玉蜀黍の収穫 ~廃墟の集落~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/08/26 19:00
完成日
2016/09/02 07:31

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 グラズヘイム王国・古都【アークエルス】東方の森に、かつてナガケと呼ばれる集落が存在した。
 集落で行われていた畜産は幻獣の獅子鷹『メニュヨール』によって崩壊させられる。家畜の仔攫いが激増したからだ。
 集落解散の憂き目に遭い、青年ガローア・ラグアは父親のマガンタと共に放浪の身となる。父が亡くなってからも根無し草な生き方をしてきたガローアだが、覚悟を決めた。ハンターの力を借りてメニュヨール退治に成功する。
 その後、ガローアは古都でドワーフの青年『ベッタ』と出会う。意気投合した二人は集落の復興に動きだす。
 二人はベッタの故郷に棲息していた幻獣『幻の青』を家畜として育てることにした。その味がリアルブルーの高級和牛霜降り肉を彷彿させたところから、『シモフリ』と呼称することとなる。
 シモフリ六頭はオークの樹木が並ぶ放牧場へと放たれた。樹木の上で暮らす生態と思われたが、危険がなければ地表で暮らすことがわかる。好物は木の実だが玉蜀黍の粒にも旺盛な食欲をみせた。
 他に乳牛一頭と鶏の雌鳥六羽も飼うことで、毎日新鮮な牛乳と鶏卵が手に入るようになった。
 荒れ地を畑として開墾しだした頃、紅の兎のような幻獣二体が出没。柵を壊されてしまう。それが過ぎ去ると雑魔の巨大蜂が飛来。雑魔蜂はハンターによって巣ごと退治された。
 森が紅葉に染まる秋、ある商人一家が集落に泊まった。シモフリ料理を味わった商人一家はいたく気に入ってくれる。シモフリ肉を市場へだす際には是非に声をかけてくれと約束を交わした。
 シモフリの仔が産まれ、やがて日が経つ。ある寒い日の早朝、以前に柵を壊して姿を消した赤い兎二羽が放牧場の片隅に倒れていた。放ってはおけずに看病すると、二羽は元気を取り戻して二人に懐く。
 賊が森で迷った一団を装って集落を奪おうとしたときもある。滞在中のハンターの機転で正体を看破して事なきを得た。
 仔シモフリは順調に育つ。仔が乳離れをした頃にガローアとベッタは気づく。甘くてクセの少ないシモフリの乳を使えば素晴らしい乳製品が作れるのではないかと。
 ハンターの協力もあってシモフリ乳を使ったチーズ、バター、ヨーグルトが完成。しかし売り捌くには古都での商売が不可欠だった。
 春が到来。一部玉蜀黍の粒が熊に食べられてしまったものの、ハンターが退治。開墾した畑での粒蒔きは無事に行われる。
 シモフリ乳を使った乳製品の販売路にも光明が差す。商人タリアナの協力によって古都で『パン屋シモフリ堂』が開店することとなった。
 店は新たに雇った女性三人に任せられる。
 マリーシュは店長兼事務会計。セリナとチナサはパン焼き職人兼売り子として働いてもらう。ハンターの協力のおかげで、シモフリ堂は好スタートを切った。
 夏に合わせて機導術式冷蔵庫が馬車と厨房に設置される。売りだされたシモフリ乳のアイスクリームは大好評。そしてシモフリ肉の出荷も始まった。まずはシモフリ堂でのバーガーやドッグ用の肉として使われる。
 以前の牛肉や豚肉使用のときよりも大好評を博す。一枚肉をつかったシモフリステーキバーガーも好調に売れたのだった。


