真冬のミステリーツアー 幽霊仕立て

マスター:紡花雪

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/02/24 09:00
完成日
2016/03/04 01:48

みんなの思い出

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オープニング

●ミステリーツアーの裏側
「――幽霊が出るんです」
 『タディッリ旅行社』――という名前が入った名刺を取り出した男が言った。その顔は、疲労と恐怖で青ざめている。
 雪の散らつく午後、ハンターオフィスでのことだった。
 名刺に保全管理係長の肩書きを持つオスコ氏によると、タディッリ旅行社は港湾都市「ポルトワール」に事務所を構え、主に自由都市同盟領での宿泊や観光を案内する小さな観光会社だという。この旅行社が大手他社と違うのは、地域密着型の観光に特化しているところらしい。
「ええとですね、わたくしどものほうで同盟領内の観光物件と専属契約をさせていただいておりまして、そのひとつがこの『真夏の夜のミステリーツアー~~幽霊伝説の館へようこそ』という人気企画の物件なんです」
 オスコ氏が取り出したのは、タディッリ旅行社の旅行案内パンフレットである。
 その説明書きによると、こうだ。
『その村の丘の上に立つ館には、悲しき幽霊の伝説がある――。その昔、政争に敗れ落ち延びた貴族一家が相次いで謎の死を遂げた。結婚したばかりの若い後妻を喪った当主は悲しみのあまり禁じられた魔術に手を出し、そして幽霊となって夜毎館の中を徘徊しているという。彼は今でも、妻に贈るはずだった品々をその手に取り戻すため、館の中を探し回っているのだ。『真珠の首飾り』、『青いドレス』、そして『家紋入りの香水瓶』……それらが見つかったとき、彼の魂はようやく旅立てるのだろうか。それは、あなた自身で確かめてほしい』
 要は、旅行社によって多少なりとも演出された、肝試しツアーである。だがここで、旅行案内の季節が今にそぐわないことに気が付く。
「あ……この物件はですね、夏しか使えないんです。秋になると急に温度が下がる地域なもので、今の季節は保全管理係で館の修繕や安全点検を手配するくらいしか用事がなくてですね」
 ミステリーツアー用の物件であるため、館には人為的な古色が施されて廃墟のようになってはいるが、実際にはしっかりと安全面に配慮された造りに改装してあるらしい。誇らしげに語ったあと、オスコ氏は「それなのに」と続けて表情を翳らせた。
「――出たんです、ご当主の幽霊が」
 発端は、近隣の村からの苦情だったようだ。
 『夏だけの使用だと聞いていたのに、今もツアーをやっているのか。庭から煙が出ていたぞ。ああ、暖炉の煙突からも煙が出ていたな。それに、不気味な音楽や低い唸り声も聴こえきて迷惑している』
 なお、煙たさに怒った村人が塀の外から何度か怒鳴りつけたところ、慌てて火を消す気配があったという。連絡を受けたオスコ氏が慌てて現地へ行ってみたところ、本当に館の窓に映る人影と蝋燭の灯りを見てしまったのだ。それで慌てて、ハンターオフィスに駆け込んだのである。
「現在の所有者の方や近隣の村長さんにも確認してはみたんですが、我が社に任せきりでよくわからない、こちらで対処してほしいとのことでして……。それに、幽霊伝説といっても、近隣の村でそういう噂になっているだけで、実際は館のご当主が長患いの末に亡くなられただけなんです。先妻との間に生まれたお嬢様は遠くに駆け落ちされ、ご当主の弟君は館の庭で足を折ったらしいのですが、治療のためにヴァリオスに行かれてそれっきり。もともと、寒い気候がお嫌いだったようです。そしてご当主の二番目の奥様も、不便な山暮らしに嫌気がさして出て行かれただけなんです。現在の所有者は、ご当主の弟君のお孫さんにあたる方なので、話に間違いはないかと。ご当主の余生は、それは寂しいものだったと思いますが、何も幽霊になるほどのことではないはずなんです……。なのに、どうしてでしょう? もし幽霊でないなら、勝手に棲みついている人がいるわけですし、それだと我々は困ります。ですから、ハンターの方々に調べていただきたいんです」
 本当に幽霊なのか、それとも勝手に棲みついた誰かの仕業なのか、その答えはハンターたちの調査に委ねられた――。

