ゲスト
(ka0000)
【月機】霧中の道標 ~右~
マスター:猫又ものと

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/09/07 09:00
- 完成日
- 2016/09/14 12:22
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
ユキウサギが住まう『おばけクルミの里』は、歪虚の襲撃を受け孤立状態となっていた。
その報を聞きつけたハンター達は、救援に向かうべく森の中へと足を踏み入れるが、なぜか歩けど歩けど一向に目的地に辿り着かない。
「どういう事だ……」
「里はどこにあるの……?」
戸惑い立ち止ったハンター達の周りを、ゆっくりと白い霧が覆っていく。
徐々に視界を塞ぐ白い霧に、ハンター達が身構える中、それはどこからともなく聞こえてきた。
『いらっしゃい。僕のゲーム盤へようこそ』
「こ、この声……コーリアスか!」
「ゲームって何なの!?」
霧に向かって叫ぶハンター達。それに嘲笑うかのように、コーリアスの楽しげな声が響く。
『このゲームに於ける君たちの勝利条件は……僕から追加で出される『条件』をクリアして、この霧の迷宮を脱出する事にある』
「どこにいる、姿を見せろ!」
「……まって、様子がおかしいわ。もしかしたらこれ、声を再生しているだけなのかも」
『このゲームに君たちが勝利すれば、僕の兵器がいくつか減ることになる。ツキウサギ達を助けやすくなるんじゃないかな? 勿論、ゲームを受けない選択肢もあるよ。……君たちは、何を選ぶんだろうね』
仕組みに気付いたハンター達が周囲を探る間も、遠くから近くから聞こえるコーリアスの声は続く。
そんな時、ふと霧が晴れ、二股の分かれ道が現れた。
「あからさますぎる罠だな、ここを進めってか……」
「でも、行くしかないわ。里はこの先よ」
頷き合うハンター達。左右に分かれた2本の道。
さあ、どちらに進もうか――。
●右の道
――白い。視界一面を白が支配する。
ここは森であるはずだが、視界が悪くそれすらも分からない。
ハンター達は、ただただ続く細い1本道を進んでいた。
「この道、一体どこまで続いているのかしらね。コーリアスの兵器があるって話だけど……」
何気なく口を開くハンター。
その声に応えるものはなく。
振り返ると、先ほどまで一緒に歩いていたはずの仲間達が消えていた。
「な……どういうことなの!? 皆、どこに行ったの!?」
周囲は見渡す限りの白。どんなに目を凝らしても、手を伸ばしても仲間の姿は見えない。
滲み出る汗。
焦ってはいけない。落ち着け、落ち着け……。
深呼吸をするハンター。己の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
目の前に続く一本道。その先が、少し開けて見えて……。
「目的地かしら。そんなに遠くなか……」
言いかけて、凍り付くハンター。
そんなまさか。嘘だ。だって、あの光景は――。
混乱から叫びかけたその時。再びあの声が聞こえた。
『待たせたね』
「コーリアス……? 一体どういうことなの?」
『これより、僕のゲームの開幕だ。絶望と希望と、全てが入り混じる世界の』
「皆はどこなの!? ここは一体なんなのよ!!」
ハンターの叫び。それに応えることなく、コーリアスの機械的な声が続く。
『果たして貴公は、「過去」と言うものに何を見、何を望むのだろうね?』
「……っっ!」
声にならない叫び。急速に霧が晴れていく。
「そんな、そんな。こんなことって……」
信じられないものを見て、その場にへたり込むハンター。
目の前に広がる懐かしい光景。
――それは、二度と見たくなかった過去。
突然目の前に広がったそれを、ハンターは呆然と見つめていた。
ユキウサギが住まう『おばけクルミの里』は、歪虚の襲撃を受け孤立状態となっていた。
その報を聞きつけたハンター達は、救援に向かうべく森の中へと足を踏み入れるが、なぜか歩けど歩けど一向に目的地に辿り着かない。
「どういう事だ……」
「里はどこにあるの……?」
戸惑い立ち止ったハンター達の周りを、ゆっくりと白い霧が覆っていく。
徐々に視界を塞ぐ白い霧に、ハンター達が身構える中、それはどこからともなく聞こえてきた。
『いらっしゃい。僕のゲーム盤へようこそ』
「こ、この声……コーリアスか!」
「ゲームって何なの!?」
霧に向かって叫ぶハンター達。それに嘲笑うかのように、コーリアスの楽しげな声が響く。
『このゲームに於ける君たちの勝利条件は……僕から追加で出される『条件』をクリアして、この霧の迷宮を脱出する事にある』