 ガローアとベッタはシモフリ肉関連の売れ行きに手応えを感じ取る。ナガケ集落復活の軸として幻獣シモフリの畜産を据えた二人の賭けは的中した。
 課題はまだまだ残っているものの、ハンター達のおかげでまた一つ階段を登ることができるといえる。さらに新たな努力が実を結ぼうとしていた。
 荒れた大地を掘り起こし、畑作りから始めた玉蜀黍畑の収穫時期が訪れたのである。
 放牧場内でオークの新樹木も育てているが、実をつけるまでに長い年月がかかる。幸いにもシモフリは玉蜀黍の粒も旺盛に食べてくれた。
「これだけあれば、もう飼料は買わんですむで」
「それどころか飼う規模を二倍にしてもまだ余裕があるね」
 ガローアとベッタは育った玉蜀黍畑を眺めて涙ぐむ。
 貯蔵には集落の空き家を使えばよい。粒を剥がす器械も購入したので、収納スペースの節約も可能だ。
 忙しいシモフリ堂の従業員はすでに補充済み。シモフリの肉や乳製品を古都へと搬送する役目も新たに就いた者達に任せている。
 ガローアとベッタは集落での仕事に集中できる状態だが、さすがに玉蜀黍の収穫だと手が足りない。
 数日後、ガローアが冷蔵庫付き馬車の御者にシモフリ堂店長マリーシュ宛の手紙を託す。その手紙を読んだ彼女がハンターズソサエティー支部に依頼をだしてくれるはずである。
 玉蜀黍の収穫は一週間後に迫っていた。

リプレイ本文


 玉蜀黍畑は森の中にあるナガケ集落外縁に広がっていた。
「……いい天気。収穫日和ね。子供の頃に祖父母の家に遊びに行ったことを思いだすわ。あの時は一つ抱えるのがやっとで、とても大きい印象があったものだけど……昔もこのくらいだったのかしら」
 鍛島 霧絵(ka3074)が玉蜀黍の一房を千切り取る。思い出に浸りながら眺めるそれは、髭が茶色く枯れてずしりと重かった。
「これでさくっと」
 咲月 春夜(ka6377)が背負っていた大鎌を両手で構えると、慌てた様子でベッタが駆け寄る。
「鎌も必要やけど、ちょいと待ちや」
「ん? 違ったか?」
 ベッタは咲月春夜の前で鍛島霧絵がやったように房を千切ってみせた。玉蜀黍の収穫において鎌の出番は片付け時だ。ちなみに咲月春夜は騎士風の姿でヘルを名乗っていた。
「お二人の頑張りがまさに実ったのですね」
 そうミオレスカ(ka3496)にいわれたガローアとベッタが照れた様子で頬をかく。「俺達だけではとても、ここまではできなかった」とあらためてハンター一同に感謝の意を示した。
「後から見分けるのは骨なのだ~。最初からきちんと分けてしまおうなのだ。ここは人が食べる用の畑なのだ?」
 玄間 北斗(ka5640)がガローアの側で玉蜀黍の皮を少し捲る。すると、目映い黄色の粒が目に飛びこんできた。
「家畜用のは粒が硬くなるまで乾燥させてから収穫するんです。だから人用のを先に収穫していきましょう」
 ガローアの考え通りに人用の畑から先に収穫することとなった。
「アイスとバーガーの時、ちと仕事でこれなくてさ。けど今日手伝えばBBQだって聞いたんで、今度こそはってな」
「ええ肉ばかり揃とるで。楽しみにしとってな」
 手袋を填めたザレム・アズール(ka0878)はベッタから房の採り方を教えてもらう。
 玉蜀黍の房は人の力で容易にちぎり取れる。大抵一つの茎に二つの房がなっているので、どちらも収穫。三つ目は未成熟なので無視して構わない。
「ガローアさんからの依頼を前に受けたのは、確か一年以上前のことでしたね。あれからいろいろと頑張られたのですね」
「経ってみれば早いですね。思い出はたくさんありますが――」
 エルバッハ・リオン(ka2434)とガローアは同じ籠に房を収めていきながら、昔話を語り合う。
「玉蜀黍がこんなにあるのにバーボンもコーンスターチも機材が難しいですぅ、しくしく」
 星野 ハナ(ka5852)は瑞々しい玉蜀黍の粒を眺めて残念そうに両の眉をしんなりとさせた。玉蜀黍を酒や甘味料に加工するには、さすがに設備が必要である。
「人力で収穫って結構大変ですねぇ……。もっと効率いいやり方ってないんでしょぉかぁ?」
「元いた世界だと牛の餌にするとき、茎からすべて機械で粉砕して発酵させるらしいな」
 星野ハナが猫車を押してやってきたザレムに房で一杯になった籠を託す。
 しばらく仲間達と一緒に房を収穫していた婆(ka6451)だが、頃合いを見計らって鎌を手に取った。
「わしもこういう鎌はの、山ですこおし慣らしたもんじゃ。腕がなるぞい」
 婆は肩をぐるぅんぐるぅんと回しながら房を取り終わった玉蜀黍の茎を片手で握る。根元にさっと刃を通して、いとも簡単に刈り取って倒す。根を引っこ抜く作業は全員で行う予定なので、今は切り離すのに徹した。
 昼食にはホットドッグがだされる。
「コーンスープを作ろうかと」
「おいらは粒削ぎをさせてもらうで」
 想定していたよりも収穫作業は捗る。ガローアとベッタは午後から別の作業を行うこととなった。


