ゲスト
(ka0000)
真夏の海はハンター達のもの!
マスター:星群彩佳

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 8日
- 締切
- 2016/07/30 19:00
- 完成日
- 2016/08/13 04:12
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「んーっ! 今年の夏は暑くなるのが早かったから、海で遊ぶには充分だったわね♪」
ルサリィ・ウィクトーリア(kz0133)はピンク色のビキニを着ており、濡れた体を眩しい太陽の光に当てて満足そうな笑みを浮かべている。
「昨年ハンターの皆様に調査がてら実際にここで遊んでもらいまして、安全性は確認できましたしね」
フェイト・アルテミス(kz0134)は黒い生地に白い花柄のワンピース水着を着ており、自身が濡れていても主のルサリィに先にタオルを渡す。
昨年のシナリオ名・【プライベートビーチはキミ達のもの!(昼)】の件で、ハンター達は調査として実際にここで過ごしたのだ。
安全性が確認できたおかげで、今年も無事に海開きができた。
たまたま時間ができたルサリィはフェイト達使用人を数人連れて、遊びに来ている。
「今年もハンター達に無料提供しようかしら? いつもお世話になっていることだし、のんびりプライベートビーチで過ごしてもらえたら嬉しいんだけど」
「それは良いお考えですね。ここはプライベートビーチなだけに関係者以外の人目を気にする必要はありませんし、過ごし方もたくさんありますから」
昨年のハンター達はビーチパラソルの下で読書をしたり、ビーチで肌を焼いたり、スイカ割りをしたり、海で遊んだり、猟をしたり、ビーチバレーをしたり、海鮮バーベキューをしたりと、かなーり満喫したのだ。
「必要な物は前もってウチで用意しておけば良いし、命の洗濯は必要よね」
「では早速、お声をかけに行きましょうか」
ルサリィ・ウィクトーリア(kz0133)はピンク色のビキニを着ており、濡れた体を眩しい太陽の光に当てて満足そうな笑みを浮かべている。
「昨年ハンターの皆様に調査がてら実際にここで遊んでもらいまして、安全性は確認できましたしね」
フェイト・アルテミス(kz0134)は黒い生地に白い花柄のワンピース水着を着ており、自身が濡れていても主のルサリィに先にタオルを渡す。
昨年のシナリオ名・【プライベートビーチはキミ達のもの!(昼)】の件で、ハンター達は調査として実際にここで過ごしたのだ。
安全性が確認できたおかげで、今年も無事に海開きができた。
たまたま時間ができたルサリィはフェイト達使用人を数人連れて、遊びに来ている。
「今年もハンター達に無料提供しようかしら? いつもお世話になっていることだし、のんびりプライベートビーチで過ごしてもらえたら嬉しいんだけど」
「それは良いお考えですね。ここはプライベートビーチなだけに関係者以外の人目を気にする必要はありませんし、過ごし方もたくさんありますから」
昨年のハンター達はビーチパラソルの下で読書をしたり、ビーチで肌を焼いたり、スイカ割りをしたり、海で遊んだり、猟をしたり、ビーチバレーをしたり、海鮮バーベキューをしたりと、かなーり満喫したのだ。
「必要な物は前もってウチで用意しておけば良いし、命の洗濯は必要よね」
「では早速、お声をかけに行きましょうか」
リプレイ本文
トランクス水着に着替えた守原 有希弥(ka0562)と守原 有希遥(ka4729)は、ビキニ水着に着替えた守原 由有(ka2577)と並び、海を見て眼を輝かせる。
「海だっー! まずは泳ぐぜ!」
「その後はカヌーで遊ぼうか。せっかく用意してもらったしね」
「更にその後は、ビーチバレーやビーチフラッグスで遊ぶわよ!」
三人は遊ぶ気満々だったが、ふと有希弥は何かを思い出して、有希遥の方に視線を向けた。
「ハル、海には食材を獲りに行かないと。うちら、海の家をやるんだし」
「あんまり遊びすぎると、後で料理を作れなくなるな。となると、中止するのは……」
双子の兄弟の視線が、自然と従姉へ向けられる。
「んなっ!? そっそんなのちょっと遊ぶ時間を減らしていけばいいことでしょう? せっかくナイスバディの美人のおねーさんが一緒に遊んであげるんだから、気をつかいなさいよ!」
そう言いながら由有が豊満なバストを揺らして見せるも、二人は何も言わず視線を海へ戻す。
「そんじゃあ時間が勿体ないし、早速海に入るぞ!」
「その前に準備運動しないとな」
「ちょっ……何か言いなさいよー!」
と、騒ぎつつも三人は海遊びを楽しんだ。
その後、三人はビーチに置いてある水のシャワーを浴びて、有希弥と有希遥はエプロンを着ける。
「この海にカメノテがあって、良かったぜ。出汁にすると美味いんだよなぁ。出汁を基本にした料理を作れる」
「でもウィクトーリア家は、言えば何でも用意してくれるんだね。まさか海の家を建ててくれるとは、思わなかったよ」
双子が料理をいろいろ作りたいと希望を出したところ、ビーチに野外用の調理器具付きの大きな海の家を建ててくれたのだ。
海の家の木の看板や、二人が身に付けている白のエプロンには、『守原屋』と達筆な黒い文字が書かれている。
「材料も良いものをたっくさん用意してくれたな。うちはとりあえずカメノテの出汁を使ったソース焼きそばに、もつ鍋はしょうゆと味噌の二種類の味を用意して、しめは雑炊・ちゃんぽん・ラーメンを選んでもらって、後はご飯と味噌汁は各自が自由に選び取るようにするかな。金を払うことはないから、好きにさせるというのもアリやね」
「うちもリアルブルーにいた頃に作ったことのあるロコモコにシルパンチョ、チャウダーとトマトのスープ、さっき海で獲ってきた魚介類で海鮮バーベキュー、刺身に煮魚も良いな。もし客達が『獲ってきたものを料理してほしい』と持ち込んできたら、手が空いている方が担当するってことで……」
「ちょっと待ったぁ! あんた達、甘い食べ物や飲み物がないじゃない!」
客席に座る由有は不満そうに、テーブルを両手のひらでバンバンッと叩く。
「暑い中、めいっぱい動いた後に食べる冷たく甘い物は格別なの! 少しは女心を察しなさいよ!」
すると有希弥はムスッとしながら、由有を睨み付ける。
「料理しないクセに、態度がデカいな!」
「何おうっ! あっ、もしかしてビーチバレーであたしがボールを有希弥の顔面に当てちゃったことや、ビーチフラッグスではあたしが旗を取って、あんた達が負けちゃったことを恨んでいるの? だったらゴメンなさいねぇ、運動神経が良過ぎて」
「ドヤ顔で謝られても、ムカつくだけだ!」
「まあまあ。有希弥、落ち着いて。由有、うちが水出しコーヒーとフルーツパンケーキを作るから、それで我慢してな」
「なら話は別よ♪ 待っているから、早くね!」
途端に満面の笑みになる従姉の姿を見て、二人は背を向けるとほぼ同時に重いため息を吐いた。
海の家・『守原屋』から騒がしい声と音が聞こえてくる中、青のビキニ水着とパレオを身に付けて、赤のリボンでポニーテールにしたステラ・フォーク(ka0808)が海を見て感動している。
「本当に美しい海ですわね。さて、何をして遊びま……」
ステラは振り返り、共に参加している炎のゆめへ歌うもの(ka6278)の姿を見て絶句した。
「ビーチで水着になるとか、風邪ひけるのぜ……。っくしゅん! ……あー、ここの夏はかなり寒いね。炎の近くにいつもいるから、このぐらいの気温では水着姿になれないな」
炎のゆめへ歌うものは水着の上に、パーカーとショートパンツを着ている。見た目的にはかなり暑苦しいのだが、本人は寒そうにガタガタと震えていた。
