ゲスト
(ka0000)
【夜煌】おおきに屋の花探し
マスター:水貴透子

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2014/09/13 07:30
- 完成日
- 2014/09/20 11:59
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●伝統復活の兆し
ラッツィオ島の戦いも収束した頃、辺境は再び活性化しつつあった。
ここ数年、途絶えていた平安を願う祭事……『夜煌祭』の話が持ち上がったのだ。
数日のうちにその話は商人や部族間を伝い、辺境内の各所へと届いていく。
祭りに呼応するように、ここでも新たな動きが出たようだった――。
※※※
「浄化の花探し?」
おおきに屋のイルドに依頼されたのは、配送ではなく、花を探すというものだった。
何でも、夜煌祭で使用する浄化のための花が足りていないらしい。
「あと、お酒に漬け込むための花やセージも探してきて欲しいのです」
メモに書かれている花の名前を見て「ふむふむ、なるほどなるほど」とイルドは頷きながら呟く。
「俺の仕事は配送が主やけど、依頼されたら何でもやるのがおおきに屋や! あんじょうやるさかい、任せてや!」
ドン、と自分の胸を叩きながらイルドは出発しようとしたのだが、案内人に呼び止められる。
「雑魔の出現がないとも限りませんし、ハンターを要請してありますので一緒に行ってください」
「それに儀式用、お酒に漬け込むためのもの、花やセージはどれだけあっても問題ありませんし」
自分1人に任せられたのではない事を知り、少し肩を落とすが、雑魔が出る可能性があるのならば仕方ない。
「たーくさん持って帰ってくるから楽しみに待っとってや! 俺のリヤカーに山ほど積んで帰ってくるで!」
イルドは初めて与えられた大口の仕事に張り切りながら、ハンター達との待ち合わせ場所まで向かい始めた。
ラッツィオ島の戦いも収束した頃、辺境は再び活性化しつつあった。
ここ数年、途絶えていた平安を願う祭事……『夜煌祭』の話が持ち上がったのだ。
数日のうちにその話は商人や部族間を伝い、辺境内の各所へと届いていく。
祭りに呼応するように、ここでも新たな動きが出たようだった――。
※※※
「浄化の花探し?」
おおきに屋のイルドに依頼されたのは、配送ではなく、花を探すというものだった。
何でも、夜煌祭で使用する浄化のための花が足りていないらしい。
「あと、お酒に漬け込むための花やセージも探してきて欲しいのです」
メモに書かれている花の名前を見て「ふむふむ、なるほどなるほど」とイルドは頷きながら呟く。
「俺の仕事は配送が主やけど、依頼されたら何でもやるのがおおきに屋や! あんじょうやるさかい、任せてや!」
ドン、と自分の胸を叩きながらイルドは出発しようとしたのだが、案内人に呼び止められる。
「雑魔の出現がないとも限りませんし、ハンターを要請してありますので一緒に行ってください」
「それに儀式用、お酒に漬け込むためのもの、花やセージはどれだけあっても問題ありませんし」
自分1人に任せられたのではない事を知り、少し肩を落とすが、雑魔が出る可能性があるのならば仕方ない。
「たーくさん持って帰ってくるから楽しみに待っとってや! 俺のリヤカーに山ほど積んで帰ってくるで!」
イルドは初めて与えられた大口の仕事に張り切りながら、ハンター達との待ち合わせ場所まで向かい始めた。
リプレイ本文
●夜煌祭のために
「夜煌祭が一体どんな祭なのか気になりますね、ですがその祭を成功させるためにも、しっかり仕事をしましょう」
