スケルトン三位一体

マスター:cr

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/09/05 19:00
完成日
2014/09/09 21:49

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●月明かりに照らされて
 夜、一面に広がる平坦な草原。月と星が照らし出し、幻想的な雰囲気の場所。
 そこに二つの集団が対峙していた。
 一組はさまざまな武器を手にしたハンター達の集団。
 そしてもう一組は剣を、槍を、弓をそれぞれ手にした人型の影。だが、その影は異様な姿だった。そこには肉が無く、人骨が立ち上がり人の姿を取って動いているもの。いわゆるスケルトンと呼ばれるそれだった。
 もともと、この一帯はその昔大きな戦いが行われた場所らしい。多くの血が流され、当時の戦士達の亡骸が埋まっている。そのうちの三体が雑魔化したのだろう。ハンターオフィスにこれら3体のスケルトンの排除が依頼され、ハンター達が現場に到着、いよいよ作戦が始まろうとしていた。

●コンビネーション
 戦いの火蓋を切ったのはハンター達だった。まず最初にスケルトンに向かっていったのは闘狩人だった。手にした大剣を振り上げ、剣を持ったスケルトンに踏み込みながら振り下ろす。
 当たれば必殺の一撃となっていただろう。だが、その一撃は当たらなかった。振り下ろされる瞬間にその骨だけの体を動かし、紙一重でかわして見せた。
 かわしたスケルトンは、今度は細剣を突き出す。一度、二度。闘狩人は必死にかわす。そして次の一撃をかわそうとしたときだった。一条の線が走り、膝に激しい痛みが走る。後ろに控えていた弓を持ったスケルトンの仕業だった。バランスを崩した闘狩人の胸に剣が突き刺さった。
 その様子を見た疾影士と猟撃士が前に出る。弓使いの危険を認識し先に排除すべく動いた。
 まず猟撃士が手にした銃を撃つ。だが、それはスケルトンに届かなかった。槍を持ったスケルトンが盾を掲げ銃弾を防いでみせた。
 続けて疾影士が走る。目指すは弓使い。しかしそれはかなわなかった。走り抜けようとした疾影士の足元に槍が薙ぎ払われる。バランスを崩し、ひっくり返る疾影士。そこに空中からスケルトンの剣が降りおろされた。

●敗走、そしてリベンジ
 ことここにおいてハンター達は作戦の失敗を認識する。一瞬のうちに二人が倒された。残ったハンター達は倒れた者を担ぎ上げ、一目散に逃走する。一度目の闘いはハンター達の完敗と言って良かった。 だが、人は再び立ち上がる事ができる。ハンターオフィスは今度こそスケルトンを排除すべく、新たなハンター達を編成したのだった。

リプレイ本文


 空には煌々と輝く満月。時間は夜だが、月と星の青白い光がハンター達を、そして異形の骨だけの姿の雑魔を照らしている。
「3体の古強者スケルトン……昔の強者の記憶をもった歪虚ですか」
 美作さくら(ka2345)はオフィスで聞いた情報を思い出していた。かつての戦場で戦った者達の成れの果てが雑魔化した敵。
「戦いはもう終わってんだ。戦士なら戦士らしく潔く安らかに寝てろってんだ!」
 柊 真司(ka0705)はそう、怒気を含んだ口調で吐き捨てた。柊は元々CAMパイロットだった。つまり、リアルブルーでは戦士だった。だからこそ、同じ戦士が雑魔化したことに怒りを感じていた。
「強敵との戦いか……心躍るようだ!」
 一方バルバロス(ka2119)はそう思いのたけを叫び、赤褐色の肌をさらに紅潮させていた。バルバロスは戦いこそが至上の誉れの辺境の部族の出身である。戦いに生き、戦いに死す彼が死んだとき、その後でスケルトンとして蘇るのだろうか。
 だが、バルバロスが強敵と認めるのには理由があった。自分達以前にこの場所に向かったハンター達はスケルトンの的確な連携で打ち破られたのだ。
「連携の取れる敵か……これはちょっと大変そうだな」
 ティーア・ズィルバーン(ka0122)はやれやれと呟きながら手にした太刀を弄ぶ。ティーアは思考を巡らせ、どのように戦うのかを考えていた。
「勝てるかな……」
 さくらはバルバロスとティーアが強敵として認めたことに、思わず気弱に呟く。
「連携を取ってくる相手にはこちらもそれ以上の連携で対抗すれば……」
 マリエル・メイフィールド(ka3005)はそんなさくらに微笑みかけ、優しく声を掛ける。
「なんだかスポーツの監督さんみたいな言い方になってしまいました」
 マリエルは自分の言葉がなんだか可笑しくて、思わず笑ってしまった。マリエルの笑顔はさくらにうつり、そして他の者にも広がって行く。戦いの前の張り詰めた緊張感は、良い様に解きほぐされた。そしてハンター達は目の前の雑魔を打ち破る事に集中する。
「まず私は丘の上にいるアーチャーを狙うわ」
 戦いに向けてスイッチを入れたハンター達の中で最初に口を開いたのはジェーン・ノーワース(ka2004)だった。ジェーンの一言をきっかけに、ハンター達は二、三言、言葉を交わし連携を確認して互いに頷く。どのように攻めるか、ハンター達の連携方法が決まった瞬間だった。
「油断すると足元をすくわれると言うのは確かですので、油断せずに対応していきましょう」
 最後にまるでスポーツが始まるときのように、気合を入れるための言葉をマリエルが言い、そして戦いは始まった。


