ゲスト
(ka0000)
黒光りの雑魔
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/08/17 19:00
- 完成日
- 2014/08/22 01:06
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「そろそろ、収穫祭で行う演劇準備を始めないといけないというのに、なんたることじゃ……」
村の長老が絶望した顔色で建物を見つめながら呟いた。
田舎村ではあるが、毎年行われる収穫祭は近隣からも観光客が来る大規模なイベントだ。
最大の見物は、迫力ある演劇で、村人は早い時期から練習に練習を重ねる。
「演劇の内容もまだ決まってないというのに……」
落ち込んだ村長の周囲には数人の村人達が集まって、不安そうに、ある建物を見つめていた。
彼らの視線の先には大きな石造りの蔵があった。かつては、兵士達の物資を保管していた場所であったが、使われなくなってからは、村が管理して使用している。
「まさか、昔に兵士が保管した物が影響して、雑魔がでるなんて」
村人の1人が、青白い顔で口を開く。蔵の2階にある物置の奥には、当時の名残の品がいくつも置いてあったが、なにが置いてあるかまでは、今まで確認していなかった。
収穫祭の準備で、この村人が物置に入った際、奥の方から這い出てくる雑魔と遭遇したのだ。
●
それは……黒かった。6本足で、羽があって、ある意味、良く知った姿形だった。
そう、姿形だけは、よく知っていた。人はそれをゴキブリと呼んでいる。だが、姿形はゴキブリでも、大きさは小さい子供位はあった。
悪い夢でも見ているかと思った程だ。冗談でもそんなに大きいゴキブリがいてたまるものかと。
この村人は、幸いな事に逃げ出せた。そして、蔵の出入り口を、堅く閉ざした。
その後、昔の目録を確認したら、錬金術の失敗により生み出されたゴミが混じっている事がわかった。蔵の管理権が村に移る際のどさくさで忘れされていたようだ。
そのゴミに、蔵に紛れ込んだ1匹のゴキブリが影響を受けて雑魔と化したのではないかと村人達は考え、かつて、蔵を管理していた役人に相談し、とりあえず、役人がゴミを片付けてくれる事になったが、雑魔が退治されるまではやってくれないという。
それでは、収穫祭の準備ができないので、退治をお願いするも、担当部署が違うと断られた。
●
「ハンターオフィスに依頼を出しました。きっと、数日のうちには解決するはずです」
別の村人が長老と、青白い顔の村人を元気付けるように励ます。
きっと、地元のやる気のない役人よりも、ハンターならば、助けてくれるに違いないと信じ、ハンターズソサエティに頼ったのだ。
「そうじゃな……」
長老は、ゴキブリ(の様な雑魔)退治に来てくれるハンターがいるようにと、その場で瞳を閉じて祈った。
全員が俯く。このままでは、演劇の内容も決められないし、道具や衣装も取り出せないので練習もできない。
そんな中、1人の村人が思いついたように提案した。
「そうだ!ハンター達の活躍を演劇にしてみてはどうだろう?」
その台詞に長老を除く、全員がハッとなる。
「それは、妙案だ!」
「退治も演劇の内容も作れるなら、一石二鳥だ」
「台本作りに実際の戦闘を見るのは危なくないか?」
「蔵の中から聞こえる内容で想像するとかどうだ」
「それなら、戦闘の邪魔にならないし、安全だ」
「今年の演劇は盛り上がりそうだな!」
「さっそく、周囲の村々に宣伝に行くか!」
落ち込んでいた村人達が楽しそうに好き勝手な意見を言い合い始める。
そんな、村人達の様子を見て、村長だけは先ほどよりも不安な表情を浮かべるとボソっと呟いた。
「楽観的なお前らのせいで、わしは、ますます不安じゃ……」
「そろそろ、収穫祭で行う演劇準備を始めないといけないというのに、なんたることじゃ……」
村の長老が絶望した顔色で建物を見つめながら呟いた。
田舎村ではあるが、毎年行われる収穫祭は近隣からも観光客が来る大規模なイベントだ。
最大の見物は、迫力ある演劇で、村人は早い時期から練習に練習を重ねる。
「演劇の内容もまだ決まってないというのに……」
落ち込んだ村長の周囲には数人の村人達が集まって、不安そうに、ある建物を見つめていた。