リプレイ本文

●森の向こうの館
 風は弱いが、冷たい。
 よく晴れていて、空気がとても乾燥している。空に雪雲はなく、雪は降らなくとも体温がどんどん奪われていくような気候だ。
 ハンターたちは、森の向こうの丘にミステリーツアーの舞台となる古い館を見ていた。森は深いものではなく、近隣の村人が自由に出入りして、幽霊館の傍まで木の実やきのこ類を採りにいくのが日常的だという。この森を抜けると、館の裏庭側に出るようだ。村への配慮としてツアー客を乗せた馬車は森を迂回して館の正面に向かうが、今回は村人とオスコ氏の案内で森を抜けていくこととなった。
 森の中を歩く一行の話題は、自然と館の幽霊伝説に及ぶ。
「――慌てて火を消す幽霊がいて堪るもんか」
 皆が頷く言葉をまず放ったのは、パイプを手で弄んでは咥える青年、エアルドフリス(ka1856)だ。彼は事前にオスコ氏に館の見取り図と備品のリストを頼んでおり、受け取ったそれを眠たげな目で眺めている。
「アレが幽霊館カイ? 楽しみなんダヨー!」
 木々の合間から見える館を指差し、アルヴィン = オールドリッチ(ka2378)が独特な節回しで楽しそうな声を上げた。気分はすでにミステリーツアーの中にあるようで、仲間たちとの連絡手段であるトランシーバーをしっかりとその手に準備している。
「いくつか、不明瞭なところを明らかにしておきたい」
 重厚な口調でオスコ氏と案内の村人に向き合ったのは、黒髪の青年、久延毘 大二郎(ka1771)である。彼には、状況把握のために質問しておきたいことがいくつかあるようだ。
「幽霊じゃないとすればなんだろう……でも歪虚じゃなさそう。動物? 灯りを使うなんて、人しか考えられないね」
 少女のような顔立ちをした緑髪の少年、ルーエル・ゼクシディア(ka2473)が高めの声で呟いた。彼は、タディッリ旅行社のパンフレットとメモ紙を手にして、ワクワクしている様子だ。
「僕は、オバケとか信じてないからね。同盟は地元だし、それに探し物の品々が気になっただけだよ」
 港湾都市「ポルトワール」の軍人家系の出身であるエリオ・アスコリ(ka5928)は、理知的な響きで言った。彼はどうやら、ミステリーツアーの『宝探し』の物品に興味があるようだ。
「大方、不法に侵入した何者かの仕業でしょうから、捕えてお話を伺いませんと」
 気高く堂々とした立ち居振る舞いが印象的な若い女性、金鹿(ka5959)は、幽霊の正体について推測しながらも、亡くなった当主の悲しみも慮っていた。
 幽霊伝説の館が眼前に迫っている。館に踏み入る前に、ハンターたちは取り急ぎ情報収集とそのとりまとめをする必要があった。
 まずエアルドフリスと金鹿が気になったのは、パンフレットに記載されていた『禁じられた魔術』についてである。館の当主が怪しい組織に関わっていたのか、それともただの噂なのか。これについてはオスコ氏から、晩年の当主は占いに傾倒しており、何人もの占い師が館に出入りしていたことが噂の原因なのではと明かされた。
 そして大二郎は、最後に安全点検が実施された時期とその時の様子をオスコ氏に尋ねた。
「そうですね……館の安全点検は、5ヶ月前です。ですが、清掃係が1ヶ月前に入っています。その時点ではこれといって問題はなかったようです」
 手元の手帳をめくりながら、オスコ氏が答える。次いで、庭から煙が出ていたときと、唸り声が聴こえたときの詳細を村人に質問した。
「庭の煙が森に流れてきて、視界は悪いし、村の決まりでは森の近くで火は使っちゃいかんことになっとるんだ。だからオレが塀の向こうに怒鳴りつけてやったら、バタバタと走り回る足音がして、その直後に煙が消えたんだよ。……それで、唸り声だ。あれは、気持ちの悪い音楽に合わせて聴こえてきた気がするな」
「それと……オスコさん。状況の確認に訪れたときに見たという窓の人影の背格好や何かは覚えていないのか?」
「よく見えませんでしたが、背の高さからいって女性のものではないと思います。だから余計に怖かったわけですよ」
 オスコ氏がそのときのことを思い出していると、エリオが次の質問を投げかける。
「御当主の前妻はどうなの? それと、後妻と弟の関係は?」
 その質問に、オスコ氏はまた手帳をめくる。当主の弟の孫である男性に聞いた情報を控えてあるのだろう。それによると当時の深い事情まではわからないものの、後妻は生まれ故郷で再婚し、当主の弟はヴァリオスで二度の結婚に失敗したそうだ。
 ハンターたちによる事前の情報整理により、タディッリ旅行社が把握している限りで1ヶ月前までは異常がなかったが、その後、何ものかの気配が近隣に伝わるようになったことがはっきりとした。

