ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】青竜紅刃流と変態たち
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/09 19:00
- 完成日
- 2016/05/19 18:17
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●あらすじ(飛ばし読み可)
「ま、今年の春の村長会議では惨めな気分にはなるまい」
農耕推進地ジェオルジの片田舎、タスカービレ村で五十歳程度の男性が天を仰ぎ息をついた。
「昨年は茶葉改良の失敗の話ばかりでしたからね」
四十歳あたりの女性が柔らかく微笑みながら茶を入れる。細長いガラス容器の中で柳の葉のような茶葉が揺らめく。
充分蒸らすと小さな湯呑み茶碗二つに注ぎ一つを手渡す。琥珀色の茶が白磁の器の中、揺らめく。
男性はセコ・フィオーリ。ここタスカービレ村の村長だ。
女性はハスミン・フィオーリ。村長夫人である。
「この、問えば答えてくれる甘み……かなり良くなってる」
村長が飲んだのは、「白茶(ぱいちゃ)」。リアルブルーの中国の茶であり、こちらの世界では東方で僅かに飲まれている。新芽を使うことなど希少性があり高級な茶で、クリアな飲み口の中、舌に乗ってくる甘みが特徴だ。
「カノーアは、フィーネさんのおかげだと言ってましたよ。フィーネさんは村の茶葉のおかげと感謝してましたが」
くす、とハスミン。
カノーアとは村の農場責任者の男性、カノーア・キアーヴェ。フィーネとは派遣された白茶技術者の女性、フィーネ・リスパルミオ。
この村では茶葉の生産性を高めるためチャノキの改良をしていた。
結果、よく枝分かれし葉も多くつける改良に成功したが、葉は大きくならず質も劣化した。
完全な失敗だったが芽を多く取るには最適で、この段階での質は良かった。
これに、昨年の東方開放による技術輸入の一環で入ってきた白茶生産の取り組みが合致。
時に、昨秋の郷祭でポルカ商会の「Pクレープ」の協力を得てお披露目し一定の評価を得たが値段のネックが浮き彫りになったところ。もっとも、馴染みやすくする効果も狙い紅茶を混ぜるブレンディング手法が生まれたが。
とにかく、この村の失敗作のおかげで生産性が跳ね上がったのだ。
フィーネは村に住み込むことになり、村は東方特化の道を目指す。
のち、同盟からのアルバトーレ・ロッソ移民の受け入れに即応。日系・中華系移民の受け皿となった。東方風村作りの一環で剣術流派も興したところ、ユニオンメンバー増強など懸案のある魔術師協会広報室も注目することになる。
「そうそう、村の雰囲気も良くなった」
「雰囲気については、ロッソの人たちと……剣術の人たちにも感謝ですね」
「おお、もちろん。……この雰囲気を大切にしないとな」
村長、ニコニコしている。
「そうですけど……もう何かお考えがありそうですね」
セコ、したり顔。
「ああ。村長会議の期間中の警備を一部引き受けた。青竜紅刃流の師範に回ってもらいながら、会議後の祭後半に我が村が出す『東方茶屋』をアピールしてもらう。ウチの独自性が際立つぞ~」
●本編
そんなこんなで、ハンターオフィスに依頼が届く。
「鑑さんを指名してますね」
「まあ、流派の師範だしそうなるだろうな。内容は?」
イ寺鑑(kz0175)が話を振ってきたオフィス係員に聞く。
「後日村で出店することになる東方茶屋の宣伝をしつつ、準備中の祭り会場の巡回警備をしてほしい、だそうです」
「そんな治安の悪い祭りなのか、その春郷祭てのは?」
鑑、遠慮なく突っ込む。
「広くから相当人の集まる催しですね。人が集まるから、そういう状況を好む者も集まるでしょう」
「あー……スリやらチンピラやら痴漢ね」
仕方ねぇなぁ、と鑑。
「ご名答です。後は変態も出ます。……出没注意報では、女性注意の『ミニスカ膝上測り隊』、『スカート股下測るんジャー』、『スリット深度計測屋』など。男性注意は『ベルト弁慶』、『ふんどし推進隊』、『切り裂き半ズボン』などが……」
女性の太ももが狙われ、男性のベルト狩りや強制ふんどし着用、強制半ズボン化の恐れがあるらしい。
「待て。なぜ予め注意報が出るんだ?」
呆れつつ突っ込む鑑。
「魔術師協会広報室の一部門が最近の被害統計から活発度などはじき出して予想してるようです」
「魔術師協会広報室、一体なにやってんだ?」
あくまで広報室の好き者一人が勝手にやっていることのようなので深く追求しないように。
「とにかく青竜紅刃流、出る!」
「ま、今年の春の村長会議では惨めな気分にはなるまい」
農耕推進地ジェオルジの片田舎、タスカービレ村で五十歳程度の男性が天を仰ぎ息をついた。
「昨年は茶葉改良の失敗の話ばかりでしたからね」
