ゲスト
(ka0000)
【幻魂】灼溶爆炎/人魚水斬
マスター:とりる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/04/22 09:00
- 完成日
- 2016/04/28 15:09
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――大幻獣『フェンリル』の死。
突如訪れた別離は、スコール族のファリフ・スコール(kz0009)に大きな変化を与えていた。
試練を乗り越え、霊闘士の新たなる力が覚醒。
フェンリルを祖霊としたファリフは、幻獣の森へ侵攻せんとする歪虚を前に立ち塞がる。
一方、歪虚の青木燕太郎(kz0166)はある目的の前に――暗躍を開始する。
様々な思惑が入り交じる中、連合軍と歪虚は再び刃を交えようとしていた。
***
幻獣の森・北部。ネレイド族の戦闘部隊・第一第二小隊はハンターと協力して防衛線を敷いていた。
大きなイルカの旗章が掲げられたネレイド族本陣――。
「歪虚め……! やっと押し返したと思ったら更に包囲を固めてくるなんて……!」
依然として変わらない圧倒的不利な状況にネレイド族長、戦闘部隊総指揮官、ミサキ・ネレイド(kz0079)は歯噛みした。
「ミサキ様……このままでは……」
「解ってるよ、ヴァイン……」
ミサキはミサキを守る近衛隊隊長、ヴァイン・ネレイドの言葉に耳を傾けながら必死に思考を巡らせていた。
――この状況を打破する手立てはないか。
「村の防衛に残してきた第三小隊を援軍に呼ぼうにもこの包囲下では無理……」
――退くか? 否である。この包囲された状況でどこに逃げ場があるというのか。
それならば戦力を一点集中させて敵中突破を図るか? 否である。
友人であるファリフと、幻獣の森を見捨てることなど選択肢としてあり得ない。
ならば――答えは一つ。
「戦うよ。ヴァイン、アリサ、ミリレル、リリレル。私は逃げない。私は戦う。戦って、幻獣の森を守るよ」
ミサキは近衛隊全員の名を呼び、そして続けた。
「その結果が、どんなものになろうとも……! 絶対に退きはしない! ネレイド族の誇りにかけて! 私は魂の道の中で先代族長と約束したんだ……強くなるって!!」
ミサキが心の底から叫んだ瞬間、ミサキの身体が青色の輝きに包まれた。
噴出する正のマテリアルが放つ光はほどなく収束し、色と形を創り……ミサキの肉体に変化を与えた。
「ミサキ様……その御姿は……」
ヴァインは唖然としながらミサキを頭の天辺から足の爪先まで見回す。
「えっ? なに? どうしたの?」
「ご自分で確認してください!!」
アリサがミサキにリアルブルー製の手鏡を渡す。リリレルとミリレルもぽかーんと口を開けたまま固まっている。
「…………なにこれーーーー!? 人魚??」
そう、言うなればミサキの姿はまるで『人魚のように』変化していた。
ミサキの肉体は――耳が魚の鰭になり、胸や腕、下半身(ヘソから下)は青く煌めく魚の鱗で覆われており、尾びれの無い人魚のような美しい姿に。
ちなみに着用していた服や下着は何故か脱げて下に落ちていた。
「あ、なんか腕に付いてる」
ミサキが確認しようと、自分の腕を上げるとシュパッ! といった斬撃音が鳴った。
近くに居たアリサは慌てて避ける。
「危なっ!? ミサキ様それ刃物ですよ刃物! 魚の鰭の形をした鋭い刃物が両腕両脚に付いています! 危ないから不用意に動かないで下さい!」
三枚おろしにされそうになったアリサは頬に汗を浮かべながら声を上げた。
「おおぅ……ホントだ。切れ味抜群」
ミサキは試しに本陣に置いてあった食材の大根をスパスパ斬って見せる。
「それは明らかに斬撃用の武器ですね」
ヴァインはミサキの身体に起きた変化を冷静に観察し、発言。
「これは……状況から考えるに『霊闘士の奥義』ではないかと推測します」
「奥義……これが……大幻獣が示した奥義なんだ……」
ミサキは不思議そうに自分の身体に目をやる。
しばしの間。(ミサキの能力確認中)
「我がネレイド族……今のところミサキ様のみですが、その奥義は人魚化……と仮定しておいて、攻撃手段は鋭い鰭による水属性の斬撃のようですね」
ヴァインが現時点で判明したミサキの能力を述べると、本陣に伝令が入って来た。
「報告します! 歪虚軍に動きあり! 前回の火蜥蜴が多数です! このまま進軍するとハンター担当エリアに圧力が集中します!」
伝令は「下手をすると防衛線が瓦解する恐れも……」と付け加えた。
「解った。ありがとう。……ヴァイン、私はハンターさん達のところへ行く。全体指揮は任せた」
凛とした人魚姿のミサキがまっすぐにヴァインを見据える。
「かしこまりました。こちらはお任せください」
「私は戦うよ、この新しい力で。そして勝って、幻獣の森を守り抜くんだ!!」
近衛隊の「ご武運を」との声を耳にしつつ、ミサキは駆け出した。
***
歪虚軍・北部陣地――。
「ようやくハイルタイ殿が動くか。我も気合を入れぬとな」
古風な出で立ちをした長い髪の美しい少女がにやりと口元に笑みを浮かべる。
