ゲスト
(ka0000)
【CF】聖・霊闘士ソイヤ
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/12 07:30
- 完成日
- 2016/12/13 18:54
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
クリムゾンウェスト各地で戦火に身を投じるハンター達。
幾ら屈強なハンターでも戦が続けば心は疲弊する。ハンター達にも安らぎは必要。
そんな最中に、冒険都市『リゼリオ』では聖輝節が開催される。
愛する恋人や家族と共に過ごす安らぎの日。
戦い続きのハンターが、平穏な日を実感する数少ないイベントなのだが――戦いの火種はこのようなところからも発生する。
「ここにいたのか、巫女っ!」
聖輝節に夢を馳せながら歩くカップルへ怒鳴りつける男が一人。赤いTシャツとジーンズ。頬に傷があり、見るからに面倒そうなオーラが漂っている。
「え? 巫女? もしかして私の事?」
突如男に巫女と呼ばれたカップルの女性。
巫女と呼ばれるような記憶は、まったくない。
「そうだ。君は辺境の巫女だろう?
さあ、早く聖地へ向かおう!」
男はそう叫びつつ、女性へとにじり寄る。
何故か男の手付きがイヤらしくも見え、どこかの違う『聖地』へ連れて行かれそうな気もする。
ここでカップルの男性が、女性を護るべく颯爽と前へ出る。
「おい、止めろ。何なんだ、お前は?」
「俺は聖なる霊闘士ソイヤ。暗黒霊闘士達から巫女を取り戻す為にやってきた!」
「何だよ、暗黒霊闘士って……って、もしかしてお前は『自由の鐘』か?」
自由の鐘。
リゼリオに伝わる恋愛成就の伝説、モノトーンの潮鐘。
それに対して富める者達による愛の独占に意を唱え、『愛の再分配』を掲げる危険な組織。
早い話、独り者の嫉妬心が勢い余ってカップルへ組織的八つ当たりをする面倒くさい連中だ。
「如何にも。自由の鐘に導かれし戦士だ。
お前、俺達を知っているって事は……暗黒霊闘士だな!」
「は?」
暗黒霊闘士が一体何なのか。
それはソイヤにしか分からない。
だが、ソイヤが自由の鐘に属している以上、カップルに対する燃え盛る嫉妬の炎は格別だ。
「抱きしめた心のマテリアル!
熱く燃やせ、奇跡を起こせ!
うぉぉぉぉっ! 武装ーーーっ!」
天に高々と腕を突き上げるソイヤ。
次の瞬間、ソイヤの体が輝き出す……事なく、所持していた袋から分解された装甲を装着し始める。
「なんだ、こいつ?」
「分からないけど、なんかヤバそうだから行こうよ」
ソイヤを前に不安を募らせるカップル。
そんな不安に気付かないソイヤは、装甲の装着を終えて立ち上がる。
「聖なる衣を纏った毒パルム座の青銅霊闘士ソイヤ、見参!
毒パルムを憑依させた俺に敵はいない。
巫女から離れろ、暗黒霊闘士!」
説明しよう。
霊闘士のソイヤは、霊闘士らしく祖霊を憑依させて戦う。
しかし、その祖霊が辺境名湯の温泉テミスで発見された毒パルムだと称している。
毒パルムといえば、積極的かつ故意にラッキースケベを狙っていく不届き者。カップルにとっては天敵ともいえる存在だ。
「は? だから、暗黒霊闘士って何だよ」
「問答無用! 燃えろ、俺のマテリアル!
……毒パルム流星拳!!」
ソイヤの拳から放たれたのはストレートの連打……ではなく、毒パルムそのもの。
隠し持っていたパルムを腰の袋に入れた温泉の湯に浸して投げつけているのだ。
「え? 毒パルムって!? ……きゃ! 何これ! 変なところを触らないで!」
「うわっ! こっちにも来た!」
ソイヤの手によって毒パルムと化したパルム達。
あっと言う間にカップルへ群がり、一気に『積極的ラッキースケベ』の嵐だ。
「口ほどにも無い奴め!
……むっ! あそこにも巫女がっ! 巫女から離れろ、暗黒霊闘士っ!」
カップルを次々と襲撃するソイヤ。
このままリゼリオに毒パルムが席巻すれば、聖輝節どころかカップルの破局も招きかねない――。
幾ら屈強なハンターでも戦が続けば心は疲弊する。ハンター達にも安らぎは必要。
そんな最中に、冒険都市『リゼリオ』では聖輝節が開催される。
愛する恋人や家族と共に過ごす安らぎの日。
戦い続きのハンターが、平穏な日を実感する数少ないイベントなのだが――戦いの火種はこのようなところからも発生する。
「ここにいたのか、巫女っ!」
聖輝節に夢を馳せながら歩くカップルへ怒鳴りつける男が一人。赤いTシャツとジーンズ。頬に傷があり、見るからに面倒そうなオーラが漂っている。
「え? 巫女? もしかして私の事?」
突如男に巫女と呼ばれたカップルの女性。
巫女と呼ばれるような記憶は、まったくない。
「そうだ。君は辺境の巫女だろう?