彼らの視線の先には大きな石造りの蔵があった。かつては、兵士達の物資を保管していた場所であったが、使われなくなってからは、村が管理して使用している。
「まさか、昔に兵士が保管した物が影響して、雑魔がでるなんて」
村人の1人が、青白い顔で口を開く。蔵の2階にある物置の奥には、当時の名残の品がいくつも置いてあったが、なにが置いてあるかまでは、今まで確認していなかった。
収穫祭の準備で、この村人が物置に入った際、奥の方から這い出てくる雑魔と遭遇したのだ。
●
それは……黒かった。6本足で、羽があって、ある意味、良く知った姿形だった。
そう、姿形だけは、よく知っていた。人はそれをゴキブリと呼んでいる。だが、姿形はゴキブリでも、大きさは小さい子供位はあった。
悪い夢でも見ているかと思った程だ。冗談でもそんなに大きいゴキブリがいてたまるものかと。
この村人は、幸いな事に逃げ出せた。そして、蔵の出入り口を、堅く閉ざした。
その後、昔の目録を確認したら、錬金術の失敗により生み出されたゴミが混じっている事がわかった。蔵の管理権が村に移る際のどさくさで忘れされていたようだ。
そのゴミに、蔵に紛れ込んだ1匹のゴキブリが影響を受けて雑魔と化したのではないかと村人達は考え、かつて、蔵を管理していた役人に相談し、とりあえず、役人がゴミを片付けてくれる事になったが、雑魔が退治されるまではやってくれないという。
それでは、収穫祭の準備ができないので、退治をお願いするも、担当部署が違うと断られた。
●
「ハンターオフィスに依頼を出しました。きっと、数日のうちには解決するはずです」
別の村人が長老と、青白い顔の村人を元気付けるように励ます。
きっと、地元のやる気のない役人よりも、ハンターならば、助けてくれるに違いないと信じ、ハンターズソサエティに頼ったのだ。
「そうじゃな……」
長老は、ゴキブリ(の様な雑魔)退治に来てくれるハンターがいるようにと、その場で瞳を閉じて祈った。
全員が俯く。このままでは、演劇の内容も決められないし、道具や衣装も取り出せないので練習もできない。
そんな中、1人の村人が思いついたように提案した。
「そうだ!ハンター達の活躍を演劇にしてみてはどうだろう?」
その台詞に長老を除く、全員がハッとなる。
「それは、妙案だ!」
「退治も演劇の内容も作れるなら、一石二鳥だ」
「台本作りに実際の戦闘を見るのは危なくないか?」
「蔵の中から聞こえる内容で想像するとかどうだ」
「それなら、戦闘の邪魔にならないし、安全だ」
「今年の演劇は盛り上がりそうだな!」
「さっそく、周囲の村々に宣伝に行くか!」
落ち込んでいた村人達が楽しそうに好き勝手な意見を言い合い始める。
そんな、村人達の様子を見て、村長だけは先ほどよりも不安な表情を浮かべるとボソっと呟いた。
「楽観的なお前らのせいで、わしは、ますます不安じゃ……」
リプレイ本文
●はじめに
(黒光りする昆虫の名称が、連続して出てくるので、不快な思いをする方がいらっしゃるかもしれず、当リプレイではGと表現しています)
●蔵の前にて
「Gの退治というのに、若い娘さんらばかりで……」
挨拶に来たハンター達を見て、長老が不安そうな表情を浮かべた。
パッと見、筋肉隆々の男1人に、残り5人は10代の女の子に見える。
「もう大丈夫なのよ! 任せて!」
メーナ(ka1713)が自信有り気に宣言する。
その横から、アイ・シャ(ka2762)が長老に質問をした。
「蔵の中の照明置場の位置と戦闘時における注意事項ありますか?」
続けて、十文字 勇人(ka2839)が、その体格に見合うようなぶっきらぼうな言い方で、
「2階への階段はどこだ?」
と訊く。
長老は2人の質問に、頷きながら答えた。
「照明置場は壁沿いに等間隔に並んでおる。蔵の壁は特殊な作りでな、照明が1か所でも明るいのじゃが、衝撃に弱くてな。できれば、傷つかない様にして欲しいのじゃ」
『わかりました。気をつけます』と文章を書いた紙を長老に見せたのは、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)だ。彼女は後天性聴唖者だ。筆談や単語カード等で伝えたい言葉を表現する。
