灼導

マスター:とりる

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/09/01 19:00
完成日
2016/09/13 22:15

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 某日。辺境某所――。
「そうか。コーリアス殿に依頼していた物が完成したか」
 部下からの報告に満足気に頷く緋色の和装に身を包んだ長い黒髪の少女、牙城・焔(kz0191)。彼女は指揮官クラスの歪虚である。
 焔は協力することを条件にコーリアスへ新たな武器の錬成を依頼していたのだ。
「コーリアス様の伝令からの話では辺境各所に配置したのでこちらで回収して欲しいとのことです」
「一か所ではないのだな?」
「はい。そのようです。焔様が動かれますと目立ちますゆえ、そのための配慮かと」
「……ふむ。ハンターに気取られることを前提とした措置か。コーリアス殿らしい」
「武器の隠し場所は把握しております。どうされますか?」
「せっかくの新武器だ。使う前にハンターに破壊されてしまっては面白くない。必ず回収せねばな」
 焔はしばし思案した後にまた薄く紅の塗られた唇を開く。
「白川・桜、菊池・緑、球磨・遥に命ずる、お前達は分散し、各個に武器を回収せよ」
「はっ」
 白川、菊池、球磨と呼ばれた三名の部下(いずれも女性)は焔に跪く。
「無論私も動くぞ。目立つならば陽動になろうし、ハンターも無視は出来まい。つまり四手に分かれるということだ」
「了解致しました」
「こうなればハンターも戦力を分散せざるを得まい。そこまで大人数は動員出来ないだろうからな」
 ふふふ、と焔は悪い笑みを浮かべる。
「各自、配下の歪虚の使用を許可する。必ずやコーリアス殿謹製の武器を回収せよ!」
「はっ!」

 ***

 数日後――。
「歪虚の指揮官、牙城・焔の動きが検知されました」
 辺境のハンターズソサエティにて、受付嬢のクラヴィーア・キルシェ(kz0038)が真剣な面持ちで集まったハンター達へ言った。
「牙城・焔とその部下達は別々に行動しているようです。それ以前にコーリアスとの接触があった模様です。こちらが掴んだ情報によりますと牙城達は何らかの『物』を回収に向かっているものかと」
 コーリアス絡みの『物』となれば錬成物質――恐らくは武器の類だろう。
「ハンターの方々は回収を阻止してください。絶対に使わせないように完全破壊が望ましいです」
 その『物』が敵の手に渡れば事態が悪化することは目に見えている。
「敵は分散して行動していますので、ハンターの方々も分かれて行動してもらうことになります。危険な依頼になりますが、どうぞよろしくお願いします」
 ゲームを仕掛けてきたコーリアスに同調して動き出したと思われる牙城・焔。辺境の情勢はまた暗雲に覆われつつあった……。

リプレイ本文

●新武器回収阻止作戦!

 依頼を受けた十名のハンター達は各班に分かれて目撃情報を元に索敵・追跡を開始。

 ***

 焔班の三名――。

(テメェの好きにはさせねぇ! 焔ァ!)
 ボルディア・コンフラムス(ka0796)達は牙城・焔の目撃情報があった場所へ急行中。

「奴らの企みによって起きる悲劇を起こさない為にも、絶対回収させはしないからっ!」
 少女と見紛う容姿、長い黒髪の美少年、時音 ざくろ(ka1250)。正義感に溢れる彼。

「さて、こちらにも当たりがあるのかどうか、ですね……」
 長く美しい銀髪、白銀の全身甲冑を身に纏ったサクラ・エルフリード(ka2598)は思案顔。
「あれば破壊して撤退。なければ他の人達が破壊するまで抑えつつ破壊が終わったら撤退……ですかね……。楽にはいかないでしょうけど……」
 彼女は冷静に焔への対処の仕方を考えていた。