さあ、早く聖地へ向かおう!」
男はそう叫びつつ、女性へとにじり寄る。
何故か男の手付きがイヤらしくも見え、どこかの違う『聖地』へ連れて行かれそうな気もする。
ここでカップルの男性が、女性を護るべく颯爽と前へ出る。
「おい、止めろ。何なんだ、お前は?」
「俺は聖なる霊闘士ソイヤ。暗黒霊闘士達から巫女を取り戻す為にやってきた!」
「何だよ、暗黒霊闘士って……って、もしかしてお前は『自由の鐘』か?」
自由の鐘。
リゼリオに伝わる恋愛成就の伝説、モノトーンの潮鐘。
それに対して富める者達による愛の独占に意を唱え、『愛の再分配』を掲げる危険な組織。
早い話、独り者の嫉妬心が勢い余ってカップルへ組織的八つ当たりをする面倒くさい連中だ。
「如何にも。自由の鐘に導かれし戦士だ。
お前、俺達を知っているって事は……暗黒霊闘士だな!」
「は?」
暗黒霊闘士が一体何なのか。
それはソイヤにしか分からない。
だが、ソイヤが自由の鐘に属している以上、カップルに対する燃え盛る嫉妬の炎は格別だ。
「抱きしめた心のマテリアル!
熱く燃やせ、奇跡を起こせ!
うぉぉぉぉっ! 武装ーーーっ!」
天に高々と腕を突き上げるソイヤ。
次の瞬間、ソイヤの体が輝き出す……事なく、所持していた袋から分解された装甲を装着し始める。
「なんだ、こいつ?」
「分からないけど、なんかヤバそうだから行こうよ」
ソイヤを前に不安を募らせるカップル。
そんな不安に気付かないソイヤは、装甲の装着を終えて立ち上がる。
「聖なる衣を纏った毒パルム座の青銅霊闘士ソイヤ、見参!
毒パルムを憑依させた俺に敵はいない。
巫女から離れろ、暗黒霊闘士!」
説明しよう。
霊闘士のソイヤは、霊闘士らしく祖霊を憑依させて戦う。
しかし、その祖霊が辺境名湯の温泉テミスで発見された毒パルムだと称している。
毒パルムといえば、積極的かつ故意にラッキースケベを狙っていく不届き者。カップルにとっては天敵ともいえる存在だ。
「は? だから、暗黒霊闘士って何だよ」
「問答無用! 燃えろ、俺のマテリアル!
……毒パルム流星拳!!」
ソイヤの拳から放たれたのはストレートの連打……ではなく、毒パルムそのもの。
隠し持っていたパルムを腰の袋に入れた温泉の湯に浸して投げつけているのだ。
「え? 毒パルムって!? ……きゃ! 何これ! 変なところを触らないで!」
「うわっ! こっちにも来た!」
ソイヤの手によって毒パルムと化したパルム達。
あっと言う間にカップルへ群がり、一気に『積極的ラッキースケベ』の嵐だ。
「口ほどにも無い奴め!
……むっ! あそこにも巫女がっ! 巫女から離れろ、暗黒霊闘士っ!」
カップルを次々と襲撃するソイヤ。
このままリゼリオに毒パルムが席巻すれば、聖輝節どころかカップルの破局も招きかねない――。
リプレイ本文
「きゃあ!」
「なんだこれっ!」
リゼリオの街にカップルの悲鳴が木霊する。
見れば、頭の色が変質したパルム達がカップルに纏わり付いて『積極的ラッキースケベ』を繰り返している。
スカートの潜り込む奴。
女性のバストへダイレクトアタックを仕掛ける奴。
ここでは報告できないとんでもない暴挙に出る奴。
奴ら――毒パルムは、カップルを次々と襲撃。
聖輝節前でラブラブムードだったリゼリオも、毒パルムが原因でお色気コメディ空間へと変貌しつつあった。
そして。
この毒パルムを振りまく元凶こそが……。
「聖なる衣を纏いし、毒パルム座の青銅霊闘士ソイヤ!」
妙な装甲を装着した残念過ぎる霊闘士ソイヤ。
彼こそ、このリゼリオで『富の再分配』を掲げて暴れる反カップル同盟『自由の鐘(ベルリバティ)』のメンバーであった。
「悪行はそこまでよっ!」
十色 乃梛(ka5902)は、 虫取り網を手にソイヤの前へ立ちはだかった。
背負われた籠の中には、気絶した毒パルム達。
被害者を辿る形でソイヤを追跡した乃梛は、ソイヤの暴走を止めるべく単身ソイヤへ挑むつもりだ。
「巫女! 君もさらわれたのか」
「私は巫女じゃないよ。大体、巫女を取り戻す為って言いながら、女性に毒パルムをけしかけるって、どーゆー見解よ!」
ソイヤを人差し指で差しながら、ビシッと正論を突き付ける乃梛。
ソイヤは男性を暗黒霊闘士、女性を巫女と認識している。だが、ソイヤが放つ毒パルム達は男女関係なく襲撃している。巫女を助けると称しながら、しっかり巫女まで『積極的ラッキースケベ』の餌食にしているのだ。
しかし、頭の方が残念なソイヤに正論が通用する訳はないのだ。
「巫女じゃない……そうか、シャイ○さんか! カシ○スは元気か?」
「誰、シャイ○さんって……」
「俺と毒パルムの聖なる衣を奪い合ったカシウスの師匠じゃないか。
……そうか、暗黒霊闘士に操られているんだな」
乃梛が疑問を差し挟む前に自己完結するソイヤ。
どうやら乃梛はソイヤの中で戦闘相手と認識されたようだ。
「やるしかないって訳ね。かかってらっしゃい!」
「いくぞ、シャイ○さん! ペガサ……じゃなかった。毒パルム、流星拳!」
懐から取り出したパルムを腰の袋に叩き込み、毒パルムを精製。
それを乃梛に向かって投げつける。
怪しい目つきとうねうねと動く毒パルムの指先。
見るからに嫌悪感を抱きそうだが、乃梛は一切臆さない。
「ディヴァインウィル!」
乃梛は、ディヴァインウィルを発動。
乃梛の周囲に不可視の境界が発生する。
見えなくなる毒パルム。
次の瞬間、乃梛が手にしている虫取り網に絡め取られる毒パルムの姿があった。
「やるな、シャイ○さん! だが、これでどうだ!
