料理人ハンター、巨人と戦う

マスター:藤城とーま

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/09/30 19:00
完成日
2014/10/13 13:10

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●時すでに手遅れ

『なぁ、シアン知ってるか? 辺境では夜煌祭、ってのが開催されるらしいぜ』
 シアンの家の隣に住んでいるユーキスというハンターが、わざわざシアンにそう進言した。
「!! それ、行ってみたいと思ってたんだ……! じゃあ僕仕度して――」
 伝統ある祭りが数十年ぶりに開催されたらしいことは、シアンも商人などから聞いていた。
 そこに辺境中の部族が集まり、祈りを捧げたり、マテリアルの活性化に……何より宴会もあるのだという。

 宴会!! なんと素晴らしい響きだろう。
「部族の食事がこの目で見れるわけだし、独自の調理法も……ちょっと、勝手に食べないでくれるかな。僕の食事用に焼いたんだけど」
 レザー製の上着を羽織りながら、人の家のパンをむしゃむしゃ頬張るユーキスへ半眼で告げるシアン。
「ひひふんふぁ、はひゃへってて……」
 ハムスターのように頬をいっぱいに広げつつ、手をひらひらとさせるユーキス。
 何を言っているのか正確には聞き取れないが、なんとなく『構わないでくれ』、と言っているらしいニュアンスに聞こえた。
 シアンは恨みがましい目で睥睨した後……調理器具一式を詰めた鞄を手に、ユーキスの首根っこを掴むと部屋の外まで連れて行った。


●その2日後:夜煌祭会場

 期待を胸にやってきたシアンだったが……着いた途端、この世の終わりでも見たかのような悲壮な表情を浮かべた。
「……終わってる」
 商人たちに聞いた話だと、この場所で良かったはずだ。
 確かに祭壇があり、部族の者であろう出で立ちをしている人もちらほらいる。
 だが、並べられていたであろう食事もなく、祈りを捧げる巫女の姿も無く、浄化の炎と言われるものも無い。

 シアンは知らなかったのである。
 夜煌祭が、一夜の祭りであることを。

「…………」
 がっくりと肩を落とすシアン。ここまで来るのに支度を含め2日もかかっていたのに、全て無駄であった。
 すると、腕辺りをトントンと叩いて来た者がある。悲しそうな顔のまま振り返ると……銀髪の少女が不思議そうな顔で彼の側に立っていた。
 白く染めたらしい革製服。露出する肩周りが寒そうな印象を受けるが、羊毛のストールをポンチョの様にして着込んでいるため、本人はあまり寒くないのだろう。
「お見受けしたところ、部族の方ではないようですが……どうか、されたのですか?」
 何も言わないシアンへ、彼女は話を振る。はっと気づいたシアンは、数回頷いてから事の次第を簡単に彼女へと話してみる。
「ええ、確かに夜煌祭は滞りなく終了いたしました。昨日の朝までは、酔いつぶれた者たちがそこここに……」
 少女は小さく笑いながら、しなやかな指先で周囲を示す。彼女には祭りの様子がありありと浮かぶようだが、シアンには割れた皿やら宴会で食べたらしい骨やらが散らばっているようにしか見えない。
 見たところ、部族の方々が数人それらを拾い上げて何処かへと運んでいく。
「今は片づけを?」
「ええ。ここは辺境の部族にとって……特別な場所になりますから。綺麗にしなくては」
 少女――シアンとさほど年齢が離れていないように見える娘は、澄んだ赤い瞳を彼へと向けた。
「それでは……旅の方。こちらでは何もできませんが、どうぞお気をつけてお帰り下さい」
 少女は会釈をすると、再び彼のそばを離れていく。

(綺麗な子だったな)
 その背中をしばしの間見送りながら、シアンは再び、どうするかと考えた。
 夜煌祭はもうないのだから『何か』をするといっても、片付けを手伝うほかあるまい。
 じゃあ片付けでも手伝おうかな。そう思った矢先の事だ。

