ゲスト
(ka0000)
クルセイダーの救援
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/08/23 07:30
- 完成日
- 2016/08/27 11:07
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
(畜生、俺としたことが……)
(やべえよぉやべえよぉ……)
(あひぃぃぃオイラたちついにお終いだあああ……)
様々な嘆きの声が荒野にこだまする。
(わたし達、どうなっちゃうの?)
(出して、出してよ!)
人間達が耳にしたら気にならずにはおれない悲嘆の声。
(どうにか出られないのか?)
(無理だ……狭すぎる……)
しかし、彼らの鳴き声に反応する人間はいなかった。
そう。人間は。
「うるさいメェ! 騒ぐと今すぐ殺すメェ!」
側にいる一体の異形が大声をあげ、ニャアニャアうるさい猫たちに凄む。
言葉が分かっているのか、木の檻に閉じ込められている彼らはぴたりとざわめきを止めた。
静かになった檻の中を満足気に見て、異形は不気味な笑みを浮かべた。
一言で表現するとそいつは二足歩行の羊だった。しかもその異形は一体だけではない。二十を超えている。
檻をかついでいる者達を除くと全員が手に巨大な斧や剣を持っていた。夜道で出会ったらトラウマになりそうな不気味な集団だった。
彼らは幻獣……ではない。歪虚だ。
そして哀れにもこの歪虚に捕まって檻に入れられているのは無数の猫たち。
彼らはユグディラ。見た目は猫だが人語を解する知恵を持ち、独自の文化を築いている。羊の化け物とは違い、れっきとした幻獣だ。
檻の中にいるユグディラの中の一匹、茶トラ柄の猫と、そして彼の子分である二匹の猫はお互いに顔を見合わせた。
リンダールの森を棲家とする彼らは、ある日いきなりこの羊の姿をした化け物の襲撃を受け、捕まってしまったのである。
檻の中にはリンダールの森に住むほかのユグディラ達も入れられていた。
(まだだ、まだ逃げるチャンスはあるはずだ……)
子分たちと違い、茶トラはまだ諦めていなかった。
どこに向かっているのかは知らないが、いつかは檻の扉が開く時が来る。ならばその時に素早く逃げ出すことが出来れば。子分たちがついてこれるか心配だが、やるしかない。
それにひょっとしたら……。
ふとライバル視している黒ユグディラ、そしてあまつさえ以前助けてもらった人間のことを考えてしまい、弱気になるなと己を叱咤する。
不気味な一行と哀れな獲物達は、今は静かに荒野を進む。
●
「あれですわね」
銀髪の少女ロザリーの呟きに、彼女と一緒に馬に乗っている黒い猫がこくりと頷いた。彼ももちろんユグディラである。
羊の化け物たちの襲撃を受けた際、間一髪逃れた彼は助けを求めていた。かつて、ゴブリンの群れから自分たちを救ってくれたハンター達に。
幸い知り合いであるロザリーを含め、ハンター達にコンタクトを取ることに成功した。
軍馬等のさまざまな移動手段を駆使し、ようやく歪虚の集団に追いついたというわけだ。
ロザリーはついて来てくれた仲間のハンター達を振り返る。
「幸い、まだ気付かれていないようですわ……彼らを無事に助け出しましょう!」
(畜生、俺としたことが……)
(やべえよぉやべえよぉ……)
(あひぃぃぃオイラたちついにお終いだあああ……)
様々な嘆きの声が荒野にこだまする。
(わたし達、どうなっちゃうの?)
(出して、出してよ!)
人間達が耳にしたら気にならずにはおれない悲嘆の声。
(どうにか出られないのか?)
