ゲスト
(ka0000)
ヴォイドアント
マスター:とりる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/06/16 15:00
- 完成日
- 2014/06/23 22:02
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
辺境の地――。
ここは対歪虚の最前線であり、常に歪虚の脅威に晒されている……。
***
とある辺境部族の集落。若者達が長老の家に集まって話し合いをしていた。
「長老、やっぱりアレは放っておけねぇ」
「長老、アレは俺らじゃどうしようもねぇ……。覚醒者……ハンターに依頼するしか……」
「長老、あいつらが襲ってきたらこの集落はひとたまりもない。俺には嫁さんと娘が居るんだ、決断してくれ! 頼む!」
「うむむ……」
若者達からの懇願に、長老は唸る。
若者達の言う『アレ』『あいつら』。それは……最近この辺境部族集落近くの洞窟に出現した歪虚であった。
巨大な蟻の姿をしており、多数で行動している。今のところ洞窟内や洞窟周辺をうろついているばかりで被害は出ていないが……
もしこれ以上数が増えれば集落に被害が及ぶのは確実である。ゆえに、若者達は危機感を覚え、長老に詰め寄っていた。
長老はあまりよそ者が好きではないため「まだ様子を見よう」と言っていたが歪虚蟻の数は徐々に増えてきている。
このまま放置しておくわけにはいかない状況になってきた……。
「長老!」
「長老!!」
若者達は声を上げる。それを聞き、椅子に座っていた長老はゆっくりと立ち上がった。
「……解った。確かに集落の安全を考えればアレは放ってはおけん。仕方あるまい、ハンターズソサエティに連絡しよう」
***
集落の住居――。少女が母親に向かって不満を漏らしていた。
「なんで洞窟へ行っちゃいけないのよぉー! あそこは今まであたし達の遊び場だったのにぃー!」
「だから言っているでしょう。あそこは今、歪虚が出て危ないの。絶対に近づいちゃダメ」
母親は娘……八歳くらいの少女を優しく宥める。
「いやいやぁ! お外に出て遊びたーい! 最近ずっとおうちの中ばっかりでつまんなーい!」
「お願いだから言うことを聞いて。もうすぐハンターさん達が来て歪虚を退治してくれるから」
「……え? ホント? ハンターさんが来てくれるの?」
少女は瞳をキラキラと輝かせる。
「ええ、本当よ。だからもうしばらく我慢してね」
「はぁーい」
少女はまだちょっと不満げにしつつも頷く。
(ハンターさん達のお話……聞きたいなぁ……)
ここは対歪虚の最前線であり、常に歪虚の脅威に晒されている……。
***
とある辺境部族の集落。若者達が長老の家に集まって話し合いをしていた。
「長老、やっぱりアレは放っておけねぇ」
「長老、アレは俺らじゃどうしようもねぇ……。覚醒者……ハンターに依頼するしか……」
「長老、あいつらが襲ってきたらこの集落はひとたまりもない。俺には嫁さんと娘が居るんだ、決断してくれ! 頼む!」
「うむむ……」
若者達からの懇願に、長老は唸る。
若者達の言う『アレ』『あいつら』。それは……最近この辺境部族集落近くの洞窟に出現した歪虚であった。
巨大な蟻の姿をしており、多数で行動している。今のところ洞窟内や洞窟周辺をうろついているばかりで被害は出ていないが……
もしこれ以上数が増えれば集落に被害が及ぶのは確実である。ゆえに、若者達は危機感を覚え、長老に詰め寄っていた。
長老はあまりよそ者が好きではないため「まだ様子を見よう」と言っていたが歪虚蟻の数は徐々に増えてきている。
このまま放置しておくわけにはいかない状況になってきた……。
「長老!」
「長老!!」
若者達は声を上げる。それを聞き、椅子に座っていた長老はゆっくりと立ち上がった。
「……解った。確かに集落の安全を考えればアレは放ってはおけん。仕方あるまい、ハンターズソサエティに連絡しよう」
***
集落の住居――。少女が母親に向かって不満を漏らしていた。
