おおきに屋、人助け、人任せ

マスター:水貴透子

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/08/31 07:30
完成日
2014/09/03 00:02

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


まいど! おおきに屋のイルドや!
俺も結構修羅場踏んできて、貫録出てきたやろ?
え? 貫録出過ぎて男前度があがっとる?
あかんあかん! そないにほめても何でもでぇへんよ!
……まぁ、茶くらいならおごったるけどな!
ほな、そういう事でおおきに屋のイルド・ザックをよろしゅーに!

※※※

「……俺は、安請け合いをする自分の性格をめっちゃ後悔しとる」

どーん……と失意体前屈をしながら、イルドが呟く。
話は数日前に戻り、問題はイルドが3度目の依頼を受ける事になった時だった。

※※※

「美人のねーちゃん型の雑魔やとぅ! なんや、その俺得の雑魔は……!」

荷物を受け取りに行った集落で、女性型の雑魔がいるという情報を得た。
何でも、上半身のみが女性で、下半身は蛇――……俗にいうラミアのような外見をしているらしい。

「オッサン、女なら雑魔でもいいのかよ……」

集落の子供がやや引き気味に呟く。

「オッサン言うな! 俺はまだ21歳なんやで! 俺のどこがオッサンに見えるん!?」

「僕より10歳年上なんだからオッサンだろ。こういう大人にはなりたくないねぇ」

僅か11歳の子供に馬鹿にされるという屈辱。
しかし、この場合は子供の言う事の方が間違っていないという事が、また屈辱になっている。

「大人を馬鹿にしたらあかんで!」
「……こうなったら、その雑魔を(ハンターが)倒してやろうやないか!」

「……何か心の声が聞こえてきたような、そうでないような……」

※※※

「いくら美人でも俺の命はあげれへんし……命捧げる女の子は生身の人間がええもんな」
「よし、この辺うろついとったらハンターが来るやろ、それまで俺は待機や!」


リプレイ本文

●ラミア退治にやって来た者達

「雑魔退治に来てみりゃ何だ此奴……」
 ハンター達がやってきたのを待ち構えていたように近寄ってくるイルドに、 トライフ・A・アルヴァイン(ka0657)がため息混じりに呟いた。
「おおきに屋のイルド・ザックや! 向こうに雑魔おんねん、俺も子供に頼まれて来たんやけど、戦えへんやん? せやから、皆が来るの待ち伏せとったんよ!」
(そういえば、そんな名前の奴を知り合いが護衛したって言ってたな……確か馬鹿っぽい奴だとか……ああうん、確かに馬鹿っぽいわ)
 イルドをジロジロと見つめた後、トライフの中で『馬鹿っぽい奴』と結論が出たらしく、小さく頷きながら心の中で呟いた。
「腕に覚えがあるから、ここまで来たのではないのですか?」
「全然! 俺、一般人やし! 皆みたいに戦う力なんてぜーんぜんあらへんよ!」
 メトロノーム・ソングライト(ka1267)の問いかけに、自信満々で答えるイルド。その答えに、メトロノームは「はぁ……」と小さく呆れたようなため息を吐いた。
「……雑魔の外見に釣られてほいほい来たんじゃないの~? 確か上半身女性の蛇だっけ?」
 夢路 まよい(ka1328)の呟きに「ぎくっ」とイルドが呟く。
「戦闘の邪魔とかしてきたら、間違って『ファイアアロー』撃っちゃうかも? もちろんわざとじゃないよ、間違ってだからその場合はごめんね、先に謝っとく」
 悪びれた様子もなく夢路が答え、イルドを含む男性は(気をつけよう)と心の中で呟いた。
「けど、男のロマンやで! 上半身裸! 夢のセクシーゾーン!」
 うおおお、と勢いを増すイルドのテンションに「男性って、ああいうの好きなのかしら」と金刀比良 十六那(ka1841)が盛大なため息を吐いた。
 冒頭からため息吐く確率が高いのは気のせいだろうか、気のせいという事にしておこう。
「そこの少女! そんな事ないで! 俺はでかぱいも好きやけど、ちっぱいも好きや!」
「誰がちっぱいよ、誰が!」
 イルドの言葉に思わず手が出そうになってしまう――が、金刀比良はグッと堪える。
「ひゃっはー! エロモンスターっす! 流石異世界っす! ファンタジーっす! これから他にもサッキュバスとか、服だけ溶かすスライムとか触手とか色々期待出来るっすね! こっち来てよかったーっす!」
 イルド以上のテンションを見せるのは神楽(ka2032)だった。
 まさにスケベ大王、本能に身をまかせ過ぎなテンションである。
「相手も相手だけど、こちらもこちらよね……」
 關 湊文(ka2354)はため息を吐きながら、イルドと神楽を見つめる。
「まぁ、そう言わなくてもいいんじゃない? 何処の世界でも男ってもんは変わらない生き物なんだからさ、だからこそ可愛いと思えるけどね」
 如月 紅葉(ka2360)が呆れる關に言葉を投げかける。
「しかしラミア型とはね、油断すると痛い目に遭いそうだから気を引き締めていこう」
「そうですね、油断すれば死を招きますし……決して油断しないようにしましょう」
 レイ・T・ベッドフォード(ka2398)も真面目な事を言っているのだが、その表情は既ににやけており、明らかにイルドや神楽側と同じ考えを持っていそうな気がする。
 しかし、レイはイルドのリヤカーを見つめ、首を傾げる。
(新手の武器でしょうか、それにしては随分と古めかしい……しかし、あの方は一般人。あぁ、なるほど、身を隠すための道具ですか……いや、しかし、狙い撃ちされそうですね)
 リヤカーという物を知らないらしく、何故イルドがリヤカーを持っているのか、何をするための物なのかすらレイは分かっていないらしい。
「さぁさぁ、早く雑魔のでかぱ……ごほんごほん、雑魔退治にレッツゴーやで!」
 一般人のイルドは帰れよ、というハンター達の心の声が聞こえるようだが、イルドはそれを気にする事なくリヤカーを引いて、目的の場所まで向かい始めたのだった。