「どれにも実がたくさんついているのだぁ」
 玄間北斗は首にかけた手拭いで額の汗を拭う。麦わら帽子に作業着姿でせっせと房を千切り取っていく。
「暑いので水を飲んだ方がよいですね」
 エルバッハが差しだした水を玄間北斗も頂く。熱中症対策として塩が混ざられていた。
「家畜用と人間用に分かれているのよね。間違えないようにしないと……」
 鍛島霧絵は籠を運びながら遠くの家畜用畑を眺める。交雑しないよう双方の畑は集落を挟んで離れて作られていた。
「大豊作だな。天気も上々、気分も爽快ってな」
 収穫の籠は次々と一杯に。ザレムは猫車を押して駆け回って空の籠と交換していく。房で一杯の籠は、そぎ落としの器機を扱うベッタとミオレスカのところへと運ばれた。
「こうするだけで削れるんですね。驚きです」
「自動の機械もあるようやけど、今はこれで充分や」
 ミオレスカとベッタは器機二台でそれぞれ作業を行う。皮を剥いた房を指定個所へ置いて足踏みすると、輪状の刃が一気に粒をそぎ落としてくれる。
「芯を回収しにきましたですぅ。葉や茎も良い肥料になるって聞きましたしぃ、あ、この袋の粒、もらっていっていいですかぁ? 干してコーン粉を作りたいんですぅ」
 星野ハナは芯部分の回収も担当。ついでに粒の乾燥作業も担った。
「ほら、水分しっかりとりながらなあ」
 畑の片隅では茎葉集めが一段落した婆の姿があった。婆からもらった水で星野ハナが喉を潤す。
「暑いですねぇ」
「タオルも水で冷やして首に巻いてなあ。涼しいでよ。やるといい……ださい? ださいってなんじゃ? 美味いんかの?」
 婆に勧められた星野ハナも濡らしたタオルを首に巻いた。おかげでその後の作業が大分楽になる。
「夏の日射しの中、みんなよい感じだ」
 ヘルこと咲月春夜が魔導カメラで作業の様子を記録に残す。乳搾りや放牧場でのんびりと過ごすシモフリ達も写した。
 そぎ落とした粒が詰まった桶を調理場まで運んだのも咲月春夜だ。ここぞというときにはジェットブーツでひとっ飛び。
「ちょうど欲しかったところなんだ」
 調理場では乳搾りを終えたガローアが待っていた。届けたばかりの粒はさっそく湯の中へと投入されたのだった。


 人用の玉蜀黍収穫は二日で終了する。その後は畑の後片付けや家畜用玉蜀黍の収穫。または調理、食材作りに精をだす。

「コーントルティーヤとかコーンブレッドは好きなのでぇ、ここのトウモロコシでコーングリッツを作れたらと思うんですよねぇ。機械精製の白いコーンスターチが作れたら、お化粧下地にも使えて爆発的な人気商品になったと思うんですけどぉ……」
「いろいろとあるんだね。こっちでも作れたらなあ」
 調理場の星野ハナはコーンスープを作るガローアの横で石臼を回す。乾燥させた粒をすり潰してコーン粉を作るためだ。

「たくさんありますから」
「アオタロウも、たくさん食べてくださいね」
 厩舎前。咲月春夜とミオレスカが麻袋をひっくり返して餌箱に家畜用の玉蜀黍粒を注いだ。するとたくさんのシモフリが集まって一斉に食べ始める。
 餌箱から離れたミオレスカが根野菜を食べる二羽の紅兎の頭を撫でた。玉蜀黍の大豊作はこの二羽が鳥や獣から畑を守ってくれたおかげである。
 二人は餌やりの他にコーンスープ作りを手伝う。
「おとなしいですね」
「こうすればいいんですか」
 まずは牝シモフリの乳搾り。青くて長い毛に手の甲を撫でられて、こそばゆいが、笑うのを我慢する。こうして集めたたくさんの乳をズンドウに注いで火にかけた。玉蜀黍の粒を茹でてからすり潰して温めた乳に溶かしていく。
「採れたての濃厚な味を残すために、濃い目にして冷凍すればいいでしょうか?」
「よくわかったね。そのつもりなんだ」
 ミオレスカがコーンスープ作りのコツを言い当ててガローアが驚く。
 古都のシモフリ堂で冷凍保存。後日に解凍して新鮮な乳やブイヨンで伸ばすことが考慮に入れられていた。
「塩胡椒で味を調えて――」
 自分達が食べる分だけは別にして、鍛島霧絵が大きな木ベラでズンドウ内をかき回す。
 柔らかくてほんわりとしたにおいが窓から外へと漂う。調理場近くで作業していた者達は思わず唾を飲み込んだのだった。