「どこにいる、姿を見せろ!」
「……まって、様子がおかしいわ。もしかしたらこれ、声を再生しているだけなのかも」
『このゲームに君たちが勝利すれば、僕の兵器がいくつか減ることになる。ツキウサギ達を助けやすくなるんじゃないかな? 勿論、ゲームを受けない選択肢もあるよ。……君たちは、何を選ぶんだろうね』
仕組みに気付いたハンター達が周囲を探る間も、遠くから近くから聞こえるコーリアスの声は続く。
そんな時、ふと霧が晴れ、二股の分かれ道が現れた。
「あからさますぎる罠だな、ここを進めってか……」
「でも、行くしかないわ。里はこの先よ」
頷き合うハンター達。左右に分かれた2本の道。
さあ、どちらに進もうか――。
●右の道
――白い。視界一面を白が支配する。
ここは森であるはずだが、視界が悪くそれすらも分からない。
ハンター達は、ただただ続く細い1本道を進んでいた。
「この道、一体どこまで続いているのかしらね。コーリアスの兵器があるって話だけど……」
何気なく口を開くハンター。
その声に応えるものはなく。
振り返ると、先ほどまで一緒に歩いていたはずの仲間達が消えていた。
「な……どういうことなの!? 皆、どこに行ったの!?」
周囲は見渡す限りの白。どんなに目を凝らしても、手を伸ばしても仲間の姿は見えない。
滲み出る汗。
焦ってはいけない。落ち着け、落ち着け……。
深呼吸をするハンター。己の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
目の前に続く一本道。その先が、少し開けて見えて……。
「目的地かしら。そんなに遠くなか……」
言いかけて、凍り付くハンター。
そんなまさか。嘘だ。だって、あの光景は――。
混乱から叫びかけたその時。再びあの声が聞こえた。
『待たせたね』
「コーリアス……? 一体どういうことなの?」
『これより、僕のゲームの開幕だ。絶望と希望と、全てが入り混じる世界の』
「皆はどこなの!? ここは一体なんなのよ!!」
ハンターの叫び。それに応えることなく、コーリアスの機械的な声が続く。
『果たして貴公は、「過去」と言うものに何を見、何を望むのだろうね?』
「……っっ!」
声にならない叫び。急速に霧が晴れていく。
「そんな、そんな。こんなことって……」
信じられないものを見て、その場にへたり込むハンター。
目の前に広がる懐かしい光景。
――それは、二度と見たくなかった過去。
突然目の前に広がったそれを、ハンターは呆然と見つめていた。
リプレイ本文
「あれ……。ここは……?」
一面の白。広がる霧。
その切れ間がだんだん大きくなって……。
遠藤・恵(ka3940)は、その景色に見覚えがある事に気付いた。
――そうだ。ここは……。
恵が幼く、まだリアルブルーにいた頃。
父と母、そして兄……家族全員で一緒に山に出かけた事がある。
初めての山に、幼い恵は大はしゃぎで両親の注意を忘れてしまった。
「お兄ちゃん! 早く早く!」
「恵、危ないよ……!」
走る恵を追いかけてくる兄。
追いかけっこをしているような気分で、先に進んで……。
おかしい、と気付いたのはそれから大分経ってから。
歩けど変わらぬ光景。立ち並ぶ木々は全て同じに見える。
吐く息が白い。こうしている間も容赦なく気温が下がって行く。
気付くと、空から雪が舞い降り始めて……。
恵の瞳から、不安が涙となって溢れる。
「恵、泣かないで。大丈夫だよ」
「でも寒いよ……。足が痛い……」
「僕、上着を持ってるよ。ほら。チョコレートもあるんだ」
「すごい。お兄ちゃんのリュック何でも入ってるのね」
僕は魔法使いだからね、と笑う兄。
上着を着ても、まだ少し寒かったけれど。チョコレートの甘さと、彼の微笑が心強くて――。
幼いあの頃は分からなかったけれど。
兄だってきっと不安で怖かったはずだ。
……お兄ちゃんは、いつもそう。
優しくて、強くて。いつだって、傍にいて守ってくれて……。
「……お兄、ちゃん?」
――でも、いない。
目の前に広がる光景は、あの時のままなのに。
そこから切り取ったように、兄だけがいない……。
「そんなの、嫌……!」
私は何時だってお兄ちゃんと一緒だから、大丈夫だった。安心できた。笑っていられた。
でも、お兄ちゃんがいなかったら――。
言い知れぬ恐怖に己を抱いて蹲る恵。
次の瞬間。暖かな何かを感じて、目を見開く。
「……嫌」
一人寂しいままなんて、嫌に決まってる。
兄にもう一度会って、『ありがとう』と言わなければ。
紅の世界で出会えた大事な人に『ただいま』と言わなきゃ……!
笑顔をくれた人に、精一杯甘え続けるんだから……!
