公認カジノの秘密

マスター:

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
7日
締切
2016/05/13 07:30
完成日
2016/05/20 02:53

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●明るいカジノ
「皆さま、本日は当カジノへお越しいただき、誠にありがとうございます。どうぞ、夢を追う興奮と熱狂のひと時をお楽しみください」
 スーツで決めたボーイの一言と共に、今夜もきらびやかな雰囲気と気取った富豪や博徒たちが訪れ、ポーカーにブラックジャックやルーレットへと群がり、ある者は豊富な資金を湯水のごとく使いあくまで娯楽としてギャンブルを楽しむ者、またある者は生活費のすべてを費やし一発逆転を狙う者等、様々な人々や種族や思惑が入り乱れ、一攫千金という夢を追っていた。
 当然、公正な競技の為にイカサマを見張る張り子は至る所に配置されている。スーツを着てカクテルを振舞うバーテンも、胸元が少し開いたセクシーなスーツを着た案内役の女性も、果ては併設されているホテルのルームサービスやカジノを守るガードマンまでもが客やディーラーのイカサマを見張っていた。どちらかが妙な動きをすれば、直ぐに通報され、強制的に退場させられてしまうが、これはまだ優しい方であり、イカサマの度合いやだまし取った金額によっては、冷たい土を毛布代わりに眠ることになるだろう。
 少し脱線してしまったが、カジノについての説明に戻ると、このカジノが信頼され、成長し続ける理由が二つある。一つはハンターだろうが王族だろうが関係なく入場ゲートで厳しいボディーチェックが入るのだ。
 これは中で武装させない為の確実な方法であり、事実このチェックのおかげで入場に時間はかかるものの、一度も強盗事件等信用にかかわる事件は起こしていない。
 また、神経質な客の為に武器類を直接従業員に渡すのではなく、それらが収納できるサイズの箱を用意し、それらを厳重に保管するのだ。手放す事さえ嫌がるような客を除けば、大抵は皆預け、帰りにはきちんと返却してもらえるというのも、厚い信頼を得ている証拠だろう。
 そしてもう一つ、それは外に機密情報が洩れる事のない厳重さを利用して、地下で開かれる闇オークションだ。公認を受け、厚い信頼を受けている事を良い事に、この広大なカジノの経営者は美術館からの盗品や誘拐された少女や孤児などを奴隷として売り飛ばすためのオークションを開催していたのだ。今日もまた一人、誘拐された幼い少女がオークションにかけられようとしている。
「嫌っ! 離して!」
 少女は繋がれた鎖をじゃらじゃらと鳴らしながら、必死に逃げようともがくが、頑丈な鎖はびくともせず、そのまま警備員に引っ張られオークションのステージへと立たされる。
「レディースエンドジェントルメーン! 本日はオークションにお越しいただき誠にありがとうございます。それでは本日最初の競はこちらの少女! いかがですか? あどけなくも整った顔立ち、今はおびえていますが、これを笑顔にするのも泣き顔にするのも競り落とした人次第です! それでは始めましょう!」
 司会が木製のハンマーを叩くと、次々と購入の為の札が上げられ、スタッフがその中で最高額を提示した者を探り、大きな文字盤を使って現状最高額の金額を表示する。
「さぁこの金額以上の方はいらっしゃいますか? いらっしゃらないようでしたら……」
 本日最初の取引成立に景気の良さを実感しているのか、司会はやたらと間を置きながらハンマーを振り上げ、司会テーブルへと叩きつけた。
「おめでとうございます! 本日最初の落札者です! 皆さま盛大な拍手をお願いします!」
 売買が成立し、会場が盛大な拍手に包まれ、そして少女は落札者の元へと連れていかれる。この落とし主はどうやら欲張りなのか、この落札した少女以外にも別の少女を落札しようと、金に物を言わせた企てを立てていたのだ。
 財産に名誉、あらゆる物を手に入れてなお満足できない醜悪な輝きを放つ瞳を、再び壇上へ上げられた少女へと向け、提示用の札を握りしめる。この会場には男女問わずこのように醜い者ばかりが集まっていたのだ。