茅崎 颯(ka0005)はにっこりと微笑みながら「イルドさん、花を摘む場所とか、摘む花の特徴とか分かっていますか?」と言葉を付け足す。
「一応メモもらっとるんやけど、写し書きしてあるからみんなに資料として渡すで。まぁ、どんなに沢山の花を摘んでも、俺のリヤカーがあればゴロゴロ引いて持って帰れるけどな!」
イルド自慢のリヤカーを見せながら言葉を返す。
茅崎は渡されたメモを見ると、ある程度の場所、花の特徴などは書かれており、これなら目的地まで行けば、どの花を摘めばいいかなど迷う事は無さそうだ。
「お花を沢山集めるお仕事なんて、何だか素敵だな♪ 夜煌祭を成功させるためにも頑張らないと……! うぅ、何だか燃えてきたよー!」
天竜寺 詩(ka0396)もメモを受け取りながら、気合い十分といった様子だ。他にも彼女は花を枯らさないために手桶と浄化、儀式、酒用とすぐ分かるように三色の紐を要請している。
図鑑があれば、と思っていたがどうやらそれはなかったらしく、イルドから渡されたメモを頼りに摘むしかないらしい。
「夜煌祭かぁ……楽しみだね、お手伝い頑張っちゃうんだよ……それにしてもリヤカー、乗り心地いいのかな……? 寝ながら移動出来る素敵な乗り物になるかも……?」
ミウ・ミャスカ(ka0421)はジィッとイルドのリヤカーを見つめながらボソッと呟く。
「な、何考えてんの! あかんで! 俺のリヤカーは荷物専用や! 怪我人やったら士考えるけど、それ以外で人間は乗せんで!」
ミウの考えに気づいたのか、イルドは勢いよく首を振って否定する。
「……つまんないの」
唇を尖らせ、ミウはがっくりとうな垂れながら呟く。
「夜煌祭……辺境の巫女の1人として、絶対成功させたいです!」
Uisca Amhran(ka0754)はグッと手を強く握り締めながら呟く。
久しぶりに開催される夜煌祭、人々の希望にもなる儀式のため、彼女はどうしても成功させたい気持ちがあった。
「……どのようなお祭りなのか分かりませんが、多くの人に望まれているという事だけは分かりますね」
天央 観智(ka0896)は今回同じ任務についたハンター達、そして大掛かりな準備をする事から、この夜煌祭がどれほどの価値があるのか分かったような気がした。
「花なぁ……単価が低い、日持ちが悪い、栽培してねぇのなら安定供給も出来ない――ってので、あんま売り物としちゃあ低ランクなんだがね」
ベレティウス・グレイバー(ka1723)は小さなため息を吐きながら呟く。
「まぁ、夜煌祭で使うらしいし時期的にゃあ売れ筋って事になんのかねぇ?」
メモを見ながら、ベレティウスは呟き「ま、いっちょやってやりますか」と言葉を付け足した。
「イルドは久しいのぅ、相変わらず元気そうで何よりじゃ。おおきに屋は順調かの?」
ルリリィミルム(ka2221)はにっこりと微笑みながらイルドに言葉を投げかける。
「順調やで! このまま大企業になるんやないかと思うくらい順調やわ!」
「それは何よりじゃ、今回も手伝わせてもらう故、よろしくなのじゃ」
「おう! 俺も頑張って皆が集めた花を運ぶからさ!」
今回の仕事はそれなりに大きいものであり、イルドも緊張はしていたが、雑魔と戦うハンター達の方が緊張は強いと思い、それを表に出さないでいた。
「夜煌祭か、今回の花集めが成功しないと祭そのものの成功もありえないんだね。頑張ろう」
サントール・アスカ(ka2820)は小さく息を吐きながら呟く。
(それに、なんだかんだで俺は単に敵と戦うだけの仕事より、こんな誰かを……依頼人を守るバウンサー的な仕事の方が向いてるし、今回の仕事も頑張ろう……!)
サントールは心の中で呟き、それぞれ決意を胸に抱きながら、夜煌祭に使う花探しに出発したのだった――……。
●花探しの前に雑魔退治!
