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【CF】大切な人への贈り物を

マスター:四月朔日さくら

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/12/12 19:00
完成日
2016/12/18 07:34

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 モノトーン教会の伝説――
 リゼリオに住む恋人達が、一度は耳にし、憧れる伝説だ。
 鐘の中から見つかった指輪。ふたりの永遠を、刻む証。

 そんなわけで、この季節のリゼリオは、当然ながら装飾品のなかでも指輪が特に売れるシーズンでもある。
 女性ならそんなロマンチックな伝説に浸ってみたいとおもうし、男性も男性で、そんな意中の女性に、同様の愛情を贈りたいと指輪をこぞって恋人への贈り物として選ぶ。
 賑やかなそんな街の中、しかしその伝説にあやかりたくてもなかなかあやかれない人も多い。
 恋人のいないもの、という意味ではなく、彼ら自身の事情――経済的なものだったり、家族からの反対を受けていたり――で、そう言う贈り物とは縁遠い、と思うカップルもいるのだ。


「……それで、ですね」
 ハンターオフィスにやってきていたのは、アクセサリパーツを販売している店の女性オーナーだった。
 パーツ、といってもシンプルなビーズから、少し手の込んだワイヤーアクセサリ、さらにはかんたんにビーズをはめ込むだけで指輪になるようなものも存在する。彼女の店では主にビーズ関係を取り扱っているとのことだった。
「ハンターの皆さんにはまだ耳慣れないであろう、モノトーンの鐘の伝説……これの気分を味わって欲しくて、ハンドメイド教室を開こうと思ったんです。もちろん、題材は指輪で」
 一番簡単な、ビーズにテグスを通すだけのものはもちろん、簡単な知識や技術があればワイヤー加工のアクセサリも十分に作れるのだという。とはいえ、慣れない人にはビーズの指輪を推奨しているのはもちろんだが。
「ハンターさん限定の会も開こうと思いまして。聖輝節の気分をもっと味わうなら、こういう機会もいいのでは、と思ったんです」
 なるほど、言いたいことはわかる。
「カップルでの参加も、お一人で参加して後々意中の人にあげるという形でも、勿論かまいません。せっかくの素敵な機会に、如何かと思いまして」
 女店主は、嬉しそうに笑った。
 彼女自身、実は聖輝節に手作りの指輪を贈られて、当時恋人だった人と結婚を決意したのだとか。その気持ちを分かち合いたいのだろう。その気持ちを、ハンターたちにも味わって欲しい、と言うことなのだ、と彼女は小さく微笑んだ。

リプレイ本文


 モノトーンの鐘伝承にちなんだ指輪作成会――一種のワークショップだが、様々な思いを持った面々が集い、無事定員満了と相成った。
「でも、この世界でも……指輪は大切な縁を繋ぐのね。なんだか不思議」
 ケイ・R・シュトルツェ(ka0242)はそんなことを思いながら、材料となるものがのせられている作業台を見つめる。ビーズ、ワイヤー、テグス……材質や大きさ、色も様々なそれらが、可愛らしくレイアウトされていて、見ているだけでも楽しい。
 と、そこで見覚えのある顔に出逢い、思わずケイは笑みを零す。ユキヤ・S・ディールス(ka0382)、どことなく運命のようなものを感じさせる笑顔の優しい青年。
「あら、ユキヤじゃない!」
「……ケイさん?」
 ユキヤのほうも驚いたようで、目をぱちくり。
「ケイさんも、あの伝説、気になられたのですか?」
 尋ねると、ケイはそっと目を細める。
「そう……ね、あたし達の世界と同じような指輪の使い方に興味があって。それにしても、これもまた……貴方との不思議な縁の一環、かしら」
 楽しそうに笑うケイに、思わずつられて微笑むユキヤ。
(贈る宛は特に決めてなかったけれど……いつも素敵なケイさんに、あげたいな)
 そう、胸にしまい込みながら。