●暗いカジノ
 そんな事をすれば、自然とカジノの敵は出来上がり、その破滅を待つばかりとなる。ハンター本部へ依頼を提出したボーイはカジノが閉まっている昼間を利用して、飲食店でハンターたちに状況の説明を行った。
 彼曰く、別に資金不足に陥っているとかそういうわけではなく、単にモノ好きから金を巻き上げる為に誘拐や窃盗を働いている事を告げた上で、改めてカジノ襲撃への提案を出す。
「皆様が普段慣れ親しんだ方法で会場へと押し入ろうとすれば、何も知らされていない軍が出動するでしょう。会場どころか、皆様が入る為の入場口は正面へ限定され、そこ以外は常に警備が立っています。皆様に対して特別に招待状を送ります。そうすれば、手荷物検査と武器のお預かりは私が責任をもって担当する規定ですので、スムーズに進むでしょう。そうしたら、遊戯資金は私が提供いたしますので、しばらく遊んでいてください。勿論これには理由があります」
 誘拐されている子供を案じているものから非難のまなざしを向けられるが、ボーイは慣れた様子で宥めると、続きを話す。
「落ち着いてください。当カジノの張り子、いわゆるイカサマ対策は抜きんでております。遊ばれないお客様がうろついているだけで情報を共有され、常にマークされ続ける事になり、オークション襲撃が困難な状況になります。客である事と、イカサマが出来ない素人である事をアピールすることで警戒心を解き、スムーズに救助を行う為の作業だと思ってください。準備が整いましたら、皆様をお呼びいたします。オークション会場に近いルームで装備をお受け取りください。後はいつも通りです。事が済みましたら私が馬車を搬入用の裏口へと手配します。警備を払っておきますので、乗っていただいてそのまま脱出してください」
 ボーイはそこまで説明した後、集まったハンター達に遊戯資金と招待状を提供し、更に飲食代を全員分支払うとその場を立ち去った。
 ハンター達はその招待状とボーイの背中を交互に見つめつつ、提供された遊戯資金を懐へと収めた。

リプレイ本文

●入場ゲート
 一台の馬車がカジノの庭園へと近づいていく、その庭園の外には検問を思わせるような詰所があったが、その建物でさえも検査をパスしなければ通れない庭園の一部のように溶け込んだデザインをしていた。
 しかし、招待状を受け取っていたメンバーはその検問の列を後目に専用の通用口へと通される。招待状を受け取った客は他の客に比べスムーズに入場できる為、一部の愛好家からは招待状を受け取れる事が一種のステータスとさえ見られることもある。
「ようこそいらっしゃいました。手荷物を此方へ」
 招待状を渡したボーイが営業スマイルを向け、装備品を預かる為の準備を進めた。
「初めて”かじの”という所へ赴いたのですが、何だかキラキラしていて眩しいですね……ここには、鬼でも入って大丈夫なのでしょうか……?」
 装備品を全てボーイに預けつつ、閏(ka5673)は不安そうに尋ねる。
「当カジノはマナーの無い雑魔以外でしたらどなたでも歓迎いたします。お困り事が御座いましたら、遠慮なく頼って下さい」
「ありがとうございます。この美しい建物や庭園といい、誰でも歓迎する雰囲気と言い、まるで楽園のようですね」
「庭園を評価していただきありがとうございます。それでは皆様の検査も終わりましたので此方へどうぞ、夢を追う熱狂的なひと時をお過ごし下さい」
 ボーイは庭園を褒められたお礼を告げた後、他の客にも言っているであろう一言と共に閉じられていた庭園への門を開く。
 その門の先に広がっていたのは、大きな噴水とそれらを彩る多彩な花の数々、その先に件のカジノが存在する。
 外見だけ見ればとてもそんな行為を行っているようには見えないのだが、依頼人でもあり内通者でもあるボーイが目撃しているのだからその通りなのだろう。
 これがボーイの望む健全な経営の下で営業しているカジノとして招待されていたらどんなに嬉しい事か、そう心の中でため息を吐きながらバロック建築のような外見をした建物へと向かっていった。

