【王臨】【魔装】ある日の時の事

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
イベント
難易度
不明
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
1~50人
サポート
0~0人
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2016/12/26 07:30
完成日
2017/01/05 18:50

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出? もっと見る

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オープニング

●ソルラ・クート(kz0096)の場合
 アルテミス艦隊の指令でもあるソルラは、刻令術式外輪船フライングシスティーナ号と共に、港町ガンナ・エントラータへと寄港した。
「王国西部での歪虚勢力の動きは気になるけど、とりあえずは、一段落したわね」
 グーと腕を伸ばし、ソルラは後輩である『軍師騎士』ノセヤに声を掛けた。
 彼は真面目な表情で頷く。
「そうですね。ただ、今回の出撃で、船にも多くの課題が見つかりましたので、早急に取り掛かりますね」
「相変わらず、休むって事をしないのね」
 感心したような呆れたような視線を後輩に向けるソルラ。
「動力である刻令術の管理は、僕の責任なので」
 本当を言うと、家に帰ってもする事がないからなのだが、それをわざわざ伝える必要はない。
「私は実家に居るので、何かあったら連絡してね」
 ソルラの母方の実家は港町で商会を営んでいる。
 刻令術式外輪船の試験運用も行っており、アルテミス小隊の後援でもある。
「畏まりました」
 丁寧に頭を下げたノセヤに軽く手を振りながら、ソルラは歩き出した。
 港町は活気に満ちている。時期が時期というのもある。
「……そういえば、珈琲、飲みに行けていないな……」
 そんな事を呟くと、立ち止まった。
 最近は母方の実家に寄る事は多い。たまには父の顔でも見に帰るのも良いかもしれない。
「お見合い話とかありそうなのが嫌なんだけど……」

●ネル・ベル(kz0082)の場合
 王国北西部のある山林の中。歪虚ネル・ベルの姿があった。
「亜人共か」
 歪虚の姿を確認して、慌てて逃げ去るゴブリンにネル・ベルが冷たく言い放つ。
 どこにでも居るのは分かっている。だが、わざわざ、彼がここに出向いたのは理由があった。
「勢力域に動きがあるが……茨の力という訳ではないな」
 王国北部での亜人による騒乱にネル・ベルも僅かではあるものの関わった。
 茨の力を警戒して探りを入れに来たのだが、不安要素にはなり得ない事が分かった。
 そうなると、亜人の勢力域に動きがある理由は何故か。単なる群れの移動なのか……。
「大峡谷から追い出された形か」
 ニヤリと口元を緩める。
 王国と帝国を隔てる大峡谷で、大掛かりな動きがあった。
 大峡谷での大規模な動きは、ある意味、必然的に、その一帯を勢力としていた亜人を刺激した。
 故に、いくつかの群れが移動をする事はなんら、不思議ではない。
「これは、亜人共も使えそうだな」
 そんな事を呟くと、ネル・ベルは森の中へと深く踏み入っていった。

●立花院 紫草(kz0126)の場合
 憤怒本陣攻略から、それなりの日数が経過した。
 勝利の知らせに、文字通り、お祭り騒ぎになっていた天ノ都も、今や復興や年越しに向けて慌ただしくなっている。
「タチバナさん!」
 ある麺屋に現われた侍の姿に女将が思わず叫ぶ。
 侍として戦場へと行ったまま、帰って来なかったからだ。
「もう! 今まで、どこに行ってたのですか!」
「なかなか、忙しかったもので」
 微笑を浮かべ、よろよろと席へと座る。
 常連の男がニヤニヤした顔で、タチバナを出迎える。
「女将が毎日毎日心配して、そりゃ、もう、煩い位に」
「こらぁ!」
 女将の一喝に両肩を竦める常連。
 その様子にタチバナは軽く頭を下げた。
「それは、忝ない」
「良いんですよ。こうして、無事に帰って来たのですから」
 ホッとした様子の女将だったが、すぐにお茶の用意を思い出し、厨房へと戻る。
 常連がそれを眺めながらタチバナに言った。
「で、旦那。仕官できましたか?」
「……それが、さっぱりで」
「えぇー! 旦那、何やってるんですか」
 タチバナは思わず後頭部を掻いた。
「どちらかというと、後ろの方に居たので」
 実際は後ろというか最前線に居たのだが……。
 正体を隠している故、その様に、言うしかない。
「まったく、旦那はー。“若いの”が、代官に任命される時代だっつーのに」
 常連のその言葉に、タチバナはその“若いの”の姿を思い浮かべた。

●正秋の場合
 十鳥城は将軍直轄とし、代官を置く事となった。
 その代官の一人、正秋は、親友である瞬と共に、十鳥城へと帰って来た。
「城下町の復興、街道の整備、残党歪虚の討伐……いずれも早急に解決していかなければ」
 正秋の言葉通り、しばらくは多忙な日々になるだろう。
「マジかよ……」
 そんな言葉を呟いたのは瞬だった。
 ホープからリゼリオ経由で天ノ都に戻り、そこから、十鳥城へと徒歩だ。
 疲労しない訳がないし、到着するなり、正秋のその台詞である。
「人手も資材も資金も不足しているし、せめて、住民には、少しはまともに年を越せるようにしたい」
「それも……そうだな」
 正秋を手伝う事を約束したのだ。今更、引き下がる訳にはいかない。
 急務となるのは、安全確保と最低限の寝床。
「こんな時、ハンターが居れば……」
「雇う金はないだろうに」
「……資金を調達できる目処があれば」
 しかし、考えても考えても答えはでない。
 それこそ、ハンターからアドバイスが欲しい所である。
「まぁ、ほら、あれだ。考えても仕方ねぇよ。なるようになるさ」
 瞬が励ますように言う。
 結局は、出来る事を今、行うしかない。立ち止まっている訳にはいかないのだから。
 頷きながら、正秋は十鳥城の門をくぐるのだった。

―――――――――――――――
●解説
●目的
ある日を過ごす事

●内容
当シナリオは、ほぼ、フリーアタックとなっています
参加者は、おおよそ、以下の内容を選択できる事とします
(報酬の有無は個々に変わります)
・NPCと絡む
・何かしらの情報を探す行動を行う
・依頼を受ける
 (亜人や雑魔数匹程度の単純な討伐)
 (配達や探索、調査など戦闘以外の簡単な依頼)
 (プレイングでの指定がない限り、内容に関してはMSの裁量になります)
・何気ない日常を過ごす
 (自宅や自室、あるいは、街中など)
・完全にMSに任せる

●活動可能場所(目安)
王都イルダーナ(第3街区より奥へは入れない)
古都アークエルス(図書館も利用可能だが、奥には入れない)
港街ガンナ・エントラータ
崖上都市ピースホライズン
冒険都市リゼリオ
開拓地ホープ
東方一帯(天ノ都、十鳥城、長江)
上記以外の場所でも、当方のリプレイで登場した場所でも行ける場合があります
念のため、質問卓で確認をよろしくお願いします
(確認なしでのプレイング提出は、描写できる保証はありません)