●いざ、ミステリー
 森の先の外壁に沿ってぐるりと進み、ハンターたちはようやく館の正面門にたどり着いた。錆び付いて傾いた門扉も、実際には演出として古色が施されたものだ。そこを潜ると、ハンターたちの眼差しがそれぞれに真剣さを帯びる。エアルドフリスは前庭をじっくりと観察していた。前庭は事前の情報通り開けていて、ここに何ものかがいればしっかりと村人に目撃されていただろう。
 館のエントランスには、オスコ氏が会社から借り出してきた鍵で入った。館内の捜索は、ハンターたち6人が手分けして行うことに決めていた。ハンター全員がトランシーバーを携帯しており、情報交換に問題はないだろう。
 ハンターたちは散会し、まずエアルドフリスはサロンへと入っていった。暖炉の中を調べるためだ。1ヶ月前の清掃後に誰かが使っていれば、その証拠が残っているに違いない。案の定、暖炉には薪の燃え滓と灰、そして燃え残った紙片が見つかった。そこには、彼にも馴染みがある記号が書かれている。
「これは……楽譜だな」
 詳細はわからないが、それが手書きの楽譜であることは間違いなさそうだ。
 一方の大二郎は、食堂を調査していた。彼が探しているのは、『生物が活動していた形跡』である。案の定、6脚ある椅子のうちいくつかが不自然に乱れていた。清掃時に磨かれたであろうテーブルも、少し汚れている。そして厨房では、捨てられた果物の芯が見つかった。幽霊は食事をしない。それでも歪虚の可能性を考え、大二郎は警戒を解かぬまま捜索を続けた。
 遊戯室を調べているアルヴィンは、オスコ氏から遊戯室の図面を借りていた。清掃や修繕の業者に原状回復を依頼する際に使う図面である。見比べながら、チェス盤や撞球台、ダーツの配置に意味を見出せないか考えていた。ダーツと撞球台は、遊戯途中で放置されているように見える。ダーツは的の端にようやく引っかかっている程度で、撞球の球も規則性なく散らばっている。次いでアルヴィンは、ピアノへと向かった。そこは写真の中の整然とした様子とはまったく違い、そこら中に楽譜が散らばっている。譜面台にも書きかけのものが乗っていた。その曲を弾いてみれば何かわかるかもしれないと、アルヴィンはピアノの鍵盤を押した。
「ン? 音程が狂っテル……?」
 場の演出用として置かれているだけのピアノは長期間調律されていないようで、とんでもなく調子外れの音を紡いだ。これで曲を弾いたところで美しい旋律にはならないだろうし、村人の言う不気味な音楽の正体がわかった気がした。
 そのころ、ルーエルはまとめた情報を書き付けながら、裏庭に出ていた。裏庭は伸び放題の芝生と整っていない生垣、そして鬱蒼と生い茂る木々で薄暗い。土が剥き出しの箇所は少なく乾いているので、足跡は見つけにくそうだ。だが同時に、雨や雪が降っていないのならば、裏庭で火を燃やした跡が見つかるはずだ。ルーエルは、物陰や建物と植物との隙間に何か落ちていないかも探して歩いた。すると、塀のそばの開けたところに芝や雑草がひどく踏み荒らされている場所があり、そこに置いてある大きめの岩をどかすと、黒い焦げ跡と何かを燃やした跡が出てきた。岩に潰された燃え残りに、楽譜と見られる紙片があった。
 二階に上がったエリオと金鹿は、当主夫妻の寝室にいた。他にも何部屋か寝室はあるようだが、開放されているのはここだけなのだ。ベッドは一応整えられているが、清掃員のベッドメイクというきっちりとしたものではなく、明らかに使用の形跡が認められる。エリオも金鹿も枕や上掛けを細かく見ていき、真新しい髪の毛を数本見つけた。そのうちの何本かは白髪になっている。
 エリオは窓を開けて、携行品の双眼鏡で裏庭を見渡していた。何か目に付くものはないか、火を焚いた形跡がないかを丁寧に見ていく。塀の近くで屈み込んだルーエルがいて、燃え跡を見つけた様子だった。何を燃やしたのか気になるところだ。
 金鹿はLEDライトを使ってクローゼットの中を探していた。服と服の間はもちろん、ポケットの中もだ。香水瓶や首飾りなどの小さなものならば、そうしたところに隠せるからだ。だがこれといって何もなく、金鹿はベッドの下の調査に移った。
「これは……衣装箱でしょうか?」
「何かあった?」
 金鹿の言葉に、エリオもまたベッドの下を覗き込む。金鹿が見つけたのは、長方形の木箱だ。エリオがそれを引っ張り出し、金鹿が蓋を開けた。そこに収められていたのは、鮮やかな『青いドレス』である。見つけた、と二人の表情が明るくなる。
 だがそのとき、廊下を駆ける足音が部屋の外で響いた――。