……ブーメラン毒パルム!」
再び毒パルムを放つソイヤ。
しかし、投げた方向は明後日の方向だ。
「なに? 何処へ投げて……」
そう言い掛けた乃梛だが、太股に違和感を感じた。
まるで複数のかたつむりが一斉に太股を這い回るような感覚。
この感覚は、過去の依頼でも味わった事がある。
「あう、なにこれ! 毒パルムは違う方へ投げられたはずなのに!」
「説明しよう。ブーメラン毒パルムとは投げた毒パルムが帰ってくる必殺技なのだ」
自らの技を解説するソイヤ。
その間にも毒パルム流星拳を放って乃梛の体に毒パルムを纏わり付かせる。
(そこ撫でないで! スライムやら触手やらユニコーンやら! どうしてみんなそんなところばっかり触るのよ!)
乃梛は心の中で悲鳴を上げる。
だが、ここで弱音を吐いて破れる訳にはいかない。
倒れれば、被害は拡大するばかりなのだ。
「ま、負けられないんだから」
「さすがはシャイ○さん。だが、その体では立っているのはやっとだろう。
悪いが先に進ませて貰う」
必死に耐える乃梛を満足そうに見つめるソイヤ。
追いかけようとするも、纏わり付く毒パルムの猛攻は止む気配がなかった。
●
「ターゲットは南下中。通過した場所に必ず毒パルムが隠れているはずよ!」
地図を片手に伝波増幅で、仲間に呼び掛ける守原 由有(ka2577)。
今回の依頼においてハンターは部隊を二つに分けていた。
一つは元凶であるソイヤの撃退。
もう一つはソイヤによって撒き散らされている毒パルムの捕獲である。
ソイヤが放った毒パルムは一定時間周辺の男女を襲撃して『積極的ラッキースケベ』を仕掛けまくる。その間に被害が拡大しないように暴走する毒パルムを捕縛しようというのだ。虫取り網を片手に毒パルムを捕獲する由有だが、時間が経過する毎に毒パルムが増えていく事に怒りと恐怖を募らせていた。
「みんなが楽しみにしている聖輝節を、こんな事件で邪魔するなんて。
それも霊と縁深い霊闘士がパルムを……技術悪用とは良い度胸ね!」
捕まえた毒パルムを鉄の檻へ押し込みながら愚痴を呟く由有。
本来であれば由有もあーんな事やこーんな事を楽しみたかったのだが、様々な障害を前に寂しい聖輝節を過ごす事になっていた。それでもリゼリオの人々に気持ちが救われていたのだが……。
その愚痴は徐々に怒りへと変換されていく。
「毒パルムを捕まえたら、ソイヤに一撃お見舞いするつもりだから取っておいてね!」
「安心しろ。神の奇跡によって生まれた翠玉座のエメラルドに任せておけ」
「あははー♪ 面白い事になってるねー♪ でも、お祭りが台無しになるのは困るし何とかしないとなのだ♪」
由有の背後からエメラルド・シルフィユ(ka4678)とネフィリア・レインフォード(ka0444)が姿を現す。
毒パルム捕縛班が集まったという事は、この地点が毒パルムが多く隠れている事を意味している。これも由有が発生状況をチェックしながら仲間へ指示を出し続けた事に起因している。おかげで毒パルムの多数を一箇所へ追い込む事ができたのだ。
「みんな集まった、という事はここが一番潜んでいるって訳ね」
「結構捕縛したんだけどなぁ。 一斉に暴れる前に捕まえないとだね」
「奴らから来たようだな」
由有とネフィリアの言葉へ答えるように呟くエメラルド。
見回せば毒パルムが多数集まってきていた。
その数は、30を超える。
「好都合、かな。向こうから来てくれるなんて」
機杖「ピュアホワイト」を構える由有。
傍らではネフィリアがバンカーナックル「グラビティゼロ」を装着し直す。
「きっと僕らを狙ってくるだろうけど、まずは襲ってくるのを捕まえるのがいいかな? かな?」
ネフィリアは二人に疑問をぶつける。
その様子はどこか楽しげだ。
しかし、ネフィリアの疑問を無視して、毒パルムは一斉に襲いかかってきた。
「謝罪は、あとでするからっ!」
飛び掛かる毒パルムを拳による古武術とピュアホワイトによる鼻捻術で殴り飛ばす由有。
数匹は吹き飛ばされるが、まだすべての毒パルムを止められた訳ではない。
「毒パルムなど私の美しさの前に平伏すしかないわ。身の程を弁えなさい」
エメラルドはディヴァインウィルを発動して視界を遮る。
同時に空中の毒パルムをナックルで叩き落としていく。
瞬く間に二人の活躍で撃破されていく毒パルム。
それでも毒パルムは次々と飛び掛かっていく。
「ふにゃ!? どこから入り込んでいるのだ!?
