカラ、パティは一緒に居ると安心デス♪」
パティとクオンのコンビが周囲を警戒しつつ歩いていた。
「まあ……あの中では誰と組んでも一番狙われやすいですからね」
飄々と答えるクオンが先頭である。
「そういえばさっきは屈んでいたからあまり目立ってなかったデス」
「う~ん。確かに屈むことの多い仕事をしてたけど」
クオンは整備技師でもあるので、ちょっと嬉しい言われようではある。
「まあ、必要以上に狙われない様に痕跡を見ながら……」
ざ、と周囲を警戒しながら歩を進めた時だった。
「違うデス違うデス。ここは目立ってモモンガさんに早く狙われるのが一番デス♪」
明るく主張するパティ。このあたり、性格の違いである。
「目立つって……」
もちろんクオンは整備師である。誰かが操作しやすいように調整することも仕事の内なので柔軟な対応ができる。が、得意でない分野の事に言葉が詰まる。
「例えば、歌をうたうデス。ラフたち、ここに来るまでに口ずさんでまシタ。……あれ?」
響くように返すパティ。早速、リラ・ゼーレのテーマを口ずさむが……歌詞は覚えていない。
「あとで教えてもらうデス♪」
それでもハミングでメロディーを口ずさむあたり、とっても前向きな性格である。
その時だった!
「危ない!」
パティの背後から迫る影に、クオンが両手をかざし光の障壁を生み出した。
――パリン。
「きゅっ……」
障壁は割れ、ぶつかった生物は地に落ちた。
お尻を向け大の字になっていたのはもちろん、強盗モモンガ。頭からぶつかったようでくらくらしている。
「モモンガさん捕まえまシタ~♪」
「さて」
パティが摘み上げたモモンガをクオンが覗き込んでいる。
「茶色の体毛に……膜の特徴は間違いなくモモンガだね。ムササビくらい大きいけど……刃はほぼ小指の所から出てるのか」
「わお。クオン、細かいですネ」
特徴を確認するクオンに、それを興味深そうに見守るパティ。
「よし、これで後は放すだけ」
「モモンガさんもお疲れデス……達者で暮らせヨー!」
最後にニッパーで刃を砕いたクオン。支えていたパティは安心してモモンガをもふもふしてから放してやるのだった。
その後。
「クオン、面白いデス」
匍匐前進するパティが楽しそうに言う。
「あそこにいるから……よし、せーので立ち上がります」
派手に立ち上がるクオン。
瞬間、襲ってくるモモンガ。
同時に舞う桜吹雪。
パティの桜幕符でモモンガは目視を誤りそのまま通過。着地して樹上に逃げようとしたところ……。
――どしっ!
クオンのショットアンカーが行く先に刺さり、ストップ。
満面の笑みでパティが首根っこを捕まえるのだったり。
そしてまた、観察タイム。
●
「そういえば動物って凶悪な武器を持ってる方が手加減知ってるのよね」
こちらは、キーリ。張り出す小枝を分けながらそんなことを口にする。
「ちょっと待って、キーリさん」
コンビを組む悠月が待ったをかけた。
「何よ、ユッキー」
「木々のざわめきを感じなかった?」
しっ、と人差し指を口の前に添えてから耳を澄ます悠月。超越感覚で音を探る。
が、ささやかな違和感を伴う音はそれきりしなかった。
「いる、と思ったんだけど……」
「ユッキーがそう言うなら……一応、キラキラ光る杖持ってきたのよ」
気配の探り合いに集中する悠月。その横でキーリがスターライトロッドを出して掲げた。振りかざした動きに合わせ、先端の宝石から星のキラメキが舞う。
「いた……来る!」
刹那、悠月の瞳が細められた。一瞬腰を落とすとキーリの脇を抜け一陣の風になる。
同時に、腰から日本刀「白狼」が鞘走った。
一連の動きはすべて、キーリの背後上空から向かってくる何かの迎撃のため。
悠月が軸足から体を伸ばした時、うぉーん、と狼の遠吠えが響いたッ!