「2階へと続く階段は正面奥じゃ。では、ハンターの皆様方、頼みましたぞ」
長老の言葉と同時に、蔵の入口が静かに開け始めた。
周囲には、ノートやスケッチブック、筆記用具等を持った村人達が期待の眼差しをハンター達に向ける。
戦いを蔵の外から音だけ聞いて、収穫祭で行われる演劇の台本作りに活かすという。
(芸能一家に生まれた者として期待には応えないとね。ちょっとそれらしくしてみようか)
天竜寺 詩(ka0396)が、村人達の様子を見ながら、そう思った。
そんな村人達の何名かは、なにか、ヒソヒソと相談している。
「可愛い女の子5人もいたら、演じる人が村にいねぇぞ」
「まったくだ。どうするべか」
自分の事は女の子に数えられていると燈京 紫月(ka0658)は思ったが、気が弱い性格が災いして、指摘する機会を失ったまま、蔵の中へと入っていった。
●G型雑魔の脅威
蔵の戸が閉まるか閉まらないかというタイミングで、メーナが灯りの魔法を使用した。Gを叩く気でいたのだろうか、手に持っているハリセンが光りだす。
天竜寺も同様の魔法を使う。
「我が武器に宿れ、精霊の光!」
芝居がかった声で呪文を言ってみせた。
二人の灯りで、部屋の隅に黒いGが浮かび上がる。
手筈通り、一斉に全員が動いた。
蔵の戸が開く際に、Gが飛び出て来てはと緊張したアイシャは、ホッとしながら、瞬く間に、壁に照明を設置した。
メーナは別の場所に照明を置くべく移動する。
天竜寺が、ジリジリとGへの距離を詰ると、壁際を十文字が走る。彼は階段下にてGの逃げ場を封じるつもりなのだ。
鋭い風がGに向かって吹き突けた。エヴァが魔法を使用したのだ。しかし、Gはカサっと移動して逃れる。その動きは、燈京が放った矢からも逃れる事になった。
当たらなかった魔法と矢が壁にぶつかるが、壁へのダメージは特には影響はないようだ。
一方Gはハンター達の様子を見ているのが、それ以上の動きを見せない。
それはそれで不気味ではあるが。
「何これ、こんな大きいの? 気持ち悪いよ~」
近寄って改めて見た、G型の雑魔の大きさに、天竜寺がそんな感想を漏らす。
「そ、その大きさのGは、その……あんまり見たくないですね」
燈京も同感のようだ。
十文字が階段下に移動した。これで、Gの逃げ場を封じたはずだ。
アイシャが、外を意識してのつもりなのか、気合いの掛け声と共にGとの間を一気に詰めて、斬りつけに行く。
「喰らえ! 破壊の一撃!」
天竜寺の芝居がかった攻撃。
2人からの攻撃を避けようとするGに燈京が牽制の矢を放つ。
わずかに動きが止まったGに二人の攻撃が当たったが、深手ではないようだ。
(触覚を狙って……)
エヴァが再度、風の魔法を使用する。生態が同じとは限らないが、触角にダメージを与えるのは有効かもしれない。
魔法が効いたようで、緑色した液体がGの傷口から飛び散る。
突如として、Gが羽を広げて飛翔した。
羽音はなく、子供位の大きさがある巨大な虫がサーと飛ぶのだ。
「飛んだー! ちょ、こっちこないでー!」
メーナに目がけて飛んだGは、途中で方向を変えた。その先には、魔法を当てたエヴァがいる。
エヴァは、数歩、後ずさるが、そのおかげで、覆いかぶさる様に降りてきたGを避ける事ができた。
「エ、エヴァさん!」
慌てたのは、接敵されたエヴァではなく、燈京だった。予想を越える、想像以上の素早さだ。Gの注意を引くために、エヴァとGの間の床に向かって矢を放った。
感謝を込めて、エヴァは、燈京にウィンクをした。そして、土鎧の魔法を自分に使用する。
狙われている自分が逃げると、Gが追いかけてきてしまうのではないかと判断したからだ。
「あの大きさとスピードは反則なのよ……」
メーナが呟きながら、壁に照明を設置した。
アイシャと天竜寺がGに追いつく。
燈京が弓を引き絞りながら、狙いをつける。後衛が接敵された以上、牽制している場合ではない。
十分に狙いをつけて放たれた矢は、Gの胴体に深く突き刺さった。
「や、やりま……ひぇ!」
Gは次の目標を燈京に定めたようだ。羽ばたくと空中を走る様に、燈京へ突撃してきた。
かわしきれず、燈京の右肩にGがぶつかった。
「癒しの光あれ!」
天竜寺が回復魔法を燈京に使用する。
アイシャが、間合いを一瞬で詰め、Gに斬りつけた。エヴァが風魔法を使う。