●重要
アドリブも強めになっています

今回のシナリオはフリーアタック要素が極めて強い状態になっています
質問卓を設置しますので、疑問などあれば、確認をお願いします
プレイング内容が判定上不可となると、アドリブ対応とさせていただきます

●NPC
ネル・ベル(kz0082)
ソルラ・クート(kz0096)
立花院 紫草(kz0126)
紡伎 希(kz0174)
鳴月 牡丹(kz0180)
NPCの詳細はページを参照の事

リプレイ本文

●女子会(武闘)
「良い動きだね」
 鳴月 牡丹(kz0180)が感心しながらクリスティン・ガフ(ka1090)に言った。
 近距離戦主体の牡丹に対し、間合いの刀とワイヤーの二刀流で寄せ付けない。懐に入り込まれたら守りの構えで応戦。
 戦い自体はクリスティンの優勢で経過していた。
「けど、ちょっと女子力が足らないかな」
「そこは課題としておく」
 刀先でワイヤーを器用に操り、牡丹を絡めた。その状態のまま一気に距離を詰めてくる牡丹に対し、クリスティンは冷静にワイヤーを手放すと、豊満な胸の谷間から柄を取り出した。
 リアルブルー製の覚醒者用の剣だ。手に装備すれば、マテリアル状の刀身が姿を現す。
 迎撃する為に突き出した刀身が、牡丹の拳を捉えたと思った次の瞬間だった。
「竜巻返し、かっ!」
 マテリアルの流れが竜巻を連想させる中、転倒するクリスティン。
 素早く立ち上がる為に愛刀を手放したが、ここまで来たら必要ない。
 文字通りの打ち合いとなったが、最後はクリスティンが競り勝った。
「素晴らしい剣だったよ」
「良い戦いをさせてもらった」
 負けて残念そうな表情を浮かべながら言った牡丹に、クリスティンは素直な感想を告げた。

 次に模擬戦へと挑むのは、Uisca Amhran(ka0754)だった。チラリと紡伎 希(kz0174)を振り返る。
(前回はノゾミちゃんに力試しをしましたが、私自身の力も見極めないと、ですね)
 希に戦いを観せようというのだ。
「さぁ、行くよ!」
「はいっ!」
 拳を力強く握る牡丹に対し、美しい金髪を風で揺らしながら、Uiscaは杖と盾を構えた。
 牡丹は積極的に打ち込みにいくが、Uiscaは盾と魔法による防御をメインにする戦いを見せた。
「しぶといね!」
「前回の教訓です」
 その時、Uiscaの杖が隙だらけの軌道を見せた。踏み込む牡丹。だが、Uiscaの罠だった。
「この光は……っ!?」
 不意を突かれ、牡丹がUiscaの魔法を受けた。
 避け損ねてダメージを受けた所に続く魔法攻撃。
 牡丹の強烈な反撃が入っても、Uiscaの回復魔法はそれを簡単に上回る。
 気が付けば、牡丹は地に膝をついていた。
「前に戦った時より強くなったと思うのですが、どうです?」
「見事だよ……高い威力だ。更に高まれば驚異としか言いようがないね」
 よろめきながら牡丹は立ち上がった。

 最後に戦うのは、ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)だった。
「少し休憩を―」
「必要ないよ。ユーリ君」
 連戦となっているが牡丹は瞳をギラつかせながら拳を構えた。
 相手がそう言うのであれば仕方ない。ユーリは愛刀の先を牡丹へと向ける。
「ねぇ牡丹、貴女は何の為に強くなりたいの?」
「愚問だね。強くなるのに理由はない、よっ!」
 ユーリの魔法剣と牡丹の拳が交差する。
 幾度かの打ち合い。
(これ……は……?)
 打ち込まれるマテリアルにユーリが違和感を覚えた。
 確かに、牡丹は強い。だが、“こんなに崩れやすい”強さは初めて感じる。
「自分が“何の”為に強くなるのかを、忘れないで欲しいから」
「忠告として受け取っておくよ!」
 必殺の一撃を繰り出す牡丹に合わせ、主に魔法剣で戦っていたユーリは、ここで自身のマテリアルを全開に放った。
 蒼白き雷の力場と共に、白銀の雷光が轟く。
 その強大な一撃で、牡丹はあっけなく地面に倒れた。
「まいったね……本当に、皆、強いよ……」
 牡丹が苦笑を浮かべながらゆっくりと上半身を起こしたのだった。

 こうして、模擬戦が終わり、クリスティンとUiscaが飲み物とケーキを並べる。
 ささやかな女子会となり、日が暮れるまで彼女らの楽しそうな声が続いた。

●絶入る記憶
(救援が間に合わず滅んだ故郷と最愛の家族……か……)
 龍崎・カズマ(ka0178)が、立花院 紫草(kz0126)から聴いた話を思い出しながら、牡丹が宿泊している宿の壁際へと到着した。
 疾影士としての能力を悪用?し、牡丹が居る部屋を探す。部屋と牡丹はすぐに見つかった。
(……酒くせぇ)
 部屋に蔓延している匂いに顔をしかめるカズマ。酒瓶がいくつも転がっている。
 体育座りでむせび泣く牡丹の横顔にワインを押し当てた。
「ひゃぁ!」
 驚いた表情で牡丹が振り返る。
 部屋に侵入したカズマの存在に全く気がつかなかったようだ。
「追加の酒を届けにk―」
「ぅ……ぅう……うわぁん」
 ワインを掲げたカズマの筋肉質の胴に、泣きながらしがみつく牡丹。
 昼間にハンターと模擬戦を行う予定という話を希から聞いていたが、本当だったのだろう。そして……。
「負けた……また、また! 僕は、僕は強くならなきゃいけないのに!」
「……そうか」
 もう片方の手で牡丹の頭を撫でるカズマ。
 見覚えのある髪留めがポロリと落ちた。
 持参したワインを飲み始めるのはもう少し後だなと感じつつ、立花院の言葉が頭に過ぎる。