「そういえば道中に雑魔がいるんだったな」
ベレティウスが思い出したように呟く。
「そうなんや、雑魔さえおらんかったら俺1人でも花探しに行ったんやけど……さすがに、ほら、俺ってか弱い一般人やん? 1人で花探しとったら、それが弔いの花になってまうわ」
けらけらと笑いながらイルドが言葉を返し「おおきに屋ってのは、依頼されたら何でもやるんだろ? それくらいキバれや」とベレティウスが呆れたように呟く。
「いやいや、あんさん何言うてはりますのん。キバってどうにかなるもんやないやん……!」
ビシッとイルドはベレティウスにツッコミを入れる。
「相手を甘く見るつもりはありませんが、これだけ人数が揃っていますし最悪の事態にはならないと思いますよ」
茅崎が微笑みながらイルドに言葉を投げかける。
それはイルド自身も思っていた事であり、何よりハンター達を信用しているから。
「そういえば、今までどんなお仕事をしていたの?」
ウィスカはかくりと首を傾げながらイルドに問い掛ける。
「配送業やけど、基本的にどんな仕事でも受けるで。何か届けて欲しいもんあったら、特別に格安で受けたってもええよ?」
「ふふっ、それでは何かの折には頼らせてもらうね」
「……雑魔、来たよ」
ミウはピタリと歩みを止め、前方を見る。
すると2匹の狼型雑魔がハンター達を見ながら唸り声をあげている姿が見えた。
ハンター達は即座に雑魔攻撃に向かう者、イルドの護衛をする者に分かれ、道を阻む雑魔を排除するために動き始めた。
最初に攻撃を仕掛けたのは茅崎だった。彼は『リボルバー』を構え、スキルを駆使しながら雑魔に向けて射撃を行う。
ベレティウスも『魔導銃・シルバーバレット』で射撃を行いながら雑魔との距離を詰め、雑魔との距離が近くなると『テブテジュ・海魔』に武器を持ち変え、大きく振りかぶる。
前衛でハンター達が戦っている時、天竜寺は『リュミエールボウ』で雑魔に矢を放つ。
「わたし達、これからお花を探しに行かなきゃいけないの……だから、消えてほしいんだよ」
ミウは『バゼラード』を振りかぶり、スキルを駆使しながら雑魔に斬りかかる。幼い外見からは想像出来ないほどの強力な一撃に、帰りはリヤカーで寝かせたろかな、とイルドに想わせるほどだった。
「白竜の巫女、なめんな――です!」
ウィスカは『ホーリーライト』を使用して、雑魔に攻撃を仕掛ける。
弱くはないが、決して強くもない雑魔であり、ハンター達はそれぞれ連携をしながら雑魔を追い詰め、天央の『マジックアロー』で最後の1匹にトドメを刺したのだった。
「はー、2匹おるからもう少し時間掛かるかと思ってたけど……そないな事なかったな」
イルドは感心したように目を輝かせながらハンター達に言葉を投げかける。
「今回は花探しがメインですからね、雑魔退治に時間なんて掛けていられませんよ」
「……おお、何やカッコイイこと言うやん! 俺も花運び頑張るで!」
「頼もしいですね、ですがそのリヤカーではちょっと花運びは無理っぽそうなのでちょっと改造させてもらいますね」
天央はすちゃっと持って来た道具でイルドのリヤカーに仕切りなどを作っていく。確かに仕切りがあった方が花を入れた手桶も倒れず、依頼達成のためにはいいのかもしれない。
「……お、俺のマイリヤカーが勝手に改造されてもうた……」
「大袈裟ですよ、すぐ取れる仕切りだけつけただけじゃないですか」
イルドの大袈裟な落ち込みぶりに天央も苦笑気味に呟く。
「さて、それじゃメインの仕事をしに行きますか」
茅崎が呟き、ハンター達は森を目指して歩き始めた。
●花を集めましょう
ハンター達は3つの班に分かれて、それぞれで花を探す作戦を立てていた。
A班・ルリリィミルム、ウィスカ、ベレティウスの3名
B班・茅崎、サントール、イルドの3名。
C班・天竜寺、天央、ミウの3名。
それぞれの班で浄化、儀式、酒に使う花を探す事にして、なるべく多くの花を集める――と決めている。
「さて、それでは夜煌祭用の花探しに参るとしようかの」
ルリリィミルムの言葉を合図に、ハンター達はそれぞれ各班に分かれて行動を開始した。
※A班
「セージ、今は咲いておらん時期かの? 花もどれくらいの量が必要か分からぬが、量はあればあるほど良いじゃろう」
ルリリィミルムは『魔導短伝話』で他の班と連絡を取り合いながら、花を探していく。
「浄化の花は水に近い場所に自生していることが多いから、他の班にも伝えておくね。この森、結構幾つか水場があるみたいだから」
ウィスカは泉周辺に咲いている花を摘みながら呟く。巫女としての経験が、今回の夜煌祭の準備に役立っているのだろう。
「~~♪~~♪」
「楽しそうだな。花摘みがそんなに好きなのか?」
鼻歌を歌いながら花を摘むウィスカにベレティウスが不思議そうに問いかける。
