ゲスト
(ka0000)
スケルトン事件の主犯討伐を!
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~10人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/17 12:00
- 完成日
- 2016/06/24 17:33
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●アジトを発見!
王都イルダーナ周辺で何件か起こっているスケルトン出没事件。
夕方から深夜にかけ、墓場からスケルトンが現れて徘徊するという事件。事件によっては、村をスケルトンが徘徊するに至ったこともあった。スケルトンは武装しており、周辺の住民に危険が及ぶとされていた。
それらの事件は過去3度起こっているが、いずれもハンターの力で解決されている。
その依頼解決には、聖堂戦士団所属のファリーナ・リッジウェイ(kz0182)も尽力してはいるのだが……、先日の事件でハンターから喝を入れられ、かなり気落ちしていた。
「何を守る為に、聖堂戦士団に入ったのですか?」
「でないとずっと、一人であることの無力さにもがき苦しむ羽目になるぞ」
聖堂戦士団としての仕事をいくつも抱えたがゆえに、ハンターの力を借りていたわけだが。判断を誤ってしまったのかと、彼女はひどく嘆いていた。自身は果たしてどうすべきだったのか。
それに苦悶して考え抜き、結論を出したファリーナは上官に申告する。聖堂戦士団の務めを一旦断り、事件解決に集中させてほしいと。上官もにやりと笑い、それを了承してくれた。
事件解決のための糸口は、ハンター達が用意してくれている。前回、主犯らしき歪虚……ボロ切れを纏った骨と皮のような人影を目撃してくれているのだ。
その為、先日の依頼のあった村へとすぐに出むいてツケを支払った後、さらなる情報収集に勤しむ。別件の事件情報もあったようだが、この1件のみ集中して情報を集め……そしてようやく、決定的な情報が得られた。
「ボロ切れを纏った人影が……?」
それは、先ほどの村に立ち寄った後、古都アークエルスに滞在していた行商人の言葉だ。アークエルス南にうち捨てられた廃村にスケルトンの群れが蠢いており、そこにはあの歪虚と思われる姿があったという。
それなら、すぐさま出向いて討伐をしたいところだが……。聖堂戦士団の戦力は現状厳しい。力を持つ者達は基本大規模作戦など前線へと出向き、残るは新兵やさほど指揮経験のない新米隊長ばかりなのだ。
事情を説明し、聖堂戦士団での先輩に当たるロジェの率いる小隊に助力を頼めたが、こちらも新兵団員ばかりの構成隊だ。これでは、歪虚を逃がしてしまう可能性すらある。
「……というわけです」
ハンターズソサエティまでやってきたファリーナが改めて、ハンター達に頭を下げる。今回は人数が欲しいのだが、いかんせん、聖堂戦士団にもそれほどの余裕があるわけでもない。そんな内部事情も語り、彼女は助力を仰ぐ。
人員、戦力不足とあらば、ハンター達も仕方ないと腰を上げる。良い顔をしない者もいたが、ファリーナにとってはそれでもよかった。力を貸してくれるだけでも、今は心強い。
「本当に……ありがとう」
それでも、彼女に対して、厳しい言葉を投げかけてくる者もいる。だが、彼女は毅然として、こう言い返した。
「批判ならば、事件が解決してから、気が済むまで聞かせていただきます」
そう応えるファリーナの顔は何か吹っ切れており、真剣な眼差しでハンターを見つめるのだった。
王都イルダーナ周辺で何件か起こっているスケルトン出没事件。
夕方から深夜にかけ、墓場からスケルトンが現れて徘徊するという事件。事件によっては、村をスケルトンが徘徊するに至ったこともあった。スケルトンは武装しており、周辺の住民に危険が及ぶとされていた。
それらの事件は過去3度起こっているが、いずれもハンターの力で解決されている。
その依頼解決には、聖堂戦士団所属のファリーナ・リッジウェイ(kz0182)も尽力してはいるのだが……、先日の事件でハンターから喝を入れられ、かなり気落ちしていた。
「何を守る為に、聖堂戦士団に入ったのですか?」
「でないとずっと、一人であることの無力さにもがき苦しむ羽目になるぞ」
聖堂戦士団としての仕事をいくつも抱えたがゆえに、ハンターの力を借りていたわけだが。判断を誤ってしまったのかと、彼女はひどく嘆いていた。自身は果たしてどうすべきだったのか。
それに苦悶して考え抜き、結論を出したファリーナは上官に申告する。聖堂戦士団の務めを一旦断り、事件解決に集中させてほしいと。上官もにやりと笑い、それを了承してくれた。
