ゲスト
(ka0000)
下水道にわくスライム達
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/03/12 19:00
- 完成日
- 2016/03/17 18:12
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●それの出現を憂うものあれば……
冒険都市リゼリオ。
ハンターズソサエティの本部であるハンターオフィスが置かれていることもあり、この周辺を拠点とするハンターも多い。
その為か、リゼリオの民もハンターを頼り、依頼をしてくる者も多い。
「はぁ……」
その初老の男、タッデオは深い溜息をつく。
この下水道は、時に詰まってしまうことがある。それもあって、常日頃から綺麗にするよう努めているのだが……。
タッデオの目の前にいるのは、ぬめぬめべとべとした数体のスライムだ。面倒なことに、ここには定期的にスライムが沸いてしまうのだという。スライムがわきやすい場所なのか、街の人かハンターが何かを垂れ流しているからなのか、原因は突き止められていないが……。ともあれ、スライムを放置するわけにも行かない。
詰まりの原因として被害があるのは、もちろんのこと。時に下水道を飛び出し、近場にある浴場の女湯に現れることがあるのだというのだ。
この近辺で現れるスライムは、若い女性を好んで絡みつき、服を溶かして喜ぶという、なんともけしからん連中である。ただ、中には男に飛びつくマニアックな趣味を持つスライムもおり、今回も2体ほど混じっているようだ。
「はぁ……」
タッデオはまた溜息をつく。スライムに見つからぬようこの場を後にした彼は、一直線にハンターオフィスへと出向いたのだった。
程なくして。
ハンターオフィスに張り出された、下水掃除の依頼。
人々に害なす物を討伐せねばと、正義感を持って依頼を受けるハンターがいる一方で。スライムだからこそ、依頼を受けるという、スライムの魅力に病みつきなハンターの姿も……。
依頼を受ける理由はハンターによって様々だったが、ともあれ、依頼を完遂させるべく、ハンター達はスライムへと立ち向かうのであった。
冒険都市リゼリオ。
ハンターズソサエティの本部であるハンターオフィスが置かれていることもあり、この周辺を拠点とするハンターも多い。
その為か、リゼリオの民もハンターを頼り、依頼をしてくる者も多い。
「はぁ……」
その初老の男、タッデオは深い溜息をつく。
この下水道は、時に詰まってしまうことがある。それもあって、常日頃から綺麗にするよう努めているのだが……。
タッデオの目の前にいるのは、ぬめぬめべとべとした数体のスライムだ。面倒なことに、ここには定期的にスライムが沸いてしまうのだという。スライムがわきやすい場所なのか、街の人かハンターが何かを垂れ流しているからなのか、原因は突き止められていないが……。ともあれ、スライムを放置するわけにも行かない。
詰まりの原因として被害があるのは、もちろんのこと。時に下水道を飛び出し、近場にある浴場の女湯に現れることがあるのだというのだ。
この近辺で現れるスライムは、若い女性を好んで絡みつき、服を溶かして喜ぶという、なんともけしからん連中である。ただ、中には男に飛びつくマニアックな趣味を持つスライムもおり、今回も2体ほど混じっているようだ。
「はぁ……」
タッデオはまた溜息をつく。スライムに見つからぬようこの場を後にした彼は、一直線にハンターオフィスへと出向いたのだった。
程なくして。
ハンターオフィスに張り出された、下水掃除の依頼。
人々に害なす物を討伐せねばと、正義感を持って依頼を受けるハンターがいる一方で。スライムだからこそ、依頼を受けるという、スライムの魅力に病みつきなハンターの姿も……。
依頼を受ける理由はハンターによって様々だったが、ともあれ、依頼を完遂させるべく、ハンター達はスライムへと立ち向かうのであった。
リプレイ本文
●臭いと不穏な空気に……
冒険都市リゼリオのとある下水道に、ハンター達は足を踏み入れていく。
「最近は厄介そうなの多くて、私が相手できそうなのはこれくらいしか……」
十色 乃梛(ka5902)は嘆息しつつ、この依頼に当たる。他のメンバーも、その臭いに顔を顰める。
「うへぇ……、下水の雑魔退治かよ……」
真田 綾乃(ka2580)はげんなりとした表情をするが、仕事を選べるほど偉くもないからと独りごちる。
今回の相手はスライム。なんでも、女性を狙って弄ぶという、なかなかにいい趣味を持った相手のようだ。
