アマリリス~執事メイド戦線

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/06/20 22:00
完成日
2016/07/05 02:56

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

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オープニング

●あらすじ(読まずともOK)
 激化する歪虚との戦闘で量産機運の高まるCAMなどの大型兵器。
 これを背景に鉄鉱石需要が伸び、各鉱山が開発・増産されている。
 その中で、同盟領の蒸気工業都市フマーレ近くでも新たにセル鉱山という採掘場が生まれた。後発ながら工業都市に近い立地が好感を呼び、各業種が参入した。
 一方、人に絶望しながらも村のために命を懸ける人々に感銘し誰かのために生きようとする少年モータルを雇った闇の商人ベンドは、密かに取引するゴブリンからセル鉱山の開発を知る。モータルの後に雇った家出娘アムに「アマリリス商会」を名乗らせ関与。安酒の手配や輸送路の警備で名を上げたが、大手業者から邪魔者扱いに。鉱山街の警備担当に押しやられるが、付近に巣食う吸血鬼歪虚の退治で確固たる立場を築く。
 ただ、鉱山からは良質な鉄鉱石が出ない。
 事業主のグリス・オムにここの開発を進言した山師ノーザン・ウエストは、実績欲しさに事業を継続させるべくペテンを仕掛ける。
 これにグリスが乗り、自身が村長を務める村の水門の権利を抵当に入れたところで、運搬と精製の業者が値上げか撤退の選択を迫る。自責の念にかられたグリスは首を吊った。
 その後、業者たちは遺産の奪い合いに備えていた。が、グリス夫人と子どもたちの夜逃げに手を貸したアマリリス商会が鉱山を買い取ったと宣言。同じ頃、鉱山街の資金をノーザンが持ち逃げする。開発当時から目をつけていた盗賊団にそそのかれたことが、同じくここを狙っていた二つの盗賊団から知らされる。
 アマリリス商会は二つの盗賊団とともにノーザンを追う。
 結果、ノーザンは盗賊の凶弾により死亡。最終的な裏切りもあり三つの盗賊団も壊滅。
 持ち逃げ資金を取り返したばかりか、盗賊たちの資金を得て残党も受け入れた。
 時に鉱山は、アムの宣言によりCAMに必要な高品質ガラス需要を見越した珪石と水晶の掘削に切り換えたばかり。
 事業転換は大当たりで、鉱山街も活気を帯びることになった。


●本編
「お父様……いいえ、マッケレル海商のマッケレル氏に私の本名は知られてないわね?」
 フマーレ郊外に建つ二階建ての立派なグリス邱の執務室でアムが振り返った。
「私も後から知りましたが、旦那様……マッケレル氏は突然いなくなった娘を『宝石の呪いのため死んだ』として葬式を挙げています」
 視線を受けた執事、バモスが少し悲しそうに言う。
 そしてすぐに気を取り直し続ける。
「ただ、それは表向きのようです。珪石などの海上輸送は全てお任せしましたが、私を見ても一瞬表情を変えただけで何も言ってきませんでした」
「それでこそだわ」
 アム、歯を食いしばって気丈に言い放った。
 マッケレルは、腹心の中に裏切り者が出たため「持ち主やその周りで三人死ぬ」という呪いの宝石を「病死が確実な者三人に身につけさせた後」に身に着け、裏切り者を暗殺している。家出した娘とその執事も表向きは死んだことにして「三人死ぬ」の帳尻合わせにしているようだ。もっとも、これは情報通にはすべてバレているが。
 とにかく、アムはもう戻れない。
「モータルとメイスンの詰めてる鉱山街からは何か情報、ある?」
「順調の一言ですね。共闘した盗賊の生き残りをそのまま指揮下に入れたことが大きいです。作業量も上がって、産出される珪石と水晶の質も上がってきています。鉄鉱石の坑道を見捨てたのは大正解でした」
「分かったわ。それじゃ、取引先を増やしましょう。パーティーをするのでその準備を」
「お待ちください」
 バモス、アムを止めた。
「最近、この屋敷は何者かに見張られています。侵入された痕跡もあります。……まだ直接の被害はないですけどね。私がそれとなく防御はしていましたが、パーティー前に一掃する必要があるでしょう。護衛と……当日給仕など手伝える執事とメイドが欲しいですね」
「モータルとメイスンも今は動かせないし……うーん」
 アム、考え込む。