●お客様ですよ
 いざ入場すると、繊細な彫刻や絵画が並ぶ宮殿のような豪華な内装に相応しくない熱気と賑わいを見せており、最低ベットが非常に高額なテーブルでさえも満席に近いほどの活気にあふれていた。
 ルーレットのテーブルに着いたジャック・エルギン(ka1522)はテーブルに現金を置き、それを全てチップへと交換しテーブルへ着席した。閏も真似するように恐る恐る現金を置き、ディーラーから指定されたチップを受け取ると着席し、数ゲームほど眺めてルールを把握しようと努めた。
「なるほど、玉の入る位置を予想するのですか……非常に運がなければ当てるのは難しいですね……。きっと占いでも中々見えないことでしょう」
「占っても当てられないから、最も公平なギャンブルなんて言われてる。だが別に数字にこだわる必要はないさ、ここに数字が書いていない赤と黒の場所があるだろ?」
 ジャックは難しい顔をする閏に対してアウトサイドベットゾーンの赤色と黒色の位置を指さす。
「此処が一番単純だ。ホイールの赤色の数字か黒色の数字、どっちかに入れば配当だ。緑色の一か所は気にするな」
「なるほど、その三択でしたら、緑色が極端に入りづらい事を除けば非常に予想しやすいですね。それでは、俺は黒から参りましょうか」
「じゃあ俺は赤だ」
 二人はチップを各々の色の場所へ置き、ディーラーがそれを確認すると握っていた白玉をルーレットの中へ滑らせつつ、ベット終了の合図としてハンドベルを鳴らした。
 ベットが締め切られると一斉にホイール内をぐるぐると回る白玉に注目が集まる。
 白玉はやがて勢いを失い、数字の仕切りに当たって跳ねてはどこに入るか予想のつかない動きをしはらはらさせる。やがて白玉は赤色のマスへ入りゲーム終了を告げた。
 ジャックの目の前に配当のチップが渡され、逆に閏の賭けたチップは没収されてしまった。一通りの流れを理解した閏は再び黒のマスへとチップを数枚置いて継続の意思表示をした。
 その頃、鵤(ka3319)と玉兎 小夜(ka6009)の二人はポーカーのテーブルで現金をチップへと交換していた。早速席に着くと配られたカードとにらめっこする。
 カジノではルーレットに並ぶ定番ゲームであるポーカーだが、単に運が良いだけでは勝てない難しさがある。
 だが鵤も小夜も特に気にする事無く現金をチップへと交換し、ゲームを始める為にディーラーへ参加手数料のチップを支払い、着席した各プレイヤーはそのディーラーから五枚のカードを受け取る。
「ほほぉ、これはこれは」
 鵤は何か予感めいたものを感じたのか、更にチップを出して掛金を競り上げ、より質の高い手札にするために不要なカードを捨て、新しいカードを受け取る。
 小夜も同じようにチップを支払い、カードを交換し、勝負に出るための手札を整える。そうして一巡する頃には、五人の内二人が手札に納得が行かなかったようで早々に棄権してしまった。
 勝負は鵤と小夜、そして一般客の三人で争われる事となる。
 一般客はツーペア、鵤はフラッシュ、最後に手札を公開した小夜はフルハウスを公開した。
「おおっ! 小夜ちゃん強いねぇ! 俺この手札自信あったんだけど」
「偶々狙いやすいから狙っただけですよ鵤さん。まだゲームは始まったばかりです」
 小夜は謙遜しつつも心の中で嬉しさが隠せなかったのか、チップを回収する彼女の頬は少しだけ微笑んでいた。
 第二ラウンドへ移行し、今度は鵤があたかも強い手札を抱えているかのようなペテンで参加者を諦めさせて勝利をもぎ取る中、ヴィルマ・ネーベル(ka2549)とゼクス・シュトゥルムフート(ka5529)の二人はブラックジャックの卓へ腰を下ろし、ディーラーと探り合いをしていた。
 ヒットの仕草を行い、カードをディーラーから受け取るヴィルマ。その手招きはどこか妖艶な色気が漂っており、ディーラーの頬も少しだけ緩んでしまう。
 一方、ゼクスやその他の客は掌を下へ向け水平に振った。これはスタンドを意味するの仕草であり、この二人は現状の手札で勝負するようだ。
 ヴィルマは更に一枚引き、ゼクスやその他の客は現在の手札で勝負する気だろう。そしてたった今一枚引いたヴィルマも準備が整ったのか、スタンドを宣言し、勝負する。
 結果としては初手の時点でだいぶ高い数字を引いていたゼクスが勝利を収めたが、その結果に誰一人眉を動かさず次のゲームへ向かう。
 だがゼクスは此処が勝負所と判断したのか、次ゲームで大胆にチップを賭ける。
「なるほど、流れの読みは正しかったようだ」
 配られたカードを見たゼクスはそう独り言をつぶやくも、それを聞いていたヴィルマはまるで素人のような振舞いでゼクスの方を見る。
「ほう? ゼクス、そなた随分強気じゃの」
「此処が正念場だからな」
 短く返したゼクスは二回ヒットを宣言し、そのままスタンド。ヴィルマは一回だけヒットし、スタンドを宣言した。
 結果はディーラーとの僅差で二人が勝利し、その大胆さに見合った配当をゼクスは受け取る。
 ここまでに熟した回数は十ゲームほど、微妙に勝ったり負けたりを繰り返していた為、結果的に二人はそこまで稼いでいる訳ではない。
 そこへちょうどキリの良い所でカジノのボーイがヴィルマとゼクスの二人を呼び出す。依頼人のボーイとは顔立ちが違う事から、おそらくボーイとグルの内通者だろう。
「お待たせしました。ヴィルマ様、ゼクス様。プライベートルームの準備が整いました。他のお連れ様も既にご案内済みです」
 他のお連れ様という含みが篭った言い方に二人は覚悟を決めるように立ち上がり、ボーイの後をついていこうとする。その去り際にヴィルマはディーラーや他の客に対して囁くように一言を残してその場を去った。
「女だからといって、こういうことに疎いかと思ったかえ? クク、我は霧の魔女じゃからのぅ……惑わすのが仕事じゃ」

