ゲスト
(ka0000)
ゴブリンの策士現る
マスター:えーてる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/09/07 12:00
- 完成日
- 2014/09/09 22:08
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「お前、お前、お前」
ゴブリン集団の長であるイギーは、襲撃に向かわせるゴブリンを剣で差した。
はるか前方、小さな商隊を襲う算段をつけているのだ。
「がたがたするやつ、襲って奪う。難しいことない」
「敵いる。武器ない。死ぬ」
当然指名された彼らは抗議した。ゴブリンは馬鹿だが、武器がないと困ることはわかる。
イギーは彼らを睨みつけ、そして口元をにやりと歪ませた。
「お前ら、襲って武器奪う。お前ら勝つ。また襲う」
「すごい!」
「賢い!」
「イギーに従う!」
ゴブリンは馬鹿だ。
歓声を上げて突撃するゴブリンたちを見送って、イギーはゲラゲラ笑った。
「お前ら、全員。ついてこい」
馬鹿なゴブリンの中ではかなり賢い部類に入るのがイギーだ。馬鹿を囮に使うことと、馬鹿をうまく乗せることを覚えたのだから。
イギーはゴブリンたちの尊敬を集めるリーダーであり策士であった。イギーを尊敬しないゴブリンは口車に乗せられて死ぬからである。
「あいつら奪う、失敗した、俺らいく。これ二段攻撃」
とても難しい専門用語を披露すると、ゴブリンたちはわっと沸いた。
「すごい!」
「賢い!」
「イギーに従う!」
賢いイギーは、その知恵でゴブリンたちを集めつつあった。
●
「ある地方に、小規模なゴブリンの集団を確認しました。今回の依頼はこの集団の壊滅です」
美人で怜悧な受付嬢は、眼鏡のフレームを直した。
「知恵を身につけたゴブリンが仲間を集めつつ略奪行為を行っているようです。集団が膨れ上がる前にこれを叩きます」
味方を囮に使って敵をおびき出すのが得意らしい。
ゴブリンを口車に乗せて使い倒し、自分や生き残った者達が利益を得ているようだ。
「取り巻きの数は二十。殆どが素手で、武装しているのは長を除いて三匹ほどのようです。最近それなりの量のゴブリンを消費したようなので、今が好機でしょう」
現在は森の中を行軍中だ。集団が疲弊しているうちに襲撃を仕掛ける。
「可能な限り多くのゴブリンを討伐してください。恐らく長はどこかのタイミングで取り巻きを犠牲に逃走するかと思われますが、数匹取り逃がした程度であれば問題ありません。全体の八割ほどを討伐していただければ、ひとまず依頼は成功です」
リプレイ本文
●
一同は森中を進軍していた。
「ゴブリン退治! ファンタジーっすねえ」
無限 馨(ka0544)のぼやきを受けて、影護 絶(ka1077)は首を捻った。
「というか二十体以上もいて、小規模扱いなのか?」
これが武装して統率の取れた兵士二十以上であれば違っただろうが、ゴブリンなんぞハンターから見れば基本的には大したことない戦力である。
「大規模作戦には参加したけど、普通の依頼は此方ではこれが初めて」
シエラ・ヒース(ka1543)は呟いて、ドリルを構えた。初めての依頼である。稼ぎのためには実績を上げねばならない。ならば。
「丁寧に、丁寧にドリルで殴り抉りぬこう」
その隣で、スフィカ・ゲーヴェルツ(ka3030)が両腕を頭の後ろで組んだ。
「ゴブリンにも考える頭なんてあったんすっねぇ」
「ずいぶん生意気なゴブリンみたいだね。とっちめてやろう!」
彼女の言葉に、アリア(ka2394)が元気よく答えた。
岩井崎 旭(ka0234)がけらけら笑った。
「頭が回るやつな、味方なら好きだぜ。敵なら嫌いだけどよー」
「たまにいますよね……特別頭が良い、力がある個体が」
セレン・コウヅキ(ka0153)も神妙な顔で森を睨む。
「まあ……ゴブリンって普通はこれくらい賢いはずですが……」
クオン・サガラ(ka0018)が首を傾げる。
「それはほら、言わないお約束?」