「なんで洞窟へ行っちゃいけないのよぉー! あそこは今まであたし達の遊び場だったのにぃー!」
「だから言っているでしょう。あそこは今、歪虚が出て危ないの。絶対に近づいちゃダメ」
母親は娘……八歳くらいの少女を優しく宥める。
「いやいやぁ! お外に出て遊びたーい! 最近ずっとおうちの中ばっかりでつまんなーい!」
「お願いだから言うことを聞いて。もうすぐハンターさん達が来て歪虚を退治してくれるから」
「……え? ホント? ハンターさんが来てくれるの?」
少女は瞳をキラキラと輝かせる。
「ええ、本当よ。だからもうしばらく我慢してね」
「はぁーい」
少女はまだちょっと不満げにしつつも頷く。
(ハンターさん達のお話……聞きたいなぁ……)
リプレイ本文
●情報収集
蟻の姿をした歪虚を討伐する為、辺境部族の集落を訪れた八名のハンター達――。
「蟻退治、ね。撃ち甲斐がありそうな獲物じゃない。存分に楽しませてもらおうかしら」
後ろで結んだ黒髪に青い瞳、露出の多い服装をした女性、アリサ・ケンプファー(ka0399)が言う。
彼女は……勿論、依頼遂行という目的もあるが、メインは『銃を乱射する事』を期待しての参加である。
「折角の遠慮なく銃を撃てる機会……蟻共を蜂の巣にしてあげるわ。楽しみね」
ニヤリと笑みを浮かべる。
「さて、初仕事だ。何事も最初が肝心……。確実に、完璧に成し遂げるべく、全力を尽くすとしよう」
魅惑的な褐色の肌に大きく胸元が開いた鎧を纏うエルフの女性、クリュ・コークス(ka0535)も気合十分。
「歪虚の討伐こそ妾の使命じゃて! さぁ、参るぞよ!」
長い白髪に赤い瞳、純白の修道服に似た衣服を着た小さな少女、トルテ・リューンベリ(ka0640)は元気に杖を振り上げる。
「蟻の様なヴォイド、のう? ならば所詮は虫じゃ、蹴散らしてしまわんとな」
これまた露出の多い、リアルブルー風に言えば魔法少女めいた衣装の女性、クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659)は強気の構え。
「うふふ、ついに初依頼ですわ。いきなりクラリッサお嬢様と依頼を御一緒出来るなんて……」
そしてその従者を名乗る銀髪巨乳メイドさん(?)、イルミナル(ka0649)は何やら頬を染めて恍惚とした表情を浮かべている。
「お嬢様に貢献、いえ依頼の遂行を優先、いえやはり私は従者……お嬢様のため働かせて頂きますわ」
彼女の中で揺れ動く物がある様だが、やはり優先すべきは『お嬢様』らしい。
「久々だね、こうも大人数で戦うのは……」
黒衣を纏ったショートヘアのドワーフの女性、オリカ(ka0653)は感慨深そうに言う。
(異世界――リアルブルーから来た奴らも居るだろうし、お手並み拝見かな)
リアルブルー出身の面々に目をやる。
「さて、初の任務だからという訳じゃないが、気合を入れて掛からなければね」
今回唯一の男性参加者であるクラウス・エンディミオン(ka0680)。
しかし落ち着いた雰囲気を放っており、女性陣に臆した様子は微塵もない。
(初対面である彼女達の目の前で覚醒を行うのは少々気が引けるが……これが仕事だから、仕方ないか)
そして彼はどこか寂しげな、愁いを秘めた表情を浮かべる。
「集落の近くにヴォイドが居ては安心に暮らせませんものね」
白衣を纏った、豊満な身体(特に胸部)が目立つメガネ美人、日下 菜摘(ka0881)。
「速やかに退治して集落の人達を安心させて差し上げたいですわね」
彼女自身の目標は仲間の誰一人大怪我を負う事なく依頼を無事に完遂させる事だ。
ハンター達は一息ついた後、依頼主である長老の家へ向かう。
***
長老の家を訪れた一行。まずはイルミナルが歩み出る。
「長老はいらっしゃいますでしょうか、ハンターズソサエティより参りましたハンターに御座いますわ」
するとすぐに長老の元へ通された。イルミナルは恭しくお辞儀。
クリュも挨拶をし、それから長老に協力を仰ぐ。
「狩り逃しなどがあって集落に迷惑をかける訳にはいかないからな。確実な仕事の為に協力して欲しい」