●男性の本能を揺るがす2mのラミア

 ハンター達が雑魔捜索を始めて、僅かな時間が経った頃、それを発見した。
 男性を惑わすようなブロンドの髪、上半身裸、下半身さえ気にしなければ結婚を申し込む者がいてもおかしくないくらいの美人さん、それが今回の討伐対象であるラミアだった。
「うっひょー! 眼福眼福! あかん、あれ、俺のもんにしてええやろ!?」
「ちょい待ち。あんたは一般人なんだし、近寄った瞬間に頭からバクっと食われるぞ」
 今にも駆け出しそうなイルドの首根っこを掴みながら、トライフが呆れたように呟く。
「とりあえず、戦いは他の連中に任せて俺らはあいつの品評会でもしてようぜ」
「おお! 中々話が分かるやんか! 俺的に顔10点、胸10点、胸10点、胸10点や!」
「……胸ばっかりじゃねーか」
 イルドの点数にトライフは「はぁ」と盛大なため息と共に答えた。
「……」
 そんな中、メトロノームは無表情ながらもやや複雑な心境でラミアを見つめている。
(……相手は雑魔です、雑魔なので気にする必要はないと分かっているのですが……それでも、やはりあの胸の大きさ、どうしてこんなに敗北感を味わってしまうのでしょう。私は雑魔よりも魅力がないという事なのでしょうか……みなさん、雑魔にばかり反応して、私達、女性陣にはまったく興味を示さない……所詮、女性は胸の大きさで決まるのでしょうか)
 無表情からは読み取れないほど、明らかに心の中で凹みまくっている。
「蛇は寒さに弱いと聞きます……その点、夏らしい雑魔と言えそうですね、主に胸部分が。しかし彼女は冬の間、どんな服を着るのでしょう? まさか冬の間も同じ格好? 万歳!」
 疑問と本音が露骨に見え隠れしており、女性陣はやや冷たい視線をレイに向けている。
「おおっ! でけーっす! いいもん見れたっす! 生きてて良かったっす! 後衛の女性陣を守るために俺が仕方なくおっぱ……裸のねーちゃ……て、敵に突撃っすー!」
 神楽も本能が見え隠れする言葉を呟きながら、最高の笑顔でラミアに突撃していく。
「あああっ! 締めつけられたっす! 感触やべーっす! もう離れたくねーっす!」
 ラミアの胸に顔を埋めながら、神楽がハイテンションで叫んでいる。
 多分、このまま放っておいても彼にとっては本望であるのかもしれない。
「こっちにも可愛い子はいるのに、そっちの方ばっかり……さすがに怒っちゃうよ。どんなに胸が大きくても下半身は蛇じゃん、そうよ、下半身が蛇より、ちょ、ちょっと胸が小さくても人間の私達の方がいいはずなのに……くぅぅ、かば焼きにしてやるっ」
 夢路はどんどん怒りがこみあげてきて『ファイアアロー』を繰り出す。
「ひぇぇぇぇっ、ちょ、俺に当たるっす! もっと、違う場所に! ここ、傷つけちゃいけない聖域っす!」
「ダメな場所って言われると、思いきり撃ちこみたくなるのよね……」
 神楽の懸命な言葉に金刀比良が顔を引きつらせながら『ファイアアロー』を繰り出す。