「え~っと、それではビーチで砂遊びをするのはどうかしら? 私、道具を借りてきますわよ」
「まあ、それなら……」
ステラは砂遊びの道具を借りてくると、炎のゆめへ歌うものと一緒に砂でいろいろ作っていく。
「オレは自分より、大きな砂の城を作るのぜ! ステラ君、一緒に頑張ろう!」
「ステキですわ♪ もちろん、喜んで手伝いますよ」
二人はキャッキャッとはしゃぎながら、一メートル六十センチもある砂の城を完成させた。
「炎さん、素晴らしいお城が完成しましたよ!」
「うむ、達成感と満足感のおかげで、何だか気分が良くなってきたな。ステラ君、海で泳ごうか」
言うが早いか、炎のゆめへ歌うものは真っ赤なビキニ水着姿になる。
「まあ! 炎さんの水着姿、とっても素敵ですの♪」
「ステラ君もその水着、良く似合っているよ。オレは浮き輪を二つ借りてくるから、準備運動をしておくんだ」
そして炎のゆめへ歌うものが借りてきた二つの浮き輪に体を通して、二人は海に入った。
「海の中にある貝殻、綺麗ですわね。こんなふうに海の上に浮かべるなんて、楽しいですわ」
「魚も……美味そうだ」
炎のゆめへ歌うものは思わず魚へ手を伸ばしたものの、海の中でペチッと尻尾で叩かれたことに驚き、慌てて手を引く。
すると水飛沫が上がり、ステラの顔に少しかかる。
「きゃあっ! んもう、炎さんったら……。お返しです!」
「冷たっ! ……わざとじゃなかったのに。お返しのお返し!」
こうして二人は浮き輪にのりながら、バシャバシャと楽しげに水をかけ合った。
ビーチで水着のヒップ・ボーンに着替えた久延毘 大二郎(ka1771)は、タンキニ・フラワーレースに着替えた八雲 奏(ka4074)の姿を見て、顔を赤く染めてモジモジする。
「その、いつも奏に言っている言葉だが……、とても綺麗だ。水着姿が眩しく映る」
「うふふ♪ ありがとうございます、毘古ちゃん。今年の水着は、可愛らしいものを選んだんですよ。毘古ちゃんと婚約したんですから、露出の激しい衣装はこれから控えようと思いまして」
奏の言葉で、大二郎はふと表情を曇らせた。
「――そうだな。ここにはハンター仲間しかいないから良いものの、一般の海へ遊びに行くのは少々不安があるんだ。君に危害を加えようとする者が、現れるんじゃないかと思ってな」
「……ナンパではなく、加害者が現れるんですか? まあどちらにしろ、現れたら瞬殺しますけどね」
ブツブツと呟いている大二郎を奏は眼を細めて見つめながら、聞こえぬように口の中で呟く。しかしため息をつくと、ニコッと満面の笑みを浮かべる。
「では不審者が近付いて来たら、毘古ちゃん、私を守ってくださいね」
「ああ、もちろん。奏のことはいつだって私が……うわあっ!?」
大二郎が最後まで言う前に、奏が突然抱き着いてきた。そして間近で大二郎を見上げる。
「毘古ちゃん、何だか私から視線をそらしていませんか?」
笑顔の奏だが、言い逃れを許さない空気を出していた。
大二郎はアタフタしながらも、動揺を隠すように震える手でメガネの位置を直す。
「えっと……それは、だな。……奏と海へ来るのははじめてではないものの、水着姿は見慣れなくて、つい……」
「私だって、本当は水着姿になるのはスッゴク恥ずかしいんですよ? ……でも本当は二人の心の距離が前より近くなったからこそ、余計に照れてしまうのかもしれません。けれどそのぐらい、お互いが大好きってことですね♪」
「そう……だな。来年は夫婦として、海に来られると良いな」
大二郎は柔らかく微笑むと、奏をお姫様抱っこする。
突然の大二郎の行動に奏は驚いたものの、すぐに嬉しそうな表情を浮かべた。
「それでは私の未来の旦那様、それまでに私の水着姿を見慣れてください。私も結婚する条件を、見事にクリアしてみせますから!」
「ああ、お互いに努力しよう」
奏は大二郎に密着すると、頬に誓いのキスをする。
白いレース付きのビキニ水着を着ている遠藤・恵(ka3940)は、黒のハイネックワンピース水着を着ている玉兎 小夜(ka6009)とビーチで追いかけっこをしていた。
「小夜さぁん、待ってぇ♪」
「恵さぁん、私と月兎と因幡を捕まえてみてぇ♪」
小夜はペットのウサギ達と共に、恵から逃れている。
二人は笑顔を浮かべているが、ハンターなだけはあり走りがかなり早い。普通の人が見たら、ギョッとするようなスピードが出ているのだ。
「楽しいわねぇ、月兎、因幡。プライベートビーチなんてはじめて来たけど……、記憶を失う前の私は海の事を知っていたのかな?」
「隙アリっ! てりゃあっ!」
少しだけスピードがおちた小夜に、恵は後ろから飛びかかった。
浅瀬ギリギリを走っていた為に、倒れた小夜に容赦なく波がかかる。
「うぎゃんっ! かっ海水って冷たい上に、磯の匂いがするよ!」
そんな小夜の背中に乗っかっている恵は、得意げに胸を張った。
「追いかけっこをしている最中に、余計なことを考えているから捕まっちゃうんですよ。せっかくプライベートビーチで遊べるんですから、楽しまないと損ですよ!」
「……まあそれもそうだね。それじゃあ反撃開始!」
小夜は倒れながらも振り返り、恵をお姫様抱っこしながら立ち上がる。
「恵さんも海の冷たさを、全身で体感すると良いよ!」
「えっ!? ちょっ、待って……!」
「ひゃっほーい!」
そして小夜は恵を海へ向けて、放り投げた。
ドッポーンと激しい水飛沫を上げながら海に沈んだ恵は、すぐに顔を出す。
「……やってくれましたねぇ。お返しですよ!」
恵は両手を使って、海水を小夜にかけた。
「うわっぷ!? 聖骸布を巻いている右手が重いけど、こっちには月兎と因幡がいるからね! 恵さんをもう一度海に沈めるよ!」
こうして二人の女性ハンターとウサギ二匹は、海水をかけ合いっこする。
そしてお互いの体力が尽きた後、ビーチでゴロンッと並んで横になった。
「ふふっ、海のデートらしいことができましたね♪ 小夜さん」
「恵さん……。ありがとう」
小夜は恵の方に体を向けると、ぎゅっと抱き締める。恵は小夜の腕の中で、幸せそうに微笑んだ。
二匹のウサギは気を利かせてか、ペット用の水のシャワーを浴びにその場から去った。
紅のビキニ水着に着替えた七夜・真夕(ka3977)は、リボン付きの白いワンピース水着に着替えた雪継・紅葉(ka5188)の手を握りながらビーチを走っていた。
「久し振りの海よ! 紅葉、今日はめいっぱい遊びましょう♪」
「うんっ……!」
二人は走る勢いそのままに海へ入ると、抱き合いながら潜ってすぐに上がる。
「っぷはぁ! 準備運動は済ませたけれど、泳ぐ前に全身を海水につけないと心臓に悪いからね」
「……でも水着姿の真夕と抱き合いながら海に潜ると、ドキドキが止まらなくなって逆に心臓に悪いかも……」
冷たい海水を全身に浴びても、紅葉はブツブツと呟きながらポッと顔を赤くした。
「うふふ、紅葉は可愛いわね♪ さて、準備は全て済ませたし、早速泳ぐわよ! ちゃんとついて来てね」
「わっ分かったわ……」
一通り泳ぐと、今度は二人用のビニールボートを借りて、海に浮かべて乗る。
「泳いだ後に海にプカプカ浮かぶと、気持ち良いわね。それにこの後のお弁当が、楽しみでならないわ」
「ボクは恋人の真夕と一緒ならどこでも楽しめるけど……、今日はこの依頼に参加して良かったよ。水着姿の真夕と一緒に海で遊べるなんて夢のようだし……、あっ、その水着、とても良く似合っているよ。その……綺麗だよ」
「ありがとう。紅葉の水着姿は、とっても可愛いわ。誰にも見せたくないぐらいよ!」
「きゃあんっ……♪」
真夕が突然抱き着いてきたことに驚き、紅葉は真夏の太陽よりも熱くなってしまう。
その後、海から出た二人は水のシャワーを浴びて、海水を流す。