やや小柄な彼女の名は牙城・焔(がじょう・ほむら)。
火を操る堕落者であり、歪虚による幻獣の森攻めにおける北部担当の一指揮官。彼女自身の戦闘能力も高い。
「だが……」
ふいに焔はあごに手を当て思案顔に。
「この状況にあって敵の士気は上がったように見える……。何か変化があったというのか……」
絶望に追い込まれて自棄になっている様子でも無い。一体何が――。
「ふむ。奥の手でもあるのやもしれぬ。火蜥蜴達には積極的に攻撃させつつ、まずは様子を見るか」
迫りくる牙城・焔率いる歪虚の軍勢。それに対抗するのは新たな力を手に入れたミサキとハンター達。
両者が再び激突しようとしていた――。
突如訪れた別離は、スコール族のファリフ・スコール(kz0009)に大きな変化を与えていた。
試練を乗り越え、霊闘士の新たなる力が覚醒。
フェンリルを祖霊としたファリフは、幻獣の森へ侵攻せんとする歪虚を前に立ち塞がる。
一方、歪虚の青木燕太郎(kz0166)はある目的の前に――暗躍を開始する。
様々な思惑が入り交じる中、連合軍と歪虚は再び刃を交えようとしていた。
***
幻獣の森・北部。ネレイド族の戦闘部隊・第一第二小隊はハンターと協力して防衛線を敷いていた。
大きなイルカの旗章が掲げられたネレイド族本陣――。
「歪虚め……! やっと押し返したと思ったら更に包囲を固めてくるなんて……!」
依然として変わらない圧倒的不利な状況にネレイド族長、戦闘部隊総指揮官、ミサキ・ネレイド(kz0079)は歯噛みした。
「ミサキ様……このままでは……」
「解ってるよ、ヴァイン……」
ミサキはミサキを守る近衛隊隊長、ヴァイン・ネレイドの言葉に耳を傾けながら必死に思考を巡らせていた。
――この状況を打破する手立てはないか。
「村の防衛に残してきた第三小隊を援軍に呼ぼうにもこの包囲下では無理……」
――退くか? 否である。この包囲された状況でどこに逃げ場があるというのか。
それならば戦力を一点集中させて敵中突破を図るか? 否である。
友人であるファリフと、幻獣の森を見捨てることなど選択肢としてあり得ない。
ならば――答えは一つ。
「戦うよ。ヴァイン、アリサ、ミリレル、リリレル。私は逃げない。私は戦う。戦って、幻獣の森を守るよ」
ミサキは近衛隊全員の名を呼び、そして続けた。
「その結果が、どんなものになろうとも……! 絶対に退きはしない! ネレイド族の誇りにかけて! 私は魂の道の中で先代族長と約束したんだ……強くなるって!!」
ミサキが心の底から叫んだ瞬間、ミサキの身体が青色の輝きに包まれた。
噴出する正のマテリアルが放つ光はほどなく収束し、色と形を創り……ミサキの肉体に変化を与えた。
「ミサキ様……その御姿は……」
ヴァインは唖然としながらミサキを頭の天辺から足の爪先まで見回す。
「えっ? なに? どうしたの?」
「ご自分で確認してください!!」
アリサがミサキにリアルブルー製の手鏡を渡す。リリレルとミリレルもぽかーんと口を開けたまま固まっている。
「…………なにこれーーーー!? 人魚??」
そう、言うなればミサキの姿はまるで『人魚のように』変化していた。
ミサキの肉体は――耳が魚の鰭になり、胸や腕、下半身(ヘソから下)は青く煌めく魚の鱗で覆われており、尾びれの無い人魚のような美しい姿に。
ちなみに着用していた服や下着は何故か脱げて下に落ちていた。
「あ、なんか腕に付いてる」
ミサキが確認しようと、自分の腕を上げるとシュパッ! といった斬撃音が鳴った。
近くに居たアリサは慌てて避ける。
「危なっ!? ミサキ様それ刃物ですよ刃物! 魚の鰭の形をした鋭い刃物が両腕両脚に付いています! 危ないから不用意に動かないで下さい!」
三枚おろしにされそうになったアリサは頬に汗を浮かべながら声を上げた。
「おおぅ……ホントだ。切れ味抜群」
ミサキは試しに本陣に置いてあった食材の大根をスパスパ斬って見せる。
「それは明らかに斬撃用の武器ですね」
ヴァインはミサキの身体に起きた変化を冷静に観察し、発言。
「これは……状況から考えるに『霊闘士の奥義』ではないかと推測します」
「奥義……これが……大幻獣が示した奥義なんだ……」
ミサキは不思議そうに自分の身体に目をやる。
しばしの間。(ミサキの能力確認中)
「我がネレイド族……今のところミサキ様のみですが、その奥義は人魚化……と仮定しておいて、攻撃手段は鋭い鰭による水属性の斬撃のようですね」
ヴァインが現時点で判明したミサキの能力を述べると、本陣に伝令が入って来た。
「報告します! 歪虚軍に動きあり! 前回の火蜥蜴が多数です! このまま進軍するとハンター担当エリアに圧力が集中します!」
伝令は「下手をすると防衛線が瓦解する恐れも……」と付け加えた。
「解った。ありがとう。……ヴァイン、私はハンターさん達のところへ行く。全体指揮は任せた」
凛とした人魚姿のミサキがまっすぐにヴァインを見据える。
「かしこまりました。こちらはお任せください」
「私は戦うよ、この新しい力で。そして勝って、幻獣の森を守り抜くんだ!!」