●幽霊の正体見たり
 サロンの備品をリストと照合しながら、エアルドフリスは念入りに異変を探していた。本棚に隠し扉はないか、机や椅子の裏側に何かが隠されていないか。ミステリーツアーの宝探しも兼ねてのことである。サロンならば香水瓶あたりが置かれているかと彼は考えたが、サロン後方の豪奢な戸棚に飾られた美術小物の中に、艶やかな光を放つ『真珠の首飾り』を見つけた。
 そのときである。ちょうど食堂からサロンに移動してきた大二郎が、二階の異変に気が付いた。慌ただしい足音、それに重なるエリオと金鹿の声。
「――何があった?」
 大二郎はトランシーバーで呼びかけた。すると、何者かが二階に隠れていたようだと返事がかえってきた。いよいよ『幽霊』との遭遇かと、大二郎は追跡に加わることにした。
 二階で事が起こる少し前、アルヴィンは遊戯室の収納や壁、絵画の裏を念入りに調べていた。人間が通れる隠し扉がないかどうか、それと宝探しの件もある。ちょうどエアルドフリスから、サロンで『真珠の首飾り』が見つかったと連絡が入ったところだ。すると、戸棚の引き出しから、チェスの駒がひとつ出てきた。黒のクイーンだ。
「ソレなら、駒入れニハ?」
 アルヴィンはチェス盤のそばに置かれた黒の箱を開いた。
「……やっぱり、あったヨー!」
 黒のチェス駒の中に、それらと変わらない大きさの香水瓶が紛れていた。
 そのときである。トランシーバーが二階での異変を伝えてきた。本当に幽霊だったとしたら面白いのにと思いながらも、アルヴィンは仲間との合流に向かうことにした。
 ルーエルがトランシーバーで呼び出されたのは、ちょうど情報共有の連絡をしようとしていたときである。二階で何者かが現れたという。ルーエルは急いでテラスから遊戯室に戻り、二階と繋がる階段へと向かった。彼と同じく1階にいた他の3人も、すでに階段を上がり始めている。ルーエルもそこに加わるべく、階段へ向かった。
 エリオが寝室を飛び出したときには、正体不明の影は廊下の角を曲がったところだった。だがちらりと見えた背中は痩せた男性のもので、こちらへの敵対心を向けている感じはなかった。トランシーバーで仲間たちに位置や移動方向を伝えると、一気に皆が動き出した気配が伝わって来る。
 夫妻の寝室は階段から離れた一番奥にあるので、階段を上ってくる仲間たちが先に対象に追いつくだろう。金鹿はエリオとともに廊下を駆けながら、手元にそっとポストカードを用意していた。なぜか投擲武器として使えるそれで、逃げた相手を牽制するためだ。
 階段を駆け上がったエアルドフリスは、廊下の角を曲がった影の背中を視界に捉えるや否や、魔法で石壁を造りあげて相手の行く手を阻む。ひょろりとした、白髪混じりの男だ。しっかりと足があり、幽霊には見えない。
 男はハンターたちに追いつかれる前に、近くの扉に飛びついた。館の見取り図では『通用階段』と記されていた場所だ。よく見れば扉の錠が壊してある。男は慌ててその中に滑り込んだ。だが、追っているのは手練れのハンターたちだ。
 男を追って通用階段に飛び込んだのはアルヴィンだ。彼は鋼線で編まれた特殊な鞭を振るい、男の足下を掬うように狙った。男は足をもつれさせながら階段を駆け下り、1階に転がり出た。
「止まれ! ここで何をしている!?」
 男に声をかけたのは大二郎だ。その声に肩をびくつかせた男は、わああ、と短い叫び声を上げて、また逃げ出した。どう見ても戦闘訓練を受けた者ではない。
 攻撃というよりも足止め、捕縛を目的として、エリオは一気に間合いを詰め、男をぽんと投げ飛ばした。
 床に転がった男は腰を抜かしてしまったらしい。這ってでも逃げ出そうともがくので、金鹿が男の眼前の床に、カツカツッとポストカードを投げ刺した。
「もう、逃げる術はありませんことよ」
 男は、ヒッと喉から声を漏らし、逃亡を諦めた。歩み寄ったルーエルが男の腰に癒しの光を施すに至り、ハンターたちはようやく敵ではないのだとわかったようだ。

