ゲスト
(ka0000)
お掃除して下さい!
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/09/08 15:00
- 完成日
- 2014/09/13 00:44
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
私は、ここから新しく始まる。
些かどうして、良いではないか。
零からの始まりというのも。
阪井輔は疎らな顎髭を撫でながら、その建物を眺めた。
随分安価で手に入ったと思ったら、そういうことか。確かに、中は荒れ放題だ。
ついでに、近隣の工場に聞いて回ったら、どうやらここには「出る」らしい。
まったく、情報収集は大事だと、口酸っぱく聞かされ続けてきたというのに。
若い頃は小さな紡績工場の跡取りをしていた。
こちらへ渡って、既に数十年、漸く自分で工場を作ろうと思えるだけの蓄えと人脈を得たが、如何せん箱物を忘れていたようだ。
あちらにいた頃、ソレは既にあった物だから。
さて、物思いに耽っても仕方ない。
改めて、この煉瓦造りの工場跡の外観を見て回った。
広さも高さもそこそこあって、窓も多い。熱気が籠もりすぎることも、冷え込みすぎることもないだろう。
壁の煉瓦も目立った痛みは見当たらない。年季は感じるが、まだまだ何十年でもここに建っていてくれそうだ。
とんがり屋根が可愛すぎる気もするが、そこからの眺めはまあ気に入った。
煙突を見上げてその影を見下ろして。なかなかいい絵だ。
「おっと……危ないな、ここも直すか」
朽ちかけた手摺りを撫でて、中へ戻り梯子を下りる。
阪井はハンターオフィスへ連絡を取った。
●
「…………」
「…………」
最寄りの支部から野良猫のように裏道を抜け、やってきた案内人。工場の庭、水を止めて枯れた水路の傍らに佇んで工場を見上げる。
「いやぁ、私1人でできないことも無いと思っていたんだが」
「できなかったんですね」
「頼みますよ、軍手と、雑巾と、箒と塵取り。あと、入り用なものは何でも言ってくれて構わないから」
「さすがに。掃除用具を自前で装備しているハンターさんは少ないと思いますが」
人を雇うか、自力でやるか。捨てられた工場に残ったガラクタやホコリの掃除はそのつもりだった。
しかし、件の「出る」噂が災いしてか、人手はまったく集まらなかった。
縋る思いでハンターオフィスへ連絡を取り、某か出ると噂の工場の片付けと依頼したところ、巡り巡り、廃工場の歪虚退治だと支部の人間が寄越された。
「なんでそんな話になったかな……出るのは、ホコリくらいなんだけどねぇ」
「ですよねーっ」
誰か手伝ってくれるだろうか。
面白いガラクタがあるなんて言ったら、その趣味のハンターさんが……否否、夢中になられても、それは困る。
とにかく、
『お掃除して下さい! 廃工場の庭に集合!』
これで良し!
私は、ここから新しく始まる。
些かどうして、良いではないか。
零からの始まりというのも。
阪井輔は疎らな顎髭を撫でながら、その建物を眺めた。
随分安価で手に入ったと思ったら、そういうことか。確かに、中は荒れ放題だ。
ついでに、近隣の工場に聞いて回ったら、どうやらここには「出る」らしい。
まったく、情報収集は大事だと、口酸っぱく聞かされ続けてきたというのに。
若い頃は小さな紡績工場の跡取りをしていた。
こちらへ渡って、既に数十年、漸く自分で工場を作ろうと思えるだけの蓄えと人脈を得たが、如何せん箱物を忘れていたようだ。
あちらにいた頃、ソレは既にあった物だから。
さて、物思いに耽っても仕方ない。
改めて、この煉瓦造りの工場跡の外観を見て回った。
広さも高さもそこそこあって、窓も多い。熱気が籠もりすぎることも、冷え込みすぎることもないだろう。
壁の煉瓦も目立った痛みは見当たらない。年季は感じるが、まだまだ何十年でもここに建っていてくれそうだ。
とんがり屋根が可愛すぎる気もするが、そこからの眺めはまあ気に入った。
煙突を見上げてその影を見下ろして。なかなかいい絵だ。
「おっと……危ないな、ここも直すか」
朽ちかけた手摺りを撫でて、中へ戻り梯子を下りる。
阪井はハンターオフィスへ連絡を取った。
●
「…………」
「…………」
最寄りの支部から野良猫のように裏道を抜け、やってきた案内人。工場の庭、水を止めて枯れた水路の傍らに佇んで工場を見上げる。
「いやぁ、私1人でできないことも無いと思っていたんだが」
「できなかったんですね」
「頼みますよ、軍手と、雑巾と、箒と塵取り。あと、入り用なものは何でも言ってくれて構わないから」
「さすがに。掃除用具を自前で装備しているハンターさんは少ないと思いますが」
人を雇うか、自力でやるか。捨てられた工場に残ったガラクタやホコリの掃除はそのつもりだった。
しかし、件の「出る」噂が災いしてか、人手はまったく集まらなかった。
縋る思いでハンターオフィスへ連絡を取り、某か出ると噂の工場の片付けと依頼したところ、巡り巡り、廃工場の歪虚退治だと支部の人間が寄越された。
「なんでそんな話になったかな……出るのは、ホコリくらいなんだけどねぇ」
「ですよねーっ」
誰か手伝ってくれるだろうか。
面白いガラクタがあるなんて言ったら、その趣味のハンターさんが……否否、夢中になられても、それは困る。
とにかく、
『お掃除して下さい! 廃工場の庭に集合!』
これで良し!