四十歳あたりの女性が柔らかく微笑みながら茶を入れる。細長いガラス容器の中で柳の葉のような茶葉が揺らめく。
充分蒸らすと小さな湯呑み茶碗二つに注ぎ一つを手渡す。琥珀色の茶が白磁の器の中、揺らめく。
男性はセコ・フィオーリ。ここタスカービレ村の村長だ。
女性はハスミン・フィオーリ。村長夫人である。
「この、問えば答えてくれる甘み……かなり良くなってる」
村長が飲んだのは、「白茶(ぱいちゃ)」。リアルブルーの中国の茶であり、こちらの世界では東方で僅かに飲まれている。新芽を使うことなど希少性があり高級な茶で、クリアな飲み口の中、舌に乗ってくる甘みが特徴だ。
「カノーアは、フィーネさんのおかげだと言ってましたよ。フィーネさんは村の茶葉のおかげと感謝してましたが」
くす、とハスミン。
カノーアとは村の農場責任者の男性、カノーア・キアーヴェ。フィーネとは派遣された白茶技術者の女性、フィーネ・リスパルミオ。
この村では茶葉の生産性を高めるためチャノキの改良をしていた。
結果、よく枝分かれし葉も多くつける改良に成功したが、葉は大きくならず質も劣化した。
完全な失敗だったが芽を多く取るには最適で、この段階での質は良かった。
これに、昨年の東方開放による技術輸入の一環で入ってきた白茶生産の取り組みが合致。
時に、昨秋の郷祭でポルカ商会の「Pクレープ」の協力を得てお披露目し一定の評価を得たが値段のネックが浮き彫りになったところ。もっとも、馴染みやすくする効果も狙い紅茶を混ぜるブレンディング手法が生まれたが。
とにかく、この村の失敗作のおかげで生産性が跳ね上がったのだ。
フィーネは村に住み込むことになり、村は東方特化の道を目指す。
のち、同盟からのアルバトーレ・ロッソ移民の受け入れに即応。日系・中華系移民の受け皿となった。東方風村作りの一環で剣術流派も興したところ、ユニオンメンバー増強など懸案のある魔術師協会広報室も注目することになる。
「そうそう、村の雰囲気も良くなった」
「雰囲気については、ロッソの人たちと……剣術の人たちにも感謝ですね」
「おお、もちろん。……この雰囲気を大切にしないとな」
村長、ニコニコしている。
「そうですけど……もう何かお考えがありそうですね」
セコ、したり顔。
「ああ。村長会議の期間中の警備を一部引き受けた。青竜紅刃流の師範に回ってもらいながら、会議後の祭後半に我が村が出す『東方茶屋』をアピールしてもらう。ウチの独自性が際立つぞ~」
●本編
そんなこんなで、ハンターオフィスに依頼が届く。
「鑑さんを指名してますね」
「まあ、流派の師範だしそうなるだろうな。内容は?」
イ寺鑑(kz0175)が話を振ってきたオフィス係員に聞く。
「後日村で出店することになる東方茶屋の宣伝をしつつ、準備中の祭り会場の巡回警備をしてほしい、だそうです」
「そんな治安の悪い祭りなのか、その春郷祭てのは?」
鑑、遠慮なく突っ込む。
「広くから相当人の集まる催しですね。人が集まるから、そういう状況を好む者も集まるでしょう」
「あー……スリやらチンピラやら痴漢ね」
仕方ねぇなぁ、と鑑。
「ご名答です。後は変態も出ます。……出没注意報では、女性注意の『ミニスカ膝上測り隊』、『スカート股下測るんジャー』、『スリット深度計測屋』など。男性注意は『ベルト弁慶』、『ふんどし推進隊』、『切り裂き半ズボン』などが……」
女性の太ももが狙われ、男性のベルト狩りや強制ふんどし着用、強制半ズボン化の恐れがあるらしい。
「待て。なぜ予め注意報が出るんだ?」
呆れつつ突っ込む鑑。
「魔術師協会広報室の一部門が最近の被害統計から活発度などはじき出して予想してるようです」
「魔術師協会広報室、一体なにやってんだ?」
あくまで広報室の好き者一人が勝手にやっていることのようなので深く追求しないように。
「とにかく青竜紅刃流、出る!」
リプレイ本文
●
「お願いです、ここでは勘弁してください」
「知るか……往生せえやぁ!」
「くたばるのはそっちじゃぁ!」
とある店先でそんな揉め事の声。
テラス席で始まるチンピラ同士の乱闘。皿が割れ客が逃げ惑う。
「そんな、誰か助けてください。ああ、店が無茶苦茶に……」
ここで店員の肩に手がぽん。
「派手な収穫祭だね?」
振り返ると、着物に袴に数珠を持つ天道 遮那(ka6113)がいた。
「余興か?」
青袴のイ寺鑑(kz0175)も一緒だ。
「でも殺り合ってるにしては気合が足りませんね」
ちょっと着崩した和装の多由羅(ka6167)もいる。まるで殺気の足りない揉め事に興味も薄そうな視線を投げる。
「とにかく青龍紅刃流、推参。大人しくしてよねーっ」
チャイナ服のウーナ(ka1439)が腰の小太刀に手を掛け騒動の中に突っ込む。たちまち「何だ、お前?」と歯向かってくる。奴らも長ナイフを抜いている。これを抜刀で弾き続けざまに引き抜いた拳銃の銃床で首の後ろをがつり。
「あんたら、セラータ・スパーダ?」
