陰謀漂う最中にて ~ミヤサ~

マスター:天田洋介

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2016/09/18 09:00
完成日
2016/09/26 08:57

みんなの思い出

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オープニング

 十七歳のミヤサ・カミーはリアルブルー出身者。登山家を目指していた彼女だがクリムゾンウェストで選んだ職業は探検家である。
 数年前に転移で飛ばされた場所はグラズヘイム王国南部の沖だった。
 山登りしていたはずなのに突然海中へと叩き落とされたミヤサはパニックを起こす。彼女の命が助かったのは一緒に転移した五歳違いの兄サマトのおかげだ。
 波間を漂っていたところ近くを航行していた帆船に拾われて、伯爵地【ニュー・ウォルター】の城塞都市マールへと辿り着く。
 ミヤサとは違い、サマトはマール郊外の村にある鍛冶屋に弟子入りしていた。
 月日が流れてミヤサは久しぶりに兄が住む村を訪ねる。ところが兄の姿はなかった。数日前、村から程近い場所に大穴が空く。その調査をしたところ雑魔の騒ぎが起きて失踪してしまったのである。
 急いでハンターズソサエティー支部に連絡。ハンターの力を借りて無事に兄を救いだす。そして神事としての崖上りにも挑戦。ハンターと一緒に前人未踏の記録を打ち立てる。
 そしてマールに住む商家の夫人からの依頼を受けた。ハンターの協力を得て廃墟と化した別荘から祖母の形見を見つけだす。その実力は噂となり、ついにマール城まで届くこととなる。

 あるときミヤサは伯爵地領主の妹、ミリアにマール城へと招かれた。盗まれた黄金の鎧の部位を探して欲しいとミリアに願われる。
 承諾したミヤサはハンター一行と共にすでに存在場所が割れている黄金の冑の元へ。地割れの岩壁途中に突起があり、そこへ骸骨が引っかかっていた。黄金の冑はその骸骨が抱えていたのである。
 ミヤサとハンター一行はクライミングで挑戦。酸をまき散らす魔法蝶は仲間が誘導してくれた。おかげで無事に冑を回収。任務をやり遂げる。
 孤島で秘密裏に行われたオークションにもミヤサとハンター一行は参加した。白髪の紳士との競売争いや警備の隙をつくなどの困難はあったものの、胴の上半身を確保。奪った帆船で無事に逃げおおせる。
 それからしばらくして、ミリアにとって予期せぬ事態となった。孤島オークションで競い合った白髭の紳士『ボリウ・ウスタ』が自ら登城したのである。
 彼とミリアは因縁浅からぬ仲。ボリウは紛失していた黄金の左足を手土産にして、昔の一件は誤解だとミリアの説得を試みた。ボリウを信じたわけではないが、ミリアは兄の助言を受けて交渉を受諾する。
 だがボリウ一行の不審な動きをミヤサとハンター一行は見逃さなかった。対処していく間に目映い黄金に満たされた隠し部屋へと辿り着く。
 高価な品々の一つとして黄金の壁掛けがある。そこには地図と暗号がレリーフとして刻まれていた。
 ボリウ曰く、巨大ルビーの隠し場所とのことだった。



