ゲスト
(ka0000)
無差別スイカ割り人形の脅威!
マスター:えーてる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/15 19:00
- 完成日
- 2014/08/23 16:30
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「おいっ! やめろっ!」
悲鳴も虚しく、スイカは叩き割られてしまった。
「お、俺のスイカが……!」
スイカ農家のおっちゃんが、がっくりと膝をついた。彼は甘くて水気たっぷりの高品質なスイカを売り出す優秀な農家であり、今がちょうど出荷シーズンである。この広い農園全てにスイカが生い茂っている――そのはずだった。
だがどうだ。この一面砕かれたスイカで真っ赤に染まったこの農地の一角は。
スプラッターなホラー映画にも見える、一面の甘ったるい赤。農家のおっちゃんのシャツもスイカの汁で真っ赤であった。
「やめろ! くそ! そこを動くな、動くなよ!」
よじり合わせた蔓で出来た体と、スイカの頭。腕のように生えた蔓は合計四本。
おっちゃんの悲鳴にも構わず、鋭くしなる長い蔓の鞭が、またひとつスイカを粉砕する。おっちゃんは絶叫した。
「やめろ! やめろっ! やめろってば!!」
怒りに任せて突進するも、彼は鞭に思い切り頭をぶっ叩かれて昏倒した。
雑魔に慈悲はない。人型を模したその雑魔は、ひたすら周囲のスイカを叩き割るのみだ。
●
「スイカ割りの雑魔が出ました」
はぁ? という感想は想定内だったのだろう。彼女は眼鏡のフレームを押し上げた。
「とあるスイカ農園に雑魔が発生しました。スイカ、ないしそれに類する球形の物体に無差別に攻撃を加えているようです」
スイカに飽きたらず、球技のボール、風船、丸い花瓶や水槽、果ては人間の頭までターゲットらしい。四本の腕で、手近なものへとひたすら攻撃を繰り返すようだ。
「依頼はこの雑魔の早急な討伐と、被害拡大を食い止めること。安全な範囲のスイカは収穫したようですが、まだ収穫には至らないものも多く、それらを出来る限り守ってほしいとのことです」
確かに、農家としては生活に関わる問題だ。スイカを守ろうと思ったならば、何らかの手段で敵の注意を引く必要がある。
「移動は緩慢ですが、行動自体は俊敏です。人体への攻撃は執拗に頭部を狙ってくるだろうことが予想されますので、頭部の守りは厳にするべきかと」
流石に頭をぶん殴られたら、少し目眩や脳震盪を起こしてもおかしくはない。
また攻撃に使える腕が四本あり、射程もかなり長いようだ。迂闊に近づくと予想外のダメージをもらうかもしれない。
しかし締まらない依頼である。やっていること自体はわりと放置できない問題だが……。
「敵は単体であり、大した戦力でもないようです。討伐成功の際にはスイカをご馳走してくださるとのことですので、そちらを当てにして向かうのもいいでしょう」
「おいっ! やめろっ!」
悲鳴も虚しく、スイカは叩き割られてしまった。
「お、俺のスイカが……!」
スイカ農家のおっちゃんが、がっくりと膝をついた。彼は甘くて水気たっぷりの高品質なスイカを売り出す優秀な農家であり、今がちょうど出荷シーズンである。この広い農園全てにスイカが生い茂っている――そのはずだった。
だがどうだ。この一面砕かれたスイカで真っ赤に染まったこの農地の一角は。
スプラッターなホラー映画にも見える、一面の甘ったるい赤。農家のおっちゃんのシャツもスイカの汁で真っ赤であった。
「やめろ! くそ! そこを動くな、動くなよ!」
よじり合わせた蔓で出来た体と、スイカの頭。腕のように生えた蔓は合計四本。
おっちゃんの悲鳴にも構わず、鋭くしなる長い蔓の鞭が、またひとつスイカを粉砕する。おっちゃんは絶叫した。
「やめろ! やめろっ! やめろってば!!」
怒りに任せて突進するも、彼は鞭に思い切り頭をぶっ叩かれて昏倒した。
雑魔に慈悲はない。人型を模したその雑魔は、ひたすら周囲のスイカを叩き割るのみだ。
●
「スイカ割りの雑魔が出ました」