変な所を触ってないで離れるのだー!」
拳で叩き落としながら毒パルムを縛り上げていたネフィリア。
だが、落としても次から次に襲いかかる毒パルム。
次第に狙いをネフィリアへ集中させてくる。
無理矢理剥がしているものの、とても間に合う量ではない。
「返り血でこの美貌を穢したくはないと力を温存しておいたが……喰らいなさい!」
エメラルドは呼吸を整えると、毒パルム達へ拳の連打を浴びせかける。
「エメラルド・スPラッシュ!!」
何故か技の名前を叫びつつ、一部口籠もるエメラルド。
理由を追及しにくいが、何かしらの秘めたパワーを感じさせる。
しかしそのパワーもあってか、拳の猛攻は毒パルムへ気絶させるには十分だった。周囲を見回せば毒パルム達は地面へ墜落していた。
「OK、あとは檻に入れてバイクを走らせて乾かせば大丈夫でしょ」
「あややや!? 服が! いつの間になのだ!?」
毒パルムを引き剥がす際に、自分の服も破いていたネフィリア。
慌てて露わになる部分を腕で隠す。
「後は青銅の奴か……軽く捻ってやるとしよう」
一気に毒パルムを捕縛した二人は、早々に乾燥作業へと入る。
早く終えて仲間と合流しなければ――。
●
「イチャイチャしないと恋人同士に見えないですよ」
「そうか?」
葛音 水月(ka1895)と黒沙樹 真矢(ka5714)の二人は、リゼリオの街を歩いていた。
事前の情報ではソイヤはカップルを襲撃するという。
ならば、カップルの二人が街を歩けばソイヤが勝手に現れるはずだ。
「巫女、ここに居たのか」
案の定、餌に食いついたソイヤ。
葛音としては狙い通りだ。
「ふふ、暗黒霊闘士の葛音とは僕の事。取り戻すだなんてとんでもない、この巫女は……僕だけの巫女だ!」
軽く恥ずかしいセリフを口にした葛音。
ソイヤが手を伸ばした瞬間を見計らって、瞬影によるカウンターを放った。
葛音の手に残る感触。確実にソイヤを貫いたはずだ。
だが――。
「暗黒霊闘士め。巫女に化けるとは卑劣な!」
見れば、葛音の拳はソイヤの手の中にあった毒パルムの顔面を捉えていた。
毒パルムを盾に使って攻撃を防いだようだ。
「馬鹿な、毒パルムを!?」
「今度はこちらの番だ」
一瞬の隙を突いて葛音の背後に回り混むソイヤ。
脇へ腕を入れて身動きを封じる。
「しまった!」
「俺の最高の技で葬ってやる。毒パルム大回転撃!」
ソイヤは葛音を抱きかかえたまま後方へ倒れ込む。
このまま行けば、葛音の後頭部はソイヤと共に地面へ激突。
同時にソイヤが放った毒パルムが葛音へ殺到。大ダメージを受けながら『積極的ラッキースケベ』が全身を襲う事になる。激痛と快楽のワンダーランドへご招待……の予定だったが、それを強引に止める者がいた。
「なんだ? おもしれーのがいるなぁ」
倒れ込むソイヤを片手で止める真矢。
真矢を巫女だと信じ込んでいたソイヤだったが、この動きで一気に警戒を強める。
「お前も巫女ではないな!」
葛音から手を離し、真矢に向かって構えるソイヤ。
「水月が世話んなったなぁ。
巫女だか何だか知らねぇよ。言っている事はよく知らんが、暴れるんだったら止めねぇとな」
葛音の瞬影を止めた段階で、ソイヤは霊闘士としても侮れない相手。
だが、反面異常なまでに思い込みが激しい。そこを付けば真矢であっても……。
「その角、もしかして」
そんな時、ソイヤがふと真矢の角に気づく。
真矢は鬼なのだから角があって当たり前なのだが、ソイヤには珍しいようだ。
「ああん? そうだよ、俺は鬼……」
「牡牛座の黄金霊闘士だな。相手にとって不足なし!」
「なんでそうなる!」
思わず突っ込む真矢だったが、ソイヤの顔はいたって真面目だ。
手を怪しく動かし、己の中にあるマテリアルを高めていく。
「毒パルム座の軌道を手で描く。気を静め、集中する事でマテリアルを爆発させるんだ」
何を言っているのかさっぱり意味不明だが、これがソイヤだから仕方ない。
真矢はソイヤを理解しようとするのは止めて、目の前の敵へと意識を集中させる。
「良く分からないが、来るなら来いよ」
「くっ、構える必要もないって訳か。
なら、俺の最高の必殺技でお前を倒してやる! 毒パルム彗星拳!」
ソイヤは懐から三匹のパルムを取り出すと一気に腰の袋の温泉へつける。
そして早業とばかりに投げつける。
躱そうとする真矢だったが、流星拳よりも彗星拳の方がパルムのスピードが早い。
「ちっ、逃げられねぇか」
「危ない!」
矢を庇うように盾になる葛音。
三匹の毒パルムが一斉に葛音の大事な部分へ群がっていく。
「ちょ! そんなところは触っちゃダメー!