「絶対に信じませんの!」
 深夜のマール城。自室のミリアが抱きしめていた枕を壁へと叩きつけた。
 無許可で城内を調べたボリウ一行は一人一人ずつ監禁中だ。状況からいって極刑にも値する罪だが、エルブン一族に纏わる巨大ルビーの存在が断罪の意思を阻害する。ボリウがルビーの探査協力を持ちかけてきたからだ。
 廊下に繋がる扉からノックが聞こえる。伝言の侍女によれば、ミヤサが話したいことがあるという。構わないと伝えてまもなくミヤサ本人が現れた。
「夜分にすみません」
「いいえ。ちょうど眠れないところでしたの」
 小さな卓を挟んでミヤサとミリアはそれぞれ椅子に座った。
「……ボリウからの申し出ですが、受ける覚悟を決めた次第です。やはりこちらの家宝かも知れない品を放置しておくわけにはいかないのではと。何者かが偶然に見つけて、散逸してしまったのなら大問題になります」
 ミヤサが単刀直入に本題を切りだす。
「それはそうなのですが、あの男、ボリウには絶対に裏がありますの」
 ミリアは侍女に持ってこさせたホットミルクに砂糖を足してスプーンでかき混ぜる。
「ルビーはエルブン家当主の正当性を示す品だとか。これ以上のことは触れませんが……噂はいろいろと聞き及んでおります」
 ミヤサの一言にミリアがカップから唇を離す。伯爵地領主は兄のアーリアだが、実は死んだはずの長兄がいる。その長兄が今も存在していて、ルビーを手に入れたのなら厄介この上なかった。
「手に入れられるのなら、それに越したことはありませんの。ですが、ミヤサ様はそれでよろしいので?」
「正直に申しますと、そういった世間のしがらみには興味ありません。ただミリア様の力にはなりたいですし、隠されたルビーを見つけると聞いたのなら冒険心が躍ります。どうかやらせてください」
「それは非常に助かりますの」
 ミリアとミヤサは正式な契約を交わす。翌日、ミヤサは力強い仲間を呼ぶためにハンターズソサエティー支部へと出向いた。
 目指す先は伯爵地から遠い森深い土地。道案内としてボリウも連れて行くことが決まっていた。

リプレイ本文


 一行は数日馬車に揺られて目的の森外縁へと到達。一晩の野営を経て陽光眩しい翌朝が訪れる。
 御者を務めた兵達はこの場で留守番。ミヤサとハンター五名、そして案内のボリウだけが森の中へと足を踏み入れた。
「このまま北へ、つまり森の中央を目指すのだ。避けなければならない障害物を避けるときにはその都度伝えよう」
 ボリウが森の外縁図と方位磁石で確かめながら指示をだす。一行は訝しがりながらも、それに従った。
(鎧がそうであったように、ルビーも隠し部屋か何かの鍵になっているのではないか?)
 ボリウの後ろを歩いていたロニ・カルディス(ka0551)が首を傾げる。老紳士の背中を疑わしき瞳で眺めながら、数日前に行った尋問のことを思いだす。
 ルビーの来歴については問い糾せた。遙か昔、マール城建設時に土を掘り返していたところ、遺跡の一部として宝物庫が発見されたという。中央の台に鎮座ましましていたのが巨大ルビーだった。黄金の鎧や壁掛け等は一緒に埋まっていた黄金塊から鋳造、または鍛造して製作されたものらしい。
「疲れたらいってくれ。無理はいけないからな」
「優しさが痛み入りますな」
 ザレム・アズール(ka0878)の話しかけに答えたボリウの態度はあまりに大げさ。侮蔑が含まれているのがありありと感じられる。それでもザレムは心乱さず、周囲への警戒を怠らなかった。
(どうにも胡散臭いですね。何か企んでいるように思います。すでにやらかしていますし。協力者がいてもおかしくありません……)
 先頭を歩くエルバッハ・リオン(ka2434)は、後ろから聞こえてくる仲間達とボリウとの会話に耳をそばだてた。リゼリオ出発前後に仲間達と相談した内容を思いだしつつ、今度は森の様子に目を向ける。すでに秋だが草木は緑を留めていて、そのせいで見通しはすこぶる悪い。
「ボリウさんはルビーの大きさなども、御存知でしょうか?」
 ミオレスカ(ka3496)はボリウの傍らにいることを心がけていた。
「壁掛けの文言から解釈すれば拳二つ分のようですが、実際はどうなのかわかりませんな。当時の文献には巨大としか記されていなかったのです」
 心の奥底で何を企んでいるのかわからないものの、ボリウの態度は紳士そのものだ。女性を相手にするとき限定であったが。
「おっきな宝石かの。本物はどのくらい大きいんじゃろうなあ。楽しみじゃのう」
 婆(ka6451)がミオレスカとボリウのやり取りを聞いて笑う。
「何かしらの宝飾品に加工されているのかのう? ほれ、やはりの? 女子にとって大きな宝石というもんは、それだけで心躍るもんじゃて」
 婆も二人の会話に加わる。
「輝きで目映いとあったので、カットはされているのだろう。ただ文献通りならどうであれ指輪、ネックレスにはなり得ない大きさだ」
「きらっきらしとるのか! そりゃ楽しみじゃ」
 ボリウの返答に婆が瞳をキラキラと輝かす。それはまるで乙女のような純真さで。
 時折、小休憩が挟まれた。昼食の休憩時、ザレムが用を足しに行くと言葉を残して一同の元から離れていく。
 食べ終えてゆっくりとしている最中、ボリウもザレムと同じ理由で休憩場所を離れる。婆とミオレスカは同行するわけにいかず、数十m離れて見張ることにした。
 ボリウは枝に赤い紐が結ばれた大樹の根元に屈んだ。露出した根と大地の間に無線機が隠されていた。
「順調だ。プランA続行だ――」
 ボリウが無線で会話していた内容をザレムはかなりに近くで訊いていた。隠密の技を駆使して頭上に隠れていたのである。
 ボリウが証拠湮滅のために無線機を踏み壊す。ザレムは彼が戻る前に仲間達と合流。会話の内容とボリウの手下が半径五百m以内いる事実を知らせておく。
「今ボリウの手下を捕まえたとしても、罪に問える状況ではないですからね」
 ミヤサの意見でもうしばらく泳がせることになった。
 ボリウが戻ってきて移動が再開される。ボリウの足に合わせたこともあり、目的の地へ到達した頃には日が暮れていた。
 月はでておらず、暗闇をライトで照らすと瓦礫の山が浮かび上がる。得体の知れない魔物が棲みついているような、そんな景色だ。
 天幕を張り、落ち枝を集めて焚き火を熾す。晩食をすませた一同は見張りの順番を決めて就寝するのだった。


