ゲスト
(ka0000)
【機創】調査は自分の足で!3
マスター:朝臣あむ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/10 12:00
- 完成日
- 2016/05/18 06:17
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●???
夜の研究室に響くのは本を捲る音だ。
昼間は研究者同士の話し声や実験の音などで騒がしいこの場所も、夜の帳が下りればこんなにも静かになる。
リーゼロッテは昼間の喧騒とは違う静けさの中で本を捲ると、ある一節で動きを止めた。
「リーゼ、まだ寝ていなかったの?」
唐突に聞こえてきた声に振り返る。そこに在ったのはリーゼロッテの義母にして錬金術の師だ。
「……この間、ナサくんが見せてくれた錬金術が気になって……あの子もう1人で魔導機械を作れるんですよ」
凄いですよね。そう微笑む彼女に僅かなかげりが見える。それに気付いたのだろう。
義母は老いた体を曲げるようにして彼女の隣に腰を下ろすと、我が子の悩みを消そうとするようにそっと金色の髪を撫でた。
「そうねぇ。でも貴女だって凄いわぁ」
「そう、でしょうか……私はナサくんのように錬金術の才能はありません。あの子は何も見なくても自分の勘だけでいろいろなことが出来てしまうんです。怖いほどに研究熱心で、怖いほどに完璧な子……」
今から更に数年前。
ナサニエルより先に錬魔院に引き取られたリーゼロッテは、義母を手伝うために毎日難しい書物を読み漁っていた。
難しい研究も勿論あったし、意味の分からない言葉なども多かった。それでも生まれ持った『努力』と言う才能で、彼女は義母の手伝いをし続けてきた。
そんな中、彼女と同じく義母に引き取られてきたのがナサニエルだ。
彼は錬魔院に来るや否や、すぐにその才能を発揮した。
初見で成し遂げられる錬金術の数々。楽しそうに研究を重ねる彼を見るのは、義母は勿論リーゼロッテも嬉しかった。
それでも時折思ってしまう。この子にこれ以上錬金術を教えても良いものか、と。
「ナサくんは大丈夫なんでしょうか……このまま色々なことが出来たらあの子……」
「えぇ、リーゼの疑問はもっともだわぁ。だってねあの子ったらこの前、同い年の子と会ってなんて言ったと思う?」
「え……ナサくん、同い年の子とお話しできるんですか?」
「……貴女のナサニエルへの偏見も大概だけど、あながち間違ってないわねぇ。あの子ったら今やってる研究について切々と語った後で『こんなこともわからないんですかぁ?』とかつまらなそうに言って……人間として何か大事なものが足りてない気は私もしてるのよぉ」
「義母さんがそれを言ったらダメな気がするんですけど……」
まあ、その時の状況は実際に目にしないでも想像できる。
きっと彼のことだ。わかってくれない相手を切り捨ててしまう方が楽だと考えたのだろう。
わかってもらえなくても彼には何の支障もない。切り捨てたところで彼に不利益は何もない。寧ろここで時間を無駄にする方が彼にとっては何倍も枷になる事なのだ。
でもね。と義母は続ける。
「いつかあの子の錬金術が多くの人に認められて、あの子をわかってくれる人が現れたらあの子は1人じゃなくなる気がするのよぉ。だからリーゼ……あの子が人として幸せになれるように、あの子が間違った道へ行ってしまわないように、お姉さんである貴女があの子のことを見守ってあげてね」
義母はそう言うと、穏やかに笑ってリーゼロッテの頭を撫でた。
●錬金術師組合・組合長室
リーゼロッテは微睡みの中から起きるように目を擦ると、すっかり明けてしまった夜に息を吐いた。
「……迂闊でしたね。まさか執務室で朝を迎えるなんて……」
昨夜は遅くまで書類の整理に追われていた。
その理由はここ最近起きている歪虚との闘いが大きいのだが、もう1つ1年に1度彼女の元にやってくる仕事が原因でもある。
「懐かしい夢を見たのはこれのせいでしょうか……」
取り上げたのは錬魔院の刻印が押された封書だ。表にはリーゼロッテの名前が見覚えのある字で書かれている。
ミミズがのたくったような字はナサニエルの物で、彼は北方の地で活躍している――筈だった。
「なんで戻ってきてるんでしょう……あの子が帝都の地下にそこまで関心があったとは思えないのですけど……」
ナサニエルが寄越してきた手紙には、1年に1度行っている第一師団による定期的な掃討作戦のことが書かれていた。
しかもそろそろ前の作戦から1年が経つので、マテリアル装置の定期メンテナンスをしたいと言うのだ。
「……まさかまた実験を?」
昨年の作戦にも顔を出したが、確かその時には新しい機械の実験を掃討作戦でしないとか言っていたような。
「そんなの私の目が黒いうちは許しませんよ! ペリド! ペリドはいますかっ!!」