しっかりと長老の目を見て言った。
「その代わり、必ず依頼を果たすと約束する」
続いてクラリッサ。
「深く干渉はせぬと言う事は約束しよう。あくまでも妾達が受けたのはヴォイドの討伐依頼じゃからな」
……すると長老は言葉少なに集落での情報収集を許可する旨を伝えた。詳しい事は若者達に訊いてくれ、と。
***
ハンター達は長老の家を後にし、各自事前行動を開始。
「まずは情報収集からじゃな」
トルテは見かけた若者達に歪虚の詳細や数、出没地や出没場所の詳細等を尋ねる。
(よそ者にはあまり友好的ではないとの事じゃが、歪虚の早期殲滅が被害を早く食い止められる事を説明しつつ、聞くかのぅ)
すると意外にも若者達は好意的に情報を提供してくれた。どうやら話を聞くに排他的なのは長老だけであるそうな。
クラリッサはイルミナルやオリカと共に若者達へ色々と尋ねてみる。
「後はそうじゃな……洞窟の構造に詳しい者が居たらその者を紹介して貰えんかのぅ」
「件の洞窟で遊んでた子どもとかが居れば教えて貰えないかな。出来れば大人の方が良いけども」
クラリッサとオリカがそうお願いすると、問題の洞窟をよく遊び場にしていたという少女の家に案内された。
少女は訪れたハンター達の姿を見るや否や、嬉しそうに飛び跳ねる。
イルミナルは少女の目線まで屈み、解りやすい言葉で洞窟の場所・周辺の歪虚が潜んでいそうな場所・静かに洞窟へ近づけるルート等を訊く。
少女は子どもながらに憧れのハンター達の役に立とうと、一生懸命に事細かく説明してくれた。
……情報収集を終えたハンター達は合流し、いよいよ歪虚討伐へ。
クラリッサは出発を見送る少女の肩に手を置き、
「妾達を信じ待っていてくれ」
少女の目を見てその様に言う。少女は大きく頷いた。
いよいよ出撃。少女の「がんばってー!」という応援が背後から聞こえる。
これは、勝たねばなるまい。ハンター達はそう思った。
●VSヴォイドアント 前半
洞窟の入り口付近に到着。まずは岩陰に身を隠しつつ、様子を窺う……。
アリサは周辺を探索。
「周囲に人は……流石に居ないわよね」
「あれか……!」
クリュが小声で言った。洞窟の入り口周辺をうろついている巨大な蟻――の姿をした歪虚。
「速やかに叩いてしまいたい所じゃ。騒がれたり、奥に逃げ込まれては厄介じゃからのぅ」
「そうじゃのぅ、先手必勝じゃ」
言ったのはトルテとクラリッサ。なんとなく口調が似ている二人である。
「ちょっと変わった虫の死骸がほしいんだよね。倒した奴の死骸貰いたいなぁ……アイツらが死んでも死骸が残るのかは知らないけど」
歪虚蟻を見て、オリカが呟く。どうやら彼女にはその様な趣味があるらしい。
「じゃあ行こうか。お手柔らかに頼むよ、お嬢さん方……。見ての通り、もう若くは無いのでね」
「そんな事は無いと思いますが。十分お若いと思いますよ」
クラウスが冗談めかして言い、菜摘が答える。
「それは嬉しいね」
微笑んでからクラウスは表情を戻し、覚醒。
手や顔面が灰色の鱗に覆われ、瞳が爬虫類の様な金色に変化。
「さてと……派手に散らかすとしようじゃないか」
その様子を目にした女性陣は少し息を呑んだが、すぐに続いて全員覚醒。
***
ハンター達は一斉に隠れていた岩場から飛び出し、歪虚蟻二匹に奇襲を仕掛ける!
初手、アリサがジャンクガンで射撃。
「ヒャッハー!!」
命中するが胴体の甲殻を抉ったのみで倒すには至らない。
「どうやら硬い甲殻を持っている様ですね」
菜摘は【メイスファイティング】を使用して打撃を加える。
(出来れば高所から仕掛けたかったが――)
周囲は岩場であったものの高さはそれ程無かった。
クラウスは【闘心昂揚】を使用。アリサが付けた弾痕をサーベルで刺し貫く。一匹を撃破。
「失礼、急いでいるものでね」
クリュは【スラッシュエッジ】を発動しようとするが、アクティブ状態でないスキルは使用出来ない。
(くっ、しまった……)
ゆえに仕方なくもう一匹へ通常攻撃。
続いてイルミナルが【ランアウト】を用いての素早い斬撃。