アリアの言葉にクオンは苦笑しか出なかった。
「ま、今回の場合はここで倒せば片が付くわけだろ? だったら、気合入れるしかねーよなぁ!」
旭の言葉に一同は頷き、散開した。
●
予定通りに敵がやってきたのを見て、絶は武器を構えた。
「ゴブリン相手だからって、甘く見て作戦失敗はダセェ……」
クオンも十文字槍を手に、作戦を反芻する。
後方、セレンとスフィカも配置についた。木の裏に身を潜める。
更に移動中の旭と馨もそれを確認した。
「生かして返せば将来厄介そーだしな、こうこの憂いは立っておくに限るぜ」
「そうっすね。長が逃げたら多分また同じようなことになるっす」
「ところで、こうこって何だっけ。てか、誰?」
馨は呆れた顔をした。二人は一度二手に別れた。
旭の愛馬サラダは軽快に走り、ゴブリン集団を大回りして背後へと回った。馨はその場で樹上に身を潜め、それからトランシーバーを耳に当てた。
「こちらシエラ。ここから先は付けっぱなしにしとくわ」
「頼むよ。いつでも初めてくれ」
直後、ゴブリンたちが現れ、囮組は行動を開始した。
「敵! 倒す! 奪う!」
ゴブリンがわらわらと沸いて出てくる。
その前に現れたのは、クオン、絶、シエラ、アリアの四人。
「さて、じゃあ軽く行こうか」
脇目もふらず襲いかかるゴブリンに、クオンは十文字槍を突き刺した。長物を振り回すというわけにもいかない。
「ほらほらこっちだよ! 悔しかったらここまでおいで」
アリアが挑発して敵の注意を引く。ゴブリンたちは簡単に挑発に乗った。
「……気になる?」
シエラはゴブリンに魔導ドリルを見せびらかした。派手な武器はゴブリンたちの注意をひく。
「でもあげないわ」
絶が太刀で一撃を入れるのに合わせて、シエラはドリルの威力を知らしめた。
ゴブリンの数が着実に減っていく。ダメージもごく軽微。だが四人はあえて苦戦するふりをして、じりじりと後退していく。
それを受けて、ゴブリンたちは一気呵成に数で襲い掛かってくる。後ろに回りこまれないようにだけ注意しつつ、四人で規定ラインまで下がっていく。
ゴブリン集団を確実に殲滅するため、彼らは囮として敵をおびき寄せる役目を負っている。
後方で身を隠すスフィカとセレンが、囮役が引きつけた敵を包囲・挟撃する手筈だ。トランシーバーと事前の打ち合わせで、タイミングは決められている。
その樹上をゲリラ宜しく迷彩柄となった馨が飛び越えていき、戦場のやや外れを旭が音もなく駆け抜けていく。二人はリーダーであるゴブリンのイギーを討ち取る班だ。
戦場のかなり後方に、やや優勢なのを確認したのか、イギーとその取り巻き三人がやってきた。旭と馨が視線を交わし、そちらへと向かっていく。
「頭いいっぽいって聞いてたけど、顔見るとやっぱり頭悪そうだよねー。ゴブリンじゃ仕方ないかな?」
「何だと!」
アリアのケタケタ笑いが聞こえたのか、イギーも突進してくる。
武器を持たないゴブリンたちが通り過ぎたのを確認し、イギーとの距離が近すぎないことも確認して、セレンはハンドサインを出す。スリーカウントとともに飛び出した。
「っしゃ! まんまとかかったっすね!!」
スフィカが魔導銃から銃弾を撒き散らし、セレンがアサルトライフルからマテリアルつきの弾丸を撃ち込む。
「よーし、行ってみよう!」
囮班も本格的な攻撃に入った。アリアが大きく前へ出て一閃。シエラもドリルの強烈な一撃でゴブリンに穴を開けた。
「おらよっと」
絶の刀が鋭く弧を描き、ゴブリンの首を跳ね飛ばした。
その隣で、クオンの槍がゴブリンの足を引っ掛けて転ばせ、そのまま喉を突き刺した。
「使いにくくねーのか、クオン」
「ええまぁ、銃剣で慣れてるもので。この槍なら刺したまま受けも出来ますしね」
振り回さなければ問題はないのだとばかりに、クオンの槍が次のゴブリンを突き刺した。
ゴブリンたちは、ハンターの突然の攻勢にひどく動揺した。気付けば数も半分近くなっている。
「イギー!」
彼らは長を振り仰ぐが、彼らの後ろにはハンターが銃を構えるのみだった。
●
「クソ、クソ、クソ!」