『全てを無くした彼女が、これから先、残せるもの……それが強さを求める理由……だと、私は思うのです』

●黒龍の魔女
 龍尾城の一室で、黒の夢(ka0187)が人を待っていた。
 かなり待たされたが、やがて、襖が開き、待ち望んでいた人物が現われる。
「アンノウンさん、お待たせしました」
 優しげな表情を浮かべながら立花院が声を掛ける。
「やっと逢えたのなー」
 嬉しそうな表情で今にも擦り寄りそうな勢いの黒の夢よりも早く、立花院が丁寧に頭を下げた。
「スメラギ様がいつもお世話になっています」
「そんな事ないのなー」
「それと……これが、例の答えです」
 渡されたメモにはスメラギのアレコレが書かれていた。
 『好きな事:のんびりする事 食べてはいけないもの:特にない 女性の好み:年相応』
 それを一読し、さっと黒の夢は胸ポケットにしまった。
 このポケットは大事な物を入れるに丁度いいのだ。
「スメラギ様の事、これからも、よろしくお願いします」
「…………我輩は、きっと、あの子の『思い出』にしかなれないのな」
 長い沈黙と共に黒の夢が寂しそうな声で呟いた。
「それでも我輩は、あの子……彼を、彼の未来を護りたいのな」
「黒龍のように……ですか?」
「そんなに、壮大な話のつもりはないのな。愛した人の笑顔を、護れればと思うのな」
 慈愛に満ちた顔。
 しかし、どこか哀しげな笑顔の黒の夢に、立花院が静かに頷いた。
「それなら……私も、アンノウンさんと一緒……ですね」
 しなやかな動きで立花院が、黒の夢の手を取ったのだった。

●麺屋にて
 アルマ・A・エインズワース(ka4901)の首元を掴んで、ミリア・エインズワース(ka1287)が引っ張って移動する。
 何かを泣き叫んでいる大型犬を必死に抑えているような、そんな雰囲気を感じさせていた。
 二人は天ノ城へと向かったのだが、門兵に止められたようだった。立花院が面会拒絶した訳ではなく、単に門兵が己の職務に忠実だっただけの結果だ。
「うー……紫草さーんっ」
「物事には順序があってな……」
 トボトボと歩くアルマと、彼を慰めるミリアの二人が城下町を歩く。
 行き先は、あの麺屋だ。もしかして、あそこになら、タチバナとして居るかもしれない。

 堀から上がった二つの人影。
 身軽な動きで岸壁に立つタチバナが、まるごとゆぐでぃらに包まれたチョココ(ka2449)の手を掴んだ。
「やはり、水の上を移動できるのは便利ですね」
「身軽にすいすい、水の上だってすいすい、ですの!」
 城から抜け出すのに、堀の水の上を走って来たのだ。
 チョココのウォーターウォークのおかげである。
(この前は、別の用事でお家にいく機会を逃して残念でしたの……)
 ボソっと呟いてから、タチバナの袖にしがみつくチョコディラ。今日はしのさんと一緒だ。

 タチバナとチョココが麺屋に到着して、一息もつかないうちに、天竜寺 詩(ka0396)が麺屋へとやってきた。
「あ、やっぱり此処にいた♪」
 嬉しそうな表情でタチバナに駆け寄った。
「詩さん、こんにちわ」
「この間はお疲れ様。結局、虚博は出てこなかったね」
 憤怒本陣に虚博が作り出した雑魔は居た。だが、虚博の姿は無かった。
 久々に会ったというのもあり、会話も弾んだ所で、詩が思い出したように馬鈴薯を取り出した。
「そうそう、実はタチバナさんに毒見をして欲しくて探してたんだよ」
 2年程前の梅雨のある日の事。あるスープの毒見の事を懐かしそうに詩が言った。

 詩が麺屋の厨房で馬鈴薯を使った料理を作っている間、今度はアルマとミリアが店内に入ってきた。
 タチバナがゆっくりとお茶を飲む姿を確認し、アルマが声を出しながら突撃する。
「わふーーっ!」
 ガシっ! と、タチバナの胴体を掴む。
「どうもですー。あっ! この間は、お疲れ様でしたっ」
「いえいえ、こちらこそ、戦場でもとても頼もしくて助かりましたよ」
 頭を撫で撫でとしながら応えるタチバナに、ミリアが苦笑を浮かべる。
「だからアルマ、突然飛びついてくのはよせ。せめて、断りを入れてだな……」
 と言ってる傍から、この状況なので、もはや、どうしようもない。
 これ以上、暴走しなかっただけ、マシと見るべきだろうか。
「いや、すまないなタチバナさん。最近、より犬っぽくなってだな」
 アルマを引き剥がしつつ、頭を撫で言い訳するように言う彼女にタチバナは微笑みを返した。
「ミリアさんもお疲れ様です」
「また何かあれば言ってくれ、出来る限り力になる」
「はい。きっと、そう遠くないうちに」
 それは一体どんな事案なのか……タチバナ――いや、将軍が手を焼くような事でなければいいのだが。

 そこへ、料理を作っていた詩が戻ってきた。
 可愛い顔で目を輝かせ、自信満々に運んできた料理は――。
「“今度”は、別のじゃが芋料理を食べさせようと思うんだけど、良かったら味見してよ」
 チーズ入りの『いももち』だった。
 しかも丁寧な事に、猫舌のタチバナの為、少し冷ましてある様子。
 一言「いただきます」と告げ、タチバナが口へと運ぶ。
「良いですね。優しい食感と、チーズの香りが口の中で広がります」
 そんな感想とタチバナの表情に、集まっていた面々が生唾を飲み込んだ。
「やったぁ~。さぁ、みんなも召し上がれ♪」
 詩の台詞にチョココも手を伸ばす。
「美味しいですの~。独特の食感ですの~」
 まるでユグディラが、何かを頬張っているようにしか見えない。
 それでも、食べ続けるチョココに、タチバナがおかわりを渡した。
「本当に美味しいですね」
「ありがとうですの~」
 満面の笑みでおかわりを貰うチョココ。
「まだまだ、沢山あるからねー」
 詩が更にもうひと皿持ってきた。冷まさせていた分のようだ。
 再び、いももちに手を伸ばしたタチバナ。
 それを見て、アルマがミリアの腕から飛び出し、タチバナへと突貫する。
「タチバナさん! 僕もキビ団子欲しいです」
「それは、いももちだぞ、アルマ」
 嬉しそうにいももちを受け取る様子を見て、まるで桃太郎と犬だなと感じるミリア。
「それでは、ミリアさんにも渡して下さいね」
「わふー!」
 尻尾が生えていたら、きっと、物凄い勢いでブンブンと振っているだろうアルマが、そんな喜びの表情を隠しもせずにミリアに振り返った。
「……本当に、最近は、犬そのものだ」
 今日一日苦笑が絶えない日になりそうだ――そんな思いを感じながら、ミリアは口の中に、いももちを運んだ。

●魔装
 王国北西部での亜人討伐調査。
 事前に騎士団で情報も求めるも、現在出ている【聖呪】の報告書以上のものは出てこなった。
「アルトちゃん、大丈夫?」
 大親友の怪我の具合を見ながら、リューリ・ハルマ(ka0502)が心配して声を掛けた。
「うん……大丈夫」
 返事をしたのはアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)だ。
 別の依頼で大怪我をしたので無理はできない。
 それでも、『茨の王』の名を継いだ身としては、その後、この地方の亜人がどうなったのか、気になる所であった。
「ダイエットにもならないわ」
 あくびと伸びをしながらアルスレーテ・フュラー(ka6148)が、そんな言葉を発した。
 数匹の亜人と遭遇したが、ハンター達の相手になる訳もなく……。
「例え格下だろうと油断はしない、何があってもね」
 アイビス・グラス(ka2477)が鋭い視線で周囲を警戒を続けていた。
 討伐した亜人に、特に変わった所は無かったのだが――あるとすれば、武器を手にしていた事だろうか。
 棍棒とかそういう物ではない。明らかに、人が作った武器であった。既に刃こぼれが酷い剣ばかりであったが、ちゃんと手入れしてあれば強力だったはずだ。
 人間から奪った……にしては、こんな大峡谷にも近い王国北西部の森の中に……と違和感も感じる。