事件解決のための糸口は、ハンター達が用意してくれている。前回、主犯らしき歪虚……ボロ切れを纏った骨と皮のような人影を目撃してくれているのだ。
その為、先日の依頼のあった村へとすぐに出むいてツケを支払った後、さらなる情報収集に勤しむ。別件の事件情報もあったようだが、この1件のみ集中して情報を集め……そしてようやく、決定的な情報が得られた。
「ボロ切れを纏った人影が……?」
それは、先ほどの村に立ち寄った後、古都アークエルスに滞在していた行商人の言葉だ。アークエルス南にうち捨てられた廃村にスケルトンの群れが蠢いており、そこにはあの歪虚と思われる姿があったという。
それなら、すぐさま出向いて討伐をしたいところだが……。聖堂戦士団の戦力は現状厳しい。力を持つ者達は基本大規模作戦など前線へと出向き、残るは新兵やさほど指揮経験のない新米隊長ばかりなのだ。
事情を説明し、聖堂戦士団での先輩に当たるロジェの率いる小隊に助力を頼めたが、こちらも新兵団員ばかりの構成隊だ。これでは、歪虚を逃がしてしまう可能性すらある。
「……というわけです」
ハンターズソサエティまでやってきたファリーナが改めて、ハンター達に頭を下げる。今回は人数が欲しいのだが、いかんせん、聖堂戦士団にもそれほどの余裕があるわけでもない。そんな内部事情も語り、彼女は助力を仰ぐ。
人員、戦力不足とあらば、ハンター達も仕方ないと腰を上げる。良い顔をしない者もいたが、ファリーナにとってはそれでもよかった。力を貸してくれるだけでも、今は心強い。
「本当に……ありがとう」
それでも、彼女に対して、厳しい言葉を投げかけてくる者もいる。だが、彼女は毅然として、こう言い返した。
「批判ならば、事件が解決してから、気が済むまで聞かせていただきます」
そう応えるファリーナの顔は何か吹っ切れており、真剣な眼差しでハンターを見つめるのだった。
リプレイ本文
●村へ向かう途中で
王都イルダーナ付近で連続して起きるスケルトン事件。
その主犯の所在が明らかになったということで、ハンター、そして聖堂戦士団の一隊が古都アークエルスから南を目指す。
「スケルトン事件の主犯の討伐ですか。これ以上の事件を起こさせない為にも、ここで始末しないといけないですね」
「一連のスケルトン騒ぎの主犯退治だね。微力ながら協力するよー」
エルバッハ・リオン(ka2434)の呟きを耳にしたのか、超級まりお(ka0824)が気合を入れていた。
「まあ、中途半端に関わってきたしー? 決着を見届けたい気はするわねぇ」
「私は初めてこの事件に関わりますが、仕事はしっかりとこなしていきましょう!」
アルスレーテ・フュラー(ka6148)は一度、関連事件に参加している。対して、和泉 澪(ka4070)は初めてだったが、受けた任務を果たそうと意気込む。
「んぁ? 死者蘇生を繰り返す爺さんねぇ……」
玉兎 小夜(ka6009)はぼんやりと考える。死者を本来の姿で蘇生できるのであれば、強力もやぶさかではないかと。さすがに、骨になるのはいただけないが。
「とりあえず……起きちゃった子達を眠らせてあげないと」
スケルトンとて、望んで目覚めたわけではないだろう。安らかに眠らせるのが自身の仕事と小夜は考える。
「何度も何度もスケルトンを呼び起こして騒動を起こしてるみたいだけど、それもここまでかな!」
箍崎 来流未(ka2219)は主犯となる歪虚がなぜ、このような事件を起こしたのかを気にしている。討伐の際、事情聴取も行えればよいのだが……。
その来流未と同行する時音 ざくろ(ka1250)は、戦士団と共に歩くファリーナ・リッジウェイ (kz0182)に笑いながら声をかける。
「黒幕見つけたんだ、良かったね……。これ以上悪さ出来ないよう、やっつけよ」
ざくろは以前の依頼で、彼女が一生懸命、主犯に関する手がかりを探す姿を目にしている。その力になれたらとこの依頼に参加していたのだ。
「はい、頑張ります」
「気合入れて行こう。解決したら、話したいことがあるしね」
少し緊張していた彼女へ、ザレム・アズール(ka0878)がフラグじゃないぞと付け加え、その緊張を和らげる。
「なるほど、この前の依頼でオフィスに駆け込んできた時よりは、いい顔してるじゃねぇか」
緊張こそあれど、決意に満ちたその目を五黄(ka4688)が見つめる。
自分達の使い方も正しい、期待していると五黄はファリーナに発破をかけていた。
(……まぁ、あれだけ大層なこと言ったんだ。ここはバシッと成功させてやらんと締まらんよなぁ)
それに一役買おうと、彼もまた心中で意気込むのである。
●奇襲なるか……?