「やあっ!」
クラリッサが追撃の【マジックアロー】を放つ。
「喰らうのじゃ!」
もう一匹の歪虚蟻も地に伏し……遺骸は黒い霧の様に散り、消えた。
「あー、やっぱりかぁー」
がっくりとするオリカ。歪虚は基本、遺骸を残さない。例外もあるが。
念のため周囲の安全確認を行った後、ハンター達は歪虚蟻が潜む洞窟内部へ突入した。
●VSヴォイドアント 後半
洞窟内部。通路――。
通路は薄暗かったが、ハンター達が用意した光源によって視界は問題なく確保出来た。
ハンター達は隊列を組んで洞窟内部を進む……。
――結論から言うと、通路には四匹の歪虚蟻が居た。
アリサはLEDライトとランタンを持ち込み。クラリッサと一緒に最後尾を担当。
敵と遭遇。拳銃のトリガーを引いて射撃。【遠射】からの【強弾】を叩き込む。
「ハッハー!! 撃ち放題だぁ!!」
戦闘開始からかなりテンションが上がっているらしい。
だが奇襲や突破にはしっかり警戒。
「人型以外に格闘技を試す良いチャンスだ。闘い方の実験台になってもらうぞ」
クリュは腕に装備したジャマダハルで近接格闘戦。ストレートやフックを用いて敵を殴り飛ばす。
トルテは天井や壁などに注視し、聴覚・臭覚・視覚を研ぎ澄ませて前進。
「敵は蟻型じゃし、上部、側面からの奇襲攻撃には警戒じゃ」
【ヒール】を主に使用し、ダメージを受け易い前衛を支援。サポートに回る。
イルミナルは【スラッシュエッジ】の斬撃で敵の甲殻を斬り裂く。
位置はクラリッサの一つ前。彼女の護衛兼遊撃を行う。
「あぁ、お嬢様が私を見ていらっしゃる……」
後ろから見られている事で奮起している様だ。
側面へ回り込もうとする敵には【ランアウト】で距離を詰め即時対処。
「行かせません!」
クラリッサはランタンを手にし光源役。
洞窟から出ようとする敵が居ないか警戒。
何か動く物が見えればその方向をすぐに照らす。
――はっきりと浮かび上がったのはイルミナルの勇姿だった。
「流石は妾の従者じゃ。褒めて遣わすぞ」
イルミナルは振り向いて嬉しそうにぶんぶんと手を振って来た。
オリカは前衛を担当。
(私の剣は流石に遠距離には届かない、後衛の魔法やら弾やらに当たらない様に祈りつついこう)
敵が吐く強酸を避け、カウンターの斬撃を繰り出す。
「やあああっ!!」
彼女の鋭い一撃により、既に仲間の攻撃でダメージを受けていた歪虚蟻が倒れ、霧散。
そして壁や天井に蟻が張り付いてないか注意を払う。
「奇襲されるのは嫌だからね」
クラウスは松明を投げ遠距離の視界を確保し、仲間を援護。
「あぁ、醜い顔までよく見える様になったな」
……と、敵の姿はっきりと見えた。前衛が速やかに対処する。
彼は積極的には前へ出ず、遊撃と後衛の護衛と光源の保守を行った。
菜摘は中衛に位置し、後衛と協力して敵を迎撃。
「私だってこの位……!」
隙があれば杖を振り降ろし敵へ打撃を与える。
***
洞窟内部。広間――。道中に遭遇した敵は全て撃破した。
光源を持つハンターが一斉に内部を照らし出す。そこには四匹の歪虚蟻が居た。
「トッリッガァァァァァ、ハァッピィィィィィ!!」
敵を確認したアリサは即座に照準。拳銃を連射。
続いてクリュとオリカが前に出て、拳と剣によりアリサの銃撃を受けた一匹を速攻で潰す。
「戦闘能力は個体差があるかもしれない。油断は出来ないね」
クリュは敵の動きを見て剣と斧を使い分ける。次の敵へ向け踏み込み、【強打】を使用した打撃を打ち込む。
「確かに。了解したよ。――やっ!!」
オリカは頷いて剣を振るい、追撃を掛ける。
菜摘とトルテは【ヒール】を惜しみなく使い、ダメージを受けた前衛を回復。
「わたし達が回復させますので、皆さんは戦いの方に専念して下さい」
「そうじゃ、遠慮せずにガンガン行ってしまえー!」
集中攻撃により歪虚蟻一匹を撃破。残り二匹。
「そうさせてもらうか。……一気にケリを付ける!」
クラウスが突撃。残る敵へ狙いを定め、サーベルによる連続突きを繰り出す。
「お嬢様、こちらの敵ですわ」
イルミナルはもう一匹をターゲット。剣による斬撃!