「もちろん花摘みも好きだけど、夜煌祭が開催される事が嬉しいの」
ウィスカは満面の笑みを浮かべながらベレティウスの言葉に答える。
「確かにその気持ちは分かるの、我も心が高揚しておるからの」
「なるほどねぇ」
2人が楽しそうな理由が分かり、ベレティウスは再び花を見極める作業に戻る。商人のクセで花の傷み具合、大きさ、価値などで摘む花を目利きしていく。
「おや、この花は摘まないのかえ?」
「これは根っこの方がダメになっているから、恐らく摘んでも役に立たないだろう。それなら、花の命が尽きるまでここに咲かせておいてやろうと思ってな」
「ほぅ、存外優しい性格を持っておるのじゃな」
ルリリィミルムのからかうような言葉に、ベレティウスは少し照れたように頬を赤らめながら、花を摘んでいく手の動きを速めていた。
※B班
「この辺ですね、花の香りが良いですね」
茅崎は花が咲いている場所を見つけ、その自然の香りに頬が弛む。
夜煌祭のためとはいえ、花を大量に摘むのは心苦しかったが、それでも仕事と割り切って、たくましく咲いている花に手を伸ばす。
「あれ? 何しとるん? 持って帰るんは土やのうて花なんやで?」
サントールは予めイルドに用意してもらっていた袋に土を入れ、ミネラルウォーターを流し込み、袋の中の土を湿らせている。
「どうせ採るなら長持ちさせた方が植物の新鮮さも違うからね。根っこごと持って帰るんだ」
穴を掘り、根っこごと花を採って袋の中に入れていく。
「へぇ、そないな方法があるなんて考えもせんかったわ」
「この辺は園芸好きの腕の見せ所ってコトで」
イルドは感心しながらサントールが花を採る所を見ている。
その時、少し離れた場所からライトでの合図があった。
合図を行ったのは茅崎であり、手桶いっぱいの花を摘んだから回収に来てくれ、というものだった。
これは予め茅崎とイルドが打ち合わせをしていて、色によってイルドに出す指示を違えて、少しでも迅速に行動出来るようにとしていた。
「もうこないに花を摘んだん? 俺、まだまだやで……」
イルドの持つ手桶にはまだ少しの花しか入っておらず、少し慌てたように呟く。
「イルドさんは回収作業などもお任せしておりますし、それに私達は班なんですから、みんなで分担して花を摘めば大丈夫でしょう。もう少し摘んだら、イルドさんの分のお手伝いもしますよ」
茅崎はにっこりと微笑みながら呟くけど「いや、あかん! 俺も自分に与えられた役割くらいきちんとするわ、戦いも花摘みも任せるなんて甘えたくないからな」とニッと笑った後、いっぱいになった手桶を持ってリヤカーの元へと向かって行く。
イルドなりに色々と考えているのだろう、と茅崎は心の中で呟いていた。
「あれ?」
イルドがリヤカーに花の入った手桶を入れた時、サントールは植物のスケッチをしていた。
「何しとるん?」
「記録を残すみたいな感じでスケッチしているんだよ。また同じような儀式があった時、どんな花を使ったか分かるようにね、あ、もちろんちゃんと花は摘んでるから安心して」
「……何か、皆色々と考えとるんやなぁ」
※C班
「リアルブルーと同じ花があればいいんだけど……でも、結構植物とか見覚えのあるものがあったりするんだよね、お酒に浸けこむようの花もちらほら見かけるし」
天竜寺は風に揺れる花々を見つめながら呟く。
「これって、浄化用のお花に使えるよね……」
メモに書いてある花を幾つか発見して、ミウは水の入った手桶に摘んだ花を入れていく。
「セージのお茶、眠れない時に飲むといいんだよね……でも、ミウはちょっとお日様ぽかぽかだし、セージがなくても今すぐ眠れそう……」
ミウは欠伸を噛み殺しながら呟く。
「こっちにも花が沢山咲いていますよ、もしそちらで足りないようならこちらで摘むのもいいかもしれません」
天央は天竜寺とミウに声を掛ける。
どうやら、この森は普段から多くの花々が咲いている場所らしく、かなりの量を採ったとしても、ここの自然が崩れる事はないだろう。
その事に安堵しながら、天央は花を摘んでいく。
「あんまり押し込めるように入れたらいけませんよね、ふんわりと袋に入れていく感じでしょうか……」
天央は呟きながら、花が傷つかないように優しく袋に花を入れていく。
(あんまり遅くなるといけませんし、ある程度の量を採ったら帰る事も考えなくては)
もちろん雑魔が現れてもいいように、天央を始め、花探しを行っているハンターは周りへの警戒を強めている。
「よし、水桶の方はこれでいいかな? あとはこっちの袋にもう少し花を入れて……」
天竜寺が呟くと「ミウが沢山採ったから大丈夫じゃない?」と摘んだ花を持って移動するミウが話しかけてくる。
「あ、本当だ……他の班も結構採ったみたいだし、そろそろ帰る準備をしようか」
「……ふぁ、なんか眠くなってきちゃった」
●お疲れ様!