 早朝、陽の光で露わになった古城跡の様子は昨晩の印象とかなり違っていた。
 巨人が城で積み木崩しをしたような、そんな印象を多くの者が抱く。崩れた際の石材がそこら中に転がり、その一つ一つが肩を当てて押してもびくともしないほど重かった。
「一つ百kgはありそうですね」
 ミヤサが石材の重さを見立てる。
「全員で一周してみよう」
 ザレムの勧めで古城跡を全員で一周。そしてボリウに全員の視線が集まった。
「おそらくあの辺りだろう。少し戻ろうか」
 ボリウが指し示した場所は古城跡の北側付近だ。重なる石材が比較的少なめなのは幸いなものの、だからといって楽とはいえなかった。
「まずはあの倒れていくつかに割れている石柱を取り除こうか」
 覚醒したザレムが魔導ドリル「オブラス」を取りだす。回転するドリルの先端が石柱に触れると、凄まじい轟音が鳴り響いた。
「まずは大きくて運びにくいのを砕いてしまいましょう」
 エルバッハも自前の魔導ドリル先端を石柱の一部に突き立てる。一度食い込んでしまえば砕くのは容易かった。
「婆、頭はあんま良くないんじゃよ。最近ボケも出てきてのう。とにかくこれを砕けはいいんじゃな。このドリルでギュルルルルルルrっとやりゃあええんじゃろ? 任せるんじゃあ」
 婆が片腕に取りつけたクラッシャードリルが高速回転。砕けた石片が辺りに散らばる。
「せいのうでで!」
 ロニは長い鉄棒を石の間に差し込んで、梃子の原理でひっくり返す。うまくやると自重で割れてくれた。
 明朝からの話になるが、ロニはある程度の目処がついたところで見張りに専念した。ボリウの息がかかった追跡者が見張っていることは明白だからだ。
 砕けた石片を運ぶのはミヤサとミオレスカが担う。組み立て式の台車へと砕けた石材を載せて、邪魔にならないところまで移動させていく。
「ボリウから目を離さないようしないと」
「そうですね。突然いなくなられたら大変ですし」
 ミヤサとミオレスカはボリウの動向に注意を払った。横目で眺めると老紳士は木陰で寝転んでいる。
 石柱の次は石材。砕いて移動させるの繰り返す。
「わしに任せるのじゃ!」
 ここぞというときに婆が怪力無双を発動させた。むっきむきの筋肉で半分に割れた石材を担ぎ、わずかな合間に運び終えてしまう。
 地下室への階段口が見えるまで二日半を要した。これはかなり早く、普通なら二十人がかりで半月はかかる作業量だった。