リプレイ本文
●
アイビーの絡む錆付く低い柵に囲まれた広い庭、枯れた水路と砂埃を被った煉瓦の建物。
ハンター達は、集められた庭からその建物を見上げた。
「お掃除とは、またえらく平和的でシュね」
シュマ・グラシア(ka1907)が首を傾げながら呟いた。
「布と軍手はあるか?」
フラヴィ・ボー(ka0698)が顔をタオルで覆い、軍手を嵌めた依頼主の阪井から、それと同じタオルと軍手を受け取る。シュマも同じ物を受け取るが、軍手の指が大分余っているようだ。
ところで、とフラヴィは阪井を呼び止めた。
「いったい何が出るって話なんだい?」
煉瓦造りの工場跡、寂れた様相は近寄りがたいが。噂を確かめずに飛び込むわけにもいかない。
「埃さ。中に入ったら分かるよ」
阪井はげんなりと肩を落とし、建物を一瞥した。
スノゥ(ka1519)は自前で用意したマスクを耳に掛けながら、軍手を受け取る。
「マスクは使い捨てのものを買って来ましたから大丈夫です。軍手は借りますねぇ」
やる気のあるハンターさんで嬉しいと阪井が目尻の皺を深くした。そしてバンダナで鼻と口を覆い、塵避けに水中眼鏡を掛けた志乃原・勇雅(ka1411)とミセリコルデ(ka2864)にも軍手を渡す。
「重装備だね」
「水中ならぬ埃中眼鏡です」
えっへん、と志乃原が胸を張った。
セレナ・デュヴァル(ka0206)が軍手を受け取り、指を握ったり開いたりして付け心地を確かめている。
大きな鍵で建物の門扉が開かれた。重い扉を開けると、中から靄のような埃が溢れ出す。
「それじゃ、みんなでお掃除しましょうねぇ~」
スノゥがそっとその場を離れようとした案内人の腕を捕まえる。阪井が案内人にタオルと軍手を差し出した。
●
ハンター達は舞い上がって膝下まで曇らせる埃の中に歩み入る。
「先ずは窓を開けるところからですね」
「開けられるところは全部開けますねぇ」
セレナとスノゥが壁に幾つもくりぬかれた煉瓦と、内開きの窓へ手を掛ける。錆と歪みで硬い窓を1つずつ開いていく。
「ようするにあれでしょ、ターゲットは人っていうそういうやつ」
普段は雑魔や歪虚、人外の敵を相手にしているから。ミセリは、窓に手を掛けて汚れたガラス越しの外を眺めて呟いた。
「そうだな、強敵だね」
隣の窓を開けたフラヴィが散らかる木切れや鉄屑を振り返り、その呟きに答えた。
志乃原が目線よりも少し高い窓を押す。その隣でシュマが窓に向かって手を伸ばしつま先立ちで震えている。阪井が慌てて踏み台を取りに走っていった。
一階の窓が全て開けられると、清浄な風が吹き込んで、埃を舞い上げながら吹き抜けていく。
籠もっていた空気が動き、建物の時間が流れ始めた。
ハンター達はそれぞれ運べそうなガラクタを外へ運び出すことにした。
「がんばりまっしょい!」
シュマが小さな手に溢れる程の木切れを抱えて走っていく。
その傍ら、阪井に手押し車を頼み、いくつかのガラクタを束ねていたフラヴィが1つの鉄屑に目を留めた。緩やかに湾曲し、両端が丸まっている。バランスの悪いヤジロベエのような格好で揺れる錆びた鉄。
「何かの部品か? これ、始めて見るな……」
そう思って拾った木切れも、よく見れば何等かの意図を見つけられそうな形に見えてくる。両端が折れているが、折れた辺りは磨かれている。以前は一体何の工場だったんだろう。
シュマの走る足音が聞こえた。いや、そうだな、掃除中だ……仕事が先決だ。気を確かに。よし。頭を振って、夢中になりかけたガラクタへの興味を振り払う。丁度阪井が手押し車を運んできた。
「遅くなってすまなかったね」
「いや、……先ずはこれを外へ」
手押し車がごろごろと音を立ててガラクタを運ぶ。明るい場所で見たそれは建物の陰りの中で見るそれとは違って見えた。
「何だろうね、これは」
「実に魅力的だ」
阪井も同じ鉄屑に興味を持ったらしい。丁度木切れを抱えて出てきたセレナも近付いてきた。だて眼鏡のフレームに手を添えながら手押し車に積まれた鉄屑を眺める。
「詳しいんだね」
「ああ、これは埃除けです――面白そうな物ですね……頂けませんか?」
「構わないが、何に使う物なんだろうな」
「ボクも初めて見るんだよ」