――ばきっ。
伸ばした刀。
弾ける別の刃。
背後で、すちゃっと着地するモモンガの姿があったが、すぐにくらっと一回転してぽてっと崩れた。キーリが近寄って捕まえる。
「ふぅ……」
「ユッキー、刃砕いて」
紙一重の攻防。
気分の高揚する感覚。
そんな充実感に浸っていたがキーリに呼ばれてあっさりと気分を崩された。
振り返る瞳に、少し残念そうな色があるのも仕方がないだろう。
「ほら、女の子に野蛮な事させるつもり? ……何よーその目ー」
「いや、そうじゃなくてね……」
悠月、はいはいと従いモモンガのもう一つの刃を砕く。
その後の探索で、悠月はある発見をしていた。
「どしたの? ユッキー」
「あそこに巣がある」
何と、樹上の洞を目視で発見していた。
「登ってみようかな」
「……はい、囮お疲れ様ね」
――びたーん。
悠月の背後でキーリがアースウォール。ついでにスリープクラウドを掛けて完全に捕縛する。
モモンガが気付いたのはその直後だった。
「やぁ、随分物騒な物を持ってるんだね……その自慢の刀は、ここに置いて行って貰うね?」
悠月がモモンガを押さえ、刃を砕いた。
すっかりウルウルした瞳になるモモンガ。
「目印付けずに逃しても区別出来そうね。ふふん、どう。この動物愛っぷり」
「ええと……そら、巣にお帰り」
「……何よーその目ー」
今日もキーリは絶好調のようで。
その時だった。
「あいた」
二人の頭上から何かが落ちてきた。
イヤリングである。巣から落ちて……いや、落としてきたのだ。
こちら、真とマリィア。
「見事ね」
マリィアが地に落ちたモモンガの首根っこを捕まえつつ、背後に立つ真に言った。
真はいま、襲ってきたモモンガに対し試作振動刀「オートMURAMASA」を縦に構え防御し、さらに次の襲撃に備えその堅守防御の構えを解かずに全周囲を威圧するかのように仁王立ちしていたのだ。もちろん、捕縛するマリィアを守るためだ。
「マリィアさんのペットもこれでにおいを追うことができる」
真、背中越しにそれだけ言う。出発前にマリィアが残念がっていたことを覚えていた。
「そうね。村には強盗モモンガの毛皮みたいなものがなくてこの子たちににおいをかがせることができなかったけど、一匹捕獲すれば後は同じことね」
頷きながら リボルバー「グラソン」を抜いたマリィア。
左手で押さえていたモモンガの刃に押し当て、どんと接射。反対側にも押し当て、もう一発。
「さ、これでいいわ。……ごめんね、こっちの都合で。悪かったわね」
きゅう……と力なくうなだれる強盗モモンガ――いや、武器さえ折ってしまえば大人しくなるようで、いまは普通のモモンガと変わらないたたずまいになっていた――を放してやろうとする。
「あ、そうそう。はい、お詫びよ」
おっと。
マリィア、放す前にクルミを持参していたことを思い出した。一つ取り出し渡してやる。
モモンガ、それを腹の袋に入れると幹に取り付きわしわしと登って逃げて行った。
それからはマリィアの犬が生き生きしてきた。
「アルファ、ガンマ、頼んだわよ」
当てもなく歩くのではなくなったため、やりやすくなった。
というか、ほかの組より大所帯で脅威的なので襲われやすくなっていた。
もちろん、先に気付くときもある。
「おん!」
「そこね」
ぱんぱん、と銃声。見上げた犬の鼻先を確認したマリィアが二丁拳銃で制圧射撃。
「……来るだろうな」
真、わざとマリィアから離れ攻撃を誘うように移動する。この時には射撃は止んでいる。
モモンガ、背後への射撃もあったことから真の方に飛んだ。マリィアが攻撃させたともいう。
「回避するまでもないな」
さすがに真、奇襲ではなく分かっている攻撃には完全に対応。刃を当てにいき、モモンガの武器を砕いた。
「きゅ……」
着地したモモンガはバランスを崩し、こてっ。
そこを?捕まえる真。そして武器を構える。
「縄張りを守りたい故の行動なのだろうが…悪く思うな」
ぱきっ。
これで無力化完了。
「……達者で生きろよ」
ちん、と刀を収める真。
逃げるモモンガを見送る背中に、これから縄張りは村人が守ってくれるはずだ、との思いを宿し。
●
トランシーバーで作業の進捗を話し合い、やがて撤収した。
「なかなかの資産家だったわ」
「私もイヤリングをもらったわ」
村で、キーリとマリィアがきらりと光る小物について話していた。キーリと悠月の場合は巣を見逃してくれたこと、マリィアの場合はクルミのお礼だろう。
「ぼ、僕たちはナッツでしたねぇ」
小太の言葉。ほかの人はそうだったようで。
「興味深いですね。恩義を感じる知能はあるのか」
クオンは皆の話をまとめていた。
「見た目はとても可愛らしかったですよね。家族も多いはずなんだけど、どうだろう」
悠月はクオンにそんな話を振ってみる。
「あれ? 刃を折っても、子供は刃付きのまま?」
フラ、思わずつぶやく。
「誰かを傷付けたくなければ出て行くだろう。……あの森に来たのも、案外そんな理由かもしれんな」
分からないでもない、という感じに真。
フラもしんみりしてしまうが……。
「ラフ~。ラフ達の歌を教えてほしいデスネ!」
「あんっ、フラだよぅ~」
パティがフラに抱き着き~。
「仕方ないわね~。蒼い風に誘われて~♪」
「くすっ。君の瞳に夢を見る~♪」
「で、出会った運命、リラ・ゼーレ~♪」
キーリが歌い出し、悠月が続くと小太も歌う。
「あの時の歌か……ちょっと照れ臭いが」
嬉しくはある、と心の中で呟いて、真がこっそり伴奏する。
「一人じゃないよ、ボクがいる♪」
やがて、村人も交え皆で歌うのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/08 09:37:24 |
|
![]() |
相談しよう! パトリシア=K=ポラリス(ka5996) 人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2016/02/08 09:42:04 |