イギーとその取り巻きは逃げ出していた。分が悪いと彼らは理解していた。
「また、集め直し! あいつら! 次殺す!」
「次はねーよ」
その声にイギーが顔を上げた頃には、初撃は終わっていた。
猛禽が爪を立てるが如くに、レイピアがゴブリンの肩を貫く。
宙より舞い降りたミミズクの剣士が、略奪者の眼前に立ち塞がった。
「逃がしやしねーよ。今まで散々奪ってきたツケをここで清算してもらうぜ!」
イギーは咄嗟に横へ逃げようとするが。
「逃がさねえっすよ!!」
茂みから飛び出した馨が痛烈な一撃を叩き込み、そのまま道を塞いだ。
「観念するっすよ。手段選ぶ気はないっす」
「ギギギ……お前! お前も! 殺す!」
イギーは剣を突きつけ、二人へ躍りかかった。
長がいなくなったゴブリンたちは動揺を抑えきれず、その数が十を割ったところで遂に逃げ出した。
「さて、そろそろ本番ですね」
セレンのアサルトライフルが火を噴いて、逃げ出すゴブリンの背中を容赦なく打ち据える。
絶は長距離を踏み込み、鋭く刀を一閃した。足が止まった所を、シエラのドリルが粉砕する。
「向こうは大丈夫かしら」
「あいつらに任せとけよ。俺らの仕事は、ここから一匹も逃さねぇことだ」
スフィカはちらっと後方を見た。少々移動すればイギーたちを撃てそうな位置だ。
「そうっすね。二人に任せるっす」
軽い口調とは裏腹に銃弾は精妙にゴブリンの頭部を捉え、吹き飛ばした。
「よっと」
クオンの槍捌きに気を取られたゴブリンを、アリアのチャクラムが横合いから切り裂いた。
包囲戦は滞り無く完了した。
絶は最後の一匹の喉笛を掻っ切り、血糊を振り払った。
「悪いな。ゴブリンに負けてるようじゃこの仕事やってけねぇんだわ」
ゴブリン十七体、全滅。
セレンはふと振り返って数歩走ると、膝射姿勢を取った。手が空いたならば、手伝わない理由はない。
「無用かもしれませんが」
射程ほぼギリギリだが、狙えない距離ではない。セレンに続いてスフィカがサイトを合わせ、残る四人も走りだした。
横合いから飛来した銃弾が、傷ついた武装ゴブリンを吹き飛ばした。
「助かるっす」
馨は呟き、突き出された槍を刀で受け流す。
「当たらねーよ!」
旭はひらりと身をかわしてイギーの剣を避けた。
どうやらこちらが最後となったらしい。味方の援護射撃が取り巻きのゴブリンを強かに打ち据える。
味方がこちらへ向かってくるのを感じて、二人はここが攻め時だと感じた。
「ギギ、ギィーッ!」
ゴブリンの長は高く吠え、馨の刀を間一髪で受け止めた。
「捕まえたっす」
だがその後ろで、旭は祖霊の力をさらに活性化させる。
「テメーはここでぶっ倒すッ!」
気迫とともに突き出されたレイピアが、イギーの喉笛を貫いた。
「ガ、グッ」
イギーは血泡を噴いてもがくが、鋭い切っ先からすれば傷口が開くばかりで抜けはしない。
そのまま数秒足掻いて、イギーの体からかくんと力が抜けた。
「ふぅ……」
「終わったっすね」
仲間たちがやってくるのを見ながら、二人は剣を鞘に収めた。
ゴブリン略奪部隊、全滅。依頼成功である。
一同は森中を進軍していた。
「ゴブリン退治! ファンタジーっすねえ」
無限 馨(ka0544)のぼやきを受けて、影護 絶(ka1077)は首を捻った。
「というか二十体以上もいて、小規模扱いなのか?」
これが武装して統率の取れた兵士二十以上であれば違っただろうが、ゴブリンなんぞハンターから見れば基本的には大したことない戦力である。
「大規模作戦には参加したけど、普通の依頼は此方ではこれが初めて」
シエラ・ヒース(ka1543)は呟いて、ドリルを構えた。初めての依頼である。稼ぎのためには実績を上げねばならない。ならば。
「丁寧に、丁寧にドリルで殴り抉りぬこう」
その隣で、スフィカ・ゲーヴェルツ(ka3030)が両腕を頭の後ろで組んだ。
「ゴブリンにも考える頭なんてあったんすっねぇ」
「ずいぶん生意気なゴブリンみたいだね。とっちめてやろう!」
彼女の言葉に、アリア(ka2394)が元気よく答えた。