「そこの君、ハンターだろう? ちょっと空いてる?」
 馴れ馴れしく肩を掴まれて、シアンは若干むっとしたように振り返った。
 そこには、褐色肌の男性が笑顔で立っていた。もちろん知り合いではない。
「ちょっと、この先にジャイアントが出たっていうんで、商人が進めなくて困ってるらしいんだよ。人数が足りなくて、空いてるなら加勢として一緒に来てくれないかなあ」
「え、あの……」
「お願いだよぅ」
 笑っているのか困っているのか分からない顔で拝み倒してくる男。シアンはさすがに押し負け、命が危なくなったら撤退するかもしれませんからと念押しして――
 準備の整ったハンターたちが乗っているという馬車へ、彼も一歩足を踏み入れた。

リプレイ本文

●仲間と共に

 成り行きとはいえジャイアント討伐ハンターの一員として、馬車に乗り込むシアン。
 既にそこには、武装したハンターが6人乗り込んでいた。

「おや、あなたも討伐隊の方ですか。ひとつ、力を合わせてよろしくお願いします」
 入ってきたシアンに気付いて、人当たりの良い笑みを向ける米本 剛(ka0320)。
 軽く会釈と自己紹介をした後、空いている場所に腰を掛けたシアンだが、まだその目は名残惜しそうに夜煌祭会場(だったところ)を見つめていた。
「シアン、だったか。どうやら、お前もオレと同じ考えで夜煌祭に来たっぽいな」
 彼の視線を追ったレイオス・アクアウォーカー(ka1990)が、合点いったというような顔をして眼を細めた。
「祭りって言ったら宴会……儀式も必要だが何よりは美味いメシに酒……ここまで来て食いっぱくれるなんて、辛いぜ。オレも参加したかったのに……」
 片膝を抱えるようにしながらレイオスがそう告げるので、本人はそんなことはないかもしれないが、少々拗ねているようにも見える。

 しかし、食いっぱぐれたうっかりさんはまだいた。

「食事もさることながら、祭りのメインである儀式も素晴らしかったと聞きました……。私も参加できなかったことが……悔やまれます」
 結んでいない長い銀髪が前に流れているので顔の一部を覆っていることもあり、エリス・カルディコット(ka2572)の表情ははっきりとは見えない。
 だが、やれることは致しましょう、というエリスのため息交じりの声ははっきりと聞こえる。
 シアンは(自分を含めた)祭りの日付を間違えるというウッカリーズに、ある種の連帯感さえ覚える。

「やれやれ、一夜の祭に二日をかけて、のう。知らぬこととはいえ、文字通り『後の祭り』という奴じゃな」
 そんなうまい事を言いつつ、かかか、と重い雰囲気を吹き飛ばすかのように大口を開けて笑う火々弥(ka3260)。
「僕はもっとゆっくり女の子に声かけていたかったんだけどねー……。さっきの人が強引で」
 恐らくあの依頼人の男の事だろう。恨めしそうな声でラン・ヴィンダールヴ(ka0109)は語る。
 中に女の子もいるよ、という言葉に釣られたらしいが……彼は立ち直りも思考の転換も早かった。
「まぁ、それはいいさ。ちゃっちゃと片付けてまた遊べばいいだけの話だからね」
 その通りじゃ、と火々弥は頷いて応じる。
「様々な鬱憤も含めて、今から向かうデカブツにぶつけてやればよかろうさ。人助けもして報酬も得る、ついでに気分も晴らす。万事丸く収めて一石三鳥じゃ」
「……そう、ですね。成り行きだったとは言え、ハンターとしての仕事も得られたのですし……せめて旅費分は取り返したいです」
 エリスは己を奮い立たせるように言いながら、俯いていた顔を上げる。その表情は、祭りを残念がる女性のものではなく、ハンターの顔だった。

「今回討伐するものはジャイアント……ですか。場所が場所なら『最悪』と聞きましたが……」
 米本はそう言いながら、これから向かうであろう森と対象の事に想像を巡らせる。
「――今回、私は米本さんと共に囮班として行動しようと思う。
私達囮班が一体のジャイアントを引き付け誘導、そして合流を阻止している間に……攻撃班の仲間達で集中攻撃を行い、もう一体の方を撃破する、という作戦だ」
 霧島(ka2263)がシアンに作戦概要を告げ、彼も攻撃班として活動することに了承の旨を伝える。
「皆が撃破した後は掃討作戦といった流れになるだろうな。相手は巨躯だ。十分注意するように」
 そうして言い終わった頃、米本が『見えてきましたよ、森が』と穏やかに告げた。