 ということで、アムとバモスがわざと留守にする間に館を守りつつ侵入してくる盗賊を捕縛し、翌日夜にあるパーティーの手伝いをする人、求ム。

リプレイ本文


 屋敷のエントランスの吹き抜けに陽光が差している。
「……ん?」
 何かに気付き見上げたメイド服姿の女性は、天竜寺 詩(ka0396)。
 見上げた踊り場で眼鏡「クリスタルナイツ」が陽光を跳ねて、きらん。
「これは、何かありましたか?」
 真田 天斗(ka0014)が詩に穏やかに微笑みかけた。
「屋敷、一通り見た?」
「ええ。どこも異常はありませんね」
 ――コツコツ。
 ここで階下の玄関扉でノック。
「こんにちは、花屋です」
 詩が出てみると花き業者だった。パーティーの前日確認に来たようだ。
「ご案内しましょう」
 詩の背後から天斗が声を掛ける。ホールへと案内した。
「私、ほかの人にも忙しくなりそうって声を掛けて来るよ」
 天斗に任せ、控室へと向かう詩。
 この様子を二階テラスから見る姿が。
「出入り、激しそうだな」
 雹(ka5978)である。執事服姿でふぅと溜息。
 その背後にメイド服姿の女性が立つ。
「何かあったん?」
 澪(ka6002)である。
 振り向いた雹は、にっこり。
「パーティーの準備でもいろんな人が来るね。……静玖は一階にいるから、澪は二階の奥の方を頼むよ」
「……」
 兄である雹はそういうが、澪は無表情のままじっと見返すのみ。
「ごめん、今日は雫(しずく)だったね」
「二階やな。雫、気張りますえ」
 視線の意味に気付いた雹が言い直す。すると澪、まるで双子の静玖(ka5980)のように明るく頷いた。
 満足そうに振り向き屋敷の奥へ消えていくのを見送りつつ、トランシーバーを出す雹。
「そちらはどう?」
 話し掛けたのは、一階にいる静玖。
「裏口、異常なしやぇ」
 静玖、きょろと厨房を見回しながら兄からの連絡に応じている。
「埃の残る窓の桟やら見ても何もありそにないおすぇ」
 爪先立ちして確認する静玖。
「……もしかしたら、夜のうちに何か仕掛けるかもしれへんなぁ」
 ぶつぶつ言いつつ確認確認。
 その厨房の入り口を横切る女性がいた。
 ちら、と覗いて静玖がいることを確認すると、別の場所に。
 ふんふん、とはたきで燭台などの埃を落としつつ。
 途中の壁に掛けてある鏡にその顔が映った。
「ん、メイドとして入った以上はメイドの仕事はきっちりします…」
 サクラ・エルフリード(ka2598)である。鏡に映ったメイド服姿の自分の視線に気付き、つい独り言を。もちろん、掃除しながら異変がないかを確認しているのだ。
「ふむん」
 そのサクラ、前方の小部屋から漏れ聞こえる声に気付いた。自分も着替えた、小間使いの控室だ。
「このような使用人の服を着るのは初めてであるな」
 覗くと、ミグ・ロマイヤー(ka0665)がメイド服に着替え終えたばかりのようだった。鏡に向かって左ひじを高く上げ腰をひねり悩殺ポーズをしていたり。その鏡にサクラが映ったのに気付き、振り返る。
「どうじゃ? 似合っておるかのう?」
 長いスカートのすそを後上げてくるりんと一回転してサクラに聞いてみる。まるで十三歳程度の娘のようなはしゃぎっぷりで、なんだか楽しそうである。
「その……右腕のそれは何でしょう?」
「魔導ガントレットじゃ! 似合っておろう」
 申し訳なさそうに聞くサクラに、金髪縦ロールをふわふわさせつつニンマリご満悦のミグだったり。
「似合うかと言われれば……」
「……むしろ自然かもしれません」
 返答に困ったサクラの背後に、ぬっと人の気配。
 振り向くとライラ = リューンベリ(ka5507)だった。きっちりとメイド服を緩みなく着こなしている。
「大きなパーティー前に全く警戒なく執事やメイドだけというのも不自然です。適度に武装しているところを見せるのも必要かもしれません」
「おお、それについて考えがあるのじゃがの」
 ミグ、ライラと意気投合したようである。