「くっ、あんなもの……! 雑魔には不要でしょう、どうして私にないのよ……!」
 最初は気にしないようにしていた金刀比良だが、やはり女性であるため気になってしまうらしい。最後にはちょっと本音が漏れている。
「やれやれ、みんなあの雑魔に惑わされ過ぎよね」
 關はため息を吐きながら『猟銃』を構える。
 木陰に身を隠しながら、彼女は『エイミング』で命中率を上昇させた後に、射撃を行う。
 しかし、彼女は気づいているのだろうか。うつ伏せになり押し付けられた胸が非常によろしくない色気を醸し出していることに。雑魔の締めつけられながらも神楽の視線は、關の胸に釘付けになっている。
「締めつけられて気持ち良さそうにしている場合じゃないだろう? 下手すると死ぬよ?」
 如月は『黒漆太刀』を振り上げて『踏込』と『強打』を上手く使い、神楽を締めつけている尾を勢いよく斬り落とした。
 だが、ラミアの爪によって服が裂かれ、肌がちらっと見えてしまう。チラリズム万歳。
「……これでも大事な肌なんだよ、あんまりジロジロ見られたくないね」
 如月は胸の部分などを隠しながら、苦笑気味に呟いた。
「むっ……! これ以上先には進ませませんよ。その害意、阻ませて頂きます!」
 ラミアが突進してくるのをレイは『シールド「カエトラ」』で受け止める。
「……」
 受け止めた瞬間、ラミアの胸がむぎゅっとなり、若干レイの表情が弛んだのは気のせいだ。
(ラミア……恐ろしい敵です、これほどまでに人の理性を揺るがすものだなんて)
 メトロノームはやや驚いた表情を見せながら心の中で呟き『ウィンドスラッシュ』を使用して攻撃を行う。
 ちなみにラミアへと攻撃を行うたびに神楽の「あぁぁっ、俺の聖域がぁぁっ」と叫んでいるが、それは放っておいても構わないだろう。
「そういえば、前にも蛇を退治したわね。もしかして蛇に憑りつかれてるのかしら」
 金刀比良は苦笑しながら『ファイアアロー』を繰り出す。
「かば焼き♪ かば焼き♪ かば焼き♪ いっけぇぇっ」
 夢路は戦闘後のかば焼きを楽しみにしているらしく、遠慮なく『ファイアアロー』を繰り出している。若干、ちょっと恨みが込められているような気がしないでもない。
「こんがり焼けるといいな~♪」
「全身が蛇ならともかく、上半身人間のかば焼きなんて食べたいの? 私はちょっとだけ遠慮したいわね……まぁ、とりあえず退治すればいいんだし、その後の事は他の人に任せることにしましょうか」
 關は苦笑しながら呟き『強弾』を使用して、攻撃を行っている。
「さて、そろそろ終いにさせてもらおうかね」
 如月が呟き、レイも行動を合わせるようにほぼ同時に攻撃を行う。
「あぁぁ、俺の聖域が……でかぱい……っ!」
 しゅうう、と雑魔の姿が消えていくのを見ながら神楽が酷く残念そうにうな垂れた。
「あぁっ、消えられたらかば焼き食べれない……! どこまでも人を馬鹿にした雑魔めっ」
 雑魔の遺体が消えたことで、かば焼きが出来なくなり、別な意味で夢路はうな垂れた――。