「この下で間違いないだろう。ご苦労だった。私が腕によりをかけた料理はかなりいけるぞ。空腹を満たして明日に備えようではないか」
 ボリウが露わになったばかりの階段口にランタンをかざす。すでに日が沈んで世界は闇に覆われていた。
「……今から潜りましょうか」
 ミヤサの決断に仲間達が賛同する。ボリウだけが眉間に皺を寄せた。
 地下が暗闇でも安全を期すならば日中に潜るべきだが、それでは不逞の輩を招き入れてしまう危険性がある。ボリウが連絡を取っている、追跡者に隙を与えるわけにはいかなかった。
「ここの護りは任せてくれ。何があっても死守しよう」
「婆も残ろうかのう。そうゾロゾロ行っても仕方なかろうて」
 地上での見張りをロニと婆が買ってでてくれる。残る者達はボリウを先頭にして階段を下りていった。ランタンやLEDライトで闇を照らしながら。
「私に先を歩かせても罠はないぞ」
 険が混じったボリウの笑い声が狭い空間で木霊する。
 階段はすぐに終わって廊下が続いた。沿って両脇に扉がいくつもあるものの、ボリウは目もくれなかった。
「おそらくここだ。違いない」
 廊下突き当たりの扉を指さしたボリウの手首をミヤサが掴む。
「……先日、貴方は黄金の鎧を使って城の隠し部屋へ辿り着き、そこで黄金の壁掛けを発見した。そのときに初めてここの場所が判明したはず。にもかかわらず迷いのない森の道案内。そのおかげで疑惑が確信に変わりました。少なくても壁掛け以前からこの場所を知っていましたね?」
「何を言うのだ?」
 ミヤサがボリウの肩を掴んで扉から遠ざけると足を縺れさせて尻餅をつく。
「ボリウさんは以前に城塞跡まで来たことがあるでしょう? ミヤサさんと一緒に考えて、そのように推理しました。黄金の壁掛けに刻まれていた文章が目的だったのでは? 暗号を解く符合が記されていたとか」
 エルバッハがボリウに一歩近づく。
「妄想も大概しろ。どこに証拠が……」
「大きなルビーは目眩ましに過ぎないのでは?」
「話にならん」
 エルバッハと口論しながらボリウが立ちあがる。そのとき、地上から何かが崩れる音が聞こえてきた。
「よし、開いたぞ」
 ザレムがボリウを仲間達が問い詰めている間に解錠を済ませる。
 廊下の先にあった部屋で巨大ルビーはすぐに見つかった。「服の内側に入れ守ってくれ」とザレムが手渡す。「確かに預かりました」とミオレスカは手拭いで包んでから、いう通りに仕舞う。
「詳しくは後で構わないでしょう」
 先に踵を返して階段を登り始めたエルバッハに仲間達が続く。ボリウはミヤサが襟首を掴んで引きずるように連れて行った。