フラヴィとセレナと阪井が1つの鉄屑をつついて話し始めると、
「掃除のコツを知っていまシュか?」
シュマがひょこりと顔を覗かせた。
「……とにかく、物を捨てることでシュよ」
面目ないと頭を掻いて、阪井は建物へ走って行った。
セレナがその後を追った。
「面白いかは、別として……要るものって、ありますか?」
「そうだね。鉄屑は回収して貰える。木は、まあ干して、薪にでもしようかな」
「それくらいなら、できそうです」
セレナが足を止めて振り返る。
フラヴィがはにかんで肩を竦め、車のガラクタを下ろし、シュマと並んで戻ってきた。
入り口に近い方からと、ミセリとスノゥがガラクタに向かった。
「これは危ないな」
ミセリは積み上がったガラクタを崩れる前に箒の柄でつついて崩していく。そうして床に広がったものをスノゥが拾い集めて外へ運んでいった。
「埃たくさん舞ってますねぇ~」
「この中に、もしかしたら掘り出し物とか有るのかも知れないけど……」
分からなくて残念だと、粗方を崩し終えたミセリもガラクタを抱えて運ぶ。
「私はこういうものにはあまり興味がないですねぇ」
スノゥがガラクタを1つ取って首を傾げた。
「もふもふが好きですねぇ~」
好きな物を思い浮かべているらしい柔らかな笑顔と、変わらない手付きでスノウは周囲に散らかったガラクタを片付けていった。
志乃原も2人の横でガラクタを抱えては外へと運び出していく。小さい物は1人で抱えていたが。一抱えよりも大きな木板は運べそうにない。
「これは、1人では無理かも知れないです」
ミセリがその声に振り返って歩み寄り片側を掴んだ。
「落とすと、大変です」
「はい……じゃあ、いち、に、いち、に、で」
声を掛け合いながらミセリと志乃原が運んでいく。
大きな木の板は思った以上に重く、かけ声を掛けても脚が縺れそうになる。転ばないように、落とさないようにと気をつけながらゆっくり運び出していく。
スノウの手も少し大きな木切れに触れた。鉄が打ってあり少々嵩張り重そうだ。
見回すと丁度、鉄屑のバネに夢中になっている案内人が見つかった。
「こっちも重たいですねぇ」
不意の声に驚く案内人に朗らかな笑顔を向けながら、スノゥも声を掛け合って運び出していく。
最後に残った欠片や大きな木切れ、重たい鉄屑を手押し車に乗せて、支えながら運び出す。建物の中に散らかっていたガラクタが退いて、しかし、変わらず埃塗れの床が表れた。
●
ガラクタの山を鉄と木に分けながら、セレナは肩越しに建物を振り返った。
「これだけ運んでも、まだすごい埃ですね……」
正面に積んだガラクタの山はどれだけ分けても減る様子が見えない。その山をこれはこっち、あっちと手際よく分けていく。
「これも要りませんね。ああ、これも必要なさそうです」
手に取った鉄屑を放る、かしゃん、と音を立てて積み重なるそれ。改めて冷静に見れば、必要そうなものは1つも見付からなかった。
志乃原が抱えられるように箒を持って建物の1階の奥へ進むフラヴィも箒を担いで進んでいく。
「ボク、背が小さいので高い所はできれば背の高い人にお願いしたいんですけど……」
志乃原が頭1つ分見上げるフラヴィは箒を手に壁へ視線を向ける。隅や隙間に埃が張り付いていた。
「掃除は上から下へ、奥から手前へやるのがいいんだっけ」
2階の一番上へは誰かが向かっていたようだから、この壁の埃を奥から掃き出していこうか。箒の柄を長く持って穂先を上へ伸ばすと、2階の床との境を掠める程度届いた。
「届きそうだね。ここはボクがやるよ」
一端箒を下ろしてタオルを括り直す。舞い散る埃は確り防ぎ、ばさばさと音を立てて。隙間のしつこく張り付いた埃は、届く限りをブラシで掻き出し、掃き集めていく。
「一応、届く範囲で手伝いますんで!」
一歩進むと、志乃原が彼の頭の高さから足下までを同じように箒で叩き、隙間の埃を掻き出していった。
煉瓦を乾し草が擦る軽い音がリズミカルに続く。奥から時計回りに、戻って今度は反対側を、階段の隙間に気を付けながら掃いていく。
額の汗を拭うと、拭った手の甲まで真っ黒になる程埃にまみれていたらしい。
シュマは箒を手に建物の中を見回した。
「壁は届かないでシュね、2階の床を掃いてきましょう」