●オークション崩壊前夜
 ボーイに呼ばれ、換金を済ませたメンバーは案内されたルームでボーイから装備を受け取り準備に取り掛かる。
「そういやジャック。おたく、スッたの?」
「ああ、ゲン担ぎに全部赤に張った。これ以上悪い事は起きないだろ」
「なるほど前向きだねぇ……、おっさんも最後の最後で負けちゃって後味悪いし、それにあやかるとしますかね」
「どんどんあやかってくれ! 今の俺らに出来ねぇ事は無ぇからな!」
 力強く、そして頼もしいジャックの一言と共に、ルームの扉が開かれる。
 部屋を後にする直前、小夜は預けていた携帯品の毛布を再びボーイへと渡す。ボーイは彼女の行為の意味を理解していたが、敢て彼女の言葉に耳を貸すことにした。
「ボーイさん、この毛布を馬車へ積んでほしいの、さらわれた子達はきっと寒い思いをしていると思うから……」
「かしこまりました。私が責任をもってお預かりします。皆様の健闘をお祈りします」
 三枚の毛布を受け取ったボーイは、それを控えていた別のボーイへ預け、通用口の馬車へもっていくように指示を出す。
 その後、ボーイは周囲の安全を確認しつつ警備を追い払い、メンバーを会場へと案内した。
「こちらがオークション会場になります。我々もどうにかして人払いを致しますが、至らなかった場合はご容赦ください」
「お心使い感謝します。ですが余り無理はしないでくださいね」
 見張り役を引き受けた閏はボーイの安全に気を配りつつ、開かれた地下へ繋がる通路へと案内する。
 実行役である五人の内、制圧役であるジャック、鵤、ヴィルマの三人が先行し、その後に続くように小夜とゼクスも通路へと入り込んでいく。
 皆が侵入したのを確認すると通路への扉を閉め外へ悲鳴が漏れないようにした後、閏は皆に何時でも知らせられるよう通路周辺での見張りを開始した。

