ゲスト
(ka0000)
ドワーフ王の?
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/18 19:00
- 完成日
- 2016/11/25 06:28
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
帝国領地と辺境領地の境目の一部に切り取ったような丘の上にそびえたつ要塞都市【ノアーラ・クンタウ】がある。
様々な種族、出身国が行きかう活気のある街。
その中に辺境ドワーフを束ねる通称、ドワーフ王ヨアキムが有するドワーフ工房【ド・ウェルク】が存在する。
しかし、このドワーフ王は好き勝手やってて、工房には帝国に丸投げ状態。
仕方なく帝国の者が管理官の仕事をしている。
工房管理官であるアルフェッカ・ユヴェーレンは自身の執務室にて通称、ドワーフ王ヨアキムの娘、カペラと金属加工・クレムトの技師のシェダルと鉱物性マテリアル加工・フェルツの技師のフォニケとお茶をしていた。
「ダメかしら」
おねだりモードのフォニケにアルフェッカはここ数週間のスケジュールが書いてある帳簿を確認しつつ、「スケジュールとかは別にいいんだけどさ」と返す。
「けど、急だね。どうしたの?」
顔を上げるアルフェッカにカペラはぬるくなった茶を一度啜る。
「最近、お父さん帰ってないみたいなのよ」
「いつもの事じゃん」
カペラの返答にアルフェッカ達が揃って返す。
「リナンさんはきっと、寂しいのよ。ヨアキムさんは置いといて、カペラちゃんは工房回してるんだもの、仕方ないわ」
ヨアキムが帰らないのはいつもの事と切り捨てたフォニケだか、カペラはちゃんと庇う。
「フォニケちゃんはハンターと遊びたいんでしょ」
じとりと睨み付けるアルフェッカはフォニケの下心はお見通しの模様。
「いいじゃない。久々にハンター達と遊びたいわ!」
本音を口にするフォニケにアルフェッカとシェダルは肩を竦める。
「お母さんも結構、気分屋だしね」
母親からの手紙を持っていたカペラは一つため息をつく。
「いいよ、たまには親孝行しておいで」
アルフェッカのお許しにカペラとフォニケは二人でハイタッチをする。
「シェダルは行かないの」
「行かね」
「あっそ」
男二人は残って仕事の模様。
「じゃぁ、ハンターオフィスいってきまーっす!」
カペラとフォニケがアルフェッカの執務室を出る。
「昼だな。ルクバトのサンドイッチ買ってきて」
「俺も」
アルフェッカとシェダルのお使いも頼まれた二人ドアの向こうで返事をした。
様々な種族、出身国が行きかう活気のある街。
その中に辺境ドワーフを束ねる通称、ドワーフ王ヨアキムが有するドワーフ工房【ド・ウェルク】が存在する。
しかし、このドワーフ王は好き勝手やってて、工房には帝国に丸投げ状態。
仕方なく帝国の者が管理官の仕事をしている。
工房管理官であるアルフェッカ・ユヴェーレンは自身の執務室にて通称、ドワーフ王ヨアキムの娘、カペラと金属加工・クレムトの技師のシェダルと鉱物性マテリアル加工・フェルツの技師のフォニケとお茶をしていた。
「ダメかしら」
おねだりモードのフォニケにアルフェッカはここ数週間のスケジュールが書いてある帳簿を確認しつつ、「スケジュールとかは別にいいんだけどさ」と返す。
「けど、急だね。どうしたの?」
顔を上げるアルフェッカにカペラはぬるくなった茶を一度啜る。
「最近、お父さん帰ってないみたいなのよ」
「いつもの事じゃん」
カペラの返答にアルフェッカ達が揃って返す。
「リナンさんはきっと、寂しいのよ。ヨアキムさんは置いといて、カペラちゃんは工房回してるんだもの、仕方ないわ」
ヨアキムが帰らないのはいつもの事と切り捨てたフォニケだか、カペラはちゃんと庇う。
「フォニケちゃんはハンターと遊びたいんでしょ」
じとりと睨み付けるアルフェッカはフォニケの下心はお見通しの模様。
「いいじゃない。久々にハンター達と遊びたいわ!」
本音を口にするフォニケにアルフェッカとシェダルは肩を竦める。
「お母さんも結構、気分屋だしね」
母親からの手紙を持っていたカペラは一つため息をつく。
「いいよ、たまには親孝行しておいで」