近衛隊の「ご武運を」との声を耳にしつつ、ミサキは駆け出した。
***
歪虚軍・北部陣地――。
「ようやくハイルタイ殿が動くか。我も気合を入れぬとな」
古風な出で立ちをした長い髪の美しい少女がにやりと口元に笑みを浮かべる。
やや小柄な彼女の名は牙城・焔(がじょう・ほむら)。
火を操る堕落者であり、歪虚による幻獣の森攻めにおける北部担当の一指揮官。彼女自身の戦闘能力も高い。
「だが……」
ふいに焔はあごに手を当て思案顔に。
「この状況にあって敵の士気は上がったように見える……。何か変化があったというのか……」
絶望に追い込まれて自棄になっている様子でも無い。一体何が――。
「ふむ。奥の手でもあるのやもしれぬ。火蜥蜴達には積極的に攻撃させつつ、まずは様子を見るか」
迫りくる牙城・焔率いる歪虚の軍勢。それに対抗するのは新たな力を手に入れたミサキとハンター達。
両者が再び激突しようとしていた――。
リプレイ本文
●幻獣の森・第二次防衛戦
幻獣の森北部。ハンター担当エリア。
防衛を任されたハンター達が再び集まっていた。
霊闘士の奥義を発動したネレイド族族長、ミサキ・ネレイド(kz0079)の姿もある。
「奥義ですか、これが……」
奥義を発動し、人魚化したミサキを見やり、その美しい姿に米本 剛(ka0320)は思わず唸った。
(一つの事柄に対しての前進に出くわせるとは……中々どうして自分は運が良いですね)
「ならば……皆さんと共に敵の首級位とってこの場を盛り上げねばなりますまい!」
その意気や良し! である。
「私はアイラ。宜しくね」
アイラ(ka3941)はこれから共に戦う仲間へ挨拶。その後米本と同じ様にミサキへ視線を向ける。
「これがミサキの……凄いわ……」
部分部分を青く煌めく魚の鱗に覆われたミサキの肉体。女性らしい身体のラインが際立っている。
神秘さと共に……腕や脚に付いた鋭い刃物を思わせる魚の鰭状の物体は……明らかに戦闘用の形態という事が判る。
それにしばしアイラは見惚れていたが当のミサキから「宜しくお願いしますね」と声を掛けられ、ハッと我に返った。
「今回の戦いの鍵は間違いなくお前ら霊闘士の奥義だ」
言ったのは闘狩人のエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。
「俺にはその手の力がある訳じゃねぇからな、きっちりサポートに回って流れを作ってやるさ」
(……つっても、強敵との戦いを楽しむ気持ちは捨てきれんか!)
口ではサポートと言いつつも、自身も全力で戦うつもりである。
「燃えてる蜥蜴さんは熱そうだけど……やるしかないね! 森には近づけさせないのだー!」
戦いの鍵、と言われて小さな霊闘士のネフィリア・レインフォード(ka0444)もやる気十分。
「奴らはここで止める。森を燃やすなんてクルード(粗雑)だからな」
同じく霊闘士のキー=フェイス(ka0791)も気概を見せる。
「もりはだいじないのちのそだつばしょ! じゃもんっ!!」
ネフィよりも更に小さな霊闘士の泉(ka3737)。白虎の毛皮を被った彼女も気合十分。
「あらすわるいこはボクがメッ! ってしてやるんじゃもんっ♪」
彼女は今回、森にとって大きな脅威となる敵主力・火蜥蜴の対応に当たる。
程無くして主戦場となる平原、その遠くに火蜥蜴の群れが姿を現した。
「火蜥蜴……ってこたぁ、報告書で見たアイツだな?」
霊闘士であるボルディア・コンフラムス(ka0796)が言ったのは敵指揮官の事。その名は牙城・焔。
「会いたかったぜぇ……焔ァ!」
ボルディアは前回ハンターを翻弄したという焔との戦いに燃えていた。
『早く出て来い』という気持ちが顔、身に纏うオーラにも表れている。
「また来たんだね……この先には行かせないよ。森には沢山の生き物がいるんだ」
少女の様な顔立ちのルーエル・ゼクシディア(ka2473)も、森の危機に際してその表情は険しい物となっている。
「火遊びをして命を軽視する輩には、痛い目を見て貰わないといけないね?」
主兵装の杭打機を構える。
間もなく火蜥蜴の群れが射程内に入り、戦闘が始まった。
●VS火蜥蜴
幻獣の森を燃やし尽くすべく進軍する多数の火蜥蜴。それを阻むのはハンター達と人魚化したミサキ。
「はあぁっ! やあぁっ!」
米本は水属性を持つ巨大な大太刀を軽々と振るい、迫る火蜥蜴に斬撃を加える。
「これが火蜥蜴の延焼ダメージ……確かに熱い。だが、それがどうしたと言うのです!」
タフさには自信がある。自らを盾とし、仲間の壁となり、最前線で戦闘を行う。
「打ち貫くのだ! 熱くったって我慢するのだ!」
ネフィも杭打機を持って火蜥蜴相手に接近戦を仕掛ける。
爪や牙による攻撃は武器で受け止めた。
エヴァンスは水属性の突撃槍を持って火蜥蜴と交戦。
余計な手数を増やさず一撃必殺を狙い、側面から頭部を狙い、突く。
が、火蜥蜴もそれなりの知能を持つと共に生命力がある。
頭をずらして致命傷を避ける等、中々一撃とはいかなかった。
「ちっ、トカゲの癖に意外とやるじゃないか」
「それは前回で経験済みだ。あんまり舐めてると押し切られるぞ」