「貴様らとこんな所で出逢うとはな」
 突如として森の中から姿を現したのは、歪虚ネル・ベル(kz0082)だった。
「……ゴブリンでもお持ち帰りしたいわけ?」
 驚きつつも、十色 エニア(ka0370)が軽口を叩く。
 歪虚にも、仲間達も戦うような雰囲気は無かったからだ。
「誇り高き傲慢が、怪我人を襲うことはないだろう?」
 傷だらけのアルトを一瞥し、歪虚が言葉を返す。
「そうだな。契約する前に死んでしまいそうだからな」
「アルトちゃんは、絶対に、そんな誘いに乗らない!」
「次に出会うことがあれば万全の私を見せよう」
 庇うようにリューリが前面に出、アルトが宣言した。
「……誰だ」
「リューリだよ。アルトちゃんは私の大切な大親友なんだから!」
「ほう、それは、利用しがいがありそうだな」
 ニヤリと笑った歪虚の態度に、アイビスがグッと拳を握る。
「そんな事、させない」
「わたしも、お持ち帰りされないから」
 鎌をクルクルと回すエニア。
 そんな雰囲気の中、平然とアルスレーテが歪虚へと近づいた。
 その距離が、後一歩で身体がぶつかりそうな程までに。
「なんだ?」
 怪訝に思いつつ、尋ねる歪虚にアルスレーテが言い放つ。
「マテリアル分けてあげるから、もう一度、ダイエット手伝って。すぐにリバウンドしない程度に」
 その言葉に面々が見事なまでに膝をガクッと落とすのであった。

 昨年、大峡谷に現われた古代兵器を破壊する為に、この歪虚は武器へと姿を変えた。
 その時の報告書を参照に『虚纏拳甲「ネオール」』として作成され、今、アルスレーテの手にある訳だが……。
 最近は、王国南西部におけるベリアル軍追撃戦で、二又の槍として現われていた。
「一つ、言っておくが、マテリアルを吸い取っている訳ではないぞ」
「どういう事だ?」
 アイビスが首を傾げた。
「負のマテリアルは、貴様らのマテリアルとは相反するからな」
「……歪虚バイクは駆動する為のエネルギーとして、わたしからマテリアルを吸い取ったけど、それとは違うという事?」
 エニアの問いに歪虚は頷いた。
「歪虚それぞれ、個々によって違うと言っておこう」
 どうやら、ネル・ベルが武具へと姿を変えた時、マテリアルを吸収する能力は無さそうである。
 そんな訳で、リューリがアルトに耳打ちした。
「それって、つまり……」
「負のマテリアルに当てられて、体力を消耗した……という事か」
 覚醒者だからこそ、体力を消費する程度で済んでいるという可能性もある。
 歪虚は存在自体がこの世界に影響しているのだから。
「つまり、体力を消費するという事は、カロリーを消費しているという事!」
 リューリとアルトの耳打ちが聞こえて、アルスレーテがクワっと目を見開いた。
「ダイエットとやらか? ふん、女というのは面倒な事が多いな」
 その“女性”らを見渡して歪虚は言うと、要件はないとばかりに踵を返した。
「何の目的でここに居る?」
 アイビスの質問に足を止めた歪虚が振り返った。
「貴様らと同じ……とだけ言っておこうか」
「あ、待っ――」
 アルスレーテが呼び止めるも、次の瞬間、「さらばだ」と言い残し、歪虚が瞬間移動で消え去った。
 悔しそうに森に叫ぶアルスレーテを横目にアルトが自身の眉間に手を当てる。
「……ネル・ベルも亜人……を?」
「なにか、嫌な予感がするね」
 ホッと安堵しながらリューリの言葉に、一同は頷くしかなかった。

●鐘を鳴らす為に
 港町の一角、ある店で男女の声が響いていた。
「あの時のお詫びを兼ねてご馳走しよう」
 トライフ・A・アルヴァイン(ka0657)がメニューをサッとソルラ・クート(kz0096)へと渡した。
 先日、ある依頼でのちょっとした事だ。
 むしろ、ソルラが感謝の返しをするような事だが……。
 特徴的なサイドテールに飾っている髪留めがチラリとトライフの視界の中に入った。
「今日は、色々とソルラ嬢の話を聞かせて貰うとしよう」
「もう、いっぱいありますからね。覚悟してくださいよ」
 ニヤリとした表情で魚介類のサラダを注文しながらソルラが宣言した。

 この鉄壁の騎士は、どうもお転婆で独りで溜め込むタイプだなとトライフは再認識し、食事を済ませ、店を出た。
 ソルラは、この後、実家に帰るというので、ここでお別れだ。
「あの鐘の件の時も言ったけど」
 別れ際にソルラへと呼びかけるトライフ。
 振り返った彼女に向けて言葉を続ける。
「僕は本気だから。出来れば、あまり逸らかさないで欲しいな」
「……」
 一度、何かを言いかけ――ソルラは、出掛かった言葉を飲み込んだ。
 好意が嬉しい気持ちと、彼を巻き込ませたくない事情を――。だから、ソルラは満面の笑みで向けて、返事をしたのだった。
「はい、トライフさん」