●ラミアを倒した後

「なるほど。子供と約束をして、あなたはここに来ていたのですか」
 戦闘終了後、イルドから経緯を聞いたレイは納得したように頷いた。
「証になりそうな物があればいいんですが、さすがにすべて消えてしまいましたからね。難しいかもしれませんが、口頭で伝えるほかありませんね」
「お前の手柄にするためにも、俺達が一緒に行くっていうのはアリかもしれないな。別にいいぜ、お前の手柄にしても……ただし、1つ貸しだからな?」
 トライフが不敵に微笑みながら呟き、イルドは何となく嫌な予感がしたのだとか。
「そういえば、私も戦闘中の事故とは言え、肌を見られた代金を貰わないとね。何、金をせしめようってわけじゃないよ。私は料理の店をやっていてね、美味しい食材と酒を探しているのさ、もしコメの酒とか見つけたら一報をおくれよ」
 如月の言葉に「それ、俺が飯を食いに行くっていうのはどうだろう! もちろんツケで」とイルドが答える。
「私が飯を奢ってやって、私に何の得があるって言うんだい? むしろ損が増すだけだよ」
 ずばっと切り捨てるような言葉を告げられ、イルドはしょんぼりとした表情を見せる。
「イルドさん……女性には胸の他にも見るべき所はあると思います、胸がすべてではありません、例え胸が女性の8割を占めていたとしても、残りの2割を見るべきです……!」
 メトロノームが必死に訴えるけれど、若干ズレている気がするのは気のせいだろうか。
「えーと、つまりメトロちゃんが言いたいのは……きみの胸を見たらええってこと?」
「ちょっと! それってセクハラよ、セクハラ!」
 ぽかっ、とイルドの頭を軽く叩きながら金刀比良が全力で止める。
「うわぁ、そんなに飢えてるんだ……私も気をつけよう、ロリコンがいるよ、ロリコンが」
「イルドさん、さすがにフォロー出来ないっす!」
 さっきまで聖域とテンションの高かった神楽でさえも冷めた視線をイルドに向けている。
「ちょおっ! 神楽やん! あんたにだけは軽蔑されとうないわ! さっきまで超テンション高かったやんけ! あんたにだけは軽蔑される筋合いないんやで!」
「過去に拘ったらいけないっすよ! 前を向いて行かなくちゃっす!」
「意味分からへん!」
(……そんなにこれがいいのかしら、少し理解出来ないわね)
 關は自分の胸に視線を落としながら、小さなため息を吐く。
(重くて邪魔なだけだと思うんだけど、男性から見たらいいものなのかしら、これ)
 ラミアに劣らない立派な聖域を持つ關はイルドや神楽がテンションを高くする意味が分からず、何度目かになるため息を吐く。
「あ~んまり胸胸胸胸胸胸うるさいと『ファイアアロー』食らわしちゃうよ?」
 夢路がにっこりと威圧感たっぷりの笑みを見せながら呟く。
「……お嬢ちゃん、胸がすべてやないで! 多分、もしかしたらきっと育つかもしれへん!」
「どれだけ可能性がないのよ、私の胸っ!」
 べしっ、とイルドの頬に平手打ちを食らわしながら夢路が叫ぶ。
「大体そういう基準で女性を見ることそのものが失礼だと思うんだけど」
「ちっぱいはだまっとれや、ちっぱいは」
「イルドさん、ちっぱいも正義ですよ」
「そうっすよ! イルドさんもちっぱいは好きだって言ってたじゃないですか」
 男性陣の話に、金刀比良は思わず『ファイアアロー』を食らわしたい衝動に駆られる。
(こ、こいつらは……さっきからちっぱいちっぱい……と!)
「ここにいる女性陣を敵に回したくないのなら、それくらいにしておいた方がいいわよ」
 關が金刀比良の様子を見て、苦笑しながら男性陣に言葉を投げかける。
 しかし、男性陣のちっぱい談義は留まる所を知らず、帰るまでずーっと続き、ハンターオフィスに到着した時、金刀比良が爆発したのは言うまでもなかった。

END

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 大口叩きの《役立たず》
    トライフ・A・アルヴァイン(ka0657
    人間(紅)|23才|男性|機導師
  • アルテミスの調べ
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 夢の迷い子
    イザヤ・K・フィルデント(ka1841
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • あふれ出る色気
    關 湊文(ka2354
    人間(蒼)|26才|女性|猟撃士
  • 粋な若女将
    如月 紅葉(ka2360
    人間(蒼)|26才|女性|闘狩人
  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/08/30 17:15:33
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/08/27 00:13:28