 ***

 焔の部下、白川・桜班の三名――。

 オウカ・レンヴォルト(ka0301)達も桜が目撃された地点へ急行中である。
「……一体、どんな武器なのだか、な」
 コーリアス製というだけで厄介極まりない事は確実だ。

「当たり前……『言わずもがな』なのですが。今回の件を許せば……絶対に厄介な事になる、としか言い様がありませんね」
 漆黒の武者甲冑を纏った恰幅の良い体型の米本 剛(ka0320)。
 この依頼の結果次第で事態は少なからず良い方向か悪い方向か、どちらかへ傾く……。
「牙城さんも然る事ながら、悪名高いコーリアス絡みと聞いたらもう嫌な予感しかしませんな」

「特別に錬成された武器ですか……どんな形なのでしょう。刀使いと聞いていますから、やはり刀でしょうか」
 連城 壮介(ka4765)もオウカと同じく気になる様子。
(戦う姿に興味はありますが、被害が大きくなりそうですから思うだけにしておきます)
「この中で一番の未熟者ですが、しっかり破壊出来る様に頑張ります」
 意気込みを確かに。彼は同班の二名に追従。

 ***

 焔の部下、菊池・緑班――。彼女達も目撃地点へ向かっている最中。

『歪虚滅ぶべし』を心情とするセリス・アルマーズ(ka1079)は新武器破壊よりも歪虚の浄化(殲滅)を考えている……?

「鬼に金棒と申すのが、新しい武器が歪虚の手に渡ると偉い事になる様じゃな」
 豊満な胸元が露わになった色気たっぷりの和服姿の美女、御酒部 千鳥(ka6405)は事態の深刻さを考える。
 たかが歪虚の指揮官一人であるが、されど一人である。
「その武器の使用前に破壊出来るの機会が与えられるとはもっけの幸いと言うヤツじゃろう」
 しかし悲観はせず、千鳥は前向きの思考。
「この機会、生かすも殺すも妾達次第じゃな」

 ***

 焔の部下、球磨・遥班――。ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139)達も現場へ移動中。
「作成したのなら直接本人に渡せば……と、言うのは言うだけ野暮かね」
 コーリアスは現在おばけクルミの里を包囲中である。まあ、それ以前に制作した物なのだからその時点で渡しておけば~となるのだが。
 破壊する機会が与えられたのは好機と見るべきだ。

「またあの人……ううん、今回は部下も連れてるんだ。てっきり一匹狼かと思ってたんだけど、仲間が居たんだね」
 ざくろに負けず劣らずの美少年、ルーエル・ゼクシディア(ka2473)は意外な様子。
 これまで焔が姿を現した際には単独行動だった為にそういった印象を持ったのだろう。

 二人は魔導バイクに跨り目的地へ急ぐ。

●囮と、新武器と

 焔班――。

 目撃地点へ到着した焔班の三名が暫く周囲を探索していると――焔の姿を発見。そのまま追跡に移る。
 なるべく距離を空けて尾行した後に焔が足を止めたのは木々が点在する林の中だった。
 ……遠くから観察していると……周囲に武器の様な物は無く、焔がごそごそと軽く地面を掘り返して現れたのは……コンテナの様な物だった。
「――っ!!」
 三名全員がハッとする。
 ボルディアはすぐさま「俺が焔を引き付けている内に新武器を破壊してくれ!」と言った後に大斧を構えて突撃。
「テメェとやり合うの、楽しみにしてたぜぇ、焔ァ!」
 ボルディアが叫びながら大斧を思い切り振り降ろすと、焔は二刀を抜いて受け止める。
「お前は一体、何を企んでいるんだっ! 物の隠し場所、教えて貰うよ!」
 前衛を担当するざくろも魔導符剣を抜いて駆け、ボルディアに続く。
「皆さんが戦いやすいよう援護します……。傷ついた時はタイミングを見て回復に動きますので……」
 サクラは後衛にて、主に援護を担当。
 焔はボルディアの大斧を二刀で受け止めつつ、火花を散らせながら口を開く。
「やはり情報を掴んでいたかハンター共。お前達の探し物はここだ」
 ニヤリと口元に笑みを浮かべた焔はボルディアを、爆発を伴う斬撃で弾き飛ばしてから背負った物を見せて指差す。
 ――先程のコンテナ。
「遅かったではないか、お前達。武器は既に回収済みだ。あまり足並みが揃っていない様だな」
「そのコンテナが武器だと!?」
 ざくろが声を上げる。恐らくはその中に収納されているのだと思われるが……。
「ならばそのコンテナを破壊するまでです!!」
 サクラは表情をキッと引き締めて言う。
「あつつ……相変らずだな。テメェ! 焔ァ! それごとぶっ潰してやるよ!!」
 焔はふるふると首を振る。
「残念ながら我は囮だ。本命は部下達。我が回収した武器はこの場で使わせて貰う事にしよう。……覚悟しろ」
「――っ!?」
 焔から発せられた冷たい殺気に、三人は少なからず戦慄した……。