一旦下がったエヴァンスに対してそう言い、フェイスは【野生の瞳】を用いて周囲を見極めつつ、拳銃で射撃を行う。
正面からでは炎のブレスで視界を塞がれてしまう為、側面や斜めからの銃撃を試みる。
しかし今回は敵の数が前回よりも多く、火蜥蜴達は横に並んでブレスを吐き、遠距離攻撃を牽制してきた。
中々思い通りにはやらせて貰えない。
「クソが。それならよぉ!」
フェイスは武器を大鎌に持ち替えると共にペットの鼠二匹を傍に配置。
「行けよ! 【ファミリアアタック】!!」
火蜥蜴達の注意が再び前へ出たエヴァンスの方へ向いた一瞬の隙を突いて動物達に魔力を纏わせ、突撃させる。
それは確かに敵へダメージを与えたのだが……攻撃後、フェイスの元へ戻って来たのは真っ黒に焼け焦げた『何か』だった。
火蜥蜴の延焼ダメージにより……ペットの鼠は最早原型を留めていない……。鼠は忠実に主の命令に従い、そしてその小さく儚い命を散らせた……。
「…………」
それを見たフェイスはしばし目を見開いて硬直した後に、再び武器を拳銃へ持ち替え、やや距離を取り、銃撃を再開した。
***
「まずは火蜥蜴の掃除からだな」
ボルディアは戦斧を両手で握り締める。
「やり方? まっすぐ行ってブッ飛ばすに決まってんだろ。それ以外に方法なんて知らねぇし、第一俺が火を怖がってどうすンだ」
言葉通りに彼女は突撃し、戦斧の重量を活かして火蜥蜴に斬撃……いや打撃に近い。尚延焼ダメージは気にも留めない。
「どうした焔アァァァ! ビビッてンじゃねえぞ、出てこオオォォォォい!!」
未だ姿を現さない、どこかでこちらを監視しているであろう牙城・焔に向かってボルディアは雄叫びを上げる。
「どうせ前回の堕落者のお姉さんも、来る筈でしょう。あれだけ好戦的なんだから、何処かで見てる筈」
ルーエルは髪をなびかせて前線へ走り、杭打機を用いて火蜥蜴へ近接攻撃を行う。
延焼ダメージは熱く痛いが前回で多少慣れた。ルーエルは歯を食いしばり、再度攻撃。
「それまでになるべく火蜥蜴の数を減らして、負担を減らしておきたいね」
泉はまず【闘心昂揚】を使用してから動く。
火蜥蜴相手に近接攻撃。延焼の痛みを気にせず横薙ぎに斧を振るう。
【超聴覚】にて敵の動きを見逃さない様にし、観察を徹底。敵がブレスを吐くタイミングを見極める。
「こっからこっちはボクのじーんち! わるいこはいれてやらんのんじゃもん!!」
斧をまた横薙ぎに一振りし、境界線を設定。これ以上先へは行かせないという意思を示した。
アイラはミサキと共に行動。
「やあああ! ミサキさん!」
水属性の魔導斧を大きく振るって敵を怯ませ、ミサキが一刃の元に火蜥蜴を斬り伏せる。
「やっぱり凄いわね、それ」
「奥義だもの。これ位じゃないと面目が無いです」
そうして二人は次々と火蜥蜴を屠る。
暫くして――
「派手にやっているようだのぅ。我も混ぜてくれぬか」
堕落者、敵の指揮官、牙城・焔が姿を現した――。
●牙城・焔
焔の出現に際し、ハンター達はすぐさま反応。
「あのおねーさんの相手は任せたのだ。僕はこのまま蜥蜴さんを抑えておくのだ!」
言ったのはネフィ。焔の対応に当たる班が動く。
「悪いな、まずは俺の相手からして貰おうかお嬢ちゃん!」
真っ先に焔へ向かったのはエヴァンスかと思いきや。
「テメェ! ポッと出の癖に俺とキャラ被ってんじゃねえ!」
ボルディアも並走。焔へ突きと打撃が襲い掛かる。
「手厚い歓迎だな」
焔は素早く二刀を抜いて受け止めた。
「奥義は使えねぇ……だが死を乗り越えて命をかける覚悟ってやつぁ、傭兵の俺には日常茶飯事だぜ」
エヴァンスは数度突きを繰り出した後に一旦引き、勢いを付けて焔へ再接近。霊闘士の為にも敵の技を見極める!
「二刀流相手は東方の青年と特訓済みってな!」
焔は重い斬撃でボルディアを弾いた後にエヴァンスの攻撃を受け止めた。刀と穂先が激しく擦れ合い火花が散る。
「近いな。警戒してくると思ったが」
「だから?」
「ふ、【紅蓮爆刃】を使わせたいのだろう。ならばもっと燃えさせてみろ!」
「ぐっ!?」
先程と同じ重い斬撃。エヴァンスも弾き飛ばされた。
「お二人とも! すぐに回復を!」
米本は自分も前衛で戦いたいという欲求を押さえ、回復役として二人の傷をすぐさま癒す。
アイラは引き続きミサキと共に焔へ攻撃。
「ミサキさん!」
「了解!」
斧と鰭。受け止めた焔はハッとした表情を浮かべる。
「その姿――士気が上がった理由はそれか!」
***
火蜥蜴対応班――。
「多少熱くても気にしないのだ! 森が燃えちゃったら皆、もっと熱い思いするんだから!」
ネフィは【自己治癒】で回復しながら必死に杭打機で攻撃を行う。
「下からえぐり込むようにして……打つべし、なのだ!」
フェイスはやや距離を取り無言で射撃を継続。
光が迸る。ルーエルが放った【セイクリッドフラッシュ】だ。
彼はその後、焔対応班が抜けた事で圧力が増した前線を支えるべく、一度下がって前衛の回復を行う。
「あっちむいてホーイっ! じゃもんっ♪」
泉はこの様な厳しい状況でも悲観せず、天真爛漫に斧を振るった。
●奥義発動!