リーゼロッテは助手のペリドを呼び寄せると、まだ眠そうに首を傾げる彼女に急ぎ書き綴った手紙を差し出した。
「地下水道のマテリアル装置の定期メンテナンスは錬金術師組合が行います。と書きました。この手紙を錬魔院のナサニエル院長に届けてください」
「え、今ですか……?」
「今です!! 今じゃないとあの子……いえ、ナサニエル院長は寝てしまいますから」
え? そう目を瞬くペリドに咳払いをし、リーゼロッテは新たな文章を書き始めた。
それはタンターに宛てた依頼書で、自分の護衛を頼む物だった。
夜の研究室に響くのは本を捲る音だ。
昼間は研究者同士の話し声や実験の音などで騒がしいこの場所も、夜の帳が下りればこんなにも静かになる。
リーゼロッテは昼間の喧騒とは違う静けさの中で本を捲ると、ある一節で動きを止めた。
「リーゼ、まだ寝ていなかったの?」
唐突に聞こえてきた声に振り返る。そこに在ったのはリーゼロッテの義母にして錬金術の師だ。
「……この間、ナサくんが見せてくれた錬金術が気になって……あの子もう1人で魔導機械を作れるんですよ」
凄いですよね。そう微笑む彼女に僅かなかげりが見える。それに気付いたのだろう。
義母は老いた体を曲げるようにして彼女の隣に腰を下ろすと、我が子の悩みを消そうとするようにそっと金色の髪を撫でた。
「そうねぇ。でも貴女だって凄いわぁ」
「そう、でしょうか……私はナサくんのように錬金術の才能はありません。あの子は何も見なくても自分の勘だけでいろいろなことが出来てしまうんです。怖いほどに研究熱心で、怖いほどに完璧な子……」
今から更に数年前。
ナサニエルより先に錬魔院に引き取られたリーゼロッテは、義母を手伝うために毎日難しい書物を読み漁っていた。
難しい研究も勿論あったし、意味の分からない言葉なども多かった。それでも生まれ持った『努力』と言う才能で、彼女は義母の手伝いをし続けてきた。
そんな中、彼女と同じく義母に引き取られてきたのがナサニエルだ。
彼は錬魔院に来るや否や、すぐにその才能を発揮した。
初見で成し遂げられる錬金術の数々。楽しそうに研究を重ねる彼を見るのは、義母は勿論リーゼロッテも嬉しかった。
それでも時折思ってしまう。この子にこれ以上錬金術を教えても良いものか、と。
「ナサくんは大丈夫なんでしょうか……このまま色々なことが出来たらあの子……」
「えぇ、リーゼの疑問はもっともだわぁ。だってねあの子ったらこの前、同い年の子と会ってなんて言ったと思う?」
「え……ナサくん、同い年の子とお話しできるんですか?」
「……貴女のナサニエルへの偏見も大概だけど、あながち間違ってないわねぇ。あの子ったら今やってる研究について切々と語った後で『こんなこともわからないんですかぁ?』とかつまらなそうに言って……人間として何か大事なものが足りてない気は私もしてるのよぉ」
「義母さんがそれを言ったらダメな気がするんですけど……」
まあ、その時の状況は実際に目にしないでも想像できる。
きっと彼のことだ。わかってくれない相手を切り捨ててしまう方が楽だと考えたのだろう。
わかってもらえなくても彼には何の支障もない。切り捨てたところで彼に不利益は何もない。寧ろここで時間を無駄にする方が彼にとっては何倍も枷になる事なのだ。
でもね。と義母は続ける。
「いつかあの子の錬金術が多くの人に認められて、あの子をわかってくれる人が現れたらあの子は1人じゃなくなる気がするのよぉ。だからリーゼ……あの子が人として幸せになれるように、あの子が間違った道へ行ってしまわないように、お姉さんである貴女があの子のことを見守ってあげてね」
義母はそう言うと、穏やかに笑ってリーゼロッテの頭を撫でた。
●錬金術師組合・組合長室
リーゼロッテは微睡みの中から起きるように目を擦ると、すっかり明けてしまった夜に息を吐いた。
「……迂闊でしたね。まさか執務室で朝を迎えるなんて……」
昨夜は遅くまで書類の整理に追われていた。
その理由はここ最近起きている歪虚との闘いが大きいのだが、もう1つ1年に1度彼女の元にやってくる仕事が原因でもある。
「懐かしい夢を見たのはこれのせいでしょうか……」
取り上げたのは錬魔院の刻印が押された封書だ。表にはリーゼロッテの名前が見覚えのある字で書かれている。
ミミズがのたくったような字はナサニエルの物で、彼は北方の地で活躍している――筈だった。
「なんで戻ってきてるんでしょう……あの子が帝都の地下にそこまで関心があったとは思えないのですけど……」
ナサニエルが寄越してきた手紙には、1年に1度行っている第一師団による定期的な掃討作戦のことが書かれていた。
しかもそろそろ前の作戦から1年が経つので、マテリアル装置の定期メンテナンスをしたいと言うのだ。
「……まさかまた実験を?」
昨年の作戦にも顔を出したが、確かその時には新しい機械の実験を掃討作戦でしないとか言っていたような。