 ***

 白川・桜班――。三人は桜を発見した後にやや離れて追跡。……桜が足を止めたのは森の中の開けた場所だった。

「どうやら発見した様で。可能ならその撤退方向に立ち塞がる感じに展開したいですな」
 米本が言い終らない内にオウカが駆け出した。
「では参る! 燃え尽きろ……!」
 オウカは桜と、彼女が連れている三体の火蜥蜴に向けて【マテリアルチャージャー】を重ねた【ファイアスローワー】を放ち、薙ぎ払う。
 瞬間、火蜥蜴達は桜を庇う様に密集。……攻撃の後にはかなりのダメージを受けた様子だがまだ三体の火蜥蜴と桜は健在だった。
 目的の物は……不明。見えるのは桜が掘り返したらしき地面か。

「変な欲は出すべきではありませんね、破壊にのみ的を絞り当たらせて頂きます」
 米本も大鎌を構えて戦闘態勢。オウカと壮介に『剣輝』を付加する。
「……ある意味何時もと立場が逆なのやも知れませんな」
 黒い笑みを浮かべる米本。

「こんにちは。通りすがりの追い剥ぎです。首おいてけー」
 壮介はその様に挑発しつつ前へ出る。【縦横無尽】により斬り付け。
 彼はこれで火蜥蜴を斬り伏せられると考えていたのだが火蜥蜴らは『雑魚』ではなかった。
 焔の命により大切な武器を回収する桜の護衛である。通常よりも数段上の個体なのだ。そこらの雑魔とは違う。

 反撃の鋭い牙と爪の近接攻撃が来る。更にその後ろから桜の高威力の弓矢が飛ぶ。
 ……三人は苦戦を強いられる事となった。

 ***

 菊池・緑班――。二人も緑を発見した後に双眼鏡で確認しつつ追跡。緑が足を止めたのはゴツゴツした岩場だった。

「ん? この動き……隠し場所へ着いた様じゃな」
 双眼鏡を覗いていた千鳥が言う。
「待ちに待ったこの瞬間、物騒な武器には幻となって貰うぞよ」
 急ぎ駆ける千鳥にセリスも続いた。
「歪虚は浄化しないとね……まずは一体ずつ浄化していきましょうか」