自分に注意を引き付け、敵の強酸や顎の攻撃を避けつつクラリッサに狙って貰うよう、射線を開ける。
「わかったのじゃ。ゆくぞ!」
クラリッサが【マジックアロー】をお見舞いし、敵を撃破。
「流石はお嬢様、素晴らしいお手並みですわ」
「うむ!」
イルミナルが拍手し、クラリッサは満足そうに頷く。
従者と主の見事な連携であった。
「失せろ、クソ虫が」
クラウスが歪虚蟻の頭部にサーベルを突き立て、最後の一匹を撃破。戦闘終了。
洞窟の奥に不審な物がないかイルミナルが確認し、他の者も残敵が居ないかしっかりと捜索。
敵の掃討を確認すると、一行は洞窟を出た(クラウスは帰りの道中、勿体無いので松明を回収)。
●戦闘後……
アリサは洞窟の周囲にも残存の敵が居ないか念入りに確認。
「あれで全部かしら。残っていたらいたで楽しめるから良いけど」
クラウスは……洞窟近くの池の前に立ち、水面に映る自分の顔を見て自嘲する様に笑った。
「全く……何度見ても醜い姿だ」
***
集落へ帰還したハンター達はまず長老の家へ向かい、依頼完了の詳細報告を行う。
……報告を聞いた長老は「ご苦労だった」と短く述べるのみ。しかし感謝の気持ちは確かに篭っていた。
「再度異常が御座いましたらハンターズソサエティまでお知らせ下さいませ。私達はいつでも皆様の御力になれます様、努めさせて頂きますわ」
「そうじゃ、遠慮する事は無いぞ。……まあ、あの様な物がまた出ない事を祈るが」
イルミナルがスカートの裾を持ち上げて恭しくお辞儀しながら言い、クラリッサが続ける。
その後、ハンター達は拠点へ帰る時間となるまで、各々自由に過ごす。
***
アリサ、トルテ、イルミナル、クラリッサ、菜摘は物珍しさに集まって来た子ども達に今回の戦いの話を(脚色を加えつつ)してあげた。
トルテは何やら布教活動……?
「妾は世のため、そして布教活動のため世界を旅してるのじゃ!」
イルミナルは子ども達に、クラリッサの活躍を盛大に脚色して話し聞かせる。
「私の主クラリッサお嬢様の御活躍をお話させて頂きましょう」
子ども達から「わー!」と大きな歓声が上がる。
クラリッサは戦闘前に情報提供してくれた少女に感謝の意を伝え、活躍ぶりを話す。
少女はキラキラと澄んだ瞳を輝かせて耳を傾けた。
「……所でイルミナルよ、妙な脚色は止めてほしいのじゃが」
そして身振り手振りを付け加えながら延々と話し続けるイルミナルの事は適当な所で止めておいた。
菜摘も子ども達に仲間の活躍を面白おかしく話す。
「――という訳です。うふふ、どうです? すごいでしょう?」
またも子ども達から歓声。
ハンターに憧れる子が多いのと、最近家から出られず不満が溜まっていた子ども達だったので菜摘らの話は大いに受けた。
それからハンター達は住民からお礼にと、豪華とまではいかないものの、美味しい食事を振る舞われた。
住民に歓迎されるハンター達の様子を見て、長老は少しだけハンターに対する認識を改めたそうな……。
蟻の姿をした歪虚を討伐する為、辺境部族の集落を訪れた八名のハンター達――。
「蟻退治、ね。撃ち甲斐がありそうな獲物じゃない。存分に楽しませてもらおうかしら」
後ろで結んだ黒髪に青い瞳、露出の多い服装をした女性、アリサ・ケンプファー(ka0399)が言う。
彼女は……勿論、依頼遂行という目的もあるが、メインは『銃を乱射する事』を期待しての参加である。
「折角の遠慮なく銃を撃てる機会……蟻共を蜂の巣にしてあげるわ。楽しみね」
ニヤリと笑みを浮かべる。
「さて、初仕事だ。何事も最初が肝心……。確実に、完璧に成し遂げるべく、全力を尽くすとしよう」
魅惑的な褐色の肌に大きく胸元が開いた鎧を纏うエルフの女性、クリュ・コークス(ka0535)も気合十分。
「歪虚の討伐こそ妾の使命じゃて! さぁ、参るぞよ!」
長い白髪に赤い瞳、純白の修道服に似た衣服を着た小さな少女、トルテ・リューンベリ(ka0640)は元気に杖を振り上げる。
「蟻の様なヴォイド、のう? ならば所詮は虫じゃ、蹴散らしてしまわんとな」
これまた露出の多い、リアルブルー風に言えば魔法少女めいた衣装の女性、クラリッサ=W・ソルシエール(ka0659)は強気の構え。
「うふふ、ついに初依頼ですわ。いきなりクラリッサお嬢様と依頼を御一緒出来るなんて……」
そしてその従者を名乗る銀髪巨乳メイドさん(?)、イルミナル(ka0649)は何やら頬を染めて恍惚とした表情を浮かべている。
「お嬢様に貢献、いえ依頼の遂行を優先、いえやはり私は従者……お嬢様のため働かせて頂きますわ」
彼女の中で揺れ動く物がある様だが、やはり優先すべきは『お嬢様』らしい。
「久々だね、こうも大人数で戦うのは……」