ビーチパラソルの下へ行き、簡易テーブルをはさんだビーチチェアにそれぞれ座る。そして簡易テーブルの上で、作ってきたお弁当をお互いに見せた。
「私はリアルブルーっぽいお弁当になったよ」
「あっ、ボクも……。真夕に美味しく食べてほしかったから……。このおにぎりとか、上手にできたと思うんだけど……。はい、あーん」
「あーん♪ ……もぐもぐ、ごっくん。うんっ、スッゴク美味しいよ! 紅葉、私が作った卵焼きを食べてみて。はい、あーん」
「ふふっ、真夕ったら……。あーん」
二人はお互いに食べさせ合いながら、熱々なお弁当タイムを過ごす。
食べ終えた後は食後の運動として、二人は手を繋ぎながら波打ち際をゆっくりと歩いた。
サンオイルを手に持った花巌 刹那(ka3984)はビーチに二つのビーチチェアが置いてあるのを見つけて、早速向かう。
「今年は肌を焼いてイケイケになりたいので、露出が激しい黒のビキニ水着を着てきました! ……でもプライベートビーチの至る所にいるアツアツな方達の熱に焼かれそうです」
「えーっと……、じゃあボクとアツアツになる?」
こちらも露出が激しい白のビキニ水着を着た佐井 灯(ka4758)が、真顔で両手をワキワキしながら刹那へ近付いて行く。
「いっいや、とりあえず肌を焼くわよ! プライベートビーチなんて、滅多に来られないんだし!」
「それもそうだね」
二人はサンオイルを手に垂らすと、自分の体に塗り始めた。
「サンオイルはちゃんと塗っておかないと、肌荒れしちゃうからね。綺麗に肌を焼く為にも、しっかりと塗らないと!」
「ボクは元々小麦色の肌をしているから……、炭みたいになっちゃうカモ」
灯は手足にサンオイルを塗った後、背中に手を伸ばすも届かない部分があることに顔をしかめる。
「刹那ちゃぁん……、塗れない部分があるよぉ」
「じゃあ私が塗ってあげるから、背中をこっちへ向けて」
刹那は灯の背後に立つと、背中を塗り始めた。
「刹那ちゃんの手、とっても気持ち良いなぁ……。優しく丁寧に塗ってくれるから、何だか眠くなりそう……」
「まだ寝ちゃダメよ! せめてサンオイルを塗り終えてから、ビーチチェアで寝て! ……でも灯、随分と体を鍛えているのね。筋肉が綺麗についているわよ」
「えへへ♪ でも体を鍛えると、細くなる部分と太くなる部分の差が出るんだよね。特に女性の体はエライことになりやすいから……」
「私も灯もまだ成長するし、身に付ける物のサイズはこれからも変わるかもね。私も昨年買った水着が着れなくて、新しいのを買ったばかりだし。……よしっ、サンオイルは塗り終えたわよ」
「実はボクも、新しい水着を買ったんだよね。……じゃあ今度は、ボクが刹那ちゃんにサンオイルを塗ってあげるよ」
灯は刹那の肌に触れると、驚いたように眼を見開く。
「刹那ちゃんも良い鍛え方をしているんだね。しなやかな筋肉になっているよ」
「あっありが……うふふっ、ヤダもうっ、くすぐったぁい!」
「あんっ、動いちゃダメだよ!」
刹那と灯も周囲に負けないほど、アツアツだ。
弟のウェグロディ(ka5723)は黒のモノキニ水着に着替えた姉のアマリリス(ka5726)を見て、頬を赤く染める。
「ロディ、この水着、どうかしら? 似合う?」
「もちろんだ。リリス以外に、その水着が似合う女性はいないと思うよ」
「ふふっ、ありがとう。ロディの水着は……とても個性的ね」
「東方やリアルブルーっぽくて、なかなか良いだろう? 和柄の男性用水着と、楓柄の黒い羽織は渋い組み合わせで風流があるよね」
「見た目は良いと思うんだけどね。ただ黒い服は夏の太陽の下では熱を吸収しやすく、熱中症になりやすいと言われているから気を付けて」
「えっ!? いざという時は、リリスに羽織らせようと思っていたのに……」
「その気遣いだけ、ありがたく受け取っておくわ」
アマリリスは、ビーチに膝をついたウェグロディの頭を優しく撫でた。
「せっかく海に来たんだし、ロディのしたいことをしましょうか。何かしたいことはあるの?」
「……えぇっと、せっかくウィクトーリア家から品質の良いサンオイルを貰ったことだし、夏だから肌を焼こうかと……ハッ!? でもそれじゃあリリスの綺麗な肌が、火傷状態になってしまうかもっ!」
「そうならない為のサンオイルでしょう? さあ、二つ空いているビーチチェアを見つけに行くわよ」
アマリリスはウェグロディの手を掴むと、ビーチを歩き出す。
目当てのビーチチェアを見つけると、二人はお互いに手伝ってもらいながら全身にサンオイルを塗って、横になる。
「太陽は眩しいけれど、海風が冷たくて気持ち良いわ。仲間達がはしゃいでいる声も心地いいし、今日は来て良かったわね。ロディ」
「リリスに突然『プライベートビーチで遊ぶ依頼に参加するわよ』と言われた時は驚いたけれど、二人っきりで過ごせるのなら最高の依頼だよ」
ハンターではなく弟として無邪気な笑みを浮かべるウェグロディを見て、アマリリスは起き上がった。
そしてウェグロディの傍らに膝をつくと、そっと額にキスをする。
「――お誕生日おめでとう、ロディ。こんなことしかできないけれど、私といてくれて嬉しいわ」
「リリスっ……! 僕の方こそ、一緒にいてくれてありがとう。誰よりも愛しているよ」
上半身を起こして抱き着いてきた弟を、姉は愛おしそうに受け止めた。
白から青のグラデーション水着を穿いているハクラス・ヴァニーユ(ka6350)は、青いバラ柄のビキニ水着を着ている妹のディシオン・ヴァニーユ(ka4696)と共にビーチの様子を見て、少しばかり遠い目をしている。
「今日は可愛い妹のデュシィに頼まれて、ナンパから守ろうと思って一緒に来たんだけど……」
「杞憂でしたわね。皆様、共にいる方に夢中で、他の方に眼がいかないようですから。せっかく露出を控えようと思いまして、バラ柄のパレオも腰に巻いてきたんですけど……って、アラ? 一人足りなくありません?」
「おや、そういえば……」
そこで兄妹はふと、一緒に来たはずのアルス・テオ・ルシフィール(ka6245)が近くにいないことに気付いた。
「あそこの海の家から、美味しそうな匂いがしてくるにゃあ! 海も良いけど、やっぱりご飯が先にゃーっ!」
興奮しすぎて人語を失いつつあるアルスは、『守原屋』に突撃する。すると中から激しい物音と悲鳴が聞こえてきた為に、兄妹は慌てて向かった。
数十分後、嬉しそうなディシオン、満足げなアルス、安堵の表情を浮かべるハクラスが『守原屋』から出てくる。
「海の家で食事をすることなんて、今まであまり機会がありませんでしたから、なかなか貴重な体験ができましたわ」
「うにゃあ~。フルーツたっぷりのパンケーキ、とぉっても美味しかったにゃ♪」
「……それに許してもらえて、ホント良かったよ」
数十分前、アルスは突撃後すぐに近くにあったイスに足を引っかけて転んでしまった為に、物音が凄かった。
ハクラスとデュシオンが謝り、涙を浮かべながらもアルスがイスを元に戻したので、守原兄弟には許してもらえたのだ。
「せっかく可愛い水着を着ているんだから、はしゃぐのは海の中にしときなよ?」
ハクラスがアルスの頭を優しく撫でると、「うにゃっ!」と敬礼される。
アルスはピンク色のセパレート水着を着ており、遊ぶ気満々なので既に腰にはユグディラが描かれた浮き輪があり、頭にはシュノーケル付ゴーグルがあった。
「はうぅ、波が凄いの! 早速泳ごうよ!」
「わたくしはルーシー様と一緒に海に入りますわ。兄様はどうしますの?」
「私はあそこのビーチパラソルの下で、休んでいるよ。ビーチチェアも置いてあるからね」
「分かりましたわ。ではコレをお願いしますわね」
デュシオンはハクラスにパレオを預けて、アルスと共に海に入る。