「ルンルン忍法とカードの力を駆使して、下水道にわいた危ないスライムをやっつけちゃいます!」
街の人達の安全の為に不埒なスライムを放置できぬと、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は立ち上がっていた。符術を操る彼女は、自称正義のニンジャプロカードゲーマーとして、スライムを成敗すると意気込む。
「うー、臭いが酷いのだ。耐えられなくはないけど、さっさと終わらせちゃいたい気分っ」
三姉妹で参加する、次女、ネフィリア・レインフォード(ka0444)は超聴覚を使い、スタイムの出現に警戒しながら歩いていく。
「ネフィ、また突っ込み過ぎないようにね。ブリス・レインフォード(ka0445)も、気をつけるのよ」
そんな妹を長女、フローレンス・レインフォード(ka0443)が窘めていた。そばには、三女ブリスの姿もある。
(……久しぶりのお仕事。だけど、なんか嫌な予感)
ブリスは大好きな姉2人を、スライムなどに汚させはしないと誓う。例え、どんな手段を使おうとも、だ。
「……何故かしら、この胸騒ぎは……!」
フローレンスもまた、久しぶりの妹達との依頼に気合を入れて臨むが、相手はスライム。それだけに一抹の不安を禁じえない。
(それでも、アミィが一緒の依頼だから……)
アミィこと、アミグダ・ロサ(ka0144)は前方を歩いている。大丈夫と自らに言い聞かせ、フローレンスもまた、身を挺してでも妹達を守ろうと決意を固めた。
「やっぱり下水道ですし、臭いますね……」
唯一の男性、葛音 水月(ka1895)もやはり臭いが気になるようだ。早いところこの場から出たいのは皆同じである。
ところで、その水月の姿は。
(女性と男性それぞれに襲いかかるスライムですか。僕が女装したら、どうなるんでしょー?)
それが気になる水月は敢えて、ウィッグを使って髪を長く、服も上から下まで完璧に女装している。
そんなこんなで、下水道を進むメンバー達はその鮮やかな色の物体を発見する。ハンターの姿を見つけたその物体、スライムどもは獲物が来たと喜び、飛びかかってくる。
「後で風呂も貸してくれるらしいし、ぱーっと片付けちまいますかっ!」
気持ちを入れ替え、綾乃は正面からスライムと向き合う。
「さぁ、お掃除と致しましょうか」
掃除はメイドの嗜み。メイド服姿のアミグダは、手にする燭台を魔導具として使用し、開口一番、呼び出した雷撃を一直線にスライムへと飛ばしたのだった。
●ぬるぬるタイム
集まってきたスライムはピンク色6体。アミグダの雷撃を受けたスライム達だが、意にも介さずハンター達に襲いかかる。
「ジュゲームリリカル……、ルンルン忍法土蜘蛛の術、場に符を伏せてから突撃です」
ルンルンは陰陽護符から符を2枚取り出し、目視することができない結界を展開していく。そして、その結界手前に近づくことで、敵をその罠の中へと誘い込もうとする。ピンクのスライムはルンルンの思惑通りに、その結界に入り、足元を泥の様に固め、移動する足を鈍らせる。
「流石に、こんな場所だとあの色は目立つね」
鮮やかな色の敵を乃梛は注視するのだが。敵の報告と数が合わない。
「叩いてれば、現れるでしょ」
脳筋な彼女は、正面から突っ込んでいく。
その手前には、すでにレインフォード三姉妹が飛び出している。
「さくっと片付けちゃおうなのだ♪」
とりわけ、ネフィリアは、両手にナックルをつけ、真っ先に手近なスライムへと殴りかかる。鍛え上げられた彼女の拳はピンクのスライムに確かなダメージを与えるのだが、そこに他のスライム達が群がってきて。無策で突っ込んだ彼女はすぐに絡みつかれてしまう。
「はやや!? 簡単には倒せなかったのだ!?」
ぬるぬるとしたゲル状の物体が、彼女の足を縛りつけ、そして胸へと……。
「うー、絡みつくな。はーなーすーのだー!」
ジタバタ抵抗するネフィリアだが、その度にスライムの粘液でどろどろになっていく。
「ネフィ! アレほど、気をつけなさいと。くっ、直ぐに助けるわ……!」
「姉様、気をつけて……!」
フローレンスは妹の危機を察し、ネフィリアに駆け寄る。末妹ブリスも心配そうに姉2人を見つめていた。
スライムの粘液で足が取られぬよう気をつけながらも、フローレンスはスライムに捕まった妹の身体に光を纏わせて防御力を高める。
しかし、そのフローレンスにも、スライムが迫る。そいつらは溶解液を飛ばし、フローレンスの胸やおしりの一部が露わになってしまい……。
「姉様に、近づくな……!」
それが許せぬブリスが近づいていく。
(姉様達のカラダはブリスだけのモノ。スライムなんかにヤらせはしないんだから……!)