●いざ討伐

 ジャイアントが急に出現しないとは言い切れない。
 行動も後手に回ってしまう危険性があったため、森の手前で馬車を降り、御者へ少し後退してもらうよう言い聞かせる。
 徒歩で森の入口に近づくにつれ、ハンターたちの表情は引き締まる。
「木々が大きく揺れてるが……あの辺りか」
「確実にそうだ、と言えませんが……」
 手頃な小石を拾いながらのレイオスに、エリスも『可能性としてはあるかもしれません』と答えた。
 目撃された周囲を警戒して歩いていると、木々がしなり、折れる音が空気に乗って聞こえてくる。
「んー、向こうからだねー。音がだんだん大きくなってきているから、こちら側に近づいてるんじゃないかな?」
 ランが耳に手を当てて、音の方向を確認するが――霧島は短く『そこまで来ている』と告げて、から、連携として動く米本へ視線を向ける。

 行く手を邪魔する木をなぎ倒したり踏みしめながら、一人の巨人が木々の間から姿を見せた。
 何も羽織っていない上半身からも分かるジャイアントの隆々とした筋肉は、その一つ一つが岩の様に盛り上がっている。
「ジャイアントか……なるほど、流石に想像より大きく、たくましいな」
 霧島は感心したように口に出したが、射撃に適した場所、そしてもう一体はどこか――近くの木々へ視線を走らせた。
 もう一体は、霧島の右手側からやってきていた。
「それじゃ、手筈通り始めるとしよう……米本さん」
「はい。こんな時……『倒せるなら倒してしまって良いのだろう?』と言えれば格好良いのですがねぇ」
 笑い飛ばしてから、米本と霧島は右方向へ身を翻し、巨人を引き離すべく行動しはじめた。


●攻撃班

「ウガ……!」
 姿を見せた巨人から発せられたのは獣のように吠える声。しかし、それに圧倒されることなく一歩進みでたレイオスは、巨人の目の前に石を一つ投げ、声を張る。
「いいか、一応……警告だ。お前達がそこに移動してきたせいで迷惑している。人間を害する意思がないなら別の場所に移動しろ。聞けない場合や抵抗するなら力ずくで排除するぜ!」
 指を突きつけ、注意を促してみたものの……このジャイアントには彼らの言葉が通じないようである。
「ウグルァァッ!」
 大きく威嚇するように声を張り上げ、彼らを睨みつける。
「んー……恥じらっているわけでも友好的な態度でもなさそうだねえ」
 ランはしげしげと巨人を見ながら『いやーでっかいねー……』と漏らす。
「これで女の子だったら……いや、うん、やっぱりダメかな。うん。巨乳かもしれないけどダメだ……」
 想像しかけた何かを頭の中から追い払い、ランは蒼色の槍を握って覚醒した。
「それじゃ、行こうか! 唸れ! オケアニス! ……ってね」
 白銀の尻尾を揺らし、ランは巨人の足元を狙って槍を振りぬく。