「輝かしい私の未来に、ケチつけさせてたまるかってんですよー!! 遠藤 恵は、これから帰ります!!」
弓を構え、矢を放つ恵。不安を振り切るように、景気づけるように。次々と放たれる矢が霧を割いていく。
立ち上る黒い煙。あちこちから聞こえて来る悲鳴。
この光景を、りり子(ka6114)は知っている。
そう、ここは故郷……鬼の隠れ里。
戦士達が戦いに赴いている間に憤怒の歪虚に蹂躙され、滅ぼされた場所――。
今にして思えば、里に女子供、老人しかいないと覚られ、狙われたのかもしれない。
「凛々子、早く……!」
聞こえる母の声。差し伸べられる手。
向こう側に、ヒトの身体に牛の顔を持った歪虚が迫る。
――そう。あの時。
母は、自分を庇って死んだ。
りり子はぴくりとも動けず、母が冷たくなっていくのを感じても叫ぶ事も出来ず。
母に抱かれたまま、ただ涙を流して震えて……。
動かぬ彼女を死んだと勘違いした歪虚の背を、見送る事しかできなかった。
あの時、腰が抜けていなければ。
きちんと立って、闘えていたら……母は死ななくて済んだかもしれない。
母が『死んで』いく感覚を知らずに済んだかもしれない。
過去は変わらない。死者は戻らない。
分かっている。
それでも――今度は。今度こそ……!
「……母さん、下がりや。こいつはうちが倒すさかい」
「凛々子……?」
「うん。うちは『凛々子』や。父さんと母さんがつけてくれた名に恥じないようにしたいんや」
母を背に庇い、スラリと大刀を抜き放つ彼女。
大丈夫。怖くない。動ける……。
――自分はもう、泣いていただけのあの時とは違う。
全てを失ったりり子を保護してくれた老傭兵。そして出会った優しい人たち……彼らのお陰で、強くなった。
だから、絶対に負けん……!
「うおおおおおお!!」
あの時と同じように、あざ笑うかのように迫り来る歪虚。
全てを塗り替えるかのように響く気迫の籠ったりり子の叫び。
踏み込み、大きく跳躍して一気に距離を詰める。
牛面の振り下ろした斧。重い一撃を刀で跳ね返す。
そのまま身を翻し、風のような連撃を叩き込む……!
感じた手ごたえ。崩れ落ちる歪虚。
それに合わせるように、景色が急速に薄れて行く。
――ああ、うちは勝ったんや……。
振り返るりり子。後ろ立つ懐かしい人を見つめる。
あれは幻だ。母ではない。それでも……。
「母さん……! うち、もう大丈夫やから……!!」
母さんと父さんが安心できるかはまだわからんけど……!
「凛々……」
遠ざかる声。消えゆく母は、穏やかに笑っているように見えた。
霧の中に広がる森。
そこはアルカ・ブラックウェル(ka0790)が良く知る、懐かしい光景。
目の前に、己と同じ髪の色の幼い少年が佇んでいるのを見て彼女は覚った。
――目の前にいるのは……アルカのたった一人の双子の兄だ。
「ぼくらはきょうだいなんだからムリだよ」
穏やかな笑顔の兄から紡がれる拒絶の言葉。
――兄のお嫁様になる、と。そう告げた時の、答え。
それまで幾度となく想いを告げた。その度に、兄も笑って頷いていた。
だから。このまま大きくなって……自分の願いは叶うのだと信じていた。
それなのに……。
突きつけられた事実に何もかもが闇に閉ざしたような気持ちになって……ただただ泣いて過ごしていたような気がする。
幼いアルカにとって、兄は憧れであり、己の半身であり、彼女の生きる世界の光であった。
それを『失う』なんて考えられなくて……。
だから。アルカはその日から『兄』になろうとした。
一つになれないのなら。せめて『兄と同じでありたい』と。
その一心で、己の口調を兄のそれと同じにした。
――今なら、兄が拒絶した理由も理解できる。
血の繋がった実の兄妹。
いくら混血に理解の深い村であったとしても、彼女が望む関係は許されるものではなかったのだ。
そう告げられたところで、あの時の自分が理解できたかというと疑問だし……まだ、正直怖い。
だけど……前に進まなきゃ。
ボクが、『私』に戻る為に――。
「……アルカ。ぼくらはきょうだいだからムリなんだよ」
繰り返される言葉。
アルカは零れそうになる涙を堪えて、幼い兄を見つめる。
「……聞こえてるよ。でも、パートナーである事は変わらないよね?」
「アルカにはもうちょっとしっかりしてほしいけどね」
拒絶ではない、優しい皮肉。
いつもと変わらぬ兄の様子に、アルカは微笑む。
「……あいしてるわ!」
「ぼくも……」
薄れていく幼い兄の姿。その声は微かだけれど、確かに聞こえた。
それならボクは、前に進める。
『私』は何があっても、あの人に愛されているから――。
「そうと分かればこんなところに長居は無用よ!」
霧の向こうには、左の道に進んだ兄がいるはずだ。
『ボク』と決別したアルカは、前を見て走り出す。
「私、プロカードゲーマーだもの! ゲームと言われたからには負けられないんだからっ!」
コーリアスの声を聞き、意気揚々とやってきたルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)だったが……目に飛び込んできた光景に言葉を失った。
そこかしこを照らす強い照明。舞台の上に置かれた、独特な形の机……。
そう。ここは、ルンルンが転移してくる前、リアルブルー某所で行われたカードゲーム世界大会の会場。
彼女はカードゲームの有数の実力者で何度も優勝の経験があり、優勝候補の一人として持て囃されていた。
その年も、余裕で決勝戦まで駒を進め……あともう少しで勝利、というところまで対戦相手を追い詰めていた。
机に置かれた山札はあと数枚。これをこなせば、優勝――。
勝利を確信していたが故の油断。
――彼女は、自分の場に罠カードを仕掛けていた事をすっかり失念していたのだ。
普段だったら絶対にしない。些細で、そして痛恨のミス。
そしてルンルンはまさかの逆転負けを期した。
――負けた!