黒衣を纏ったショートヘアのドワーフの女性、オリカ(ka0653)は感慨深そうに言う。
(異世界――リアルブルーから来た奴らも居るだろうし、お手並み拝見かな)
リアルブルー出身の面々に目をやる。
「さて、初の任務だからという訳じゃないが、気合を入れて掛からなければね」
今回唯一の男性参加者であるクラウス・エンディミオン(ka0680)。
しかし落ち着いた雰囲気を放っており、女性陣に臆した様子は微塵もない。
(初対面である彼女達の目の前で覚醒を行うのは少々気が引けるが……これが仕事だから、仕方ないか)
そして彼はどこか寂しげな、愁いを秘めた表情を浮かべる。
「集落の近くにヴォイドが居ては安心に暮らせませんものね」
白衣を纏った、豊満な身体(特に胸部)が目立つメガネ美人、日下 菜摘(ka0881)。
「速やかに退治して集落の人達を安心させて差し上げたいですわね」
彼女自身の目標は仲間の誰一人大怪我を負う事なく依頼を無事に完遂させる事だ。
ハンター達は一息ついた後、依頼主である長老の家へ向かう。
***
長老の家を訪れた一行。まずはイルミナルが歩み出る。
「長老はいらっしゃいますでしょうか、ハンターズソサエティより参りましたハンターに御座いますわ」
するとすぐに長老の元へ通された。イルミナルは恭しくお辞儀。
クリュも挨拶をし、それから長老に協力を仰ぐ。
「狩り逃しなどがあって集落に迷惑をかける訳にはいかないからな。確実な仕事の為に協力して欲しい」
しっかりと長老の目を見て言った。
「その代わり、必ず依頼を果たすと約束する」
続いてクラリッサ。
「深く干渉はせぬと言う事は約束しよう。あくまでも妾達が受けたのはヴォイドの討伐依頼じゃからな」
……すると長老は言葉少なに集落での情報収集を許可する旨を伝えた。詳しい事は若者達に訊いてくれ、と。
***
ハンター達は長老の家を後にし、各自事前行動を開始。
「まずは情報収集からじゃな」
トルテは見かけた若者達に歪虚の詳細や数、出没地や出没場所の詳細等を尋ねる。
(よそ者にはあまり友好的ではないとの事じゃが、歪虚の早期殲滅が被害を早く食い止められる事を説明しつつ、聞くかのぅ)
すると意外にも若者達は好意的に情報を提供してくれた。どうやら話を聞くに排他的なのは長老だけであるそうな。
クラリッサはイルミナルやオリカと共に若者達へ色々と尋ねてみる。
「後はそうじゃな……洞窟の構造に詳しい者が居たらその者を紹介して貰えんかのぅ」
「件の洞窟で遊んでた子どもとかが居れば教えて貰えないかな。出来れば大人の方が良いけども」
クラリッサとオリカがそうお願いすると、問題の洞窟をよく遊び場にしていたという少女の家に案内された。
少女は訪れたハンター達の姿を見るや否や、嬉しそうに飛び跳ねる。
イルミナルは少女の目線まで屈み、解りやすい言葉で洞窟の場所・周辺の歪虚が潜んでいそうな場所・静かに洞窟へ近づけるルート等を訊く。
少女は子どもながらに憧れのハンター達の役に立とうと、一生懸命に事細かく説明してくれた。
……情報収集を終えたハンター達は合流し、いよいよ歪虚討伐へ。
クラリッサは出発を見送る少女の肩に手を置き、
「妾達を信じ待っていてくれ」
少女の目を見てその様に言う。少女は大きく頷いた。
いよいよ出撃。少女の「がんばってー!」という応援が背後から聞こえる。
これは、勝たねばなるまい。ハンター達はそう思った。
●VSヴォイドアント 前半
洞窟の入り口付近に到着。まずは岩陰に身を隠しつつ、様子を窺う……。
アリサは周辺を探索。
「周囲に人は……流石に居ないわよね」
「あれか……!」
クリュが小声で言った。洞窟の入り口周辺をうろついている巨大な蟻――の姿をした歪虚。
「速やかに叩いてしまいたい所じゃ。騒がれたり、奥に逃げ込まれては厄介じゃからのぅ」
「そうじゃのぅ、先手必勝じゃ」
言ったのはトルテとクラリッサ。なんとなく口調が似ている二人である。
「ちょっと変わった虫の死骸がほしいんだよね。倒した奴の死骸貰いたいなぁ……アイツらが死んでも死骸が残るのかは知らないけど」
歪虚蟻を見て、オリカが呟く。どうやら彼女にはその様な趣味があるらしい。
「じゃあ行こうか。お手柔らかに頼むよ、お嬢さん方……。見ての通り、もう若くは無いのでね」
「そんな事は無いと思いますが。十分お若いと思いますよ」
クラウスが冗談めかして言い、菜摘が答える。
「それは嬉しいね」
微笑んでからクラウスは表情を戻し、覚醒。
手や顔面が灰色の鱗に覆われ、瞳が爬虫類の様な金色に変化。
「さてと……派手に散らかすとしようじゃないか」
その様子を目にした女性陣は少し息を呑んだが、すぐに続いて全員覚醒。
***
ハンター達は一斉に隠れていた岩場から飛び出し、歪虚蟻二匹に奇襲を仕掛ける!