「そんなの私の目が黒いうちは許しませんよ! ペリド! ペリドはいますかっ!!」
リーゼロッテは助手のペリドを呼び寄せると、まだ眠そうに首を傾げる彼女に急ぎ書き綴った手紙を差し出した。
「地下水道のマテリアル装置の定期メンテナンスは錬金術師組合が行います。と書きました。この手紙を錬魔院のナサニエル院長に届けてください」
「え、今ですか……?」
「今です!! 今じゃないとあの子……いえ、ナサニエル院長は寝てしまいますから」
え? そう目を瞬くペリドに咳払いをし、リーゼロッテは新たな文章を書き始めた。
それはタンターに宛てた依頼書で、自分の護衛を頼む物だった。
リプレイ本文
暗闇の中で動き回る影。それを地下下水道に到着と同時に発見した雨月彩萌(ka3925)は即座に照準を合わせると拳銃の引き金を引いた。
動き回っているのはねずみの姿をした雑魔。リーゼロッテ曰く『ちゅーたろう』と言う種類だ。
「組合長はまだ上で待機してください」
響き渡る銃声と歪虚の悲鳴。次々と聞こえてくる小さな足音に彩萌は勿論Gacrux(ka2726)も眉を潜める。
「ここが錬魔院の地下……随分と異様な光景に見えますが……」
「同感です。一応噂には聞いていましたが帝国の首都の地下にこれほどの数の雑魔がいるんですね」
「……とにかくさっさと仕事を済ませましょう。長居は出来ればしたくありません」
刺す臭いに眉を潜め、敵を惹き付けるオーラを纏う。そこにひと際大きなネズミが飛び込んでくると、Gacruxは周囲の敵を一掃すべく銀の刃を薙いだ。
次々と倒れる敵を前に、汚れても安心な服に着替えたルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は下水道へ飛び下りながら符を構える。
狙うべくは残されたちゅーたろうだ。
「護衛も偵察もルンルン忍法にお任せなんだからっ! ――って、弱いんですね。ここの雑魔」
スキルを使うまでもなく倒れた雑魔に目を瞬く。
そんな様子に苦笑し、リーゼロッテは許しが出たのを確認して梯子を降り始めた。
「ここにいる雑魔は生まれたての赤ん坊のようなものですから」
ここ数回の観測結果で雑魔の発生が汚染された下水によるものだと言う事はわかっている。
そしてその汚染の原因がこの上にある事も――
「赤ん坊……あ、最後の段が少し高いので気を付けてくださいです!」
慌てて差し伸べられた手にハッとなって足を止める。そうしてルンルンの手を借りながら梯子を降りきると、彩萌とGacruxが視線を注ぐ雑魔の亡骸に視線を落とした。
「はじめからこんなに……」
「例年と今では状況が違いますか?」
唐突な問いに顔が上がる。そこに在ったのは金目(ka6190)だ。
彼は興味深げな視線をリーゼロッテに向けると、鼻を突く異臭から逃れるように外套で口元を抑えた。
「……そうですね。今までは奥へ行くほど雑魔が増えていましたが、今回は様子が違うようです」
この状態から察するに汚染は前よりも酷くなっていると考えていい。
リーゼロッテの苦笑にも似た笑みを横目に、金目は物珍しそうに地下水道を見回した。
「新鮮で、興味深い、ですか?」
「ハンター歴は浅いですから、ここは面白いですね」
ハンターにならなければ永遠に来なかったであろう場所。そんな場所で錬金術師組合の組合長と顔を合わせている。
そんな不思議な状況に面白くないと言えるわけがない。
金目は問いを向けたGacruxに頷きを返すと、持参した盾を構えた。その姿を視界に捉え、最後に梯子を降りてきた長良 芳人(ka3874)は転がる雑魔の死体を見ながら「ふぅむ」と唸った。
「下水道で簡単な護衛と雑魔掃除のお仕事……って、訳でもなさそうッスね。錬魔院の院長さんが何を企んでいるのかな?」
「さて、如何でしょう。案外何も企んでいないのかもしれませんよ。人の文化、技術が異常な存在を生み出す。だけど技術を捨てれば問題が解決するわけでもない……つまりこの状態は錬魔院の――いえ、帝国にとって普通の状態なのかも?」
そう零しながらも雑魔の存在は彩萌にとって不愉快でしかない。彼女は周囲から敵の存在が消えたことを確認すると漸く拳銃を下ろした。
「どちらにせよ厄介かつ不愉快ですね、異常なモノは。わたしの正常を証明する為に、異常なモノは消えてもらいましょう」
「異常なモノには同感ッスけど……んー……組合長さん、嫌な予感は当たるほうッスか?」
「嫌な予感?」
何がでしょう。そう瞬く彼女に彩萌は芳人の脇腹を肘で突くと「ね?」と肩を竦める。
そこに偵察隊担当の守原 有希遥(ka4729)の声が届いた。
「とりあえずこの先は安全のようなので……リーゼさん、出発して良いでしょうか?」
「あ、はい! お願いします!」
打てば響く、とはこの事だろうか。
素直でいい返事を返すリーゼロッテを見ながら、金目はある事が気になって有希遥に聞いた。