ここに来て、さしものGも不利を悟り、2階へと続く階段に頭を向けると、腹と背中を横に向けて体の右側の脚だけで立ちあがった。
「えぇぇぇ!」
「いやぁぁぁぁ!」
天竜寺とメーナが驚きの声をあげる。
彼女らからは、Gの蠢めいている腹側が直で見えるのだ。想像絶する気持ち悪さだっただろう。
「冗談ではないですわ……この様に、立つだなんて……」
アイシャは、怖いわけではないが、顔を引き攣らせながら絶句した。
Gが後ろ足で立ちあがる事は考えてみたが、このGは、予想を斜め上に覆してくれた。
エヴァは異様の光景を目に焼き付けている様だ。きっと、初めてみるGの行動に違いない。
「う、うぅ……」
燈京が自身でも回復魔法を使う。若干、涙目なのは、痛みからなのか、それとも、Gが怖いのか。
Gが逃走する。その速さは、飛ぶ速さよりも速い。
2階へと逃げ込むつもりなのだろう。
だが、その前に、十文字が不敵な笑みを浮かべて立ちはだかる。
「平穏を乱す歪虚よ、私達の鉄槌を受けてみろ!」
用意していた言葉を叫び、拳を構える。そこへGが体当たりしてきた。
激しい衝撃音と気合いの叫び声が、蔵に響き渡る。
十文字がGの突進を胴体と左腕で受け止めながら、右拳をGに叩きこんだのだ。
押さえつけられたGは、体中から酸を振りまいた。十文字はあちこちから火傷の様な痛みを感じたが、押さえつけている左手は離さない。
「私のパンチを受けてみろ!」
再度、右拳でGを殴る。上手く体重を乗せられないが、強烈な一撃だ。
殴った衝撃で、Gの傷口から体液かなにかが飛び散る。
天竜寺とメーナが回復魔法を、エヴァが土鎧の魔法を、十文字に使用した。
アイシャはGを背後から切りつける為に位置に移動する。
「え、えと……じゅ、十文字さん、頑張って下さい!」
十文字とGは組み合っている様な状態なので、弓矢が打ちにくい燈京は、大きな声で声援を送った。
Gは空いている左側の脚を器用に振ると、シャキンと音と共に、長い爪が現れた。その行動は、もはや、Gではない。確かに雑魔だ。
長く鋭い爪を振り回し、十文字を切り裂くが、それでも、彼は押さえつけている左手を離さない。
仲間に雑魔の汁がかかってしまってはいけないという優しさからか、掴んでいる方が確実に殴れるという考えか、どちらかは彼のみぞ知る事ではあるが。
「いい加減にしなさい!」
アイシャが背後から切りつける。返り血を浴びない様に、素早く翻る。
(この状態なら、はずさない)
エヴァが魔法を使用する。燃える炎の矢が、雑魔に直撃した。
雄たけびと共に、十文字が三回目の拳を雑魔に叩きこむ。
さすがのG型雑魔も、力尽き、蔵の床に倒れこんだ。
ボロボロに崩れていく雑魔を見届けると、全員が一斉にため息をついた。
「魔に魅入られし、哀れな命よ。安らぎあれ」
天竜寺は鎮魂歌を歌うつもりだったが、思っていた以上の戦いで、出だしの歌詞しか出てこなかった。
ひとまず、雑魔の退治は終わったのだ。
●戦いを終えて
念の為、2階に雑魔がいない事を確認してから、メーナは持参した毛布を、十文字に渡す。
雑魔の体液かなにかまみれになっていた十文字は、ベタベタになったハンカチを捨てると、その毛布で乱暴にふき取る。
燈京が背中まで飛びついた汁をなにか白い布でふき取っていた。
エヴァは戦闘によって壁が破損していないか、確認しながら、汚れを掃除している。
「雑魔を退治しました。開けて大丈夫です」
アイシャが蔵の戸に向かって伝えると、静かに戸が開いた。
村人達が中がどうなっているのだろうと大勢待ち構えている。
彼らは、戦闘中、ずっと蔵の外で戦いを見守っていたのだ。いや、見ていないから、聞き守っていたというべきか。
それはそれで、疲れるだろうとアイシャは思った。
「ほら、見ろ! 予想通りだべ」
「俺はてっきり、髪の長いエルフっ娘だと思ったんだがなぁ~」
「やっぱり、その娘だったか~。悔しいなぁ~」
何の話かわからない村人達の会話を聞いて、アイシャは心の中で一瞬でも村人達へ労った事を後悔した。
「う、うぅ……村人さんに変な誤解をされてないか心配ですよぅ」
村人達の視線を感じながら、燈京が涙目で呟いた。
●演劇
現役美少女ハンター監修!
芸術系ギルド全面協力!
実際にあったハンターと歪虚との死闘を題材にしたスペクタル巨編!