●エロディラ知識の獲得と屋台のお兄さん
 実家へと戻るソルラが、偶然にも通りで夜桜 奏音(ka5754)と出逢った。
「お疲れ様です、ソルラさん」
「奏音さん!」
 少し落ち込んでいるようにも見えたソルラだったが、パッと微笑みを浮かべ、駆け寄ってきた。
「いろいろと大変でしたね。小隊や艦隊も」
「そうなんですよー」
 アルテミス小隊での活動、そして、艦隊での行動。
 慌ただしい日々ばっかりだった。
「そういえば、あの子どうしました。恒常的に被害受けてそうですけど」
 奏音の質問に、ソルラが顔を真っ赤に染める。
「もう、いつもいつも、下着が奪われますー!」
「や、やっぱり、そうなのですね」
 女性の下着だけを奪っていくというエロディラの事だ。
 未だにアルテミス艦隊に居候しているという。おまけに、何度、船から降ろしてもいつの間に無賃乗船している。
 これは話すと長そうだと思った時、通りに屋台を見かけた。あそこであれば少しはゆっくりできるだろう――。
 のれんをくぐると、そこには――。
「いらっしゃいませです」
 出迎えたのは、鳳城 錬介(ka6053)だ。アルテミス小隊の登録員でもある。つまり、仲間だ。
「「錬介さん!?」」
 奏音とソルラの声が重なる。
 この忙しい時に、こんな所でなぜ屋台なのか。
 普通の肉まんやあんまんの他、チーズやソーセージとか変わり種もあるようだ。
「さぁ、どうぞ!」
 餡がたっぷりと入ったものを二人に渡す。餡の中に陶製の小さなユグディラ人形が入っていたら当たりらしい。
「そういえば、ソルラさんはどんな一年にしたいですか?」
 頬ぼりながら尋ねる奏音にソルラが、餡を音を立てて飲み込むと応える。
「諸々と良くなる年にしたいです。奏音さんは?」
「私は、新しい事に挑戦してみたいですね」
 拳を握って決意を新たにしているようだ。
 二人の視線は錬介へと向けられる。
「きっと色々あると思いますが、頑張りますので、よろしくお願いします。ところで、ソルラさん、人形出てきませんでしたか?」
 その言葉に、愕然とするソルラ。既に手にあんまんは、無い。
「……もしかして、飲み込んでしまいました?」
「あっー!!」
 ソルラの叫び声が港町に響いた。

●ちゃんと乙女です
 転移門で港町から王都へ到着し、父方の実家に帰る前に、ソルラはヴァルナ=エリゴス(ka2651)と合流した。
 時間がある時にでも、ゆっくりとという事だったからだ。
「遅くなりましたが、艦隊指令への昇進祝いです」
 ブーケを渡しつつ、ヴァルナがお祝いの言葉を伝える。
 アルテミス小隊は一つの小さい隊から始まった。いまだ、肩書きは小隊ではあるものの規模は大きくなり、今や一艦隊という規模だ。
「ありがとうございます。ヴァルナさん達、皆さんのおかげです」
「これからも、よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ。それにしても、ヴァルナさん……いつもと趣きが違って素敵ですね」
 黒と白を基調としたゴシックドレスが、輝くほど眩しい金髪に映える。
「私が帯剣していない事に違和感がありますか?」
「い、いえ、凄く、乙女だな~って」
「まあ、見せたい相手が、今は……居ないのですが……」
 その相手が誰だか分かるだけにソルラは胸に何かがチクリとした。
「偶には、乙女らしい装いをしておかないと、周りからお堅いとか思われそうですし」
「そっか、だから、私、『鉄壁の騎士』って!」
 今更気が付いたのか、愕然とするソルラ。
 僅かな間の後、目を合わせた二人が笑い出した。

●約束の香り
 その日記は……妹が残した遺留品の一つだった。
 ラジェンドラ(ka6353)がその日記を手に、ある街へとやって来た。理由は、“約束”を果たす為。
 しばらく街中を探していた時、思いもしない人物を見かけ、声を掛ける。
「この辺りで、旨い珈琲を出す店を知らないか? 豆を買えるといいんだが」
「ラジェンドラさん!? なんで、この街に?」
 その人物は、この街を治める領主の娘――ソルラだった。
「豆が必要だからな。この街に良い店があると聞いて」
「……そ、そうなのですね。なら……案内しますよ」
 ぎこちない笑顔を見せ、ソルラが応えた。

 目的の店は、静かな場所にひっそりとあった。目的の品を買い、折角なので一杯頂く。
 仕事や外輪船の事などを一通り話した後、間ができた時に、ソルラが俯いて目元を抑える。
「ごめんなさい。この店には、もう来る事が、無いと思っていたので」
 その理由を、ラジェンドラは知っていた。
 だが、それを、わざわざソルラに伝え、更に悲しませる事はないだろう。
「でも、今日、ラジェンドラさんと来れて良かったです……なんでかは、分からないのですが」
「それは良かった。俺なんかで良ければ、いつでも誘ってくれ」
 きっと、それは妹も望むだろうから。
「はい。皆さんと、ぜひ」
 珈琲の香りに包まれた中、ソルラが嬉しそうな笑顔を向けた。

●朧月華
 冒険都市リゼリオはハンター達の拠点の一つとも言える。
 当然、何気なく休日を過ごすハンターも多いだろう。オウカ・レンヴォルト(ka0301)とイレーヌ(ka1372)の様に。
「こうして、デートするのも、久しぶりだ、な」
「そうだね」
 イレーヌが返事をしながら、軽くギュッとオウカの腕に自身の躰を密着させるが……傍目から見ると小さい子供がしがみついている様にしか見えない。
「店から行こう、か」
 あくまでも冷静を保っているようにしている姿の彼氏の姿に、満足そうなイレーヌだった。
 
 服の店を巡ってウィンドウショッピングを楽しみ、都度、いろいろな服を試着してみる。
「これは、どうだろう?」
 オウカが手に取ったのは、白いワンピース。
 シンプルなデザインだが裾の端には可愛らしい猫の絵が描いてあった。
「それじゃ、ちょっと着てこようかな」
 含みのある顔をして試着室に入るイレーヌ。
 オウカは一人頷きながら、彼女が出てくるのを待つ。
 やがて、試着室から声がし、顔を挙げたオウカの視界に、豊満な程、胸が強調され際どい服を着たイレーヌが入った。
「あ……い、良いと、思う、ぞ」
 覚醒状態に入ればイレーヌの姿は、大人な女性の魅力的な躰となる。
 それを使ったドッキリだったが、思った以上に効果はあったようだ。
「そうか? それじゃ、これも買おうかな」
 妙に勝ち誇った顔でイレーヌが笑った。

 ディナーの時間までは、もう少しありそうだった為、二人が次の店に入る。
 そこは写真を撮る店だった。先程の店で買った白いワンピース姿のイレーヌからの希望で、彼女を軽々とお姫様抱っこするオウカ。
「高くて、怖くないか?」
「全然」
 お姫様抱っこ状態のイレーヌがオウカに抱きつきながら嬉しそうな視線をカメラに向けた写真が出来上がった。
 それを、オウカは露店で買ったお揃いのロケットネックレスに入れる。
「これで……よし」
「いつの間に、買ったの」
 ちょっとしたサプライズに笑顔を浮かべたイレーヌ。こういう事が出来る彼氏だから、ある意味、油断できないのだ。
 そして、二人は寄り添いながら次の店へと向かった。今日という甘い日はまだまだ続く。
 二人の頭上、夜の空に、朧げな月が咲いていた。