はぁ? という感想は想定内だったのだろう。彼女は眼鏡のフレームを押し上げた。
「とあるスイカ農園に雑魔が発生しました。スイカ、ないしそれに類する球形の物体に無差別に攻撃を加えているようです」
スイカに飽きたらず、球技のボール、風船、丸い花瓶や水槽、果ては人間の頭までターゲットらしい。四本の腕で、手近なものへとひたすら攻撃を繰り返すようだ。
「依頼はこの雑魔の早急な討伐と、被害拡大を食い止めること。安全な範囲のスイカは収穫したようですが、まだ収穫には至らないものも多く、それらを出来る限り守ってほしいとのことです」
確かに、農家としては生活に関わる問題だ。スイカを守ろうと思ったならば、何らかの手段で敵の注意を引く必要がある。
「移動は緩慢ですが、行動自体は俊敏です。人体への攻撃は執拗に頭部を狙ってくるだろうことが予想されますので、頭部の守りは厳にするべきかと」
流石に頭をぶん殴られたら、少し目眩や脳震盪を起こしてもおかしくはない。
また攻撃に使える腕が四本あり、射程もかなり長いようだ。迂闊に近づくと予想外のダメージをもらうかもしれない。
しかし締まらない依頼である。やっていること自体はわりと放置できない問題だが……。
「敵は単体であり、大した戦力でもないようです。討伐成功の際にはスイカをご馳走してくださるとのことですので、そちらを当てにして向かうのもいいでしょう」
リプレイ本文
●
「スイカのお化け、か。まさか、今までスイカ割りで割られたスイカの怨念でもあるまいが……」
東郷 猛(ka0493)は呟いた。
「スイカのくせにスイカ割りなんてねぇ」
「随分変わった雑魔ですね……」
鬼灯 玲那(ka1679)は苦笑し、上泉 澪(ka0518)も同意した。
命のやりとりをしてこないだけマシだろうが、それにしたってやることがちゃちいというか、くだらないというか。間の抜けた印象が拭えない。
ただそれも、緑が生い茂るはずのスイカ園の惨状――一面真っ赤に汚され、割れたスイカのクズが散乱する――を見れば、少しは払拭された。
「マンマ・ミーア!!」
超級まりお(ka0824)は思わず叫んだ。
向かって左端では新たなスイカを求めて蠢く、スイカ頭から蔓を伸ばして直立移動する奇妙な雑魔。腕代わりの蔓が返り血ならぬ返り汁で真っ赤になっているのが分かる。
「はわわ、確かにスイカのオバケだよ! スイカ割りまくってるよ!」
「中を確かめるにしては、ずいぶんと力み過ぎてるな」
ロニ・カルディス(ka0551)はシニカルに一言呟いた。
「なんと! 農家の方が懸命に作ってくださったスイカを……!」
「スイカさん、おいしいのにぃ~……スイカ大好きなもふもふさんも少なくないのにぃ~……許せませんねぇ~」
ラグナ・グラウシード(ka1029)とスノゥ(ka1519)は憤っていた。
「雑魔め、許せぬ! 『神聖騎士教則本』の教え通り、『汚らわしき魔を滅するのが騎士の務め』!」
「何にせよ、放置すれば折角育った作物が無駄になってしまう」
猛は盾を構えた。
「っていうか、すごいことになってるね。まるで殺人現場なんだけど」
「早急に片付けますか」
玲那が苦笑し、澪も刀に手をかける。
めいめいの武器を構える横で、陽山 神樹(ka0479)も闘志を燃やしていた。
「美味しいスイカを目的無く砕くなんて許せない雑魔だな! そんな奴はドリルで頭に風穴あけてやるぞ!」
神樹はびしっと指先で雑魔を指し示し、はっとして仲間たちを見た。
「……何だか三下ヒーローな台詞言っちゃったよ! 正統派ヒーローの方が良いのにー!」
しまらねーな。ハンターたちは揃って思った。
●
一斉に球形の物を投げ込んだ。
球技用のボールやら、急ごしらえで買ってきた野菜やら(良い子は真似してはいけません。食べ物は大事に扱いましょう)を囮に送り込んで、ひとまず相手の動きを誘導し止めようという魂胆である。
幾つかがカーリングのようにぶつかり合って遠くへ転がったが、概ね試みは成功したようで、うねうねと揺れる鞭が鎌首をもたげ、それらスイカのない区域に投げ込まれたボール群へと向いた。
「どうだ、遠目にスイカに見えないか?」