ブリスは姉に対する過度な愛情を怒りに変え、スライムから姉2人を解放しようと近づく。
「ブリスっ!? ちょ、待ちなさい、来ては」
飛び込んでくるブリス。鋭い風を起こしてスライムの身体を裂きはするものの、その後は姉からスライムを引き剥がそうと必死になって。
「ふふ、姉様のここ、柔らかい……♪ 気持ちぃ……♪」
「あぁぁ……!?」
ブリスはそのついでにフローレンスの柔肌をさすり、しっかりと触ってしまう。艶かしい声を上げ、彼女達はスライムに弄ばれ、大惨事になってしまうのである。
その間に、綾乃は自分達へと向かってくる2体を殲滅しようと動く。
(スライム……か。あんまり頭良さそうでもないし、油断しなけりゃ問題ないかね)
綾乃は高をくくって、気丈に構えていたのだが。迫ってくるスライムに前線の仲間達があられもない姿を晒してしまっており、こちらに近づく敵もまた、溶解液を飛ばしてきて。
「うわっ!? こっちまでくる!?」
慌てて綾乃の前に乃梛が立ち、輝く光の弾をスライムへと飛ばす。
だが、それだけで倒れるほど、スライムもやわではない。
さらに、現われる新手の水色のスライムもまた、ハンターの身体へと飛びついてきた。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法三雷神の術! 出でよ、めがね、ぶー、おいっーす」
ルンルンはその新手を合わせ、うまく3体のスライムを巻き込む。そして、3枚の符を飛ばして稲妻と化しスライムを焼き払わんとする。
「ふぅ、危ない所だったのです」
誘い出したスライムに、絡みつかれかけたルンルン。さりげに服も少し溶けてしまっていて。
「……って、私のお気に入りのお洋服……絶対に許さないんだからっ!」
ルンルンは怒りを露わにし、符を補充していた。
稲妻に焼かれる水色スライム。見た目に絶対の自信を持っていた水月は、女装姿をさらけ出す。
(回避には自信があるし、まあいけるでしょー)
彼もまた、慢心で敵に当たっており、襲われた場合のことなど全く考えてはいなかった。試作雷撃刀を振るい、スライムへと雷撃を与えるのだが。スライムの恐怖を彼は知ることになる。
そんな仲間の戦いぶりを見ていたアミグダ。皆の掃除風景を見届けるのもメイド長の嗜みと、彼女は考えている。
「まずは、この空気ですね……」
彼女は後先考えずに、眠りのガスを前方に広げる。……仲間がいるにも関わらず、である。
スライムも、そして、ハンター達も倒れてしまう。戦場はなんとも酷い状況になってしまっていた。
●さすがに楽しんでばかりもいられない
敵味方の半数が眠ってしまう状態。その間に陣形が大きく乱れ、起きていたスライムが執拗にハンター達を攻め立てていた。
アミグダは、三姉妹へと近づく。次女と三女は夢の中のようだ。
「お手伝いしますよ、フローレンスさん」
スライムに攻められて窮地に陥っている、善き友人のフローレンスへとアミグダは声を掛け、土砂で作った鎧……というか、ビキニアーマーを装着させた。ちなみに、それが解けた後のことまでは頭にないアミグダである。
友人のことに気を取られていると。
「あら、この積極的な感触は……」
アミグダに迫る1体のスライム。敵は沢山いる獲物を、取替えひっかえ味わおうという魂胆らしい。
「ああん」
襲い掛かられるスライムに、彼女もまたなすがままになってしまうのである。
辛くも眠りから逃れていた乃梛は、直接スライムを殴りに行く。その最中、彼女は青いスライムを狙おうと動くのだが、手前の敵のターゲットとなってしまう。
「どうして、私なんかに絡むのよ。もっとスタイル良い人いるでしょ~」
女の子ならば、スタイルなぞ関係ない。何とか杖で殴りかかってスライムに応戦するものの。敵の狙いは的確である。乃梛の服をも溶かしてしまって。
「ぁ、やだっ見えちゃう! 止めてよ」