初手、アリサがジャンクガンで射撃。
「ヒャッハー!!」
命中するが胴体の甲殻を抉ったのみで倒すには至らない。
「どうやら硬い甲殻を持っている様ですね」
菜摘は【メイスファイティング】を使用して打撃を加える。
(出来れば高所から仕掛けたかったが――)
周囲は岩場であったものの高さはそれ程無かった。
クラウスは【闘心昂揚】を使用。アリサが付けた弾痕をサーベルで刺し貫く。一匹を撃破。
「失礼、急いでいるものでね」
クリュは【スラッシュエッジ】を発動しようとするが、アクティブ状態でないスキルは使用出来ない。
(くっ、しまった……)
ゆえに仕方なくもう一匹へ通常攻撃。
続いてイルミナルが【ランアウト】を用いての素早い斬撃。
「やあっ!」
クラリッサが追撃の【マジックアロー】を放つ。
「喰らうのじゃ!」
もう一匹の歪虚蟻も地に伏し……遺骸は黒い霧の様に散り、消えた。
「あー、やっぱりかぁー」
がっくりとするオリカ。歪虚は基本、遺骸を残さない。例外もあるが。
念のため周囲の安全確認を行った後、ハンター達は歪虚蟻が潜む洞窟内部へ突入した。
●VSヴォイドアント 後半
洞窟内部。通路――。
通路は薄暗かったが、ハンター達が用意した光源によって視界は問題なく確保出来た。
ハンター達は隊列を組んで洞窟内部を進む……。
――結論から言うと、通路には四匹の歪虚蟻が居た。
アリサはLEDライトとランタンを持ち込み。クラリッサと一緒に最後尾を担当。
敵と遭遇。拳銃のトリガーを引いて射撃。【遠射】からの【強弾】を叩き込む。
「ハッハー!! 撃ち放題だぁ!!」
戦闘開始からかなりテンションが上がっているらしい。
だが奇襲や突破にはしっかり警戒。
「人型以外に格闘技を試す良いチャンスだ。闘い方の実験台になってもらうぞ」
クリュは腕に装備したジャマダハルで近接格闘戦。ストレートやフックを用いて敵を殴り飛ばす。
トルテは天井や壁などに注視し、聴覚・臭覚・視覚を研ぎ澄ませて前進。
「敵は蟻型じゃし、上部、側面からの奇襲攻撃には警戒じゃ」
【ヒール】を主に使用し、ダメージを受け易い前衛を支援。サポートに回る。
イルミナルは【スラッシュエッジ】の斬撃で敵の甲殻を斬り裂く。
位置はクラリッサの一つ前。彼女の護衛兼遊撃を行う。
「あぁ、お嬢様が私を見ていらっしゃる……」
後ろから見られている事で奮起している様だ。
側面へ回り込もうとする敵には【ランアウト】で距離を詰め即時対処。
「行かせません!」
クラリッサはランタンを手にし光源役。
洞窟から出ようとする敵が居ないか警戒。
何か動く物が見えればその方向をすぐに照らす。
――はっきりと浮かび上がったのはイルミナルの勇姿だった。
「流石は妾の従者じゃ。褒めて遣わすぞ」
イルミナルは振り向いて嬉しそうにぶんぶんと手を振って来た。
オリカは前衛を担当。
(私の剣は流石に遠距離には届かない、後衛の魔法やら弾やらに当たらない様に祈りつついこう)
敵が吐く強酸を避け、カウンターの斬撃を繰り出す。
「やあああっ!!」
彼女の鋭い一撃により、既に仲間の攻撃でダメージを受けていた歪虚蟻が倒れ、霧散。
そして壁や天井に蟻が張り付いてないか注意を払う。
「奇襲されるのは嫌だからね」
クラウスは松明を投げ遠距離の視界を確保し、仲間を援護。
「あぁ、醜い顔までよく見える様になったな」
……と、敵の姿はっきりと見えた。前衛が速やかに対処する。
彼は積極的には前へ出ず、遊撃と後衛の護衛と光源の保守を行った。
菜摘は中衛に位置し、後衛と協力して敵を迎撃。
「私だってこの位……!」
隙があれば杖を振り降ろし敵へ打撃を与える。
***
洞窟内部。広間――。道中に遭遇した敵は全て撃破した。
光源を持つハンターが一斉に内部を照らし出す。そこには四匹の歪虚蟻が居た。
「トッリッガァァァァァ、ハァッピィィィィィ!!」
敵を確認したアリサは即座に照準。拳銃を連射。
続いてクリュとオリカが前に出て、拳と剣によりアリサの銃撃を受けた一匹を速攻で潰す。
「戦闘能力は個体差があるかもしれない。油断は出来ないね」
クリュは敵の動きを見て剣と斧を使い分ける。次の敵へ向け踏み込み、【強打】を使用した打撃を打ち込む。
「確かに。了解したよ。――やっ!!」
オリカは頷いて剣を振るい、追撃を掛ける。
菜摘とトルテは【ヒール】を惜しみなく使い、ダメージを受けた前衛を回復。
「わたし達が回復させますので、皆さんは戦いの方に専念して下さい」
「そうじゃ、遠慮せずにガンガン行ってしまえー!」
集中攻撃により歪虚蟻一匹を撃破。残り二匹。
「そうさせてもらうか。……一気にケリを付ける!」
クラウスが突撃。残る敵へ狙いを定め、サーベルによる連続突きを繰り出す。
「お嬢様、こちらの敵ですわ」
イルミナルはもう一匹をターゲット。剣による斬撃!