その事実に膝から崩れ落ちる彼女。
ルンルンを照らすはずだった証明は、あざ笑うかのように通り過ぎて対戦相手を煌々と照らし……そして、憧れていた王子様のようなあの人も、瞳を輝かせて新しい優勝者を見つめる。
あのスポットライトも、憧れの人の目線も、自分が受けるはずだったものだ。
今までの経歴からしても、負けられない戦いだったのに……!
チャンピオンの凡ミスは面白おかしく書かれ、ありとあらゆる情報網に掲載され駆け巡った。
――惨めだった。
憧れのあの人から関心を失っただけでなく、全世界から笑いものにされる屈辱。
「やだ……! もう思い出したくないの!」
強く首を振る彼女。
カードゲーマーとしての栄光。ルンルンの全てとも言えるそれを失った記憶に、心が悲鳴をあげる。
目を閉じて、動けなくなったその時――こつり、と何かが手に触れた。
恐る恐る目を開けると……そこには、無機質に輝くカードケース。
……違う。私にはこれが……カードがある。
紅の世界に来て初めて、『符』というカードに触れた。
蒼の世界のカードも、この世界の『符』も、変わらずに私の傍にいて、励ましてくれている……!
「……こんなところで、負けられない。この子達と一緒に、今度こそ世界を制するんだから!!」
立ち上がるルンルン。涙を拭うと、力強く霧の切れ間を目指す。
「ここ、は……」
橙色の大きな瞳で周囲を見渡すエステル・ソル(ka3983)。
――手入れの行き届いた綺麗な庭園。ここはエステルの家の庭だ。
そう、忘れもしない。あれはもっと小さかった頃。庭で遊んでいたら……。
「……っ!」
仄かに輝き出すエステルの身体。そしてその光はどんどん大きくなる。
――あの時もそうだった。
切欠は本当に些細な事。茂みから飛び出して来た何かに驚いただけ。
それなのに。自分の身体から力が溢れて――。
薙ぎ倒されるベンチ。抉られて舞い飛ぶ芝生。
怖くて、どうしたらいいか分からなくて。泣いても叫んでも止まらなくて……。
――自分の力が、怖い。
自分の力が、大好きな人達を傷つけそうで……。
「エステル。大丈夫だよ」
不意に聞こえた声に弾かれたように顔を上げるエステル。
姿は見えないけれど、聞こえたそれは、確かに――。
「怖がらないで。大丈夫だから」
確かに聞こえる兄の声。
……あの時も、兄は泣き叫ぶエステルを抱きしめて『大丈夫』と繰り返し呟いていた。
それに合わせて聞こえた、兄の心臓の音。
ゆっくりと穏やかなその音に、とても安心して――。
自分の胸元に目線を落とすエステル。そこには、小さなシルバーフォックスの尻尾が揺れている。
……お兄様の姿は見えないけれど。
お兄様が贈ってくれたこの首飾りがある。
――お兄様が一緒なら、怖くない……。
目を閉じて、深く息を吸うエステル。
首飾りを握りしめ、耳を澄ませる。
聞こえる鼓動の音。兄が生きている音。
穏やかなそれに、自分の心臓の音が重なるように。
繰り返し、繰り返し深呼吸をする。
――あの日。力が暴走して兄を傷つけてしまってからずっと。
エステルは繰り返し力の統率を訓練してきた。
それに、姿が見えなくても。兄が傍にいてくれると信じる事が出来るから――。
「エステル……」
「大丈夫です。わたくしはもう、小さな泣いているだけの子供ではありません」
聞こえた声に、頷くエステル。
……彼女がそう呟く頃には、身体から溢れていた光は消えていた。
「……意地悪して楽しいなんて、人生損してるです。そんなの良くないです」
続いた少女の呟き。
あの仮面の歪虚にそれを教える為にも、先に進まなくちゃ……。
意を決して突き進むエステル。
気付くと幻影は消えていた。
「やっぱりここか……」
聳える古びた教会を青い瞳に映して、ゼクス・シュトゥルムフート(ka5529)は小さくため息をついた。
殺し屋なんて言う因果な稼業をしていた手前、誰が化けて出てきたとしても驚かないが。
自分の前に現れる『過去』であれば、きっとここだろうと思っていた。
「悪趣味だなぁ。コーリアスって男も。……なあ。お前もそう思わないか?」
教会の前に立つ、花籠を抱えた少女に語りかけるゼクス。
――彼の心に、楔のように残っている光景。
――それは蒼の世界に転移する前の事だ。
稼業の合間にふらりと立ち寄った古びた教会で、花売りの少女に出会った。