「何故、目を合わせないんですか……?」
「! そ、それは……っ」
一言では表せない背中に残る弾力。それを思い出したのだろう。
顔を真っ赤に別の意味で鼻を抑えた有希遥に、問いを向けた金目は目を瞬くしかなかった。
●
「道案内も私にお任せです!」
「覚えたんですか?」
「はいです! 暗記力もニンジャの嗜みですからっ! それに偵察もニンジャの十八番。バツグンの方向感覚でみんなを案内しちゃいますね!」
出発前に記憶した下水道の順路を追いながら歩くルンルンの後ろを歩きながらGacruxは、若干感心したように瞬いた。
「迷路みたいなんですけどね……」
同じように出発前に地図を見せて貰ったがかなり複雑だった。
これは確実に地下でも確認する必要があると思っていたのだが、案外その必要はないかもしれない。
「思ったよりも損傷が少ない、ッスかね……あ、穴だ」
「ルンルンにお任せです! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法分身の術!」
どろんっ☆ そんな効果音が聞こえそうな勢いでるんるんと書かれた紙人形が飛び出す。
そうして穴に飛び込むと中の様子を確認するために動き始めた。
「汚れを気にせず調査できるというのは利点ですね。で、何かいそうですか?」
「ん~ん~~ん~~~」
念じること僅か。彩萌の言葉に「もうちょっと~」と返したルンルンに応えるように飛び出してきた紙人形は、何もなかったと示すように大きな丸を描いてみせるとルンルンに小さくお辞儀をして消した。
「可愛いですね。私も覚醒者であれば使ってみたいですが……」
「可愛いものを愛でたい、と言う気持ちはわかりますが、覚醒者と一般人は違う。それは個性であり、長所であり、短所でもある」
と言うわけで。とリーゼロッテの荷物をさり気無く借り受けた金目は、彼女を壁側に寄せて歩き出すとここに来てから聞きたいと思っていた問いを話始めた。
「帝都の地下で例年行われている調査らしいですが、何を目的に、どのような調査を行っているんですか?」
「私の目的は雑魔が大量発生した原因の究明と、魔導汚染がどれだけ進んでいるかの観測です。昨年と今年は一昨年設置した観測装置のメンテナンスが主な目的ですが」
「原因、わかったんですか?」
「大凡は……」
元々大体の見当はついていた。
ここ数年で加速する魔導機械や魔導アーマーの開発。それに伴い魔道汚染は日に日に酷くなっている。
現状を放置すればどうなるか。それは想像に容易い。けれど現状を放置せざる負えない状況が各地で起きている。
「院長が心配なんですね」
不意に聞こえた声にリーゼロッテの顔が上がった。視線の先にいるのは有希遥だ。
「従姉が院長の依頼を昨年に、やりたい事を考えたことがないと……」
「ナサニエル院長の言いそうなことですね……」
くすり。少しだけ笑って目元を緩めたリーゼロッテだったが直ぐに表情を引き締めると小さく被りを振って歩きを再開させた。
「彼は錬金術に愛されながら錬金術を愛していない人です。少しでも愛を注げばもっと変わった世界があるのに……っ」
「組合長さん、内側へ!」
唐突に上がった水飛沫に芳人と金目が前に出る。2人は彼女を守護するように囲うと、すぐさま彩萌が3人の前に出た。
「聖機剣タンホイザー。錬魔院が作り上げた武器を用いて帝国の異常を滅する。ある意味道理に叶った行いでしょうか」
言って抜き取ったのはワルプルギス錬魔院で開発された兵器だ。ロングソードに似た細身の武器を構えながら水面に視線を注ぐ彼女にルンルンが叫ぶ。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 煌めいて星の花弁☆」
華やかで明るい声に次いで彼女の手から複数の符が放たれると、水面に触れた符から光が浮き上がった。
次々と上がる光はやがて結界を生み出し、中に潜むミジンコ型の雑魔を焼き殺してゆく。そうして残された雑魔が水面から飛び上がると、この瞬間を待っていた彩萌が剣を振り上げた。
「掃討します。皆さんに当てるつもりはありませんが、射線に入ったら自己責任とします」
剣から伸びた3点の光。それが直線状に飛び上がった雑魔を吹き飛ばす。
そうして刃を下ろすと、彼女は清々しい表情で次なる攻撃に出ようとしていた仲間を振り返った。
「では次へ行きましょう」
●
下水道を歩き始めて数時間。
「そろそろ目的の場所に――」
そうリーゼロッテが切り出した時だ。
「ルンルン忍法五星花!」
水面の異変に気付いたルンルンが咄嗟に符を放つ。その直後、下水を泡立たせていたミジンコが複数飛び出してきた。
触角を蠢かせながら飛びかかる敵にGacruxが前に出る。
「今までで一番多い……組合長、少し待機を」
炎のオーラを纏い敵の気を惹きながら突出する彼に習って進み出た有希遥。彼は愛刀の柄に手を伸ばすと一気にそれを抜き取って飛び出した。