古都アークエルス南の廃村。
到着したメンバー達は2班に分かれることにする。片方は歪虚を、もう一方は村を徘徊するスケルトンの殲滅を図る。
ザレムは隠密を使いつつ、双眼鏡で徘徊するスケルトンを観察する。そして、その数、配置を仲間達へと伝達していた。
「ロジェ隊は最外周の敵を頼む。片付いたら、端から順に村を人の手に取り戻してくれ」
「了解した」
その指示に従うよう、隊長ロジェは隊員へと伝えていた。
「よろしくぅっ。なんか陰あるけど、気合いはあるっぽいね! 今回頑張って見返そうぜっ」
小夜が改めてと聖導士達に挨拶を交わす。彼女も外周巡回担当である。
「小隊さんず。怪我には気を付けてね。できるだけ捌くつもりだけど、生き残るのが大事だから、さ」
「ファリーナもこっちで、回復やら戦闘を手伝ってもらえるか」
小夜が隊員達へと注意を促すと、五黄もファリーナへ指示を出す。彼女は快く了承していたようだ。
さて、歪虚討伐を目指すメンバー。
「スケルトンは皆さんにお任せします、アタシはこのまま突っ込む」
来流未は、不穏な笑みを浮かべて移動していく。
彼女達はザレムの言葉もあり、うまく外のスケルトンをやり過ごしながら村の奥、村長宅跡まで全力で進んでいった。
「昔からボスは奥の方とか、偉い人の所にいるって決まってるもん」
ざくろには、周りのスケルトン達がボスを守るように巡回しているように見えた。そちらの討伐は仲間に任せ、自身は来流未達と一緒に、黒幕の所を目指す。
村長宅跡に到着したメンバーはしばし、内部を偵察する。中には、紅いスケルトンが2体。そして、その中心にボロ切れを纏った歪虚と思しき姿がある。
ザレムは村長宅跡内にいる歪虚を誘い出したいと考え、まずは単身乗り込む形で姿を見せる。
「……誰だ」
すかさず、紅いスケルトンを差し向けてくる歪虚。覚醒して黒い竜族様態の幻翼を発現させたザレムは靴の裏からマテリアルを噴射し、後方へと跳ぶ。
「行くよ来流未、一緒に黒幕退治だ!」
来流未もざくろに応じ、LEDライトを光らせつつ一緒に屋内へ突入していった。世界を混乱に落とそうとする悪巧みなど、見過ごすことは出来ない。
「ヒアーウィーゴー!!」
「薄汚い歪虚が……」
同じく、まりお、セリス・アルマーズ(ka1079) も内部へと攻め込む。歪虚はそれにより、退路を断たれる形となっていた。
これに困ったのはザレムだ。敵の引き付けを考えていたにも関わらず、仲間達が攻め込んできたのだから。
「今度は、逃がさないぜ」
彼は仕方なく、そのまま家屋内で歪虚達を相手することにする。
とはいえ、布陣としては悪くない。敵を寸断する形で、家屋内の戦いは始まったのである。
一方、館の外では。
徘徊するスケルトンの討伐に当たる班メンバーは、物陰に身を潜めていた。
その間、敵を注視していたエルバッハが、孤立し近寄ってきた1体のスケルトンを襲撃し、メンバー総攻撃で屠った。これは、エルバッハによる頭脳プレーと言えるだろう。
程なく、歪虚討伐メンバーが奇襲したのを察し、外のメンバー達も動き始める。
「さてはて……。作戦開始ぃ」
ぼそりと呟く小夜は覚醒し、側頭部の両側に白いロップイヤーを垂らし、腰部下部に白い毛玉のような尻尾を垂れ下げる。
そばのエルバッハは、胸元に赤い薔薇の紋様を浮かばせていて。体には、同じ赤い色の棘が全身に浮かび上がっている。
早速、エルバッハはワンドを振るい、鋭い風を巻き起こして手近なスケルトンの体を切り裂く。
それに気づいて近づいてくるスケルトン達を、メンバー達が迎え撃つ。
「スケルトン、はっけーんっ」
てってけと歩いていた小夜は斬魔刀「祢々切丸」を大上段に構える。そうして自身の力を高めた彼女は、地面を擦りあげて摩擦熱で刃を燃え上がらせながら、敵を断たんとする。ファリーナも刀を抜き、敵を切り伏せようとしていた。
廃屋の壁を背にした五黄は1対1にならぬようにと配慮しつつ、ドーベルマンやイヌワシとシンクロしながらもスケルトンを攻め立てていく。
「鳴隼一刀流、行きます!」
覚醒して風を纏う澪はスケルトンへと素早く近づいて一太刀浴びせ、離脱していく。敵の数は多い。出来る限り攻撃を受けぬようにと心がけ、澪は立ち回っていた。
アルスレーテはスケルトン数体を相手するロジェ隊についている。彼らのトレーニングがてら討伐を……くらいの考えでいたようだ。
「私が楽できるよう、頑張ってねー」
お気楽に応援するアルスレーテへ、聖導士達は白い目を向けていたのだった。
●暴食ダルグ
村長宅内では、激しい攻防が繰り広げられる。
光の三角形から伸びる光で、ザレムは歪虚達を貫いていく。ギリギリ敵の双方が範囲に入っており、それらを捉えることが出来ていた。
同じくセリス。普段は気さくな性格なのだが、歪虚を前にした彼女にその面影は微塵も感じられない。手前の歪虚と背後のスケルトンを同時に範囲に納め、自身を中心として光の波動を広げていき、敵にダメージを与えていく。
前に立つ歪虚……ダルグ。暴食に堕ちた男だ。死者蘇生を繰り返すこいつの目論見は不明である。
「侮るなよ、ハンターども……!」
ダルグが振るう古ぼけた杖。そこからは雷が放たれ、ハンター達の体を貫く。それは、来流未とざくろの体をも焼き払わんとした。
「スケルトンを統括しているダルグを叩いてしまえば!」
来流未は叫び、ダルグへと躍りかかる。そこで、後ろから狙ってくるのは真紅の骸骨。それを、ざくろが盾を構えて庇う。彼は敵の挙動に注意し、防御を固めていたのだ。