 ある程度接近した後にセリスは千鳥へ【ホーリーセイバー】をかける。
「この状態での鎧通しはさぞかし痛いだろうさな」
「妾がメインアタッカーじゃな。ほっほっほっほっ、とにかく接近せねば話にもならんのう」
 千鳥は更に接近。
(目的はあくまで菊地の持つアレじゃが護衛の歪虚は当然邪魔じゃ)
 緑が連れているのは堅牢な甲羅を持つ鋭い牙が映えた亀の様な歪虚三体だった。
「いかにも硬そうなヤツらじゃからコレでどうじゃ?」
 酒をグビッと飲み【酔練華】からの【物怪掌】。敵は相応にダメージを受けた様子。
「ほっほっほっ、何を驚いておるのじゃ?」
 しかし――。緑は手にした杖の様な物を振り上げた。すると先程の攻撃でひび割れた甲羅が元に戻る。
 更に甲羅が輝き、亀の牙が炎を纏い千鳥に襲い掛かる。
「まさか……こっちと同じ様な能力!?」
「くっ! これは厄介じゃのぅ……」
 牙を喰らい血を流しつつ、額に汗を浮かべる千鳥。
 奇しくも同じ様な能力同士が相対する事になった。数の上ではセリスと千鳥が不利か――。

 ***

 球磨・遥班――。こちらの二人も遥を発見し、追跡中。

(索敵時は敵さんに気付かれないよう双眼鏡などを使って遠方から、と言うのが基本だ)
 ヴォルフはまた、敵を探す際に目標物が路傍の石の様に転がっている可能性は低いと睨み、敵の進行上に『自分ならこの場所に隠す』と思う場所を中心に探索。
 ……だが目標物らしき物は見つからない。

(ヴォルフさんと連携して、その目的物を狙うよ。今回の目的は、倒す事じゃないものね)
「敵が目的のものを発見して気を取られた隙に、一気に接近。突入開始ですね」
 ルーエルが言いヴォルフが「ああ」と答えたその時、遥が足を止めた。そこは小高い丘の上。

『機が来た』と判断した二人は騎乗状態で突撃。魔導バイクで駆け抜ける。
 その音に反応した敵――通常より一回り大きい火蜥蜴三体は口から火球を連続して吐く。
「敵は近づいてみないと判らないけど……ん、もしかして遠距離が得意なのかな? うん……僕も接近戦の方が捗るのに……」
 ルーエルがぼやき、尚もバイクを走らせるが敵が高所を取っている上に攻撃が苛烈過ぎる。
 ルーエルの【茨の祈り】があった物の、これ以上は危険と判断したヴォルフはバイクを乗り捨て。
 盾を前面に押し出し、同じくバイクから降りたルーエルを背後に庇う様にして前進。……次々と飛来する火球がじわじわと二人の生命力を削る。

 ……ダメージを受けつつも敵を攻撃範囲内に捉えたヴォルフは【衝撃波】を放ち、敵の不意を突いた後に一気に走って間合いを詰め、近接戦に移行。
 直線状になるようにして【刺突一閃】を繰り出して同時にダメージを与えた。
 すると今度は遥――和装を纏うショートヘアの美女だが両手に物々しい棘付きの盾を構えた――が前に出て来た。
(どう言う相手か判らんので、攻撃は盾で受けてからの【カウンターアタック】を中心に立ち回りたい所だが……こいつは……)
 刀を振るい斬撃を放つヴォルフだったがその殆どは盾に弾かれる。反撃のシールドバッシュがヴォルフを襲う。
「やはり、か」
「ヴォルフさん! 援護します!」
【セイクリッドフラッシュ】を放つルーエル。遥と火蜥蜴にダメージを与える。が、敵はタフそうだ。
(指揮官には効果が薄そうだけど……まずはそのまま厄介な護衛を先に排除したい)

●戦闘中盤

 焔班――。

(奴の膂力はハンパじゃねぇが、力と重さならこっちだって負けねぇ)
 ボルディアは【砕火】を織り交ぜながら只管に焔と打ち合う。
(巨大斧の重さに回転力を乗せた一撃を叩き込んでやる!)
 遠心力を乗せた一撃。受け止めた焔は一瞬だけ隙を見せるがすぐに持ち直し爆発を伴う斬撃を見舞ってくる。