「行くぞ鬼斬丸、三日月!」
退路を断つように薙がれる刃。それに墜ちてゆく敵を横目に彼は更に刃を振るう。
1つ、2つ、3つ。
断つ度に飛び掛かってくる敵。その数はやはり多い。だが奇妙な事にも気付く。
「敵が弱くなってる?」
倒す度に手応えのなくなる敵。これは有希遥だけが感じる違和感ではない。
「近くに結界でも仕掛けてあるのかな?」
「そんな話、聞いてないですけど……」
どうなんですか? そう振り返った金目にリーゼロッテの首が横に振れる。
「前に倒すごとに分裂しているのでは、と言う意見がありました。もしかしたら本当にそうなのかも……?」
「そう言う事はもっと早く言ってほしいッス! って、組合長さん、もっと内側に入ってッスよ!」
Gacrux同様にソウルトーチを使って敵の注意を引いていた芳人はそう叫びながら彼女の盾になっていた金目を振り返った。
「大丈夫ッスか!?」
「まあ、盾がありますし」
問題ないです。そう返しながら銃を放つ。
素早い敵ながら、こちらの攻撃が当たれば即死。ならば慎重に狙いを定めながら撃てば良い。
そうして最後の一匹――。
「掃討完了を宣言します」
斬撃と共に両断されたミジンコを前に彩萌が戦闘終了を告げた。
●
「飲まず食わずでぶっ続けは、組合長さんも辛いッスよね?」
マテリアル観測装置のメンテナンスを行うリーゼロッテの横で、芳人はそう言うと頭上に見えるマンホールの蓋を指差した。
「休憩、どうッスか?」
こう問いかける彼には密かな意図がある。
地下下水道の雑魔増加の原因。その一端を担っているであろう錬魔院には秘密裏に行っている研究があるのではないか、と。
そんな彼の意図を知ってか知らずか、装置を弄りながらリーゼロッテは静かに首を横に振った。
「この上は錬魔院ですから、さすがに無断で入ることは出来ません。窮屈でしょうが皆さんはここでもう少し休んでいてください。私は急いで作業を終わらせますので」
「リーゼさん。水の採取が終わりました」
聞こえた声に顔を上げたリーゼロッテは、有希遥が採取した水を確認する。
採取した水は2種類。1つは当初の予定通り水だけを採取したもの。そしてもう1つはGacruxの提案でヘドロまで採取したものだ。
「意見を採用していただいてありがとうございます。それにしても、この機械は本当にただのマテリアル観測装置……なのでしょうか?」
「それに関しては間違いないと思います。変な改造も見たところされていないようですし」
大丈夫ですよ。そう微笑むリーゼロッテに「はあ」と零して首を掻く。
その上でチラリと錬魔院を見上げると、兼ねてより聞いてみたかった問いを投げてみた。
「組合長としては、歪虚を使用した実験についてはどうお考えです?」
「歪虚を使用した実験、ですか? それは錬金術を扱う者にとって禁忌とされているものですし、私個人の意見としても反対だと思っています。なによりどんな存在であれ、生命を実験に使うことは……」
そこまで言って視線が落ちた。
そんな彼女を見て芳人がポツリと零す。
「知識に善悪はない。それを扱う者の意思と、それに伴う結果によって善と悪が定義付けられる。誰かがそう言ってたッスね」
彼のこの言葉には色々と思うところがある。
錬魔院が垂れ流す魔道汚染。これは意図的なもので、対歪虚の毒餌でも撒いてるのか、負のマテリアルを意図的に集中させて早期段階で歪虚化でもさせてるのか、それとも何か別の目的があってなのか。
Gacruxの言うように歪虚を使って実験をしている可能性だってある。
「創造物の責任は創造主にあるんッスかね? それなら人を生み出した神様は大罪人になるわけッスけど」
どうなんでしょう? そう肩を竦めた彼にリーゼロッテは少し考えるようにして視線を注ぎ、残りの作業を終わらせる事に意識を集中させた。
そして全ての作業を終えると、漸く閉じていた口を開いた。
「錬魔院からの魔道汚染の原因は急速な魔道兵器開発が関わっていると思います。激化する歪虚との闘いに対抗するべく知恵を振るうナサニエル院長は、多くの人の願いを聞き届けているに過ぎません……」
それが例え間違った行いだったとしても。そう言葉を濁し、リーゼロッテは採取した水と観測装置から得たデータをしまった。
そんな彼女に1枚のメモが差し出される。
「収集したデータです」
メンテナンスを待つ間に書き留めたのだろう。
差し出されたのは彩萌のメモだ。ここまでの道中で出現した敵の出現頻度や固体や強さなどをデータとして纏めたもので、一般人であるリーゼロッテには作れない代物である。
「こんな貴重なメモ……良いんですか?」
「わたしでは活用できませんし、貴女に託すのが一番効率がいいと思うので、よろしくお願いしますね」
「ありがとうございます。大事に活用させてもらいますね」
リーゼロッテはそう言って丁寧に頭を下げると、少しはにかんだような笑顔を浮かべた。