「ざくろさん、あたしにも見せ場を作ってくれてありがとね♪」
「来流未はざくろが護る。だから、思いっきり行って」
ざくろに促され、来流未は全力で踏み込み、日本刀をダルグへと叩きつけていく。さすがは力ある歪虚。傷を負いながらも敵は来流未を抑えてみせた。
一方、まりおは、聖導士の風貌の紅いスケルトンの相手をしていた。
(敵さんをうまく壁際に誘導して、暴れさせれば……)
相手の獲物は槌。彼女が攻撃を回避することで、敵がその壁を壊していくこととなる。まりおの思惑通りに壁が破壊されていく。
それにより、視界が開け、外のスケルトンがハンター達によって抑えられているのをダルグは目にする。
「ぐぬぬ……」
歯軋りするそいつの目の前で、まりおは避け続けていたが。その槌は着実に彼女を痛めつける。残念ながら援護も得られず、まりおはその槌によってついには叩き潰されてしまう。
「少しでも、役目は果たせたかな……」
だが、倒れるまりおは、なぜか笑みを浮かべていたのだった。
再度外に目を向けると、ハンター達は集まるスケルトンと戦いを繰り広げていた。
数が多く、索敵の必要がないくらいに敵は集まってきていたが、ハンター達は効率よく敵の対処に当たっていた。
五黄は敵の場所と数を確認しつつ、仲間と連携し、タイマンで戦うことがないようにだけ気がけつつ戦う。
幸い、外にいるメンバーは、ハンター5人と聖導士7人。総勢13名がいる。倒れるスケルトンも徐々に増えてきていた。
ファリーナがスケルトンを刀で切り伏せると、反撃にとスケルトンは武器を叩きつけてくる。
「もらいます!」
そこで横から澪が素早く姿を現し、試作振動刀「オートMURAMASA」でスケルトンの体を寸断する。そいつは音を立てて地面に転がり、すぐに消えていった。
ロジェ隊も順調に敵を倒してはいたが、途中、1人の隊員がバランスを崩し、スケルトンの刃へと襲われそうになってしまう。
「……仕方ないわね」
そこで、縮地瞬動で割り込んで入ってきたのは、緑の瞳を蒼く変色させたアルスレーテだ。彼女は鉄扇をそいつへ叩きつけ、さらに体内のマテリアルを一気に送り込んだ。
先ほどまで白い目で見ていた聖導士達だったが、彼女を見直しつつも、そのスケルトンへと仕掛けていく。
残るスケルトンの数は少ない。五黄は魔力を込めたスピアで1体の体を叩き壊し、そのそばでは、エルバッハが巻き起こす冷気の嵐が2体のスケルトンを物言わぬ躯へと戻していく。
「起きちゃったなら、眠らせてあげないとね!」
小夜はスキルの設定に若干難を覚えてはいたが、それでも、刀を高速で抜き放ち、切り伏せる。残った最後のスケルトンもまた、音を立てて崩れていった。
とりあえずは一息つくハンター達。
傷つく聖導士達を、ワンドを手にしたアルスレーテが体内で練り上げたマテリアルで癒していく。
(まあみんなヒールくらい使えるだろうから、治療いらないかもしれないけど)
とはいえ、彼女のさりげない気遣いに、ロジェ隊隊員は感謝していたようである。
だが、のんびりもしていられない。彼らは歪虚と戦うメンバーを援護すべく、村長宅跡へと駆け込む。
家は数箇所、壁が崩れており、外からでも援護が出来そうな状況になっていた。
ただ、屋内ではまりおが倒れ、他のメンバーも疲労の色が強くなってきている。
うまく敵を回避、防御を行って敵の攻撃をやり過ごすザレム、仲間に庇ってもらっていた来流未は比較的傷は浅いが、ざくろ、そして、とりわけセリスの疲労は濃い。
ザレムが光線を放つと、まりおを倒した聖導士のスケルトンが槌で殴りかかってくる。それをザレムが抑えていると、澪が割って入ってきた。
他のメンバーも、屋内のメンバーを負担するように布陣していく。壁が破壊されていた為、スペースを気にせずに済むようになったのは、まりおの功績だろう。
アルスレーテも、ここぞと本領発揮して攻め入る。
「それなりに仕事はこなさないとねー」
のらりくらりと戦場を渡り歩くかに見えたアルスレーテ。だが、振るう鉄扇の威力は鮮烈だ。
外の聖導士達は精霊に祈りを捧げ、戦うハンターの傷を癒す。
それで幾分か持ち直したセリスは、敵を見据える。手にする聖機剣「タンホイザー」に魔力を集中させ……。
「歪・即・滅。藁のように滅びるがよい」
セリスの一撃によって紅い骸骨は砕け散り、塵と化して消えていった。
ここまでくれば、ハンター側が圧倒的に優勢。傷つく屋内のメンバーをフォローしながらも押し切っていく。
仲間の攻撃の合間、エルバッハが飛ばした風。その鋭い刃がとどめとなり、刀を振るう紅のスケルトンが霧散していった。
一方、ダルグを狙うメンバー。
荒ぶる五黄がマテリアルを込めたスピアを振るい、突き出す。虎耳と虎の尻尾を生やした彼は、まさに戦場を駆ける虎のようだ。
「目的は何だ」
「貴様らも躯と成り果てろ……」
五黄が問うが、ダルグは応じない。真横から攻めてきた澪に裂かれながらも、ダルグは広範囲に冷気の嵐を生み出す。
「ヴォーパルバニーが、刻み刈り取らん」
構えた斬魔刀を横薙ぎに振るう小夜。狙うはダルグの首だ。
いくら力を持つ歪虚とはいえ。これだけの人数で襲い掛かれば、多勢に無勢だ。
強打、連打を浴びせる来流未。覚醒の影響からか、その表情は狂気に満ちていて。衣服の乱れも、重なるダメージも、まるで気にかける様子を見せない。
「そのボロ布の下の顔、しっかり見させてもらうよ!」
高笑いを上げた彼女は、瞳を光らせて「虎徹」を振り上げる。すると、ボロ切れが取り払われ、骨と皮だけの醜悪なミイラのような体躯が露わになる。連続してハンターの攻撃を浴びたダルグが、ついに杖を突いた。