 米本ら囮班がもう一体の巨人の気を引くべく行動したのを横目で確認した火々弥は、一気に勝負を付けようぞ、と呟いて日本刀を携えると一気に距離を詰める。
(片方ずつに攻撃を集中させる……と言うても、片方が攻撃されればもう一方も助けようと後を追うじゃろう。が、速攻狙いであろうと、そう上手く事が運ばなかった時を考慮し……動きを鈍らせるのは意味があろうて)
 自分の身長と同じ程度の高さにある膝を狙い、踏込とヒッティングを使用して斬りつけた。
 膝を貫く事も考えたが、この巨体が倒れ込んでは自分や仲間が潰される危険性も考え、痛めつけて動きを鈍らせる方向に切り替えた。
 巨人も腕を振り回し、火々弥を狙うが易々と攻撃を避けられてしまう。
 大振りのため軌道予測さえできれば避けるのも難しくはないが、逞しい腕は木々をなぎ倒す。これに当たれば、ハンターとて無事では済まないだろう。
「全力で攻めるぜっ!」
 折れた木や足場になりそうな傾いた木をレイオスが素早く伝い、巨人の頭上に跳ぶと……渾身撃を見舞う。
 目の前に振ってくるように現れたレイオスを、握りつぶさんと伸ばされた巨人の腕。
「させません!」
 エリスの魔導銃とランの刺突が阻止し、動きが緩んだところをすかさずレイオスはするりと抜け、着地する。
 シアンも強打と踏込で巨人の足を狙い、すかさず離れた。
 痛む手を押さえ、唸り声を上げた後……巨人は近場の木けと手をかけて引っこ抜こうとしている。
 その木の幹の太さは、人間一人分を優に超えるより幅と長さがある。
「投げるなり、振り回すなり武器にしようという魂胆じゃな……」
「ですが、そのような危ないものを持ってはいけませんよ……?」
 素早く切り込んだ火々弥が苦々しく顔を歪める中、エリスと武器を持ち替えたレイオスが手元と顔を狙って射撃。
 射撃に一瞬怯んだ巨人も一気に木を引き抜くと、勢いに任せ横に薙ぐように振った。
「わっ!?」
 シアンは思わず地面にうつ伏せになるようにして木をやり過ごす。
「お~……豪快だねー……ホント、女の子じゃなくて良かった」
 衝突した細い木々が容易く折れるのを驚きの表情で眺めるラン。
「さすがにオケアニスでも振り回されてる木を受けるのはねー……」
 悩んだような表情も一瞬のこと。うん、と小さく頷いて、ランは死角から攻める。
「振り回しの始点とー、脇から攻めればまぁ、大丈夫そうだね」
 大きいっていうのも大変かもよと朗らかに言いつつ、ランの突きは深々と巨人の肉を抉る。
 筋肉の鎧を着ているとはいえど、上には防具と呼べるようなものを着ていないのではさしたる問題でもない。
「所詮は即席の棍棒だろうが……時間をかけたくはないな」
 巨人目がけ、レイオスは太刀を振るう。彼の言う通り、二度三度斬りつければ次第に木も削れて振り回しづらくなっていくが、一体目で長い時間を割くわけにはいかない。
「戦いの中で急所を狙うのは常識だ。悪く思うなよ」
 レイオスは巨人の膝に飛び乗り、そのまま股間に剣を突き立てる。
 恐ろしい咆哮が森の木々を震わせたが、巨人はがくりと膝をつく。
「……うわぁ……」
 シアンとランは大層痛がる巨人の様子に思わず青ざめる。急所を強打すればどうなるか。男性にしかわからぬ痛みだろう。
 しかし、ここで巨人の動きがかなり鈍ったのは事実。一度にハンターたちは集中的に攻撃し、巨人を沈黙させた。


●囮班、そして合流

 一方その頃、米田と霧島は二人でもう一体の巨人を担当していた。
 とはいえ、一体ずつに引き離す陽動が主である。
 一体は攻撃班が担当しているから、もう少し引き付ければ時期に合流も可能だろう。
「……やれやれ、木登りなんて久しぶりだな」
 霧島は手頃な木々を見つけ、器用に、とはいかなくともしっかりと手足をかけやすい場所を選び、しっかりと登って行き……ライフルを構えた。
「これだけ大きいと、逆に外しようもないが……」
 ゆっくりと向かってくる巨人の頭部を狙い、シャープシューティングで撃ち込む。
 流石に一発で沈むわけではなかったが、狙いは違わず頭部に直撃。巨人は額を抑えて呻き声を上げた。
「八百万の神々よ……護りの力を!」
 巨人を誘導するように走っていた米本も、くるりと振り返ってプロテクションを自身へかける。
 霧島へ注意が行かぬよう、気を配る米本だったが、巨人はきょろきょろと周囲を伺い、襲撃された場所を探しているようである。
「八百万の神々よ……闇の弾丸を!」
 米本の体から立ちのぼる青白い火炎が一瞬揺らぎ、漆黒のシャドウブリットが彼から放たれる。
 巨人の胴体へ当てると、米本は手のひらを上にして『来い』というように挑発する。
「あなたの相手はこちらですよ……頭だけではなく、目も良くないのでしょうか」
 人語を解するかどうかは個体により差があるようだが、この巨人は、意味は分からずとも自分が馬鹿にされている事だけは分かるらしい。太い眉を吊り上げ、米本へと向かって拳を突きだす。
 米本は烏枢沙摩を構えて拳を受け、防御に徹する。
 彼に気を引いてもらっている間に、霧島は射撃で着実にダメージを与え続けていく。