「お兄さん、お花を買ってくれない?」
「んー? 俺に花が似合うとも思えんが?」
「でもお兄さん、血の匂いがするわ。手向けの花が必要なんじゃない?」
「ははは。そりゃごもっともだ」
少女とゼクスは、逢う度にそんな会話を繰り返して、徐々に親密になっていった。
そんな最中、次々と消えていく同業者達。
無残な姿で発見される仲間に同業者達も恐れ、犯人が『殺し屋殺し』なんて冗談みたいな名前で呼ばれ始め――。
ゼクスも協力し足取りを追うも、犯人が見つからないまま迎えた冬。
聖夜の日に、少女から1通の手紙が届いた。
――出会いの場所で待ってる。
たったそれだけの手紙。
向かった教会にいたのは、いつもの笑顔を浮かべる少女。
「もう、終わりにしたいの」
軽い口調。彼女の口から告げられる真実。
殺し屋を次々に消していたのは自分である事、ゼクスも殺し屋である以上、消さなければいけない事。
最後は、仲良しなあなたで終わらせたい事――。
――説得が通じない事は、すぐに理解した。
そして自分に、『彼女を失いたくない』という感情がある事にも驚いた。
それでも彼は……銃の引き金を引いて、少女を『消した』。
「……君を逝かせて良かったのかと、ずっと疑問を抱いていた。だけど……漸く答えが出たよ。有難う」
「ゼクス……」
「俺が死んだら、愛するお姫様がまた泣いちまうだろ?」
「私は……」
「……悪いが君と共には逝けない。……Auf Wiedersehen」
切なげに己に手を伸ばす少女。その心臓に向けて、迷わず引き金を引く――。
響く銃声。笑顔のまま消えて行く少女。
――生きて。
その手が、霧の向こうを指さしているのが見えた。
●霧の先
霧を抜けると、不思議な形の兵器が壊れているのが見えた。
矢が刺さり、刀で両断されているところを見ると、恵とりり子の攻撃が当たったらしい。
「そういえば、最後に聞こえた声……お兄様ではなかったような気がするです」
「エステルさん、行くよ!」
小首を傾げていたエステルは、仲間に呼ばれて慌てて歩き出す。
『ゲーム』を見事に乗り越えた者達の疲労は濃いが、本当の戦いはこれから。
コーリアスの野望を打ち砕く。確かな決意を胸に宿して、ハンター達は先へと急いだ。
一面の白。広がる霧。
その切れ間がだんだん大きくなって……。
遠藤・恵(ka3940)は、その景色に見覚えがある事に気付いた。
――そうだ。ここは……。
恵が幼く、まだリアルブルーにいた頃。
父と母、そして兄……家族全員で一緒に山に出かけた事がある。
初めての山に、幼い恵は大はしゃぎで両親の注意を忘れてしまった。
「お兄ちゃん! 早く早く!」
「恵、危ないよ……!」
走る恵を追いかけてくる兄。
追いかけっこをしているような気分で、先に進んで……。
おかしい、と気付いたのはそれから大分経ってから。
歩けど変わらぬ光景。立ち並ぶ木々は全て同じに見える。
吐く息が白い。こうしている間も容赦なく気温が下がって行く。
気付くと、空から雪が舞い降り始めて……。
恵の瞳から、不安が涙となって溢れる。
「恵、泣かないで。大丈夫だよ」
「でも寒いよ……。足が痛い……」
「僕、上着を持ってるよ。ほら。チョコレートもあるんだ」
「すごい。お兄ちゃんのリュック何でも入ってるのね」
僕は魔法使いだからね、と笑う兄。
上着を着ても、まだ少し寒かったけれど。チョコレートの甘さと、彼の微笑が心強くて――。
幼いあの頃は分からなかったけれど。
兄だってきっと不安で怖かったはずだ。
……お兄ちゃんは、いつもそう。
優しくて、強くて。いつだって、傍にいて守ってくれて……。
「……お兄、ちゃん?」
――でも、いない。
目の前に広がる光景は、あの時のままなのに。
そこから切り取ったように、兄だけがいない……。
「そんなの、嫌……!」
私は何時だってお兄ちゃんと一緒だから、大丈夫だった。安心できた。笑っていられた。
でも、お兄ちゃんがいなかったら――。
言い知れぬ恐怖に己を抱いて蹲る恵。
次の瞬間。暖かな何かを感じて、目を見開く。
「……嫌」
一人寂しいままなんて、嫌に決まってる。
兄にもう一度会って、『ありがとう』と言わなければ。
紅の世界で出会えた大事な人に『ただいま』と言わなきゃ……!