岩井崎 旭(ka0234)がけらけら笑った。
「頭が回るやつな、味方なら好きだぜ。敵なら嫌いだけどよー」
「たまにいますよね……特別頭が良い、力がある個体が」
セレン・コウヅキ(ka0153)も神妙な顔で森を睨む。
「まあ……ゴブリンって普通はこれくらい賢いはずですが……」
クオン・サガラ(ka0018)が首を傾げる。
「それはほら、言わないお約束?」
アリアの言葉にクオンは苦笑しか出なかった。
「ま、今回の場合はここで倒せば片が付くわけだろ? だったら、気合入れるしかねーよなぁ!」
旭の言葉に一同は頷き、散開した。
●
予定通りに敵がやってきたのを見て、絶は武器を構えた。
「ゴブリン相手だからって、甘く見て作戦失敗はダセェ……」
クオンも十文字槍を手に、作戦を反芻する。
後方、セレンとスフィカも配置についた。木の裏に身を潜める。
更に移動中の旭と馨もそれを確認した。
「生かして返せば将来厄介そーだしな、こうこの憂いは立っておくに限るぜ」
「そうっすね。長が逃げたら多分また同じようなことになるっす」
「ところで、こうこって何だっけ。てか、誰?」
馨は呆れた顔をした。二人は一度二手に別れた。
旭の愛馬サラダは軽快に走り、ゴブリン集団を大回りして背後へと回った。馨はその場で樹上に身を潜め、それからトランシーバーを耳に当てた。
「こちらシエラ。ここから先は付けっぱなしにしとくわ」
「頼むよ。いつでも初めてくれ」
直後、ゴブリンたちが現れ、囮組は行動を開始した。
「敵! 倒す! 奪う!」
ゴブリンがわらわらと沸いて出てくる。
その前に現れたのは、クオン、絶、シエラ、アリアの四人。
「さて、じゃあ軽く行こうか」
脇目もふらず襲いかかるゴブリンに、クオンは十文字槍を突き刺した。長物を振り回すというわけにもいかない。
「ほらほらこっちだよ! 悔しかったらここまでおいで」
アリアが挑発して敵の注意を引く。ゴブリンたちは簡単に挑発に乗った。
「……気になる?」
シエラはゴブリンに魔導ドリルを見せびらかした。派手な武器はゴブリンたちの注意をひく。
「でもあげないわ」
絶が太刀で一撃を入れるのに合わせて、シエラはドリルの威力を知らしめた。
ゴブリンの数が着実に減っていく。ダメージもごく軽微。だが四人はあえて苦戦するふりをして、じりじりと後退していく。
それを受けて、ゴブリンたちは一気呵成に数で襲い掛かってくる。後ろに回りこまれないようにだけ注意しつつ、四人で規定ラインまで下がっていく。
ゴブリン集団を確実に殲滅するため、彼らは囮として敵をおびき寄せる役目を負っている。
後方で身を隠すスフィカとセレンが、囮役が引きつけた敵を包囲・挟撃する手筈だ。トランシーバーと事前の打ち合わせで、タイミングは決められている。
その樹上をゲリラ宜しく迷彩柄となった馨が飛び越えていき、戦場のやや外れを旭が音もなく駆け抜けていく。二人はリーダーであるゴブリンのイギーを討ち取る班だ。
戦場のかなり後方に、やや優勢なのを確認したのか、イギーとその取り巻き三人がやってきた。旭と馨が視線を交わし、そちらへと向かっていく。
「頭いいっぽいって聞いてたけど、顔見るとやっぱり頭悪そうだよねー。ゴブリンじゃ仕方ないかな?」
「何だと!」
アリアのケタケタ笑いが聞こえたのか、イギーも突進してくる。
武器を持たないゴブリンたちが通り過ぎたのを確認し、イギーとの距離が近すぎないことも確認して、セレンはハンドサインを出す。スリーカウントとともに飛び出した。
「っしゃ! まんまとかかったっすね!!」
スフィカが魔導銃から銃弾を撒き散らし、セレンがアサルトライフルからマテリアルつきの弾丸を撃ち込む。
「よーし、行ってみよう!」
囮班も本格的な攻撃に入った。アリアが大きく前へ出て一閃。シエラもドリルの強烈な一撃でゴブリンに穴を開けた。
「おらよっと」
絶の刀が鋭く弧を描き、ゴブリンの首を跳ね飛ばした。
その隣で、クオンの槍がゴブリンの足を引っ掛けて転ばせ、そのまま喉を突き刺した。
「使いにくくねーのか、クオン」