ゾファル・G・初火(ka4407)もすでに騒ぎの中。
「や、奴らなわけねーだろ」
「つまんないじゃーん」
ビビる敵を蹴上げて残念そうなゾファル。
「このチビ」
「チビはいいが……」
おっと。
袴の和装にちみっとまとめているレーヴェ・W・マルバス(ka0276)が狙われている。
「懐がお留守じゃの」
レーヴェ、ポニーテールをなびかせ鋭く踏み込んで抜刀した柄の先で敵の鳩尾を痛打。チンピラは膝から崩れ悶ええた。
「……殺し合いをするのではなかったのですか?」
こちらでは大太刀の柄に手を掛ける多由羅。殺気にチンピラたちがガクブル状態。
「に、逃げろ!」
いがみ合っていたのが嘘のように仲良く逃げていく。
そんな中、野次馬の中からこっそり逃げようとする者もいる。
「……湯呑み、お借りします。遮那さん、鑑さんはそちらを」
雀舟 玄(ka5884)が手近な陶器を手にしつつ、桜幕符。遮那と鑑、一歩目鋭く走る。
たちまち舞い散る桜吹雪の幻影。誰もが目を疑い一瞬動きを止めた。
「……多由羅さん、敵に気合が足りないのはこういうことでしょうね……」
がつり、と湯呑みをこっそり逃げる男の後頭部に。実はこの男、騒ぎに紛れスリを働いていた。三人ともスリを捕縛。
「せっかく皆が楽しんでいるんだから邪魔しちゃダメなんだよ。そういう悪い子は静かになって貰わないとだね」
ずざっ、とチャイナ服なのに腰を落として歩幅の広い一撃を食らわせるのは、狐中・小鳥(ka5484)。この動きやすさ、スリットが相当深そうだ。
「す、すげえ……」
「ブラボー」
たちまち、野次馬から拍手と歓声がわき起こる。
混乱した場をあっという間に制圧していた。
「怪我がないなら何より」
数珠を持つ手を立てて黙礼する遮那。
「あの、ありがとうございます……あなたたちは?」
店員、感極まって寄って来た。
「ええと……あれ」
「青竜紅刃流ウーナ、姑息なスリを打ち取ったりー!」
鑑、一瞬考えたが捕縛して名乗りを上げたウーナを示しておく。
ウーナの着るチャイナ服の背中などに織り込まれた屋号「東方茶屋」の文字が誇らしかった。
●
そんなこんなで。
「いらっしゃいませ、東方茶屋へようこそなんだよ~」
「……プレオープンですけど……」
チャイナ服の裾をひらめかせ来客に挨拶する小鳥に、白い三角巾に和服をたすき掛けして白エプロンを着た玄がかくりとお辞儀。
「しかし本当にいいのか? 店先の一角で営業させてもらって」
その後ろで鑑が助けた店の女性に聞いていた。
「はい。同じメニューでなければ」
どうやら護衛の目的で請われてテラス席の一角で店を出させてもらうことになった。タスカービレの者も来ていたので急いで白茶や緑茶、きなこ餅の販売をする。
「長椅子には赤い繊毛が似合うんだけど……」
遮那、腰掛けたまま懐かしそうに言う。
「とはいえ、依頼は警備」
多由羅、ぶれない。キリリと皆に釘を刺す。
「あったり前じゃん」
どかり、と誰かが横から膝を上げて椅子に足を乗せる。
素肌を晒した、すらっとした脚線美とチラリズムはスリットの入ったチャイナ服のおかげ。
「ゴミは伊達にして返すべし」
その正体は、ゾファル。いつの間にか着替えていた。
チラリズムといえば。
「……レーヴェさん、袴はもうちょっと足元まで……」
「動きやすいし私がチビじゃし……何より『釣れる』じゃろ?」
玄の教えにミニスカ袴のレーヴェがにたり。
「じゃ、これが変質者のリストだから」
鑑が紙を取り出したところ、横からウーナがパシリ。
そして、にた~りと野獣の笑み。
「要するにコレを順にぶちのめしていいわけ、っと……ちょうどいい宣伝材料だね」
「殺るつもりですね……いいでしょう。私も……」
ウーナに刺激され、気合を入れて出発しようとした多由羅だったが。
「あの、ここの売り子と警備が足りなくなります」
先の女性、多由羅の袖をつかんで止めた。
「え? でも……私が? 私お茶の事なんて……!」
「逃げようとしてもダメです!」
「ちょ……ちょっと待ってください!」
憐れ、多由羅はそのまま更衣室に。
「それじゃ、行きましょうか」
鑑、皆を急かす。
●
その後、祭り会場のどこか。
がしゃーん、と荒事の予感。
「宵闇のラデオラたぁ俺っちの事。腕が立つんならちょい顔貸しなァ!」
「ひぃぃ」
ならず者「セラータ・スパーダ」の一人が暴れているようだ。一般人の襟首を掴んで激高している。
その時!
――ひゅん、ばばっ。
「誰、てめっち」
「別に誰でもいいじゃ~ん」
ゾファルがラデオラの背後を取りナイフを突き付けたのだ。ラデオラも気付いて一般人を放し距離を取った。
「生きのいいのが代わりに来たなぁ。さ、得物取りな」
「ゴミ共相手に表道具は使わないじゃーん」
短剣とナイフを構えたラデオラに対し、ゾファルはぺこぺこと刀身の引っ込むびっくりナイフを手に余裕をかます。
「そんじゃこっちも遊ぶかァ」
ラデオラ、身を低くして来る!