●デッドマンズ・ハンド
「全員、動くんじゃねえ! 胴体と首を繋いどきたきゃ伏せてろ! 息もすんな!」
 落札に盛り上がっている中、突然乱入した侵入者に会場は大パニックに陥る。無理もない話だが入場口で武器に当たるものはすべて預ける決まりになっているのだ。だというのにこの介入者達はあろうことか人命を奪いかねない凶器を手にオークション参加者を地面に伏せさせる。強欲な人間ほど不利な立場に立たされると被害者のように振舞うが、彼らにそのような言い訳は通用しない。
 全員が伏せた所で今度は鵤が人質に取った参加者や司会者を一か所へ誘導させるために動き出す。
「はぁーい皆様お楽しみの所大変申し訳ございませんがぁ、ちょーっとこちらに集まっていただけますぅー? あ、抵抗する奴は脚をぶち抜くんで素直にこちらへどうぞ的なぁ? なぁに、おっさん達直ぐにいなくなるんでねぇ。お互いの為にもどうぞ僅かな時間ご協力をってかぁ」
「うわぁっ! だれかぁ! 警備ぃ!」
 だが中には完全にパニックになり言う事を聞かず逃げまどう参加者にも、ヴィルマはアイスボルトを地面へと撃ち、逃げようとする参加者を脅迫する。
「鵤の言う通りじゃ。氷漬けになりとうなかったら大人しくしておれ」
 非武装もいい所、金ぐらいしか持っていない参加者や歩行用の杖しか持っていない司会者は為す術も無く伏せさせられ、来る根拠のない警備の登場を心待ちにしている様子だが、そう都合よくはいかない。
「こんばんはお嬢さん方。いきなりで怖がらせてしまったかもしれないが、君等を救いにやってきた。それじゃあ、エスコートしますのでお手をどうぞ」
 突然の事で完全に呆けてた少女たちだったが、その手を差し出したゼクスの優しい一言に助けが来たと直感し、その手を取る。
 両親の元へ帰れる。ゼクスの優しい囁きには少女をそう思わせる魅力が含まれていた。
「はい。お疲れ様。連れ出してあげるから、これ飲みな」
 ジャックが手早く盗品のチェックとバックパックへの詰め込み作業を行っている間に、ゼクスと一緒に保護にあたっていた小夜は司会者から目録と及ぼしき書類を抜き出した後、祝福の水筒から淹れた緑茶を飲ませる。保護された少女達はその暖かさに泣きながら小夜へくっつくが、もう少し我慢するように言い聞かせ、ジャックにシーブスツールの使用を要求する。
「これ、どうにかなりそう?」
「いや、無理だ。豪勢な鎖使いやがって。動くなよ」
 ジャックは盗品の入ったバックパックを地面へと置き、大太刀を構える。少女は一瞬怯むが、ジャックは構わず振り下ろし鎖を切断する。
「これで足は自由だ。そろそろお暇するぜ! あまり時間はかけられねぇ!」
 ジャックはそう言うと、一気に会場を後にし、閏と合流するが脱出の段階で大荷物が仇になり警備に見つかってしまう。
 雪崩込んできた警備から少女を守る小夜とゼクスを囲う様に、残りの四人が配置につくと、各々のスキルで応戦する。
「一気に切り抜けるぜ!」
「俺達はもう帰りたいんだ、道を開けてくれよ」
 先行するジャックが薙ぎ払いで道を開き、走って来る敵に対しては鵤がデルタレイで足止めし、警備の壁をこじ開ける。
 更にゼクスがデルタレイを打ち込み、警備の集団を食い止めつつ、進路を確保する。しかし大きなカジノだけあって警備が濁流の如く流れ込み、中には覚醒者も交じってメンバーへ牙を剥ける。
「逃がしはしない!」
 人質に当たる事も厭わず、警備は強撃によりマテリアルを込めた剣撃を出鱈目に振り回し始める。
「あぶなっ! この子達に当たったらどうするの!」
 その一撃を三人の少女と共に避けつつ、活人剣を放ち出鱈目に振り回していた警備はその一撃によりバランスを崩し倒れ、それを踏んだ後続の警備が転倒し始める。
 警備は不退転の意思を胸に、仲間を踏み台にしてまで彼らを追い始めたのを見て、閏はこれ以上相手できないと感じていた。
「キリがありません! ここは俺が!」
 大量の警備を相手に、閏は桜幕符で発生した桜吹雪で見失わせると、そのまま通用口へと走りだす。
「これで仕上げじゃ!」
 さらにその入り口を塞ぐ為、スリープクラウドで直前まで追って来た警備を眠らせ、更にアースウォールで封鎖する。
 だがこの壁が突き崩されるのも時間の問題。直ぐに少女や盗品を乗せ、全員が馬車へ乗ったのを確認すると、御者を担当しているボーイへ合図を出し、直ぐに馬車を走らせた後に夜の闇へと消えていった。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 其の霧に、籠め給ひしは
    ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549
    人間(紅)|23才|女性|魔術師
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 【ⅩⅢ】死を想え
    ゼクス・シュトゥルムフート(ka5529
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 招雷鬼
    閏(ka5673
    鬼|34才|男性|符術師
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/07 18:09:00
アイコン 台無しにしちゃいましょう!
閏(ka5673
鬼|34才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/05/12 04:22:11