おヘソが見えるのを気にして、彼女は必死になって隠す。そして、次に、敵は敏感な太腿を狙ってくる。
「た、助け……ひゃあっ!」
初めて体験するスライムの感触に、彼女は変な感情を覚えてしまう。
一方、綾乃は一度、眠ってしまっていた。その間に、興味を彼女へと移した1体がこちらに迫ってきていて。
「くんなっ!!」
起き上がり、必死に抵抗する綾乃。知らぬうちに、スライムに胴体を絡み取られてしまったのだ。
「わあっ!? ちょっ……ドコ溶かして……やだぁっ!!」
銃撃と振りほどきで抵抗するが、大事な銃に消化液が、いや、それ以前に服を溶かされてしまう。
「あ! こら! 水月! こっち見んなぁっ!!」
真っ赤になった綾乃はそのスライムを地面に打ちつけ、ライフルの銃弾を叩き込む。
「離してくだ……さい!」
しかしながら、水月は水色のスライムに絡まれていて。女装は全く効果がなかったようだ。
先程までは、スライムに絡まれる女性陣の姿に、刺激が強すぎると目を白黒させてしまっていたのだが、いざ自らが絡まれる立場になると。動転し、スライムのぬめりでうまく動けず、体勢を崩してしまった。
「んんっ……、気持ち悪ぅ……って?!」
ぬめぬめする感触。彼もまた服を溶かされ、慌ててしまう。
ルンルンもどうやら、眠っている間に粘液を浴びてしまったらしい。
「水月さん、もう少し頑張っててください、まずはこのお洋服の敵を……」
手前のスライムは上気しつつ、ルンルンに迫る。それに彼女もまた、頬を赤らめる。
「そんな、私、期待なんてしてない、してないですよ。後、こっち見ちゃ駄目です」
照れ隠しで、きゃっと可愛らしく声を上げるルンルンだが。
「こんなはずじゃ……。ちょ、ちょっとやめ、まってくださぁい!!」
水月にルンルンを見る余裕はなさそうである。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 星花の光よ、不埒ものに天罰なのです」
包んだ新たな結界の中にいるスライムを、ルンルンは光で焼き払う。すると、1体が蒸発するように姿を消した。
それでも、ハンター達はなんとかスライムの数を減らして。
フローレンスは自身から広げた光の波動でスライムに衝撃を与え、怯んだその1対にブリスが風を飛ばし、スライムを真っ二つに切り裂く。
「体中どろどろで気持ち悪いのだ。こうなったら全力でいっちゃうよー!」
覚悟するのだーと、ネフィリアは拳に魔力を纏わせ、スライムを叩き潰してしまう。
そんなこんなで、ハンター達はグチョグチョになりながらも、スライムを討伐したわけだが。メンバーは総じて体力気力をすり減らし、ぐったりしてしまっていたのだった。
●お風呂で癒されたはずが……
スライムとの戦いで、心身ともに疲れ果てたハンター達。そのぬめぬめした感触が、どうにもこうにも抜けきらない。
幸いにも、依頼人の計らいで、近所の浴場を使わせてもらえるという。
「お・ふ・ろー♪ フロー姉、ブリスちゃん、早く行くのだ♪」
早急に浴場に向かったメンバー達。
体中の臭いの酷さと、どろどろまみれなのが気になるネフィリアは一気に服を脱ぎ捨て、姉と妹の手を引いて浴場に駆け込む。大事な部分はタオルや湯気で隠れている。あくまでも念の為。公序良俗の都合で勘弁願いたい。
「二人共、私が洗ってあげるから。大人しくするのよ?」
やってきたフローレンスは、早速妹達の身体を徹底的に洗ってゆく。
「ブリスもお返しに、姉様達のコト一杯洗ってあげる……」
「体中どろどろだし、臭いもついてるから綺麗にしないとだね♪ 隅々まで綺麗に洗うのだ♪」
次姉に、他意はないだろうが、長姉であるフロー姉さまがそう言うならば。身体の隅から隅まで、じっくり丁寧に、念入りに撫でたり擦ったり。汚れを取り去るべく、敏感なところまでしっかりと。
「もっともっと……ブリスのコト、可愛がって欲しい……♪」