 羊谷 めい(ka0669)と、ノノトト(ka0553)は、友人同士での参加だ。と言ってもノノトトは男で、めいは女なのだが。
 今回はどちらかというとめいがノノトトを誘った、という感じだ。
「あ、そうだ! あの、普通に呼ぶんじゃなくて、あだ名……で呼んでもいいでしょうか? ノノ……さん、ううん、ノノ、くん、って呼んでもいいですか?」
 こういうとき、だいたい女の子のほうが一足ませているのはお約束。言われたノノトトは瞬きをしてから、
「あ……うん、いいよ、故郷ではそう呼ばれてたし」
 そう返しつつも、胸のなかではぐるぐる。
(あだ名を付け返した方が喜んでくれるかな、でも女の子に勝手ににあだ名つけてもいいのかな……でもぼくだけ『羊谷ちゃん』だとよそよそしいし……)
 しばらく考えたのち、わずかに笑みが浮かぶ。
「そう言えば、ノノくん怪我をしてるのですか……? 大丈夫でしょうか?」
 めいが首を爨げてみせると、ノノトトは僅かに顔を赤らめた。
「あ、うん、精神的にちょっと……」
 そう言いながらも、折角誘ってくれためいに心配をかけないように、とは思う。笑顔で大丈夫だとアピールして見せた。

「どうもはじめまして、こんにちは!」
 そう朗らかに挨拶をするのは、鉱石大好き少女のノワ(ka3572)。友人の雪都(ka6604)とともに今回の体験会に参加するのだという。
「昔リアルブルーにいる頃に、妹が文化祭に出品するとかで一晩で百個近くのビーズアクセサリー製作を手伝わされてさ。なんか、そんなのも懐かしいな」
 眼鏡の奥の目を僅かに細め、そんなことを言う雪都。指輪の伝承には縁がないと思っていたが、妹のビーズアクセ作りを思い出して懐かしくなり、参加に至った、という感じだ。
「指輪の伝説、素敵ですよね。恋とか愛とかは特にわからないんですけど、作った指輪をあげたい子はいるんです……先日私の所に来てくれたとっても大きなわんこです! 一緒に戦ってくれたりも出来るんですよ! 皆さんは作りたい人とか、いるんですか?」
 ノワのほうは、やる気満々といった様子。出来のほうが今ひとつになっても、楽しければいいと思っているようだ。
「指輪作り、お祭りだものね。……そうね、私が『私』のままいられるよう約束してくれた人に作るかな」
 ぼんやりと呟くのは玉兎 小夜(ka6009)。店主をそっと呼んで、耳打ちする。
「これって、埋めたりしたらダメなヤツ?」
 彼女を彼女たらしめた人物は、既にこの世に亡い。それでも、忘れないと誓ったその人の為に作りたいと思ったのだ。
「そうですね……それが望みであるなら、見守ってくれているその人にあげるのもよろしいのではないでしょうか」
 そう、小声で返してやる。その言葉に、小夜はぺこりと頭を下げた。
 そしてもう一人、店主に相談する人が。時音 ざくろ(ka1250)である。
「あのー、すみません……ざくろ、贈りたい人が複数いるんだけど、その人数分作ることで来ますか? 時間とかが厳しければ作り方と材料で、家でもいいし……」
「まあまあ。恋多き男の子、なんですね? ちなみに数はどのくらい?」
 女店主は思わず笑みを浮かべる。じっさいのところ、友人用に複数作る人も時にはいると言うことで、数を確認すると、ざくろは照れながら「九つ」と返した。逆にそれだけ好かれているのは悪いことではないだろうから、主人はくすりと笑って大丈夫、と伝えた。

「それにしてもすっごく素敵ですわね、私もいつかはお兄様と……いやん♪」
 そう言ってきゃっと頬を染め、勝手に恥ずかしがっているのはステラ・フォーク(ka0808)。なお、この『お兄様』は実兄のことである。言ってみればブラコンだ。
(オーナーさんのように贈られる方がいいかしら? ……はっ、私が贈るのはどうかしら!?)
 だいぶ雰囲気に酔っている様子だが、わからなくはない。大切な人にあげたいというのは自然なことだから。
 そして、僅かに緊張気味なのはミノル・ユスティース(ka5633)だ。以前から世話になっている要塞都市の軍属医・ゲルタに伝承を教えるとともに贈ることができればと参加した、そんな口である。喜んでもらいたいと思うからこそ、緊張が否応なしに増していく。

 そんな参加者達に、簡単な工具の使い方やテグスの結び方など、最低限の必要事項を教え、あとはイメージなどからアドバイスをする、という形になるだろう。
 さあ、指輪作りの本格スタートだ。