ハクラスはビーチチェアに横になりながら、二人が楽しむ姿を見つめた。
アルスはゴーグル越しに海の中を見ては、綺麗な魚がいることを喜ぶ。その中で美しい貝殻を見つけて拾い、興味がそっちに移ったようだ。
「うわぁ、キレイな貝殻拾っちゃった♪」
「ホントですわ。売り物でしか見たことがないような貝殻が、この海にはいっぱいあるようですわね」
しばらくは海の中に入っていたものの、二人はさほど時間が経たないうちにビーチに戻って来る。
「海は冷たかったか?」
ハクラスは二枚の白いバスタオルを二人に渡しながら尋ねると、首を横に振られた。
「ハクラスちゃん、ビーチで一緒にキレイな貝殻を拾おうよ♪」
「このプライベートビーチには美しい貝殻が多いようなので思い出に持ち帰ろうと、ルーシー様と決めましたの」
開かれた二人の手の中には、小さな貝殻がいくつかある。
「確かに綺麗な貝殻だな。よし、私も探すのを手伝うよ。でも住人がいた場合は、持ち帰るのは諦めるんだぞ?」
「分かっているよ!」
「あくまでも貝殻のみ、ですわね」
そして三人は夢中になって、数多くの貝殻を拾っていく。
『守原屋』から出てきたフィルメリア・クリスティア(ka3380)は、満足そうにお腹を撫でる。
「美味しそうな匂いにつられて、つい食べ過ぎちゃったわ」
「どんどん気温が上がっているね。日焼け止めをどこかで塗った方が良いんじゃないかな?」
シェルミア・クリスティア(ka5955)は姉と同じ水着・ブルーローズを着ており、少し不安そうにフィルメリアの腕にしがみつく。
「おっ、あっちにビーチパラソルと二つのビーチチェアのセットがあるぜ。あそこで日焼け止めを塗ろう」
水着・モノクロハイビスカスを穿いているゼクス・シュトゥルムフート(ka5529)が、空いているビーチチェアを指さす。
「それならゼクス、日焼け止めをウィクトーリア家から借りてくるついでに、ビーチバレーに使うボールも借りてきてよ。食後の運動をしたいから」
「はいよ」
フィルメリアに言われるまま、ゼクスは借りに行く。
先にビーチチェアに座ったシェルミアは、姉に問い掛ける。
「ねぇ、お姉ちゃん。お義兄ちゃんと二人っきりの方が良かった?」
「何でそんなことを聞くの? 私はこうやってシェリィと過ごす時間も、楽しくて大切だと思っているのよ」
隣のビーチチェアに座ったフィルメリアは、安心させるように優しく微笑みながら頭を撫でた。
「……本当は二人っきりにさせたい気持ちがあったんだけど、やっぱりお姉ちゃんと遊びたくて」
「気を使わなくても良いの。私もゼクスも、シェリィに甘えてもらえて嬉しいんだから」
「うん……」
「おーい、日焼け止めとビーチボールを持ってきたぜ」
「ありがとう、ゼクス。シェリィ、日焼け止めはちゃんと塗るのよ?」
「分かったわ」
三人はビーチパラソルの下で、体に日焼け止めを塗っていく。
しかしシェルミアが背中に手が届かない部分があることに困っていると、フィルメリアが日焼け止めを垂らした手で触れてきた。
「きゃんっ!」
「ああ、ビックリさせてごめんなさいね。背中は塗ってあげるわ」
フィルメリアは手早くしっかりと、日焼け止めをシェルミアの背中に塗る。
「あっありがとう。……それじゃあお姉ちゃんの背中はわたしが塗ってあげるから、ビーチチェアに座ってくれるかな?」
「アラ、嬉しいわ。お願いね」
フィルメリアがシェルミアに背を向けてビーチチェアに座ると、シェルミアは黙ってゼクスに視線を向けた。
すると視線の意味に気付いたゼクスは軽く微笑むと、シェルミアの代わりに日焼け止めを塗った手でフィルメリアの背中に触れる。
「ふふっ、この手の大きさはゼクスね?」
「うわっ! すぐにバレた!」
「分かるわよ。だって手の大きさや触られ心地が、シェリィとはあまりにも違いすぎるもの」
クスクスと笑っているフィルメリアは、それでも止めようとはしない。
ゼクスは困り笑顔を浮かべながらも、日焼け止めを塗った。
その後は準備体操をして、三人でビーチバレーで遊ぶ。
体が充分に解れたところで、次は海で泳いだ。
するとシェルミアは疲れてしまったらしく、海から上がるとウトウトしはじめる。
「シェリィ、眠いならチェアに横になったら?」
「うん……。ここはプライベートビーチで危ない人はいないし、一人でお昼寝するわ。だからお姉ちゃんとお義兄ちゃんは遊んでて」
シェルミアは大きな欠伸をすると、バスタオルを体にかけてビーチチェアに横になった。
「ゼクス、どうする?」
「ん~、まあ近くにいれば、大丈夫だろう」
二人が波にたわむれている姿を、薄目を開けて見たシェルミアは満足そうに微笑んだ。
同行者達と賑やかに過ごしている者達がいれば、一人で過ごしている者達もいる。
アレンジメントフラワービキニを着ているマリィア・バルデス(ka5848)もその一人で、先に『守原屋』で食事を済ませた後、水出しコーヒーを入れたグラスと数冊の本を持って、簡易テーブル付きのビーチパラソルと一人分のビーチチェアが置いてある場所に来たのだ。
ビーチチェアに横になりながら、ウィクトーリア家から借りてきた本を何冊も読んでいる。
「……ふう、クリムゾンウェストの小説もなかなか面白いわね。恋愛物や推理物、若者向けとか簡単に読めそうな小説を選んだんだけど、結構夢中になれるわ」
プライベートビーチの近くにある貸別荘には書斎があり、様々なジャンルの本が置かれてあったのだ。
「海をガンガン泳ぐんじゃなくて、自分でもビックリするぐらいにゆっくりのんびりと過ごすのも悪くないわね。こういうのを命の洗濯と言うのかしら? ホント、良い息抜きになるわ」
チェアの上で大きく背伸びをすると、仲間達の楽しそうな声が波の音と共に聞こえてくる。
「良いBGMが聞こえてくるし、ちょっとお昼寝でもしようっと」
ミラーグラス・サンセットレッドをかけて、マリィアは眼を閉じた。
フリル付きのバンドゥビキニ水着を身に付けて、フラワーサンダルを履いている星野 ハナ(ka5852)は波打ち際ギリギリまで来ると、大きく息を吸い込む。そして――。
「強くてカッコイイ彼氏が欲しいぞ、こんちくしょー!」
と、プライベートビーチに来ている全員が一斉にこちらを見るほどの、雄叫びを上げる。
その時の衝撃で、かぶっていた花とリボン付きの麦わら帽子が飛んでいきそうになった。
「おっとと……。さて、『女性が一人で海に来た時のお約束』は済ませましたし、海の家・『守原屋』で食事も済ませましたぁ。とりあえず、スッキリしましたねぇ」
帽子を手で押さえながら、ハナはビーチを歩き出す。
「……正直、彼氏ができるかどうかは分かりませんしねぇ。相手の気持ち次第――というのが一番怖いんですよぉ。まあそれを誤魔化す為にいっぱい食べて飲んだんですけど……、このお腹はちょっとヤバいかもですぅ」
ハナは守原兄弟が驚くほど食べて飲んだせいで、お腹が少しぽっこりしているのだ。
「流石にこのお腹で彼に会うのはアレですし、食後の運動としてしばらくこうやって歩いていますか」
白いフリル付きの水着を着ているエルバッハ・リオン(ka2434)は、ビーチで準備運動をしている。するとふと、女性達の水着姿が眼に映った。
「いつもならああいう露出の激しい水着を着るんですけど、今日は可愛らしい水着にしてみました♪ 女性ハンターがよく通っていると言われているお店で、良いのが買えましたね」
女性ハンターの中には、一般の女性が購入できないようなサイズや形、色を求める者がいる。
最近ではそういった女性ハンター向けの店が出始めており、エルバッハもそこで水着を購入したのだ。
「さて、今日はせっかく一人で来たことですし、めいっぱい泳ぎましょう!」