ハンター達が集めた花は、通常の3倍ほど。
これならば夜煌祭に使う花は十分すぎるほど集まっている。
「お疲れ様や、あぁ、余った花で多めに酒を作るらしいで。あと酒が飲めん子供用に花を付けこんだジュースとかな。逆に依頼人も喜んどったわ、俺も手伝わせてくれてありがとな!」
ハンター達は花の香りを身に纏わせながら、最後にハンターオフィスに報告に向かうのだった。
END
「夜煌祭が一体どんな祭なのか気になりますね、ですがその祭を成功させるためにも、しっかり仕事をしましょう」
茅崎 颯(ka0005)はにっこりと微笑みながら「イルドさん、花を摘む場所とか、摘む花の特徴とか分かっていますか?」と言葉を付け足す。
「一応メモもらっとるんやけど、写し書きしてあるからみんなに資料として渡すで。まぁ、どんなに沢山の花を摘んでも、俺のリヤカーがあればゴロゴロ引いて持って帰れるけどな!」
イルド自慢のリヤカーを見せながら言葉を返す。
茅崎は渡されたメモを見ると、ある程度の場所、花の特徴などは書かれており、これなら目的地まで行けば、どの花を摘めばいいかなど迷う事は無さそうだ。
「お花を沢山集めるお仕事なんて、何だか素敵だな♪ 夜煌祭を成功させるためにも頑張らないと……! うぅ、何だか燃えてきたよー!」
天竜寺 詩(ka0396)もメモを受け取りながら、気合い十分といった様子だ。他にも彼女は花を枯らさないために手桶と浄化、儀式、酒用とすぐ分かるように三色の紐を要請している。
図鑑があれば、と思っていたがどうやらそれはなかったらしく、イルドから渡されたメモを頼りに摘むしかないらしい。
「夜煌祭かぁ……楽しみだね、お手伝い頑張っちゃうんだよ……それにしてもリヤカー、乗り心地いいのかな……? 寝ながら移動出来る素敵な乗り物になるかも……?」
ミウ・ミャスカ(ka0421)はジィッとイルドのリヤカーを見つめながらボソッと呟く。
「な、何考えてんの! あかんで! 俺のリヤカーは荷物専用や! 怪我人やったら士考えるけど、それ以外で人間は乗せんで!」
ミウの考えに気づいたのか、イルドは勢いよく首を振って否定する。
「……つまんないの」
唇を尖らせ、ミウはがっくりとうな垂れながら呟く。
「夜煌祭……辺境の巫女の1人として、絶対成功させたいです!」
Uisca Amhran(ka0754)はグッと手を強く握り締めながら呟く。
久しぶりに開催される夜煌祭、人々の希望にもなる儀式のため、彼女はどうしても成功させたい気持ちがあった。
「……どのようなお祭りなのか分かりませんが、多くの人に望まれているという事だけは分かりますね」
天央 観智(ka0896)は今回同じ任務についたハンター達、そして大掛かりな準備をする事から、この夜煌祭がどれほどの価値があるのか分かったような気がした。
「花なぁ……単価が低い、日持ちが悪い、栽培してねぇのなら安定供給も出来ない――ってので、あんま売り物としちゃあ低ランクなんだがね」
ベレティウス・グレイバー(ka1723)は小さなため息を吐きながら呟く。
「まぁ、夜煌祭で使うらしいし時期的にゃあ売れ筋って事になんのかねぇ?」
メモを見ながら、ベレティウスは呟き「ま、いっちょやってやりますか」と言葉を付け足した。
「イルドは久しいのぅ、相変わらず元気そうで何よりじゃ。おおきに屋は順調かの?」
ルリリィミルム(ka2221)はにっこりと微笑みながらイルドに言葉を投げかける。
「順調やで! このまま大企業になるんやないかと思うくらい順調やわ!」
「それは何よりじゃ、今回も手伝わせてもらう故、よろしくなのじゃ」
「おう! 俺も頑張って皆が集めた花を運ぶからさ!」