緑色の風船に水を詰めたものを転がして、ラグナはキリッとした顔を作った。
「それ普通にボールでいいんじゃないか……?」
ロニが疑問を呈する横で、まりおが唐突に顔を上げた。
「………………あ、そうだ」
まりおは徐ろに四角い紙袋を取り出した。茶色い紙袋にずぼっずぼっと二つ穴を開けて、それを被った。
「四角いから攻撃対象にされないかも♪」
チュイイインと唸るチェーンソーならぬリボルビングソー。
「いや、私たちスイカから注意を逸らすんじゃ……っていうかこの場でそれは完全に殺人鬼だよね? ホラー狙ってるよね?」
玲那の呟きに、スノゥがぐっとポーズを取った。
「大丈夫ですよぉ~。私は着替えを持ってきましたからぁ~」
「全く解決してないじゃん。まりおさんから服装取ったら別人だよ、なんでかは言わないけど」
「ひどい! ボクだってきぐるみとか着るよ! 多分!」
その横で神樹がドリルを構えた。
「ドリル最大回転!! くらえー!! ドリルキャノン!!」
個性強すぎだろこいつら。
「……このチーム大丈夫なのか」
「ダメかも……しれませんね……」
猛と澪は揃って嘆いた。
雑魔は鞭でボールを叩き割った。
ともあれ。ボールの配置や自己強化を終え、雑魔の攻撃を見送ってから前衛組は前へ出た。
カエトラを掲げて突進する猛、刀を手に走る澪と玲那、電動丸ノコをギュンギュンする紙袋まりお。
神樹とスノゥの(ドリル)機導砲がスイカ雑魔に突き刺さり、ロニのホーリーライトが敵を打ち据える中、前衛最後の一人ラグナは少しだけ出遅れた。
「さあ、来いッ!」
その手には、綺麗に半球に割れたスイカ。
それ漁って遅れたのかよ、という前衛組の視線も他所に、ラグナはそれを投げ込む……のではなく。
「これで、どうだああああッ!」
頭に被った。
「雑魔よ、さあ!私はこっちだぞ!」
そして全力の反復横跳び――そのウザさ、筆舌に尽くし難く。
躍動する妖怪スイカ魔人がここに誕生した。
「お前はそれでいいのか……?」
「すごい。すごいウザい」
「クローズヘルムだけで十分だと思うのだが……」
「スイカの汁が垂れてきそうなのです」
「くそっ、変身だなんて! その手があったか!」
「ワーォ! スイカまりおも選択肢だったかも!」
その姿に呆れた(一部を除く)声が上がった。ちなみに猛、玲那、ロニ、スノゥ、神樹、まりおの順だ。
澪は無視して攻撃を開始した。
「……貴方の頭も砕かれた西瓜と同じにしてあげましょうか?」
「え、それ私? 澪殿、それ私?」
澪は無視した。
全身を駆け巡るマテリアルを、更に刀身へ。蔓を払いのけ、接近の勢いを殺さぬままに大上段から頭を狙う。
その刃先が半月を描く。
スイカ頭の表皮に傷を残して、刃は虚空へ駆け抜けた。遅れて噴き出す赤い汁。
「硬い――」
予想外の硬さに少しだけ目を見開き、澪は同郷と思しき玲那に声をかけた。
「触手を」
「任せて」
玲那は防御に回った触手を掻い潜り、一歩強く踏み込んだ。合わせて猛が動く。
「ぬぅんッ!」
横合いからの猛の突進で、スイカ雑魔の動きが鈍った。その機を見逃す玲那ではない。
体が跳ね、天地が逆転し、切っ先が飛燕の如くに翻る。根本へ垂直に刃を立て、振り切る。強い手応え。
蔓の一つが宙を舞った。
「まずは一本」
そうして出来た隙間に、まりおが突っ込む。玲那はぐるりと雑魔の横へ回り込んで道を開けた。
「ハッハァ――ッ!!」
リボルビングソーがスイカ頭に突き刺さる。ギャリギャリと鉄を削るような音を立て、血飛沫もといスイカの汁を浴びながら、まりおは鋸を振りきった。
削った手応えに比して傷は浅く、敵もまだまだ健在の様子。
「むむぅ、思ったより硬い?」
反撃に振るわれた鞭を屈んで避け、まりおは呟く。
八人で攻撃して、敵の損害は軽微。長い戦いになりそうだった。
●
ボールを持ち込んだのは正解だった。蔓の一本を切り落せたことも大きい。
囮のボールや水風船を叩き割るのを見てから、着実にダメージを蓄積させていく。
ボールが割られ尽くした頃には、敵は満身創痍であった。
「おっと」
