• 幻魂

【幻魂】鏡影・機神

マスター:剣崎宗二

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
6~7人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
7日
締切
2016/04/08 22:00
完成日
2016/04/11 06:17

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●Deus Ex Machina

「……これで、終了だ」
「ありがとう。僕の方からも面白い物を持ってきたよ」
 そう言うと、コーリアスは――スライムのようなその何かを、機械人形の上に置く。
 それは意思を持ったかのように、機械の中へと、入り込んでいく。

 ――力の注入を開始して、早一ヶ月。
 アレクサンドルの『Life to Lifeless』は、力を注ぎ込む時間によって、造られる者の性能が変動する。
 目の前の機械の少女は、コーリアスにより造られた身体を持ち。彼によって、命を得た。
 そして今、その瞳が、開かれる。

「――お呼びでしょうか。マスター」
 少女の目は、真っ直ぐ、アレクサンドルの方を見据えていた。

「――!」
「驚く必要はない。元々、これは貴公へのプレゼントだったのだからね」
 一瞬回答に詰まるアレクサンドルに、平然とコーリアスが答える。
「僕は、僕の最高傑作が動いているのを見ただけで満足だ。貴公は先の一戦で、手駒である『ディーン・キル』を失った。…新たな協力者が必要だとは思わないかな?」
「……」
 ――確かに、コーリアスの言葉は正論だ。しかし、この機械人形を、信用して良い物なのだろうか――

「マスター。ご命令を」
「――森に向かう。ヤツとの約束の日が近い」
 何を恐れる必要がある。
 これが何か仕掛けてくるのであれば、己が能力を以って叩き潰せばいい。
 既に友の力はすべて、手に入った。アインの『夢物語』――『Future Sight Eye』がその特異性から運用不能とは言え…己が力は、既に円熟に入っていると言える。

「ではマスター…お運びいたします」
「!?」
 目の前の機械の少女は、一瞬にしてその姿を、白銀のバイクに変化させていた。
 そのシートに、横に足を垂らし。座るようにして、アレクサンドルは搭乗した。
「マスター。それでは不安定です。直接跨って頂いても――」
「落とすつもりはないのだろう?」
「……はい。勿論です」
 反論は、それで途絶えた。
「名は?」
「マティリア――マスター。お掴まり下さい」
 かくして。神速を以って、二人は――戦場たる森へと、向かっていく。


●Storm Lady

 周囲で獣の軍勢が吼える中。猛然と、最短ルートを、バイクに乗ったアレクサンドルは突っ切っていく。
 ――頭さえ抑えれば敵の士気は下がる。それはアレクサンドルにとて、理解している事。
 バイクが己の意思を持つかのように機敏に森の中を駆け、飛来する流れ弾を回避しながら、守りに入った人間側の陣形を突破していく。
 ――そこへ、一陣の風が巻き起こった。
 それはただの風ではない。驚くべき精度でそれは、高速走行中のバイクを捉え。驚くべき強度でそれは、激突した。

「大丈夫ですか、マスター!」
 地面に転がったバイクは、即座に女性型に変形し。それを利用して体勢を立て直し、腕を地面につけて慣性を殺す。その者が直ぐに気遣ったのは、自身ではなく、己が『マスター』
「ああ…それよりも、準備しろ――マティリア」

 ――『風』は、一人の歪虚。胸をぼよんと揺らしながら、着地して滑り慣性を殺す。
「あんた、面白そうな人じゃん」
 ――『千影戦姫』龍道 千影が、そこには降り立っていた。

「――不味いな」
 今の足止めを受けた事で、周囲のハンターたちに気づかれた。数は少ないながらも、『寄って来ている』。
 しかも目の前の歪虚とアレクサンドルの相性は、『悪い』と言わざるを得ない。――『Life to Lifeless』が使えない。
「さーて、やろうよー!」
 出現した一体の分身、それは本体と一緒に、アレクサンドルへと襲い掛かり――
「マスターに……触れるなっ!!」
 巨大な光の奔流によって、薙ぎ払われた。