「道具は大事なのだぁ」
 玄間北斗は毎晩、道具類を手入れしてから床に就いた。留め具が緩んでいたら締め直し、刃の部分には砥石を当てて研いでおく。
「ん? 昨日と違うようやな」
 ある日、ベッタがそぎ落としの器械を扱うとき、その切れ味の良さに驚いた。
 面倒な整備はつい手を抜きがちになるもの。ベッタはガローアと話すときに「教えられたわ」と反省を口にする。

 エルバッハは家畜用の玉蜀黍を黙々と収穫した。枯れているだけあって房は千切りやすく、少々乱暴に扱っても問題はない。おかげで人用のときよりも作業は捗る。
「少し休みましょうか」
 休憩時、飲料水が足りないことに気がつく。エルバッハがピュアウォーターで湧かしてくれたおかげで汲みに行かずに済んだ。
「まだまだ暑いですが、秋の気配も感じられますね」
 エルバッハが空を見あげると、赤とんぼが通り過ぎていく。
 彼女はコーン粉をスティック状に固めた携帯食の販売を提案する。しかし現状の人用玉蜀黍の収穫量では難しかった。

 咲月春夜は様々な作業を手伝う。収穫の玉蜀黍の山に突進してきた猪を防御障壁で阻止。機導の徒で輸送用の冷蔵庫付き馬車の点検も行った。
「いい絵が撮れたな」
 魔導カメラで撮った写真はかなりの数になる。
 ガローアとベッタが写真を選別。集落での様子を店で展示してもらうために馬車の御者へと預けられた。
 魔導カメラを提供しようとした咲月春夜だが集落の二人は遠慮する。覚醒者でないと継続的に使えないからだ。
「ほんま、ありがとな」
「嬉しいです」
 代わりにもらったたくさんの写真に感謝する二人だった。

 畑での収穫作業がすべて終わる。
「ほう。こないに使うんか」
 婆はその後、ベッタが担当する粒のそぎ落としを手伝った。
「そや、ここに置いて、手を離して、ガツンと踏むんや」
「はー、今はすごいねえ。婆の時代にゃ考えられんかったわ。しかしまああっちゅう間に出来上がるんじゃなあ」
 ぎこちなく動かすと一瞬のうちに粒が芯から剥がれていく。
「こういった器械っちゅーんは婆はまだまだ慣れんでのう」
 わずかに残った粒を刃に引っかければ芯だけが残る。手動だが青世界の設計技術が使われていると聞いて婆は感心した。

 ザレムは家畜用の粒が詰まった麻袋を倉庫へと運び込む。そのついでに餌やりの作業も手伝う。
「会いたかったぞ、シモフリ」
 ザレムは餌箱に集まってきたシモフリ達に囲まれて、もふもふな状況。頭や背中を撫でてあげながら「美味しく育てよ」と声をかける。
 シモフリは想定していたよりも多産で餌箱一つでは足りなくなっていた。夕暮れ時になると一部はオークの木へと登り、多くは飼育小屋へと勝手に戻っていく。
「紅兎って頭いいんだな。はぐれたシモフリを小屋へと追い立てていたぞ」
 晩食時、ザレムは一日の出来事を肴にしてお喋りを楽しんだのだった。