そんな宣伝が出回ったせいか、収穫祭最大の目玉である演劇は始まる前から噂になるほどだった。
今日はその劇を、宣伝目的で収穫祭前に特別に行われる事になり、6人も招待されたのだ。
『きっと、良い出来ですよ』
エヴァが爽やかな笑顔と共に台詞が書いたボードを仲間に見せる。
「そうよ、だって、私も少し手伝ったんだから~」
天竜寺が自信満々な表情を浮かべて言った台詞と共に、劇場の幕が上がった。
舞台に上がってきたのは1人の大男。
「私は平凡な一般市民。だが、実は……」
効果音と共に、白い煙が包み込む。煙が晴れるとそこには、先程の大男が衣装チェンジした姿で立っていた。
「青き星からやってきた! 正義のヒーローだ!」
拳を高く突き上げると、そのまま、観客席を見渡す。
「ある村で雑魔が出現し、ポテトチップスと魚の干物を喰い尽しているという……。俺は、そいつを倒す!」
その姿に、十文字が感嘆の声をあげた。
エヴァとメーナの2人がお互い目を合わせた。2人がGを誘き出す事があればと、当日、持って来ていた食べ物だったからだ。
「待ってくださいぃ!」
中性的な声。1人のメイド姿の女性が駆け出てきた。
たまたま飲み物を口につけようとしていた燈京が驚く。自分が持っている女装用の衣服とデザインが似ていた。
「また、行ってしまうというのですか」
「許せ……これは、俺の宿命なのだ」
芝居がかった台詞の応酬の末、立ち去る大男。
「そんな、私はどうすれば……」
そこに、4人の女性が現れた。うち、2名はエルフをイメージしてか、付け耳をしている。
「大丈夫よ」
「私達がいるじゃない」
「皆で、一緒に戦いましょう」
「そうよ、私達は……」
ニヤリと笑った女性。一呼吸をおいて、全員が同じ台詞を叫ぶ。
「美少女戦隊ハンターガールズなんだから!」
そして、大男を追う様に駆け出して、場面転換となった。
アイシャが目をパチクリしている。想像していたものと全然違ったようだ。
「あの……私の気のせいじゃないかと思いますが、燈京様、ヒロイン枠になっていませんか?」
まったくもってその通り過ぎて、誰も否定できなかった。
「燈京、女の子から見ても、すっごく可愛いしね」
グッと親指を立てたのはメーナだ。横から天竜寺が「料理も上手よ」と補足する。そのまた横のエヴァも頷いている。
七夕祭りや交流会で料理の腕前を披露した事があるらしい。
そして、当の燈京はプルプルと震えていた。
「や、やっぱり、変な誤解されてますよー」
今更、台本に注文をつけても、台本の変更はあり得ないだろう。
一方、十文字は満足そうだった。
「あの衣装、なかなか良く出来ているじゃないか。劇が終わったら譲ってもらえるだろうか」
今までの話の流れをぶった切る十文字の台詞。
正義のヒーローの衣装が気に入った様子だ。
場面転換がなされ、劇の話は進む。
リアルなGの着ぐるみを着たのが四つん這いで出てきて、その大きさに気味悪がったり。
Gがワイヤーアクションで飛んでみたり。
「あの大きさには驚いた~」
「うん。私も向かって来た時はどうしようかと」
天竜寺とメーナが思い出す様にそんな感想を述べる。
そして、悲鳴をあげるハンターガールズの面々。それでも、強気の姿勢を見せ、威勢の良い台詞を言いながら、ハリセンでGを叩く。
Gと女性の追い駆けっこは、いつの間にかに、Gが2足歩行で走っていた。
『Gのお腹って、どうなっていたの?』
エヴァが興味津々な表情で、天竜寺とメーナに訊ねるが、2人とも慌てて首を横に振りながら言った。
「あ、あれは、ダメ~!」
台詞も被る。よっぽど、凄かったのだろう。
エルフの女性役にGが覆いかぶさっ……たと思ったら、掛け声と共に、投げ飛ばす。
「最初に、気合いを入れ過ぎたのかしら」
アイシャは戦闘開始早々の攻撃を思い出す。実際は斬り付けたのだが、村人は投げ飛ばしたと思っているようだ。
大男とGが組み合いを始めたり。
大男が倒されそうな所で、メイド姿の女性が声援を送ってみたり。
「あぁ……確かに、僕、応援したかも」
誤解を生んだ原因の一つを自分で知らない間に作っていたのだと燈京は思って、思わず、頭を抱えたくなった。
そして、最後には巨大化したGを、全員が掛け声と共に一斉に攻撃して倒したのだった。
「なかなか、いい話にまとまったな」
幕が下りた舞台を見て、十文字が最後を締めくくる様に言った。
こうして、今年の収穫祭の演劇は例年よりも大いに盛り上がったという。
村では来年もぜひハンターの戦いを題材にした劇をしようと話があがり、その為に、如何にしてハンターを呼ぶかという騒動になるのだが、それはまた別の話である。
おしまい。
(黒光りする昆虫の名称が、連続して出てくるので、不快な思いをする方がいらっしゃるかもしれず、当リプレイではGと表現しています)
●蔵の前にて
「Gの退治というのに、若い娘さんらばかりで……」