そこへ、ザレムが近づき、刀でダルグの杖を弾き飛ばす。
「発動体がなくなれば、魔法使いは怖くない。ファリーナ! 防御は俺が担当するから、想いを果たせ!」
本懐を果たさせてあげたいと考えたザレムは、彼女を守るように構える。
だが、ずっとこの場を抑えていたざくろ、来流未もまた、自らの手で打ち倒したいと武器を構える。
デルタレイを牽制代わりに飛ばすざくろ。魔導符剣「インストーラー」を媒介として光の剣となす。
「光剣ドライブファイナルインストール! ……もう人々の平和と死者の眠りを乱させはしない」
ざくろがその光の剣を振り下ろし、ダルグの体を真っ二つに切り裂いた。
「く、口惜しや……!」
ダルグの体が弾け跳ぶ。程なくすると霧散したそれは、最初から何もなかったかのようになくなってしまったのだった。
●歪虚が消えた廃村にて
廃村に屯していた歪虚とスケルトンを、全て倒したハンター達。
エルバッハは塵と化したそれらを見て、考える。
「さすがに、これで活動を再開することは万が一にもないと思うのですが……」
「死者は、丁重にってね。私の最近の信条ー」
とはいえ、埋葬することが出来なかった為、小夜はせめてと祈りだけ捧げていた。
「おそらくこれで事件は解決だと思うけど、あなたはどう思うかな?」
「はい、もう大丈夫だと思います」
来流未は傷の手当てをしながら、ボトルに入れたコーヒーを片手に持って口に含む。ファリーナはようやく、一連の事件に終止符を打てたと実感していたようだ。正直、その目論見が分からなかったことが心残りではあるが……。
「前回言ったこと、ちゃんと伝わったようで何よりだ」
正直ここまで実践してくるとは思わなかったと、五黄は声をかけて来る。
「他人から言われたことを素直に聞き入れられる。それは才能だな」
ファリーナは照れくさそうに俯いた。
「君は間違ってないよ」
そこへ、ザレムがやってくる。彼は苦悩していたファリーナの心の痛みを軽く出来ればと、考えていたのだ。
「戦士団や軍という組織にしかできない事。ハンターという自由な立場ならやり易い事。どちらも正しいし、必要なんだ」
戦士団は人身のよりどころであり、組織として安全を守る存在だ。ハンターと違ってロジェ隊のように、個に頼らない力が大切になるときもある。
「君が守りたい物の為に君が目指した生き方を、自信を持って進んでほしい」
思うように進んで良い。それでも、手が足りないときは。
「俺達が居るだろ」
ザレムの言葉が頼もしくて。彼女は言葉に詰まってしまう。
「お前は将来いい聖導士になれる。自信を持って、これからも頑張れよ」
五黄が檄を飛ばすと、ファリーナははいと力強く頷いたのだった。
王都イルダーナ付近で連続して起きるスケルトン事件。
その主犯の所在が明らかになったということで、ハンター、そして聖堂戦士団の一隊が古都アークエルスから南を目指す。
「スケルトン事件の主犯の討伐ですか。これ以上の事件を起こさせない為にも、ここで始末しないといけないですね」
「一連のスケルトン騒ぎの主犯退治だね。微力ながら協力するよー」
エルバッハ・リオン(ka2434)の呟きを耳にしたのか、超級まりお(ka0824)が気合を入れていた。
「まあ、中途半端に関わってきたしー? 決着を見届けたい気はするわねぇ」
「私は初めてこの事件に関わりますが、仕事はしっかりとこなしていきましょう!」
アルスレーテ・フュラー(ka6148)は一度、関連事件に参加している。対して、和泉 澪(ka4070)は初めてだったが、受けた任務を果たそうと意気込む。
「んぁ? 死者蘇生を繰り返す爺さんねぇ……」
玉兎 小夜(ka6009)はぼんやりと考える。死者を本来の姿で蘇生できるのであれば、強力もやぶさかではないかと。さすがに、骨になるのはいただけないが。
「とりあえず……起きちゃった子達を眠らせてあげないと」
スケルトンとて、望んで目覚めたわけではないだろう。安らかに眠らせるのが自身の仕事と小夜は考える。
「何度も何度もスケルトンを呼び起こして騒動を起こしてるみたいだけど、それもここまでかな!」
箍崎 来流未(ka2219)は主犯となる歪虚がなぜ、このような事件を起こしたのかを気にしている。討伐の際、事情聴取も行えればよいのだが……。
その来流未と同行する時音 ざくろ(ka1250)は、戦士団と共に歩くファリーナ・リッジウェイ (kz0182)に笑いながら声をかける。
「黒幕見つけたんだ、良かったね……。これ以上悪さ出来ないよう、やっつけよ」
ざくろは以前の依頼で、彼女が一生懸命、主犯に関する手がかりを探す姿を目にしている。その力になれたらとこの依頼に参加していたのだ。
「はい、頑張ります」
「気合入れて行こう。解決したら、話したいことがあるしね」
少し緊張していた彼女へ、ザレム・アズール(ka0878)がフラグじゃないぞと付け加え、その緊張を和らげる。
「なるほど、この前の依頼でオフィスに駆け込んできた時よりは、いい顔してるじゃねぇか」
緊張こそあれど、決意に満ちたその目を五黄(ka4688)が見つめる。
自分達の使い方も正しい、期待していると五黄はファリーナに発破をかけていた。
(……まぁ、あれだけ大層なこと言ったんだ。ここはバシッと成功させてやらんと締まらんよなぁ)
それに一役買おうと、彼もまた心中で意気込むのである。
●奇襲なるか……?