「ええまぁ、銃剣で慣れてるもので。この槍なら刺したまま受けも出来ますしね」
振り回さなければ問題はないのだとばかりに、クオンの槍が次のゴブリンを突き刺した。
ゴブリンたちは、ハンターの突然の攻勢にひどく動揺した。気付けば数も半分近くなっている。
「イギー!」
彼らは長を振り仰ぐが、彼らの後ろにはハンターが銃を構えるのみだった。
●
「クソ、クソ、クソ!」
イギーとその取り巻きは逃げ出していた。分が悪いと彼らは理解していた。
「また、集め直し! あいつら! 次殺す!」
「次はねーよ」
その声にイギーが顔を上げた頃には、初撃は終わっていた。
猛禽が爪を立てるが如くに、レイピアがゴブリンの肩を貫く。
宙より舞い降りたミミズクの剣士が、略奪者の眼前に立ち塞がった。
「逃がしやしねーよ。今まで散々奪ってきたツケをここで清算してもらうぜ!」
イギーは咄嗟に横へ逃げようとするが。
「逃がさねえっすよ!!」
茂みから飛び出した馨が痛烈な一撃を叩き込み、そのまま道を塞いだ。
「観念するっすよ。手段選ぶ気はないっす」
「ギギギ……お前! お前も! 殺す!」
イギーは剣を突きつけ、二人へ躍りかかった。
長がいなくなったゴブリンたちは動揺を抑えきれず、その数が十を割ったところで遂に逃げ出した。
「さて、そろそろ本番ですね」
セレンのアサルトライフルが火を噴いて、逃げ出すゴブリンの背中を容赦なく打ち据える。
絶は長距離を踏み込み、鋭く刀を一閃した。足が止まった所を、シエラのドリルが粉砕する。
「向こうは大丈夫かしら」
「あいつらに任せとけよ。俺らの仕事は、ここから一匹も逃さねぇことだ」
スフィカはちらっと後方を見た。少々移動すればイギーたちを撃てそうな位置だ。
「そうっすね。二人に任せるっす」
軽い口調とは裏腹に銃弾は精妙にゴブリンの頭部を捉え、吹き飛ばした。
「よっと」
クオンの槍捌きに気を取られたゴブリンを、アリアのチャクラムが横合いから切り裂いた。
包囲戦は滞り無く完了した。
絶は最後の一匹の喉笛を掻っ切り、血糊を振り払った。
「悪いな。ゴブリンに負けてるようじゃこの仕事やってけねぇんだわ」
ゴブリン十七体、全滅。
セレンはふと振り返って数歩走ると、膝射姿勢を取った。手が空いたならば、手伝わない理由はない。
「無用かもしれませんが」
射程ほぼギリギリだが、狙えない距離ではない。セレンに続いてスフィカがサイトを合わせ、残る四人も走りだした。
横合いから飛来した銃弾が、傷ついた武装ゴブリンを吹き飛ばした。
「助かるっす」
馨は呟き、突き出された槍を刀で受け流す。
「当たらねーよ!」
旭はひらりと身をかわしてイギーの剣を避けた。
どうやらこちらが最後となったらしい。味方の援護射撃が取り巻きのゴブリンを強かに打ち据える。
味方がこちらへ向かってくるのを感じて、二人はここが攻め時だと感じた。
「ギギ、ギィーッ!」
ゴブリンの長は高く吠え、馨の刀を間一髪で受け止めた。
「捕まえたっす」
だがその後ろで、旭は祖霊の力をさらに活性化させる。
「テメーはここでぶっ倒すッ!」
気迫とともに突き出されたレイピアが、イギーの喉笛を貫いた。
「ガ、グッ」
イギーは血泡を噴いてもがくが、鋭い切っ先からすれば傷口が開くばかりで抜けはしない。
そのまま数秒足掻いて、イギーの体からかくんと力が抜けた。
「ふぅ……」
「終わったっすね」
仲間たちがやってくるのを見ながら、二人は剣を鞘に収めた。
ゴブリン略奪部隊、全滅。依頼成功である。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 セレン・コウヅキ(ka0153) 人間(リアルブルー)|20才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/09/07 10:49:47 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/02 20:45:55 |