「ダメじゃん」
「おお、強ぇなぁ。楽しいなぁ」
当たって離れ回り込むラデオラに対し、一直線なゾファル。
「戦法、切り替えないのか?」
同行して見ていた遮那、二人の戦いぶりに呆れる。
「お宅のほうも勝敗そっちのけで楽しむタイプだね」
ぎくり、として横を見ると気取った男がいた。
「宵闇のアルゼア」
突然鞭を使うアルゼア。遮那、即抜刀。降魔刀で弾き……楽しまない。
――どん!
「力の差は歴然だよね」
遮那、最後は左手のバンジャで壁に押し込んだ。アルゼアは辛うじてナイフで防いで壁を背中に背負う。
が、アルゼ。
「危ないよ?」
「何?」
「邪魔だ、おらっ!」
――どかっ。
何と、ラデオラがゾファルに押し込まれつつ遮那の背中にぶつかって来たのだ。
「楽しかったよ」
アルゼア、すり抜けてゾファルに鞭。
「新手じゃん」
ゾファル、もちろんびっくりナイフで受けるがポジションチェンジに幻惑され……いや、ある理由で追えない。
「うへへ……」
「そんなに太ももが好きなら遊んでやるじゃーん!」
気付けばスリットにメジャーを合わせる変態に取り付かれていた。すかさず飛びつきの首四の字から引き倒してマウントポジションでフルボッコにするのだったが。
「はぁ…、全く恥を知りなさい」
後の話になるが、遮那はこの男を門下生に命じ「色即是空の滝行」の刑に処した。色即是空を唱えつつ、冷たい水に打たれ煩悩を滅し、男の更生に手を貸したとか。
変態は他の場所にもいた!
「にゃ!?」
歩いていた小鳥、ぞぞっと背筋を伸ばした。
「深度D……」
視線を下げると、にやついた男が赤いチャイナ服のスリットにメジャーを当てているではないか!
「Dって何かにゃ!? 変態さんは滅殺…はしないけど、お・し・お・き・はさせて貰うんだよ」
「ディープのD……」
「流石に剣で斬るわけにも……なら蹴りでいくんだよ!」
どかっ、と振り上げた足で踵落とし。
が、そこに新たな影!
「けしからんですな、スカートではないですが股下をそんなに見せたいですか……」
「な、何か……新たな変態がわいて出たような……」
太腿をガン見するため寄って来た変態の新手に、いやんした小鳥の膝がクリーンヒット。
この雄姿に野次馬が叫ぶ。
「男のような戦いぶりだ!」
「何、男? 男なら男らしく半ズボンにっ!」
「にゃああっ、新手なんだよー!」
ちゃきん、という音と同時に回し蹴り。
だが無情。
チャイナ服はすっかり股下すぐの丈に斬られていた。
「けしから~ん。そのようなミニはこの『膝上測り隊』が……」
「い、いい加減にするんだよ……」
新たな変態を撃退しつつ真っ赤になって短くなった裾を押さえる小鳥だった。
●
「お嬢さん、お菓子はどう?」
傘が翻りチャイナドレスの裾がひらめく。
腰がくねってヒップがくるり。
見返りウーナが「え?」とぱちくり。
「面白い格好をしてるねぇ」
「ありがと。キャンギャルって言うんだよ」
屋台の店主から小さなお菓子をもらって、お礼に教える。
で、また上品に歩く。
「お嬢さん、お腰はどう?」
「え?」
低い位置からの声に視線を下げると、ぞぞぞっ。
「これは深度Eだねぇ」
「はっ」
気付くと周りできゃーきゃー悲鳴が上がっている。似たような変態が周りに群がっているのだ。
「それはどういう意味ー!?」
小太刀を振るって変態を引きはがすと、たんたんたーんと銃を抜き威嚇。
「……え、エクセレントのE……」
腰が抜けた変態、放っておいても逃げないだろう。
「ほかはっ!」
すかさず周りを見て最も効率の良いルートを選定。移動射撃と威嚇抜刀を合わせて変態たちに襲い掛かった。
「もう少しのM……」
「惜しいのO……」
「良しっ。青竜紅刃流ウーナ、一等賞ー!」
ぶちのめした変態から出た言葉はウーナの評価より低かった。高々と勝ち名乗りを上げ、周りからは拍手がわく。
そのころ別の場所。
「いや~ん」
「いいではないかいいではないか!」
道行く女性の脚に絡みつきスカートの膝上丈を測っている男がいた。
そこへ、一陣の風。
――げしっ!