(無理だ……狭すぎる……)
しかし、彼らの鳴き声に反応する人間はいなかった。
そう。人間は。
「うるさいメェ! 騒ぐと今すぐ殺すメェ!」
側にいる一体の異形が大声をあげ、ニャアニャアうるさい猫たちに凄む。
言葉が分かっているのか、木の檻に閉じ込められている彼らはぴたりとざわめきを止めた。
静かになった檻の中を満足気に見て、異形は不気味な笑みを浮かべた。
一言で表現するとそいつは二足歩行の羊だった。しかもその異形は一体だけではない。二十を超えている。
檻をかついでいる者達を除くと全員が手に巨大な斧や剣を持っていた。夜道で出会ったらトラウマになりそうな不気味な集団だった。
彼らは幻獣……ではない。歪虚だ。
そして哀れにもこの歪虚に捕まって檻に入れられているのは無数の猫たち。
彼らはユグディラ。見た目は猫だが人語を解する知恵を持ち、独自の文化を築いている。羊の化け物とは違い、れっきとした幻獣だ。
檻の中にいるユグディラの中の一匹、茶トラ柄の猫と、そして彼の子分である二匹の猫はお互いに顔を見合わせた。
リンダールの森を棲家とする彼らは、ある日いきなりこの羊の姿をした化け物の襲撃を受け、捕まってしまったのである。
檻の中にはリンダールの森に住むほかのユグディラ達も入れられていた。
(まだだ、まだ逃げるチャンスはあるはずだ……)
子分たちと違い、茶トラはまだ諦めていなかった。
どこに向かっているのかは知らないが、いつかは檻の扉が開く時が来る。ならばその時に素早く逃げ出すことが出来れば。子分たちがついてこれるか心配だが、やるしかない。
それにひょっとしたら……。
ふとライバル視している黒ユグディラ、そしてあまつさえ以前助けてもらった人間のことを考えてしまい、弱気になるなと己を叱咤する。
不気味な一行と哀れな獲物達は、今は静かに荒野を進む。
●
「あれですわね」
銀髪の少女ロザリーの呟きに、彼女と一緒に馬に乗っている黒い猫がこくりと頷いた。彼ももちろんユグディラである。
羊の化け物たちの襲撃を受けた際、間一髪逃れた彼は助けを求めていた。かつて、ゴブリンの群れから自分たちを救ってくれたハンター達に。
幸い知り合いであるロザリーを含め、ハンター達にコンタクトを取ることに成功した。
軍馬等のさまざまな移動手段を駆使し、ようやく歪虚の集団に追いついたというわけだ。
ロザリーはついて来てくれた仲間のハンター達を振り返る。
「幸い、まだ気付かれていないようですわ……彼らを無事に助け出しましょう!」
リプレイ本文
●
「……羊が猫を誘拐、とかいうと訳が分からない状況よね。まあそれは置いておいて、早くユグディラたちを森の中に帰してあげなくちゃ」
ティス・フュラー(ka3006)は馬上でひとりごちる。彼女の視界に映っているのは荒野を二足歩行で歩く羊歪虚の群れと、それに捕まって檻の中に入れられている猫の幻獣、ユグディラ達だ。
「それにしても……羊か。ベリアルってどうなったのかしら……いや、今は関係ないわね」
羊の歪虚といえば、このグラズヘイム王国にとって因縁のある相手のことが嫌でも思い浮かんでしまうのだが……ティスは言葉とともにかぶりを振り、余計な考えを頭から追い出した。
「さて、今回やることは二つ……羊歪虚の撃破と、ユグディラの救出ね。どっちかっていうとユグディラ救出の方が大事かしら? 勿論両方きちんとやるつもりではあるけど」
ティスは檻をかついでいる歪虚を見据えた。
「ユグディラの奴らも今回はとんだ災難だったな。恩を着せるつもりはないが、これで少しはいたずらを控えてくれるようになれば、御の字か。とりあえず、俺も全力で当たらせて貰おう」
Anbar(ka4037)は依頼人である黒いユグディラとロザリーの側で待機している。なお、ロザリーはAnbarが想いを寄せる相手だ。
「どうも『あの子たち』とは縁があるみたいね。まあいいけど。人助けはハンターの仕事の基本でしょ。……だから猫好きじゃないってば」
キサ・I・アイオライト(ka4355)は猫好きではないと公言しているが、結果としてユグディラを助けたことが多い。
「羊が一匹羊が二匹……数えているだけで血が騒いでたまらん」
遠くに見える羊歪虚の群れをカウントしながらそう呟くのは不動シオン(ka5395)。
戦わずして生きていけない悪い意味で常在戦場の彼女にとっては、目の前の羊型歪虚を数えているだけで眠くなるどころか戦意が高揚していた。
敵は白い羊が20体。赤い羊が5体。
「…歪虚羊ってユグディラちゃんを食べるんでしょぉかぁ? なんで運んでるんしょぉ?」