 ざくろは【ジェットブーツ】の機動力を生かし、動き回りながら攻撃を仕掛けるが敵はそれを爆炎で弾いて来る。
 焔は紅蓮爆刃弐をメインに使用している様子。
「……っ! それなら! 防壁展開、超機導パワーオン……デルタドライブインストール!」
 ざくろはまた【ジェットブーツ】で飛び上がり剣を叩きつけると、やはり紅蓮爆刃弐で弾かれ爆炎を受けた。
「ぐううう!!」
 だが同時に攻性防壁を発動。焔を後退させる事は叶わなかったが一瞬だけ動きを止めた。
 ざくろは弾き飛ばされるままに後退し、踏み止まった後に剣で光の三角を描き【デルタレイ】を放つ。
 それは確かに焔へダメージを与えた。
「やるな。この筋肉女にばかり構っている訳には行かない様だ」
「俺の名前はボルディアだ!!」
 再び打ち合う二人。
「当てることより仲間が当て易い様に、と……。そこですっ……!」
 サクラは【ホーリーライト】で援護。
「攻撃に関しては中々の連携の様だ。ならばこれはどうだ? 【灼溶爆炎】!!」
「――っ!?」
 ボルディアはバックステップするが範囲外に逃れる事は不可能。ざくろも同様。
 焔を中心として大爆発が巻き起こり、爆炎が立ち上る。それはサクラをも巻き込んだ。
「ぐぅぅ……そろそろ回復を考えないとですね……。今なら範囲内……【ヒーリングスフィア】……!」
 サクラが回復魔法を唱えるが……三人は徐々に押され始めていた。

 ***

 桜班――。

 近接型火蜥蜴の牙や爪と、桜の弓矢による連携によって甚大なダメージを受けた三名。
 苛烈な攻撃により米本の回復も追いつかない。タフネスを誇る米本自身もかなりの傷を負っている……。
「簡単にはやらせん、ぞ」
 膝を突いていたオウカが立ち上がり刀を構え桜へ攻撃を行おうとするも火蜥蜴に妨害され、更に飛来した矢が肩へ突き刺さる。
「ぐあああ!?」
「貴方がたを相手に長期戦は不利の様です。速攻を掛けさせて頂きます。――射抜け、【紅蓮魔矢】」
「――っ!?」
 肩を押さえるオウカの腹に紅蓮を纏った矢が突き刺さり、爆発。爆炎を巻き起こす。
 そのままオウカは無言で倒れ伏した。
「オウカさん!!」
 米本が回復を施すが既に戦闘不能になっており効果は無かった。
「続けていきます。【紅蓮魔矢】連なり」
「止めろ」
 ボロボロの着物、切り傷だらけの壮介が止め様とするがやはり火蜥蜴に阻まれる。
 連なる矢が連続で射出され、米本の全身に突き刺さり連続で爆発が起こる。
「が、あ……回復役の自分が倒れては……」
 米本も戦闘不能寸前。自己回復を行う。
「この蜥蜴風情が」
 漸く一匹を斬り伏せた壮介だったが、
「【紅蓮魔矢】降らし」
 爆発する矢が雨の様に降り注ぎ米本も巻き込む。
「……っ」
 オウカは戦闘不能、米本と壮介は膝を突いている。
 その様子に桜は目標物――コンテナを背負って撤退しようとするが……壮介が行く手を阻む様に立つ。
「その心意気は認めますが焔様の命令ですので排除します。【紅蓮魔矢】」
 爆発の中に沈む壮介。そのまま桜達は撤退。見ている事しか出来なかった米本は歯噛みした……。

 ***

 緑班――。

「まさか……こんな事って……」
 長い長い攻防の末、セリスが地面に倒れ伏す。
【ホーリーセイバー】で千鳥の攻撃補助をし、【ヒール】で彼女を回復させ、【セイクリッドフラッシュ】による妨害も行い、最大限に彼女を支援したセリス。
 しかし敵も同じ様に亀歪虚を強化し、回復させ、魔法による攻撃も行ってきた。
 つまりセリスと全くとまではいかないがかなり似たタイプの敵であった。敵の数がこちらより多かった事もありセリス達は拮抗しつつも苦戦。
 この様な結果となった……。