「おー、あぶなっ!」
 煤けた服を、ぱたぱた叩く千影。
「マスター。ご心配なく。――その程度の幻影、私が打ち払って見せましょう」
 構えたのは、腰から伸びる長大な砲。
 放たれた光の軌跡で幻影を薙ぎ払ったマティリア。幻影を盾にしなければ、己の身も危なかっただろうと、舌打ちする千影。
(けど……エネルギーチャージに時間は掛かるはず。なら――)
 と、その時。
 騒ぎを聞きつけたハンターたちが、ついに到着したのであった。

 ――戦場は、相変わらず混迷。
 それは如何なる方向へと、動くのだろうか。

リプレイ本文

●介入

「っち、やるねぇ…!」
 千影とアレクサンドル、そしてマティリアの対決は――アレクサンドル側が、圧倒していた。
 確かにアレクサンドルは、千影とは相性が悪い。
 ――然し、それは飽くまでも、『一対一の場合』だ。

「サイドアーム、攻撃開始」
 マティリアの装甲の間から、硬化した触手状の刃が現れ、幻影を引き裂く。
 それを突破するかのように、身体を弾丸と化した、千影の飛び蹴りが、マティリアを狙うが……
「甘い」
 巨大な鋼鉄の腕が交差され、蹴撃を受け止める。
 隙間から、アレクサンドルの手が伸ばされ、千影の腕を掴む!
「Weather the Elder――Transfer」
「っ……いきなり手を掴むのは、失礼だと思わない?」
 回し蹴りを放ち連結を断ち切ろうとした、その刹那。
 鉄柱が如き砲身が、彼女を横から襲った。

(「まずいかな…これは。アレを使わざるを得ないかも」)
 千影が、脳裏に最後の手段を浮かべた直後。
「おい、女の子を二人でボコボコにすんのは…ちょっと酷くねぇか」
 ガン。追撃しようとした鉄の巨腕を受け止めたのは、ミリア・コーネリウス(ka1287)の大剣。
「ああ、そうだ。防備だけ固めておいてほしいっす。…ああ、こっちへの増援は無用っすよ」
 そしてその後ろで、トランシーバーによる通信を切った無限 馨(ka0544)も、また続く。

(「なんかデジャヴ……」)
 以前にも、この様に、千影の介入によりほぼ三つ巴になった時がある。
 思い出し、魔力を練る十色 エニア(ka0370)。
「ハァッ!」
 ボルディア・コンフラムス(ka0796)の戦斧が地を割り。回避を余儀なくされたアレクサンドルの距離が、マティリアと離れる。
 続いて二発、三発。直撃こそ避けた物の、距離はどんどんと離れていく。 
「マスター!」
「させ…ない」
 助けに入ろうとしたマティリア。その瞬間、彼女の前に回りこむシェリル・マイヤーズ(ka0509)。
「邪魔を…するな!」
 飛び出す刃の触手。それが、シェリルに触れようとした、その瞬間。
「な……」
 エニアが放ち、マティリアに降り注ぐ冷気が、スライムを固形化させる。
 ガン。
「思ったより…硬い」
 振動刀の峰で装甲板を叩き、歪ませようとした。が、その下でスライムの一部が支えていたのと、装甲板の硬度の関係で成せず。
「この…っ!」
 巨大な鉄柱と化したその砲が振り下ろされる。
「っ……」
 一撃を受け止めたのは、ジョージ・ユニクス(ka0442)。全身を重装に包む彼だからこそ、大きなダメージには成っていない。そのまま、流れるような反撃が、マティリアを突き飛ばす!
「ぐぁ…っ!」
 スライムの一部が氷結され、ダメージの軽減が思うように行かなかったのもあり、ダメージは思いの他大きい。
「その首――もらったっす!」
 高速で疾駆する馨。槍が狙うのは――マティリアの頭部。
「甘く――見るな!」
 左肩の装甲からスライムを引きずりこむようにして表面の氷を削ぎ落とし、逆に、右肩の装甲から、スライムの触手を硬化させ、突き出す!
 槍先と突先が交差し、両者が僅かに逸れる。槍はマティリアの頬を掠め、突先は馨の肩を掠めた。
「欲張りすぎたっすかねぇ」
 後退する馨。睨み合いとなる両者。僅かにマティリアが、アレクサンドルの方へと目線を向けると――その唇が、驚くべき指示を紡いだ事を目の当たりにする。