と可愛く首をかしげながら、星野 ハナ(ka5852)は脳内で羊歪虚を全ブッコロする算段を立てていた。
ハナはロザリーの馬に乗っている黒いユグディラの側に近づく。
「黒ディラちゃん、例えば私たちの吶喊がギリギリまで気付かれないよう幻術をかぶせるとかぁ、別方向から吶喊する人を隠すとかってできますぅ? 檻の中のユグディラちゃん達の安全を確保するためにぃ、敵がユグディラちゃん達を人質にする前に迅速に制圧したいんですぅ」
ハナの質問に、黒ユグディラが両の前足をバッテンするかのようなジェスチャーをした。
さすがにそれは不可能らしい。
「では出来る範囲でお願いしますぅ」
ハナはそういうと元の隊列に戻る。
ハンター達は迅速に行動を開始した。
●
「敵襲だメェ!」
同胞の叫び声に羊歪虚たちは首を巡らせた。
馬に跨り、こちらへと駆けて来る人間の一団が見える。明らかに敵対行動だ。
ユグディラを入れた檻を担いでいる者も、迎撃に加わる為に一旦檻を地面へと下ろす。
そこに雷光がほとばしり、檻から手を放したばかりの歪虚を撃った。
ティスが放ったライトニングボルトである。
雷の直線状にいた歪虚達は全員激しく吹き飛ばされたが、他の羊達は素早く態勢を整えた。
「なるほど、あれですか。急ぎませんと面倒なことになりそうですね」
アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が檻の中の幻獣を見て呟き、覚醒状態へと変化すると馬の速度を上げた。
「……俺が突破口を開く。後は任せたぜ!」
「お願いしますわ! Anbarさん!」
アデリシア、Anbar、ロザリーの三人が先頭となって羊の群れへと突っ込む。
「後衛だろうと女は度胸、行きますよぅまーちゃん!」
ハナも愛馬の名を呼びながら馬を走らせた。キサとシオンも徒歩ながらその後に続く。
たちまち白刃がひらめき、双方の怒号があがる。
「…メェ…」
そこに響く羊の声。
「…メェー……」
しかし、可愛い羊を思わせるその声は彼ら歪虚のものではない。
「メェェェェェェェェエエエエエエエエエ!!!!!」
可愛い羊の鳴き声が急にデスボイスになると同時に、羊歪虚の群れにファイアーボールがぶち込まれた。
(なんと今日は羊が敵だ。私の服装には羊と鹿とエランドの頭蓋骨を取り入れているため、とても奇遇だな……丁度……新しい新鮮ほやほやな頭が欲しかったんだ。あの中で一番強い奴の頭を貰うとしよう……)
先ほど羊の声を出していたのはチマキマル(ka4372)。ファイアーボールをぶちかましたのは彼だ。
(骨はいくらあっても良い……綺麗に綺麗に取り出さねば)
チマキマルは次の魔法の詠唱を開始した。
アメリア・フォーサイス(ka4111)はスナイパーライフル「ルーナマーレ」を構え、羊の群れに制圧射撃を見舞う。
羊達は弾幕に恐れをなし、足が動かない。
その機に敵の側を駆け抜けたのはハナ。
「ユグディラちゃん達ぃ、なるべく頭を庇って身を低くしていて下さいぃ」
ハナが言葉とともに複数の符をばらまいた。それはたちまち光の結界を形作り、檻の近くにいる羊を焼く。符術師のスキル、五色光符陣である。
のけぞる羊をアデリシアの八角棍「紫電」が襲った。棍に打たれ、歪虚は大きくふっとぶ。
さらにシオンの拳銃が火を吹き、アデリシアを援護する。
アデリシアが檻の中を覗き込むと、中の猫たちはにゃあにゃあ訴えかけた。どうやら無事らしい。
大人しくしているのだぞ、と猫たちに言い含め、アデリシアはディヴァインウィルを行使した。不可視の結界を張り、意思の弱い者を近づけないようにするスキルである。
アデリシアとユグディラ達の下へと駆け寄ろうとした数体の白い羊歪虚はその足が止まった。アデリシアに気圧され、前進できないのだ。
「これで片付けば楽だが、ちと数が多いか……あまり長く効果は続かん。できるかぎり急いでくれ」
結界を張っているアデリシアはそう呟き、仲間の奮闘を祈る。
ユグディラ達も毛を逆立たせ、プレッシャーを感じつつも大人しくしていた。
しかし、その不可視の結界を越えてくる者がいた。
白い羊とは明らかに格が違う、赤い羊の歪虚が2体。巨大な剣を手にするそいつらが身動きの取れないアデリシアへと迫る。
駆けつけたシオンが試作振動刀「オートMURAMASA」を手にその間へと割って入った。
「貴様らはそこらの白い雑魚と違って骨がありそうだな。くれぐれも私を失望させるなよ?」
シオンが刀を上段から振り下ろす。赤い羊歪虚もそれを迎え撃つように大剣を逆袈裟に斬り上げた。たちまち交差した刃が激しい音を鳴らし、マテリアルが爆炎となって閃く。
