我ら山猫団! ひもじいよぉ……

マスター:水貴透子

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/08/16 12:00
完成日
2014/08/24 13:06

みんなの思い出

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オープニング


我らハンター専用山賊・山猫団!
食料を探すために山を下り、森を追われ、行きついた先は集落!
ここなら、食料を分けてもらえるかもしれない……!

※※※

「お頭! 人里までおりてきてしまいましたね!」
「お頭! 山賊なのに山にいられない時点でお察しレベルです!」
「お頭! ついに山賊ではなく強盗に成り下がりますか!」

「馬鹿野郎! 人間から食料奪ってどうするんだ!」

山猫団首領・キャットは部下のスモールの鳩尾を殴る。
ちなみにビッグとミドルには背が届かず、殴れないというオチつきである。

「私たちは山賊だ! 山でしか人間から盗っちゃいけねぇ決まりがあるんだぞ!」

「お頭! さすがです!」
「お頭! 山賊の鏡です!」
「お頭! でも、それじゃ何でこんな所にいるんですか!」

「強盗はいけないけど、こっそり持って帰るのはいいんだ! もう3日も水と草しか口にしてないんだからな!」

「お頭! いい加減、この筋肉維持が難しくなってきました!」
「お頭! 食べ盛りなのに、いろんな所が育たないお頭、不憫です!」
「お頭! そうと決まればささっと頂いて帰りましょう!」

しかし、ここで不運発動なのが山猫団である。

「お頭! ここ、集落ですけど元・集落です!」
「お頭! 人が誰もいません!」
「お頭! 人っぽい何かはあそこにいます! 何か腐ってます!」

「ぎゃあああっ、また雑魔か!? 雑魔か!? もう何で私達の前には雑魔ばかり来るんだ!」

山猫団から少し離れた場所、そこには人型の雑魔がよろめきながら歩いているのが見える。
しかも、この集落そのものが捨てられてから随分と経つらしく、役立ちそうな物は何も残されていない。

「食料もなく、人もいなく、いるのは雑魔と役立たずの部下のみ……」

「お頭! 酷いです!」
「お頭! お頭も十分役に立たないです!」
「お頭! 逃げなきゃこっちが食料です!」

「くっそーーーーっ! 何でまたこんな目に遭ってるんだ、私達はーーーーっ!」

 

リプレイ本文

●再び現れた山猫団

「雑魔討伐に来ただけなんですが、何やら怪しげな人達もいますね……」
 ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)が苦笑気味に呟く。
 今回、雑魔退治のために8名のハンターが派遣されたが、予想外の一般人らしき人物まで一緒にいるため、少々戸惑っているようだ。
「こんな所で何をしていたのか気になる所ですが、まずは雑魔退治をしましょうか……」
「……雑魔がいる場所に不審者、しかも見れば見るほど不審者だな……あと凄く煩い連中だ」
 雑魔を見て、ぎゃあぎゃあと騒ぐ山猫団を見つめながら、シン・コウガ(ka0344)が少し引きつった表情を見せながら呟いた。
「まぁ、とりあえず一言……何、あれ」
 天竜寺 舞(ka0377)も呆れたような口調で呟く。
「そういえば、偶然なんですけど『ロープ』を持っているので、あの怪しげな人達をぐるぐる巻きにしちゃいましょうか、雑魔退治後にでも尋問したいと思いますし」
 天川 麗美(ka1355)がにっこりと笑顔で呟く。天川は前回も山猫団と会っており、彼女達がどんな人間かを、それなりに知っている。
 だからこそ、まずは拘束する事を考えたのだろう。前回のように逃げられないために。
「とりあえず、あそこから引き離さなくちゃいけませんね」
「俺は、ちびっこい少女とちびっこい筋肉マッチョを担当しよう」
 オウカ・レンヴォルト(ka0301)が小さな声で呟く。
「あたしも引き離す役割に入ろう、以前の報告書で読んだ事がある、あいつらが『山猫団』なんだろう?」
 足立 真(ka0618)が呟くと、天川が困ったような笑みを浮かべながら頷いた。
「……俺も、あいつら担当に行く。一般人が襲われているなら、助けないといけないし」
 アレン=プレアール(ka1624)がのんびりとした口調で呟く。
「私は雑魔退治の方で。あの人達、何となく関わりたくない雰囲気があるので、私は見なかったことにしちゃいますね」
 ミリア・アンドレッティ(ka1467)はにっこりと微笑みながら呟く。
 とりあえず現場で決めた事だが、ハンター達は2つの班に分かれて行動する事になった。
 雑魔班・ユーリ、天竜寺、シン、ミリアの4名。
 山猫団班・足立、天川、オウカ、アレンの4名。
「それじゃ、ちゃちゃっと終わらせちゃいましょ」
 ミリアが呟き、ハンター達はそれぞれの役割に従って行動を開始し始めた。