動き回っているのはねずみの姿をした雑魔。リーゼロッテ曰く『ちゅーたろう』と言う種類だ。
「組合長はまだ上で待機してください」
響き渡る銃声と歪虚の悲鳴。次々と聞こえてくる小さな足音に彩萌は勿論Gacrux(ka2726)も眉を潜める。
「ここが錬魔院の地下……随分と異様な光景に見えますが……」
「同感です。一応噂には聞いていましたが帝国の首都の地下にこれほどの数の雑魔がいるんですね」
「……とにかくさっさと仕事を済ませましょう。長居は出来ればしたくありません」
刺す臭いに眉を潜め、敵を惹き付けるオーラを纏う。そこにひと際大きなネズミが飛び込んでくると、Gacruxは周囲の敵を一掃すべく銀の刃を薙いだ。
次々と倒れる敵を前に、汚れても安心な服に着替えたルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は下水道へ飛び下りながら符を構える。
狙うべくは残されたちゅーたろうだ。
「護衛も偵察もルンルン忍法にお任せなんだからっ! ――って、弱いんですね。ここの雑魔」
スキルを使うまでもなく倒れた雑魔に目を瞬く。
そんな様子に苦笑し、リーゼロッテは許しが出たのを確認して梯子を降り始めた。
「ここにいる雑魔は生まれたての赤ん坊のようなものですから」
ここ数回の観測結果で雑魔の発生が汚染された下水によるものだと言う事はわかっている。
そしてその汚染の原因がこの上にある事も――
「赤ん坊……あ、最後の段が少し高いので気を付けてくださいです!」
慌てて差し伸べられた手にハッとなって足を止める。そうしてルンルンの手を借りながら梯子を降りきると、彩萌とGacruxが視線を注ぐ雑魔の亡骸に視線を落とした。
「はじめからこんなに……」
「例年と今では状況が違いますか?」
唐突な問いに顔が上がる。そこに在ったのは金目(ka6190)だ。
彼は興味深げな視線をリーゼロッテに向けると、鼻を突く異臭から逃れるように外套で口元を抑えた。
「……そうですね。今までは奥へ行くほど雑魔が増えていましたが、今回は様子が違うようです」
この状態から察するに汚染は前よりも酷くなっていると考えていい。
リーゼロッテの苦笑にも似た笑みを横目に、金目は物珍しそうに地下水道を見回した。
「新鮮で、興味深い、ですか?」
「ハンター歴は浅いですから、ここは面白いですね」
ハンターにならなければ永遠に来なかったであろう場所。そんな場所で錬金術師組合の組合長と顔を合わせている。
そんな不思議な状況に面白くないと言えるわけがない。
金目は問いを向けたGacruxに頷きを返すと、持参した盾を構えた。その姿を視界に捉え、最後に梯子を降りてきた長良 芳人(ka3874)は転がる雑魔の死体を見ながら「ふぅむ」と唸った。
「下水道で簡単な護衛と雑魔掃除のお仕事……って、訳でもなさそうッスね。錬魔院の院長さんが何を企んでいるのかな?」
「さて、如何でしょう。案外何も企んでいないのかもしれませんよ。人の文化、技術が異常な存在を生み出す。だけど技術を捨てれば問題が解決するわけでもない……つまりこの状態は錬魔院の――いえ、帝国にとって普通の状態なのかも?」
そう零しながらも雑魔の存在は彩萌にとって不愉快でしかない。彼女は周囲から敵の存在が消えたことを確認すると漸く拳銃を下ろした。
「どちらにせよ厄介かつ不愉快ですね、異常なモノは。わたしの正常を証明する為に、異常なモノは消えてもらいましょう」
「異常なモノには同感ッスけど……んー……組合長さん、嫌な予感は当たるほうッスか?」
「嫌な予感?」
何がでしょう。そう瞬く彼女に彩萌は芳人の脇腹を肘で突くと「ね?」と肩を竦める。
そこに偵察隊担当の守原 有希遥(ka4729)の声が届いた。
「とりあえずこの先は安全のようなので……リーゼさん、出発して良いでしょうか?」
「あ、はい! お願いします!」
打てば響く、とはこの事だろうか。
素直でいい返事を返すリーゼロッテを見ながら、金目はある事が気になって有希遥に聞いた。
「何故、目を合わせないんですか……?」
「! そ、それは……っ」
一言では表せない背中に残る弾力。それを思い出したのだろう。
顔を真っ赤に別の意味で鼻を抑えた有希遥に、問いを向けた金目は目を瞬くしかなかった。
●
「道案内も私にお任せです!」
「覚えたんですか?」
「はいです! 暗記力もニンジャの嗜みですからっ! それに偵察もニンジャの十八番。バツグンの方向感覚でみんなを案内しちゃいますね!」
出発前に記憶した下水道の順路を追いながら歩くルンルンの後ろを歩きながらGacruxは、若干感心したように瞬いた。
「迷路みたいなんですけどね……」
同じように出発前に地図を見せて貰ったがかなり複雑だった。
これは確実に地下でも確認する必要があると思っていたのだが、案外その必要はないかもしれない。
「思ったよりも損傷が少ない、ッスかね……あ、穴だ」