●傲慢――アイテルカイト――の足音
 商人としては、この忙しい季節、逃す訳にはいかない。
 ジャック・J・グリーヴ(ka1305)が傷の痛みに耐えながら商人として港街で活動していた。
(これは、一体、どういう状態なんだ)
 恥しさのあまり顔が熱くなる。視線を上げると、女性――霧島 キララ(ka2263)――が同じテーブルに座っていた。
「相席で悪いな。霧島キララだ」
「お、おう。お、お、俺様は、ジャ、ジャック様だ」
 少し休憩しようと思ったら、店が混んできて、偶然にもキララと相席になった訳ではあるが。
 キララはジャックの様子を気にした事なく、煙管を取り出した。当然、この場に会話がなく、間が流れる。
(クソヘクスの街だからか、チクショウ)
 そんな時、助け舟のように、テーブルにある人物が現われた。
「これは……お久しぶりです」
 妙に痩せきった姿の男だった。ジャックの頭の中で誰だと浮かんだが、記憶の糸を辿り、その人物へと至った。
 『軍師騎士』と呼ばれる騎士ノセヤだ。青の隊所属の騎士で、依頼主として何度か顔を見た事がある。
「ジャックさん、デートですか?」
「ち、ちげーよ! 相席だっつーの!」
 無邪気な程、残酷なノセヤの質問に顔だけではなく全身を赤く染め、ジャックが否定した。
「そういう事だ。霧島キララだ。よろしく頼む」
 一方、キララの方は、煙管の煙を立てて、名乗った。
 こうして、一見、奇妙な組み合わせの席が出来上がった。

 会話的に無難な流れとなると、先のベリアル軍強襲の話になるのは致し方ない事。
 キララもハンターである為、その辺りの話が出来ない訳ではない。『仕事』の情報は大切だからだ。
「……そういう事で、キナ臭ぇ事があんじゃねぇかと思ってな」
 ジャックの言葉にノセヤは考えながら紅茶を一口付けてから応える。
「今回のベリアル軍の動き、前回と共通点があるのです」
「共通点?」
 キララの疑問にノセヤは深く頷く。
「そうです。それは、“奇襲”です」
「なんだ、それは?」
 ジャックが怪訝な表情になった。
「今回はマーロウ大公が早期に敵軍を発見しました。ですが、そうでなければ奇襲という形になっていたと思うのです」
 敵の意図した事は分からないが……本気でこの港町を落とすつもりであれば恐ろしい事だ。
 ノセヤの言葉は続く。
「前回の襲撃時、歪虚版の転移門によって奇襲を受けました」
 王都に大きな被害を残した襲撃は、比較的記憶に新しい。
「……つまり、あれか、傲慢の奴らは好き勝手に暴れられるという事か」
 テーブルを力強くジャックは叩く。
 事態が容易に想像できるからだ。
「冗談じゃねぇ、それじゃ、丸裸も良い所じゃねぇか」
「敵の本拠地であるイスルダ島から、やろうと思えば、どこでも上陸できる。歪虚版の転移門で王都への直接侵攻もできる……か」
 二人の言葉にノセヤは深刻そうに頷く。
「フライングシスティーナ号の建造が押されてのも、こういう経緯もある為です」
 キララは煙管を咥えたまま、ぼーと天井をみつめた。

 一つ、確実に分かる事は――この先、「仕事」が増えそうだなという事だった。

●十鳥城での事 
 東方――十鳥城。
 天ノ都から南西に位置する城だ。最近になって憤怒歪虚から奪還した城であり、まだまだ復興途上であるのは言うまでもない。
「力仕事か雑魔退治なら、いくらでも問題ないぜ」
 さっそく、一仕事を終えてボルディア・コンフラムス(ka0796)が任々木と菱川のもとに帰ってきた。
「城の北側の安全は、確保……。この進捗は……まずまずと言ったところだろうか」
 ロニ・カルディス(ka0551)が、ハンター達の活動の取り纏めを行っていた。
 本来は代官である正秋の仕事だが、その補佐が居ればそれで少しでも代官の負担を減らせるはずだ。
「助かります、お二人方」
「やるべき事は、まだまだ多い。戦乱の後の対応こそが一番重要だ」
 落ち着いたロニの言葉。
 彼は早くも次の仕事――見積書の計算合わせ――に移っていた。仕事に選り好みはない。
「やっぱり、ハンターを雇うべきだよな。それも、いつでもできるようによ」
 瞬の台詞に正秋が後頭部を掻いた。
「なら、やはり、資金が必要な所か……」
 ため息をついた彼を見れば分かる。この城には金銭的な余裕は全くない。
 宝物庫も空に等しい状態だし、不要な備品があればとロニは思ったが、長らく人の生活が無かった城に、そんな物は無かった。
「襖ですらありませんから。ここは金策が必要かと」
 ロニの冷静な視線は吹き抜け状態となっている部屋に向けられていた。
「金策か……」
 腕を組んで必死に考えるボルディアが、何か思いついたようで、ポンと手を叩いた。
「聞いた所によれば、リアルブルーには『ほすと』って職業があるらしいぜ」
「どの様な仕事なんでしょうか?」
 丁寧な口調で尋ねる正秋。
「なんでもカッコいい男が客と酒飲んで金貰うって仕事らしい。つーわけで、瞬、お前、若い侍何人か見繕って西行って、ちょっと稼いで来たらどうだ?」
「はー? 俺かよ!?」
「民草の為に命すら擲つ。それが男って、侍ってモンだろうが! 俺は女だけどな!」
 何の無い状態となると、体を張って頑張るしかない……時もあるかもしれない。
「まぁ、正秋には出来ねぇ仕事みたいだがな」
「せ、拙者だって、女の方と話せる」
 正秋の慌てた台詞に、ロニが静かに呟いた。
「物事には適材適所というものがあるだろうからな」
 どうやら前途多難な状態は暫くは続きそうな感じである。

●その先にあるもの
 十鳥城へと向かう街道を魔導バイクで疾走するシェルミア・クリスティア(ka5955)。
 あの二人の反応が気になる所である――どうせ、瞬はいつも通りだろうが。
「それにしても……」
 彼女の頭の中では、天ノ都を出る前に会った立花院紫草との会話を思い出していた。
 穏やかなで思慮深い印象の将軍であるが……。

『私の事は、シェルミアさんが見た通りですよ』

 最初は上手く誤魔化されたと思ったが、今考えると思いの外、重たい言葉だ。
 多くの人々が、紫草は優れた将軍と見ているだろう。だが、それ以外に何があるのか、誰か――知っている者は居るのだろうか。

『十鳥城を含め、東方復興が当面の目標です。しかし、真の到達点は“その先にあるもの”と、私は信じています』

 落ち着いた言葉の一言一言が、ずしりと感じられた。
 理由は分からない。それが、将軍としての重みなのだろうか……。為政者として背負っているものというのだろうか。
 シェルミアは十鳥城が見下ろせる崖の上で、キッと魔導バイクを止めた。
「……なら、“その先にあるもの”に辿り着ける為に」
 最善を尽くしていくだけだ。