火蜥蜴対応班――。
「うー、数が多すぎなのだー! 熱いし多いし面倒! そろそろ数が減ってもいいんじゃないかな? かな?」
ネフィは焦りを覚えた。焔出現と共にまた火蜥蜴が増えたのだ。
かなりの数を倒した様に思えるが敵はまだ多数残っている。それなのに焔へ人数を割いてしまっている所為で――ピンチ。
一体の火蜥蜴に防衛線を突破されそうになったその時。
「ダメなのだーー!!」
ネフィが声を上げると共に、その身体が輝きに包まれた。
……光が収まると、そこに立っていたのは人型の猫と形容すべきネフィの姿。
「にゃうぅっ……わるいこばっかり! ゆるさんのじゃもん!! きらいきらい!! きらいなんじゃもーっ!!」
危機に際し、泉の身体にも変化が起きた。白い輝きに包まる。
……そして姿を現したのは人型の白虎となった泉の姿。
「それ以上は行かせないのだ! 森は……僕が全力で守るのだ!」
「そうなんじゃもーん!! ぜったいにとおさないんじゃもーん!!」
確固たる覚悟を示した二人は獣じみた手からシャキンと鋭い爪を伸ばし、火蜥蜴の群れへ飛び込んだ。
「うにゃあああ!!」
「じゃもおおん!!」
二人は、それなりにタフでありこれまで苦戦していた火蜥蜴を、まるで雑魚の様に蹴散らす。
敵はあっという間に数を減らしていった――。
***
「あれが奥義の力か」
敵の残数的に二人に任せても大丈夫と判断したフェイスとルーエルは焔の方へ向かった。
焔はエヴァンスとボルディア、アイラとミサキのペアと交互に打ち合っている。
そこで打ち合っていた二人を焔は弾いた後に二刀へ炎を纏わせ大きく振り上げ――
(アレを使う気だ!)
その隙にフェイスはダッシュ。焔に背後から抱き付いた。しかも手は胸を狙って。
「傷つくことが怖くてなぁ! ナンパできっかよ!! 遊び人舐めんな!! ……あ、この胸意外と」
フェイスの手にもにゅもにゅとした感触。しかし――
「お前……いい度胸だな」
冷笑を浮かべた焔がフェイスに視線を向ける。その殺気は彼は硬直。
「熱い抱擁にはこう返すと決めている! 【紅蓮爆刃】!!」
そのまま二刀を地面へ叩きつける焔。爆裂。爆発。
「ぐあああっ!?」
「まだだ! 助兵衛な輩は灰燼と化せ! 【灼溶爆炎】!!」
焔を中心として爆炎が巻き起こり、大きな火柱が上がった。
「――っ」
フェイスの皮膚が焼かれ、筋肉をも融解させ、骨にまで達し――
一瞬の出来事だが、この間がフェイスには長く感じられた。
(俺が……死ぬ……?)
フェイスの脳裏に先程の黒焦げになった鼠の無残な姿が浮かぶ。
(俺もああなるのか……? こんな、下らない事で……)
自業自得だとでも言うのか。嫌だ。死にたくない。爆炎の中でフェイスは思う。
その時。炎の中に輝きが生まれた。
高熱に焼かれて消し炭になるかと思われたフェイスの身体は巻き戻しの様に超回復する。
「……僕も負けていられないよね」
爆炎が止むとルーエルは【ジャッジメント】を使用。行動阻害を試みるも焔には弾かれた。
「なら!」
接近しての杭打機。
「効かぬ!」
「ぐっ!」
射出された杭は炎の刀に弾かれ、ルーエル自身も吹き飛ばされた。
***
「奥義……。俺も負けてられねぇ!」
焔へ駆けるエヴァンス。【紅蓮爆刃】の動作を確認。
彼は突きで片方の刀を跳ね上げる! が――
「だからどうしたと言う」
もう片方の刀が突撃槍へ打ち下ろされた。爆裂。
「なんだと!?」
吹き飛ばされるエヴァンス。米本がすかさずカバーに入る。
続いて突貫するのはボルディア。
「テメェは破壊、俺は再生! どっちの炎がより燃えるか……勝負といこうじゃねえかアアァァァ!!」
【ワイルドラッシュ】による猛攻。彼女は既に『焔を仕留める』という覚悟の元に奥義を発動していた。
「どうした、好きなだけ打ち込んできやがれェ!」
「お望み通りにしてくれる! 【紅蓮爆刃】が弐!!」
斬撃一つ一つが爆発を伴う凄まじい攻撃の嵐。
「まだぁ! 俺は死なねェ!!」
ボルディアは雄叫びを上げ、超回復。だが爆発は続く。途絶えた一瞬を狙って、
「――っ!」
ボルディアはカウンターの一撃を焔に入れた。焔の肩口に傷を付ける。
一方、アイラ。仲間の激闘を目にした彼女。
(死ぬのは怖い。だけどそれで逃げたら他の人が危険に晒される大事な人を失い、私自身も何か大切なものを失う。それだけは絶対に嫌)
確固たる想い。
(絶望にあっても戦い続ける意味を、私はそれこそ過去の風景からネレイド族の人に教わった。森は全ての命を守る故郷)
「それを、ただ破壊しか考えない人に壊させたくなんかない!」
彼女の声は祖霊に届き、奥義が発動! 彼女はまた声を上げる。
「ミサキさん! 一緒にお願い! あの時みたいに!」
(今回は過去の幻じゃない。全て目の前の、私達の現実)
「現実は、頑張ったら頑張っただけ結果が出る! そう信じよう! 今度こそ、守る! 守れる!! 皆、全部。全て!」