笑顔をくれた人に、精一杯甘え続けるんだから……!
「輝かしい私の未来に、ケチつけさせてたまるかってんですよー!! 遠藤 恵は、これから帰ります!!」
弓を構え、矢を放つ恵。不安を振り切るように、景気づけるように。次々と放たれる矢が霧を割いていく。
立ち上る黒い煙。あちこちから聞こえて来る悲鳴。
この光景を、りり子(ka6114)は知っている。
そう、ここは故郷……鬼の隠れ里。
戦士達が戦いに赴いている間に憤怒の歪虚に蹂躙され、滅ぼされた場所――。
今にして思えば、里に女子供、老人しかいないと覚られ、狙われたのかもしれない。
「凛々子、早く……!」
聞こえる母の声。差し伸べられる手。
向こう側に、ヒトの身体に牛の顔を持った歪虚が迫る。
――そう。あの時。
母は、自分を庇って死んだ。
りり子はぴくりとも動けず、母が冷たくなっていくのを感じても叫ぶ事も出来ず。
母に抱かれたまま、ただ涙を流して震えて……。
動かぬ彼女を死んだと勘違いした歪虚の背を、見送る事しかできなかった。
あの時、腰が抜けていなければ。
きちんと立って、闘えていたら……母は死ななくて済んだかもしれない。
母が『死んで』いく感覚を知らずに済んだかもしれない。
過去は変わらない。死者は戻らない。
分かっている。
それでも――今度は。今度こそ……!
「……母さん、下がりや。こいつはうちが倒すさかい」
「凛々子……?」
「うん。うちは『凛々子』や。父さんと母さんがつけてくれた名に恥じないようにしたいんや」
母を背に庇い、スラリと大刀を抜き放つ彼女。
大丈夫。怖くない。動ける……。
――自分はもう、泣いていただけのあの時とは違う。
全てを失ったりり子を保護してくれた老傭兵。そして出会った優しい人たち……彼らのお陰で、強くなった。
だから、絶対に負けん……!
「うおおおおおお!!」
あの時と同じように、あざ笑うかのように迫り来る歪虚。
全てを塗り替えるかのように響く気迫の籠ったりり子の叫び。
踏み込み、大きく跳躍して一気に距離を詰める。
牛面の振り下ろした斧。重い一撃を刀で跳ね返す。
そのまま身を翻し、風のような連撃を叩き込む……!
感じた手ごたえ。崩れ落ちる歪虚。
それに合わせるように、景色が急速に薄れて行く。
――ああ、うちは勝ったんや……。
振り返るりり子。後ろ立つ懐かしい人を見つめる。
あれは幻だ。母ではない。それでも……。
「母さん……! うち、もう大丈夫やから……!!」
母さんと父さんが安心できるかはまだわからんけど……!