「あっ、ブリス……、そこは、……あん」
末妹の攻めに、フローレンスは抵抗することなく真っ赤になってしまって。
「さぁ、ご姉妹仲良くお風呂と致しましょうね」
お風呂の世話もメイドの嗜みと、アミグダも三姉妹の背中はもちろん、身体の隅々まで流す。
「今日の戦い姿、こことか、あそことかが見えて……」
そんなアミグダの言葉に、フローレンスは身体を真っ赤にしてしまった。
「うう……、酷い目にあったぁ……」
ベソかきつつ、綾乃は入浴する。スライムの消化液で服も溶かされてしまい、散々な依頼だった。銃が大事に至らなかったのが不幸中の幸いか。
「アミクダ? なんでお前楽しそうなんだ!」
そこで、綾乃が後ろから声を掛けるものだから、アミグダは他のメンバーにも矛先を向けてきて。綾乃が早速身体をまさぐられてしまう。
そんな仲間達の豊満な体を、湯船の隅っこで大人しくしていた乃梛が、羨ましそうに眺める。
「地獄から天国です」
ルンルンもまた、お風呂でさっぱりとしていたようだ。
一方で、男湯では水月1人がのんびりと入浴していて。下水道でのことを思い返した彼はもだもだし、ぶくぶくと湯の中に沈みこんでいくのである。
ところで――。
浴場で肉体的、精神的に幾分か癒されはしたハンター達ではあったが。纏わりつくようなスライムの感触、そして、なんとも言えない脱力感に、その後数日、苛まれてしまうメンバー達なのだった。
冒険都市リゼリオのとある下水道に、ハンター達は足を踏み入れていく。
「最近は厄介そうなの多くて、私が相手できそうなのはこれくらいしか……」
十色 乃梛(ka5902)は嘆息しつつ、この依頼に当たる。他のメンバーも、その臭いに顔を顰める。
「うへぇ……、下水の雑魔退治かよ……」
真田 綾乃(ka2580)はげんなりとした表情をするが、仕事を選べるほど偉くもないからと独りごちる。
今回の相手はスライム。なんでも、女性を狙って弄ぶという、なかなかにいい趣味を持った相手のようだ。
「ルンルン忍法とカードの力を駆使して、下水道にわいた危ないスライムをやっつけちゃいます!」
街の人達の安全の為に不埒なスライムを放置できぬと、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は立ち上がっていた。符術を操る彼女は、自称正義のニンジャプロカードゲーマーとして、スライムを成敗すると意気込む。
「うー、臭いが酷いのだ。耐えられなくはないけど、さっさと終わらせちゃいたい気分っ」
三姉妹で参加する、次女、ネフィリア・レインフォード(ka0444)は超聴覚を使い、スタイムの出現に警戒しながら歩いていく。
「ネフィ、また突っ込み過ぎないようにね。ブリス・レインフォード(ka0445)も、気をつけるのよ」
そんな妹を長女、フローレンス・レインフォード(ka0443)が窘めていた。そばには、三女ブリスの姿もある。
(……久しぶりのお仕事。だけど、なんか嫌な予感)
ブリスは大好きな姉2人を、スライムなどに汚させはしないと誓う。例え、どんな手段を使おうとも、だ。
「……何故かしら、この胸騒ぎは……!」
フローレンスもまた、久しぶりの妹達との依頼に気合を入れて臨むが、相手はスライム。それだけに一抹の不安を禁じえない。
(それでも、アミィが一緒の依頼だから……)
アミィこと、アミグダ・ロサ(ka0144)は前方を歩いている。大丈夫と自らに言い聞かせ、フローレンスもまた、身を挺してでも妹達を守ろうと決意を固めた。
「やっぱり下水道ですし、臭いますね……」
唯一の男性、葛音 水月(ka1895)もやはり臭いが気になるようだ。早いところこの場から出たいのは皆同じである。
ところで、その水月の姿は。
(女性と男性それぞれに襲いかかるスライムですか。僕が女装したら、どうなるんでしょー?)