『距離を離せ』

 ――マスターの命は絶対だ。然し、それは即ち、マスターを危険に晒す事も意味する。
 苦悩する彼女の隙に付け入るようにして、シェリルの手裏剣による追撃。それを何とか弾いた瞬間、詰め寄る馨。殴打でそれを弾こうとすると、間にジョージが割って入る。
 一撃を受け止め、放たれる突きでのカウンター。それを、スライムを硬化させ、受け止める。
(「さすがに近い…ここだと巻き込んじゃうね」)
 ブリザードは使えない。馨とジョージがマティリアに近すぎるからだ。
 エニアの手から放たれたのは、氷の弾丸、アイスボルト。それを、スライムの触手を引っ込めるように回避したマティリア。
 ――このままでは、援護にはいけない。

「俺が信じられないか?マティリア!」
「いえ、マスター。…了解致しました」
 少しずつ、マティリアもまた、後退していく。


●時間稼ぎ

「いつだかのお前の問いの答えだ」
 斧を地面に突き立て、胸を張って。ボルティアが、アレクサンドルに語りかける。
「俺が助けたヤツが誰かを殺したンなら、俺がキッチリツケを払わせる。……そして、犠牲になったヤツ等以上の人を助ける!……例え死んでも、人類滅ぼすなんてダセェ真似はしねえ!」
「そうか。結局、人を助けては殺す。助けては殺す。その繰り返しを『人が滅びるまで繰り返す』のか。――神にでも、なったつもりか?」
 冷たい声。

「あっ…お久しぶりです、アレックスさん!」
 笑顔を浮かべながら、アルマ・アニムス(ka4901)が、アレクサンドルに手を振る。
 アレクサンドルが、彼に目線を向ける。
「あの二人アレックスさんのお友達です?お名前聞いていいですー?」
「それは本人たちに聞いてくれたまえ。おっさんがお前さんに彼女たちの名を教える必要があるのかね?」
「……僕、何か間違えたですかね?」
 首を傾げるアルマに、アレクサンドルは首を呆れたように横に振る。

「そうだ。僕、結婚する事になったんです」
 その相手である、ミリアの方に目を向ける。
「色々ありまして。…アレックスさんのお蔭ですから。今を逃すと言えなくなる気がしたので、どうしても…場違いでごめんなさいっ」
「そうか。それは祝うべきなのだろうか?」
 飽くまでも、無関心。――いや、そうではないか。
「愛する者を持つという事は、即ち避けられぬ弱点を持つと言うことだ。……おっさんがその者に手を掛けた時。お前さんはまだ、おっさんを許せるのかね?」
「その前に止めて見せます!」
 飽くまでも笑顔を浮かべたまま、アルマは即答する。

 ボルティアの心には、ある疑問が浮かんでいた。
 本来アレクサンドルは、さっさとマティリアへの合流を目指すはずだ。それを止める為に、ボルティアは準備をしていた。
 ――それが、のらりくらりとやり取りをしている。触れた物からゴーレムを生成する準備をしているのか?だが、それらは立ち上がらない。
 不吉な予感が、脳裏を過ぎる。

「なぁ、そこの姉さん。あれのどっちか、譲ってもらって良いか?」
 ミリアが、肩で息をする千影に近づく。
「やりたいなら両方、譲ってあげるよ。あたしはこれでおさらばだ」
「…!」
 背を向ける千影。
「不利になって――負けそうになった時に助けてもらって、戦える程、あたしの誇りは安くはないさ」
 己の武術に誇りを持つ千影にとって。敗北寸前の時に助けてもらうのは、大きな屈辱だ。
 故に、彼女に既に戦意はなく。戦場から、撤退した。

 膠着状態が、続いた。ボルティアは飽くまでも合流阻止を目標としており、アレクサンドルもまた――彼の戦術の為に、攻撃を行わず、寧ろ言葉によっての時間稼ぎを主とし、そして少しずつ歩むことで…距離を離していた。
 ――時間だけが、過ぎていく。そして――アレクサンドルの一言によって、均衡は破られた。

「来い、マティリア――ッ!」


●戦場の伸縮

 マティリア側の戦況は、決して芳しくはなかった。氷結攻撃をスライム部位に受ければ、一瞬ではあるがスライムによる防御が下がり。それを突いた馨とシェリルの攻撃に晒される事になる。
 加え、反撃しようとすればジョージの更なるカウンターに晒される事になる。自然と、彼女は防戦一方になっていた。