もう1体の歪虚が刃をかみ合わせるシオンに得物を振るった。うなりをあげる刃へと、ハナが咄嗟に瑞鳥符を放つ。
鳥の姿をした符がその刃を受け、消滅した。しかしその威力を完全には殺せない。シオンの腕を歪虚の剣が捉え、血がしぶく。
だがそれをシオンは逆手に取り、カウンターの斬撃を見舞った。油断していた歪虚はそれをまともに受け、数歩後ずさる。
赤い羊の歪虚は歯をむき出し、怒りの咆哮をあげた。
●
ティスは火球を白い羊の群れへと放つ。爆風に巻き込まれた歪虚はのけぞり、あるいは吹き飛ぶ。
そこにチマキマルが杖をかざした。
「メェェェエエ!! シニクサレェェェエエエ!!!」
彼の叫びに応えるように放たれた雷光が敵を貫き、歪虚たちを絶命させる。
だが二人のスキルをも耐え抜いたのは赤い毛皮を持つ歪虚。目を血走らせ、巨大な武器を手に彼らへと迫る。
(赤いし、火の属性持ちで水に弱かったりしないかしら? ……いくらなんでもそれはないか)
ティスはそう考えながらも念のため、聖銀の水弾による攻撃に切り替える。
チマキマルも強敵であるこの歪虚の頭を貰うことに決めた。
ちょうどその頃、Anbarが繰り出したラウンドスウィングが白い羊を数体まとめて切り払っていた。
多少の傷を負いはしたものの、手近な歪虚をしとめ終えた彼はほっとひと息を吐く。
しかし彼の背後から赤い歪虚が大きな斧を手に近づいていた。
「Anbarさん!」
ロザリーの声に反応してAnbarは咄嗟に馬を操る。さらに黒ユグディラが幻術を行使して羊の視界を幻惑した。狙いを逸らされた刃はAnbarの体をかすめるだけにとどまった。
Anbarはお返しとばかりにクラッシュブロウを放つが、歪虚はその一撃をあっさりと回避した。ロザリーはAnbarにプロテクションをかける。
Anbarは野獣のような咆吼をあげ、敵を威嚇するが歪虚はひるまない。
ロザリーも敵の側面へと周りこみ、メイスを繰り出した。歪虚はそれをかわし、彼女を睨みつけた。その間に立つAnbar。邪魔する奴を切り払おうと振るわれた歪虚の斧と、彼女を守る為に振るわれたAnbarの斧とが激しく火花を散らした。
「手こずりたくないから、さっさと倒れてくれると嬉しいのだけど」
キサはそう呟きながら、正面に立ち塞がった赤羊へと大身槍「紅椿」で素早い連続攻撃を繰り出した。野生の力が乗った穂先が歪虚の体を捉える。しかし二撃目は空を切り、まだまだ歪虚は健在だ。赤い歪虚は返す刃をキサへと叩き込む。キサはそれをすんでのところで回避するがバランスを崩してしまう。
そこに横から襲い掛かる白い羊が二体。
残忍な刃がキサへと振るわれようとしたその時、彼らの持つ武器が激しい衝撃と共に揺らいだ。アメリアの射撃が歪虚の持つ剣を見事に撃ち抜いたのだ。
「近づかせませんよ。羊は羊らしく大人しく毛を刈られていればいいんです」
アメリアはすぐさま弾丸を装填し、まだ衝撃から立ち直っていない歪虚の頭へと狙いをつけて、再び引き金を引いた。
頭部を見事に打ち抜かれた一体の羊はそのまま大地へと倒れこんだ。仲間を近くで倒されたもう一体の白い歪虚は後ずさる。
しかし赤い歪虚は死んだ部下を気にすることなくキサへと距離を詰めた。アメリアが咄嗟に放った妨害射撃をもかいくぐる攻撃をキサは避けきれず、身に纏う着物ごと彼女の体は抉られる。槍で直撃を防ぐのがキサの精一杯の抵抗だった。笑みを浮かべる赤い歪虚。
彼女の危機を救おうと再度放たれたアメリアの射撃が歪虚の腹に突き刺さり、さすがに今度は赤い羊もよろめく。
キサはすかさず間合いを取り、自己治癒を用いて己の怪我を癒した。
(戦場の真ん中で戦闘不能になるわけにはいかないわ)
キサの体が光に包まれ、いくぶん痛みはやわらいだ。もう一度槍を構えるキサ。アメリアもスナイパーライフルで援護態勢を取る。
●
ハンターは持てる力をすべて使い、戦いを続ける。
アデリシアもすでに結界を解いていた。
白い歪虚の中にもこの結界を突破できる者がおり、動かないわけにはいかなくなったのだ。
「やはり数だけは多いな……無事に守り切るには些か骨が折れる」
棍で敵を捌きつつ、そう言葉を漏らすアデリシア。ハナも五色光符陣で敵を撃つ。
ハナの符がまとめて敵を焼き払い、ついに戦場にいた白い羊は壊滅した。
2人は赤い歪虚を押さえ込んでいるシオンの下へと駆け出す。
その頃、ティスとチマキマルによる魔法攻撃によって、2人が対峙していた赤い羊がついに地へと倒れていた。
「ストラァァァィクブロウ!!」