「現行犯逮捕じゃ愚か者め」
すちゃ、と動きを止め振り返る姿は、レーヴェ。足元には、どてっ腹に一撃くらわせてあっという間に荒縄で海老反りに縛り上げた変態がごろり。
「何という早業……おわっ!」
一緒にいた鑑、感心したところ愕然とする。
「男はやっぱり半ズボンだわよん」
鋏を持つ暗そうな女性が四つ這いで着地し振り向く。通り過ぎた鑑の袴をレーヴェと同じサイズにあっという間にばっさり。
「男も女も容赦せん!」
レーヴェ、この女をあっという間に荒縄でぎゅう。胸のあたりを強調するけしからん縛られ姿にする。
と、その時。
「何という短いスカート。容赦できませんな」
びたりとレーヴェの太腿に変態男が張り付いていた。そしてミニスカートの中にメジャーを持った手を突っ込み……。
「ん?」
「ミニの袴じゃ!」
げしっ、と蹴り上げM字開脚に縛り上げる。もちろん服は着たままで。
「よいか!」
そして振り向きビシリと変態たちを指差し。
「とある変態は言うておった。『リアルな犯罪はやめろ! それは新たな規制を生み! 同志達の心のオアシスを潰す事になるのだ!』、と。えっちな内容は妄想の中だけに留めておけぃ」
おお~、と周りの野次馬から感心の声。
「変態の鏡だ」
「変態の大ボスさまですわね」
そんなひそひそ声も。
「ち、違うわ!」
レーヴェ、ことほど左様に変態もとい大変なことになっていたとさ。
●
時は遡り、多由羅。
「ふう…困ったものです……。殺すしか能のない私にお茶など…」
赤いセクシーなチャイナ服姿で店に残っていた。言葉に一瞬ビビる客たち。
「わからないものをどう売れというのでしょう…」
くねり、と身をよじる。胸の谷間が悩ましい。
「店員さんもこっち来て飲まんか?」
「え?」
「茶のこと、分からないんなら教えたるさかいに」
「そ、そうですか?」
「う、うほーっ。ほ、ほら、湯呑みを覗いてみ?」
まったく意識せずに寄って来た胸の谷間……こほん、多由羅に内心狂喜乱舞して密着するよう誘導する客。ビビらない客はこういうのしかいないようで。
「そうですか。お茶菓子もどうです? ……え、私もここで飲め? 奢り? キープはないのか?」
多由羅、助平親父客にモテモテ。というか、ここは一体何の店だ?
その時。
「うほーっ。この店はけしからん。太腿がこんなに」
「きゃーっ」
変態だ。女性客の太腿を狙っている。
かしゃん……ぱしり。
「いらっしゃいませ。周りの迷惑なので、止めていただけると助かるのですが……」
湯呑みの割れる音とともに、店員をしていた玄が登場。伸ばした手を掴んで止める。女性客、危機一髪。
「お前ね。可愛いんだから太腿はこう……」
「そういう注文は受けておりません」
今度は玄の着物の裾に伸ばした手を取ると逆手になるよう捻り上げ……。
「いてて……おわっ!」
どしーん。
身を反らした動きに合わせてくるりと投げた。
「よし! ……あ。壊した湯呑の代金は、あっちにお願いします」
「な、何だとう! 俺はあいつみたいな変態じゃない。股下が重要なんだ」
「違う、スリットだ!」
玄、ほかの野次馬を指差すと次々と自己申告をする何だかなぁ状態。
そこに踏み込むセクシーチャイナ服……違った、多由羅。
「憩いの場を荒らす不届き者は……」
ぱちん、と抜刀していた大太刀を収める。
「許しません!」
振り向くと、新手の変態たちの服の前が斬れていた。
ところが!
「おお、涼しい」
「御開帳~」
「周りの迷惑なので、止めていただけると助かるのですが……」
下着姿どもをすこんすこんと玄がのしていく。
一方、助平親父客たちは。
「そうじゃそうじゃ、憩いの場じゃ!」
どうやら彼らはセーフらしい。
その後、東方茶屋に全員集合。
「どうだった?」
ミニ袴の鑑が聞く。
「集会所を中心に回ってきましたが、歓迎されました…あっ」
遮那、言葉の途中で腰を上げた。
「よ、さっきの。早速来たで」
話をした年配者たちが客として来店。遮那、嬉しそう。
さらに子供たちが。
「お姉ちゃん、さっきはお菓子をありがとう」
「おお、あの時のか。試食のおすそ分けじゃ、気にするでない」
レーヴェは各屋台の試食をもぐもぐしつつ巡回中、子供に分け与えていた。
「お礼方々、お茶をしにきましたよ」
母親たちが客としてやって来たのだ。
さらに若者も。
「イカすねーちゃんの店はここ?」
キャンギャルのウーナが印象に残っていたようで。
「忙しい忙しい…」
玄がいそいそと給仕給仕。
ちなみに、ゾファルと小鳥は助平親父客を締めようとして多由羅に止められていた。理由を知った二人は仲間になり、サービスしてさらに売り上げを伸ばしたという。
「お願いです、ここでは勘弁してください」
「知るか……往生せえやぁ!」
「くたばるのはそっちじゃぁ!」
とある店先でそんな揉め事の声。
テラス席で始まるチンピラ同士の乱闘。皿が割れ客が逃げ惑う。
「そんな、誰か助けてください。ああ、店が無茶苦茶に……」
ここで店員の肩に手がぽん。
「派手な収穫祭だね?」
振り返ると、着物に袴に数珠を持つ天道 遮那(ka6113)がいた。