●正秋隊
「久しぶりにおじゃましまーす、っと」
 どん! と、大地に降り立ったのはミィリア(ka2689)だった。
 十鳥城は“あの時”から大きく変化は無い。死闘を繰り広げた闘技場も、きっと、そのままだろう。
「正秋殿が無事に十烏城の代官になられたとの事。であれば、これからは、復興に忙しくなるだろう」
 銀 真白(ka4128)が運んできた支援物資を降ろしつつ、城を見上げる。
 感慨深いものがある。父の仕事の跡を継ぎ、正秋は代官となったのだ。
 真白の言葉に頷き、七葵(ka4740)が言葉を発する。
「苦労も多かろう。何か、困っていることがあれば力になろう」
 というものの、先立つもの自体が不足しているようだから、色々とままならないだろう。
「まあ、何とかならぁ」
 心配そうな侍達の様子に、劉 厳靖(ka4574)が励ます。
 こういうのは深く考え込んでも仕方ない。
「皆さん! ようこそ!」
 正秋が城の入口まで出迎えに来た。
 十鳥城の代官は何人か居るという事らしいが、それは、正秋がハンターを兼任しているからでもある。
 一行が笑顔を浮かべた。
「某か手伝えれば良いのだが」
「何か困っていることがあれば力になろう」
 真白と七葵の台詞に、申し訳なさそうに応える正秋。
「かたじけない」
「力仕事も、戦いも、なんなら息抜きだって! ミィリア、家事も得意なんだから、お茶とかもまかせろーでござる!」
 ググッと正秋に迫る勢いでミィリアの熱い宣言。
 各々が出来る事を行うつもりで集まった面々だ。
「って、事で良いか? 代官さま」
 厳靖のまとめに、正秋が深く頭を下げて答えた。
「はい、皆さん、よろしくお願いします」

 それから、面々は急務であった雑魔退治や、力作業、兵士らの訓練などを手伝った。
 まだまだ足らない所はあるだろうが、それらは、今後の活動へと続けていければ良いのだ。
「皆さんのおかげで、大分と助かりました」
 正秋が畏まって伝える。
「復興は、今後も長く続く。定期的に、ぼらんてぃあを募集するのも良いかと」
 私も都合がつく限り参加すると続けて、真白が言った言葉に正秋は頷く。
「ありがとうございます。とにかく、人・物・金、全てが不足していますので」
「そうだな……西方では、東方の品や技術等が物珍しく高値で取引されることがある。西方とのやり取りで、財政を立て直していくのも手かと思う」
 七葵が西方での事を思い出しながらアドバイスした。
 希少価値があれば、それだけで手を出してくる物好きも、中には居るかもしれない。
「交易……という事ですか?」
 ハンター達が差し入れたケーキを口へと運びながら正秋が訪ねた。
「ただ戦う以外でも可能な範囲で俺達も力を貸そう」
「お金を稼ぐなら、おサムライさん必殺のひとつ、楽市楽座? だっけ? とか、どうかな」
 ミィリアの頼りがいがあるのか無いのか分からない言葉に首を傾げる正秋。
「商人さんに、街を盛り上げて貰おう~みたいなやつ! こっちは場所を提供するだけだから、元手かからないし」
「なるほど、外部から人に来て貰ってお金を落として貰えれば……。ミィリアさんも商人みたいですね」
 感心した正秋の返事に、へへんと自信満々に胸を張るミィリア。
「そーなると、安全の確保がまずは第一だな」
 厳靖がぐいっと酒を呷った。
 十鳥城までの街道は完全に安全とは言い難いからだ。
 治安が安定して、良くなれば自然と人と物が集まって豊かになるだろう。
「そうなると、兵士の維持費やハンターを雇う費用が……」
「あー、まあ、お代はあれだ。酒とツマミでも用意してくれりゃいいさ。単なる気まぐれだしな! はっはっは!!」
 豪快に笑う厳靖に、つられて正秋も微笑を浮かべた。
 こういった人々の善意で世の中は成り立っているのかと感じたからだ。
「酒でも食い物でも、何かしら名物でもありゃ、なお良いがねぇ」
 再び酒を飲みながら告げた厳靖の言葉に正秋が考える。
「名物……特産……交易を進める為にも、そちらも手を打たないと……」
 しかし、十鳥城の周辺に特産と言えるものはない。荒野が広がっているだけだ。
 長江のように特段に暖かい訳でもないので、カカオ豆に似た植物は育ち難いはず。これからの課題だろう。
「……もっともっと、拙者も頑張りたいと思います」
「とはいえ、根の詰め過ぎも良くは無い」
 真白が、風の筆致で、桜舞う春の庭が描かれた卵を正秋に渡した。
 ギルド『交流所《白雪》』が用意したイースターエッグだ。
「ちょっとした自信作だ。息を抜きたい時にでも、見て欲しい」
 物珍しそうに卵を色々な角度から熱心に見る正秋に、真白は続けて言った。
「春になる頃には、花見を楽しむ余裕が、出来る様に頑張りたいな」
「はい。是非とも、また、皆さんと」
 春に向けて、一つの約束が交わされたのだった。

●追憶
 フィルメリア・クリスティア(ka3380)が、天ノ都のある通りにある甘味処へと急いでいた。
 妹と共に、立花院への挨拶を済ませていたのだが、思いの外、時間を掛けてしまったからだ。
 合流場所の甘味処の前に到着すると、息を整え、静かに戸を開ける。
「フィル姉さん、こっちです」
「先に頂いている。フィル姉」
 マーゴット(ka5022)とヴィント・アッシェヴェルデン(ka6346)の二人が甘味を堪能していた。
 同じ団子を間髪入れずに口に運ぶ二人の光景に、妙な懐かしさをフィルメリアは、ふと、感じた。
「お待たせ、二人とも」
 ……リアルブルーで過ごしていた頃の記憶を、フィルメリアは思い出していた。今日は、昔話で楽しめるだろうか……。

 ―――
 二人の仕事は決して表に出してはいけない仕事だ。
 それでも、二人にはそうする他なく……いつも、死と隣り合わせな日々だった。一つの失敗が、死を意味する程に。
「仕事だよ」
 白く輝く髪を持つ美女が、暗い部屋の片隅に佇むように存在する弟分に声を掛けた。
 サッと投げた依頼のメモを、弟分が無駄の無い動きで受け取る。
「……依頼人はまた、此奴か」
「すっかり常連ね」
 その裏社会の仕事を依頼してくる常連が、よく知っているある人物だと二人は知らなかった。
「そろそろ、フィル姉と会う約束の時間だ」
 フィル姉とは、ある仕事の最中に出逢った。二人にとって大切な人だ。
「あの人には、お世話になりっぱなしね」
 踵を返し、外へと向かう美女。その後に音も無く続く弟分。
 恩人は、忙しい中、わざわざ都合をつけて二人に会ってくれる。
 理由は分からないが、フィル姉が、自分達に向けてくる優しい視線は、まるで、姉か母のような、そんな眼差しだった。
 それが居心地良かったと思う。
 ―――