アイラはミサキと共に駆ける。焔へ。
「あなたは邪魔よ! 壊す者、大嫌い!!」
焔の攻撃をアイラが受け止め、ミサキが攻撃を加える。阿吽の呼吸とも言える連携に焔は一時押された。
「……っ。【灼溶爆炎】!!」
また爆炎と火柱が上がる。炎の中で焔の声だけがした。
「今回はここで退こう。見事だ」
こうして焔は撤退。幻獣の森北部は守られた。
幻獣の森北部。ハンター担当エリア。
防衛を任されたハンター達が再び集まっていた。
霊闘士の奥義を発動したネレイド族族長、ミサキ・ネレイド(kz0079)の姿もある。
「奥義ですか、これが……」
奥義を発動し、人魚化したミサキを見やり、その美しい姿に米本 剛(ka0320)は思わず唸った。
(一つの事柄に対しての前進に出くわせるとは……中々どうして自分は運が良いですね)
「ならば……皆さんと共に敵の首級位とってこの場を盛り上げねばなりますまい!」
その意気や良し! である。
「私はアイラ。宜しくね」
アイラ(ka3941)はこれから共に戦う仲間へ挨拶。その後米本と同じ様にミサキへ視線を向ける。
「これがミサキの……凄いわ……」
部分部分を青く煌めく魚の鱗に覆われたミサキの肉体。女性らしい身体のラインが際立っている。
神秘さと共に……腕や脚に付いた鋭い刃物を思わせる魚の鰭状の物体は……明らかに戦闘用の形態という事が判る。
それにしばしアイラは見惚れていたが当のミサキから「宜しくお願いしますね」と声を掛けられ、ハッと我に返った。
「今回の戦いの鍵は間違いなくお前ら霊闘士の奥義だ」
言ったのは闘狩人のエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。
「俺にはその手の力がある訳じゃねぇからな、きっちりサポートに回って流れを作ってやるさ」
(……つっても、強敵との戦いを楽しむ気持ちは捨てきれんか!)
口ではサポートと言いつつも、自身も全力で戦うつもりである。
「燃えてる蜥蜴さんは熱そうだけど……やるしかないね! 森には近づけさせないのだー!」
戦いの鍵、と言われて小さな霊闘士のネフィリア・レインフォード(ka0444)もやる気十分。
「奴らはここで止める。森を燃やすなんてクルード(粗雑)だからな」
同じく霊闘士のキー=フェイス(ka0791)も気概を見せる。
「もりはだいじないのちのそだつばしょ! じゃもんっ!!」
ネフィよりも更に小さな霊闘士の泉(ka3737)。白虎の毛皮を被った彼女も気合十分。
「あらすわるいこはボクがメッ! ってしてやるんじゃもんっ♪」
彼女は今回、森にとって大きな脅威となる敵主力・火蜥蜴の対応に当たる。
程無くして主戦場となる平原、その遠くに火蜥蜴の群れが姿を現した。
「火蜥蜴……ってこたぁ、報告書で見たアイツだな?」
霊闘士であるボルディア・コンフラムス(ka0796)が言ったのは敵指揮官の事。その名は牙城・焔。
「会いたかったぜぇ……焔ァ!」
ボルディアは前回ハンターを翻弄したという焔との戦いに燃えていた。
『早く出て来い』という気持ちが顔、身に纏うオーラにも表れている。
「また来たんだね……この先には行かせないよ。森には沢山の生き物がいるんだ」
少女の様な顔立ちのルーエル・ゼクシディア(ka2473)も、森の危機に際してその表情は険しい物となっている。
「火遊びをして命を軽視する輩には、痛い目を見て貰わないといけないね?」
主兵装の杭打機を構える。
間もなく火蜥蜴の群れが射程内に入り、戦闘が始まった。
●VS火蜥蜴
幻獣の森を燃やし尽くすべく進軍する多数の火蜥蜴。それを阻むのはハンター達と人魚化したミサキ。
「はあぁっ! やあぁっ!」
米本は水属性を持つ巨大な大太刀を軽々と振るい、迫る火蜥蜴に斬撃を加える。
「これが火蜥蜴の延焼ダメージ……確かに熱い。だが、それがどうしたと言うのです!」
タフさには自信がある。自らを盾とし、仲間の壁となり、最前線で戦闘を行う。
「打ち貫くのだ! 熱くったって我慢するのだ!」
ネフィも杭打機を持って火蜥蜴相手に接近戦を仕掛ける。
爪や牙による攻撃は武器で受け止めた。
エヴァンスは水属性の突撃槍を持って火蜥蜴と交戦。
余計な手数を増やさず一撃必殺を狙い、側面から頭部を狙い、突く。
が、火蜥蜴もそれなりの知能を持つと共に生命力がある。
頭をずらして致命傷を避ける等、中々一撃とはいかなかった。
「ちっ、トカゲの癖に意外とやるじゃないか」
「それは前回で経験済みだ。あんまり舐めてると押し切られるぞ」
一旦下がったエヴァンスに対してそう言い、フェイスは【野生の瞳】を用いて周囲を見極めつつ、拳銃で射撃を行う。
正面からでは炎のブレスで視界を塞がれてしまう為、側面や斜めからの銃撃を試みる。