「余興か?」
青袴のイ寺鑑(kz0175)も一緒だ。
「でも殺り合ってるにしては気合が足りませんね」
ちょっと着崩した和装の多由羅(ka6167)もいる。まるで殺気の足りない揉め事に興味も薄そうな視線を投げる。
「とにかく青龍紅刃流、推参。大人しくしてよねーっ」
チャイナ服のウーナ(ka1439)が腰の小太刀に手を掛け騒動の中に突っ込む。たちまち「何だ、お前?」と歯向かってくる。奴らも長ナイフを抜いている。これを抜刀で弾き続けざまに引き抜いた拳銃の銃床で首の後ろをがつり。
「あんたら、セラータ・スパーダ?」
ゾファル・G・初火(ka4407)もすでに騒ぎの中。
「や、奴らなわけねーだろ」
「つまんないじゃーん」
ビビる敵を蹴上げて残念そうなゾファル。
「このチビ」
「チビはいいが……」
おっと。
袴の和装にちみっとまとめているレーヴェ・W・マルバス(ka0276)が狙われている。
「懐がお留守じゃの」
レーヴェ、ポニーテールをなびかせ鋭く踏み込んで抜刀した柄の先で敵の鳩尾を痛打。チンピラは膝から崩れ悶ええた。
「……殺し合いをするのではなかったのですか?」
こちらでは大太刀の柄に手を掛ける多由羅。殺気にチンピラたちがガクブル状態。
「に、逃げろ!」
いがみ合っていたのが嘘のように仲良く逃げていく。
そんな中、野次馬の中からこっそり逃げようとする者もいる。
「……湯呑み、お借りします。遮那さん、鑑さんはそちらを」
雀舟 玄(ka5884)が手近な陶器を手にしつつ、桜幕符。遮那と鑑、一歩目鋭く走る。
たちまち舞い散る桜吹雪の幻影。誰もが目を疑い一瞬動きを止めた。
「……多由羅さん、敵に気合が足りないのはこういうことでしょうね……」
がつり、と湯呑みをこっそり逃げる男の後頭部に。実はこの男、騒ぎに紛れスリを働いていた。三人ともスリを捕縛。
「せっかく皆が楽しんでいるんだから邪魔しちゃダメなんだよ。そういう悪い子は静かになって貰わないとだね」
ずざっ、とチャイナ服なのに腰を落として歩幅の広い一撃を食らわせるのは、狐中・小鳥(ka5484)。この動きやすさ、スリットが相当深そうだ。
「す、すげえ……」
「ブラボー」
たちまち、野次馬から拍手と歓声がわき起こる。
混乱した場をあっという間に制圧していた。
「怪我がないなら何より」
数珠を持つ手を立てて黙礼する遮那。
「あの、ありがとうございます……あなたたちは?」
店員、感極まって寄って来た。
「ええと……あれ」
「青竜紅刃流ウーナ、姑息なスリを打ち取ったりー!」
鑑、一瞬考えたが捕縛して名乗りを上げたウーナを示しておく。
ウーナの着るチャイナ服の背中などに織り込まれた屋号「東方茶屋」の文字が誇らしかった。
●
そんなこんなで。
「いらっしゃいませ、東方茶屋へようこそなんだよ~」
「……プレオープンですけど……」
チャイナ服の裾をひらめかせ来客に挨拶する小鳥に、白い三角巾に和服をたすき掛けして白エプロンを着た玄がかくりとお辞儀。
「しかし本当にいいのか? 店先の一角で営業させてもらって」
その後ろで鑑が助けた店の女性に聞いていた。
「はい。同じメニューでなければ」
どうやら護衛の目的で請われてテラス席の一角で店を出させてもらうことになった。タスカービレの者も来ていたので急いで白茶や緑茶、きなこ餅の販売をする。
「長椅子には赤い繊毛が似合うんだけど……」
遮那、腰掛けたまま懐かしそうに言う。
「とはいえ、依頼は警備」
多由羅、ぶれない。キリリと皆に釘を刺す。
「あったり前じゃん」
どかり、と誰かが横から膝を上げて椅子に足を乗せる。
素肌を晒した、すらっとした脚線美とチラリズムはスリットの入ったチャイナ服のおかげ。
「ゴミは伊達にして返すべし」
その正体は、ゾファル。いつの間にか着替えていた。
チラリズムといえば。
「……レーヴェさん、袴はもうちょっと足元まで……」
「動きやすいし私がチビじゃし……何より『釣れる』じゃろ?」
玄の教えにミニスカ袴のレーヴェがにたり。
「じゃ、これが変質者のリストだから」
鑑が紙を取り出したところ、横からウーナがパシリ。
そして、にた~りと野獣の笑み。
「要するにコレを順にぶちのめしていいわけ、っと……ちょうどいい宣伝材料だね」
「殺るつもりですね……いいでしょう。私も……」
ウーナに刺激され、気合を入れて出発しようとした多由羅だったが。
「あの、ここの売り子と警備が足りなくなります」
先の女性、多由羅の袖をつかんで止めた。
「え? でも……私が? 私お茶の事なんて……!」
「逃げようとしてもダメです!」
「ちょ……ちょっと待ってください!」
憐れ、多由羅はそのまま更衣室に。
「それじゃ、行きましょうか」
鑑、皆を急かす。
●
その後、祭り会場のどこか。
がしゃーん、と荒事の予感。
「宵闇のラデオラたぁ俺っちの事。腕が立つんならちょい顔貸しなァ!」
「ひぃぃ」
ならず者「セラータ・スパーダ」の一人が暴れているようだ。一般人の襟首を掴んで激高している。
その時!