「私も2階へ行きますねぇ~。上からの方が効率も良さそうですし、床は最後にみんなでしましょう」
スノゥも箒を手に階段を上る。
風で閉じていた窓を開け直しながら、一通りを見回る。二階にはガラクタの類いもなさそうだが、埃はたっぷり積もっている。
「窓がシュマにはちょっと高いでシュね」
「窓なら私でも届きますよぉ。他にも閉じていたら、言って下さいね」
「シュ! シュマは高いところは届かないでシュ」
「そうですねぇ……」
箒の柄を一杯に伸ばすとその先が危なっかしく壁の境を掠めた。
「無理はやめておきますねぇ……壁は私が届くところを頑張りますよぉ」
言葉を交わしながらも手際よく進めていく。壁から床へ、床を掃き進んで溜まってきたら、纏めて運び下ろして外へ。何度か繰り返している内に壁の煉瓦は色味が深まったように床も木目が蘇ったように見違えてきた。
ミセリは脚立を担いで二階へ昇った。
「ここ、置いても良いかな」
先に始めていた2人へ声を掛けながら据えた脚立に上り、箒を天井へと伸ばす。
ばさばさと穂先を振るう度、埃と蜘蛛の巣が吹き抜けから1階へ雪のように舞い落ちていった。
何カ所かへ脚立を移しながら、尖り屋根の天井に沿って煉瓦を叩き、この高さまで舞い上がり、張り付いた埃を剥ぎ落としていく。
一通り埃を落としきると、少し痛んだ梯子を上って屋根へ出た。
高いところはいい。傾き始めた日差しに目を細めて呟く。見晴らしも良いし、狙撃もしやすいし。けれど、と揺れる手摺りを掴み軋んだ足場の床板を見下ろした。そこへひょっこりと阪井が顔を出した。
頑張ってくれているなか申し訳ないが、と頭を掻いて、
「年の所為かついて行けなくて」
半分以上が白い無精髭の顎を撫でた。
「そこの梯子、少し痛んでいたみたいだよ。……ここの床と手摺り程じゃないけど」
阪井が隣へ上ってきた。
「少し危ないと思う……他は大丈夫だったみたいだけど」
「見てくれたのか、助かるよ」
「どういたしまして」
戻ろうかな、と、振り返ると今度はフラヴィが顔を出していた。
「ここにいたんだね」
「フラヴィも景色を見に来たの?」
フラヴィが頷きながら床板と手摺りに触れる。それは少し力を掛けると軋み危なっかしく揺れた。
「随分脆そうだな……廃材で、簡単にで良ければ直すけど」
「そうか!」
阪井が声を上げてポケットを探った。ここは直そうと思っていたんだ、と新しい釘を差し出した。
志乃原はバケツに牛乳と水を混ぜて二階へ運ぶ。ワックス代わりのそれに雑巾を浸して絞り、掃き掃除の終わった床を磨き始めた。
薄く残った埃も拭き取れば静まり、磨かれた床は乾けば艶を取り戻してく。
ミセリが脚立を抱えて一階へ、フラヴィが木材を抱えて屋根へ、拭き立ての床を避けながら慎重に歩いて行った。
フラヴィとすれ違いに降りてきた阪井は屈む志乃原に慌て、転びそうに足を引っ込めた。
「大変だろう、そこまでして貰わなくても大丈夫ですよ」
「せめてフローリングの場所ぐらいはキレイにしときたい、と思いまして」
ありがとうと埃を拭った手で志乃原の肩を叩いて阪井は階段を降りていった。
上からカンカンと金鎚の音が聞こえる。
吹き抜けを見下ろすと、シュマとスノゥが1階の床を掃いている。分別を終えたセレナが背伸びをしながら箒を手に中へ戻り、脚立を置いたミセリも箒を抱えて加わった。
床磨きはもう少し。
積もった埃を掃き出していると、舞い上がったそれがマスクの隙間から潜り込む。くしゅん、と軽くくしゃみを1つ、スノゥは建物の外へ逃れた。
あと少しですねぇ、と新鮮な空気で深呼吸をして、ふと目をやると倉庫がまだ手つかずで残っていた。そして、何をしたのか埃塗れになった案内人が日陰に座り込んでいた。
「私と倉庫のお掃除しましょうねぇ」
声を掛けて倉庫の扉を開いたが、とても2人では敵いそうに無いホコリが溢れてきた。
「大変ですねぇ……」
皆さんも呼んできましょう、とスノゥは建物へ戻る。
空の色を変え始めた横からの日差しが眩しい。綺麗な工場に生まれ変わると良いけれど、これでは掃き掃除で一日が終わってしまいそうだ。
床の埃を粗方掃き出したシュマとセレナが倉庫へ向かう。
屋根で修理をしていたフラヴィが後で手伝うと声を掛けた。