「早う終わったんは、みんなのおかげや」
「後は日々の乳搾りに合わせて、スープを作っていくだけだよ」
 五日目の暮れなずむ頃。ガローアとベッタはバーベキューパーティを催した。
「見事なサシが入っています」
「好みで赤身肉もあるですぅ。こっちも柔らかいのですよぉ~」
 ミオレスカと星野ハナが炭火で熱する鉄板や鉄網に極上のシモフリ肉を並べていく。
 立ちのぼった煙がザレムと玄間北斗の鼻先を掠める。肉が焼ける音とにおいは強烈だ。二人の胃袋を激しく揺さぶり、グゥと鳴らせて空腹感に浸らせる。
「これを楽しみにしていたのです」
 エルバッハが鉄網で玉蜀黍を転がした。じっくりと焼きあげて、仕上げに刷毛で醤油を塗ったのなら完成である。齧り付いたエルバッハは満足げな笑みを浮かべた。
「どれも美味しそうだけど」
 鍛島霧絵が最初に手をつけたのはシモフリの網焼きステーキだ。ナイフで切る際、抵抗感がないくらいに柔らかい。頬張った瞬間に口蓋で脂と肉汁が躍った。
「どれ、わしも頂くとするかのう」
 婆は焼きたてのステーキを皿に盛って卓へとつく。ミディアムレアで焼かれた肉を切ると断面は赤かった。それでも熱は通っていて噛みしめると旨さが迸る。
「うむ。これこそ血も滴る良い肉。最高じゃ!」
 婆は注文通りに焼いてくれたベッタに感謝しつつ、ガツガツと食らう。「今度はお前さんが食べる番じゃ」そういってベッタを席へ座らせると、今度は自分が調理を担当する。
「このままでもいけるのじゃ」
 婆が生の玉蜀黍を囓りながら分厚い肉をひっくり返す。
「酒を用意したのでじゃんじゃん飲んでくれ」
 咲月春夜は一同に酒を振る舞いつつ、魔導カメラのシャッターを押す。
「季節のお酒のアテに良いですよねぇ」
 酒の摘まみは星野ハナが作った茹で玉蜀黍の天麩羅だ。
「食材自体はよそにあってもここの食材堪能でお客さん呼びたいじゃないですかぁ。写真で紹介? 咲月さんいい考えですぅ」
「ほんま、ええ考えや」
 星野ハナとベッタが咲月春夜をベタ誉めした。
 シモフリ肉には調理の下拵えの段階で清酒醤油、赤ワイン大蒜バジル等で和風、洋風の味付けがしてある。どれも咲月春夜のお勧めだ。
 咲月春夜も網焼きのステーキを頂く。「……人気になるのも道理だな」あまりに美味しく、あっと言う間に食べてしまうのだった。
「肉だ! 野菜だ! うま! これが肩肉なんて信じられないな」
「硬い肉は殆どないのだぁ~」
 ザレムと玄間北斗は二人して様々な部位の肉を味わう。強いていえば赤身肉は煮込み料理に合っているのだが、焼いても充分にうまかった。
 冬の鍋用としてガローアが仕込んでいるモツも食べてみた。ザレムが用意した味噌漬けにして焼いてみる。「焼いてもいける!」というのがザレムと玄間北斗の評価だ。
「やっぱり醤油味は最高ですね。香ばしくもさっぱりとしています」
「お肉も美味しいですけどぉ、これもいけるのですぅ~」
 ミオレスカは網焼きステーキを頂きつつ、星野ハナが焼いた玉蜀黍パンも口にする。他にもトルティーヤの皮が並べられていた。包んで食べると食感や味わいが変わって面白い。変わり種としてチチャジュースもあって玉蜀黍尽くしだ。
 馬車の御者達もご相伴に預かる。
「夏にアイス、飯の最後にデザート、ということでよかったら皆食べてくれ」
 咲月春夜が馬車の冷凍付き冷蔵庫を利用して作った玉蜀黍アイスもある。
 一同は日が暮れても野外でのバーベキューを楽しんだのだった。

「ありがとうございましたー」
「ありがとなー」
 翌朝、ガローアとベッタは帰路に就くハンター一行を見送った。
 日々の記録はザレムが置いていったスマホで行う。魔導カメラで撮られた数々の写真は古都のシモフリ堂に展示されて、来客者達の興味をひいたのだった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 話上手な先生
    鍛島 霧絵(ka3074
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 芸達者なたぬきさん
    玄間 北斗(ka5640
    人間(蒼)|25才|男性|霊闘士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師

  • 咲月 春夜(ka6377
    人間(蒼)|19才|男性|機導師
  • 婆の拳
    婆(ka6451
    鬼|73才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/26 11:58:22
アイコン 多分要らない相談卓…?
星野 ハナ(ka5852
人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/08/26 16:52:24