 指輪を作ると言っても、ビーズを通してゴムで止めるだけのシンプルなものから、ワイヤーコードで細工物のように丁寧に作り上げるタイプのものまで、数は多い。
 今回はほぼ全員が初心者と言うこともあって、判らないことは丁寧に教えていく形である。
 使う素材も、初心者に扱いやすい、柔らかい銀のワイヤーがメイン。リアルブルーのハンドクラフトにありがちな、ステンレスワイヤーも無論準備はされているけれど、折角のプレゼントになるようなものなら、素材からしっかり選びたいというものだ。
「折角なら、モノトーンの鐘伝説に因んで、波と鐘をモチーフにしてみたいですわ……可能かしら?」
 ステラがイメージを口頭で説明する。三本のワイヤーを束ねて指輪の形にし、波の表現はワイヤーで、可能であれば鐘の飾りをつけた、そんな形。ラフイメージも紙に書いて添えると、これくらいならば、という返答。
「皆さんも、わかりにくいところがあればお手伝いしますからね」
 店主の他にも、細工物になれないだろう面々の為に、数人のヘルパーがついてくれるらしい。ハンドクラフトが得意な、この店の常連だそうで、ハンターたちに折角ならこれまでの話を聞いてみたい、と言う気持ちも含まれてのお手伝いなのだそうだ。
 じっさい、ここのところ物騒な話も続いている。聖輝節で賑々しいムードであると同時に、どこかピリピリした空気も、このクリムゾンウェストでは漂っているのだ。
 そんな気持ちを払拭したい気持ちは誰にでもある。この指輪作りで、気持ちを少しでも明るいものにできるのならば、きっとそれは良いことなのだから。

 めいは、ノノトトと一緒に考え込んでいる。精神ダメージが大きいとは言え重症状態のノノトトの為に辛いときは手をかすとと微笑むめいに、ノノトトも照れくさそうに礼を言った。そして同時に、こうも言う。
「でもね、きみが笑ってくれたり、一緒にいてくれるだけでなんだか気が楽になるんだ。心配させておいてなんだけど材料、見ようか?」
 肝心の指輪は、と言えば、折角なら揃いのものをつくって交換するつもりなのだそうで、初々しさのちらちら見えるそんな言動に、周囲もどこか微笑ましく見つめている。
「うーん、ワイヤーも素敵ですけれど、ビーズが良いでしょうか? ノノくんはどうでしょう? ワイヤーで作りますか?」
 尋ねられたノノトトは、なにかを考えていたようだが、
「それなら折角なら……両方を使おうよ。指輪はワイヤーを曲げて作るけど、曲げて盛り上がっちゃう部分があるでしょ、そこに金属っぽいビーズをつけちゃって、つなぎ目を見えなくしちゃうんだ」
「なるほど、それは名案です!」
 めいも、目をきらきらと輝かせて賛成する。
「ありがと……めいちゃん」
 いつもずっと名字で呼んでいためいのことを、名前でそっと呼ぶ、ノノトト。あだ名で呼んでくれた彼女に、おなじように親しみを込めて呼びたいと思ったのだ。めいも一瞬驚いていたが、すぐにはにかむような笑顔を浮かべて、こっくりと頷いた。
「それなら、輪っかだけでも寂しいですから……そうだ、この赤いリボンをつけましょう? お花も添えたら綺麗じゃないでしょうか?」
 白いカーネーションを指さして、めいは微笑む。
 指輪は小指につける、いわゆるピンキーリングだ。それぞれがお互いのサイズを測り、作りあう姿は、誰の目から見ても微笑ましい、初々しい二人だった。
 それにしても、ピンキーリングに赤いリボンとは、なかなかに意味深だ。運命の相手とは、小指に赤い糸が結ばれているという言い伝えがあるが、それはどの世界でも共通なのだろうか?