志乃原は踏み台と乾いた雑巾とバケツを抱え建物に戻り、ミセリも窓拭きに残った。
生乾き程度に湿らせた雑巾で窓を拭う。踏み台の上で背伸びをしながら1枚を拭き上げる。
「こうすれば窓を湿らさずに汚れだけ落とせるって、おじいちゃんから聞きました」
「それはいい考えだね……ミセリ、外側を拭いてくるね。間に合うと間に合うと良いけど」
「はい、頑張ります」
ミセリも踏み台を運び外側の窓を拭う。水中眼鏡を上げると晴れる視界に、埃の中で戦ってきたと思い知った。窓を拭きながら建物を眺めても、痛んでいるところが見付からなかった。
倉庫近くの窓に近付くと、水中眼鏡を元に戻す。
窓の小さい倉庫に溜まった埃との戦いは、とても厳しそうだと、聞こえる声が語っていた。
志乃原が窓の内側を拭ききって外へ出ると、4人とも埃塗れになっていた。埃の量や状態を予想していたらしいスノゥは比較的軽傷だが、白い肌の埃を拭って憔悴している。
「手強い埃でしたぁ……」
しかし、それでも倉庫の中の埃は大半が掃き出され、床と壁が元の色を取り戻していた。
●
終わった、と誰からと無く声を掛けて、最後に残した入り口回りを掃き清める。
「休みませんか?」
セレナが鉄屑と木切れの小山の影に座りジュースの瓶を揺らす。
装備を解いて、それぞれに顔や手を拭っていたハンター達が集まってくる。
濡らしたタオルを絞って配りながら、阪井もいいね、と目を細めた。
「……輔さん、これはどう食べるものなのですか…?」
急な支度で不揃いのコップを配った阪井に、セレナが声を掛けた。これ、と示されたのはカップラーメン。阪井は驚いてまじまじとそれを見詰めた。
「おや、こちらにもあるんだね……久々に見たよ」
日が落ちて涼しい風が吹き抜けていく。
ハンター達は一日を掛けて無事に工場の掃除をやり遂げた。
ジュースで乾杯!
アイビーの絡む錆付く低い柵に囲まれた広い庭、枯れた水路と砂埃を被った煉瓦の建物。
ハンター達は、集められた庭からその建物を見上げた。
「お掃除とは、またえらく平和的でシュね」
シュマ・グラシア(ka1907)が首を傾げながら呟いた。
「布と軍手はあるか?」
フラヴィ・ボー(ka0698)が顔をタオルで覆い、軍手を嵌めた依頼主の阪井から、それと同じタオルと軍手を受け取る。シュマも同じ物を受け取るが、軍手の指が大分余っているようだ。
ところで、とフラヴィは阪井を呼び止めた。
「いったい何が出るって話なんだい?」
煉瓦造りの工場跡、寂れた様相は近寄りがたいが。噂を確かめずに飛び込むわけにもいかない。
「埃さ。中に入ったら分かるよ」
阪井はげんなりと肩を落とし、建物を一瞥した。
スノゥ(ka1519)は自前で用意したマスクを耳に掛けながら、軍手を受け取る。
「マスクは使い捨てのものを買って来ましたから大丈夫です。軍手は借りますねぇ」
やる気のあるハンターさんで嬉しいと阪井が目尻の皺を深くした。そしてバンダナで鼻と口を覆い、塵避けに水中眼鏡を掛けた志乃原・勇雅(ka1411)とミセリコルデ(ka2864)にも軍手を渡す。
「重装備だね」
「水中ならぬ埃中眼鏡です」
えっへん、と志乃原が胸を張った。
セレナ・デュヴァル(ka0206)が軍手を受け取り、指を握ったり開いたりして付け心地を確かめている。
大きな鍵で建物の門扉が開かれた。重い扉を開けると、中から靄のような埃が溢れ出す。
「それじゃ、みんなでお掃除しましょうねぇ~」
スノゥがそっとその場を離れようとした案内人の腕を捕まえる。阪井が案内人にタオルと軍手を差し出した。
●
ハンター達は舞い上がって膝下まで曇らせる埃の中に歩み入る。
「先ずは窓を開けるところからですね」
「開けられるところは全部開けますねぇ」
セレナとスノゥが壁に幾つもくりぬかれた煉瓦と、内開きの窓へ手を掛ける。錆と歪みで硬い窓を1つずつ開いていく。
「ようするにあれでしょ、ターゲットは人っていうそういうやつ」
普段は雑魔や歪虚、人外の敵を相手にしているから。ミセリは、窓に手を掛けて汚れたガラス越しの外を眺めて呟いた。
「そうだな、強敵だね」
隣の窓を開けたフラヴィが散らかる木切れや鉄屑を振り返り、その呟きに答えた。