●山猫団と書いて『ウザい奴ら』と読む

「おーろーせーぇぇっ!」
 オウカに抱えられながら、山猫団お頭のキャットが大きな声で騒ぐ。
「お嬢! 自分、人生初の抱っこされました! 俵担ぎですけど、何かクセになります!」
 頬を染める筋肉マッチョを見て、オウカは手を離したくなったのは言うまでもない。
「あんた達は『依頼に含まれない』が、邪魔をするなら排除する。勿論、襲われれば自己防衛で民間人でも撃つ。急所に当たっても知らん、だが大人しく同行し、雑魔の情報を提供するならば雑魔から保護し、食物を与えよう」
 足立が淡々とした口調で呟いたのだけれど――……。
「お嬢! 何かこの人言ってる事が怖いです!」
「お嬢! 民間人を撃つって言ってます、自分達より悪者です!」
「お嬢! 自分達はハンターしか襲わないのに、この人一般人襲うつもりです!」
 キャットに従う3馬鹿……もとい、部下達は足立の言葉に怯え、ガタガタと震えながら講義をしている。
「……襲われればって言ってるはずだけど……っていうか、ハンター、襲うのか? えーと、戦う意志はないって事か? それなら……守ってやろう。あるなら……覚悟を、決めろよ」
 アレンが3馬鹿に言葉を投げかけるけど、所詮は山猫団である。
 まともな言葉など通じるはずもない。
「お嬢! この人、何か自分達に覚悟を求めています!」
「お嬢! 自慢じゃないですけど、自分達覚悟から一番遠い所にいます!」
「お嬢! 守ってくれるなら黙って守ってくれ、と言いたいです!」
(……可哀想に。恐怖で錯乱しているようだな、とりあえず笑顔を見せて安心させておこう)
 オウカは心の中で呟き、自分に出来る精一杯の笑顔を見せる。
「ぎゃー! 怖いいいいいっ!」
(……む、こんなに顔を青くして……よほど、怖い目に遭ったのだろうな)
 オウカは少し哀れみの視線を向ける――が、キャットが怯えているのは雑魔に対してではなく、にっこりと(凶悪な)笑みを浮かべるオウカに対してだった。
「とりあえず今度こそ懺悔させなきゃ――……じゃなくて、ちゃんと守ってあげるんだから、あんまり抵抗しないでくれる? おかげで雑魔に攻撃されて痛いんだけど」
 天川はにっこりと笑顔で山猫団に向けて言葉を投げかける。
 爽やかな笑顔に見えるのに、何故かオウカ並に怖い笑顔なのは気のせいだろうか。
「……静かにした方が、いいんじゃないか?」
 アレンが足立と天川を指差しながら、山猫団に告げる。
「お嬢! ハンターって怖い人しかいません!」
「お嬢! もう、自分カタギに戻っていいですか…!」
「お嬢! お腹空いたし、怖い人いるし、もう踏んだり蹴ったりです!」
 アレンが静かに諭したにも関わらず、3馬鹿はぎゃあぎゃあと騒ぎ立てている。
「静かにするなら、偶然持っていた食料をあげてもいいけど?」
 天川はツナ缶やジュース、ミネラルウォーターを見せながら山猫団に言葉を投げかける。
「……」
「……」
「……」
「……」
 食料を見た途端、3馬鹿だけではなくキャットまで黙って、正座待機している。
(ハンターを襲うと公言しているらしいが、ハンターから恵んでもらうの間違いだろう?)
 正座で食料を待つ山猫団を見ながら、足立は深いため息を吐いた。