自分に注意を引き付け、敵の強酸や顎の攻撃を避けつつクラリッサに狙って貰うよう、射線を開ける。
「わかったのじゃ。ゆくぞ!」
クラリッサが【マジックアロー】をお見舞いし、敵を撃破。
「流石はお嬢様、素晴らしいお手並みですわ」
「うむ!」
イルミナルが拍手し、クラリッサは満足そうに頷く。
従者と主の見事な連携であった。
「失せろ、クソ虫が」
クラウスが歪虚蟻の頭部にサーベルを突き立て、最後の一匹を撃破。戦闘終了。
洞窟の奥に不審な物がないかイルミナルが確認し、他の者も残敵が居ないかしっかりと捜索。
敵の掃討を確認すると、一行は洞窟を出た(クラウスは帰りの道中、勿体無いので松明を回収)。
●戦闘後……
アリサは洞窟の周囲にも残存の敵が居ないか念入りに確認。
「あれで全部かしら。残っていたらいたで楽しめるから良いけど」
クラウスは……洞窟近くの池の前に立ち、水面に映る自分の顔を見て自嘲する様に笑った。
「全く……何度見ても醜い姿だ」
***
集落へ帰還したハンター達はまず長老の家へ向かい、依頼完了の詳細報告を行う。
……報告を聞いた長老は「ご苦労だった」と短く述べるのみ。しかし感謝の気持ちは確かに篭っていた。
「再度異常が御座いましたらハンターズソサエティまでお知らせ下さいませ。私達はいつでも皆様の御力になれます様、努めさせて頂きますわ」
「そうじゃ、遠慮する事は無いぞ。……まあ、あの様な物がまた出ない事を祈るが」
イルミナルがスカートの裾を持ち上げて恭しくお辞儀しながら言い、クラリッサが続ける。
その後、ハンター達は拠点へ帰る時間となるまで、各々自由に過ごす。
***
アリサ、トルテ、イルミナル、クラリッサ、菜摘は物珍しさに集まって来た子ども達に今回の戦いの話を(脚色を加えつつ)してあげた。
トルテは何やら布教活動……?
「妾は世のため、そして布教活動のため世界を旅してるのじゃ!」
イルミナルは子ども達に、クラリッサの活躍を盛大に脚色して話し聞かせる。
「私の主クラリッサお嬢様の御活躍をお話させて頂きましょう」
子ども達から「わー!」と大きな歓声が上がる。
クラリッサは戦闘前に情報提供してくれた少女に感謝の意を伝え、活躍ぶりを話す。
少女はキラキラと澄んだ瞳を輝かせて耳を傾けた。
「……所でイルミナルよ、妙な脚色は止めてほしいのじゃが」
そして身振り手振りを付け加えながら延々と話し続けるイルミナルの事は適当な所で止めておいた。
菜摘も子ども達に仲間の活躍を面白おかしく話す。
「――という訳です。うふふ、どうです? すごいでしょう?」
またも子ども達から歓声。
ハンターに憧れる子が多いのと、最近家から出られず不満が溜まっていた子ども達だったので菜摘らの話は大いに受けた。
それからハンター達は住民からお礼にと、豪華とまではいかないものの、美味しい食事を振る舞われた。
住民に歓迎されるハンター達の様子を見て、長老は少しだけハンターに対する認識を改めたそうな……。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/11 17:39:42 |
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相談卓 イルミナル(ka0649) 人間(リアルブルー)|28才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/06/16 09:38:55 |