ロザリーのメイスが赤い羊の頭を打つ。よろけた敵をAnbarの斧が追尾した。刃が歪虚を捉え、ここでも赤い歪虚は絶命する。
2人は軽くハイタッチし、まだ戦う仲間達の下へと馬を走らせた。
キサの槍とアメリアの射撃が同時に赤い羊へと命中し、ようやく歪虚は活動を停止した。
そして赤い羊歪虚2体を同時に相手していたシオンが、ついに1体を葬ることに成功する。
最後に残された赤羊は目の前の敵へと必死に剣を繰り出した。しかしハナの瑞鳥符がそれを防ぎ、そしてアデリシアのワイヤーウィップが歪虚の動きを妨害した。
シオンは試作振動刀「オートMURAMASA」を上段に振りかぶる。
「脆弱者が。これだけの数を揃えながら、このザマとは……」
哀れむようなシオンの声。
それが赤い歪虚が耳にした最後の言葉となった。
●
戦い終わってユグディラ達はすぐに解放された。
猫達が気色満面に檻から出てくる間、チマキマルは何を思ってか横たわったままの羊の首を切り落としていた。
(死んだふりからの奇襲は二度とごめんだ)
悔恨らしき言葉を心の中で呟きつつ、彼は黙々と作業を行う。
助け出されたユグディラ達は喜び、ハンターへと感謝の言葉を述べていた。
とはいえもちろん猫が鳴いている声にしか聞こえない。それでも幻獣の感情はちゃんと伝わってきた。
キサは怪我している個体に応急手当を施していた。
「何もしないよりはマシでしょ。……暴れると、もっと痛いわよ……今日はツナ缶持ってないの。そっちはまた今度」
元気に食べ物ををねだる猫をあっさりとあしらうキサ。
「……仲間とロザリーの姐さんによく御礼を言っておくんだな」
Anbarも彼らに言葉をかけている。
「やっぱりリアルブルーでもクリムゾンウェストでも猫は猫ですねー。可愛い……」
アメリアは助けた猫達を存分にもっふもふしていた。
「無事で良かったですぅ」
ハナも彼らを丁寧にブラッシングしてあげている。
しかし素直ではない者達も何匹かいる。
中の一匹はもちろん黒ユグディラの仲間の茶トラだ。
(……ふん。助けてくれと頼んだ覚えはないぜ)
人間達にその言葉は分からなかったが、態度でなんとなく何を言いたいかは分かる。
(ただ、いつかこの借りは返す。人間なんぞにでかい顔されたくないからな)
そう言うと茶トラは荒野を走り去っていく。子分たちもオロオロしたように、しかしハンター達と黒ユグディラに頭を下げて、兄貴分の後を追いかけていった。
ティスは持ち込んだツナ缶とパンで作ったツナサンドをほお張りながら、一人沈思黙考している。
(羊たち、ユグディラをどこへ連れて行くつもりだったのかしら……?)
もちろん、それに対する答えはどこからも返ってはこなかった。
やがて手当ても終わり、帰る準備を始めるハンター達。
「送ってあげますよぉ~」
ハナは猫たちを戦馬に乗せたり背負ったり、かいがいしく世話を焼いている。
他のメンバーもそれぞれ支度を始めていた。
そんな中、Anbarがロザリーの下へと近づき、そっと囁く。
「……アサード・アッパス。それが俺の本当の名だ。この名を知っている人間はもうほとんどいない。だからさ、ロザリーにはこの名を知っておいて欲しい。あんたの事が好きだから、な」
ロザリーは瞳を瞬かせ……しばらくして彼の言葉の意味を理解したのか、その頬がみるみる朱色に染まっていった。
「……羊が猫を誘拐、とかいうと訳が分からない状況よね。まあそれは置いておいて、早くユグディラたちを森の中に帰してあげなくちゃ」
ティス・フュラー(ka3006)は馬上でひとりごちる。彼女の視界に映っているのは荒野を二足歩行で歩く羊歪虚の群れと、それに捕まって檻の中に入れられている猫の幻獣、ユグディラ達だ。
「それにしても……羊か。ベリアルってどうなったのかしら……いや、今は関係ないわね」
羊の歪虚といえば、このグラズヘイム王国にとって因縁のある相手のことが嫌でも思い浮かんでしまうのだが……ティスは言葉とともにかぶりを振り、余計な考えを頭から追い出した。
「さて、今回やることは二つ……羊歪虚の撃破と、ユグディラの救出ね。どっちかっていうとユグディラ救出の方が大事かしら? 勿論両方きちんとやるつもりではあるけど」
ティスは檻をかついでいる歪虚を見据えた。
「ユグディラの奴らも今回はとんだ災難だったな。恩を着せるつもりはないが、これで少しはいたずらを控えてくれるようになれば、御の字か。とりあえず、俺も全力で当たらせて貰おう」
Anbar(ka4037)は依頼人である黒いユグディラとロザリーの側で待機している。なお、ロザリーはAnbarが想いを寄せる相手だ。