エルバッハは準備運動を終えると早速海へ入り、いろいろな泳ぎ方をしながら満喫する。
疲れると海から出て、ビーチパラソルの中に入り、ビーチチェアに横になった。
「……全身がほぐれて、良い疲れを感じます。たまにはこういうのも良いものですねぇ」
ウトウトしはじめたエルバッハの眼に映ったのは、楽しそうに過ごしている仲間達の姿だ。
柔らかな笑みを浮かべたまま、エルバッハは夢の世界へと行く――。
骸香(ka6223)はビキニ水着の上に羽織・誠を着ながら、ゆっくりとビーチを散歩している。しかしその表情は、どこか暗い。
「たまには一人でのんびり過ごそうかと思ったんだけど……、やっぱり一人は切ない上に退屈だね。ナンパの一つでもされるかと思っていたんだけど、皆して相手がいるし」
少し苦く笑いながら、骸香は肩を竦めた。
すると頭の中に、愛しい男の姿が浮かぶ。
「……恋人がいてもこういう機会に一緒にいられないんじゃあ、一人身の時より寂しく感じちゃうね。案外『恋人』っていてもいなくても、寂しいものなのかも」
今度はしんみりと、ため息を吐いてしまう。
「でもまあ仲間達が幸せそうに楽しく過ごしているのを見ているのは、嫌ではないね。こうやって、ちょうど良い場所から見守れるのも良いもんよ」
骸香のその言葉は、強がりではなく本心から言っている。
「おや、あそこにある海の家から、美味しそうな匂いがしてくるね。お腹いっぱい食べたら、ビーチでお昼寝しようっかな」
楽しみを見つけた骸香は、明るい表情で『守原屋』へ向かった。
<終わり>
「海だっー! まずは泳ぐぜ!」
「その後はカヌーで遊ぼうか。せっかく用意してもらったしね」
「更にその後は、ビーチバレーやビーチフラッグスで遊ぶわよ!」
三人は遊ぶ気満々だったが、ふと有希弥は何かを思い出して、有希遥の方に視線を向けた。
「ハル、海には食材を獲りに行かないと。うちら、海の家をやるんだし」
「あんまり遊びすぎると、後で料理を作れなくなるな。となると、中止するのは……」
双子の兄弟の視線が、自然と従姉へ向けられる。
「んなっ!? そっそんなのちょっと遊ぶ時間を減らしていけばいいことでしょう? せっかくナイスバディの美人のおねーさんが一緒に遊んであげるんだから、気をつかいなさいよ!」
そう言いながら由有が豊満なバストを揺らして見せるも、二人は何も言わず視線を海へ戻す。
「そんじゃあ時間が勿体ないし、早速海に入るぞ!」
「その前に準備運動しないとな」
「ちょっ……何か言いなさいよー!」
と、騒ぎつつも三人は海遊びを楽しんだ。
その後、三人はビーチに置いてある水のシャワーを浴びて、有希弥と有希遥はエプロンを着ける。
「この海にカメノテがあって、良かったぜ。出汁にすると美味いんだよなぁ。出汁を基本にした料理を作れる」
「でもウィクトーリア家は、言えば何でも用意してくれるんだね。まさか海の家を建ててくれるとは、思わなかったよ」
双子が料理をいろいろ作りたいと希望を出したところ、ビーチに野外用の調理器具付きの大きな海の家を建ててくれたのだ。
海の家の木の看板や、二人が身に付けている白のエプロンには、『守原屋』と達筆な黒い文字が書かれている。
「材料も良いものをたっくさん用意してくれたな。うちはとりあえずカメノテの出汁を使ったソース焼きそばに、もつ鍋はしょうゆと味噌の二種類の味を用意して、しめは雑炊・ちゃんぽん・ラーメンを選んでもらって、後はご飯と味噌汁は各自が自由に選び取るようにするかな。金を払うことはないから、好きにさせるというのもアリやね」
「うちもリアルブルーにいた頃に作ったことのあるロコモコにシルパンチョ、チャウダーとトマトのスープ、さっき海で獲ってきた魚介類で海鮮バーベキュー、刺身に煮魚も良いな。もし客達が『獲ってきたものを料理してほしい』と持ち込んできたら、手が空いている方が担当するってことで……」
「ちょっと待ったぁ! あんた達、甘い食べ物や飲み物がないじゃない!」
客席に座る由有は不満そうに、テーブルを両手のひらでバンバンッと叩く。
「暑い中、めいっぱい動いた後に食べる冷たく甘い物は格別なの! 少しは女心を察しなさいよ!」
すると有希弥はムスッとしながら、由有を睨み付ける。
「料理しないクセに、態度がデカいな!」
「何おうっ! あっ、もしかしてビーチバレーであたしがボールを有希弥の顔面に当てちゃったことや、ビーチフラッグスではあたしが旗を取って、あんた達が負けちゃったことを恨んでいるの? だったらゴメンなさいねぇ、運動神経が良過ぎて」
「ドヤ顔で謝られても、ムカつくだけだ!」
「まあまあ。有希弥、落ち着いて。由有、うちが水出しコーヒーとフルーツパンケーキを作るから、それで我慢してな」
「なら話は別よ♪ 待っているから、早くね!」
途端に満面の笑みになる従姉の姿を見て、二人は背を向けるとほぼ同時に重いため息を吐いた。
海の家・『守原屋』から騒がしい声と音が聞こえてくる中、青のビキニ水着とパレオを身に付けて、赤のリボンでポニーテールにしたステラ・フォーク(ka0808)が海を見て感動している。
「本当に美しい海ですわね。さて、何をして遊びま……」
ステラは振り返り、共に参加している炎のゆめへ歌うもの(ka6278)の姿を見て絶句した。
「ビーチで水着になるとか、風邪ひけるのぜ……。っくしゅん! ……あー、ここの夏はかなり寒いね。炎の近くにいつもいるから、このぐらいの気温では水着姿になれないな」
炎のゆめへ歌うものは水着の上に、パーカーとショートパンツを着ている。見た目的にはかなり暑苦しいのだが、本人は寒そうにガタガタと震えていた。
「え~っと、それではビーチで砂遊びをするのはどうかしら? 私、道具を借りてきますわよ」
「まあ、それなら……」
ステラは砂遊びの道具を借りてくると、炎のゆめへ歌うものと一緒に砂でいろいろ作っていく。
「オレは自分より、大きな砂の城を作るのぜ! ステラ君、一緒に頑張ろう!」
「ステキですわ♪ もちろん、喜んで手伝いますよ」
二人はキャッキャッとはしゃぎながら、一メートル六十センチもある砂の城を完成させた。
「炎さん、素晴らしいお城が完成しましたよ!」
「うむ、達成感と満足感のおかげで、何だか気分が良くなってきたな。ステラ君、海で泳ごうか」
言うが早いか、炎のゆめへ歌うものは真っ赤なビキニ水着姿になる。
「まあ! 炎さんの水着姿、とっても素敵ですの♪」
「ステラ君もその水着、良く似合っているよ。オレは浮き輪を二つ借りてくるから、準備運動をしておくんだ」
そして炎のゆめへ歌うものが借りてきた二つの浮き輪に体を通して、二人は海に入った。
「海の中にある貝殻、綺麗ですわね。こんなふうに海の上に浮かべるなんて、楽しいですわ」
「魚も……美味そうだ」
炎のゆめへ歌うものは思わず魚へ手を伸ばしたものの、海の中でペチッと尻尾で叩かれたことに驚き、慌てて手を引く。
すると水飛沫が上がり、ステラの顔に少しかかる。
「きゃあっ! んもう、炎さんったら……。お返しです!」
「冷たっ! ……わざとじゃなかったのに。お返しのお返し!」
こうして二人は浮き輪にのりながら、バシャバシャと楽しげに水をかけ合った。
ビーチで水着のヒップ・ボーンに着替えた久延毘 大二郎(ka1771)は、タンキニ・フラワーレースに着替えた八雲 奏(ka4074)の姿を見て、顔を赤く染めてモジモジする。
「その、いつも奏に言っている言葉だが……、とても綺麗だ。水着姿が眩しく映る」
「うふふ♪ ありがとうございます、毘古ちゃん。今年の水着は、可愛らしいものを選んだんですよ。毘古ちゃんと婚約したんですから、露出の激しい衣装はこれから控えようと思いまして」