アルフェッカのお許しにカペラとフォニケは二人でハイタッチをする。
「シェダルは行かないの」
「行かね」
「あっそ」
男二人は残って仕事の模様。
「じゃぁ、ハンターオフィスいってきまーっす!」
カペラとフォニケがアルフェッカの執務室を出る。
「昼だな。ルクバトのサンドイッチ買ってきて」
「俺も」
アルフェッカとシェダルのお使いも頼まれた二人ドアの向こうで返事をした。
リプレイ本文
ハンターオフィスに新しく掲示された依頼に反応した数名のハンター達が顔を顰める。
ドワーフ工房のカペラが出す依頼を何度か目にしたことがある者もいたが、寧ろ気になるのは依頼内容。
見上げたクリスティン・ガフ(ka1090)の柳眉が顰められる。
以前、歌舞浄化陣の発動の際にヨアキムがチューダとユニットを組むという非常事態に関わり、プロデュースをしたことがあった事を思い出す。
「何すればいいんだ……」
「カペラ殿達は、リアルブルーや最近の情勢に興味があると聞いた」
依頼内容に戸惑うトウゴウ・カイ(ka3322)に声をかけたのは怜悧な美しい容貌の女エルフ、ジュリオ(ka6254)。
「じゃぁ、リアルブルーの話でもしてやればいいのか?」
「ああ、きっと喜ぶだろう」
納得したカイは受付へと向かう。
そんな中、別件で呆然としているのはルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)だ。
いつものルンルン印の笑顔は消え去っている。
「じすい……」
「ドワーフ達のもてなしもあるのか」
雪継・白亜(ka5403)が呟けば、ルンルンは気分を復活させる。
「おもてなし。よーっし! ルンルン流おもてなしをしよう!」
何か思いついたのか、ルンルンは用意へと取り掛かる。
「温泉はいいわね。身体を休めそう」
依頼内容を眺めて微笑む花厳 刹那(ka3984)は少し辛そうだ。
先日の戦いにて、体力をかなり消耗してしまったので、今回の件は丁度いい休養となれそうと思っていた。
「鉱山の中の温泉ですか……」
ぽつりと呟く雨月彩萌(ka3925)は今回の受付を済ませており、内容を見ていた。
彼女の近くにいた雨月 藍弥(ka3926)もまた、彩萌の動向はしっかりチェックしている。
藍弥にとって、彩萌はたった一人の妹。そして、たった二人だけの家族。兄としてだけではなく、親としての自覚もあり、彼女を放っておくなんてありえない。
それ以上にもう一度だけ一緒にお風呂に入りたかった。
当の彩萌は背筋に走る悪寒と鳥肌に嫌な予感しかなく、受付の方を向けば、もう満員御礼となっていたので、藍弥はもう参加済みだったのだろう。
彩萌は一切関知しないでおくのはいつものこと。
●
辺境に到着すると、カペラとフォニケが出迎えてくれた。
「雑な依頼でごめんなさいね。来てくれてありがとう」
急ぎで投げた依頼であり、応じてくれたハンター達に謝罪と礼を述べる。
「構わないさ。カペラ殿とフォニケ殿、今回は宜しく頼む」
微笑むジュリオにフォニケとカペラは心当たりがあったようだ。
何度も世話になっているハンターの面影があったから。
「中々に鋭い。愚息が世話になっている」
ふふ、と艶めくように笑むジュリオにカペラとフォニケは顔を見合わせ、ジュリオを向くと、彼女は蜂蜜色の髪を揺らすように小首を傾げ、透き通る紅玉の双眸を細める。
「え!」
姉と思っていたのにと、ジュリオの美しさと若さは二人の予想を超えるようであり、カペラとフォニケが声を上げた。
数時間歩けば、奇妙なトーテムポールが視界に入ってくる。
「彩萌、大丈夫ですか? もう三時間は歩いていますし、疲れたでしょう。背負いますよ」
藍弥は「さぁ」と言わんばかりに屈んで背負いますポーズをしているが、彩萌はさらっとスルーしてスタスタと歩く。
最初の時点で彩萌は「気にしないでください」と全員に伝えており、ハンター達は家族の形は家族の数だけあるというスルースキルを大いに発揮している。
「この時点で見えるトーテムポールってすごいですね」
「かなりの高さよ」
温泉設営に携わった刹那が感嘆の声と共に感想を言えば、カペラが返す。
ほどなくして、テミスに到着すると、大きなパルムが出迎えていた。