「どうも『あの子たち』とは縁があるみたいね。まあいいけど。人助けはハンターの仕事の基本でしょ。……だから猫好きじゃないってば」
キサ・I・アイオライト(ka4355)は猫好きではないと公言しているが、結果としてユグディラを助けたことが多い。
「羊が一匹羊が二匹……数えているだけで血が騒いでたまらん」
遠くに見える羊歪虚の群れをカウントしながらそう呟くのは不動シオン(ka5395)。
戦わずして生きていけない悪い意味で常在戦場の彼女にとっては、目の前の羊型歪虚を数えているだけで眠くなるどころか戦意が高揚していた。
敵は白い羊が20体。赤い羊が5体。
「…歪虚羊ってユグディラちゃんを食べるんでしょぉかぁ? なんで運んでるんしょぉ?」
と可愛く首をかしげながら、星野 ハナ(ka5852)は脳内で羊歪虚を全ブッコロする算段を立てていた。
ハナはロザリーの馬に乗っている黒いユグディラの側に近づく。
「黒ディラちゃん、例えば私たちの吶喊がギリギリまで気付かれないよう幻術をかぶせるとかぁ、別方向から吶喊する人を隠すとかってできますぅ? 檻の中のユグディラちゃん達の安全を確保するためにぃ、敵がユグディラちゃん達を人質にする前に迅速に制圧したいんですぅ」
ハナの質問に、黒ユグディラが両の前足をバッテンするかのようなジェスチャーをした。
さすがにそれは不可能らしい。
「では出来る範囲でお願いしますぅ」
ハナはそういうと元の隊列に戻る。
ハンター達は迅速に行動を開始した。
●
「敵襲だメェ!」
同胞の叫び声に羊歪虚たちは首を巡らせた。
馬に跨り、こちらへと駆けて来る人間の一団が見える。明らかに敵対行動だ。
ユグディラを入れた檻を担いでいる者も、迎撃に加わる為に一旦檻を地面へと下ろす。
そこに雷光がほとばしり、檻から手を放したばかりの歪虚を撃った。
ティスが放ったライトニングボルトである。
雷の直線状にいた歪虚達は全員激しく吹き飛ばされたが、他の羊達は素早く態勢を整えた。
「なるほど、あれですか。急ぎませんと面倒なことになりそうですね」
アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が檻の中の幻獣を見て呟き、覚醒状態へと変化すると馬の速度を上げた。
「……俺が突破口を開く。後は任せたぜ!」
「お願いしますわ! Anbarさん!」
アデリシア、Anbar、ロザリーの三人が先頭となって羊の群れへと突っ込む。
「後衛だろうと女は度胸、行きますよぅまーちゃん!」
ハナも愛馬の名を呼びながら馬を走らせた。キサとシオンも徒歩ながらその後に続く。
たちまち白刃がひらめき、双方の怒号があがる。
「…メェ…」
そこに響く羊の声。
「…メェー……」
しかし、可愛い羊を思わせるその声は彼ら歪虚のものではない。
「メェェェェェェェェエエエエエエエエエ!!!!!」
可愛い羊の鳴き声が急にデスボイスになると同時に、羊歪虚の群れにファイアーボールがぶち込まれた。
(なんと今日は羊が敵だ。私の服装には羊と鹿とエランドの頭蓋骨を取り入れているため、とても奇遇だな……丁度……新しい新鮮ほやほやな頭が欲しかったんだ。あの中で一番強い奴の頭を貰うとしよう……)
先ほど羊の声を出していたのはチマキマル(ka4372)。ファイアーボールをぶちかましたのは彼だ。
(骨はいくらあっても良い……綺麗に綺麗に取り出さねば)
チマキマルは次の魔法の詠唱を開始した。
アメリア・フォーサイス(ka4111)はスナイパーライフル「ルーナマーレ」を構え、羊の群れに制圧射撃を見舞う。
羊達は弾幕に恐れをなし、足が動かない。
その機に敵の側を駆け抜けたのはハナ。
「ユグディラちゃん達ぃ、なるべく頭を庇って身を低くしていて下さいぃ」
ハナが言葉とともに複数の符をばらまいた。それはたちまち光の結界を形作り、檻の近くにいる羊を焼く。符術師のスキル、五色光符陣である。
のけぞる羊をアデリシアの八角棍「紫電」が襲った。棍に打たれ、歪虚は大きくふっとぶ。
さらにシオンの拳銃が火を吹き、アデリシアを援護する。
アデリシアが檻の中を覗き込むと、中の猫たちはにゃあにゃあ訴えかけた。どうやら無事らしい。
大人しくしているのだぞ、と猫たちに言い含め、アデリシアはディヴァインウィルを行使した。不可視の結界を張り、意思の弱い者を近づけないようにするスキルである。
アデリシアとユグディラ達の下へと駆け寄ろうとした数体の白い羊歪虚はその足が止まった。アデリシアに気圧され、前進できないのだ。