奏の言葉で、大二郎はふと表情を曇らせた。
「――そうだな。ここにはハンター仲間しかいないから良いものの、一般の海へ遊びに行くのは少々不安があるんだ。君に危害を加えようとする者が、現れるんじゃないかと思ってな」
「……ナンパではなく、加害者が現れるんですか? まあどちらにしろ、現れたら瞬殺しますけどね」
ブツブツと呟いている大二郎を奏は眼を細めて見つめながら、聞こえぬように口の中で呟く。しかしため息をつくと、ニコッと満面の笑みを浮かべる。
「では不審者が近付いて来たら、毘古ちゃん、私を守ってくださいね」
「ああ、もちろん。奏のことはいつだって私が……うわあっ!?」
大二郎が最後まで言う前に、奏が突然抱き着いてきた。そして間近で大二郎を見上げる。
「毘古ちゃん、何だか私から視線をそらしていませんか?」
笑顔の奏だが、言い逃れを許さない空気を出していた。
大二郎はアタフタしながらも、動揺を隠すように震える手でメガネの位置を直す。
「えっと……それは、だな。……奏と海へ来るのははじめてではないものの、水着姿は見慣れなくて、つい……」
「私だって、本当は水着姿になるのはスッゴク恥ずかしいんですよ? ……でも本当は二人の心の距離が前より近くなったからこそ、余計に照れてしまうのかもしれません。けれどそのぐらい、お互いが大好きってことですね♪」
「そう……だな。来年は夫婦として、海に来られると良いな」
大二郎は柔らかく微笑むと、奏をお姫様抱っこする。
突然の大二郎の行動に奏は驚いたものの、すぐに嬉しそうな表情を浮かべた。
「それでは私の未来の旦那様、それまでに私の水着姿を見慣れてください。私も結婚する条件を、見事にクリアしてみせますから!」
「ああ、お互いに努力しよう」
奏は大二郎に密着すると、頬に誓いのキスをする。
白いレース付きのビキニ水着を着ている遠藤・恵(ka3940)は、黒のハイネックワンピース水着を着ている玉兎 小夜(ka6009)とビーチで追いかけっこをしていた。
「小夜さぁん、待ってぇ♪」
「恵さぁん、私と月兎と因幡を捕まえてみてぇ♪」
小夜はペットのウサギ達と共に、恵から逃れている。
二人は笑顔を浮かべているが、ハンターなだけはあり走りがかなり早い。普通の人が見たら、ギョッとするようなスピードが出ているのだ。
「楽しいわねぇ、月兎、因幡。プライベートビーチなんてはじめて来たけど……、記憶を失う前の私は海の事を知っていたのかな?」
「隙アリっ! てりゃあっ!」
少しだけスピードがおちた小夜に、恵は後ろから飛びかかった。
浅瀬ギリギリを走っていた為に、倒れた小夜に容赦なく波がかかる。
「うぎゃんっ! かっ海水って冷たい上に、磯の匂いがするよ!」
そんな小夜の背中に乗っかっている恵は、得意げに胸を張った。
「追いかけっこをしている最中に、余計なことを考えているから捕まっちゃうんですよ。せっかくプライベートビーチで遊べるんですから、楽しまないと損ですよ!」
「……まあそれもそうだね。それじゃあ反撃開始!」
小夜は倒れながらも振り返り、恵をお姫様抱っこしながら立ち上がる。
「恵さんも海の冷たさを、全身で体感すると良いよ!」
「えっ!? ちょっ、待って……!」
「ひゃっほーい!」
そして小夜は恵を海へ向けて、放り投げた。
ドッポーンと激しい水飛沫を上げながら海に沈んだ恵は、すぐに顔を出す。
「……やってくれましたねぇ。お返しですよ!」
恵は両手を使って、海水を小夜にかけた。
「うわっぷ!? 聖骸布を巻いている右手が重いけど、こっちには月兎と因幡がいるからね! 恵さんをもう一度海に沈めるよ!」
こうして二人の女性ハンターとウサギ二匹は、海水をかけ合いっこする。
そしてお互いの体力が尽きた後、ビーチでゴロンッと並んで横になった。
「ふふっ、海のデートらしいことができましたね♪ 小夜さん」
「恵さん……。ありがとう」
小夜は恵の方に体を向けると、ぎゅっと抱き締める。恵は小夜の腕の中で、幸せそうに微笑んだ。
二匹のウサギは気を利かせてか、ペット用の水のシャワーを浴びにその場から去った。
紅のビキニ水着に着替えた七夜・真夕(ka3977)は、リボン付きの白いワンピース水着に着替えた雪継・紅葉(ka5188)の手を握りながらビーチを走っていた。
「久し振りの海よ! 紅葉、今日はめいっぱい遊びましょう♪」
「うんっ……!」
二人は走る勢いそのままに海へ入ると、抱き合いながら潜ってすぐに上がる。
「っぷはぁ! 準備運動は済ませたけれど、泳ぐ前に全身を海水につけないと心臓に悪いからね」
「……でも水着姿の真夕と抱き合いながら海に潜ると、ドキドキが止まらなくなって逆に心臓に悪いかも……」
冷たい海水を全身に浴びても、紅葉はブツブツと呟きながらポッと顔を赤くした。
「うふふ、紅葉は可愛いわね♪ さて、準備は全て済ませたし、早速泳ぐわよ! ちゃんとついて来てね」
「わっ分かったわ……」
一通り泳ぐと、今度は二人用のビニールボートを借りて、海に浮かべて乗る。
「泳いだ後に海にプカプカ浮かぶと、気持ち良いわね。それにこの後のお弁当が、楽しみでならないわ」
「ボクは恋人の真夕と一緒ならどこでも楽しめるけど……、今日はこの依頼に参加して良かったよ。水着姿の真夕と一緒に海で遊べるなんて夢のようだし……、あっ、その水着、とても良く似合っているよ。その……綺麗だよ」
「ありがとう。紅葉の水着姿は、とっても可愛いわ。誰にも見せたくないぐらいよ!」
「きゃあんっ……♪」
真夕が突然抱き着いてきたことに驚き、紅葉は真夏の太陽よりも熱くなってしまう。
その後、海から出た二人は水のシャワーを浴びて、海水を流す。
ビーチパラソルの下へ行き、簡易テーブルをはさんだビーチチェアにそれぞれ座る。そして簡易テーブルの上で、作ってきたお弁当をお互いに見せた。
「私はリアルブルーっぽいお弁当になったよ」
「あっ、ボクも……。真夕に美味しく食べてほしかったから……。このおにぎりとか、上手にできたと思うんだけど……。はい、あーん」
「あーん♪ ……もぐもぐ、ごっくん。うんっ、スッゴク美味しいよ! 紅葉、私が作った卵焼きを食べてみて。はい、あーん」
「ふふっ、真夕ったら……。あーん」
二人はお互いに食べさせ合いながら、熱々なお弁当タイムを過ごす。
食べ終えた後は食後の運動として、二人は手を繋ぎながら波打ち際をゆっくりと歩いた。
サンオイルを手に持った花巌 刹那(ka3984)はビーチに二つのビーチチェアが置いてあるのを見つけて、早速向かう。
「今年は肌を焼いてイケイケになりたいので、露出が激しい黒のビキニ水着を着てきました! ……でもプライベートビーチの至る所にいるアツアツな方達の熱に焼かれそうです」
「えーっと……、じゃあボクとアツアツになる?」
こちらも露出が激しい白のビキニ水着を着た佐井 灯(ka4758)が、真顔で両手をワキワキしながら刹那へ近付いて行く。
「いっいや、とりあえず肌を焼くわよ! プライベートビーチなんて、滅多に来られないんだし!」
「それもそうだね」
二人はサンオイルを手に垂らすと、自分の体に塗り始めた。
「サンオイルはちゃんと塗っておかないと、肌荒れしちゃうからね。綺麗に肌を焼く為にも、しっかりと塗らないと!」
「ボクは元々小麦色の肌をしているから……、炭みたいになっちゃうカモ」
灯は手足にサンオイルを塗った後、背中に手を伸ばすも届かない部分があることに顔をしかめる。
「刹那ちゃぁん……、塗れない部分があるよぉ」
「じゃあ私が塗ってあげるから、背中をこっちへ向けて」
刹那は灯の背後に立つと、背中を塗り始めた。
「刹那ちゃんの手、とっても気持ち良いなぁ……。優しく丁寧に塗ってくれるから、何だか眠くなりそう……」
