墓場のスケルトン事件再び

マスター:なちゅい

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/01 22:00
完成日
2016/05/06 18:50

みんなの思い出

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オープニング

●近隣村民からの依頼
 先日、王都イルダーナの墓場にスケルトンが現れる事件があった。
 その1件はハンター達によって討伐され、事なきを得たわけだが。聖堂教会としては、この1件を重く見ていた。イルダーナでこのような事件が起こるとは。だからこそ、徹底的にこの事件について調べねばならぬという話になった。
 とはいえ、聖堂戦士団は手が足りない。主力は別所の戦いへ赴いているし、新しく編成された小隊は統率が取れておらず、任務を失敗する始末。末端構成員の強化、育成が急務となっている。
 そんな状況の中、白羽の矢が立ったのは、このスケルトン事件を発見し、解決に導いたファリーナ・リッジウェイ(kz0182)である。彼女が動くのであれば、聖堂戦士団として解決に動く体にもなる。そして、彼女自身の経験も積ませることができると、まさに一石二鳥だとして、指名に至ったわけだ。
「そうは言われましても……」
 ファリーナは溜息をつく。幾度も調べているが、墓場はすでに浄化され、マテリアルの流れも正常に働いている。このような状況で原因について新たな手がかりと言われても、マテリアル異常で起こった事件ではないのかとしか考えられない。
 せめてもう少し手がかりがあれば……。
 彼女はここでの捜索を諦め、別の場所に向かう。聖堂戦士団のメンバーなら何か手がかりをつかんでいるだろうか。……いや、これは自分に任された事件。安易に同僚に縋っていいものか。
 ここは、別の側面から調べてみようと、ファリーナはハンターズソサエティへと向かう。

 ハンターズソサエティの依頼板。彼女は唸りながら見つめていると、1枚の依頼に目を留める。
「これ、スケルトンの事件……」
 ファリーナが気になったのは、この間起こったのと同じような事件。王都近隣の村にて、墓場から死体が起き上がり、スケルトンとなる事件が起こっているという。
 すでにいくつかの墓が荒らされてしまっているが、スケルトン達は今のところ、表立った動きは見せておらず、ただ周囲を徘徊するのみだ。
 しかしながら、自分に害なすものには容赦なく襲ってくる。地元の村人、あるいはハンターのなれの果てとあって、弓や剣での攻撃を仕掛けてくるようだ。
 それもあり、村の人々は事件解決までの間、近隣の村まで避難をしており、依頼を受けてくれるハンターを待っている状況だ。
 この1件は、王都の墓場での事件と無関係なのだろうか。ファリーナがそう考えていると、たまたま同じ事件に興味を持ったハンターが依頼を受注していた。彼女はすかさず、そのハンターの手を取る。
「私も、連れて行っていただけませんか?」
 もちろん、目的はスケルトンの討伐ではあるのだが。事件の糸口を掴む為にも、何か情報を得られれば。ファリーナは藁をも掴む思いで、その依頼に同行を申し出たのだった。