普通のパルムより明らかに大きいパルムに彩萌は警戒に目を細める。
「自分が異常ってことを理解してるから、そっとしておいて」
「そうですか」
あるものは仕方ないし、放置するのは賛成だ。
「こんな大きいパルムは初めてだな」
「デラックスサイズって感じだな」
白亜が言えば、カイも頷く。
「パルム・デラ……」
「行こう、向こうでヨアキムの嫁さんが待ってる」
クリスティンが危険なことを言おうとするルンルンをさりげなく誘導する。
今回、リナンが使うために作られたのかはわからないが、妙に新しいコテージの中にいたのは美しいドワーフだった。
「いらっしゃい、貴方たちがハンターね。来てくれてうれしいわ」
茶が混じった金の髪を揺らし、柔和に微笑む女性がハンターを中へ誘う。
クリムゾンウェストのドワーフはリアルブルーで得た知識の外見だけでないということを知っているカイは戸惑う気持ちもあれど、慣れはあるようだった。
歓談に飲み物は必須ということで、白亜は持参したコーヒーを淹れる。
珍しいものに目を光らせるリナンの他に、カペラとフォニケも目を輝かせていた。
手慣れていても、丁寧にミルを回して豆を挽く。挽き終わって、カペラとフォニケの視線に気づいた白亜は引き出しから粉末の珈琲豆を取り出して二人に見せる。
ふわりと薫る引き立ての珈琲をドリッパーにセットをし、少量の湯を注ぐ。
湯と粉が触れると、水分を含み、細かい泡が立っては消える。
「二人とも、子供じゃないんだから」
カペラとフォニケは珍しくて白亜の手並みをガン見していたので、リナンに突っ込まれる。
「構いませぬ」
無邪気なギャラリー相手ならば、心地よい緊張となる。白亜は芳しい珈琲を淹れてくれた。
飲み慣れない者にも調節して淹れた珈琲は皆に喜ばれて白亜はほっとしているようだ。
「おいしい!」
「シェダル好きそう」
「焼き菓子も美味しい。ハンターの皆さんの中にはリアルブルーの方より来られた方がいるのですよね?」
リナンの問いかけに頷いたのはカイだ。
「ああ、あっちはこういった菓子よりジャンクなのもたくさんあるな」
「例えば、ジャガイモを薄く切ったのを油で揚げて塩を振ったやつとか」
ルンルンが言葉を引き継いで一例をあげると、刹那が頷く。
「スナック菓子の他に、食事とみなしてもいい軽食もあります。最近はこちらにある食品を代用して販売する店も存在しているそうです」
「ハンバーガーっていうのがあるのよね」
ぱぁっと、顔を明るくしたフォニケが答えると、刹那が「はい」と頷く。
「フォニケ殿は話通り、肉が好きなのだな」
くすりと微笑むジュリオにフォニケは「大好きだもの」と意気込む。
何故か方向が肉の話に移動しつつも、カフェタイムはにぎやかに過ぎていく。
その間、白亜は話に相槌を打ちつつ、一生懸命スケッチを行っている。
●
季節は冬に近づいており、太陽が西に傾く頃になると、近くの岩山の影が長く伸びては談話室のコテージの窓に差し込み、少しずつ、夜の冷気が体を冷やす。
「冷えてきたな」
クリスティンが暖炉の火を点した。
「頃合いだな。では、調理場を借りようとしよう」
立ち上がったジュリオが言えば、他のハンター達も立ち上がる。
しかし、ルンルンはどこかオロオロしていた。
「もう少しリアルブルーの話が聞きたいわ」
フォニケに引き留められたルンルンは「もっちろんよ!」と心の中で冷や汗をぬぐうが、最後に出ようとしたカイにルンルンはこそりとお願いをした。
リナンがいたコテージの隣が調理場であり、外に出ると、お供のドワーフ達が調理場の前で狩りでとってきた獲物の解体を行っており、クリスティンが手伝いを申し出る。
「臓物は焼き物に使いたいので、貰ってもいいだろうか」
「おお、助かるよ。細かい作業はできるが、何せ、今日の獲物は揃いも揃ってデカブツばかりでな」
大きな作業ばかりでは、臓物をいい状態で取り出せるかわからないとドワーフが言っており、クリスティンの申し出はとても助かった。
「枝肉を切り分ける作業なら手伝う」
「私もお手伝いします」
ジュリオと刹那も申し出ると、ドワーフ達は分担作業ができることに喜んだ。
「バッファローって牛だっけ」
かまどの火を入れることに成功したカイが解体された肉を見ていると、ドワーフ達は「そうだ」と肯定する。