挨拶に来たハンター達を見て、長老が不安そうな表情を浮かべた。
パッと見、筋肉隆々の男1人に、残り5人は10代の女の子に見える。
「もう大丈夫なのよ! 任せて!」
メーナ(ka1713)が自信有り気に宣言する。
その横から、アイ・シャ(ka2762)が長老に質問をした。
「蔵の中の照明置場の位置と戦闘時における注意事項ありますか?」
続けて、十文字 勇人(ka2839)が、その体格に見合うようなぶっきらぼうな言い方で、
「2階への階段はどこだ?」
と訊く。
長老は2人の質問に、頷きながら答えた。
「照明置場は壁沿いに等間隔に並んでおる。蔵の壁は特殊な作りでな、照明が1か所でも明るいのじゃが、衝撃に弱くてな。できれば、傷つかない様にして欲しいのじゃ」
『わかりました。気をつけます』と文章を書いた紙を長老に見せたのは、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)だ。彼女は後天性聴唖者だ。筆談や単語カード等で伝えたい言葉を表現する。
「2階へと続く階段は正面奥じゃ。では、ハンターの皆様方、頼みましたぞ」
長老の言葉と同時に、蔵の入口が静かに開け始めた。
周囲には、ノートやスケッチブック、筆記用具等を持った村人達が期待の眼差しをハンター達に向ける。
戦いを蔵の外から音だけ聞いて、収穫祭で行われる演劇の台本作りに活かすという。
(芸能一家に生まれた者として期待には応えないとね。ちょっとそれらしくしてみようか)
天竜寺 詩(ka0396)が、村人達の様子を見ながら、そう思った。
そんな村人達の何名かは、なにか、ヒソヒソと相談している。
「可愛い女の子5人もいたら、演じる人が村にいねぇぞ」
「まったくだ。どうするべか」
自分の事は女の子に数えられていると燈京 紫月(ka0658)は思ったが、気が弱い性格が災いして、指摘する機会を失ったまま、蔵の中へと入っていった。
●G型雑魔の脅威
蔵の戸が閉まるか閉まらないかというタイミングで、メーナが灯りの魔法を使用した。Gを叩く気でいたのだろうか、手に持っているハリセンが光りだす。
天竜寺も同様の魔法を使う。
「我が武器に宿れ、精霊の光!」
芝居がかった声で呪文を言ってみせた。
二人の灯りで、部屋の隅に黒いGが浮かび上がる。
手筈通り、一斉に全員が動いた。
蔵の戸が開く際に、Gが飛び出て来てはと緊張したアイシャは、ホッとしながら、瞬く間に、壁に照明を設置した。
メーナは別の場所に照明を置くべく移動する。
天竜寺が、ジリジリとGへの距離を詰ると、壁際を十文字が走る。彼は階段下にてGの逃げ場を封じるつもりなのだ。
鋭い風がGに向かって吹き突けた。エヴァが魔法を使用したのだ。しかし、Gはカサっと移動して逃れる。その動きは、燈京が放った矢からも逃れる事になった。
当たらなかった魔法と矢が壁にぶつかるが、壁へのダメージは特には影響はないようだ。
一方Gはハンター達の様子を見ているのが、それ以上の動きを見せない。
それはそれで不気味ではあるが。
「何これ、こんな大きいの? 気持ち悪いよ~」
近寄って改めて見た、G型の雑魔の大きさに、天竜寺がそんな感想を漏らす。
「そ、その大きさのGは、その……あんまり見たくないですね」
燈京も同感のようだ。
十文字が階段下に移動した。これで、Gの逃げ場を封じたはずだ。
アイシャが、外を意識してのつもりなのか、気合いの掛け声と共にGとの間を一気に詰めて、斬りつけに行く。
「喰らえ! 破壊の一撃!」
天竜寺の芝居がかった攻撃。
2人からの攻撃を避けようとするGに燈京が牽制の矢を放つ。
わずかに動きが止まったGに二人の攻撃が当たったが、深手ではないようだ。
(触覚を狙って……)
エヴァが再度、風の魔法を使用する。生態が同じとは限らないが、触角にダメージを与えるのは有効かもしれない。
魔法が効いたようで、緑色した液体がGの傷口から飛び散る。
突如として、Gが羽を広げて飛翔した。
羽音はなく、子供位の大きさがある巨大な虫がサーと飛ぶのだ。
「飛んだー! ちょ、こっちこないでー!」
メーナに目がけて飛んだGは、途中で方向を変えた。その先には、魔法を当てたエヴァがいる。
エヴァは、数歩、後ずさるが、そのおかげで、覆いかぶさる様に降りてきたGを避ける事ができた。
「エ、エヴァさん!」
慌てたのは、接敵されたエヴァではなく、燈京だった。予想を越える、想像以上の素早さだ。Gの注意を引くために、エヴァとGの間の床に向かって矢を放った。
感謝を込めて、エヴァは、燈京にウィンクをした。そして、土鎧の魔法を自分に使用する。
狙われている自分が逃げると、Gが追いかけてきてしまうのではないかと判断したからだ。
「あの大きさとスピードは反則なのよ……」
メーナが呟きながら、壁に照明を設置した。