「これで片付けば楽だが、ちと数が多いか……あまり長く効果は続かん。できるかぎり急いでくれ」
結界を張っているアデリシアはそう呟き、仲間の奮闘を祈る。
ユグディラ達も毛を逆立たせ、プレッシャーを感じつつも大人しくしていた。
しかし、その不可視の結界を越えてくる者がいた。
白い羊とは明らかに格が違う、赤い羊の歪虚が2体。巨大な剣を手にするそいつらが身動きの取れないアデリシアへと迫る。
駆けつけたシオンが試作振動刀「オートMURAMASA」を手にその間へと割って入った。
「貴様らはそこらの白い雑魚と違って骨がありそうだな。くれぐれも私を失望させるなよ?」
シオンが刀を上段から振り下ろす。赤い羊歪虚もそれを迎え撃つように大剣を逆袈裟に斬り上げた。たちまち交差した刃が激しい音を鳴らし、マテリアルが爆炎となって閃く。
もう1体の歪虚が刃をかみ合わせるシオンに得物を振るった。うなりをあげる刃へと、ハナが咄嗟に瑞鳥符を放つ。
鳥の姿をした符がその刃を受け、消滅した。しかしその威力を完全には殺せない。シオンの腕を歪虚の剣が捉え、血がしぶく。
だがそれをシオンは逆手に取り、カウンターの斬撃を見舞った。油断していた歪虚はそれをまともに受け、数歩後ずさる。
赤い羊の歪虚は歯をむき出し、怒りの咆哮をあげた。
●
ティスは火球を白い羊の群れへと放つ。爆風に巻き込まれた歪虚はのけぞり、あるいは吹き飛ぶ。
そこにチマキマルが杖をかざした。
「メェェェエエ!! シニクサレェェェエエエ!!!」
彼の叫びに応えるように放たれた雷光が敵を貫き、歪虚たちを絶命させる。
だが二人のスキルをも耐え抜いたのは赤い毛皮を持つ歪虚。目を血走らせ、巨大な武器を手に彼らへと迫る。
(赤いし、火の属性持ちで水に弱かったりしないかしら? ……いくらなんでもそれはないか)
ティスはそう考えながらも念のため、聖銀の水弾による攻撃に切り替える。
チマキマルも強敵であるこの歪虚の頭を貰うことに決めた。
ちょうどその頃、Anbarが繰り出したラウンドスウィングが白い羊を数体まとめて切り払っていた。
多少の傷を負いはしたものの、手近な歪虚をしとめ終えた彼はほっとひと息を吐く。
しかし彼の背後から赤い歪虚が大きな斧を手に近づいていた。
「Anbarさん!」
ロザリーの声に反応してAnbarは咄嗟に馬を操る。さらに黒ユグディラが幻術を行使して羊の視界を幻惑した。狙いを逸らされた刃はAnbarの体をかすめるだけにとどまった。
Anbarはお返しとばかりにクラッシュブロウを放つが、歪虚はその一撃をあっさりと回避した。ロザリーはAnbarにプロテクションをかける。
Anbarは野獣のような咆吼をあげ、敵を威嚇するが歪虚はひるまない。
ロザリーも敵の側面へと周りこみ、メイスを繰り出した。歪虚はそれをかわし、彼女を睨みつけた。その間に立つAnbar。邪魔する奴を切り払おうと振るわれた歪虚の斧と、彼女を守る為に振るわれたAnbarの斧とが激しく火花を散らした。
「手こずりたくないから、さっさと倒れてくれると嬉しいのだけど」
キサはそう呟きながら、正面に立ち塞がった赤羊へと大身槍「紅椿」で素早い連続攻撃を繰り出した。野生の力が乗った穂先が歪虚の体を捉える。しかし二撃目は空を切り、まだまだ歪虚は健在だ。赤い歪虚は返す刃をキサへと叩き込む。キサはそれをすんでのところで回避するがバランスを崩してしまう。
そこに横から襲い掛かる白い羊が二体。
残忍な刃がキサへと振るわれようとしたその時、彼らの持つ武器が激しい衝撃と共に揺らいだ。アメリアの射撃が歪虚の持つ剣を見事に撃ち抜いたのだ。
「近づかせませんよ。羊は羊らしく大人しく毛を刈られていればいいんです」
アメリアはすぐさま弾丸を装填し、まだ衝撃から立ち直っていない歪虚の頭へと狙いをつけて、再び引き金を引いた。
頭部を見事に打ち抜かれた一体の羊はそのまま大地へと倒れこんだ。仲間を近くで倒されたもう一体の白い歪虚は後ずさる。
しかし赤い歪虚は死んだ部下を気にすることなくキサへと距離を詰めた。アメリアが咄嗟に放った妨害射撃をもかいくぐる攻撃をキサは避けきれず、身に纏う着物ごと彼女の体は抉られる。槍で直撃を防ぐのがキサの精一杯の抵抗だった。笑みを浮かべる赤い歪虚。
彼女の危機を救おうと再度放たれたアメリアの射撃が歪虚の腹に突き刺さり、さすがに今度は赤い羊もよろめく。
キサはすかさず間合いを取り、自己治癒を用いて己の怪我を癒した。
(戦場の真ん中で戦闘不能になるわけにはいかないわ)
キサの体が光に包まれ、いくぶん痛みはやわらいだ。もう一度槍を構えるキサ。アメリアもスナイパーライフルで援護態勢を取る。