肉の下準備が出来れば、皆が調理に取り掛かる。
丁寧な下ごしらえは大事とジュリオとクリスティンが手間をかけてくれていた。
「鹿は串焼きに?」
「そのつもりだ。小さく焼くよりは、ステーキ状にして焼くのがいいだろう」
「では、切り分け役をやろうか」
給仕役ならばと白亜が声をかけた。彼女はリナンより香草焼きのレシピを教えてもらって作っているようだった。
呪文を唱えるように挽き肉を捏ねているのは刹那だ。
「美味しくなあれ、美味しくなあれ」
「何かの呪文か?」
隣で野菜を切るジュリオに刹那は肯定する。
「私が育った国には言霊というものがあります。万物には神が宿り、大事にすると呼応するという言い伝えがあります」
「ほう」
「物は大事にするという教訓ですね」
出来上がりましたと刹那が捏ねたひき肉を見せるとジュリオは「きっとおいしくなるだろう」と微笑んだ。
食事の時間となり、皆で食事をとる。
冬ともあり、日本食における鍋を兼ねるようなひき肉と玉ねぎと大蒜の肉団子を肉と香味野菜のスープで煮込んだ料理は身体の芯から温めてくれてほっとさせてくれた。
「温かくて優しい味ね」
目を細めるリナンにジュリオと刹那が顔を合わせて笑む。
鹿肉や鳥肉の焼き串は岩塩でシンプルな味付けだが、特に臓物の血抜きの対処がよかったのか、臭みもなくて皆……特にフォニケが喜んで食べている。
フォニケが持ってきてくれたベーコンでカイがジャーマンポテトを作ってくれると、フォニケが蒸留酒を水割りにしてお燗にしてくれた。
「むむ、これは冬にいいかも……」
リアルブルーでいうところのアイリッシュコーヒーもありかもしれないと思っていた白亜だが、アルコールも取り扱う場合は考慮してもいいかもしれないとメモを始める。
ちなみに、リナンの話によれば、ヨアキムが好きだと言っていた蒸留酒らしい。
カペラ曰く、「お父さんに細かい味がわかるとは思えないけどね」と辛口コメントを添えていたので、あまり信用はできない模様だ。
「さぁ! ルンルンラーメン新発売ですよーーー!!」
精一杯のおもてなしの気持ちを顕にしたルンルンがカップラーメンを差し出すと、フォニケとカペラが反応する。
忙しなく働く人間にとって、お湯を入れるだけで食事ができるというカップ麺はとても魅力的なものだとカペラは言う。
彩萌も作ったのだが、藍弥が食べると主張し、見事に食べきっていた。
どうやら、藍弥が抱く彩萌への愛情は味を凌駕している模様。
当の彩萌はジュリオ作のパイを頬張っており、口元にパイの欠片がついていて藍弥の目が光っていたが、さっと指で拭った。
●
食事が終わると、皆で片づけを行う。
クリスティンは準備中に皆へ野菜くずは所定のボウルへ入れるように指示を出しており、ジュリオは食事前にそれを水で洗い、大鍋で煮出していた。
「コンソメか」
「ご名答」
鍋の中身に気づいた白亜がジュリオに声をかける。
コンソメは朝用のスープにする模様。
横で聞いていたカイは顆粒やキューブ状のコンソメを思い出すが、察した刹那が説明をし始めた。
「皆、温泉に入ろ!」
粗方片づけを終えたルンルンが声をかけると、皆が頷く。
彩萌は誰かと入る事に対して抵抗がある模様で、パルムと共にここで管理をしているドワーフに話をきくと、家族風呂のような個室があると教えてくれた。
「家族風呂! 彩萌。二人きりの家族だから一緒に……」
入ろうと言うまでもなく、藍弥は締め出された。
男子風呂ではカイがゆっくりと風呂に浸かっていた。
秋冬になると気温が一段と下がるので温かい風呂に入れるのは気持ちがいい。
美味い食事に広くて温かい温泉、異世界に飛んだというよりは、どこかの国に旅行しているような感覚になってしまう。
ゆっくり入ろうと思っていると、どこぞから藍弥の声が聞こえてきた気がする。
だが、衝撃音と共に静まったので、そのまま肩まで浸かる。
一方、女子風呂はジュリオが用意してくれたパックで大盛り上がりだった。
「なんだか気持ちがいいな」
掌に垂らされたテクスチャーが気に入ったのか、白亜は早速髪に付けている。
「いい匂い。湯気の効果もありそう」
ルンルンが手に残ったパックの香りに気づく。
「フォニケ殿、頭皮をこう押すと疲れがとれる」