●雑魔班、お仕事頑張ります

「ようやく、向こう側が静かになったみたいですね」
 太刀を振るいながら、ユーリが雑魔班を担当するハンター達に言葉を投げかける。
「……向こう、こっちより大変そうな気がするのは気のせいかな。雑魔より厄介な一般人って……まぁ、まずはこっちに集中しておこう」
 ちらり、と山猫団班の方に視線を向けた後、シンが苦笑気味に呟く。
「ゾンビっぽいからな……関節撃って動けなくするか、頭部を狙うのが良いはずだ……」
 シンは小さく呟いた後に『ジャンクガン』を構え、雑魔に向けて弾丸を放つ。
「はー、この間もゾンビと戦ったばかりなんだけど……とか言ってられないか」
 天竜寺はため息を吐いた後に『ランアウト』を使用して、雑魔に接近して『スラッシュエッジ』を繰り出す。
「そういえば、さっきはどうして彼らを見なかったふりに?」
 雑魔の攻撃を避けながら、天竜寺がミリアに問い掛けた。
「集落跡の雑魔退治って事で、動物とかはいるかなって考えていたんですよ。けど、実際にいたのは怪しい一般人、しかも暑苦しそうな人が3人もいて、私の中では見なかった事にしたいんですよ」
 淡々とした口調で呟くミリアに、問い掛けた天竜寺も苦笑する。
 何となくだけど、ミリアの気持ちが分かってしまうから、何も言えないのだろう。
「とりあえず、どんな状況であっても、お仕事はちゃんとしますけどね」
 ミリアはにっこりと微笑みながら『マジックアロー』を雑魔に向けて放つ。
 そのタイミングに合わせて、シンも『ジャンクガン』で攻撃を行った。
「雑魔の強さは並以下、その事はありがたいんですけどね……」
 ちらり、と山猫団を見ながら、ユーリは「雑魔を退治した後の方が苦労しそうです」とため息混じりに言葉を付け足した。
「その考えには同感だね、明らかに雑魔より向こうの方が厄介って感じだもん」
 ユーリの言葉に、天竜寺も苦笑気味に言葉を返す。
「静かにしているうちに、雑魔を退治した方が良さそうですね」
 シンが呟きながら攻撃を仕掛け、後衛のシンとミリアが攻撃を終えた後、前衛の天竜寺とユーリが追撃をする。
 元々、実力のない雑魔だったらしく、4人に力を分散しても楽に雑魔を退治する事が出来たのだった――……。

●問題はここから、山猫団の処遇はどうしましょう?