「まだ寝ちゃダメよ! せめてサンオイルを塗り終えてから、ビーチチェアで寝て! ……でも灯、随分と体を鍛えているのね。筋肉が綺麗についているわよ」
「えへへ♪ でも体を鍛えると、細くなる部分と太くなる部分の差が出るんだよね。特に女性の体はエライことになりやすいから……」
「私も灯もまだ成長するし、身に付ける物のサイズはこれからも変わるかもね。私も昨年買った水着が着れなくて、新しいのを買ったばかりだし。……よしっ、サンオイルは塗り終えたわよ」
「実はボクも、新しい水着を買ったんだよね。……じゃあ今度は、ボクが刹那ちゃんにサンオイルを塗ってあげるよ」
灯は刹那の肌に触れると、驚いたように眼を見開く。
「刹那ちゃんも良い鍛え方をしているんだね。しなやかな筋肉になっているよ」
「あっありが……うふふっ、ヤダもうっ、くすぐったぁい!」
「あんっ、動いちゃダメだよ!」
刹那と灯も周囲に負けないほど、アツアツだ。
弟のウェグロディ(ka5723)は黒のモノキニ水着に着替えた姉のアマリリス(ka5726)を見て、頬を赤く染める。
「ロディ、この水着、どうかしら? 似合う?」
「もちろんだ。リリス以外に、その水着が似合う女性はいないと思うよ」
「ふふっ、ありがとう。ロディの水着は……とても個性的ね」
「東方やリアルブルーっぽくて、なかなか良いだろう? 和柄の男性用水着と、楓柄の黒い羽織は渋い組み合わせで風流があるよね」
「見た目は良いと思うんだけどね。ただ黒い服は夏の太陽の下では熱を吸収しやすく、熱中症になりやすいと言われているから気を付けて」
「えっ!? いざという時は、リリスに羽織らせようと思っていたのに……」
「その気遣いだけ、ありがたく受け取っておくわ」
アマリリスは、ビーチに膝をついたウェグロディの頭を優しく撫でた。
「せっかく海に来たんだし、ロディのしたいことをしましょうか。何かしたいことはあるの?」
「……えぇっと、せっかくウィクトーリア家から品質の良いサンオイルを貰ったことだし、夏だから肌を焼こうかと……ハッ!? でもそれじゃあリリスの綺麗な肌が、火傷状態になってしまうかもっ!」
「そうならない為のサンオイルでしょう? さあ、二つ空いているビーチチェアを見つけに行くわよ」
アマリリスはウェグロディの手を掴むと、ビーチを歩き出す。
目当てのビーチチェアを見つけると、二人はお互いに手伝ってもらいながら全身にサンオイルを塗って、横になる。
「太陽は眩しいけれど、海風が冷たくて気持ち良いわ。仲間達がはしゃいでいる声も心地いいし、今日は来て良かったわね。ロディ」
「リリスに突然『プライベートビーチで遊ぶ依頼に参加するわよ』と言われた時は驚いたけれど、二人っきりで過ごせるのなら最高の依頼だよ」
ハンターではなく弟として無邪気な笑みを浮かべるウェグロディを見て、アマリリスは起き上がった。
そしてウェグロディの傍らに膝をつくと、そっと額にキスをする。
「――お誕生日おめでとう、ロディ。こんなことしかできないけれど、私といてくれて嬉しいわ」
「リリスっ……! 僕の方こそ、一緒にいてくれてありがとう。誰よりも愛しているよ」
上半身を起こして抱き着いてきた弟を、姉は愛おしそうに受け止めた。
白から青のグラデーション水着を穿いているハクラス・ヴァニーユ(ka6350)は、青いバラ柄のビキニ水着を着ている妹のディシオン・ヴァニーユ(ka4696)と共にビーチの様子を見て、少しばかり遠い目をしている。
「今日は可愛い妹のデュシィに頼まれて、ナンパから守ろうと思って一緒に来たんだけど……」
「杞憂でしたわね。皆様、共にいる方に夢中で、他の方に眼がいかないようですから。せっかく露出を控えようと思いまして、バラ柄のパレオも腰に巻いてきたんですけど……って、アラ? 一人足りなくありません?」
「おや、そういえば……」
そこで兄妹はふと、一緒に来たはずのアルス・テオ・ルシフィール(ka6245)が近くにいないことに気付いた。
「あそこの海の家から、美味しそうな匂いがしてくるにゃあ! 海も良いけど、やっぱりご飯が先にゃーっ!」
興奮しすぎて人語を失いつつあるアルスは、『守原屋』に突撃する。すると中から激しい物音と悲鳴が聞こえてきた為に、兄妹は慌てて向かった。
数十分後、嬉しそうなディシオン、満足げなアルス、安堵の表情を浮かべるハクラスが『守原屋』から出てくる。
「海の家で食事をすることなんて、今まであまり機会がありませんでしたから、なかなか貴重な体験ができましたわ」
「うにゃあ~。フルーツたっぷりのパンケーキ、とぉっても美味しかったにゃ♪」
「……それに許してもらえて、ホント良かったよ」
数十分前、アルスは突撃後すぐに近くにあったイスに足を引っかけて転んでしまった為に、物音が凄かった。
ハクラスとデュシオンが謝り、涙を浮かべながらもアルスがイスを元に戻したので、守原兄弟には許してもらえたのだ。
「せっかく可愛い水着を着ているんだから、はしゃぐのは海の中にしときなよ?」
ハクラスがアルスの頭を優しく撫でると、「うにゃっ!」と敬礼される。
アルスはピンク色のセパレート水着を着ており、遊ぶ気満々なので既に腰にはユグディラが描かれた浮き輪があり、頭にはシュノーケル付ゴーグルがあった。
「はうぅ、波が凄いの! 早速泳ごうよ!」
「わたくしはルーシー様と一緒に海に入りますわ。兄様はどうしますの?」
「私はあそこのビーチパラソルの下で、休んでいるよ。ビーチチェアも置いてあるからね」
「分かりましたわ。ではコレをお願いしますわね」
デュシオンはハクラスにパレオを預けて、アルスと共に海に入る。
ハクラスはビーチチェアに横になりながら、二人が楽しむ姿を見つめた。
アルスはゴーグル越しに海の中を見ては、綺麗な魚がいることを喜ぶ。その中で美しい貝殻を見つけて拾い、興味がそっちに移ったようだ。
「うわぁ、キレイな貝殻拾っちゃった♪」
「ホントですわ。売り物でしか見たことがないような貝殻が、この海にはいっぱいあるようですわね」
しばらくは海の中に入っていたものの、二人はさほど時間が経たないうちにビーチに戻って来る。
「海は冷たかったか?」
ハクラスは二枚の白いバスタオルを二人に渡しながら尋ねると、首を横に振られた。
「ハクラスちゃん、ビーチで一緒にキレイな貝殻を拾おうよ♪」
「このプライベートビーチには美しい貝殻が多いようなので思い出に持ち帰ろうと、ルーシー様と決めましたの」
開かれた二人の手の中には、小さな貝殻がいくつかある。
「確かに綺麗な貝殻だな。よし、私も探すのを手伝うよ。でも住人がいた場合は、持ち帰るのは諦めるんだぞ?」
「分かっているよ!」
「あくまでも貝殻のみ、ですわね」
そして三人は夢中になって、数多くの貝殻を拾っていく。
『守原屋』から出てきたフィルメリア・クリスティア(ka3380)は、満足そうにお腹を撫でる。
「美味しそうな匂いにつられて、つい食べ過ぎちゃったわ」
「どんどん気温が上がっているね。日焼け止めをどこかで塗った方が良いんじゃないかな?」
シェルミア・クリスティア(ka5955)は姉と同じ水着・ブルーローズを着ており、少し不安そうにフィルメリアの腕にしがみつく。
「おっ、あっちにビーチパラソルと二つのビーチチェアのセットがあるぜ。あそこで日焼け止めを塗ろう」
水着・モノクロハイビスカスを穿いているゼクス・シュトゥルムフート(ka5529)が、空いているビーチチェアを指さす。
「それならゼクス、日焼け止めをウィクトーリア家から借りてくるついでに、ビーチバレーに使うボールも借りてきてよ。食後の運動をしたいから」
「はいよ」
フィルメリアに言われるまま、ゼクスは借りに行く。