 だが――その彼女に、マスターの命は届いた。
「来い、マティリア――ッ!」
「Yes、マスター」
 即座に、彼女は、マスターの意思を理解する。高速でその形態が、バイクのそれへと、変わっていく。
「F…いや、Gもありそうなアレがもう見納めになるんっすか……」
 ちょっと残念そうな馨。男の性、と言う物なのだろう。
「くっ…!」
 変形した瞬間を狙ったジョージの一撃は、装甲板に弾かれる。余りに変形プロセスが高速すぎる。隙間を狙って妨害するには、相当の精密度、そして速度が必要となるだろう。

 変形したマティリアは、即座に加速。突進を開始する。狙うのは――彼女の囲いに於ける唯一の『遠距離型』。即ち――エニア。
「この――!」
 放たれる氷嵐。然しそれをウィリー走行で、前輪の回転による風圧と突進の風圧を合わせて強引に押し退け。マティリアは、交差するようにエニアに体当たりし、そのまま抜けていく。方向の関係で一瞬にしてジョージの射程を脱し、ランアウトを使ったシェリルが投げた手裏剣も、表面装甲を掠めただけ。
 その姿が、視界から消える。
「この――!」
 追いすがろうとする馨。だが、瞬脚を以ってしても、『バイクの』速度に追いつくのは、困難であると言わざるを得ない。
 ――誰も、追いつくだけの手段は、持っていなかった。
「そっちへ…行った」
 シェリルの、別班への連絡が、唯一の警告となった。


●挟撃

「抜かれたか――!」
 加速度は、千影との一戦で十分に見えていた。故に、反応出来た。
「ぐっ……!!」
 大剣で強引にホイールを受け止める。然し、強烈な突進力によって完全には受け止め切れず。押し倒されそうになるミリア。
「ミリア!」
 援護に向かおうとしたアルマを、然し、石の巨人が遮る事になる。
「Life to Lifeless――!」
 既にこの能力の抑えになっていた、千影は戦場に居ない。
 周囲から大量の、石や木の巨人たちが立ち上がる。先ほどのらりくらりと歩きながらの話は、時間稼ぎであったと共に、この能力への布石だったのか。
 
「アッハハハハッ!!こっちをお見せするのは初めてですかねェ!?」
 狂笑と共に放たれるアルマの青き炎が、木の巨人を焼き落とす。
 だが、それは飽くまでも前方。他の三方向は、未だに囲まれている。
「――こんにちわ、だ」
 焼け落ちた巨人の跡から、奇襲するはアレクサンドル自身。
 至近距離から投げつけられるメス。
「――ごめんなさい!」
 展開される、雷撃の壁。それはメスを弾き飛ばし、同時にアレクサンドルを押し飛ばし、麻痺させる。
「マスター!」
「来るなマティリア――そのまま撃て!」
 麻痺したアレクサンドルは、然しそのまま、周囲のゴーレムたちに指示を出す。それは一斉にアルマを取り囲む。
「離れてくださいっ!」
 アルマの放つ、青い火が前方を焼き払う。
「どきやがれ!」
 それと同時に、ボルティアが殴りつけるように、アルマが飛ばしたアレクサンドルを更に戦斧で押し出す。
 そのアルマには――巨大な砲が、向けられていた。

「この――!」
 背後から、大剣がマティリアに猛然と叩きつけられる。愛する者を救うために。全力を乗せた一突きは、防御の為に展開された、硬化されたスライムをも貫通する。然し。刃が身体に食い込んで尚、マティリアは砲撃の構えを崩さない。それが彼女の――マスターの命故に。
 ビュン。
 甲高い電解音と共に、放たれるは蒼雷の光。狙われたアルマは強引に障壁を展開するものの、それは即ち、回避の放棄と同意。マティリアに電撃を加えるのと引き換えに、雷光は彼の背を貫き、そして。
「己が正義あらば、力を持って示せ。そう言ったはずだな?」
 巨大な鉄腕が、彼を地面に叩き付けた。