真矢に行くのも嫌だけど……なんで僕までそんな……男、ですよーっ!」
恥ずかしさと理不尽な感情が入り交じりながら叫ぶ葛音。
しかし、真矢にとっては絶好のチャンス。
「ありがよ、水月!
喰らいな! 鬼の蹴りを!」
飛び上がった真矢はソイヤへ練気を発動して蹴りを放つ。
攻撃力を上げた蹴りが空中からソイヤを襲う。
「甘い。毒パルムは伊達じゃない!」
真矢の蹴りを読んでいたソイヤに向かって毒パルム彗星拳を放つ。
着地する頃には三匹の毒パルムが真矢の体を這い回る。
「どうだ、俺の毒パルム彗星拳の味は!」
「ええい、面倒だ! ……哈ーッ!」
自らの筋力を持って上半身を纏っていた服をパージする真矢。
毒パルムの攻撃ではあったが、効果が出るよりも早く筋肉の鎧が真矢を守った。
「俺の毒パルムが!」
「昇れ龍よ、天高く! ……昇竜覇ーーーっ!」
ソイヤの顎に向かって気功波を放つ真矢。
そこまで威力はないはずなのだが、上空へ高々と吹き飛ばされたソイヤ。
完全に真矢を強敵と認識していたからこそ、ここまで派手な吹っ飛び方をしてくれる。
ソイヤは纏っていた装甲も破壊された後、後頭部から地面へ激突した。
「凄いよ、真矢! そんな技が使えたんだ!」
毒パルムを捕縛した葛音。
真矢を激励しつつ、真矢へ近づいていく。
しかし、当の真矢は上着を筋肉で破いてしまい寒さに震えている。
「うー……寒っ。水月ー、上着くれー……」
「…………」
真矢の姿を見た水月は、顔を真っ赤にしながらその場で固まってしまった。
●
ハンターの活躍により無事捕縛されたソイヤ。
真矢、葛音の元へ毒パルムを排除した乃梛が現れる。
「どうやら、捕まえたようですね……」
乃梛は見るからに疲弊している。毒パルムの群れを剥がすのに苦労したのだろう。
ソイヤを捕縛した事で、これ以上の被害拡大は無いはずだ。
そこへ毒パルムを捕縛していたエメラルドがやってくる。
――ソイヤへの怒りを醸造し続けた由有と共に。
「巨乳の苦労、味わいなさい!」
鬱憤を晴らすとばかりに横隔膜へ向かって強烈な一撃を放つ由有。
咳き込み呼吸困難に陥るソイヤ。
しかし、ソイヤはまだ希望の光を瞳に宿す。
「俺には、毒パルムという友がいる……! 自由の鐘にいる味方がいる。愛も友情も涙も全て捨てたお待ち達が勝つ術は最早何もない」
「ふふ、この白金の位にあるこの翠玉座のエメラルドが傷を癒してやろう。存分に罰を受けるがいい」
エメラルドはソイヤが由有の攻撃で負傷してもヒーリングスフィアで直してくれるらしい。これでエメラルドがいる限り延々と殴られ続ける事になる。
「さあ、お楽しみはこれから……よ! あたしの射程内ってどんな気持ち?」
亀裂の如き笑みを浮かべる由有を前に、ソイヤの地獄がこれから始まる。
「なんだこれっ!」
リゼリオの街にカップルの悲鳴が木霊する。
見れば、頭の色が変質したパルム達がカップルに纏わり付いて『積極的ラッキースケベ』を繰り返している。
スカートの潜り込む奴。
女性のバストへダイレクトアタックを仕掛ける奴。
ここでは報告できないとんでもない暴挙に出る奴。
奴ら――毒パルムは、カップルを次々と襲撃。
聖輝節前でラブラブムードだったリゼリオも、毒パルムが原因でお色気コメディ空間へと変貌しつつあった。
そして。
この毒パルムを振りまく元凶こそが……。
「聖なる衣を纏いし、毒パルム座の青銅霊闘士ソイヤ!」
妙な装甲を装着した残念過ぎる霊闘士ソイヤ。
彼こそ、このリゼリオで『富の再分配』を掲げて暴れる反カップル同盟『自由の鐘(ベルリバティ)』のメンバーであった。
「悪行はそこまでよっ!」
十色 乃梛(ka5902)は、 虫取り網を手にソイヤの前へ立ちはだかった。
背負われた籠の中には、気絶した毒パルム達。
被害者を辿る形でソイヤを追跡した乃梛は、ソイヤの暴走を止めるべく単身ソイヤへ挑むつもりだ。
「巫女! 君もさらわれたのか」
「私は巫女じゃないよ。大体、巫女を取り戻す為って言いながら、女性に毒パルムをけしかけるって、どーゆー見解よ!」
ソイヤを人差し指で差しながら、ビシッと正論を突き付ける乃梛。
ソイヤは男性を暗黒霊闘士、女性を巫女と認識している。だが、ソイヤが放つ毒パルム達は男女関係なく襲撃している。巫女を助けると称しながら、しっかり巫女まで『積極的ラッキースケベ』の餌食にしているのだ。
しかし、頭の方が残念なソイヤに正論が通用する訳はないのだ。
「巫女じゃない……そうか、シャイ○さんか! カシ○スは元気か?」