それが気になる水月は敢えて、ウィッグを使って髪を長く、服も上から下まで完璧に女装している。
そんなこんなで、下水道を進むメンバー達はその鮮やかな色の物体を発見する。ハンターの姿を見つけたその物体、スライムどもは獲物が来たと喜び、飛びかかってくる。
「後で風呂も貸してくれるらしいし、ぱーっと片付けちまいますかっ!」
気持ちを入れ替え、綾乃は正面からスライムと向き合う。
「さぁ、お掃除と致しましょうか」
掃除はメイドの嗜み。メイド服姿のアミグダは、手にする燭台を魔導具として使用し、開口一番、呼び出した雷撃を一直線にスライムへと飛ばしたのだった。
●ぬるぬるタイム
集まってきたスライムはピンク色6体。アミグダの雷撃を受けたスライム達だが、意にも介さずハンター達に襲いかかる。
「ジュゲームリリカル……、ルンルン忍法土蜘蛛の術、場に符を伏せてから突撃です」
ルンルンは陰陽護符から符を2枚取り出し、目視することができない結界を展開していく。そして、その結界手前に近づくことで、敵をその罠の中へと誘い込もうとする。ピンクのスライムはルンルンの思惑通りに、その結界に入り、足元を泥の様に固め、移動する足を鈍らせる。
「流石に、こんな場所だとあの色は目立つね」
鮮やかな色の敵を乃梛は注視するのだが。敵の報告と数が合わない。
「叩いてれば、現れるでしょ」
脳筋な彼女は、正面から突っ込んでいく。
その手前には、すでにレインフォード三姉妹が飛び出している。
「さくっと片付けちゃおうなのだ♪」
とりわけ、ネフィリアは、両手にナックルをつけ、真っ先に手近なスライムへと殴りかかる。鍛え上げられた彼女の拳はピンクのスライムに確かなダメージを与えるのだが、そこに他のスライム達が群がってきて。無策で突っ込んだ彼女はすぐに絡みつかれてしまう。
「はやや!? 簡単には倒せなかったのだ!?」
ぬるぬるとしたゲル状の物体が、彼女の足を縛りつけ、そして胸へと……。
「うー、絡みつくな。はーなーすーのだー!」
ジタバタ抵抗するネフィリアだが、その度にスライムの粘液でどろどろになっていく。
「ネフィ! アレほど、気をつけなさいと。くっ、直ぐに助けるわ……!」
「姉様、気をつけて……!」
フローレンスは妹の危機を察し、ネフィリアに駆け寄る。末妹ブリスも心配そうに姉2人を見つめていた。
スライムの粘液で足が取られぬよう気をつけながらも、フローレンスはスライムに捕まった妹の身体に光を纏わせて防御力を高める。
しかし、そのフローレンスにも、スライムが迫る。そいつらは溶解液を飛ばし、フローレンスの胸やおしりの一部が露わになってしまい……。
「姉様に、近づくな……!」
それが許せぬブリスが近づいていく。
(姉様達のカラダはブリスだけのモノ。スライムなんかにヤらせはしないんだから……!)
ブリスは姉に対する過度な愛情を怒りに変え、スライムから姉2人を解放しようと近づく。
「ブリスっ!? ちょ、待ちなさい、来ては」
飛び込んでくるブリス。鋭い風を起こしてスライムの身体を裂きはするものの、その後は姉からスライムを引き剥がそうと必死になって。
「ふふ、姉様のここ、柔らかい……♪ 気持ちぃ……♪」
「あぁぁ……!?」
ブリスはそのついでにフローレンスの柔肌をさすり、しっかりと触ってしまう。艶かしい声を上げ、彼女達はスライムに弄ばれ、大惨事になってしまうのである。
その間に、綾乃は自分達へと向かってくる2体を殲滅しようと動く。
(スライム……か。あんまり頭良さそうでもないし、油断しなけりゃ問題ないかね)
綾乃は高をくくって、気丈に構えていたのだが。迫ってくるスライムに前線の仲間達があられもない姿を晒してしまっており、こちらに近づく敵もまた、溶解液を飛ばしてきて。
「うわっ!? こっちまでくる!?」
慌てて綾乃の前に乃梛が立ち、輝く光の弾をスライムへと飛ばす。
だが、それだけで倒れるほど、スライムもやわではない。
さらに、現われる新手の水色のスライムもまた、ハンターの身体へと飛びついてきた。
「ジュゲームリリカルクルクルマジカル……ルンルン忍法三雷神の術! 出でよ、めがね、ぶー、おいっーす」