しかし今回は敵の数が前回よりも多く、火蜥蜴達は横に並んでブレスを吐き、遠距離攻撃を牽制してきた。
中々思い通りにはやらせて貰えない。
「クソが。それならよぉ!」
フェイスは武器を大鎌に持ち替えると共にペットの鼠二匹を傍に配置。
「行けよ! 【ファミリアアタック】!!」
火蜥蜴達の注意が再び前へ出たエヴァンスの方へ向いた一瞬の隙を突いて動物達に魔力を纏わせ、突撃させる。
それは確かに敵へダメージを与えたのだが……攻撃後、フェイスの元へ戻って来たのは真っ黒に焼け焦げた『何か』だった。
火蜥蜴の延焼ダメージにより……ペットの鼠は最早原型を留めていない……。鼠は忠実に主の命令に従い、そしてその小さく儚い命を散らせた……。
「…………」
それを見たフェイスはしばし目を見開いて硬直した後に、再び武器を拳銃へ持ち替え、やや距離を取り、銃撃を再開した。
***
「まずは火蜥蜴の掃除からだな」
ボルディアは戦斧を両手で握り締める。
「やり方? まっすぐ行ってブッ飛ばすに決まってんだろ。それ以外に方法なんて知らねぇし、第一俺が火を怖がってどうすンだ」
言葉通りに彼女は突撃し、戦斧の重量を活かして火蜥蜴に斬撃……いや打撃に近い。尚延焼ダメージは気にも留めない。
「どうした焔アァァァ! ビビッてンじゃねえぞ、出てこオオォォォォい!!」
未だ姿を現さない、どこかでこちらを監視しているであろう牙城・焔に向かってボルディアは雄叫びを上げる。
「どうせ前回の堕落者のお姉さんも、来る筈でしょう。あれだけ好戦的なんだから、何処かで見てる筈」
ルーエルは髪をなびかせて前線へ走り、杭打機を用いて火蜥蜴へ近接攻撃を行う。
延焼ダメージは熱く痛いが前回で多少慣れた。ルーエルは歯を食いしばり、再度攻撃。
「それまでになるべく火蜥蜴の数を減らして、負担を減らしておきたいね」
泉はまず【闘心昂揚】を使用してから動く。
火蜥蜴相手に近接攻撃。延焼の痛みを気にせず横薙ぎに斧を振るう。
【超聴覚】にて敵の動きを見逃さない様にし、観察を徹底。敵がブレスを吐くタイミングを見極める。
「こっからこっちはボクのじーんち! わるいこはいれてやらんのんじゃもん!!」
斧をまた横薙ぎに一振りし、境界線を設定。これ以上先へは行かせないという意思を示した。
アイラはミサキと共に行動。
「やあああ! ミサキさん!」
水属性の魔導斧を大きく振るって敵を怯ませ、ミサキが一刃の元に火蜥蜴を斬り伏せる。
「やっぱり凄いわね、それ」
「奥義だもの。これ位じゃないと面目が無いです」
そうして二人は次々と火蜥蜴を屠る。
暫くして――
「派手にやっているようだのぅ。我も混ぜてくれぬか」
堕落者、敵の指揮官、牙城・焔が姿を現した――。
●牙城・焔
焔の出現に際し、ハンター達はすぐさま反応。
「あのおねーさんの相手は任せたのだ。僕はこのまま蜥蜴さんを抑えておくのだ!」
言ったのはネフィ。焔の対応に当たる班が動く。
「悪いな、まずは俺の相手からして貰おうかお嬢ちゃん!」
真っ先に焔へ向かったのはエヴァンスかと思いきや。
「テメェ! ポッと出の癖に俺とキャラ被ってんじゃねえ!」
ボルディアも並走。焔へ突きと打撃が襲い掛かる。
「手厚い歓迎だな」
焔は素早く二刀を抜いて受け止めた。
「奥義は使えねぇ……だが死を乗り越えて命をかける覚悟ってやつぁ、傭兵の俺には日常茶飯事だぜ」
エヴァンスは数度突きを繰り出した後に一旦引き、勢いを付けて焔へ再接近。霊闘士の為にも敵の技を見極める!
「二刀流相手は東方の青年と特訓済みってな!」
焔は重い斬撃でボルディアを弾いた後にエヴァンスの攻撃を受け止めた。刀と穂先が激しく擦れ合い火花が散る。
「近いな。警戒してくると思ったが」
「だから?」
「ふ、【紅蓮爆刃】を使わせたいのだろう。ならばもっと燃えさせてみろ!」
「ぐっ!?」
先程と同じ重い斬撃。エヴァンスも弾き飛ばされた。
「お二人とも! すぐに回復を!」
米本は自分も前衛で戦いたいという欲求を押さえ、回復役として二人の傷をすぐさま癒す。
アイラは引き続きミサキと共に焔へ攻撃。
「ミサキさん!」
「了解!」
斧と鰭。受け止めた焔はハッとした表情を浮かべる。
「その姿――士気が上がった理由はそれか!」
***
火蜥蜴対応班――。
「多少熱くても気にしないのだ! 森が燃えちゃったら皆、もっと熱い思いするんだから!」
ネフィは【自己治癒】で回復しながら必死に杭打機で攻撃を行う。
「下からえぐり込むようにして……打つべし、なのだ!」
フェイスはやや距離を取り無言で射撃を継続。
光が迸る。ルーエルが放った【セイクリッドフラッシュ】だ。
彼はその後、焔対応班が抜けた事で圧力が増した前線を支えるべく、一度下がって前衛の回復を行う。
「あっちむいてホーイっ! じゃもんっ♪」
泉はこの様な厳しい状況でも悲観せず、天真爛漫に斧を振るった。
●奥義発動!