ヘアパックをジュリオにしてもらっているフォニケは頭皮マッサージをして貰っていた。
「すごく気持ちいいー」
日々激務のフォニケの頭皮は中々に固かったようで、ジュリオはついでに肩も揉んでみたところ、恐ろしく固かったので、ボディオイルの使用も勧める。
カペラの肩も試したが、こちらも固かった模様。
身体を洗い終えて湯船の中に先に入っているクリスティンとリナンは互いの旦那様の話をしていた。
クリスティンが旦那様の馴れ初めを話してくれていた。
ハンターの仕事は噂に聞けども、直に聞くのは初めてであり、リナンは目を輝かせて聞いている。
話しているクリスティン当人は冷静に話しているものの、自身の恋愛を振り返ることで少々の照れはあったが、湯気と温泉の熱さからだろうと思い込むことにする。
某ユニットをプロデュースした際のヨアキムの話をした途端、リナンの目の輝きは一気に増し、クリスティンが内心驚くまでくらいついていた。
「ベタ惚れですのね」
ふふりと笑う刹那にリナンは満面の笑みで頷く。
「して、リナンはどのようなきっかけでヨアキムと?」
クリスティンに問われると、リナンはヨアキムとの出会いを教えてくれた。
一人で歩いているところ、歪虚に襲われてしまい、たまたま通りかかったヨアキムに助けてもらったという話。
名を尋ねようとするリナンにヨアキムは答えず去っていく姿が忘れられなく、ヨアキムの居城であるヴェドルへ向かってアタックを開始したという。
後からカペラより補足を聞けば、当時のヨアキムはリナンに気づいていなく、まぁ、美人に言い寄られて悪い気分はしないのでそのまま嫁にしたとのこと。
ヨアキムのことだ。そんな話も忘れてるに違いない。
風呂より上がると、皆で食堂にあったダーツで月が傾くまで盛り上がっていた。
最後は皆で魔導カメラで記念撮影だったが、カペラ達はカメラに興味を示していた。
そんな娘達を横目にリナンはハンター達に礼を告げる。
「本当に楽しかったです」
リナンは満足そうな笑顔を浮かべていた。
「次は卓球台用意してもらわないと!」
ガッツポーズをするルンルンにカペラはカメラを返しつつ、快諾してくれる。
「じゃあな」
カイが手を上げると、リナン、カペラ母子とフォニケはリナンを送る為にヴェドルへと向かい、ハンター達は戻って行った。
ドワーフ工房のカペラが出す依頼を何度か目にしたことがある者もいたが、寧ろ気になるのは依頼内容。
見上げたクリスティン・ガフ(ka1090)の柳眉が顰められる。
以前、歌舞浄化陣の発動の際にヨアキムがチューダとユニットを組むという非常事態に関わり、プロデュースをしたことがあった事を思い出す。
「何すればいいんだ……」
「カペラ殿達は、リアルブルーや最近の情勢に興味があると聞いた」
依頼内容に戸惑うトウゴウ・カイ(ka3322)に声をかけたのは怜悧な美しい容貌の女エルフ、ジュリオ(ka6254)。
「じゃぁ、リアルブルーの話でもしてやればいいのか?」
「ああ、きっと喜ぶだろう」
納得したカイは受付へと向かう。
そんな中、別件で呆然としているのはルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)だ。
いつものルンルン印の笑顔は消え去っている。
「じすい……」
「ドワーフ達のもてなしもあるのか」
雪継・白亜(ka5403)が呟けば、ルンルンは気分を復活させる。
「おもてなし。よーっし! ルンルン流おもてなしをしよう!」
何か思いついたのか、ルンルンは用意へと取り掛かる。
「温泉はいいわね。身体を休めそう」
依頼内容を眺めて微笑む花厳 刹那(ka3984)は少し辛そうだ。
先日の戦いにて、体力をかなり消耗してしまったので、今回の件は丁度いい休養となれそうと思っていた。
「鉱山の中の温泉ですか……」
ぽつりと呟く雨月彩萌(ka3925)は今回の受付を済ませており、内容を見ていた。
彼女の近くにいた雨月 藍弥(ka3926)もまた、彩萌の動向はしっかりチェックしている。
藍弥にとって、彩萌はたった一人の妹。そして、たった二人だけの家族。兄としてだけではなく、親としての自覚もあり、彼女を放っておくなんてありえない。
それ以上にもう一度だけ一緒にお風呂に入りたかった。