ルンルンはその新手を合わせ、うまく3体のスライムを巻き込む。そして、3枚の符を飛ばして稲妻と化しスライムを焼き払わんとする。
「ふぅ、危ない所だったのです」
誘い出したスライムに、絡みつかれかけたルンルン。さりげに服も少し溶けてしまっていて。
「……って、私のお気に入りのお洋服……絶対に許さないんだからっ!」
ルンルンは怒りを露わにし、符を補充していた。
稲妻に焼かれる水色スライム。見た目に絶対の自信を持っていた水月は、女装姿をさらけ出す。
(回避には自信があるし、まあいけるでしょー)
彼もまた、慢心で敵に当たっており、襲われた場合のことなど全く考えてはいなかった。試作雷撃刀を振るい、スライムへと雷撃を与えるのだが。スライムの恐怖を彼は知ることになる。
そんな仲間の戦いぶりを見ていたアミグダ。皆の掃除風景を見届けるのもメイド長の嗜みと、彼女は考えている。
「まずは、この空気ですね……」
彼女は後先考えずに、眠りのガスを前方に広げる。……仲間がいるにも関わらず、である。
スライムも、そして、ハンター達も倒れてしまう。戦場はなんとも酷い状況になってしまっていた。
●さすがに楽しんでばかりもいられない
敵味方の半数が眠ってしまう状態。その間に陣形が大きく乱れ、起きていたスライムが執拗にハンター達を攻め立てていた。
アミグダは、三姉妹へと近づく。次女と三女は夢の中のようだ。
「お手伝いしますよ、フローレンスさん」
スライムに攻められて窮地に陥っている、善き友人のフローレンスへとアミグダは声を掛け、土砂で作った鎧……というか、ビキニアーマーを装着させた。ちなみに、それが解けた後のことまでは頭にないアミグダである。
友人のことに気を取られていると。
「あら、この積極的な感触は……」
アミグダに迫る1体のスライム。敵は沢山いる獲物を、取替えひっかえ味わおうという魂胆らしい。
「ああん」
襲い掛かられるスライムに、彼女もまたなすがままになってしまうのである。
辛くも眠りから逃れていた乃梛は、直接スライムを殴りに行く。その最中、彼女は青いスライムを狙おうと動くのだが、手前の敵のターゲットとなってしまう。
「どうして、私なんかに絡むのよ。もっとスタイル良い人いるでしょ~」
女の子ならば、スタイルなぞ関係ない。何とか杖で殴りかかってスライムに応戦するものの。敵の狙いは的確である。乃梛の服をも溶かしてしまって。
「ぁ、やだっ見えちゃう! 止めてよ」
おヘソが見えるのを気にして、彼女は必死になって隠す。そして、次に、敵は敏感な太腿を狙ってくる。
「た、助け……ひゃあっ!」
初めて体験するスライムの感触に、彼女は変な感情を覚えてしまう。
一方、綾乃は一度、眠ってしまっていた。その間に、興味を彼女へと移した1体がこちらに迫ってきていて。
「くんなっ!!」
起き上がり、必死に抵抗する綾乃。知らぬうちに、スライムに胴体を絡み取られてしまったのだ。
「わあっ!? ちょっ……ドコ溶かして……やだぁっ!!」
銃撃と振りほどきで抵抗するが、大事な銃に消化液が、いや、それ以前に服を溶かされてしまう。
「あ! こら! 水月! こっち見んなぁっ!!」
真っ赤になった綾乃はそのスライムを地面に打ちつけ、ライフルの銃弾を叩き込む。
「離してくだ……さい!」
しかしながら、水月は水色のスライムに絡まれていて。女装は全く効果がなかったようだ。
先程までは、スライムに絡まれる女性陣の姿に、刺激が強すぎると目を白黒させてしまっていたのだが、いざ自らが絡まれる立場になると。動転し、スライムのぬめりでうまく動けず、体勢を崩してしまった。
「んんっ……、気持ち悪ぅ……って?!」
ぬめぬめする感触。彼もまた服を溶かされ、慌ててしまう。
ルンルンもどうやら、眠っている間に粘液を浴びてしまったらしい。
「水月さん、もう少し頑張っててください、まずはこのお洋服の敵を……」
手前のスライムは上気しつつ、ルンルンに迫る。それに彼女もまた、頬を赤らめる。
「そんな、私、期待なんてしてない、してないですよ。後、こっち見ちゃ駄目です」
照れ隠しで、きゃっと可愛らしく声を上げるルンルンだが。
「こんなはずじゃ……。ちょ、ちょっとやめ、まってくださぁい!!」