「コレで……どうじゃ?」
(煙りに紛れてせめて弾き飛ばせれば……)
 千鳥も善戦した物の強化された亀歪虚は思った以上に硬く倒し切れなかった。
 セリスが倒れ敗色濃厚と見た千鳥は発煙手榴弾を投げるが、緑に接近する前に亀三体によるタックルを受け押し潰されてしまう。

 似た能力の者同士が競り合った結果の敗北であった……。

●戦闘後半

 焔班――。

(こいつはヤベェな……ジリ貧だ。アレを使う!)
 ボルディアは奥義を発動。巨大な炎の犬が現界!
「ほう、それがお前の奥義か。前回は不覚を取ったがそうはいかぬ。的が大きくなっただけだ」
「抜かせ! テメェ、そのカッコに名前、元は東方の出か? 系統は憤怒ってとこかあ!?」
 言いながら更に苛烈な攻撃を開始する。凄まじい攻撃の応酬。
「闘いの肴に聞かせろよ。テメェなんで歪虚なんぞに堕ちやがった!」
「答えるつもりは無い」
「テメェ!」
 そんな会話の中、ざくろは巨大化したボルディアを飛び越えて不意打ちを仕掛けるが――
「これでもくらえっ!」
「む、ならばこちらもそろそろ」
 ざくろに向かって手榴弾らしき物が飛び、【灼溶爆炎】並みの大爆発を起こす。
「うわあああ!!」
 ざくろが地に落ちたのは勿論だが周囲にもダメージが及ぶ。
「何だ、それは? それが新武器か?」
「答えるつもりは無い」
 立ち上がろうとするざくろに向かって追撃のもう一発が飛び、ざくろは崩れ落ちた……。
「テメェ! よくも!」
「こういうのもあるぞ」
 焔が構えたのはロケットランチャーらしき物。ざくろが無事ならばそれが何か判ったかもしれないが……。
 至近距離から放たれた弾頭がボルディアに直撃し炸裂する。炎の犬は黒煙を上げながら倒れ、元の姿に戻った。
「さて」
 焔は最後に残ったサクラの方を向く。
「くっ」
「後はお前だけだな」
「私は、最後まで抵抗します!!」
「良い心掛けだ。死ね」

 ***

 遥班――。

「何とか撃退は出来たか」
「危ない所でしたね」
「ああ。回復手段が無かったらな」
 ヴォルフとルーエルは苦勝。遥を撤退させる事に成功した物の、状況を不利と見た遥はコンテナを自ら破壊し、逃亡していた。
「これ、何だったんでしょうね……」
「さあな……」
 傷だらけのヴォルフは紫煙を吐き出しながら空を仰いだ。

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MVP一覧

  • 王国騎士団“黒の騎士”
    米本 剛ka0320
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディアka2473
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリードka2598

重体一覧

  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルトka0301
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 歪虚滅ぶべし
    セリス・アルマーズka1079
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろka1250
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリードka2598
  • 三千世界の鴉を殺し
    連城 壮介ka4765
  • 喧嘩と酒とモフモフと
    御酒部 千鳥ka6405

参加者一覧

  • Stray DOG
    ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    米本 剛(ka0320
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 歪虚滅ぶべし
    セリス・アルマーズ(ka1079
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 三千世界の鴉を殺し
    連城 壮介(ka4765
    人間(紅)|18才|男性|舞刀士
  • 喧嘩と酒とモフモフと
    御酒部 千鳥(ka6405
    人間(紅)|24才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/08/29 18:19:03
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/08/28 22:11:53
アイコン 相談
サクラ・エルフリード(ka2598
人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/09/01 12:31:43