当の彩萌は背筋に走る悪寒と鳥肌に嫌な予感しかなく、受付の方を向けば、もう満員御礼となっていたので、藍弥はもう参加済みだったのだろう。
彩萌は一切関知しないでおくのはいつものこと。
●
辺境に到着すると、カペラとフォニケが出迎えてくれた。
「雑な依頼でごめんなさいね。来てくれてありがとう」
急ぎで投げた依頼であり、応じてくれたハンター達に謝罪と礼を述べる。
「構わないさ。カペラ殿とフォニケ殿、今回は宜しく頼む」
微笑むジュリオにフォニケとカペラは心当たりがあったようだ。
何度も世話になっているハンターの面影があったから。
「中々に鋭い。愚息が世話になっている」
ふふ、と艶めくように笑むジュリオにカペラとフォニケは顔を見合わせ、ジュリオを向くと、彼女は蜂蜜色の髪を揺らすように小首を傾げ、透き通る紅玉の双眸を細める。
「え!」
姉と思っていたのにと、ジュリオの美しさと若さは二人の予想を超えるようであり、カペラとフォニケが声を上げた。
数時間歩けば、奇妙なトーテムポールが視界に入ってくる。
「彩萌、大丈夫ですか? もう三時間は歩いていますし、疲れたでしょう。背負いますよ」
藍弥は「さぁ」と言わんばかりに屈んで背負いますポーズをしているが、彩萌はさらっとスルーしてスタスタと歩く。
最初の時点で彩萌は「気にしないでください」と全員に伝えており、ハンター達は家族の形は家族の数だけあるというスルースキルを大いに発揮している。
「この時点で見えるトーテムポールってすごいですね」
「かなりの高さよ」
温泉設営に携わった刹那が感嘆の声と共に感想を言えば、カペラが返す。
ほどなくして、テミスに到着すると、大きなパルムが出迎えていた。
普通のパルムより明らかに大きいパルムに彩萌は警戒に目を細める。
「自分が異常ってことを理解してるから、そっとしておいて」
「そうですか」
あるものは仕方ないし、放置するのは賛成だ。
「こんな大きいパルムは初めてだな」
「デラックスサイズって感じだな」
白亜が言えば、カイも頷く。
「パルム・デラ……」
「行こう、向こうでヨアキムの嫁さんが待ってる」
クリスティンが危険なことを言おうとするルンルンをさりげなく誘導する。
今回、リナンが使うために作られたのかはわからないが、妙に新しいコテージの中にいたのは美しいドワーフだった。
「いらっしゃい、貴方たちがハンターね。来てくれてうれしいわ」
茶が混じった金の髪を揺らし、柔和に微笑む女性がハンターを中へ誘う。
クリムゾンウェストのドワーフはリアルブルーで得た知識の外見だけでないということを知っているカイは戸惑う気持ちもあれど、慣れはあるようだった。
歓談に飲み物は必須ということで、白亜は持参したコーヒーを淹れる。
珍しいものに目を光らせるリナンの他に、カペラとフォニケも目を輝かせていた。
手慣れていても、丁寧にミルを回して豆を挽く。挽き終わって、カペラとフォニケの視線に気づいた白亜は引き出しから粉末の珈琲豆を取り出して二人に見せる。
ふわりと薫る引き立ての珈琲をドリッパーにセットをし、少量の湯を注ぐ。
湯と粉が触れると、水分を含み、細かい泡が立っては消える。
「二人とも、子供じゃないんだから」
カペラとフォニケは珍しくて白亜の手並みをガン見していたので、リナンに突っ込まれる。
「構いませぬ」
無邪気なギャラリー相手ならば、心地よい緊張となる。白亜は芳しい珈琲を淹れてくれた。
飲み慣れない者にも調節して淹れた珈琲は皆に喜ばれて白亜はほっとしているようだ。
「おいしい!」
「シェダル好きそう」
「焼き菓子も美味しい。ハンターの皆さんの中にはリアルブルーの方より来られた方がいるのですよね?」
リナンの問いかけに頷いたのはカイだ。
「ああ、あっちはこういった菓子よりジャンクなのもたくさんあるな」
「例えば、ジャガイモを薄く切ったのを油で揚げて塩を振ったやつとか」
ルンルンが言葉を引き継いで一例をあげると、刹那が頷く。
「スナック菓子の他に、食事とみなしてもいい軽食もあります。最近はこちらにある食品を代用して販売する店も存在しているそうです」
「ハンバーガーっていうのがあるのよね」
ぱぁっと、顔を明るくしたフォニケが答えると、刹那が「はい」と頷く。