「ルンルンにお任せです! ジュゲームリリカル……ルンルン忍法分身の術!」
どろんっ☆ そんな効果音が聞こえそうな勢いでるんるんと書かれた紙人形が飛び出す。
そうして穴に飛び込むと中の様子を確認するために動き始めた。
「汚れを気にせず調査できるというのは利点ですね。で、何かいそうですか?」
「ん~ん~~ん~~~」
念じること僅か。彩萌の言葉に「もうちょっと~」と返したルンルンに応えるように飛び出してきた紙人形は、何もなかったと示すように大きな丸を描いてみせるとルンルンに小さくお辞儀をして消した。
「可愛いですね。私も覚醒者であれば使ってみたいですが……」
「可愛いものを愛でたい、と言う気持ちはわかりますが、覚醒者と一般人は違う。それは個性であり、長所であり、短所でもある」
と言うわけで。とリーゼロッテの荷物をさり気無く借り受けた金目は、彼女を壁側に寄せて歩き出すとここに来てから聞きたいと思っていた問いを話始めた。
「帝都の地下で例年行われている調査らしいですが、何を目的に、どのような調査を行っているんですか?」
「私の目的は雑魔が大量発生した原因の究明と、魔導汚染がどれだけ進んでいるかの観測です。昨年と今年は一昨年設置した観測装置のメンテナンスが主な目的ですが」
「原因、わかったんですか?」
「大凡は……」
元々大体の見当はついていた。
ここ数年で加速する魔導機械や魔導アーマーの開発。それに伴い魔道汚染は日に日に酷くなっている。
現状を放置すればどうなるか。それは想像に容易い。けれど現状を放置せざる負えない状況が各地で起きている。
「院長が心配なんですね」
不意に聞こえた声にリーゼロッテの顔が上がった。視線の先にいるのは有希遥だ。
「従姉が院長の依頼を昨年に、やりたい事を考えたことがないと……」
「ナサニエル院長の言いそうなことですね……」
くすり。少しだけ笑って目元を緩めたリーゼロッテだったが直ぐに表情を引き締めると小さく被りを振って歩きを再開させた。
「彼は錬金術に愛されながら錬金術を愛していない人です。少しでも愛を注げばもっと変わった世界があるのに……っ」
「組合長さん、内側へ!」
唐突に上がった水飛沫に芳人と金目が前に出る。2人は彼女を守護するように囲うと、すぐさま彩萌が3人の前に出た。
「聖機剣タンホイザー。錬魔院が作り上げた武器を用いて帝国の異常を滅する。ある意味道理に叶った行いでしょうか」
言って抜き取ったのはワルプルギス錬魔院で開発された兵器だ。ロングソードに似た細身の武器を構えながら水面に視線を注ぐ彼女にルンルンが叫ぶ。
「ジュゲームリリカル……ルンルン忍法五星花! 煌めいて星の花弁☆」
華やかで明るい声に次いで彼女の手から複数の符が放たれると、水面に触れた符から光が浮き上がった。
次々と上がる光はやがて結界を生み出し、中に潜むミジンコ型の雑魔を焼き殺してゆく。そうして残された雑魔が水面から飛び上がると、この瞬間を待っていた彩萌が剣を振り上げた。
「掃討します。皆さんに当てるつもりはありませんが、射線に入ったら自己責任とします」
剣から伸びた3点の光。それが直線状に飛び上がった雑魔を吹き飛ばす。
そうして刃を下ろすと、彼女は清々しい表情で次なる攻撃に出ようとしていた仲間を振り返った。
「では次へ行きましょう」
●
下水道を歩き始めて数時間。
「そろそろ目的の場所に――」
そうリーゼロッテが切り出した時だ。
「ルンルン忍法五星花!」
水面の異変に気付いたルンルンが咄嗟に符を放つ。その直後、下水を泡立たせていたミジンコが複数飛び出してきた。
触角を蠢かせながら飛びかかる敵にGacruxが前に出る。
「今までで一番多い……組合長、少し待機を」
炎のオーラを纏い敵の気を惹きながら突出する彼に習って進み出た有希遥。彼は愛刀の柄に手を伸ばすと一気にそれを抜き取って飛び出した。
「行くぞ鬼斬丸、三日月!」
退路を断つように薙がれる刃。それに墜ちてゆく敵を横目に彼は更に刃を振るう。
1つ、2つ、3つ。
断つ度に飛び掛かってくる敵。その数はやはり多い。だが奇妙な事にも気付く。
「敵が弱くなってる?」
倒す度に手応えのなくなる敵。これは有希遥だけが感じる違和感ではない。
「近くに結界でも仕掛けてあるのかな?」
「そんな話、聞いてないですけど……」
どうなんですか? そう振り返った金目にリーゼロッテの首が横に振れる。
「前に倒すごとに分裂しているのでは、と言う意見がありました。もしかしたら本当にそうなのかも……?」
「そう言う事はもっと早く言ってほしいッス! って、組合長さん、もっと内側に入ってッスよ!」
Gacrux同様にソウルトーチを使って敵の注意を引いていた芳人はそう叫びながら彼女の盾になっていた金目を振り返った。
「大丈夫ッスか!?」
「まあ、盾がありますし」
問題ないです。そう返しながら銃を放つ。