●
ハンターは持てる力をすべて使い、戦いを続ける。
アデリシアもすでに結界を解いていた。
白い歪虚の中にもこの結界を突破できる者がおり、動かないわけにはいかなくなったのだ。
「やはり数だけは多いな……無事に守り切るには些か骨が折れる」
棍で敵を捌きつつ、そう言葉を漏らすアデリシア。ハナも五色光符陣で敵を撃つ。
ハナの符がまとめて敵を焼き払い、ついに戦場にいた白い羊は壊滅した。
2人は赤い歪虚を押さえ込んでいるシオンの下へと駆け出す。
その頃、ティスとチマキマルによる魔法攻撃によって、2人が対峙していた赤い羊がついに地へと倒れていた。
「ストラァァァィクブロウ!!」
ロザリーのメイスが赤い羊の頭を打つ。よろけた敵をAnbarの斧が追尾した。刃が歪虚を捉え、ここでも赤い歪虚は絶命する。
2人は軽くハイタッチし、まだ戦う仲間達の下へと馬を走らせた。
キサの槍とアメリアの射撃が同時に赤い羊へと命中し、ようやく歪虚は活動を停止した。
そして赤い羊歪虚2体を同時に相手していたシオンが、ついに1体を葬ることに成功する。
最後に残された赤羊は目の前の敵へと必死に剣を繰り出した。しかしハナの瑞鳥符がそれを防ぎ、そしてアデリシアのワイヤーウィップが歪虚の動きを妨害した。
シオンは試作振動刀「オートMURAMASA」を上段に振りかぶる。
「脆弱者が。これだけの数を揃えながら、このザマとは……」
哀れむようなシオンの声。
それが赤い歪虚が耳にした最後の言葉となった。
●
戦い終わってユグディラ達はすぐに解放された。
猫達が気色満面に檻から出てくる間、チマキマルは何を思ってか横たわったままの羊の首を切り落としていた。
(死んだふりからの奇襲は二度とごめんだ)
悔恨らしき言葉を心の中で呟きつつ、彼は黙々と作業を行う。
助け出されたユグディラ達は喜び、ハンターへと感謝の言葉を述べていた。
とはいえもちろん猫が鳴いている声にしか聞こえない。それでも幻獣の感情はちゃんと伝わってきた。
キサは怪我している個体に応急手当を施していた。
「何もしないよりはマシでしょ。……暴れると、もっと痛いわよ……今日はツナ缶持ってないの。そっちはまた今度」
元気に食べ物ををねだる猫をあっさりとあしらうキサ。
「……仲間とロザリーの姐さんによく御礼を言っておくんだな」
Anbarも彼らに言葉をかけている。
「やっぱりリアルブルーでもクリムゾンウェストでも猫は猫ですねー。可愛い……」
アメリアは助けた猫達を存分にもっふもふしていた。
「無事で良かったですぅ」
ハナも彼らを丁寧にブラッシングしてあげている。
しかし素直ではない者達も何匹かいる。
中の一匹はもちろん黒ユグディラの仲間の茶トラだ。
(……ふん。助けてくれと頼んだ覚えはないぜ)
人間達にその言葉は分からなかったが、態度でなんとなく何を言いたいかは分かる。
(ただ、いつかこの借りは返す。人間なんぞにでかい顔されたくないからな)
そう言うと茶トラは荒野を走り去っていく。子分たちもオロオロしたように、しかしハンター達と黒ユグディラに頭を下げて、兄貴分の後を追いかけていった。
ティスは持ち込んだツナ缶とパンで作ったツナサンドをほお張りながら、一人沈思黙考している。
(羊たち、ユグディラをどこへ連れて行くつもりだったのかしら……?)
もちろん、それに対する答えはどこからも返ってはこなかった。
やがて手当ても終わり、帰る準備を始めるハンター達。
「送ってあげますよぉ~」
ハナは猫たちを戦馬に乗せたり背負ったり、かいがいしく世話を焼いている。
他のメンバーもそれぞれ支度を始めていた。
そんな中、Anbarがロザリーの下へと近づき、そっと囁く。
「……アサード・アッパス。それが俺の本当の名だ。この名を知っている人間はもうほとんどいない。だからさ、ロザリーにはこの名を知っておいて欲しい。あんたの事が好きだから、な」
ロザリーは瞳を瞬かせ……しばらくして彼の言葉の意味を理解したのか、その頬がみるみる朱色に染まっていった。
依頼結果
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相談卓 ティス・フュラー(ka3006) エルフ|13才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/08/22 22:42:55 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/20 18:59:04 |