「うん、弱気でいるわけにはいきません! 手の内は一度知れている相手なんだから勝ちにいきます!」
 戦いが始まると同時に、さくらはマテリアルを解放する。狼耳、犬歯……解放されたマテリアルはさくらの姿に狼の特徴を与え、そしてさくらの言葉も段々と強気になっていった。さくらはそのまま狼の霊の力を借り周囲を見極める。狙うは細剣を持ったスケルトン、フェンサー。
「ああ、ワシたちベルセルクコンビでフェンサーを抑えるぞ!」
 さくらとコンビを組みフェンサーに当たる事になったバルバロスは、マテリアルを自らの筋肉の隅々にまで染み渡らせていく。ただでさえ盛り上がったバルバロスの筋肉はさらに盛り上がり、まるでそこに岩山が出来上がったようになっていた。
 そして二人はじりじりとフェンサーに向かって間合いを詰める。前にバルバロス、後ろにさくら。さくらの薙刀のレンジを生かすための、二人の連携の形だった。
 一方柊は剣と盾を構え、ランサーの前に出る。剣の柊と槍を持つスケルトン、間合いは一回りスケルトンの方が長い。柊は槍を受け流しながら前に出るチャンスをうかがっていた。今行くか、いやまだか。張り詰めた空気が流れる。
 その柊の背後から、光の弾が飛ぶ。この一撃を放ったのはマリエル。ランサーはとっさに盾を掲げ受け流す。起こる光の爆発。光は骨の体を焼く。
 光が晴れたとき、そこにいたのは柊だった。大きく間合いの中に踏み込むと機動砲を叩き込む。そして柊は叫ぶ。
「悪いが他の連中の邪魔はさせねぇ、お前の相手はこっちだ。ランサー!」
 この言葉がスケルトンに聞こえているかは分からない。だが、柊の役目は対ランサーの足止め。スケルトン達の強力な連携攻撃を避けるため、時にリスクを犯す必要がある。
 果たしてその声が聞こえたか、ランサーは槍を思い切り伸ばし振るう。骨しかないその肉体は、人間では考えられない軌道を槍にもたらす。その一撃をかわす柊。
 だがそのときだった。バルバロスとさくらの前で間合いを保っていたフェンサーが突如横に動く。フェンサーは対峙する二人ではなく、柊の方へと動いていた。槍をかわした柊はちょうどフェンサーに背中を見せる格好になっていた。その隙を狙うフェンサー。フェンサーとランサーによる連携攻撃。
「危ないです。受け止めてください」
 後ろから状況を把握していたマリエルが、冷静に柊に状況を伝える。振り向いた柊は盾を構え、剣を受け止める。盾は剣の軌道をそらすが、剣はそのまま振り下ろされ柊の腕を傷つける。流れ出す血。赤い液体は、地面の下に埋まるかつての戦士達に捧げるかのように流れ落ちる。
 開始から間もなく始まった、スケルトンとハンターとの激しい争い。だが、その争いの裏で、動いていたハンター達が居た。
 足にマテリアルを込めたジェーンは大きく円を描くように右へ飛び出して走る。目指すはアーチャー、道は最短距離。戦場をかけるジェーン目掛けてアーチャーは矢を放つ。弓の大きさを見て、その射程の外であろう位置を進むジェーン。だがアーチャーの放った矢は射程の常識を超え一直線に彼女に向かう。
「決定打を避ける事が出来れば問題無いわ」
 ジェーンは速度を止めない。射程の上を行くアーチャーの矢に戸惑うものの、それは一瞬。一気に走り抜けた彼女のすぐ後ろに矢は突き刺さる。前へ、一秒でも早くアーチャーの元へ。それがジェーンの想いだった。
「ほんとに狩りみたいになってきたな」
 一方、ジェーンと反対側からアーチャーの元へ走るのはティーア。そこに彼が居た事に気付くものは誰も居なかった。乱戦が始まった、その陰を隠れ蓑にしてティーアは走る。