水月にルンルンを見る余裕はなさそうである。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 星花の光よ、不埒ものに天罰なのです」
包んだ新たな結界の中にいるスライムを、ルンルンは光で焼き払う。すると、1体が蒸発するように姿を消した。
それでも、ハンター達はなんとかスライムの数を減らして。
フローレンスは自身から広げた光の波動でスライムに衝撃を与え、怯んだその1対にブリスが風を飛ばし、スライムを真っ二つに切り裂く。
「体中どろどろで気持ち悪いのだ。こうなったら全力でいっちゃうよー!」
覚悟するのだーと、ネフィリアは拳に魔力を纏わせ、スライムを叩き潰してしまう。
そんなこんなで、ハンター達はグチョグチョになりながらも、スライムを討伐したわけだが。メンバーは総じて体力気力をすり減らし、ぐったりしてしまっていたのだった。
●お風呂で癒されたはずが……
スライムとの戦いで、心身ともに疲れ果てたハンター達。そのぬめぬめした感触が、どうにもこうにも抜けきらない。
幸いにも、依頼人の計らいで、近所の浴場を使わせてもらえるという。
「お・ふ・ろー♪ フロー姉、ブリスちゃん、早く行くのだ♪」
早急に浴場に向かったメンバー達。
体中の臭いの酷さと、どろどろまみれなのが気になるネフィリアは一気に服を脱ぎ捨て、姉と妹の手を引いて浴場に駆け込む。大事な部分はタオルや湯気で隠れている。あくまでも念の為。公序良俗の都合で勘弁願いたい。
「二人共、私が洗ってあげるから。大人しくするのよ?」
やってきたフローレンスは、早速妹達の身体を徹底的に洗ってゆく。
「ブリスもお返しに、姉様達のコト一杯洗ってあげる……」
「体中どろどろだし、臭いもついてるから綺麗にしないとだね♪ 隅々まで綺麗に洗うのだ♪」
次姉に、他意はないだろうが、長姉であるフロー姉さまがそう言うならば。身体の隅から隅まで、じっくり丁寧に、念入りに撫でたり擦ったり。汚れを取り去るべく、敏感なところまでしっかりと。
「もっともっと……ブリスのコト、可愛がって欲しい……♪」
「あっ、ブリス……、そこは、……あん」
末妹の攻めに、フローレンスは抵抗することなく真っ赤になってしまって。
「さぁ、ご姉妹仲良くお風呂と致しましょうね」
お風呂の世話もメイドの嗜みと、アミグダも三姉妹の背中はもちろん、身体の隅々まで流す。
「今日の戦い姿、こことか、あそことかが見えて……」
そんなアミグダの言葉に、フローレンスは身体を真っ赤にしてしまった。
「うう……、酷い目にあったぁ……」
ベソかきつつ、綾乃は入浴する。スライムの消化液で服も溶かされてしまい、散々な依頼だった。銃が大事に至らなかったのが不幸中の幸いか。
「アミクダ? なんでお前楽しそうなんだ!」
そこで、綾乃が後ろから声を掛けるものだから、アミグダは他のメンバーにも矛先を向けてきて。綾乃が早速身体をまさぐられてしまう。
そんな仲間達の豊満な体を、湯船の隅っこで大人しくしていた乃梛が、羨ましそうに眺める。
「地獄から天国です」
ルンルンもまた、お風呂でさっぱりとしていたようだ。
一方で、男湯では水月1人がのんびりと入浴していて。下水道でのことを思い返した彼はもだもだし、ぶくぶくと湯の中に沈みこんでいくのである。
ところで――。
浴場で肉体的、精神的に幾分か癒されはしたハンター達ではあったが。纏わりつくようなスライムの感触、そして、なんとも言えない脱力感に、その後数日、苛まれてしまうメンバー達なのだった。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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下水道で一仕事 真田 綾乃(ka2580) 人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/03/12 16:57:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/09 00:21:51 |