今回の仕事はそれなりに大きいものであり、イルドも緊張はしていたが、雑魔と戦うハンター達の方が緊張は強いと思い、それを表に出さないでいた。
「夜煌祭か、今回の花集めが成功しないと祭そのものの成功もありえないんだね。頑張ろう」
サントール・アスカ(ka2820)は小さく息を吐きながら呟く。
(それに、なんだかんだで俺は単に敵と戦うだけの仕事より、こんな誰かを……依頼人を守るバウンサー的な仕事の方が向いてるし、今回の仕事も頑張ろう……!)
サントールは心の中で呟き、それぞれ決意を胸に抱きながら、夜煌祭に使う花探しに出発したのだった――……。
●花探しの前に雑魔退治!
「そういえば道中に雑魔がいるんだったな」
ベレティウスが思い出したように呟く。
「そうなんや、雑魔さえおらんかったら俺1人でも花探しに行ったんやけど……さすがに、ほら、俺ってか弱い一般人やん? 1人で花探しとったら、それが弔いの花になってまうわ」
けらけらと笑いながらイルドが言葉を返し「おおきに屋ってのは、依頼されたら何でもやるんだろ? それくらいキバれや」とベレティウスが呆れたように呟く。
「いやいや、あんさん何言うてはりますのん。キバってどうにかなるもんやないやん……!」
ビシッとイルドはベレティウスにツッコミを入れる。
「相手を甘く見るつもりはありませんが、これだけ人数が揃っていますし最悪の事態にはならないと思いますよ」
茅崎が微笑みながらイルドに言葉を投げかける。
それはイルド自身も思っていた事であり、何よりハンター達を信用しているから。
「そういえば、今までどんなお仕事をしていたの?」
ウィスカはかくりと首を傾げながらイルドに問い掛ける。
「配送業やけど、基本的にどんな仕事でも受けるで。何か届けて欲しいもんあったら、特別に格安で受けたってもええよ?」
「ふふっ、それでは何かの折には頼らせてもらうね」
「……雑魔、来たよ」
ミウはピタリと歩みを止め、前方を見る。
すると2匹の狼型雑魔がハンター達を見ながら唸り声をあげている姿が見えた。
ハンター達は即座に雑魔攻撃に向かう者、イルドの護衛をする者に分かれ、道を阻む雑魔を排除するために動き始めた。
最初に攻撃を仕掛けたのは茅崎だった。彼は『リボルバー』を構え、スキルを駆使しながら雑魔に向けて射撃を行う。
ベレティウスも『魔導銃・シルバーバレット』で射撃を行いながら雑魔との距離を詰め、雑魔との距離が近くなると『テブテジュ・海魔』に武器を持ち変え、大きく振りかぶる。
前衛でハンター達が戦っている時、天竜寺は『リュミエールボウ』で雑魔に矢を放つ。
「わたし達、これからお花を探しに行かなきゃいけないの……だから、消えてほしいんだよ」
ミウは『バゼラード』を振りかぶり、スキルを駆使しながら雑魔に斬りかかる。幼い外見からは想像出来ないほどの強力な一撃に、帰りはリヤカーで寝かせたろかな、とイルドに想わせるほどだった。
「白竜の巫女、なめんな――です!」
ウィスカは『ホーリーライト』を使用して、雑魔に攻撃を仕掛ける。
弱くはないが、決して強くもない雑魔であり、ハンター達はそれぞれ連携をしながら雑魔を追い詰め、天央の『マジックアロー』で最後の1匹にトドメを刺したのだった。
「はー、2匹おるからもう少し時間掛かるかと思ってたけど……そないな事なかったな」
イルドは感心したように目を輝かせながらハンター達に言葉を投げかける。
「今回は花探しがメインですからね、雑魔退治に時間なんて掛けていられませんよ」
「……おお、何やカッコイイこと言うやん! 俺も花運び頑張るで!」
「頼もしいですね、ですがそのリヤカーではちょっと花運びは無理っぽそうなのでちょっと改造させてもらいますね」
天央はすちゃっと持って来た道具でイルドのリヤカーに仕切りなどを作っていく。確かに仕切りがあった方が花を入れた手桶も倒れず、依頼達成のためにはいいのかもしれない。