 結局、日中は何もなかった。
「そう。明日も早くに出掛けてパーティー前に戻るからよろしく」
 夕食を囲み、主人のアムが期待する。
「屋内に侵入された形跡は発見されませんでした。出入り業者に不審な所もありません。……ただ、屋内はいいのですが庭が無防備すぎますね」
 天斗が屋敷の見取り図を出しつつ説明した。
「仕方ないわね、それは」
 アム、ため息のみ。
「しかし、侵入の動きがなかったのは助かります」
 バモス、とりなす。
「前は昼に侵入されたの?」
「ええ、一瞬の隙を見事に付かれましたね」
 詩の言葉に答えるバモス。
 ここでライラが身を乗り出してきた。
「相手がやり手なら足跡を残すような真似はいたしません、目立つ証拠を残すことで本当の狙いを隠すつもりかもしれません」
「つまり、夜やえ?」
 静玖も身を乗り出した。
「足跡は階段だったよね? それ以外の場所は妹達と見回ったよ?」
 雹、地図の二階など指差す。隣で澪がこくりと無言で頷いている。
「昼……に警備を集中させるつもりなのなら、しっかり警備しましたよね…」
「夜が危ないね」
 サクラの言葉に詩が力強く言い添える。
「敵の手に乗ったように見せた形ならさらにこうしてやればよい」
「同じことを考えていました」
 ミグの言葉にライラの同調。
 屋敷の地図に数カ所、×印が描かれるのだった。

 そして夜が更けた。
「……静かですね」
 サクラ、暗い屋敷のエントランスで玄関の戸締り確認をして移動する。ランタンの明かりは窓を通して外から確認できるはずだ。一人でゆっくりと見回る。
「お疲れ様じゃの」
 途中で、隠れていたミグに声を掛けられる。こく、と頷き通過。立ち止まるとそこに何かあると感付掛ける可能性がある。
「さて、と」
 サクラ通過後も、暗闇に潜み続けるミグ。
 やがて、ガタガタ、と窓の揺れる音がする。風ではない。なぜなら、ひとつづつ確認するようになっているから。
「来たか……。そこの窓だけ鍵は掛かっておらんが」
 ミグ、にやり。ガタガタはどんどん近寄って来る。
 ――ガタ……すっ……。
 やがて、あえて鍵を掛けていない窓に来た。誰かが開けて外から侵入する気配。
 ――すとん。
「よし」
「む?」
 ミグ、音もなく動いた。が、侵入者もさるもの。この気配に気付いた!
 ――バチッ!
 ミグの雷撃。しかし敵はバランスを崩すようにかわしていた。そのまま走り去る。
「待つのじゃ!」
 とたたた、とエントランスホールまで追いかけっこ。
 が、不審者の足が止まった。
 横合いから黒いつむじ風が巻き起こったのだ。
「ぐふぅ……」
 くの字に身を折る侵入者。ずずず、と崩れる身を支える新たな人影。
「夜はお静かに」
 天斗である。身を沈め振り抜いたバトラー・グローブの拳が敵の鳩尾に食い込んでいた。暗闇の中なので眼鏡はキラリしない。
「おお、そなたか」
 ミグ、とりあえず侵入者を縛る。
「後は地下室にでも放っておきましょう……」
 ぽわ、と明かりが近付いた。しっかりとサクラも天斗の背後に詰めていた。