志乃原が目線よりも少し高い窓を押す。その隣でシュマが窓に向かって手を伸ばしつま先立ちで震えている。阪井が慌てて踏み台を取りに走っていった。
一階の窓が全て開けられると、清浄な風が吹き込んで、埃を舞い上げながら吹き抜けていく。
籠もっていた空気が動き、建物の時間が流れ始めた。
ハンター達はそれぞれ運べそうなガラクタを外へ運び出すことにした。
「がんばりまっしょい!」
シュマが小さな手に溢れる程の木切れを抱えて走っていく。
その傍ら、阪井に手押し車を頼み、いくつかのガラクタを束ねていたフラヴィが1つの鉄屑に目を留めた。緩やかに湾曲し、両端が丸まっている。バランスの悪いヤジロベエのような格好で揺れる錆びた鉄。
「何かの部品か? これ、始めて見るな……」
そう思って拾った木切れも、よく見れば何等かの意図を見つけられそうな形に見えてくる。両端が折れているが、折れた辺りは磨かれている。以前は一体何の工場だったんだろう。
シュマの走る足音が聞こえた。いや、そうだな、掃除中だ……仕事が先決だ。気を確かに。よし。頭を振って、夢中になりかけたガラクタへの興味を振り払う。丁度阪井が手押し車を運んできた。
「遅くなってすまなかったね」
「いや、……先ずはこれを外へ」
手押し車がごろごろと音を立ててガラクタを運ぶ。明るい場所で見たそれは建物の陰りの中で見るそれとは違って見えた。
「何だろうね、これは」
「実に魅力的だ」
阪井も同じ鉄屑に興味を持ったらしい。丁度木切れを抱えて出てきたセレナも近付いてきた。だて眼鏡のフレームに手を添えながら手押し車に積まれた鉄屑を眺める。
「詳しいんだね」
「ああ、これは埃除けです――面白そうな物ですね……頂けませんか?」
「構わないが、何に使う物なんだろうな」
「ボクも初めて見るんだよ」
フラヴィとセレナと阪井が1つの鉄屑をつついて話し始めると、
「掃除のコツを知っていまシュか?」
シュマがひょこりと顔を覗かせた。
「……とにかく、物を捨てることでシュよ」
面目ないと頭を掻いて、阪井は建物へ走って行った。
セレナがその後を追った。
「面白いかは、別として……要るものって、ありますか?」
「そうだね。鉄屑は回収して貰える。木は、まあ干して、薪にでもしようかな」
「それくらいなら、できそうです」
セレナが足を止めて振り返る。
フラヴィがはにかんで肩を竦め、車のガラクタを下ろし、シュマと並んで戻ってきた。
入り口に近い方からと、ミセリとスノゥがガラクタに向かった。
「これは危ないな」
ミセリは積み上がったガラクタを崩れる前に箒の柄でつついて崩していく。そうして床に広がったものをスノゥが拾い集めて外へ運んでいった。
「埃たくさん舞ってますねぇ~」
「この中に、もしかしたら掘り出し物とか有るのかも知れないけど……」
分からなくて残念だと、粗方を崩し終えたミセリもガラクタを抱えて運ぶ。
「私はこういうものにはあまり興味がないですねぇ」
スノゥがガラクタを1つ取って首を傾げた。
「もふもふが好きですねぇ~」
好きな物を思い浮かべているらしい柔らかな笑顔と、変わらない手付きでスノウは周囲に散らかったガラクタを片付けていった。
志乃原も2人の横でガラクタを抱えては外へと運び出していく。小さい物は1人で抱えていたが。一抱えよりも大きな木板は運べそうにない。
「これは、1人では無理かも知れないです」
ミセリがその声に振り返って歩み寄り片側を掴んだ。
「落とすと、大変です」
「はい……じゃあ、いち、に、いち、に、で」
声を掛け合いながらミセリと志乃原が運んでいく。
大きな木の板は思った以上に重く、かけ声を掛けても脚が縺れそうになる。転ばないように、落とさないようにと気をつけながらゆっくり運び出していく。
スノウの手も少し大きな木切れに触れた。鉄が打ってあり少々嵩張り重そうだ。
見回すと丁度、鉄屑のバネに夢中になっている案内人が見つかった。
「こっちも重たいですねぇ」
不意の声に驚く案内人に朗らかな笑顔を向けながら、スノゥも声を掛け合って運び出していく。
最後に残った欠片や大きな木切れ、重たい鉄屑を手押し車に乗せて、支えながら運び出す。建物の中に散らかっていたガラクタが退いて、しかし、変わらず埃塗れの床が表れた。