アイシャと天竜寺がGに追いつく。
燈京が弓を引き絞りながら、狙いをつける。後衛が接敵された以上、牽制している場合ではない。
十分に狙いをつけて放たれた矢は、Gの胴体に深く突き刺さった。
「や、やりま……ひぇ!」
Gは次の目標を燈京に定めたようだ。羽ばたくと空中を走る様に、燈京へ突撃してきた。
かわしきれず、燈京の右肩にGがぶつかった。
「癒しの光あれ!」
天竜寺が回復魔法を燈京に使用する。
アイシャが、間合いを一瞬で詰め、Gに斬りつけた。エヴァが風魔法を使う。
ここに来て、さしものGも不利を悟り、2階へと続く階段に頭を向けると、腹と背中を横に向けて体の右側の脚だけで立ちあがった。
「えぇぇぇ!」
「いやぁぁぁぁ!」
天竜寺とメーナが驚きの声をあげる。
彼女らからは、Gの蠢めいている腹側が直で見えるのだ。想像絶する気持ち悪さだっただろう。
「冗談ではないですわ……この様に、立つだなんて……」
アイシャは、怖いわけではないが、顔を引き攣らせながら絶句した。
Gが後ろ足で立ちあがる事は考えてみたが、このGは、予想を斜め上に覆してくれた。
エヴァは異様の光景を目に焼き付けている様だ。きっと、初めてみるGの行動に違いない。
「う、うぅ……」
燈京が自身でも回復魔法を使う。若干、涙目なのは、痛みからなのか、それとも、Gが怖いのか。
Gが逃走する。その速さは、飛ぶ速さよりも速い。
2階へと逃げ込むつもりなのだろう。
だが、その前に、十文字が不敵な笑みを浮かべて立ちはだかる。
「平穏を乱す歪虚よ、私達の鉄槌を受けてみろ!」
用意していた言葉を叫び、拳を構える。そこへGが体当たりしてきた。
激しい衝撃音と気合いの叫び声が、蔵に響き渡る。
十文字がGの突進を胴体と左腕で受け止めながら、右拳をGに叩きこんだのだ。
押さえつけられたGは、体中から酸を振りまいた。十文字はあちこちから火傷の様な痛みを感じたが、押さえつけている左手は離さない。
「私のパンチを受けてみろ!」
再度、右拳でGを殴る。上手く体重を乗せられないが、強烈な一撃だ。
殴った衝撃で、Gの傷口から体液かなにかが飛び散る。
天竜寺とメーナが回復魔法を、エヴァが土鎧の魔法を、十文字に使用した。
アイシャはGを背後から切りつける為に位置に移動する。
「え、えと……じゅ、十文字さん、頑張って下さい!」
十文字とGは組み合っている様な状態なので、弓矢が打ちにくい燈京は、大きな声で声援を送った。
Gは空いている左側の脚を器用に振ると、シャキンと音と共に、長い爪が現れた。その行動は、もはや、Gではない。確かに雑魔だ。
長く鋭い爪を振り回し、十文字を切り裂くが、それでも、彼は押さえつけている左手を離さない。
仲間に雑魔の汁がかかってしまってはいけないという優しさからか、掴んでいる方が確実に殴れるという考えか、どちらかは彼のみぞ知る事ではあるが。
「いい加減にしなさい!」
アイシャが背後から切りつける。返り血を浴びない様に、素早く翻る。
(この状態なら、はずさない)
エヴァが魔法を使用する。燃える炎の矢が、雑魔に直撃した。
雄たけびと共に、十文字が三回目の拳を雑魔に叩きこむ。
さすがのG型雑魔も、力尽き、蔵の床に倒れこんだ。
ボロボロに崩れていく雑魔を見届けると、全員が一斉にため息をついた。
「魔に魅入られし、哀れな命よ。安らぎあれ」
天竜寺は鎮魂歌を歌うつもりだったが、思っていた以上の戦いで、出だしの歌詞しか出てこなかった。
ひとまず、雑魔の退治は終わったのだ。
●戦いを終えて
念の為、2階に雑魔がいない事を確認してから、メーナは持参した毛布を、十文字に渡す。
雑魔の体液かなにかまみれになっていた十文字は、ベタベタになったハンカチを捨てると、その毛布で乱暴にふき取る。
燈京が背中まで飛びついた汁をなにか白い布でふき取っていた。
エヴァは戦闘によって壁が破損していないか、確認しながら、汚れを掃除している。
「雑魔を退治しました。開けて大丈夫です」
アイシャが蔵の戸に向かって伝えると、静かに戸が開いた。
村人達が中がどうなっているのだろうと大勢待ち構えている。
彼らは、戦闘中、ずっと蔵の外で戦いを見守っていたのだ。いや、見ていないから、聞き守っていたというべきか。
それはそれで、疲れるだろうとアイシャは思った。
「ほら、見ろ! 予想通りだべ」
「俺はてっきり、髪の長いエルフっ娘だと思ったんだがなぁ~」
「やっぱり、その娘だったか~。悔しいなぁ~」
何の話かわからない村人達の会話を聞いて、アイシャは心の中で一瞬でも村人達へ労った事を後悔した。
「う、うぅ……村人さんに変な誤解をされてないか心配ですよぅ」
村人達の視線を感じながら、燈京が涙目で呟いた。
●演劇
現役美少女ハンター監修!
芸術系ギルド全面協力!
実際にあったハンターと歪虚との死闘を題材にしたスペクタル巨編!