 夜はさらに更けて、二階。
 ――すとん。
 暗闇の通路に、開いた窓から一つの人影が侵入した。きょろ、と左右を確認して小さなLEDライトを点ける。
「はっ!」
 そして侵入者が気付いた。
 暗闇の中、膝を曲げた真っ白な女性の太腿が白く浮かんだことにッ!
「見ましたか……」
 ため息交じりの声に、ひゅんと風を切る音。ここで待機していたライラの顔も白く浮かんだ。
「くそっ」
 ぴしっ、からん、と音がしたのは、まくりあげたスカートの中から放たれた鞭が前方に掲げられた棍棒を巻き取ったから。侵入者、とっさに足場に使ったりと侵入に活用した棒を鞭に絡ませて逃げ出した。
「逃がしません」
 ライラ、ここの窓だけ半開きにして侵入しやすくしていた。次の敵の行動も大体読める。再度自らのロングスカートをめくって白い太腿をあらわにすると、今度はチャクラムを取り出した。
 が、投げない。
 侵入者、到達する横の扉を確認しつつ逃げていたが、一つの扉が開いたのでそこに逃げ込んだのだ。
 その部屋は書斎だった。
「ちょうどいい」
 侵入者、鍵を内側から掛けると手早く机の引き出しを調べようとした。
 瞬間!
「うっ!」
 机の引き出し側に行こうとしたが、何か思いとどまってしまった。
 そればかりか胸に光の杭が刺さっているではないか!
「させないよ」
 書斎の影から詩が姿を現した。ぐるっと回り込んだのは、窓からの脱出を防ぐため。
 ――がちゃ、ばたん。
「一つ開いている、ということは当然こうなるということです」
 鍵を掛けた扉はあっさりと開けられ、チャクラムを構えたライラに塞がれた。これあるを見越し、ここの扉の鍵はライラがあらかじめ持っていたのだ。
「さ、貴方もアマリリス商会のために働いてもらおうかな?」
 詩、にこにこと捕縛する。

 もちろん、わざと戸締りを忘れて誘導する作戦に乗らず、強引に押し入るという我が道を行く侵入者もいる。
 ――がしゃん。
「困りますなぁ、お客はん」
 窓を割った侵入者は突然の横合いからの声にびくっと振り返った。
「誰だ!」
「謎メイド雫参上やぇ!!」
 メイド静玖、答えつつ陰陽符を振るう。光の蝶に変化して不審者に一直線だ。
 ――ばしっ。
 両手をクロスして受けた敵は食らった攻撃の勢いを生かしごろごろ後方に転がり、そのまま逃走した。
 敵、屋敷の角を曲がったところで。
「騒がしいどすなぁ、お客はん」
 はっ、と顔を上げると先ほどのメイドが立っていた。
 澪である。が、敵は双子だとは思わないし見わけもつかない。でも回り込まれるはずはない、と混乱。
「誰だ!」
「謎メイド、雫参上やぇ…あ」
 敵、学習能力はあるようだ。
 先に名乗ると同時に攻撃を受けたので、逆に先に襲い掛かった。ぎらりと光るナイフ。
「先手必勝のはずやったのに」
 澪、残念がるがその用意があったおかげで難なく敵の攻撃を鬼斬丸の鞘で受ける。
 そしてその目が見開かれる。
「追い付いたぇ」
「何?」
「……」
 やって来た静玖の背後からの声に振り向く敵。一瞬視線が外れた隙に疾風剣で踏み込んで敵の首筋を打つ澪。
 最後、敵は同じ格好をしたメイド服姿の娘を見て愕然とすることとなる。
「最後にいいもの見たね」
 どしん、と頭上から二人の指揮を取っていた雹が飛び降りて来て止め。トランシーバーを仕舞いつつ、敵を捕縛した。



「花き業者です。お花をお持ちしました~」
「まいど、食材納品に来ました」
 翌日、屋敷はパーティー前に出入りの業者が入れ代わり立ち代わりで訪れていた。
「どうです?」
 ライラ、対応する合間に天斗に聞く。
「昨日と同じ人物ですね、大丈夫です」
「そなた、しっかりしておるの」
 涼しげに言う天斗にミグが陽気に声掛け。おかげで楽ちんなのだ。
「これ位なら軍属に居た時の方が何倍も大変でしたから」
 ふっ、と天斗が微笑したところで詩がやって来た。
「昨晩の侵入者、それぞれ横のつながりはないみたい。鉱山街を狙っていた盗賊の残党が腹いせにこっちから金目の物を取ろうとしたみたいだよ」
「腹いせか……」
 ミグ、考え込んだ。
「アム本人を狙っているのもいるはずだって」
「……有益な情報ですね」
 詩の得た話を聞き、表情を引き締めるライラだった。
 この時、サクラが通り過ぎて外に。
「……サクラさん?」
「雹さんたちと庭木の剪定をしてきます……」
 詩、サクラが恥ずかしそうだったことに気付く。
「あ、あなた達は何ですか…! ち、近寄らないでください…なんて…?」
 出た先からそんな声がするので窓からのぞいてみると、サクラが不審者をワイヤで絡めて急所を蹴上げていた。
「……なるほど。サクラ様に料理は向きませんでしたか」
 何があったのかとサクラの来た方に向かっていたライラが、厨房を覗いて理解したようだ。
 サクラ、料理はダメダメのようで。