●
ガラクタの山を鉄と木に分けながら、セレナは肩越しに建物を振り返った。
「これだけ運んでも、まだすごい埃ですね……」
正面に積んだガラクタの山はどれだけ分けても減る様子が見えない。その山をこれはこっち、あっちと手際よく分けていく。
「これも要りませんね。ああ、これも必要なさそうです」
手に取った鉄屑を放る、かしゃん、と音を立てて積み重なるそれ。改めて冷静に見れば、必要そうなものは1つも見付からなかった。
志乃原が抱えられるように箒を持って建物の1階の奥へ進むフラヴィも箒を担いで進んでいく。
「ボク、背が小さいので高い所はできれば背の高い人にお願いしたいんですけど……」
志乃原が頭1つ分見上げるフラヴィは箒を手に壁へ視線を向ける。隅や隙間に埃が張り付いていた。
「掃除は上から下へ、奥から手前へやるのがいいんだっけ」
2階の一番上へは誰かが向かっていたようだから、この壁の埃を奥から掃き出していこうか。箒の柄を長く持って穂先を上へ伸ばすと、2階の床との境を掠める程度届いた。
「届きそうだね。ここはボクがやるよ」
一端箒を下ろしてタオルを括り直す。舞い散る埃は確り防ぎ、ばさばさと音を立てて。隙間のしつこく張り付いた埃は、届く限りをブラシで掻き出し、掃き集めていく。
「一応、届く範囲で手伝いますんで!」
一歩進むと、志乃原が彼の頭の高さから足下までを同じように箒で叩き、隙間の埃を掻き出していった。
煉瓦を乾し草が擦る軽い音がリズミカルに続く。奥から時計回りに、戻って今度は反対側を、階段の隙間に気を付けながら掃いていく。
額の汗を拭うと、拭った手の甲まで真っ黒になる程埃にまみれていたらしい。
シュマは箒を手に建物の中を見回した。
「壁は届かないでシュね、2階の床を掃いてきましょう」
「私も2階へ行きますねぇ~。上からの方が効率も良さそうですし、床は最後にみんなでしましょう」
スノゥも箒を手に階段を上る。
風で閉じていた窓を開け直しながら、一通りを見回る。二階にはガラクタの類いもなさそうだが、埃はたっぷり積もっている。
「窓がシュマにはちょっと高いでシュね」
「窓なら私でも届きますよぉ。他にも閉じていたら、言って下さいね」
「シュ! シュマは高いところは届かないでシュ」
「そうですねぇ……」
箒の柄を一杯に伸ばすとその先が危なっかしく壁の境を掠めた。
「無理はやめておきますねぇ……壁は私が届くところを頑張りますよぉ」
言葉を交わしながらも手際よく進めていく。壁から床へ、床を掃き進んで溜まってきたら、纏めて運び下ろして外へ。何度か繰り返している内に壁の煉瓦は色味が深まったように床も木目が蘇ったように見違えてきた。
ミセリは脚立を担いで二階へ昇った。
「ここ、置いても良いかな」
先に始めていた2人へ声を掛けながら据えた脚立に上り、箒を天井へと伸ばす。
ばさばさと穂先を振るう度、埃と蜘蛛の巣が吹き抜けから1階へ雪のように舞い落ちていった。
何カ所かへ脚立を移しながら、尖り屋根の天井に沿って煉瓦を叩き、この高さまで舞い上がり、張り付いた埃を剥ぎ落としていく。
一通り埃を落としきると、少し痛んだ梯子を上って屋根へ出た。
高いところはいい。傾き始めた日差しに目を細めて呟く。見晴らしも良いし、狙撃もしやすいし。けれど、と揺れる手摺りを掴み軋んだ足場の床板を見下ろした。そこへひょっこりと阪井が顔を出した。
頑張ってくれているなか申し訳ないが、と頭を掻いて、
「年の所為かついて行けなくて」
半分以上が白い無精髭の顎を撫でた。
「そこの梯子、少し痛んでいたみたいだよ。……ここの床と手摺り程じゃないけど」
阪井が隣へ上ってきた。
「少し危ないと思う……他は大丈夫だったみたいだけど」
「見てくれたのか、助かるよ」
「どういたしまして」
戻ろうかな、と、振り返ると今度はフラヴィが顔を出していた。
「ここにいたんだね」
「フラヴィも景色を見に来たの?」
フラヴィが頷きながら床板と手摺りに触れる。それは少し力を掛けると軋み危なっかしく揺れた。
「随分脆そうだな……廃材で、簡単にで良ければ直すけど」
「そうか!」