リプレイ本文

●調査の前に
 王都イルダーナから北東にある村。そこは現在、蘇ったスケルトンが徘徊しているという。
 数人のハンターと1人の聖堂戦士団団員は、その村を目指して移動していた。
(村人さん達の平和な生活を取り戻してあげたいし、他にも同じような事件が起きてるなら、放ってなんておけないもん!)
 そんな理由でこの依頼に参加していたのだが、彼……女性のように見えるが男性である時音 ざくろ(ka1250)はファリーナ・リッジウェイ (kz0182)にも同行理由を聞く。
「そうですね、迷える死者を眠りにつかせるのはもちろんですが。できるなら、何か手がかりが掴めるならば……」
 ファリーナは改めて、先日の王都での墓場での1件をハンター達へと話す。墓場からスケルトンが蘇る……今回と同様の事件だ。
「他にも同じ様な事件が起きてたんだ……。原因調査、ざくろも力になるよ」
 ざくろはにこっとファリーナに笑いかけた。
「根源を絶たねば、繰り返されるだけの事。もしや裏で、壮大な事が動いとるやもしれんしなぁ」
 レーヴェ・W・マルバス(ka0276)も詳細調査が必要だと考え、この場へとやってきていた。
(暴食の歪虚が、暗躍している可能性も視野に入れますか? ……でも、何の為に? 後方攪乱?)
 前回の依頼にも参加していた天央 観智(ka0896)も、この2件の事件の共通性について考える。
 例え、原因がマテリアル異常であっても、そのプロセスが分からねば根源原因に至ることが出来ない。
「『意味』も含めて……、こういう事象が起こっている素因を調査しますか。暴食の歪虚の関与も視野に入れて」
「軽い腕慣らしのつもりの依頼だったが……。一気にきな臭くなったな」
 五黄(ka4688)は軽い気持ちで参加したものの、事情を聞いて怪訝そうな表情をする。
 しかしながら、彼がやることは変わらない。何か起こってしまう前にやれることをやるだけだ。
「やれることをやらねぇで、後に苦労するのはゴメンだ」
「死者殺しである聖導士の力を、今回も存分に披露しよう」
 徘徊しているのは、元村人やハンターのなれの果てらしいが、だからといって見過ごすことはできない。イレーヌ(ka1372)も聖導士の本領発揮だと参戦していた。
「……死んだのに起きてくる、頑張りやさんの骨リターンズ。しっつこいわねぇ……」
 アルスレーテ・フュラー(ka6148)だけはややかったるそうな反応をする。運動して歪虚の殲滅だけできれば……という気持ちでやってきている彼女だ。
「リアルブルーの劇作家いわく、『慢心は人間の最大の敵だ』だったかな?」
 テノール(ka5676)がシェイクスピアの言葉を引用する。例えスケルトンであっても、油断していると思わぬ傷を負ってしまう可能性もあるのだ。
「調査するにも、調査障害の排除が先……ですよね」
 現実に引き戻された観智は、改めて気を引き締めるのだった。

●広場へ引き付けを
 村に向かうに辺り、テノールが先行して馬を走らせる。
 彼は多少村から距離を取った場所から望遠鏡を使い、村の様子を窺う。そこには、スケルトンが弓や剣を持ち、ただ村中を徘徊していた。事前の話にあった通り、村人はすでに避難しているのか、その姿はない。
 村の住居の立地を確認すると、入り口付近が開けた場所になっていた。ここにスケルトンを誘い込めればと、テノールは考える。
 程無く、他のメンバーが駆けつけたのを見て、テノールも動き始めた。

 村へ入ったハンター達は全員で固まり、行動する。とにかく、まずはスケルトンを排除せねば始まらない。主目的であり、調査に当たっても邪魔だからだ。
 村を見回すイレーヌ。五黄は超聴覚でスケルトンの所在を把握しようとする。
 すると、こちらに気づいて近づいてくるスケルトンが2……いや、3体。他2体は村の奥側にいることがテノールの偵察によってすでに分かっている。
 高台や遮蔽物を利用して近づいてくる個体がいるやもと考え、奇襲に警戒していたレーヴェ。これに関しては杞憂で済んだようだ。
「さぁ、こっちだ」
 ざくろが1体を発見し、姿を見せ付ける。生ある者を窪んだ瞳で捉えたスケルトンは弓を手にし、ゆらゆらと引き付けられるように歩いていく。
 もう1体は、おやつのツナ缶を食べながら、ふらふらと歩いていたアルスレーテが発見する。
「……こんなんで引けるかしら? まあ細かいことはいいわ」
 アルスレーテはすっかり中身を食い尽くしてしまったその缶詰を放り投げ、「カン」と甲高い音を立ててスケルトンの頭へと命中させる。
 そいつはアルスレーテに気づき、剣を抜いてゆっくりと歩いてきた。仲間と共にじりじりと後退する彼女はマテリアルを練り上げ、自らの防御を高めていたようだ。
 スケルトンを引き付けつつ、入り口前広場まで後退するメンバー達。
 時折、弓を持つスケルトンが矢を飛ばしてくる。生前は猟撃士だったのだろう。
 マテリアルを虚ろな瞳に集中させ、的確に飛ばしてきたその矢を受け止めたイレーヌは、手にするシールド『トゥルム』で防ぐ。
 こうして、集団で囮となることで、ハンター達はスケルトン達を引き付ける。多少傷つきはしたものの、村に物的被害がほぼ及ばぬ状況で戦闘に当たることができそうだ。
 すらりと魔法剣『レヴァリー』を抜く観智は一転して、構えを取った。他のメンバー達もまた、覚醒して戦闘態勢に入る。
「皆さん、侮ってはいけませんよ」
 相手はスケルトン。大した相手ではない。だが、思わぬ傷を負わないよう、ハンター達は注意しながらも攻め込んでいくのである。