先にビーチチェアに座ったシェルミアは、姉に問い掛ける。
「ねぇ、お姉ちゃん。お義兄ちゃんと二人っきりの方が良かった?」
「何でそんなことを聞くの? 私はこうやってシェリィと過ごす時間も、楽しくて大切だと思っているのよ」
隣のビーチチェアに座ったフィルメリアは、安心させるように優しく微笑みながら頭を撫でた。
「……本当は二人っきりにさせたい気持ちがあったんだけど、やっぱりお姉ちゃんと遊びたくて」
「気を使わなくても良いの。私もゼクスも、シェリィに甘えてもらえて嬉しいんだから」
「うん……」
「おーい、日焼け止めとビーチボールを持ってきたぜ」
「ありがとう、ゼクス。シェリィ、日焼け止めはちゃんと塗るのよ?」
「分かったわ」
三人はビーチパラソルの下で、体に日焼け止めを塗っていく。
しかしシェルミアが背中に手が届かない部分があることに困っていると、フィルメリアが日焼け止めを垂らした手で触れてきた。
「きゃんっ!」
「ああ、ビックリさせてごめんなさいね。背中は塗ってあげるわ」
フィルメリアは手早くしっかりと、日焼け止めをシェルミアの背中に塗る。
「あっありがとう。……それじゃあお姉ちゃんの背中はわたしが塗ってあげるから、ビーチチェアに座ってくれるかな?」
「アラ、嬉しいわ。お願いね」
フィルメリアがシェルミアに背を向けてビーチチェアに座ると、シェルミアは黙ってゼクスに視線を向けた。
すると視線の意味に気付いたゼクスは軽く微笑むと、シェルミアの代わりに日焼け止めを塗った手でフィルメリアの背中に触れる。
「ふふっ、この手の大きさはゼクスね?」
「うわっ! すぐにバレた!」
「分かるわよ。だって手の大きさや触られ心地が、シェリィとはあまりにも違いすぎるもの」
クスクスと笑っているフィルメリアは、それでも止めようとはしない。
ゼクスは困り笑顔を浮かべながらも、日焼け止めを塗った。
その後は準備体操をして、三人でビーチバレーで遊ぶ。
体が充分に解れたところで、次は海で泳いだ。
するとシェルミアは疲れてしまったらしく、海から上がるとウトウトしはじめる。
「シェリィ、眠いならチェアに横になったら?」
「うん……。ここはプライベートビーチで危ない人はいないし、一人でお昼寝するわ。だからお姉ちゃんとお義兄ちゃんは遊んでて」
シェルミアは大きな欠伸をすると、バスタオルを体にかけてビーチチェアに横になった。
「ゼクス、どうする?」
「ん~、まあ近くにいれば、大丈夫だろう」
二人が波にたわむれている姿を、薄目を開けて見たシェルミアは満足そうに微笑んだ。
同行者達と賑やかに過ごしている者達がいれば、一人で過ごしている者達もいる。
アレンジメントフラワービキニを着ているマリィア・バルデス(ka5848)もその一人で、先に『守原屋』で食事を済ませた後、水出しコーヒーを入れたグラスと数冊の本を持って、簡易テーブル付きのビーチパラソルと一人分のビーチチェアが置いてある場所に来たのだ。
ビーチチェアに横になりながら、ウィクトーリア家から借りてきた本を何冊も読んでいる。
「……ふう、クリムゾンウェストの小説もなかなか面白いわね。恋愛物や推理物、若者向けとか簡単に読めそうな小説を選んだんだけど、結構夢中になれるわ」
プライベートビーチの近くにある貸別荘には書斎があり、様々なジャンルの本が置かれてあったのだ。
「海をガンガン泳ぐんじゃなくて、自分でもビックリするぐらいにゆっくりのんびりと過ごすのも悪くないわね。こういうのを命の洗濯と言うのかしら? ホント、良い息抜きになるわ」
チェアの上で大きく背伸びをすると、仲間達の楽しそうな声が波の音と共に聞こえてくる。
「良いBGMが聞こえてくるし、ちょっとお昼寝でもしようっと」
ミラーグラス・サンセットレッドをかけて、マリィアは眼を閉じた。
フリル付きのバンドゥビキニ水着を身に付けて、フラワーサンダルを履いている星野 ハナ(ka5852)は波打ち際ギリギリまで来ると、大きく息を吸い込む。そして――。
「強くてカッコイイ彼氏が欲しいぞ、こんちくしょー!」
と、プライベートビーチに来ている全員が一斉にこちらを見るほどの、雄叫びを上げる。
その時の衝撃で、かぶっていた花とリボン付きの麦わら帽子が飛んでいきそうになった。
「おっとと……。さて、『女性が一人で海に来た時のお約束』は済ませましたし、海の家・『守原屋』で食事も済ませましたぁ。とりあえず、スッキリしましたねぇ」
帽子を手で押さえながら、ハナはビーチを歩き出す。
「……正直、彼氏ができるかどうかは分かりませんしねぇ。相手の気持ち次第――というのが一番怖いんですよぉ。まあそれを誤魔化す為にいっぱい食べて飲んだんですけど……、このお腹はちょっとヤバいかもですぅ」
ハナは守原兄弟が驚くほど食べて飲んだせいで、お腹が少しぽっこりしているのだ。
「流石にこのお腹で彼に会うのはアレですし、食後の運動としてしばらくこうやって歩いていますか」
白いフリル付きの水着を着ているエルバッハ・リオン(ka2434)は、ビーチで準備運動をしている。するとふと、女性達の水着姿が眼に映った。
「いつもならああいう露出の激しい水着を着るんですけど、今日は可愛らしい水着にしてみました♪ 女性ハンターがよく通っていると言われているお店で、良いのが買えましたね」
女性ハンターの中には、一般の女性が購入できないようなサイズや形、色を求める者がいる。
最近ではそういった女性ハンター向けの店が出始めており、エルバッハもそこで水着を購入したのだ。
「さて、今日はせっかく一人で来たことですし、めいっぱい泳ぎましょう!」
エルバッハは準備運動を終えると早速海へ入り、いろいろな泳ぎ方をしながら満喫する。
疲れると海から出て、ビーチパラソルの中に入り、ビーチチェアに横になった。
「……全身がほぐれて、良い疲れを感じます。たまにはこういうのも良いものですねぇ」
ウトウトしはじめたエルバッハの眼に映ったのは、楽しそうに過ごしている仲間達の姿だ。
柔らかな笑みを浮かべたまま、エルバッハは夢の世界へと行く――。
骸香(ka6223)はビキニ水着の上に羽織・誠を着ながら、ゆっくりとビーチを散歩している。しかしその表情は、どこか暗い。
「たまには一人でのんびり過ごそうかと思ったんだけど……、やっぱり一人は切ない上に退屈だね。ナンパの一つでもされるかと思っていたんだけど、皆して相手がいるし」
少し苦く笑いながら、骸香は肩を竦めた。
すると頭の中に、愛しい男の姿が浮かぶ。
「……恋人がいてもこういう機会に一緒にいられないんじゃあ、一人身の時より寂しく感じちゃうね。案外『恋人』っていてもいなくても、寂しいものなのかも」
今度はしんみりと、ため息を吐いてしまう。
「でもまあ仲間達が幸せそうに楽しく過ごしているのを見ているのは、嫌ではないね。こうやって、ちょうど良い場所から見守れるのも良いもんよ」
骸香のその言葉は、強がりではなく本心から言っている。
「おや、あそこにある海の家から、美味しそうな匂いがしてくるね。お腹いっぱい食べたら、ビーチでお昼寝しようっかな」
楽しみを見つけた骸香は、明るい表情で『守原屋』へ向かった。
<終わり>
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物語の舞台裏 フィルメリア・クリスティア(ka3380) 人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/07/30 12:25:47 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/26 00:54:25 |