「ユキヤは、誰にあてて作るの?」
 ケイが興味深そうに問うけれど、そこはしっかりないしょですよ、と意味ありげに微笑んでみせる。
(差し上げたときにどんな顔をしてくれるのかな……)
 そう考えると、口元からつい、笑みがこぼれた。
 こちらも使うのは銀のワイヤー。ケイが肌身離さずつけているネックレスの花をモチーフに、そしてネックレスと同じ赤いビーズをひとつ添えて。
 ユキヤの思うケイのイメージは、瞳と同じ碧。黒や薔薇、と言ったものも想起させるが、それよりも瞳のほうがやはり印象的で、でもつけているネックレスが心に染みいるような感覚でもある。
 赤と緑は色相で言うと対に近い位置にあり、それぞれの色を引き立てる要素もあるような色合いだ。だからこそ、彼女に映えるだろう赤を差し色にする。
 ――一方のケイも、ユキヤへの指輪をこっそり作っていた。ユキヤとの出逢いというのも、偶然が重なればそれは必然と言えるのかも知れない、そんな素敵な縁があるなら、大切にしたい――それはある意味自然な気持ちなのだろう。笑顔を浮かべながら、ケイはユキヤという存在から受けるインスピレーションのまま、空の色をメインにしたリングにする。
ピングゴールドのワイヤーを三連にして、真ん中には蒼いビーズのグラデーション。色合いは、空――夜空から、透き通るような青空、そんなものを意識した蒼のビーズの並びが、よりいっそう美しさを呼ぶ。
(いつか出逢う誰かの為よりも、この縁を大事にしたいものね)
 ケイも、いつもより楽しそうに微笑んでいる。

 リア充レベルカンスト――という称号を背負ったざくろだが、まあ九つも指輪を作るなんて、たしかにちょっとしたハーレム漫画の主人公並みのリア充っぷりなのは間違いない。
 そのざくろは、ビーズで花などのモチーフを作り、それに自分で採取してきた天然石を組み込もう、と考えているらしい。
 ハンターとしても腕の立つざくろはそれなりに手先も器用で、一度コツを掴んでしまえば一つ目は結構かんたんに作ることができた。むしろモチーフを考える方が厄介なくらいだ。
 それでも、あげる相手の顔を思い浮かべながら、ざくろは器用にモチーフを作り上げていく。
 百合の花、戦鎚と林檎、ソメイヨシノ、羅針盤、八重の桜、白い雛菊、蔦と七色の薔薇、狼……
 仲の良い少女達それぞれをイメージしながら、ざくろが彼女たちに相応しいと思ったモチーフを、丁寧に作り上げていく。
 そして、最後のひとつは――
(……今はもう傍にいないきみに、いつか再び渡せる日が来ますように)
 そんな祈りを込めた、仔猫のモチーフ。
 モノトーンの鐘伝説は永遠の愛を謳ったもの。
 とはいえ、そんな存在が誰にもあるというわけではなく、だからこそ、祈りを込めて皆が指輪を贈りあう。
 ざくろもそんな気持ちを込めて、一つ一つ作っているのだ。

「でもどんな指輪を作ろうかなぁ……」
 そう考えながら深い藍色を思い浮かべているのは、ノワ。あげたい相手――人間なのかも定かではないが――には、インディゴライトブルートルマリンのような深い藍色が似合うと思う、というのがノワの弁である。まるで呪文めいた言葉だけれど、インディゴライトブルートルマリンというのはトルマリンの一種にあたる宝石であり、文字通り藍色のその石は心を落ち着かせてくれる効果もあるのだとか。
 もっとも、ここにはそこまでこうかなビーズは存在しないから、それを想起させる色合いの、蒼いビーズを繋げていく。
「雪都さん、お上手ですねー」
 そう言われた雪都は、たしかに手元のビーズアクセサリを見やる。色彩センスやデザインはたしかにややいまいちではあるが、慣れた手つきでビーズを組み合わせていっている。イメージはどうやら黄色と緑でクローバーを意識しているらしいが、歪だったりするのはご愛敬というものだろう。
「ノワ、これちょっと手直しするとしたらどこかな……?」
 美的センスに優れたノワに尋ねると、そうですねぇといくつかのグラスビーズをチョイスしてそれを雪都の前に置いてやる。
「そのデザインなら、こちらのビーズのほうがきっと映えると思いますよ?」
 なるほど、たしかに渡されたビーズは光の入り具合で絶妙に色味の変わるもので、きらきらと輝いているそれを見ているだけでも、男の雪都でもどこかわくわくするような気がする。
 もともとこの指輪は、なにかと世話になっているノワにあててのもの――のつもりだ。本人にはそんなことを伝えていないが、こういう形で礼が出来るのなら、いいのだろうと思う。