「……お、俺のマイリヤカーが勝手に改造されてもうた……」
「大袈裟ですよ、すぐ取れる仕切りだけつけただけじゃないですか」
イルドの大袈裟な落ち込みぶりに天央も苦笑気味に呟く。
「さて、それじゃメインの仕事をしに行きますか」
茅崎が呟き、ハンター達は森を目指して歩き始めた。
●花を集めましょう
ハンター達は3つの班に分かれて、それぞれで花を探す作戦を立てていた。
A班・ルリリィミルム、ウィスカ、ベレティウスの3名
B班・茅崎、サントール、イルドの3名。
C班・天竜寺、天央、ミウの3名。
それぞれの班で浄化、儀式、酒に使う花を探す事にして、なるべく多くの花を集める――と決めている。
「さて、それでは夜煌祭用の花探しに参るとしようかの」
ルリリィミルムの言葉を合図に、ハンター達はそれぞれ各班に分かれて行動を開始した。
※A班
「セージ、今は咲いておらん時期かの? 花もどれくらいの量が必要か分からぬが、量はあればあるほど良いじゃろう」
ルリリィミルムは『魔導短伝話』で他の班と連絡を取り合いながら、花を探していく。
「浄化の花は水に近い場所に自生していることが多いから、他の班にも伝えておくね。この森、結構幾つか水場があるみたいだから」
ウィスカは泉周辺に咲いている花を摘みながら呟く。巫女としての経験が、今回の夜煌祭の準備に役立っているのだろう。
「~~♪~~♪」
「楽しそうだな。花摘みがそんなに好きなのか?」
鼻歌を歌いながら花を摘むウィスカにベレティウスが不思議そうに問いかける。
「もちろん花摘みも好きだけど、夜煌祭が開催される事が嬉しいの」
ウィスカは満面の笑みを浮かべながらベレティウスの言葉に答える。
「確かにその気持ちは分かるの、我も心が高揚しておるからの」
「なるほどねぇ」
2人が楽しそうな理由が分かり、ベレティウスは再び花を見極める作業に戻る。商人のクセで花の傷み具合、大きさ、価値などで摘む花を目利きしていく。
「おや、この花は摘まないのかえ?」
「これは根っこの方がダメになっているから、恐らく摘んでも役に立たないだろう。それなら、花の命が尽きるまでここに咲かせておいてやろうと思ってな」
「ほぅ、存外優しい性格を持っておるのじゃな」
ルリリィミルムのからかうような言葉に、ベレティウスは少し照れたように頬を赤らめながら、花を摘んでいく手の動きを速めていた。
※B班
「この辺ですね、花の香りが良いですね」
茅崎は花が咲いている場所を見つけ、その自然の香りに頬が弛む。
夜煌祭のためとはいえ、花を大量に摘むのは心苦しかったが、それでも仕事と割り切って、たくましく咲いている花に手を伸ばす。
「あれ? 何しとるん? 持って帰るんは土やのうて花なんやで?」
サントールは予めイルドに用意してもらっていた袋に土を入れ、ミネラルウォーターを流し込み、袋の中の土を湿らせている。
「どうせ採るなら長持ちさせた方が植物の新鮮さも違うからね。根っこごと持って帰るんだ」
穴を掘り、根っこごと花を採って袋の中に入れていく。
「へぇ、そないな方法があるなんて考えもせんかったわ」
「この辺は園芸好きの腕の見せ所ってコトで」
イルドは感心しながらサントールが花を採る所を見ている。
その時、少し離れた場所からライトでの合図があった。
合図を行ったのは茅崎であり、手桶いっぱいの花を摘んだから回収に来てくれ、というものだった。
これは予め茅崎とイルドが打ち合わせをしていて、色によってイルドに出す指示を違えて、少しでも迅速に行動出来るようにとしていた。
「もうこないに花を摘んだん? 俺、まだまだやで……」
イルドの持つ手桶にはまだ少しの花しか入っておらず、少し慌てたように呟く。