 一方スケルトン二体とハンター四人の戦いは一進一退の攻防を繰り広げていた。
 ランサーは外から大きく回りこむように槍を伸ばす。狙いは後方に位置取るマリエルの側頭部。迫る槍頭。
「俺の仲間に手を出すんじゃねぇ」
 だが、そこに傷ついた自らの身体を省みず、柊が飛び出す。ランサーを分断し連携を断ち切るのが柊の仕事だ。その前にパートナーをやられるわけには行かない。
 しかしそこに迫るのはフェンサーの細剣。真っ直ぐ突き出された刃は柊の心臓を捕らえ――
「ぶるあぁぁぁ!」
 その時、大地が震えた。荒々しく、ただ目の前の敵を破壊する事のみに特化した一撃。バルバロスが振り下ろした巨大な両手剣は空を切る。ひらりとバルバロスの一撃をかわしてみせるフェンサー。地面に叩きつけられる両手剣。
 だが、バルバロスのその一撃は、避けられる事も織り込み済みの一撃だった。かわした敵は当然攻撃してきた相手から離れる位置に動く。ではそこに攻撃が加えられたら?
「余所見なんてしてる暇ないですよ!」
 袈裟懸けに振り下ろされるさくらの薙刀が細剣ごとスケルトンの腕を切り裂く。細剣は薙刀に弾かれ、反らされ空を切った。スケルトン達が連携するように、またハンター達も連携を取っていた。
 しかしながら、スケルトンはそこからさらにもう一手を打ってきた。矢が闇を貫き、真っ直ぐさくらのもとに飛んでくる。丘の上に立つアーチャーからの一撃。運良くその矢はさくらの身体を捕らえることは無かったが、さくらの着物の袖に穴を開けた。
「怪我はありませんか」
 身を挺して自分を庇ってくれた柊に、マリエルは癒しの術をかける。腕の傷は完全ではないが、塞がっていった。だが、後方で冷静に戦況を見るマリエルには、これから先の展開が分かり始めていた。このままでは三位一体のスケルトンの攻撃に、自分達は押し切られてしまうだろう。それを避けるためには?
 マリエルは視界の端でスケルトンに向かって疾る影を、祈るように見つめていた。


 さくらに矢を一つ放ち、次の矢を放つためつがえようとするアーチャー。だが、そこに一つの影が飛び込んだ。身体にマテリアルを巡らせ、鋭く放たれる槍の一撃。その一撃を放ったのはアーチャーの元に辿り着いたジェーンだった。
 ぎりぎりで反応したアーチャーはジェーンの一撃を何とかかわす。だが、アーチャーは後ろから迫るもう一つの影に気付いていなかった。加速からの相手のタイミングを越えた一閃。
「さぁ、ここからは俺の距離だ。どう闘うか見せてみろや弓兵」
 一気に駆け抜け、手にした太刀を横に薙いだティーアは残心から踵を返し、アーチャーに振り向きつつそう言い放つ。そして放たれる次の一撃。刃を返したティーアは、再び脚にマテリアルを込め、加速から逆の一閃を放つ。アーチャーの骨を切り裂く一閃。
「コンビネーションができるのはお前らだけじゃねぇんだよ」
 もう一度太刀を振るい終えたティーアは背後のアーチャーに向かってそう言う。油断しているわけではない。これから何が起こるのか、それがもうわかっているからだ。
 満月に重なる小さく細い影。その影が手にした、自らの身体より大きな槍は、まるで雷のように真っ直ぐ、アーチャーの脳天目掛け振り下ろされる。全員のばねを生かした跳躍。空中から武器にかかる重力を目一杯生かし、小さな身体を軸に遠心力を加えた必殺の一撃。ジェーンのその一撃は、かつてこの戦場で戦った弓兵の身体を、再び地の下での永久の眠りに就かせた。