「ハンドメイドの指輪ってもいろいろあるんだねぇ……」
 小夜は材料を一通り眺めて嘆息をつく。その中で手に取ったのは、最低限のワイヤーと、細工に必要な道具。
 銀のワイヤーを選んだのは、『あの人』の白い髪や銀の瞳を想起させるものだから。それを丁寧に磨いててかりをだし、満足のいく程度に光るようになってから、ペンチで丁寧に曲げていく。最初は指が通るくらいの正五角形、そのすぐ下に少し角度をずらした正五角形を……という形で、正五角形を重ねて、密着させた、どこか角のある指輪の完成である。
 小夜のセンスがでた、角があるのにどこか柔らかく美しい指輪。
(これを、あとで……)
 そう考えながら、小夜はそれをそっとしまい込んだ。

 ミノルは考えていた。折角縁のできたゲルタに贈るのだから、デザインから凝りたいなぁ、と。リアルブルーに興味を持っていたのは知っているので、それをいかせればいいかもしれない。あと、仕事などに差し障りのないシンプルな形状。指輪のサイズを聞いたわけでもないし、そのへんは伸縮性を少しもたせたらいいかな、などとも考えて。
 ビーズで、手の内がわを伸縮性のある編み込みにして、公の方を少し幅広にする。リアルブルーの医療関係者を示す赤十字と、リング沿いにアクセントで模様を入れる。ベース部分はいぶし銀風のビーズを使うことで、落ち着いた色合いに仕上げる。
 ……この贈り物を見たときのゲルタの驚く顔を、ぼんやりと想像して。その方が、自分も笑顔になれるから。


 やがて講習会も終わり、ハンターたちはそれぞれが作った指輪を大切に包みに入れる。
 ノノトトとめいは約束通りに指輪を交換し――めいが添えた造花の白いカーネーションは、純粋な愛という花言葉があるが――初々しいカップルであるように微笑みあう。
 奇妙な縁で結ばれたケイとユキヤは、
「考えること、一緒でしたね」
 こっそり作っていた指輪をやはり交換して。ケイのネックレスが、ずっと昔からのものだと教えてもらったり。
「また不思議な心の共鳴がひとつ。魂がシンクロしているみたい」
 さっそく指輪をはめて笑みを見せるケイに、ユキヤも微笑み返す。
 ざくろはそれぞれの贈り相手を間違えぬように包みを丁寧にわけ、雪都はいつものお礼にとノワに指輪を差し出す。驚きはされたが喜んでもらえたのが何よりだ。
 ミノルは指輪を辺境に住むゲルタへと送り届ける準備をし、ステラはいつか結婚するときには今回のデザインを参考にしてもう一度作ってみようかな、などと考える。そして――
 皆が帰ったころを見計らい、小夜は一人、墓地へ向かう。
 指輪にそっと唇を寄せ、それを墓に眠る大切な人に、贈る。
「……ちょっとはやいけど、プレゼント。――ぜったいに、忘れないから、ね」
 そう、言葉を残して。


 愛しい人へ贈るものは、どれもこれも大切なモノ。
 その指を飾るものなら、なおのこと。
 ――伝説のように、永遠の愛をつかめるように、祈りながら。

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重体一覧

参加者一覧

  • 夢を魅せる歌姫
    ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
    人間(蒼)|21才|女性|猟撃士
  • 遙けき蒼空に心乗せて
    ユキヤ・S・ディールス(ka0382
    人間(蒼)|16才|男性|聖導士

  • ノノトト(ka0553
    ドワーフ|10才|男性|霊闘士
  • Sanctuary
    羊谷 めい(ka0669
    人間(蒼)|15才|女性|聖導士
  • 冷静射手
    ステラ・フォーク(ka0808
    人間(蒼)|12才|女性|霊闘士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ドキドキ実験わんこ
    ノワ(ka3572
    人間(紅)|16才|女性|霊闘士
  • ゲルタの彼氏?
    ミノル・ユスティース(ka5633
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • チューダの弟子
    雪都(ka6604
    人間(蒼)|19才|男性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/10 10:12:41