古都アークエルス南の廃村。
到着したメンバー達は2班に分かれることにする。片方は歪虚を、もう一方は村を徘徊するスケルトンの殲滅を図る。
ザレムは隠密を使いつつ、双眼鏡で徘徊するスケルトンを観察する。そして、その数、配置を仲間達へと伝達していた。
「ロジェ隊は最外周の敵を頼む。片付いたら、端から順に村を人の手に取り戻してくれ」
「了解した」
その指示に従うよう、隊長ロジェは隊員へと伝えていた。
「よろしくぅっ。なんか陰あるけど、気合いはあるっぽいね! 今回頑張って見返そうぜっ」
小夜が改めてと聖導士達に挨拶を交わす。彼女も外周巡回担当である。
「小隊さんず。怪我には気を付けてね。できるだけ捌くつもりだけど、生き残るのが大事だから、さ」
「ファリーナもこっちで、回復やら戦闘を手伝ってもらえるか」
小夜が隊員達へと注意を促すと、五黄もファリーナへ指示を出す。彼女は快く了承していたようだ。
さて、歪虚討伐を目指すメンバー。
「スケルトンは皆さんにお任せします、アタシはこのまま突っ込む」
来流未は、不穏な笑みを浮かべて移動していく。
彼女達はザレムの言葉もあり、うまく外のスケルトンをやり過ごしながら村の奥、村長宅跡まで全力で進んでいった。
「昔からボスは奥の方とか、偉い人の所にいるって決まってるもん」
ざくろには、周りのスケルトン達がボスを守るように巡回しているように見えた。そちらの討伐は仲間に任せ、自身は来流未達と一緒に、黒幕の所を目指す。
村長宅跡に到着したメンバーはしばし、内部を偵察する。中には、紅いスケルトンが2体。そして、その中心にボロ切れを纏った歪虚と思しき姿がある。
ザレムは村長宅跡内にいる歪虚を誘い出したいと考え、まずは単身乗り込む形で姿を見せる。
「……誰だ」
すかさず、紅いスケルトンを差し向けてくる歪虚。覚醒して黒い竜族様態の幻翼を発現させたザレムは靴の裏からマテリアルを噴射し、後方へと跳ぶ。
「行くよ来流未、一緒に黒幕退治だ!」
来流未もざくろに応じ、LEDライトを光らせつつ一緒に屋内へ突入していった。世界を混乱に落とそうとする悪巧みなど、見過ごすことは出来ない。
「ヒアーウィーゴー!!」
「薄汚い歪虚が……」
同じく、まりお、セリス・アルマーズ(ka1079) も内部へと攻め込む。歪虚はそれにより、退路を断たれる形となっていた。
これに困ったのはザレムだ。敵の引き付けを考えていたにも関わらず、仲間達が攻め込んできたのだから。
「今度は、逃がさないぜ」
彼は仕方なく、そのまま家屋内で歪虚達を相手することにする。
とはいえ、布陣としては悪くない。敵を寸断する形で、家屋内の戦いは始まったのである。
一方、館の外では。
徘徊するスケルトンの討伐に当たる班メンバーは、物陰に身を潜めていた。
その間、敵を注視していたエルバッハが、孤立し近寄ってきた1体のスケルトンを襲撃し、メンバー総攻撃で屠った。これは、エルバッハによる頭脳プレーと言えるだろう。
程なく、歪虚討伐メンバーが奇襲したのを察し、外のメンバー達も動き始める。
「さてはて……。作戦開始ぃ」
ぼそりと呟く小夜は覚醒し、側頭部の両側に白いロップイヤーを垂らし、腰部下部に白い毛玉のような尻尾を垂れ下げる。
そばのエルバッハは、胸元に赤い薔薇の紋様を浮かばせていて。体には、同じ赤い色の棘が全身に浮かび上がっている。
早速、エルバッハはワンドを振るい、鋭い風を巻き起こして手近なスケルトンの体を切り裂く。
それに気づいて近づいてくるスケルトン達を、メンバー達が迎え撃つ。
「スケルトン、はっけーんっ」
てってけと歩いていた小夜は斬魔刀「祢々切丸」を大上段に構える。そうして自身の力を高めた彼女は、地面を擦りあげて摩擦熱で刃を燃え上がらせながら、敵を断たんとする。ファリーナも刀を抜き、敵を切り伏せようとしていた。
廃屋の壁を背にした五黄は1対1にならぬようにと配慮しつつ、ドーベルマンやイヌワシとシンクロしながらもスケルトンを攻め立てていく。
「鳴隼一刀流、行きます!」
覚醒して風を纏う澪はスケルトンへと素早く近づいて一太刀浴びせ、離脱していく。敵の数は多い。出来る限り攻撃を受けぬようにと心がけ、澪は立ち回っていた。
アルスレーテはスケルトン数体を相手するロジェ隊についている。彼らのトレーニングがてら討伐を……くらいの考えでいたようだ。
「私が楽できるよう、頑張ってねー」
お気楽に応援するアルスレーテへ、聖導士達は白い目を向けていたのだった。
●暴食ダルグ
村長宅内では、激しい攻防が繰り広げられる。
光の三角形から伸びる光で、ザレムは歪虚達を貫いていく。ギリギリ敵の双方が範囲に入っており、それらを捉えることが出来ていた。