「フォニケ殿は話通り、肉が好きなのだな」
くすりと微笑むジュリオにフォニケは「大好きだもの」と意気込む。
何故か方向が肉の話に移動しつつも、カフェタイムはにぎやかに過ぎていく。
その間、白亜は話に相槌を打ちつつ、一生懸命スケッチを行っている。
●
季節は冬に近づいており、太陽が西に傾く頃になると、近くの岩山の影が長く伸びては談話室のコテージの窓に差し込み、少しずつ、夜の冷気が体を冷やす。
「冷えてきたな」
クリスティンが暖炉の火を点した。
「頃合いだな。では、調理場を借りようとしよう」
立ち上がったジュリオが言えば、他のハンター達も立ち上がる。
しかし、ルンルンはどこかオロオロしていた。
「もう少しリアルブルーの話が聞きたいわ」
フォニケに引き留められたルンルンは「もっちろんよ!」と心の中で冷や汗をぬぐうが、最後に出ようとしたカイにルンルンはこそりとお願いをした。
リナンがいたコテージの隣が調理場であり、外に出ると、お供のドワーフ達が調理場の前で狩りでとってきた獲物の解体を行っており、クリスティンが手伝いを申し出る。
「臓物は焼き物に使いたいので、貰ってもいいだろうか」
「おお、助かるよ。細かい作業はできるが、何せ、今日の獲物は揃いも揃ってデカブツばかりでな」
大きな作業ばかりでは、臓物をいい状態で取り出せるかわからないとドワーフが言っており、クリスティンの申し出はとても助かった。
「枝肉を切り分ける作業なら手伝う」
「私もお手伝いします」
ジュリオと刹那も申し出ると、ドワーフ達は分担作業ができることに喜んだ。
「バッファローって牛だっけ」
かまどの火を入れることに成功したカイが解体された肉を見ていると、ドワーフ達は「そうだ」と肯定する。
肉の下準備が出来れば、皆が調理に取り掛かる。
丁寧な下ごしらえは大事とジュリオとクリスティンが手間をかけてくれていた。
「鹿は串焼きに?」
「そのつもりだ。小さく焼くよりは、ステーキ状にして焼くのがいいだろう」
「では、切り分け役をやろうか」
給仕役ならばと白亜が声をかけた。彼女はリナンより香草焼きのレシピを教えてもらって作っているようだった。
呪文を唱えるように挽き肉を捏ねているのは刹那だ。
「美味しくなあれ、美味しくなあれ」
「何かの呪文か?」
隣で野菜を切るジュリオに刹那は肯定する。
「私が育った国には言霊というものがあります。万物には神が宿り、大事にすると呼応するという言い伝えがあります」
「ほう」
「物は大事にするという教訓ですね」
出来上がりましたと刹那が捏ねたひき肉を見せるとジュリオは「きっとおいしくなるだろう」と微笑んだ。
食事の時間となり、皆で食事をとる。
冬ともあり、日本食における鍋を兼ねるようなひき肉と玉ねぎと大蒜の肉団子を肉と香味野菜のスープで煮込んだ料理は身体の芯から温めてくれてほっとさせてくれた。
「温かくて優しい味ね」
目を細めるリナンにジュリオと刹那が顔を合わせて笑む。
鹿肉や鳥肉の焼き串は岩塩でシンプルな味付けだが、特に臓物の血抜きの対処がよかったのか、臭みもなくて皆……特にフォニケが喜んで食べている。
フォニケが持ってきてくれたベーコンでカイがジャーマンポテトを作ってくれると、フォニケが蒸留酒を水割りにしてお燗にしてくれた。
「むむ、これは冬にいいかも……」
リアルブルーでいうところのアイリッシュコーヒーもありかもしれないと思っていた白亜だが、アルコールも取り扱う場合は考慮してもいいかもしれないとメモを始める。
ちなみに、リナンの話によれば、ヨアキムが好きだと言っていた蒸留酒らしい。
カペラ曰く、「お父さんに細かい味がわかるとは思えないけどね」と辛口コメントを添えていたので、あまり信用はできない模様だ。
「さぁ! ルンルンラーメン新発売ですよーーー!!」
精一杯のおもてなしの気持ちを顕にしたルンルンがカップラーメンを差し出すと、フォニケとカペラが反応する。
忙しなく働く人間にとって、お湯を入れるだけで食事ができるというカップ麺はとても魅力的なものだとカペラは言う。
彩萌も作ったのだが、藍弥が食べると主張し、見事に食べきっていた。
どうやら、藍弥が抱く彩萌への愛情は味を凌駕している模様。