素早い敵ながら、こちらの攻撃が当たれば即死。ならば慎重に狙いを定めながら撃てば良い。
そうして最後の一匹――。
「掃討完了を宣言します」
斬撃と共に両断されたミジンコを前に彩萌が戦闘終了を告げた。
●
「飲まず食わずでぶっ続けは、組合長さんも辛いッスよね?」
マテリアル観測装置のメンテナンスを行うリーゼロッテの横で、芳人はそう言うと頭上に見えるマンホールの蓋を指差した。
「休憩、どうッスか?」
こう問いかける彼には密かな意図がある。
地下下水道の雑魔増加の原因。その一端を担っているであろう錬魔院には秘密裏に行っている研究があるのではないか、と。
そんな彼の意図を知ってか知らずか、装置を弄りながらリーゼロッテは静かに首を横に振った。
「この上は錬魔院ですから、さすがに無断で入ることは出来ません。窮屈でしょうが皆さんはここでもう少し休んでいてください。私は急いで作業を終わらせますので」
「リーゼさん。水の採取が終わりました」
聞こえた声に顔を上げたリーゼロッテは、有希遥が採取した水を確認する。
採取した水は2種類。1つは当初の予定通り水だけを採取したもの。そしてもう1つはGacruxの提案でヘドロまで採取したものだ。
「意見を採用していただいてありがとうございます。それにしても、この機械は本当にただのマテリアル観測装置……なのでしょうか?」
「それに関しては間違いないと思います。変な改造も見たところされていないようですし」
大丈夫ですよ。そう微笑むリーゼロッテに「はあ」と零して首を掻く。
その上でチラリと錬魔院を見上げると、兼ねてより聞いてみたかった問いを投げてみた。
「組合長としては、歪虚を使用した実験についてはどうお考えです?」
「歪虚を使用した実験、ですか? それは錬金術を扱う者にとって禁忌とされているものですし、私個人の意見としても反対だと思っています。なによりどんな存在であれ、生命を実験に使うことは……」
そこまで言って視線が落ちた。
そんな彼女を見て芳人がポツリと零す。
「知識に善悪はない。それを扱う者の意思と、それに伴う結果によって善と悪が定義付けられる。誰かがそう言ってたッスね」
彼のこの言葉には色々と思うところがある。
錬魔院が垂れ流す魔道汚染。これは意図的なもので、対歪虚の毒餌でも撒いてるのか、負のマテリアルを意図的に集中させて早期段階で歪虚化でもさせてるのか、それとも何か別の目的があってなのか。
Gacruxの言うように歪虚を使って実験をしている可能性だってある。
「創造物の責任は創造主にあるんッスかね? それなら人を生み出した神様は大罪人になるわけッスけど」
どうなんでしょう? そう肩を竦めた彼にリーゼロッテは少し考えるようにして視線を注ぎ、残りの作業を終わらせる事に意識を集中させた。
そして全ての作業を終えると、漸く閉じていた口を開いた。
「錬魔院からの魔道汚染の原因は急速な魔道兵器開発が関わっていると思います。激化する歪虚との闘いに対抗するべく知恵を振るうナサニエル院長は、多くの人の願いを聞き届けているに過ぎません……」
それが例え間違った行いだったとしても。そう言葉を濁し、リーゼロッテは採取した水と観測装置から得たデータをしまった。
そんな彼女に1枚のメモが差し出される。
「収集したデータです」
メンテナンスを待つ間に書き留めたのだろう。
差し出されたのは彩萌のメモだ。ここまでの道中で出現した敵の出現頻度や固体や強さなどをデータとして纏めたもので、一般人であるリーゼロッテには作れない代物である。
「こんな貴重なメモ……良いんですか?」
「わたしでは活用できませんし、貴女に託すのが一番効率がいいと思うので、よろしくお願いしますね」
「ありがとうございます。大事に活用させてもらいますね」
リーゼロッテはそう言って丁寧に頭を下げると、少しはにかんだような笑顔を浮かべた。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 4人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
- エメラルドの祈り
雨月彩萌(ka3925)
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/09 10:26:55 |
|
![]() |
組合長さんへの質問所 守原 有希遥(ka4729) 人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/05/08 00:55:53 |
|
![]() |
実地調査相談室 守原 有希遥(ka4729) 人間(リアルブルー)|19才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/05/10 10:06:52 |