 階段口付近にてロニがディヴァインウィルを発動。彼が張り巡らせた断固たる意思による不可視の境界線内で婆は高く舞い上がった。跳び上がる勢いを足す飛翔撃で石材を砕いた。大見得を切って襲撃者等を牽制する。
 突撃を諦めた敵はそこら中に転がる石材の裏へと隠れて銃撃を開始。怪力無双を発動させた婆が瞬く間に周囲の石材を積み重ねて防壁代わりとした。
 まもなく地下へ降りていった一同が戻ってくる。
「ボリウ、お前の手下なのはわかっているんだ。無線連絡していたこともな。どうする? 城の秘密部屋のときと同じように降参するのか? それとも……」
 ザレムがボリウに顔を近づけて睨みつけた。目をそらしたボリウが「私の知るところではない」とあくまでしらを切る。
「どういうことだ?」
 銃撃の最中、ロニが石材の隙間からわずかに身を乗りだす。新たに魔法生物らしき半透明な魔物が迫ろうとしていた。
「敵は歪虚に関係する輩ということじゃな」
 婆がザレムと話しながら階段下のボリウに目をやった。
「魔法生物は私が抑えますので、その間に」
 拳銃を構えたミオレスカが制圧射撃で弾幕を張る。大量の銃弾が魔法生物の一部を削いで地面へと散らばった。巨大ルビーを預かる身なので無理はしない。
 魔法生物等の動きが鈍ったところで、何人かのハンターが階段口から飛びだした。
「やらせはしない!」
 ロニは階段口を死守すべく、セイクリッドフラッシュによる光の波動を放った。四方八方から近づこうとしていた魔法生物が溶け崩れて水のように流れていく。
 勘を働かせたエルバッハは危険を承知で防壁代わりの石材の上に立つ。先程まで銃撃していた敵が石材の裏に隠れつつ迫っていた。その動きは覚醒者でなければあり得なかった。
「全周から迫っています。数は八人。他にもいないかこのまま見張ります」
 エルバッハは敵三人だけが収まる範囲に向けてスリープクラウドの青白いガスをまき散らす。そうしたのは味方を眠らせないための策である。
 敵の殆どは銃剣を手にしていた。睡魔に負けて膝を折り、地面へと倒れ込んだのが一人。または石材へと寄りかかって眠りこけたのが一人。
「こちら側は任せるのじゃあ!」
 婆がウェービングで敵の拳をすり抜けつつ、懐へと潜り込む。埃立つほどの踏み込みで腕を振り抜くと、敵が真っ直ぐにぶっ飛んだ。石材による壁に衝突してようやく止まる。
「まだ元気なのがいるな」
 ザレムが宙に出現させた光の三角形による三条光が敵を貫く。怪我を負った敵が動きを鈍らせた。
「油断も隙もないですね」
 ミヤサは階段下へ逃げようとしたボリウを掴まえる。乱戦になった際にはエルバッハとミオレスカにボリウの見張りを任せてミヤサも参戦。仲間達と強力して魔法生物に覚醒者といった敵等をすべて倒しきった。


 ミヤサとハンター達は息があった覚醒者に治療の条件を提示して、ボリウとの繋がりを白状させる。魔法生物は事前に近場へと用意していたマテリアル残滓を使って発生させたとのことだ。
「貴方の考え次第だ」
 ロニがボリウが睨んだ。ミリアへの報告の際に情状酌量の意思を加えて欲しければ、すべてを話せと。
「……ここまでのようだ」
 項垂れたボリウが小声で喋りだす。何人かのハンターが想像していた通り、巨大ルビーは黄金鎧と同じように別室への鍵になっていた。地下部屋の柱突起部分に巨大ルビーを填めると壁の一部が崩れ落ちる。
「大丈夫そうだ」
 通路がしっかりしているかどうか、ザレムが確かめてから一同は奥へと進む。すぐに小部屋に突き当たった。石台に置かれていた小箱を開けると羊皮紙一枚が見つかる。
「……この文章の暗号を解くために、あの黄金の壁掛けに記された鍵言葉を知る必要があったのだ」
 呟いたボリウの前にミオレスカが立つ。そして「もしかしてこの古城を崩したのも、ボリウさんの差し金?」と訊ねた。するとボリウは上目遣いで薄ら笑いを浮かべる。
「暗号を解いたとして、その羊皮紙には何が書かれているのでしょうか?」
「わしもそれが気になるのう。勿体ぶらずに早く話すのじゃ」
 エルバッハと婆に急かされたボリウが『鉱物マテリアル』と呟く。
「マテリアルの鉱床の場所がこの紙っぺらに記されているのだ。……お前達さえいなければ、膨大な富を独占できたものを」
 ボリウは暗号を解いた文を別紙に書いてミヤサに手渡すのだった。


 マテリアル鉱床の位置は伯爵地内と記されていた。
「これから精査してみますの」
「本当だとしたら、これは……失礼な物言い、許して欲しい。いや、想像していなかったので少々舞い上がっているようだ」
 ミリアとアーリアがミヤサとハンター達に謝辞を述べる。一行はマール城に数日滞在。盛大な接待を受けるのだった。

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参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 婆の拳
    婆(ka6451
    鬼|73才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン ルビー採掘作戦
ミオレスカ(ka3496
エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/09/18 00:30:09
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/16 15:32:37