 無論、米本に長い間無理はさせられない。そう思った矢先、攻撃班の居る方向から何やら悲痛な咆哮が聞こえてきた。
「……あちらもどうやら順調なようだ。期待していいのかな」
 一瞬だけそちらの方向を見やって、霧島は再び巨人に視線を戻し、木を引き抜きにかかった巨人の肘を狙って射撃を続ける。
「こんなものを振り回されてはたまりません。肘を狙って、振り回せないようにしませんか」
 米本もヒールで回復を図ると、『棍棒』を引き抜こうとして動きを止める巨人の肘を共に狙い、斬りつけていく。
 烏枢沙摩の鋭い切れ味は、巨人の硬い肉を削ぎ、腕の半分ほどまで深々と食い込んでいる。
 粘ってみたものの、腕を負傷したため木を抜くことを諦めた巨人は、怒りに満ちた形相で米本に足を振り上げる。
「そこまでだ――大人しくしなッ!」
 巨人の背中を駆けてきたレイオスが真一文字に切り裂く。
「霧島殿、米田殿。長らく待たせたの。いざ、皆で反撃に転じるのじゃ」
 吹き出る血潮に怯むことなく、火々弥も日本刀で腱を断つ。巨人の口から洩れたのは痛みによる悲鳴。
「申し訳ありませんが、これ以上は好きにはさせません」
 エリスの射撃が巨人の背に出来た傷口に食い込み、更なる痛みを加えていた。
「ああ、痛そう。僕も痛いのは、嫌いなんだよねー……。だって悲しいし怖いじゃない。そういう思いをしたくないから戦うんだけど」
 首を横に嫌々と振りつつ、ごめんねと謝りながらランはオケアニスで出血の酷い腕を狙い、太い腕を斬り離す。
「皆果敢に攻めますねぇ……しかし、こんな『チビ』達すらも容易く潰せないのですか? ジャイアントの蛮勇も話だけですかなっ!」
 米本は叱咤するようにそう告げると、体勢を崩すために左足を切り裂いた。
 エリスと霧島の弾丸が大きな左目を穿つ。急に死角となった左側から、レイオスが腹部を切り裂いた。
「ふむ……!」
 火々弥は米本の意図するところを解し、深く斬りつけて――巨体が傾いたのを見るとすぐにその場を離れる。だが、体勢を崩す前から集中的に強い一撃を加えられていた巨人の体力は大きく削られて枯渇したようだ。大きな地響きとともに倒れ、そのまま動かなくなってしまった。

●依頼完了

「皆さんお疲れ様でした」
 米本が皆にねぎらいの言葉をかけ、残っているヒールで仲間の体力を回復させる。
「あの、米本さんも、霧島さんも大丈夫でしたか……?」
 エリスが心配そうに声をかけるが、米本は服の砂を払いながら『鍛えていますからね』と微笑む。
「あー、お腹すいたー……。討伐対象が動物とかだったら、食べれたのにねー……ってわけで、女子の皆さん、後でご飯でも食べに行かない? あ、もちろんお金は気にしなくていいよー?」
 ランが大の字になっている巨人を見つめ、肩をすくめたが……すぐにぱぁっと表情を明るくし、女の子に声をかけている。
「祭りに参加出来なかったのは残念ですが……これで商人の方も助かるのなら、来た甲斐があったというものです」
 エリスは目を細めて仲間にそう伝えると、森の近くにやってくる馬車の蹄の音を耳にし、戻りましょうとそちらの方へ歩み出した。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 皇帝を口説いた男
    ラン・ヴィンダールヴ(ka0109
    人間(紅)|20才|男性|霊闘士
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    米本 剛(ka0320
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • 愛憐の明断
    霧島 キララ(ka2263
    人間(蒼)|26才|女性|猟撃士
  • ピロクテテスの弓
    ニコラス・ディズレーリ(ka2572
    人間(紅)|21才|男性|猟撃士

  • 火々弥(ka3260
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/26 21:30:31
アイコン 相談卓
米本 剛(ka0320
人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/09/29 19:35:08