同じくセリス。普段は気さくな性格なのだが、歪虚を前にした彼女にその面影は微塵も感じられない。手前の歪虚と背後のスケルトンを同時に範囲に納め、自身を中心として光の波動を広げていき、敵にダメージを与えていく。
前に立つ歪虚……ダルグ。暴食に堕ちた男だ。死者蘇生を繰り返すこいつの目論見は不明である。
「侮るなよ、ハンターども……!」
ダルグが振るう古ぼけた杖。そこからは雷が放たれ、ハンター達の体を貫く。それは、来流未とざくろの体をも焼き払わんとした。
「スケルトンを統括しているダルグを叩いてしまえば!」
来流未は叫び、ダルグへと躍りかかる。そこで、後ろから狙ってくるのは真紅の骸骨。それを、ざくろが盾を構えて庇う。彼は敵の挙動に注意し、防御を固めていたのだ。
「ざくろさん、あたしにも見せ場を作ってくれてありがとね♪」
「来流未はざくろが護る。だから、思いっきり行って」
ざくろに促され、来流未は全力で踏み込み、日本刀をダルグへと叩きつけていく。さすがは力ある歪虚。傷を負いながらも敵は来流未を抑えてみせた。
一方、まりおは、聖導士の風貌の紅いスケルトンの相手をしていた。
(敵さんをうまく壁際に誘導して、暴れさせれば……)
相手の獲物は槌。彼女が攻撃を回避することで、敵がその壁を壊していくこととなる。まりおの思惑通りに壁が破壊されていく。
それにより、視界が開け、外のスケルトンがハンター達によって抑えられているのをダルグは目にする。
「ぐぬぬ……」
歯軋りするそいつの目の前で、まりおは避け続けていたが。その槌は着実に彼女を痛めつける。残念ながら援護も得られず、まりおはその槌によってついには叩き潰されてしまう。
「少しでも、役目は果たせたかな……」
だが、倒れるまりおは、なぜか笑みを浮かべていたのだった。
再度外に目を向けると、ハンター達は集まるスケルトンと戦いを繰り広げていた。
数が多く、索敵の必要がないくらいに敵は集まってきていたが、ハンター達は効率よく敵の対処に当たっていた。
五黄は敵の場所と数を確認しつつ、仲間と連携し、タイマンで戦うことがないようにだけ気がけつつ戦う。
幸い、外にいるメンバーは、ハンター5人と聖導士7人。総勢13名がいる。倒れるスケルトンも徐々に増えてきていた。
ファリーナがスケルトンを刀で切り伏せると、反撃にとスケルトンは武器を叩きつけてくる。
「もらいます!」
そこで横から澪が素早く姿を現し、試作振動刀「オートMURAMASA」でスケルトンの体を寸断する。そいつは音を立てて地面に転がり、すぐに消えていった。
ロジェ隊も順調に敵を倒してはいたが、途中、1人の隊員がバランスを崩し、スケルトンの刃へと襲われそうになってしまう。
「……仕方ないわね」
そこで、縮地瞬動で割り込んで入ってきたのは、緑の瞳を蒼く変色させたアルスレーテだ。彼女は鉄扇をそいつへ叩きつけ、さらに体内のマテリアルを一気に送り込んだ。
先ほどまで白い目で見ていた聖導士達だったが、彼女を見直しつつも、そのスケルトンへと仕掛けていく。
残るスケルトンの数は少ない。五黄は魔力を込めたスピアで1体の体を叩き壊し、そのそばでは、エルバッハが巻き起こす冷気の嵐が2体のスケルトンを物言わぬ躯へと戻していく。
「起きちゃったなら、眠らせてあげないとね!」
小夜はスキルの設定に若干難を覚えてはいたが、それでも、刀を高速で抜き放ち、切り伏せる。残った最後のスケルトンもまた、音を立てて崩れていった。
とりあえずは一息つくハンター達。
傷つく聖導士達を、ワンドを手にしたアルスレーテが体内で練り上げたマテリアルで癒していく。
(まあみんなヒールくらい使えるだろうから、治療いらないかもしれないけど)
とはいえ、彼女のさりげない気遣いに、ロジェ隊隊員は感謝していたようである。
だが、のんびりもしていられない。彼らは歪虚と戦うメンバーを援護すべく、村長宅跡へと駆け込む。
家は数箇所、壁が崩れており、外からでも援護が出来そうな状況になっていた。
ただ、屋内ではまりおが倒れ、他のメンバーも疲労の色が強くなってきている。
うまく敵を回避、防御を行って敵の攻撃をやり過ごすザレム、仲間に庇ってもらっていた来流未は比較的傷は浅いが、ざくろ、そして、とりわけセリスの疲労は濃い。
ザレムが光線を放つと、まりおを倒した聖導士のスケルトンが槌で殴りかかってくる。それをザレムが抑えていると、澪が割って入ってきた。
他のメンバーも、屋内のメンバーを負担するように布陣していく。壁が破壊されていた為、スペースを気にせずに済むようになったのは、まりおの功績だろう。
アルスレーテも、ここぞと本領発揮して攻め入る。
「それなりに仕事はこなさないとねー」
のらりくらりと戦場を渡り歩くかに見えたアルスレーテ。だが、振るう鉄扇の威力は鮮烈だ。
外の聖導士達は精霊に祈りを捧げ、戦うハンターの傷を癒す。