「凛々……」
遠ざかる声。消えゆく母は、穏やかに笑っているように見えた。
霧の中に広がる森。
そこはアルカ・ブラックウェル(ka0790)が良く知る、懐かしい光景。
目の前に、己と同じ髪の色の幼い少年が佇んでいるのを見て彼女は覚った。
――目の前にいるのは……アルカのたった一人の双子の兄だ。
「ぼくらはきょうだいなんだからムリだよ」
穏やかな笑顔の兄から紡がれる拒絶の言葉。
――兄のお嫁様になる、と。そう告げた時の、答え。
それまで幾度となく想いを告げた。その度に、兄も笑って頷いていた。
だから。このまま大きくなって……自分の願いは叶うのだと信じていた。
それなのに……。
突きつけられた事実に何もかもが闇に閉ざしたような気持ちになって……ただただ泣いて過ごしていたような気がする。
幼いアルカにとって、兄は憧れであり、己の半身であり、彼女の生きる世界の光であった。
それを『失う』なんて考えられなくて……。
だから。アルカはその日から『兄』になろうとした。
一つになれないのなら。せめて『兄と同じでありたい』と。
その一心で、己の口調を兄のそれと同じにした。
――今なら、兄が拒絶した理由も理解できる。
血の繋がった実の兄妹。
いくら混血に理解の深い村であったとしても、彼女が望む関係は許されるものではなかったのだ。
そう告げられたところで、あの時の自分が理解できたかというと疑問だし……まだ、正直怖い。
だけど……前に進まなきゃ。
ボクが、『私』に戻る為に――。
「……アルカ。ぼくらはきょうだいだからムリなんだよ」
繰り返される言葉。
アルカは零れそうになる涙を堪えて、幼い兄を見つめる。
「……聞こえてるよ。でも、パートナーである事は変わらないよね?」
「アルカにはもうちょっとしっかりしてほしいけどね」
拒絶ではない、優しい皮肉。
いつもと変わらぬ兄の様子に、アルカは微笑む。
「……あいしてるわ!」
「ぼくも……」
薄れていく幼い兄の姿。その声は微かだけれど、確かに聞こえた。
それならボクは、前に進める。
『私』は何があっても、あの人に愛されているから――。
「そうと分かればこんなところに長居は無用よ!」
霧の向こうには、左の道に進んだ兄がいるはずだ。
『ボク』と決別したアルカは、前を見て走り出す。
「私、プロカードゲーマーだもの! ゲームと言われたからには負けられないんだからっ!」
コーリアスの声を聞き、意気揚々とやってきたルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)だったが……目に飛び込んできた光景に言葉を失った。
そこかしこを照らす強い照明。舞台の上に置かれた、独特な形の机……。
そう。ここは、ルンルンが転移してくる前、リアルブルー某所で行われたカードゲーム世界大会の会場。
彼女はカードゲームの有数の実力者で何度も優勝の経験があり、優勝候補の一人として持て囃されていた。
その年も、余裕で決勝戦まで駒を進め……あともう少しで勝利、というところまで対戦相手を追い詰めていた。
机に置かれた山札はあと数枚。これをこなせば、優勝――。
勝利を確信していたが故の油断。
――彼女は、自分の場に罠カードを仕掛けていた事をすっかり失念していたのだ。
普段だったら絶対にしない。些細で、そして痛恨のミス。
そしてルンルンはまさかの逆転負けを期した。
――負けた!
その事実に膝から崩れ落ちる彼女。
ルンルンを照らすはずだった証明は、あざ笑うかのように通り過ぎて対戦相手を煌々と照らし……そして、憧れていた王子様のようなあの人も、瞳を輝かせて新しい優勝者を見つめる。
あのスポットライトも、憧れの人の目線も、自分が受けるはずだったものだ。
今までの経歴からしても、負けられない戦いだったのに……!
チャンピオンの凡ミスは面白おかしく書かれ、ありとあらゆる情報網に掲載され駆け巡った。
――惨めだった。
憧れのあの人から関心を失っただけでなく、全世界から笑いものにされる屈辱。
「やだ……! もう思い出したくないの!」
強く首を振る彼女。
カードゲーマーとしての栄光。ルンルンの全てとも言えるそれを失った記憶に、心が悲鳴をあげる。
目を閉じて、動けなくなったその時――こつり、と何かが手に触れた。
恐る恐る目を開けると……そこには、無機質に輝くカードケース。
……違う。私にはこれが……カードがある。
紅の世界に来て初めて、『符』というカードに触れた。
蒼の世界のカードも、この世界の『符』も、変わらずに私の傍にいて、励ましてくれている……!