「こいつを倒せば…!」
 マティリアを撃破すれば、アレクサンドルに撤退を迫れるかもしれない。そう考えたミリアは、更に刃を押し込む。もう少し距離があれば、加速度を利用して火力を更に上げられたのだが…
 次の瞬間。突き出されたスライムの触手が、ミリアの腹部を貫いた。押し出すと共に、砲が向けられる。
 撃たれる前に倒そうと突撃するミリアだが、その前にアレクサンドルが立ちはだかる。
「手出しは…そこまでにしてもらおうか」
 手をかざすと、噴出される灰色の液体。それは一瞬にしてミリアの足元で硬化し、移動を封じる!
 ――『Instant Concrete Glue』。前回アレクサンドルが手に入れた、もう一つの『夢物語』。
 近接攻撃手段のみを持つミリアにとって、それは致命的であった。

「そこかぁぁ!」
 光学迷彩マントで姿をくらましたアレクサンドル。然し、ボルティアの超嗅覚の前では、それは完全なる隠蔽とは成り得ない。周囲のゴーレムを砕いた彼女の斧が、アレクサンドルに迫る。
「ぐっ…!」
 メスの爪を交差させ、受け止める物の…腕力の差は歴然。膝を突くアレクサンドル。
「ぐぅ!?」
 ガン。
 後頭部に猛烈な一撃を受け、倒れるボルティア。
 ――状況は既に、2対1なのである。


●終局

 味方からの連絡が途切れた事に、ジョージは焦りを抑えられないでいた。
 あちらのグループに居る二人は、彼の大切な友なのだ。
「――っ!」
 敵が見えた時。既に砲は、彼らに向けられていた。
 すぐさま散開するハンターたち。エニアの氷弾がアレクサンドルを牽制し、シェリルの手裏剣が、砲を狙う。
 カン。
 砲身を振るったマティリアにより、それは打ち返され、彼女の隣の木に、突き刺さる。だが、一瞬の発射の遅れは、ジョージの接近に十分な時間を与えていた。
「!」
 タックルと共に砲を掴み、押さえ込もうとするジョージ。
「…ハァァ!」
 それを、マティリアは、彼ごと持ち上げ、『振り回した』。
 ――押さえ込むために必要なのは、『腕力』。重装故に重量があるとはいえ、ジョージの腕力はボルティアやミリアのそれには及ばない。
 地面に叩きつけられ、そして――
「破砕する」
 ゴン。
 突き立てられた砲身からの砲撃が、地を割り、揺らした。

「まずいっすね……」
 既に半数以上のハンターたちが倒れた。
 マティリアも相当損耗しているとは言え、アレクサンドルは尚もゴーレムを増やしている。
 それを踏まえた馨が、最後の賭けに出る。
「もう本隊に連絡済みっすから、ここで暴れても無駄っすよ?」
 手に持った無線機を、掲げる。
「…何故、おっさんはあんたの脅しを信じなければならない?」
 冷ややかに返すアレクサンドル。
「信じなくてもいいっすよ。見れば分かる事っすから」

 ハンターたちが去った後。フフフ、とアレクサンドルが笑いを漏らす。
「――もしも本当に、防備が固められているとしたのならば。それはそれで、幸運だ」
 マティリアの損耗は激しい。正面からの突破は無理だ。
 ――正面から馬鹿正直に、突破するならば――の話だが。
「マティリア。チャージを開始しろ」
「Yes、マスター」
「ターゲットは探知可能だな?」
「はい。散開している熱源を探知するのはこの距離では無理ですが、一箇所に集まっているのでしたら」

 一刻後。巨大な爆発と共に。彼に備えるため集結した防衛部隊の大半は――消滅したのだった。

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MVP一覧

  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニアka0370
  • カコとミライの狭間
    ジョージ・ユニクスka0442

重体一覧

  • カコとミライの狭間
    ジョージ・ユニクスka0442
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソードka1287
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワースka4901

参加者一覧

  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • カコとミライの狭間
    ジョージ・ユニクス(ka0442
    人間(紅)|13才|男性|闘狩人
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • スピードスター
    無限 馨(ka0544
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/04/04 22:19:54
アイコン 相談卓
シェリル・マイヤーズ(ka0509
人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/04/08 21:09:08
アイコン 質問卓
シェリル・マイヤーズ(ka0509
人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/04/03 23:46:45