当の彩萌はジュリオ作のパイを頬張っており、口元にパイの欠片がついていて藍弥の目が光っていたが、さっと指で拭った。
●
食事が終わると、皆で片づけを行う。
クリスティンは準備中に皆へ野菜くずは所定のボウルへ入れるように指示を出しており、ジュリオは食事前にそれを水で洗い、大鍋で煮出していた。
「コンソメか」
「ご名答」
鍋の中身に気づいた白亜がジュリオに声をかける。
コンソメは朝用のスープにする模様。
横で聞いていたカイは顆粒やキューブ状のコンソメを思い出すが、察した刹那が説明をし始めた。
「皆、温泉に入ろ!」
粗方片づけを終えたルンルンが声をかけると、皆が頷く。
彩萌は誰かと入る事に対して抵抗がある模様で、パルムと共にここで管理をしているドワーフに話をきくと、家族風呂のような個室があると教えてくれた。
「家族風呂! 彩萌。二人きりの家族だから一緒に……」
入ろうと言うまでもなく、藍弥は締め出された。
男子風呂ではカイがゆっくりと風呂に浸かっていた。
秋冬になると気温が一段と下がるので温かい風呂に入れるのは気持ちがいい。
美味い食事に広くて温かい温泉、異世界に飛んだというよりは、どこかの国に旅行しているような感覚になってしまう。
ゆっくり入ろうと思っていると、どこぞから藍弥の声が聞こえてきた気がする。
だが、衝撃音と共に静まったので、そのまま肩まで浸かる。
一方、女子風呂はジュリオが用意してくれたパックで大盛り上がりだった。
「なんだか気持ちがいいな」
掌に垂らされたテクスチャーが気に入ったのか、白亜は早速髪に付けている。
「いい匂い。湯気の効果もありそう」
ルンルンが手に残ったパックの香りに気づく。
「フォニケ殿、頭皮をこう押すと疲れがとれる」
ヘアパックをジュリオにしてもらっているフォニケは頭皮マッサージをして貰っていた。
「すごく気持ちいいー」
日々激務のフォニケの頭皮は中々に固かったようで、ジュリオはついでに肩も揉んでみたところ、恐ろしく固かったので、ボディオイルの使用も勧める。
カペラの肩も試したが、こちらも固かった模様。
身体を洗い終えて湯船の中に先に入っているクリスティンとリナンは互いの旦那様の話をしていた。
クリスティンが旦那様の馴れ初めを話してくれていた。
ハンターの仕事は噂に聞けども、直に聞くのは初めてであり、リナンは目を輝かせて聞いている。
話しているクリスティン当人は冷静に話しているものの、自身の恋愛を振り返ることで少々の照れはあったが、湯気と温泉の熱さからだろうと思い込むことにする。
某ユニットをプロデュースした際のヨアキムの話をした途端、リナンの目の輝きは一気に増し、クリスティンが内心驚くまでくらいついていた。
「ベタ惚れですのね」
ふふりと笑う刹那にリナンは満面の笑みで頷く。
「して、リナンはどのようなきっかけでヨアキムと?」
クリスティンに問われると、リナンはヨアキムとの出会いを教えてくれた。
一人で歩いているところ、歪虚に襲われてしまい、たまたま通りかかったヨアキムに助けてもらったという話。
名を尋ねようとするリナンにヨアキムは答えず去っていく姿が忘れられなく、ヨアキムの居城であるヴェドルへ向かってアタックを開始したという。
後からカペラより補足を聞けば、当時のヨアキムはリナンに気づいていなく、まぁ、美人に言い寄られて悪い気分はしないのでそのまま嫁にしたとのこと。
ヨアキムのことだ。そんな話も忘れてるに違いない。
風呂より上がると、皆で食堂にあったダーツで月が傾くまで盛り上がっていた。
最後は皆で魔導カメラで記念撮影だったが、カペラ達はカメラに興味を示していた。
そんな娘達を横目にリナンはハンター達に礼を告げる。
「本当に楽しかったです」
リナンは満足そうな笑顔を浮かべていた。
「次は卓球台用意してもらわないと!」
ガッツポーズをするルンルンにカペラはカメラを返しつつ、快諾してくれる。
「じゃあな」
カイが手を上げると、リナン、カペラ母子とフォニケはリナンを送る為にヴェドルへと向かい、ハンター達は戻って行った。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/11/16 15:51:23 |