――ひゅん、ばばっ。
「誰、てめっち」
「別に誰でもいいじゃ~ん」
ゾファルがラデオラの背後を取りナイフを突き付けたのだ。ラデオラも気付いて一般人を放し距離を取った。
「生きのいいのが代わりに来たなぁ。さ、得物取りな」
「ゴミ共相手に表道具は使わないじゃーん」
短剣とナイフを構えたラデオラに対し、ゾファルはぺこぺこと刀身の引っ込むびっくりナイフを手に余裕をかます。
「そんじゃこっちも遊ぶかァ」
ラデオラ、身を低くして来る!
「ダメじゃん」
「おお、強ぇなぁ。楽しいなぁ」
当たって離れ回り込むラデオラに対し、一直線なゾファル。
「戦法、切り替えないのか?」
同行して見ていた遮那、二人の戦いぶりに呆れる。
「お宅のほうも勝敗そっちのけで楽しむタイプだね」
ぎくり、として横を見ると気取った男がいた。
「宵闇のアルゼア」
突然鞭を使うアルゼア。遮那、即抜刀。降魔刀で弾き……楽しまない。
――どん!
「力の差は歴然だよね」
遮那、最後は左手のバンジャで壁に押し込んだ。アルゼアは辛うじてナイフで防いで壁を背中に背負う。
が、アルゼ。
「危ないよ?」
「何?」
「邪魔だ、おらっ!」
――どかっ。
何と、ラデオラがゾファルに押し込まれつつ遮那の背中にぶつかって来たのだ。
「楽しかったよ」
アルゼア、すり抜けてゾファルに鞭。
「新手じゃん」
ゾファル、もちろんびっくりナイフで受けるがポジションチェンジに幻惑され……いや、ある理由で追えない。
「うへへ……」
「そんなに太ももが好きなら遊んでやるじゃーん!」
気付けばスリットにメジャーを合わせる変態に取り付かれていた。すかさず飛びつきの首四の字から引き倒してマウントポジションでフルボッコにするのだったが。
「はぁ…、全く恥を知りなさい」
後の話になるが、遮那はこの男を門下生に命じ「色即是空の滝行」の刑に処した。色即是空を唱えつつ、冷たい水に打たれ煩悩を滅し、男の更生に手を貸したとか。
変態は他の場所にもいた!
「にゃ!?」
歩いていた小鳥、ぞぞっと背筋を伸ばした。
「深度D……」
視線を下げると、にやついた男が赤いチャイナ服のスリットにメジャーを当てているではないか!
「Dって何かにゃ!? 変態さんは滅殺…はしないけど、お・し・お・き・はさせて貰うんだよ」
「ディープのD……」
「流石に剣で斬るわけにも……なら蹴りでいくんだよ!」
どかっ、と振り上げた足で踵落とし。
が、そこに新たな影!
「けしからんですな、スカートではないですが股下をそんなに見せたいですか……」
「な、何か……新たな変態がわいて出たような……」
太腿をガン見するため寄って来た変態の新手に、いやんした小鳥の膝がクリーンヒット。
この雄姿に野次馬が叫ぶ。
「男のような戦いぶりだ!」
「何、男? 男なら男らしく半ズボンにっ!」
「にゃああっ、新手なんだよー!」
ちゃきん、という音と同時に回し蹴り。
だが無情。
チャイナ服はすっかり股下すぐの丈に斬られていた。
「けしから~ん。そのようなミニはこの『膝上測り隊』が……」
「い、いい加減にするんだよ……」
新たな変態を撃退しつつ真っ赤になって短くなった裾を押さえる小鳥だった。
●
「お嬢さん、お菓子はどう?」
傘が翻りチャイナドレスの裾がひらめく。
腰がくねってヒップがくるり。
見返りウーナが「え?」とぱちくり。
「面白い格好をしてるねぇ」
「ありがと。キャンギャルって言うんだよ」
屋台の店主から小さなお菓子をもらって、お礼に教える。
で、また上品に歩く。
「お嬢さん、お腰はどう?」
「え?」
低い位置からの声に視線を下げると、ぞぞぞっ。
「これは深度Eだねぇ」
「はっ」
気付くと周りできゃーきゃー悲鳴が上がっている。似たような変態が周りに群がっているのだ。
「それはどういう意味ー!?」
小太刀を振るって変態を引きはがすと、たんたんたーんと銃を抜き威嚇。
「……え、エクセレントのE……」
腰が抜けた変態、放っておいても逃げないだろう。
「ほかはっ!」
すかさず周りを見て最も効率の良いルートを選定。移動射撃と威嚇抜刀を合わせて変態たちに襲い掛かった。
「もう少しのM……」
「惜しいのO……」
「良しっ。青竜紅刃流ウーナ、一等賞ー!」
ぶちのめした変態から出た言葉はウーナの評価より低かった。高々と勝ち名乗りを上げ、周りからは拍手がわく。
そのころ別の場所。
「いや~ん」
「いいではないかいいではないか!」
道行く女性の脚に絡みつきスカートの膝上丈を測っている男がいた。
そこへ、一陣の風。
――げしっ!