それで幾分か持ち直したセリスは、敵を見据える。手にする聖機剣「タンホイザー」に魔力を集中させ……。
「歪・即・滅。藁のように滅びるがよい」
セリスの一撃によって紅い骸骨は砕け散り、塵と化して消えていった。
ここまでくれば、ハンター側が圧倒的に優勢。傷つく屋内のメンバーをフォローしながらも押し切っていく。
仲間の攻撃の合間、エルバッハが飛ばした風。その鋭い刃がとどめとなり、刀を振るう紅のスケルトンが霧散していった。
一方、ダルグを狙うメンバー。
荒ぶる五黄がマテリアルを込めたスピアを振るい、突き出す。虎耳と虎の尻尾を生やした彼は、まさに戦場を駆ける虎のようだ。
「目的は何だ」
「貴様らも躯と成り果てろ……」
五黄が問うが、ダルグは応じない。真横から攻めてきた澪に裂かれながらも、ダルグは広範囲に冷気の嵐を生み出す。
「ヴォーパルバニーが、刻み刈り取らん」
構えた斬魔刀を横薙ぎに振るう小夜。狙うはダルグの首だ。
いくら力を持つ歪虚とはいえ。これだけの人数で襲い掛かれば、多勢に無勢だ。
強打、連打を浴びせる来流未。覚醒の影響からか、その表情は狂気に満ちていて。衣服の乱れも、重なるダメージも、まるで気にかける様子を見せない。
「そのボロ布の下の顔、しっかり見させてもらうよ!」
高笑いを上げた彼女は、瞳を光らせて「虎徹」を振り上げる。すると、ボロ切れが取り払われ、骨と皮だけの醜悪なミイラのような体躯が露わになる。連続してハンターの攻撃を浴びたダルグが、ついに杖を突いた。
そこへ、ザレムが近づき、刀でダルグの杖を弾き飛ばす。
「発動体がなくなれば、魔法使いは怖くない。ファリーナ! 防御は俺が担当するから、想いを果たせ!」
本懐を果たさせてあげたいと考えたザレムは、彼女を守るように構える。
だが、ずっとこの場を抑えていたざくろ、来流未もまた、自らの手で打ち倒したいと武器を構える。
デルタレイを牽制代わりに飛ばすざくろ。魔導符剣「インストーラー」を媒介として光の剣となす。
「光剣ドライブファイナルインストール! ……もう人々の平和と死者の眠りを乱させはしない」
ざくろがその光の剣を振り下ろし、ダルグの体を真っ二つに切り裂いた。
「く、口惜しや……!」
ダルグの体が弾け跳ぶ。程なくすると霧散したそれは、最初から何もなかったかのようになくなってしまったのだった。
●歪虚が消えた廃村にて
廃村に屯していた歪虚とスケルトンを、全て倒したハンター達。
エルバッハは塵と化したそれらを見て、考える。
「さすがに、これで活動を再開することは万が一にもないと思うのですが……」
「死者は、丁重にってね。私の最近の信条ー」
とはいえ、埋葬することが出来なかった為、小夜はせめてと祈りだけ捧げていた。
「おそらくこれで事件は解決だと思うけど、あなたはどう思うかな?」
「はい、もう大丈夫だと思います」
来流未は傷の手当てをしながら、ボトルに入れたコーヒーを片手に持って口に含む。ファリーナはようやく、一連の事件に終止符を打てたと実感していたようだ。正直、その目論見が分からなかったことが心残りではあるが……。
「前回言ったこと、ちゃんと伝わったようで何よりだ」
正直ここまで実践してくるとは思わなかったと、五黄は声をかけて来る。
「他人から言われたことを素直に聞き入れられる。それは才能だな」
ファリーナは照れくさそうに俯いた。
「君は間違ってないよ」
そこへ、ザレムがやってくる。彼は苦悩していたファリーナの心の痛みを軽く出来ればと、考えていたのだ。
「戦士団や軍という組織にしかできない事。ハンターという自由な立場ならやり易い事。どちらも正しいし、必要なんだ」
戦士団は人身のよりどころであり、組織として安全を守る存在だ。ハンターと違ってロジェ隊のように、個に頼らない力が大切になるときもある。
「君が守りたい物の為に君が目指した生き方を、自信を持って進んでほしい」
思うように進んで良い。それでも、手が足りないときは。
「俺達が居るだろ」
ザレムの言葉が頼もしくて。彼女は言葉に詰まってしまう。
「お前は将来いい聖導士になれる。自信を持って、これからも頑張れよ」
五黄が檄を飛ばすと、ファリーナははいと力強く頷いたのだった。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/06/17 07:45:21 |
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相談卓 アルスレーテ・フュラー(ka6148) エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/06/17 01:12:58 |