 そして日が暮れ、パーティー。
「ようこそ、セル鉱山の新規取引パーティーに」
 着飾ったアムの挨拶の後、歓談に。
「上着はこちらで預かるのじゃ……おお、なかなか物持ちの良い」
 ミグはクローゼットの管理に。来客の外套を預かる。
「ほう? 見れば若いのに一昔前の流行を知っているとはの」
 古風な老人から一目置かれたり。
「アムちゃん、珪石って乾燥剤にもなるんだって」
「石工にも活用できるかも……か」
 詩はアムとそんな話も。
「宝石に、ですか……」
 天斗は給仕の最中に宝石商と話している。
「ウチ、雫いうえ。……可愛い? 困るわぁ。え、あかんわぁ。こないなところで。……え? 普段人が多いんは二階や。今はあまりおらんけど……え、後でゆっくり話したい? 困るわぁ、ウチ……はわっ!」
 静玖は口説かれている様子。照れてくりくり何かをいじっていたのだが、それが胸元のリボンだったり。運悪く胸元の開いたメイド服で、そこをほどくと脱げちゃう仕様。慌ててはだける服を押さえる。
 その隙に口説いていた男は気配を消した。必要な情報は得たということか。
「気配を消した……あと、お願いします」
 これを見ていたライラ、この男を追う。演技だった静玖、トランシーバーで雹に連絡している。
「この中に紛れてはいないと思ったのですが……あ、お飲み物はどうですか…?」
 ライラから後を任されたサクラ、了解。そして何事もないように振舞うが……。
「それじゃ、ウォッカにライムを絞ってシェイクして……」
「わ、ワインがあります。めずらしい銘柄です」
「ん? そうか。それじゃそれを」
 客にリクエストされたサクラ、慌てて提案。料理ダメイドっぷりを晒さなくて済んでふー、ぐったりと精神的にへろへろに。
 一方、ライラ。
「陽動の可能性がありますので、お願いします」
「分かった。……静玖?」
 エントランスで雹と合流し、追っていた男のマークを引き渡す。自身は二階へ上がった。
 敵はすでに追われていることに感付いていた。二階に行くことなく一階奥へと逃げている。
 そこで。
 ――ばたん!
「雫?」
「ここ、女湯どすえ?」
 覗きはゆるしまへんえ、と胸元リボンがほどけてメイド服を半脱ぎしていた澪がジト目で訴える。もちろん敵は、先ほど口説いてだました女性がここにいることに愕然としている。
「それ以上はダメだからね」
 背後から追い付いた雹、いつもより力を込めた怪力無双でぐりぐりと押さえつけた。捕縛完了。

 二階に上がったライラは。
「アム様を狙うのとばかり思っていれば」
「ぎゃああ!」
 書斎でウイップが踊り侵入者を捕縛していた。



 そしてパーティーはつつがなく終了。質の悪い珪石の取引先も新たに土木関係者に決まった。
 で、侵入者たちと言えば。
「手間賃にこれをやるわ。……もしも自分たちで高く売れるようなら言ってきなさい。少し安く分けてあげるわ」
 元盗賊たちに、宝石扱いもできるくらいに加工した翠色の珪石を少し手渡し釈放した。
「何でそんなことするの?」
「彼ら、手持ちがないんでしょ? 少しでも高く売ろうとするでしょうね」
 詩の疑問にくすくすと笑うアムだった。

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MVP一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩ka0396
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤーka0665
  • 【魔装】猫香の侍女
    ライラ = リューンベリka5507

重体一覧

参加者一覧

  • Pクレープ店員
    真田 天斗(ka0014
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 【魔装】猫香の侍女
    ライラ = リューンベリ(ka5507
    人間(紅)|15才|女性|疾影士
  • 陽と月の舞
    雹(ka5978
    鬼|16才|男性|格闘士
  • 機知の藍花
    静玖(ka5980
    鬼|11才|女性|符術師
  • 比翼連理―瞳―
    澪(ka6002
    鬼|12才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/18 06:54:16
アイコン 相談卓だよ
天竜寺 詩(ka0396
人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/06/20 21:06:58