 フェンサーとランサーの相手をしていたハンター達の視線の先に、アーチャーを倒した仲間の姿が映る。それはハンター達の士気を一層盛り上げる。
「機導剣、起動(アクティブ)! これでもくらいやがれ!」
 傷つきながら前に踏み込んだ柊は、手にした剣を突き出す。裂帛の気合と共に、手にした剣はマテリアルを纏い、光の剣と化してランサーの胴に突き刺さった。
 そこからフェンサーに波状攻撃を仕掛けるバルバロスとさくら。まずバルバロスが再び振り上げた大剣を、地面を叩き割るかのごとく振り下ろす。そこにさくらが薙刀を振るう。
 だが、フェンサーもかつて強き戦士だったのであろう。同じ徹は二度踏まない。二人の攻撃を右に、左にかわす。
 そして、地面に剣を叩きつけて出来たバルバロスの隙を見逃すほど、スケルトン達は甘くなかった。
 まずランサーは、柊の光剣に腹部を抉られながら盾を掲げバルバロスに体当たりを食らわせる。その巨大な肉体で跳ね返すバルバロス。だが、盾が覆い隠したバルバロスの視線。そこをフェンサーは狙ってきた。影から一直線に突き出されるフェンサーの細剣。ブスリ、と音を立ててバルバロスの身体に細剣は吸い込まれていく。スケルトンの剣の切っ先は真っ直ぐバルバロスの心臓へと向かう。だが、その剣はバルバロスの命を断ち切る事は適わなかった。深手を負いつつも、鍛え上げた肉体は、一瞬のうちに相手の命をとめることが出来るその一撃を跳ね返した。
「しっかり回復していきますね」
 深手を負ったバルバロスを癒すマリエルのマテリアル。傷は塞がり、突き刺さった細剣ははじき出される。命に関わる傷はふさがれても、一度たぎったバルバロスの血は収まらない。
「さぁ反撃です! ずいぶん痛い攻撃を我慢してきましたけど、お返しです!」
 そう言いながら放ったさくらの一撃は、しかしスケルトンにかわされる。だがさくらの一撃は、避けられる事も織り込み済みの一撃だった。かわした敵は当然攻撃してきた相手から離れる位置に動く。ではそこに攻撃が加えられたら?
 真っ直ぐ、一切の迷い無く振り下ろされる剣。いや、もはやこれは鉄塊と呼んでいいだろう。巨大な巨大な両手剣は、長い間鍛え抜かれた肉体から全てを載せて振り下ろされる。力、重さ、勢い。全てが揃った一撃は、そこにいたはずのフェンサーの骨だけの身体を跡形も無く叩き潰した。
 ひょいとバルバロスが剣を持ち上げた後に、もはや骨の欠片も残っていなかった。


「応援に向かうわ」
「んじゃ……もう一狩りといきますか」
 アーチャーを倒し終えたジェーンとティーアはランサーの元へ向かって駆け出す。
 フェンサーを倒し終えたバルバロスとさくらはランサーとの戦いを続けるため振り向く。
「いや、もう終わりだ」
 だが柊は仲間達が来るのをぶっきらぼうに否定する。連携をやめたわけでも、ましてや仲間割れしたわけでもない。ただ、必要が無かったのだ。
 柊は再び光の剣を突き出す。もう一度胴に吸い込まれる光の剣。その一撃を受けたとき、三体のスケルトンの長い、長い戦いはやっと終わりを告げた。


 つわもの達の亡骸が眠る平原を、あの時と変わらず月は照らし出していた。戦いに生きた三人の戦士は、もう一度土の下に帰っていった。青白く優しい光がハンター達を包む。

 狂戦士の人生とは、全てを戦いに捧げることである

 バルバロスはそう思っていた。だがきっと、三人の戦士達も同じように思っていたのだろう。
 一陣の風が吹きぬけ、ハンター達の身体を撫でる。多くの血が流されたかつての戦場は、いつまでも静かにそこにあった。

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」マイスター
    ティーア・ズィルバーン(ka0122
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • オールラウンドプレイヤー
    柊 真司(ka0705
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • グリム・リーパー
    ジェーン・ノーワース(ka2004
    人間(蒼)|15才|女性|疾影士
  • 狂戦士
    バルバロス(ka2119
    ドワーフ|75才|男性|霊闘士
  • 山岳猟団即応員
    美作さくら(ka2345
    人間(蒼)|14才|女性|霊闘士

  • マリエル・メイフィールド(ka3005
    エルフ|16才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/04 00:10:43
アイコン 相談はこっちで。
ジェーン・ノーワース(ka2004
人間(リアルブルー)|15才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/09/05 06:23:36