「雑魔は無事に倒せたんですけど、あなた達は何をしにここに来ていたんですか?」
 ユーリがにっこりと笑みを浮かべながら、山猫団に話しかける。
「お嬢! よくよく考えたらハンターって美人さん多いです!」
「お嬢! お嬢もこんな風に育つべき所がちゃんと育ってほしいです!」
「お嬢! 自分達も美人お頭に仕える部下になりたいです!」
「貴様らー! お頭である私を馬鹿にするのかっ! 育つべき所が育たない女もいるんだ!」
「お嬢! それは女じゃありません!」
「お嬢! 自分にとって、そんな人は『女』のカテゴリから外れています!」
「お嬢! 15歳でそれ……もう、未来は絶望的です!」
 何故かキャットの方が部下に弄られる形になっており、既に何が何だか分からない。
「……とりあえず、干し肉でも食べておくといい」
 オウカはキャットに干し肉を食べさせた後、頭を撫でてやる。
(あー、こんな事をしたら子供扱いしてるって怒られるかな)
 穏やかな笑みを浮かべながら、オウカは心の中で呟く。
 ちなみに、この笑顔だったら怖がられる事もないのだが、本人は無自覚の笑顔らしい。
「私はいくらみすぼらしくても、誇り高き山賊! 人の施しなど受けんわ!」
 オウカから与えられた干し肉を食べながら叫んでも、まったく説得力がない。
「お前ら、山賊だったのか……! だったら我慢して損したな! いくら幼いお頭でも容赦しないぜ……!」
 シンが『トンファー』を構えながら呟くと「この、馬鹿者が!」とキャットに怒られる。
「確かに私は山賊だが、こんなみすぼらしい山賊がいるか! 野犬に食料を奪われ、山を追われ……行き着いた集落は雑魔が住んでいる場所! まともに山賊稼業なんてした事もないのに、山賊だからって露骨に嫌悪感を向けられるいわれはない!」
 力説するキャットだが、酷くカッコ悪く見えるのは、多分日ごろの行いのせいだろう。
「……そんなにひもじいなら、山賊なんてやめればいいだろ」
「私は楽をして稼ぎたいんだ! だから人様から貰う事にしてるんだよ、それが悪いか!」
 悪いよ、とハンター達全員の心が1つになる。
「そういえば、お前達はハンター専用の山賊になるとか公言しているらしいな。何でも武器や防具を盗もうとしているのだとか」
(いや、あんな雑魔に右往左往してるのに、無理じゃない?)
 足立の言葉を聞き、天竜寺がさり気なく心の中でツッコミを入れる。
「っていうか、この前も腐ったお友達と一緒だったわよね? 封印してあった所を壊しちゃったとか、何か心当たりがあるんじゃないの? 正直に答えないと、また『オトモダチ』が来ちゃうわよ?」
 ふー、と煙草の煙を吐きながら天川が山猫団に告げる。
「お嬢! この人、清楚な外見とは裏腹に真っ黒いオーラ漂ってます!」
「お嬢! この人、絶対腹黒ですよ!」
「お嬢! シスター萌えの自分としては、ちょっとカルチャーショック受けてます!」
 3馬鹿がそれぞれ言いたい事を叫び、天川はピキッと表情を引きつらせる。
「おおおいっ! ここに炭酸飲料が置いてあるぞおおおっ」
 キャットが「きゃほーい!」と叫びながら、一気にそれを飲む。
 ちなみにミリアが置いていたものだが、テンションの高さにミリアを含むハンター達は全員引いてしまう。
(あ、ナッツまで……動物のために置いていたんだけどな)
 つまみとしてナッツも食べるキャットを見ながら、ミリアが困ったような表情を見せる。
 そして、その隣ではアレンがガックリと膝をついてうな垂れていた。
 どうやら、彼は『山猫団』という名前に、猫っぽい人達がいるんだろうと思っていたのに、お頭であるキャットが猫っぽい名前という以外、まったく猫っぽくなかったからだ。
 特に3馬鹿は筋肉マッチョで決して猫と結びつかない外見をしている。猫を期待して筋肉マッチョを見たら、一種のトラウマに苛まれる事は間違いないだろう。
(あのお頭は、猫ミミカチューシャでも与えれば、猫っぽくなるか……? 次に会う時は、猫ミミカチューシャを譲ってあげようか……)
 アレンは心の中で呟く。
「……こういう事もあるし、山賊稼業なんて、やめた方がいいんじゃないか……? 楽に稼げるどころか、下手したら一生日の目が見られなくなるかもしれないぞ」
 オウカはキャットと目線を合わせながら話しかける。
「オペレーターなら、力仕事も少ないし、命の危険もないし、皆にも出来るんじゃないか?」
「嫌だ! 私は絶対に働かないぞ! 働いたら負けだからな!」
 まるで引きこもりのような言葉を言うキャットに、ハンター達は頭を抱えたくなる。
「それに、私はお前らなんかに捕まらないぞ! まだなーんにも悪い事はしてないからな! 山賊と言っても、まだ山賊稼業が成功したこともない、食料奪いにここに来たら、雑魔がいただけで一般人に迷惑は掛けてないんだからな!」
 確かにその通りなのかもしれないが、ハンター達にはかなりの迷惑を掛けているという事を分かっていない。
「ビッグ! ミドル! スモール! 帰るぞ!」
「お嬢! 自分達、縛られています!」
「お嬢! ドSなシスターに縛られました! 変な道に目覚めそうです!」
「お嬢! お嬢も縛られているのに、どうするんですか!」
「気合いと根性で転がるんだよ! ゴロゴロゴロゴロゴロ――……」
 山猫団は寝転がった後、そのまま勢いよく転がっていく。
 呆気にとられたハンター達は、追いかける事も、捕まえる事も馬鹿馬鹿しくて、しばらくその場を動けずにいた。
「……全員、縛られてるのに、どうやって起き上がるんだろう」
 山猫団が転がって去って行って、しばらく経った後、アレンの疑問が静寂に満ちた空間に響いたのだった。

END

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 山猫団を更生させる者
    シン・コウガ(ka0344
    人間(蒼)|18才|男性|猟撃士
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 鎮魂の刃
    足立 真(ka0618
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • 心の友(山猫団認定)
    天川 麗美(ka1355
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • もふもふを愛しもふる者
    ミリア・アンドレッティ(ka1467
    人間(蒼)|12才|女性|魔術師
  • 拓けし世界
    アレン=プレアール(ka1624
    人間(紅)|21才|男性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼相談スレッド
アレン=プレアール(ka1624
人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/08/16 10:12:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/08/11 22:46:38