●迅速なる撃破を
 全身の骨を鳴らして襲ってくるスケルトン。近場の3体はすでにハンターへと攻撃を仕掛けてきている。
 それらを引き受け続けるイレーヌは、レクイエムを歌い始める。生ならざるスケルトンにとって、苦痛と同時に安らぎを覚える歌だ。
 イレーヌが敵数体を抑える間、剣持ちと弓持ちの敵を分断するようにして観智は土の壁を作り出す。これにより、それぞれの討伐班に分かれ、撃破する形となる。
 長い髪をなびかせ、バイクを駆るざくろが目の前のスケルトンへと突撃していった。
「邪魔はさせない……超機導パワーオン! 弾けとべっ」
 だが、敵はそれを飛びのく形で避けてしまうが、ざくろの狙いは射程に敵を捉える事にあった。
「くらえ必殺、デルタエンド!」
 彼は正面に光の三角形を出現させ、その頂点から光を伸ばして3体の敵を貫いた。
 光を浴びながらも近寄ってこようとする敵に、アルスレーテが不快な顔をする。
「骨のくせに、気安く触るんじゃないわよ」
 彼女は軽やかにトゥシューズで舞い踊りながらも、鉄扇で敵の肋骨を叩く。すると、そのスケルトンはガラガラと音を立てて崩れ去り、骨も残さずに消え去っていった。
 こちらは弓持ちを狙うメンバー。
 高台に登ったレーヴェは敵の腕を狙ってライフルを撃つ。狙い違わず腕の骨を打ち抜くが、それだけでは砕くに至らない。しかしながら、動きを止めることに成功したことで、五黄が素早く地を駆け、 旋棍「天地玄黄」を叩きつけ、敵の左足を砕く。
「うろちょろされると面倒だからな」
 態勢を崩す敵へテノールが攻め入る。彼は出来る限りスケルトンを観察していた。
(魔術に関しては素人でよく分からないが、何か人為的な特徴を持って復活などしてはないだろうか?)
 しかしながら、敵は体勢を崩したままで矢を射ってくる。テノールは其れを察してスケルトンに合わせる様に動き、敵の体を投げ飛ばす。
 地面に叩きつけられたそいつは全身の骨をバラバラにし、そのまま消え去っていったのだった。

 ハンター達は優勢に戦いを繰り広げる。これは、先行したテノールの状況把握が功を奏した形だろう。
 抑え続けるイレーヌは時に敵に囲まれるが、指を鳴らして光の波動をスケルトンに浴びせ、攻撃も仕掛ける。
 そのうちの剣持ちへ、ざくろが疾走していく。
「遅いっ……人機一体、これでとどめだっ!」
 ざくろはグレードソードを一閃させ、スケルトンの体を真っ二つにしてしまう。地面へ落下するのを待たず、そいつは霧散していった。
 残るは、弓持ち2体。
 剣持ちが倒れたことで、アルスレーテも弓持ちを抑えにかかる。仲間が順当に敵を倒していることもあり、彼女は敵へと躍りかかり、矢を射るのに合わせて敵を投げ飛ばす。
 五黄はそれを見て相棒のイヌワシとシンクロし、旋棍を叩き込むと、数本の骨が砕ける音と同時に、そのスケルトンは姿を消した。
 1体になってもスケルトンは戦いを止めようとも、逃走しようともしない。
 観智が盾となるメンバーへと緑に輝く風を取り巻き、テノールが腕につけたナックル「セルモクラスィア」で抉るような突きを繰り出すと、レーヴェがそいつへと狙いを定める。
(多少は仕方ないとはいえ……)
 時に誤射は行ってはいたが、レーヴェはほぼ的確に狙いへと命中させる。
 そして、今回は……見事にスケルトンの頭蓋を砕いた。
 眉間の辺りを貫かれた敵は卒倒し、塵も残さず姿をかき消したのだった。