「……こんなところで、負けられない。この子達と一緒に、今度こそ世界を制するんだから!!」
立ち上がるルンルン。涙を拭うと、力強く霧の切れ間を目指す。
「ここ、は……」
橙色の大きな瞳で周囲を見渡すエステル・ソル(ka3983)。
――手入れの行き届いた綺麗な庭園。ここはエステルの家の庭だ。
そう、忘れもしない。あれはもっと小さかった頃。庭で遊んでいたら……。
「……っ!」
仄かに輝き出すエステルの身体。そしてその光はどんどん大きくなる。
――あの時もそうだった。
切欠は本当に些細な事。茂みから飛び出して来た何かに驚いただけ。
それなのに。自分の身体から力が溢れて――。
薙ぎ倒されるベンチ。抉られて舞い飛ぶ芝生。
怖くて、どうしたらいいか分からなくて。泣いても叫んでも止まらなくて……。
――自分の力が、怖い。
自分の力が、大好きな人達を傷つけそうで……。
「エステル。大丈夫だよ」
不意に聞こえた声に弾かれたように顔を上げるエステル。
姿は見えないけれど、聞こえたそれは、確かに――。
「怖がらないで。大丈夫だから」
確かに聞こえる兄の声。
……あの時も、兄は泣き叫ぶエステルを抱きしめて『大丈夫』と繰り返し呟いていた。
それに合わせて聞こえた、兄の心臓の音。
ゆっくりと穏やかなその音に、とても安心して――。
自分の胸元に目線を落とすエステル。そこには、小さなシルバーフォックスの尻尾が揺れている。
……お兄様の姿は見えないけれど。
お兄様が贈ってくれたこの首飾りがある。
――お兄様が一緒なら、怖くない……。
目を閉じて、深く息を吸うエステル。
首飾りを握りしめ、耳を澄ませる。
聞こえる鼓動の音。兄が生きている音。
穏やかなそれに、自分の心臓の音が重なるように。
繰り返し、繰り返し深呼吸をする。
――あの日。力が暴走して兄を傷つけてしまってからずっと。
エステルは繰り返し力の統率を訓練してきた。
それに、姿が見えなくても。兄が傍にいてくれると信じる事が出来るから――。
「エステル……」
「大丈夫です。わたくしはもう、小さな泣いているだけの子供ではありません」
聞こえた声に、頷くエステル。
……彼女がそう呟く頃には、身体から溢れていた光は消えていた。
「……意地悪して楽しいなんて、人生損してるです。そんなの良くないです」
続いた少女の呟き。
あの仮面の歪虚にそれを教える為にも、先に進まなくちゃ……。
意を決して突き進むエステル。
気付くと幻影は消えていた。
「やっぱりここか……」
聳える古びた教会を青い瞳に映して、ゼクス・シュトゥルムフート(ka5529)は小さくため息をついた。
殺し屋なんて言う因果な稼業をしていた手前、誰が化けて出てきたとしても驚かないが。
自分の前に現れる『過去』であれば、きっとここだろうと思っていた。
「悪趣味だなぁ。コーリアスって男も。……なあ。お前もそう思わないか?」
教会の前に立つ、花籠を抱えた少女に語りかけるゼクス。
――彼の心に、楔のように残っている光景。
――それは蒼の世界に転移する前の事だ。
稼業の合間にふらりと立ち寄った古びた教会で、花売りの少女に出会った。
「お兄さん、お花を買ってくれない?」
「んー? 俺に花が似合うとも思えんが?」
「でもお兄さん、血の匂いがするわ。手向けの花が必要なんじゃない?」
「ははは。そりゃごもっともだ」
少女とゼクスは、逢う度にそんな会話を繰り返して、徐々に親密になっていった。
そんな最中、次々と消えていく同業者達。
無残な姿で発見される仲間に同業者達も恐れ、犯人が『殺し屋殺し』なんて冗談みたいな名前で呼ばれ始め――。
ゼクスも協力し足取りを追うも、犯人が見つからないまま迎えた冬。
聖夜の日に、少女から1通の手紙が届いた。
――出会いの場所で待ってる。
たったそれだけの手紙。
向かった教会にいたのは、いつもの笑顔を浮かべる少女。
「もう、終わりにしたいの」
軽い口調。彼女の口から告げられる真実。
殺し屋を次々に消していたのは自分である事、ゼクスも殺し屋である以上、消さなければいけない事。
最後は、仲良しなあなたで終わらせたい事――。
――説得が通じない事は、すぐに理解した。
そして自分に、『彼女を失いたくない』という感情がある事にも驚いた。
それでも彼は……銃の引き金を引いて、少女を『消した』。
「……君を逝かせて良かったのかと、ずっと疑問を抱いていた。だけど……漸く答えが出たよ。有難う」
「ゼクス……」
「俺が死んだら、愛するお姫様がまた泣いちまうだろ?」
「私は……」
「……悪いが君と共には逝けない。……Auf Wiedersehen」
切なげに己に手を伸ばす少女。その心臓に向けて、迷わず引き金を引く――。
響く銃声。笑顔のまま消えて行く少女。
――生きて。
その手が、霧の向こうを指さしているのが見えた。
●霧の先
霧を抜けると、不思議な形の兵器が壊れているのが見えた。
矢が刺さり、刀で両断されているところを見ると、恵とりり子の攻撃が当たったらしい。
「そういえば、最後に聞こえた声……お兄様ではなかったような気がするです」
「エステルさん、行くよ!」
小首を傾げていたエステルは、仲間に呼ばれて慌てて歩き出す。
『ゲーム』を見事に乗り越えた者達の疲労は濃いが、本当の戦いはこれから。
コーリアスの野望を打ち砕く。確かな決意を胸に宿して、ハンター達は先へと急いだ。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/03 11:37:46 |