そんな宣伝が出回ったせいか、収穫祭最大の目玉である演劇は始まる前から噂になるほどだった。
今日はその劇を、宣伝目的で収穫祭前に特別に行われる事になり、6人も招待されたのだ。
『きっと、良い出来ですよ』
エヴァが爽やかな笑顔と共に台詞が書いたボードを仲間に見せる。
「そうよ、だって、私も少し手伝ったんだから~」
天竜寺が自信満々な表情を浮かべて言った台詞と共に、劇場の幕が上がった。
舞台に上がってきたのは1人の大男。
「私は平凡な一般市民。だが、実は……」
効果音と共に、白い煙が包み込む。煙が晴れるとそこには、先程の大男が衣装チェンジした姿で立っていた。
「青き星からやってきた! 正義のヒーローだ!」
拳を高く突き上げると、そのまま、観客席を見渡す。
「ある村で雑魔が出現し、ポテトチップスと魚の干物を喰い尽しているという……。俺は、そいつを倒す!」
その姿に、十文字が感嘆の声をあげた。
エヴァとメーナの2人がお互い目を合わせた。2人がGを誘き出す事があればと、当日、持って来ていた食べ物だったからだ。
「待ってくださいぃ!」
中性的な声。1人のメイド姿の女性が駆け出てきた。
たまたま飲み物を口につけようとしていた燈京が驚く。自分が持っている女装用の衣服とデザインが似ていた。
「また、行ってしまうというのですか」
「許せ……これは、俺の宿命なのだ」
芝居がかった台詞の応酬の末、立ち去る大男。
「そんな、私はどうすれば……」
そこに、4人の女性が現れた。うち、2名はエルフをイメージしてか、付け耳をしている。
「大丈夫よ」
「私達がいるじゃない」
「皆で、一緒に戦いましょう」
「そうよ、私達は……」
ニヤリと笑った女性。一呼吸をおいて、全員が同じ台詞を叫ぶ。
「美少女戦隊ハンターガールズなんだから!」
そして、大男を追う様に駆け出して、場面転換となった。
アイシャが目をパチクリしている。想像していたものと全然違ったようだ。
「あの……私の気のせいじゃないかと思いますが、燈京様、ヒロイン枠になっていませんか?」
まったくもってその通り過ぎて、誰も否定できなかった。
「燈京、女の子から見ても、すっごく可愛いしね」
グッと親指を立てたのはメーナだ。横から天竜寺が「料理も上手よ」と補足する。そのまた横のエヴァも頷いている。
七夕祭りや交流会で料理の腕前を披露した事があるらしい。
そして、当の燈京はプルプルと震えていた。
「や、やっぱり、変な誤解されてますよー」
今更、台本に注文をつけても、台本の変更はあり得ないだろう。
一方、十文字は満足そうだった。
「あの衣装、なかなか良く出来ているじゃないか。劇が終わったら譲ってもらえるだろうか」
今までの話の流れをぶった切る十文字の台詞。
正義のヒーローの衣装が気に入った様子だ。
場面転換がなされ、劇の話は進む。
リアルなGの着ぐるみを着たのが四つん這いで出てきて、その大きさに気味悪がったり。
Gがワイヤーアクションで飛んでみたり。
「あの大きさには驚いた~」
「うん。私も向かって来た時はどうしようかと」
天竜寺とメーナが思い出す様にそんな感想を述べる。
そして、悲鳴をあげるハンターガールズの面々。それでも、強気の姿勢を見せ、威勢の良い台詞を言いながら、ハリセンでGを叩く。
Gと女性の追い駆けっこは、いつの間にかに、Gが2足歩行で走っていた。
『Gのお腹って、どうなっていたの?』
エヴァが興味津々な表情で、天竜寺とメーナに訊ねるが、2人とも慌てて首を横に振りながら言った。
「あ、あれは、ダメ~!」
台詞も被る。よっぽど、凄かったのだろう。
エルフの女性役にGが覆いかぶさっ……たと思ったら、掛け声と共に、投げ飛ばす。
「最初に、気合いを入れ過ぎたのかしら」
アイシャは戦闘開始早々の攻撃を思い出す。実際は斬り付けたのだが、村人は投げ飛ばしたと思っているようだ。
大男とGが組み合いを始めたり。
大男が倒されそうな所で、メイド姿の女性が声援を送ってみたり。
「あぁ……確かに、僕、応援したかも」
誤解を生んだ原因の一つを自分で知らない間に作っていたのだと燈京は思って、思わず、頭を抱えたくなった。
そして、最後には巨大化したGを、全員が掛け声と共に一斉に攻撃して倒したのだった。
「なかなか、いい話にまとまったな」
幕が下りた舞台を見て、十文字が最後を締めくくる様に言った。
こうして、今年の収穫祭の演劇は例年よりも大いに盛り上がったという。
村では来年もぜひハンターの戦いを題材にした劇をしようと話があがり、その為に、如何にしてハンターを呼ぶかという騒動になるのだが、それはまた別の話である。
おしまい。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/14 16:43:16 |
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作戦相談所 アイ・シャ(ka2762) エルフ|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/08/17 17:55:45 |