火蜥蜴対応班――。
「うー、数が多すぎなのだー! 熱いし多いし面倒! そろそろ数が減ってもいいんじゃないかな? かな?」
ネフィは焦りを覚えた。焔出現と共にまた火蜥蜴が増えたのだ。
かなりの数を倒した様に思えるが敵はまだ多数残っている。それなのに焔へ人数を割いてしまっている所為で――ピンチ。
一体の火蜥蜴に防衛線を突破されそうになったその時。
「ダメなのだーー!!」
ネフィが声を上げると共に、その身体が輝きに包まれた。
……光が収まると、そこに立っていたのは人型の猫と形容すべきネフィの姿。
「にゃうぅっ……わるいこばっかり! ゆるさんのじゃもん!! きらいきらい!! きらいなんじゃもーっ!!」
危機に際し、泉の身体にも変化が起きた。白い輝きに包まる。
……そして姿を現したのは人型の白虎となった泉の姿。
「それ以上は行かせないのだ! 森は……僕が全力で守るのだ!」
「そうなんじゃもーん!! ぜったいにとおさないんじゃもーん!!」
確固たる覚悟を示した二人は獣じみた手からシャキンと鋭い爪を伸ばし、火蜥蜴の群れへ飛び込んだ。
「うにゃあああ!!」
「じゃもおおん!!」
二人は、それなりにタフでありこれまで苦戦していた火蜥蜴を、まるで雑魚の様に蹴散らす。
敵はあっという間に数を減らしていった――。
***
「あれが奥義の力か」
敵の残数的に二人に任せても大丈夫と判断したフェイスとルーエルは焔の方へ向かった。
焔はエヴァンスとボルディア、アイラとミサキのペアと交互に打ち合っている。
そこで打ち合っていた二人を焔は弾いた後に二刀へ炎を纏わせ大きく振り上げ――
(アレを使う気だ!)
その隙にフェイスはダッシュ。焔に背後から抱き付いた。しかも手は胸を狙って。
「傷つくことが怖くてなぁ! ナンパできっかよ!! 遊び人舐めんな!! ……あ、この胸意外と」
フェイスの手にもにゅもにゅとした感触。しかし――
「お前……いい度胸だな」
冷笑を浮かべた焔がフェイスに視線を向ける。その殺気は彼は硬直。
「熱い抱擁にはこう返すと決めている! 【紅蓮爆刃】!!」
そのまま二刀を地面へ叩きつける焔。爆裂。爆発。
「ぐあああっ!?」
「まだだ! 助兵衛な輩は灰燼と化せ! 【灼溶爆炎】!!」
焔を中心として爆炎が巻き起こり、大きな火柱が上がった。
「――っ」
フェイスの皮膚が焼かれ、筋肉をも融解させ、骨にまで達し――
一瞬の出来事だが、この間がフェイスには長く感じられた。
(俺が……死ぬ……?)
フェイスの脳裏に先程の黒焦げになった鼠の無残な姿が浮かぶ。
(俺もああなるのか……? こんな、下らない事で……)
自業自得だとでも言うのか。嫌だ。死にたくない。爆炎の中でフェイスは思う。
その時。炎の中に輝きが生まれた。
高熱に焼かれて消し炭になるかと思われたフェイスの身体は巻き戻しの様に超回復する。
「……僕も負けていられないよね」
爆炎が止むとルーエルは【ジャッジメント】を使用。行動阻害を試みるも焔には弾かれた。
「なら!」
接近しての杭打機。
「効かぬ!」
「ぐっ!」
射出された杭は炎の刀に弾かれ、ルーエル自身も吹き飛ばされた。
***
「奥義……。俺も負けてられねぇ!」
焔へ駆けるエヴァンス。【紅蓮爆刃】の動作を確認。
彼は突きで片方の刀を跳ね上げる! が――
「だからどうしたと言う」
もう片方の刀が突撃槍へ打ち下ろされた。爆裂。
「なんだと!?」
吹き飛ばされるエヴァンス。米本がすかさずカバーに入る。
続いて突貫するのはボルディア。
「テメェは破壊、俺は再生! どっちの炎がより燃えるか……勝負といこうじゃねえかアアァァァ!!」
【ワイルドラッシュ】による猛攻。彼女は既に『焔を仕留める』という覚悟の元に奥義を発動していた。
「どうした、好きなだけ打ち込んできやがれェ!」
「お望み通りにしてくれる! 【紅蓮爆刃】が弐!!」
斬撃一つ一つが爆発を伴う凄まじい攻撃の嵐。
「まだぁ! 俺は死なねェ!!」
ボルディアは雄叫びを上げ、超回復。だが爆発は続く。途絶えた一瞬を狙って、
「――っ!」
ボルディアはカウンターの一撃を焔に入れた。焔の肩口に傷を付ける。
一方、アイラ。仲間の激闘を目にした彼女。
(死ぬのは怖い。だけどそれで逃げたら他の人が危険に晒される大事な人を失い、私自身も何か大切なものを失う。それだけは絶対に嫌)
確固たる想い。
(絶望にあっても戦い続ける意味を、私はそれこそ過去の風景からネレイド族の人に教わった。森は全ての命を守る故郷)
「それを、ただ破壊しか考えない人に壊させたくなんかない!」
彼女の声は祖霊に届き、奥義が発動! 彼女はまた声を上げる。
「ミサキさん! 一緒にお願い! あの時みたいに!」
(今回は過去の幻じゃない。全て目の前の、私達の現実)
「現実は、頑張ったら頑張っただけ結果が出る! そう信じよう! 今度こそ、守る! 守れる!! 皆、全部。全て!」
アイラはミサキと共に駆ける。焔へ。
「あなたは邪魔よ! 壊す者、大嫌い!!」
焔の攻撃をアイラが受け止め、ミサキが攻撃を加える。阿吽の呼吸とも言える連携に焔は一時押された。
「……っ。【灼溶爆炎】!!」
また爆炎と火柱が上がる。炎の中で焔の声だけがした。
「今回はここで退こう。見事だ」
こうして焔は撤退。幻獣の森北部は守られた。
依頼結果
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質問卓 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/04/19 02:49:09 |
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相談卓 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/04/21 19:33:01 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/04/21 06:50:07 |