「現行犯逮捕じゃ愚か者め」
すちゃ、と動きを止め振り返る姿は、レーヴェ。足元には、どてっ腹に一撃くらわせてあっという間に荒縄で海老反りに縛り上げた変態がごろり。
「何という早業……おわっ!」
一緒にいた鑑、感心したところ愕然とする。
「男はやっぱり半ズボンだわよん」
鋏を持つ暗そうな女性が四つ這いで着地し振り向く。通り過ぎた鑑の袴をレーヴェと同じサイズにあっという間にばっさり。
「男も女も容赦せん!」
レーヴェ、この女をあっという間に荒縄でぎゅう。胸のあたりを強調するけしからん縛られ姿にする。
と、その時。
「何という短いスカート。容赦できませんな」
びたりとレーヴェの太腿に変態男が張り付いていた。そしてミニスカートの中にメジャーを持った手を突っ込み……。
「ん?」
「ミニの袴じゃ!」
げしっ、と蹴り上げM字開脚に縛り上げる。もちろん服は着たままで。
「よいか!」
そして振り向きビシリと変態たちを指差し。
「とある変態は言うておった。『リアルな犯罪はやめろ! それは新たな規制を生み! 同志達の心のオアシスを潰す事になるのだ!』、と。えっちな内容は妄想の中だけに留めておけぃ」
おお~、と周りの野次馬から感心の声。
「変態の鏡だ」
「変態の大ボスさまですわね」
そんなひそひそ声も。
「ち、違うわ!」
レーヴェ、ことほど左様に変態もとい大変なことになっていたとさ。
●
時は遡り、多由羅。
「ふう…困ったものです……。殺すしか能のない私にお茶など…」
赤いセクシーなチャイナ服姿で店に残っていた。言葉に一瞬ビビる客たち。
「わからないものをどう売れというのでしょう…」
くねり、と身をよじる。胸の谷間が悩ましい。
「店員さんもこっち来て飲まんか?」
「え?」
「茶のこと、分からないんなら教えたるさかいに」
「そ、そうですか?」
「う、うほーっ。ほ、ほら、湯呑みを覗いてみ?」
まったく意識せずに寄って来た胸の谷間……こほん、多由羅に内心狂喜乱舞して密着するよう誘導する客。ビビらない客はこういうのしかいないようで。
「そうですか。お茶菓子もどうです? ……え、私もここで飲め? 奢り? キープはないのか?」
多由羅、助平親父客にモテモテ。というか、ここは一体何の店だ?
その時。
「うほーっ。この店はけしからん。太腿がこんなに」
「きゃーっ」
変態だ。女性客の太腿を狙っている。
かしゃん……ぱしり。
「いらっしゃいませ。周りの迷惑なので、止めていただけると助かるのですが……」
湯呑みの割れる音とともに、店員をしていた玄が登場。伸ばした手を掴んで止める。女性客、危機一髪。
「お前ね。可愛いんだから太腿はこう……」
「そういう注文は受けておりません」
今度は玄の着物の裾に伸ばした手を取ると逆手になるよう捻り上げ……。
「いてて……おわっ!」
どしーん。
身を反らした動きに合わせてくるりと投げた。
「よし! ……あ。壊した湯呑の代金は、あっちにお願いします」
「な、何だとう! 俺はあいつみたいな変態じゃない。股下が重要なんだ」
「違う、スリットだ!」
玄、ほかの野次馬を指差すと次々と自己申告をする何だかなぁ状態。
そこに踏み込むセクシーチャイナ服……違った、多由羅。
「憩いの場を荒らす不届き者は……」
ぱちん、と抜刀していた大太刀を収める。
「許しません!」
振り向くと、新手の変態たちの服の前が斬れていた。
ところが!
「おお、涼しい」
「御開帳~」
「周りの迷惑なので、止めていただけると助かるのですが……」
下着姿どもをすこんすこんと玄がのしていく。
一方、助平親父客たちは。
「そうじゃそうじゃ、憩いの場じゃ!」
どうやら彼らはセーフらしい。
その後、東方茶屋に全員集合。
「どうだった?」
ミニ袴の鑑が聞く。
「集会所を中心に回ってきましたが、歓迎されました…あっ」
遮那、言葉の途中で腰を上げた。
「よ、さっきの。早速来たで」
話をした年配者たちが客として来店。遮那、嬉しそう。
さらに子供たちが。
「お姉ちゃん、さっきはお菓子をありがとう」
「おお、あの時のか。試食のおすそ分けじゃ、気にするでない」
レーヴェは各屋台の試食をもぐもぐしつつ巡回中、子供に分け与えていた。
「お礼方々、お茶をしにきましたよ」
母親たちが客としてやって来たのだ。
さらに若者も。
「イカすねーちゃんの店はここ?」
キャンギャルのウーナが印象に残っていたようで。
「忙しい忙しい…」
玄がいそいそと給仕給仕。
ちなみに、ゾファルと小鳥は助平親父客を締めようとして多由羅に止められていた。理由を知った二人は仲間になり、サービスしてさらに売り上げを伸ばしたという。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼相談卓 ウーナ(ka1439) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/05/09 14:53:36 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/09 15:30:29 |