「誰、シャイ○さんって……」
「俺と毒パルムの聖なる衣を奪い合ったカシウスの師匠じゃないか。
……そうか、暗黒霊闘士に操られているんだな」
乃梛が疑問を差し挟む前に自己完結するソイヤ。
どうやら乃梛はソイヤの中で戦闘相手と認識されたようだ。
「やるしかないって訳ね。かかってらっしゃい!」
「いくぞ、シャイ○さん! ペガサ……じゃなかった。毒パルム、流星拳!」
懐から取り出したパルムを腰の袋に叩き込み、毒パルムを精製。
それを乃梛に向かって投げつける。
怪しい目つきとうねうねと動く毒パルムの指先。
見るからに嫌悪感を抱きそうだが、乃梛は一切臆さない。
「ディヴァインウィル!」
乃梛は、ディヴァインウィルを発動。
乃梛の周囲に不可視の境界が発生する。
見えなくなる毒パルム。
次の瞬間、乃梛が手にしている虫取り網に絡め取られる毒パルムの姿があった。
「やるな、シャイ○さん! だが、これでどうだ!
……ブーメラン毒パルム!」
再び毒パルムを放つソイヤ。
しかし、投げた方向は明後日の方向だ。
「なに? 何処へ投げて……」
そう言い掛けた乃梛だが、太股に違和感を感じた。
まるで複数のかたつむりが一斉に太股を這い回るような感覚。
この感覚は、過去の依頼でも味わった事がある。
「あう、なにこれ! 毒パルムは違う方へ投げられたはずなのに!」
「説明しよう。ブーメラン毒パルムとは投げた毒パルムが帰ってくる必殺技なのだ」
自らの技を解説するソイヤ。
その間にも毒パルム流星拳を放って乃梛の体に毒パルムを纏わり付かせる。
(そこ撫でないで! スライムやら触手やらユニコーンやら! どうしてみんなそんなところばっかり触るのよ!)
乃梛は心の中で悲鳴を上げる。
だが、ここで弱音を吐いて破れる訳にはいかない。
倒れれば、被害は拡大するばかりなのだ。
「ま、負けられないんだから」
「さすがはシャイ○さん。だが、その体では立っているのはやっとだろう。
悪いが先に進ませて貰う」
必死に耐える乃梛を満足そうに見つめるソイヤ。
追いかけようとするも、纏わり付く毒パルムの猛攻は止む気配がなかった。
●
「ターゲットは南下中。通過した場所に必ず毒パルムが隠れているはずよ!」
地図を片手に伝波増幅で、仲間に呼び掛ける守原 由有(ka2577)。
今回の依頼においてハンターは部隊を二つに分けていた。
一つは元凶であるソイヤの撃退。
もう一つはソイヤによって撒き散らされている毒パルムの捕獲である。
ソイヤが放った毒パルムは一定時間周辺の男女を襲撃して『積極的ラッキースケベ』を仕掛けまくる。その間に被害が拡大しないように暴走する毒パルムを捕縛しようというのだ。虫取り網を片手に毒パルムを捕獲する由有だが、時間が経過する毎に毒パルムが増えていく事に怒りと恐怖を募らせていた。
「みんなが楽しみにしている聖輝節を、こんな事件で邪魔するなんて。
それも霊と縁深い霊闘士がパルムを……技術悪用とは良い度胸ね!」
捕まえた毒パルムを鉄の檻へ押し込みながら愚痴を呟く由有。
本来であれば由有もあーんな事やこーんな事を楽しみたかったのだが、様々な障害を前に寂しい聖輝節を過ごす事になっていた。それでもリゼリオの人々に気持ちが救われていたのだが……。
その愚痴は徐々に怒りへと変換されていく。
「毒パルムを捕まえたら、ソイヤに一撃お見舞いするつもりだから取っておいてね!」
「安心しろ。神の奇跡によって生まれた翠玉座のエメラルドに任せておけ」
「あははー♪ 面白い事になってるねー♪ でも、お祭りが台無しになるのは困るし何とかしないとなのだ♪」
由有の背後からエメラルド・シルフィユ(ka4678)とネフィリア・レインフォード(ka0444)が姿を現す。
毒パルム捕縛班が集まったという事は、この地点が毒パルムが多く隠れている事を意味している。これも由有が発生状況をチェックしながら仲間へ指示を出し続けた事に起因している。おかげで毒パルムの多数を一箇所へ追い込む事ができたのだ。
「みんな集まった、という事はここが一番潜んでいるって訳ね」
「結構捕縛したんだけどなぁ。 一斉に暴れる前に捕まえないとだね」
「奴らから来たようだな」
由有とネフィリアの言葉へ答えるように呟くエメラルド。
見回せば毒パルムが多数集まってきていた。
その数は、30を超える。
「好都合、かな。向こうから来てくれるなんて」
機杖「ピュアホワイト」を構える由有。