阪井が声を上げてポケットを探った。ここは直そうと思っていたんだ、と新しい釘を差し出した。
志乃原はバケツに牛乳と水を混ぜて二階へ運ぶ。ワックス代わりのそれに雑巾を浸して絞り、掃き掃除の終わった床を磨き始めた。
薄く残った埃も拭き取れば静まり、磨かれた床は乾けば艶を取り戻してく。
ミセリが脚立を抱えて一階へ、フラヴィが木材を抱えて屋根へ、拭き立ての床を避けながら慎重に歩いて行った。
フラヴィとすれ違いに降りてきた阪井は屈む志乃原に慌て、転びそうに足を引っ込めた。
「大変だろう、そこまでして貰わなくても大丈夫ですよ」
「せめてフローリングの場所ぐらいはキレイにしときたい、と思いまして」
ありがとうと埃を拭った手で志乃原の肩を叩いて阪井は階段を降りていった。
上からカンカンと金鎚の音が聞こえる。
吹き抜けを見下ろすと、シュマとスノゥが1階の床を掃いている。分別を終えたセレナが背伸びをしながら箒を手に中へ戻り、脚立を置いたミセリも箒を抱えて加わった。
床磨きはもう少し。
積もった埃を掃き出していると、舞い上がったそれがマスクの隙間から潜り込む。くしゅん、と軽くくしゃみを1つ、スノゥは建物の外へ逃れた。
あと少しですねぇ、と新鮮な空気で深呼吸をして、ふと目をやると倉庫がまだ手つかずで残っていた。そして、何をしたのか埃塗れになった案内人が日陰に座り込んでいた。
「私と倉庫のお掃除しましょうねぇ」
声を掛けて倉庫の扉を開いたが、とても2人では敵いそうに無いホコリが溢れてきた。
「大変ですねぇ……」
皆さんも呼んできましょう、とスノゥは建物へ戻る。
空の色を変え始めた横からの日差しが眩しい。綺麗な工場に生まれ変わると良いけれど、これでは掃き掃除で一日が終わってしまいそうだ。
床の埃を粗方掃き出したシュマとセレナが倉庫へ向かう。
屋根で修理をしていたフラヴィが後で手伝うと声を掛けた。
志乃原は踏み台と乾いた雑巾とバケツを抱え建物に戻り、ミセリも窓拭きに残った。
生乾き程度に湿らせた雑巾で窓を拭う。踏み台の上で背伸びをしながら1枚を拭き上げる。
「こうすれば窓を湿らさずに汚れだけ落とせるって、おじいちゃんから聞きました」
「それはいい考えだね……ミセリ、外側を拭いてくるね。間に合うと間に合うと良いけど」
「はい、頑張ります」
ミセリも踏み台を運び外側の窓を拭う。水中眼鏡を上げると晴れる視界に、埃の中で戦ってきたと思い知った。窓を拭きながら建物を眺めても、痛んでいるところが見付からなかった。
倉庫近くの窓に近付くと、水中眼鏡を元に戻す。
窓の小さい倉庫に溜まった埃との戦いは、とても厳しそうだと、聞こえる声が語っていた。
志乃原が窓の内側を拭ききって外へ出ると、4人とも埃塗れになっていた。埃の量や状態を予想していたらしいスノゥは比較的軽傷だが、白い肌の埃を拭って憔悴している。
「手強い埃でしたぁ……」
しかし、それでも倉庫の中の埃は大半が掃き出され、床と壁が元の色を取り戻していた。
●
終わった、と誰からと無く声を掛けて、最後に残した入り口回りを掃き清める。
「休みませんか?」
セレナが鉄屑と木切れの小山の影に座りジュースの瓶を揺らす。
装備を解いて、それぞれに顔や手を拭っていたハンター達が集まってくる。
濡らしたタオルを絞って配りながら、阪井もいいね、と目を細めた。
「……輔さん、これはどう食べるものなのですか…?」
急な支度で不揃いのコップを配った阪井に、セレナが声を掛けた。これ、と示されたのはカップラーメン。阪井は驚いてまじまじとそれを見詰めた。
「おや、こちらにもあるんだね……久々に見たよ」
日が落ちて涼しい風が吹き抜けていく。
ハンター達は一日を掛けて無事に工場の掃除をやり遂げた。
ジュースで乾杯!
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 シュマ・グラシア(ka1907) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2014/09/07 22:02:51 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/02 23:50:52 |