●迷惑な自分探し
 男の名前は、パオロ・カプーア。職業は音楽家だという。彼は、二十代のときに一曲だけ戯曲が売れて音楽家となったが、それ以後はほとんど曲が売れず、ついに下宿を追い出されてしまったのだ。自分探しの旅に出た先で幽霊伝説を聞き及び、創作意欲を掻き立てられたそうだ。持ち主不在の廃屋ならば一時的な滞在は可能だろうと勝手に判断し、調子の狂ったピアノで昼に夜に作曲活動に明け暮れていたのだ。だが才能に恵まれていないのか今回の作曲活動もうまくはいかず、ボツにした曲の譜面を裏庭で焼き捨てていたのだが、村人に怒られたので暖炉で焼くことにしたらしい。タディッリ社のミステリーツアーについては何も知らなかったそうだ。
 話を聞いたオスロ氏は唖然としているが、本物の幽霊や逃亡犯のような極悪人でなかったことにはほっとしている。
 ハンターたちも、それぞれの思いを滲ませていた。本物の幽霊でなかったことを残念がる者、傍迷惑なことだと呆れる者、そして幽霊はいなくとも、やはり館の当主の最期は孤独で悲しいものだったのではないかと考える者。
 せめての慰めにと、誰かが歌を口ずさみ始めた。その旋律は、誰もいない館に静かに響き渡り、晴れた寒空に還っていくようだった――。

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MVP一覧

  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎ka1771
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリスka1856

重体一覧

参加者一覧

  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 緑青の波濤
    エリオ・アスコリ(ka5928
    人間(紅)|17才|男性|格闘士
  • 舞い護る、金炎の蝶
    鬼塚 小毬(ka5959
    人間(紅)|20才|女性|符術師

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/20 20:29:09
アイコン ミステリーツアーのしおり
エリオ・アスコリ(ka5928
人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/02/24 00:54:23