傍らではネフィリアがバンカーナックル「グラビティゼロ」を装着し直す。
「きっと僕らを狙ってくるだろうけど、まずは襲ってくるのを捕まえるのがいいかな? かな?」
ネフィリアは二人に疑問をぶつける。
その様子はどこか楽しげだ。
しかし、ネフィリアの疑問を無視して、毒パルムは一斉に襲いかかってきた。
「謝罪は、あとでするからっ!」
飛び掛かる毒パルムを拳による古武術とピュアホワイトによる鼻捻術で殴り飛ばす由有。
数匹は吹き飛ばされるが、まだすべての毒パルムを止められた訳ではない。
「毒パルムなど私の美しさの前に平伏すしかないわ。身の程を弁えなさい」
エメラルドはディヴァインウィルを発動して視界を遮る。
同時に空中の毒パルムをナックルで叩き落としていく。
瞬く間に二人の活躍で撃破されていく毒パルム。
それでも毒パルムは次々と飛び掛かっていく。
「ふにゃ!? どこから入り込んでいるのだ!?
変な所を触ってないで離れるのだー!」
拳で叩き落としながら毒パルムを縛り上げていたネフィリア。
だが、落としても次から次に襲いかかる毒パルム。
次第に狙いをネフィリアへ集中させてくる。
無理矢理剥がしているものの、とても間に合う量ではない。
「返り血でこの美貌を穢したくはないと力を温存しておいたが……喰らいなさい!」
エメラルドは呼吸を整えると、毒パルム達へ拳の連打を浴びせかける。
「エメラルド・スPラッシュ!!」
何故か技の名前を叫びつつ、一部口籠もるエメラルド。
理由を追及しにくいが、何かしらの秘めたパワーを感じさせる。
しかしそのパワーもあってか、拳の猛攻は毒パルムへ気絶させるには十分だった。周囲を見回せば毒パルム達は地面へ墜落していた。
「OK、あとは檻に入れてバイクを走らせて乾かせば大丈夫でしょ」
「あややや!? 服が! いつの間になのだ!?」
毒パルムを引き剥がす際に、自分の服も破いていたネフィリア。
慌てて露わになる部分を腕で隠す。
「後は青銅の奴か……軽く捻ってやるとしよう」
一気に毒パルムを捕縛した二人は、早々に乾燥作業へと入る。
早く終えて仲間と合流しなければ――。
●
「イチャイチャしないと恋人同士に見えないですよ」
「そうか?」
葛音 水月(ka1895)と黒沙樹 真矢(ka5714)の二人は、リゼリオの街を歩いていた。
事前の情報ではソイヤはカップルを襲撃するという。
ならば、カップルの二人が街を歩けばソイヤが勝手に現れるはずだ。
「巫女、ここに居たのか」
案の定、餌に食いついたソイヤ。
葛音としては狙い通りだ。
「ふふ、暗黒霊闘士の葛音とは僕の事。取り戻すだなんてとんでもない、この巫女は……僕だけの巫女だ!」
軽く恥ずかしいセリフを口にした葛音。
ソイヤが手を伸ばした瞬間を見計らって、瞬影によるカウンターを放った。
葛音の手に残る感触。確実にソイヤを貫いたはずだ。
だが――。
「暗黒霊闘士め。巫女に化けるとは卑劣な!」
見れば、葛音の拳はソイヤの手の中にあった毒パルムの顔面を捉えていた。
毒パルムを盾に使って攻撃を防いだようだ。
「馬鹿な、毒パルムを!?」
「今度はこちらの番だ」
一瞬の隙を突いて葛音の背後に回り混むソイヤ。
脇へ腕を入れて身動きを封じる。
「しまった!」
「俺の最高の技で葬ってやる。毒パルム大回転撃!」
ソイヤは葛音を抱きかかえたまま後方へ倒れ込む。
このまま行けば、葛音の後頭部はソイヤと共に地面へ激突。
同時にソイヤが放った毒パルムが葛音へ殺到。大ダメージを受けながら『積極的ラッキースケベ』が全身を襲う事になる。激痛と快楽のワンダーランドへご招待……の予定だったが、それを強引に止める者がいた。
「なんだ? おもしれーのがいるなぁ」
倒れ込むソイヤを片手で止める真矢。
真矢を巫女だと信じ込んでいたソイヤだったが、この動きで一気に警戒を強める。
「お前も巫女ではないな!」
葛音から手を離し、真矢に向かって構えるソイヤ。
「水月が世話んなったなぁ。
巫女だか何だか知らねぇよ。言っている事はよく知らんが、暴れるんだったら止めねぇとな」
葛音の瞬影を止めた段階で、ソイヤは霊闘士としても侮れない相手。
だが、反面異常なまでに思い込みが激しい。そこを付けば真矢であっても……。
「その角、もしかして」
そんな時、ソイヤがふと真矢の角に気づく。
真矢は鬼なのだから角があって当たり前なのだが、ソイヤには珍しいようだ。
「ああん? そうだよ、俺は鬼……」
「牡牛座の黄金霊闘士だな。相手にとって不足なし!」