頭を反らせて玲那は鞭を避けた。敵は頭部のみを狙ってくると踏んでの行動だ。澪も数度の攻撃を見て同じ判断を下した。猛も盾をうまく使って防いでいる。
「ふんっ! 効かぬぞ!」
ラグナの頭部に鞭が直撃するが、彼はびくともしない。下手にぶつかると脳震盪を起こすだろう威力だが、気合か騎士道かスイカヘルムのおかげか、彼は健在である。
「よし、そろそろ終わらせるぞ」
「了解」
猛は構えを取った先で、剣閃が迸った。
玲那が横一文字に刻んだ傷へ、まりおの鋸が食い込む。
「銃は苦手なのですが……」
背面に回っていた澪も片手に忍ばせたデリンジャーで傷口を撃ちぬいた。
後方では、ロニが大きくメイスを振りかぶっていた。
「陽光は嫌いじゃないだろう。遠慮しないで受けておけ」
振りぬくと同時にホーリーライトが直撃する。
「いい加減しぶといのです!」
先程自己強化をかけ直したスノゥが、機導砲で雑魔の横っ面をぶちぬいた。
「『神聖騎士教則本』曰く! 『常に正面から挑みかかるべし』!」
ラグナが有言実行、胴体へと強烈な一薙ぎをねじ込む。くの字に体を折る雑魔。
「今までお前が無駄に割ったスイカと生産者の無念を知れ!」
更に猛の唐竹割りが炸裂し、雑魔はついに瀕死となった。
「トドメは俺がさしたいぞ! 別に深い意味はないけどね!」
最後に神樹が走りより、マテリアルをドリルから放った。
「ファイライザー必殺! ドリル……ブレードー!!」
ドリル機導剣が、ついにスイカ頭を貫通した。
●
スイカ農園のおっちゃんは気が気ではなかった。ハンターたちの活躍如何で農園の存続が決まるかもしれないのだ。作物が出なかったら農家は生きていけないのである。
ふと戦闘音が止み、足音が聞こえてきた。終わったらしい。被害はどうなのだろう。おっちゃんはそこのところを聞き出すべく顔を上げて。
「はぁい、無事やっつけたよ……って、アレレ? どうしたの?」
リボルビングソーを片手に全身真っ赤に染まった紙袋がやってくるのを見て、気絶した。
農家のおっちゃんはホラーが苦手であった。
まりおは上機嫌にスイカに塩を振っていた。
「そんなつもり無かったんだけど、驚かせちゃってゴメンね~♪」
「ああ、うん、被害は最小限だったし、よかったさ……」
シャクシャクとスイカを頬張るまりおに、おっちゃんは複雑な笑みを浮かべてスイカに包丁を入れた。視線の先では、せっせと働くラグナの姿がある。
「『苦難を助ける姿こそ美しい』と、『神聖騎士教則本』にもあるしな!」
畑の修復を手伝っているのだ。尚、スイカを被ったせいでクローズヘルムと髪の毛は汁でベタベタになっていた。
おっちゃんは畑をひとまずラグナに任せて、ハンターたちに割れたスイカや売りに出さない在庫を振る舞っていた。
「やっぱり夏はスイカだね! そ~れタネマシンガン~、ププププ!」
神樹が口から種を飛ばして見せる。一応行き先はちゃんとゴミ箱だ。
「神樹、汚いぞ」
「え? あ、ゴメン」
猛は礼儀正しくスイカを頂いている。
「スイカの種は口から出す所を人に見せないように、握った手の中に吐き出してから捨てるのがマナーですよ」
「へえ~。そうなんですねぇ~」
澪の説明にスノゥは感心していた。スノゥは砕かれたスイカや不良在庫をボールを運んできた袋に詰めている。『もふもふさん』にも食べさせるらしい。ちなみに食べさせすぎると肥満や下痢の原因になるので、動物に与える時は注意しよう。農家のおっちゃんとの約束だ。
「西瓜に塩は古いな。時代はブランデーだ。」
ロニは上品に蜂蜜とブランデーを垂らしながらスイカを食べている。
玲那は上機嫌にスイカを頬張りながら、空を見上げて言った。
「やっぱり夏はスイカだよね♪」
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 スノゥ(ka1519) エルフ|14才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/08/14 21:53:00 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/13 18:12:57 |