「イルドさんは回収作業などもお任せしておりますし、それに私達は班なんですから、みんなで分担して花を摘めば大丈夫でしょう。もう少し摘んだら、イルドさんの分のお手伝いもしますよ」
茅崎はにっこりと微笑みながら呟くけど「いや、あかん! 俺も自分に与えられた役割くらいきちんとするわ、戦いも花摘みも任せるなんて甘えたくないからな」とニッと笑った後、いっぱいになった手桶を持ってリヤカーの元へと向かって行く。
イルドなりに色々と考えているのだろう、と茅崎は心の中で呟いていた。
「あれ?」
イルドがリヤカーに花の入った手桶を入れた時、サントールは植物のスケッチをしていた。
「何しとるん?」
「記録を残すみたいな感じでスケッチしているんだよ。また同じような儀式があった時、どんな花を使ったか分かるようにね、あ、もちろんちゃんと花は摘んでるから安心して」
「……何か、皆色々と考えとるんやなぁ」
※C班
「リアルブルーと同じ花があればいいんだけど……でも、結構植物とか見覚えのあるものがあったりするんだよね、お酒に浸けこむようの花もちらほら見かけるし」
天竜寺は風に揺れる花々を見つめながら呟く。
「これって、浄化用のお花に使えるよね……」
メモに書いてある花を幾つか発見して、ミウは水の入った手桶に摘んだ花を入れていく。
「セージのお茶、眠れない時に飲むといいんだよね……でも、ミウはちょっとお日様ぽかぽかだし、セージがなくても今すぐ眠れそう……」
ミウは欠伸を噛み殺しながら呟く。
「こっちにも花が沢山咲いていますよ、もしそちらで足りないようならこちらで摘むのもいいかもしれません」
天央は天竜寺とミウに声を掛ける。
どうやら、この森は普段から多くの花々が咲いている場所らしく、かなりの量を採ったとしても、ここの自然が崩れる事はないだろう。
その事に安堵しながら、天央は花を摘んでいく。
「あんまり押し込めるように入れたらいけませんよね、ふんわりと袋に入れていく感じでしょうか……」
天央は呟きながら、花が傷つかないように優しく袋に花を入れていく。
(あんまり遅くなるといけませんし、ある程度の量を採ったら帰る事も考えなくては)
もちろん雑魔が現れてもいいように、天央を始め、花探しを行っているハンターは周りへの警戒を強めている。
「よし、水桶の方はこれでいいかな? あとはこっちの袋にもう少し花を入れて……」
天竜寺が呟くと「ミウが沢山採ったから大丈夫じゃない?」と摘んだ花を持って移動するミウが話しかけてくる。
「あ、本当だ……他の班も結構採ったみたいだし、そろそろ帰る準備をしようか」
「……ふぁ、なんか眠くなってきちゃった」
●お疲れ様!
ハンター達が集めた花は、通常の3倍ほど。
これならば夜煌祭に使う花は十分すぎるほど集まっている。
「お疲れ様や、あぁ、余った花で多めに酒を作るらしいで。あと酒が飲めん子供用に花を付けこんだジュースとかな。逆に依頼人も喜んどったわ、俺も手伝わせてくれてありがとな!」
ハンター達は花の香りを身に纏わせながら、最後にハンターオフィスに報告に向かうのだった。
END
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 7人 |
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/10 07:02:53 |
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相談用 サントール・アスカ(ka2820) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/09/13 00:55:38 |