「なんでそうなる!」
思わず突っ込む真矢だったが、ソイヤの顔はいたって真面目だ。
手を怪しく動かし、己の中にあるマテリアルを高めていく。
「毒パルム座の軌道を手で描く。気を静め、集中する事でマテリアルを爆発させるんだ」
何を言っているのかさっぱり意味不明だが、これがソイヤだから仕方ない。
真矢はソイヤを理解しようとするのは止めて、目の前の敵へと意識を集中させる。
「良く分からないが、来るなら来いよ」
「くっ、構える必要もないって訳か。
なら、俺の最高の必殺技でお前を倒してやる! 毒パルム彗星拳!」
ソイヤは懐から三匹のパルムを取り出すと一気に腰の袋の温泉へつける。
そして早業とばかりに投げつける。
躱そうとする真矢だったが、流星拳よりも彗星拳の方がパルムのスピードが早い。
「ちっ、逃げられねぇか」
「危ない!」
矢を庇うように盾になる葛音。
三匹の毒パルムが一斉に葛音の大事な部分へ群がっていく。
「ちょ! そんなところは触っちゃダメー!
真矢に行くのも嫌だけど……なんで僕までそんな……男、ですよーっ!」
恥ずかしさと理不尽な感情が入り交じりながら叫ぶ葛音。
しかし、真矢にとっては絶好のチャンス。
「ありがよ、水月!
喰らいな! 鬼の蹴りを!」
飛び上がった真矢はソイヤへ練気を発動して蹴りを放つ。
攻撃力を上げた蹴りが空中からソイヤを襲う。
「甘い。毒パルムは伊達じゃない!」
真矢の蹴りを読んでいたソイヤに向かって毒パルム彗星拳を放つ。
着地する頃には三匹の毒パルムが真矢の体を這い回る。
「どうだ、俺の毒パルム彗星拳の味は!」
「ええい、面倒だ! ……哈ーッ!」
自らの筋力を持って上半身を纏っていた服をパージする真矢。
毒パルムの攻撃ではあったが、効果が出るよりも早く筋肉の鎧が真矢を守った。
「俺の毒パルムが!」
「昇れ龍よ、天高く! ……昇竜覇ーーーっ!」
ソイヤの顎に向かって気功波を放つ真矢。
そこまで威力はないはずなのだが、上空へ高々と吹き飛ばされたソイヤ。
完全に真矢を強敵と認識していたからこそ、ここまで派手な吹っ飛び方をしてくれる。
ソイヤは纏っていた装甲も破壊された後、後頭部から地面へ激突した。
「凄いよ、真矢! そんな技が使えたんだ!」
毒パルムを捕縛した葛音。
真矢を激励しつつ、真矢へ近づいていく。
しかし、当の真矢は上着を筋肉で破いてしまい寒さに震えている。
「うー……寒っ。水月ー、上着くれー……」
「…………」
真矢の姿を見た水月は、顔を真っ赤にしながらその場で固まってしまった。
●
ハンターの活躍により無事捕縛されたソイヤ。
真矢、葛音の元へ毒パルムを排除した乃梛が現れる。
「どうやら、捕まえたようですね……」
乃梛は見るからに疲弊している。毒パルムの群れを剥がすのに苦労したのだろう。
ソイヤを捕縛した事で、これ以上の被害拡大は無いはずだ。
そこへ毒パルムを捕縛していたエメラルドがやってくる。
――ソイヤへの怒りを醸造し続けた由有と共に。
「巨乳の苦労、味わいなさい!」
鬱憤を晴らすとばかりに横隔膜へ向かって強烈な一撃を放つ由有。
咳き込み呼吸困難に陥るソイヤ。
しかし、ソイヤはまだ希望の光を瞳に宿す。
「俺には、毒パルムという友がいる……! 自由の鐘にいる味方がいる。愛も友情も涙も全て捨てたお待ち達が勝つ術は最早何もない」
「ふふ、この白金の位にあるこの翠玉座のエメラルドが傷を癒してやろう。存分に罰を受けるがいい」
エメラルドはソイヤが由有の攻撃で負傷してもヒーリングスフィアで直してくれるらしい。これでエメラルドがいる限り延々と殴られ続ける事になる。
「さあ、お楽しみはこれから……よ! あたしの射程内ってどんな気持ち?」
亀裂の如き笑みを浮かべる由有を前に、ソイヤの地獄がこれから始まる。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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捕縛作戦相談室 守原 由有(ka2577) 人間(リアルブルー)|22才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/12/11 23:03:22 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/12/07 14:39:49 |