●ほんのわずかな手がかりでも……
 見事な作戦でスケルトンを討伐したハンター達。多少の傷はあれど、軽傷レベルで済んだのは作戦あってこそだろう。
 被害状況の確認や調査へと動くメンバー達の脇で、アルスレーテは自身が投げたツナ缶の回収に向かう。
(自分の部屋ならいくら汚してもいいけど、公共の場を汚すのはよろしくないからねぇ……)
 律儀な考えをしている彼女ではあったが、調査に関してはとんと無関心だったようである。
 さて、他のメンバーはまず、スケルトンによる被害を確認する。
 村人が逃げる際にスケルトンが付けたと思われる切り傷や矢が散見されたが、損害は軽微だ。これなら胸を張って討伐報告ができるだろう。
 後は、この事件が起こった経緯の調査だが。
 レーヴェは村を調査しながら、前回の事件にも立ち会ったファリーナや観智へと前回の事件との共通点を聞く。
「直接的な共通点といわれると、難しいですね……」
 観智が唸る。現れたスケルトンについて、生前のクラスは異なるし、武器や容姿も違っていたように見えていたのだ。
「ここは、王都から北東だったな。王都から逃げた奴が逃亡先で起こした事件かもしれんからな」
「あっ……」
 五黄がそんな言葉を発すると。ファリーナが声を上げる。今後の情報収集の指針となる一言を得たと、彼女は五黄に感謝の言葉を伝えていた。
「調べれば、他にも同様の事件や兆候が見られる可能性があるからな」
 彼はさらに示唆する。それぞれが繋がり、大きな事件だったらならば、洒落にもならないと。
 もちろん、不審者をこの村の人々が目にしている可能性もある。
 レーヴェは後で、避難した村人からも聴取をしたいと考える。王都とこの村についての共通点はないか。この共通点こそ、根源かもしれないし、次なるターゲット候補となる可能性もある。
「スケルトンがここで何をしておったのか、ヒントが見つかるといいのう」
 村に何かスケルトンが残したもの、爪跡などをレーヴェは見回す。やることは多い。その一つ一つを確認していこうとレーヴェは考える。
「あの武器は、一緒に埋葬されていたものだったのか?」
 テノールはそれに注目していた。多少古ぼけた武器は、スケルトンと成り果てた持ち主の物のように見えたが……。ただ、スケルトンの消滅と同時に、武器もなくなってしまっている。
「また他の墓から、スケルトンが起き上がってくる可能性はあるだろうからね」
 イレーヌ、テノールは墓場に不審人物が現れなかったかなど村人から情報収集を考えたのだが、他のメンバーの希望で先に現場、墓場の確認を行っていた。
 村人を呼ぶ前に清めてしまいたいが、この状況だからこそ、何か見つかるかもしれない。
 ざくろは魔術知識を駆使しながら、周囲を調べる。
「一体、何が目的なんだろう?」
 彼は人為的な原因も疑う。骨以外の足跡はないかと足元も探っていた。
 同じく、墓場を調査する五黄。スケルトンが発生した墓に共通点や法則性がないかと確認していた彼は、墓に引っかかる何かを見つける。
「……布、か?」
 墓の隅に引っかかっていた小さな布。指で摘める程度の大きさだが、これは……。
 これがこの事件解決の糸口となればと、五黄はその小さな布きれをファリーナの元へと持っていくのだった。

依頼結果

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    五黄ka4688
  • ―絶対零度―
    テノールka5676

重体一覧

参加者一覧

  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバス(ka0276
    ドワーフ|13才|女性|猟撃士
  • 遙けき蒼空に心乗せて
    ユキヤ・S・ディールス(ka0382
    人間(蒼)|16才|男性|聖導士
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • 隻眼の猛虎
    五黄(ka4688
    人間(紅)|30才|男性|霊闘士
  • ―絶対零度―
    テノール(ka5676
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/01 19:44:11
アイコン 相談卓!
アルスレーテ・フュラー(ka6148
エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/04/30 23:21:39