「最初の頃は、警戒心が強かったものね。今は、日常ではそれも見る影も無いと言うか……別人っぷりが凄いけど」
 苦笑を浮かべながら、口元に餡子をつけているマーゴットに視線を向けた。
 すでにおかわり3皿目である。リアルブルーでの様子を知っているだけに差が激しい。
「そういえば、フィル姉さんは知ってたんだね。私が、リアルブルーにいた頃の事」
「フィル姉には何かと世話になったな……そういえば、なぜ、そうまでしてくれたんだ?」
 マーゴットの言葉に続いて言ったヴィントの質問に、湯呑を静かに置いて応えるフィルメリア。
「理由? そうね……子供達に重ねて見てたから、かしらね。歳も近いし。義理の姉……或いは、母として、かしら」
 そう、今、こうあるように。
「懐かしいな。今でも思い出す。スラムで独り暮らしていた時に、家族として迎えてくれた事」
 裏の仕事で苦楽を共にした事、昔から甘い物にやたらと目が無かった事。
 あの時は毎日が必死だった。今、振り返れば、大切な人と過ごした大切な記憶だ。

 それまで順調に甘い物を口に運んでいたマーゴットの動きが止まった。
「思い出せない……私が、どんな風に過ごしていたのかとか……ヴィントとの事も」
「今も、『約束』を守っているさ……」
「ごめんね、ヴィント。一緒に過ごした日々や思い出を思い出せなくて」
 悔しそうに言うマーゴットの皿に、自身の団子をひと串、ヴィントが置いて言った。
「気にしないで良い。重要なのは、過去じゃなくて今だしな。それに、姉さんが幸せに過ごしてるなら、それで充分だ」
「……ありがとう」
 ヴィントがくれた団子に手を伸ばしながら、マーゴットは感謝の言葉を告げた。

●時を刻む音を
 央崎 遥華(ka5644)が、行きつけの本屋で買った本の内容を浮かべながら、逸る気持ちで通りを歩いていた。
 そこへ、公園から転がってくるボールが一つ。それを無駄のない動きで足で止めた。
「おー! こっちにー! って、姉さん!?」
「枢!? ここで、何しているの?」
 サッカーなのは、見れば分かる。
 が、なぜ、そもそも、央崎 枢(ka5153)が、子供達を引き連れてサッカーをしているのかは、疑問だった。
「ボール遊びしいたら、なんだか、こんな事に。姉さんも、久しぶりにやってみる?」
 普段は本好きで大人しそうな雰囲気の姉だが、意外にも女子サッカー経験があったりするのだ。
 弟の呼び掛けに、荷物を適当なベンチに置くと肩を回す。
「ふふ、久しぶりにやってみよっかな!」
 足元にボールがあるだけで激ってくる、この熱い気持ち。
 背番号18は、栄光のナンバーである。
 自他共に認められなければ背負う事はできない番号だ。
「姉さんは結構上手い。皆、気をつけろ!」
 子供達に忠告すると、いの一番に姉へと向かって走る。
 転移後、姉は魔術師として、枢は疾影士として活動してきた。身体能力に多少の差はあるはずだ。
「フフ……」
 予備動作なくサッと足を動かすだけで、ボールが枢の頭上を抜けた。
 ヒールリフトだ。サッと弟の脇を通り抜けると、次々に迫ってくる子供達。
「すげぇ……衰えてねぇ……」
 クルっと身体を回転して避ける。あるいは、直線的な左右の動きで、次々に抜いていく姿は見ていて美しい。
 ……子供達相手に容赦ないが。
「11人抜き、ね」
 全員を抜いた所でピタっと止まって、笑顔で振り返る遥華だった。

 十分にサッカーを楽しみ、夕方になったにもあり、解散した。
 子供達を見送った後、汗を拭く枢にタオルと共にラッピングされた品を渡す。
「渡すの遅れてごめんね。誕生日おめでとうっ」
「いいのに……ありがとう」
 渡された誕生日プレゼントは、懐中時計だった。
「大事に使わせて貰うよ」
「じゃ、お姉ちゃん帰るね! 枢も、暗くなる前に、帰ってくるんだよー」
「そうするよ」
 スッキリとした軽い足取りで立ち去る姉の背中を見送り、枢はベンチに腰掛けた。
 王都の街並みが夕日に照らされて綺麗だ。
 ハンターとして依頼がこれからも続くだろう。平和な景色を眺めながら気持ちを入れ替える。
「よし、行くか」
 懐中時計の針の音が心地よく響いた。

●蒼海の理想郷
 冬は恋人達の季節でもある。
 それは、時音 ざくろ (ka1250)が住まう冒険拠点『蒼海の理想郷』でも同様である。
「恋人さん達5人と一緒にケーキを作って、パーティだよ!」
 と、彼の宣言――が、一人足りない。
「あれ……アルラは?」
「アルラウネさんは、遅れて来るそうですよ」
 答えたのはアデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)だ。
 細く綺麗な彼女の指には、戦鎚と林檎をモチーフにした指輪が輝いている。
「なら、先に少しずつでも作り始めようか。一から作るのだろう?」
 白い雛菊が刻まれた指輪を煌かせ、白山 菊理(ka4305)が言う。
 ケーキを買ってくる訳ではなく、スポンジを焼く所から始めるのだ。時間は掛かるだろう。
 頷いて同意しながら、ソティス=アストライア(ka6538)がフリフリのエプロンに袖を通す。
 狼が意匠化された剣……ではなく、指輪がチラリと見えた。
「エプロンは……普段はしないんだが、ざくろの頼みだ。エロいのを着てやるとしよう」
「エロいエプロンとは、言って――」
 弁解するように反論するざくろの言葉を遮るように、舞桜守 巴(ka0036)が、ざくろの肩を叩く。その指には百合の花をモチーフにした指輪が輝いていた。
「ざくろも手伝ってくださいね? つまみ食い位なら許可しますよ」
「あわわわ! 際どい! 色々、際どいよぉ!」
 鼻を抑えながらざくろが叫ぶ。
 今にも零れおちそうな程、実った豊かな胸が――さっそく、大量の鼻血で倒れるざくろであった。

 とりあえずは、スポンジを焼く所からスタートだ。
「まさか、作る所からとは、ちょっと予想外ですが……」
 アデリシアが呟いた。
 特にスポンジは分量と混ぜる所が難しい。
 これが上手く出来ないと、上手に膨らまず、煎餅布団のようになってしまう。
「ダメだ……上手くできない……」
 何度かトライしてみたものの、良い結果にならず、ざくろが落ち込む。
「無理しなくて、良いですよ。ざくろさんは、この後、お手伝いしてもらう事が一杯ありますから」
「そうだぞ、ざくろ」
 優しく励ますアデリシアの言葉に、ソティスが追随した。
「ありがとう……それで、ソティはもう焼きあがったの?」
「私が焼くと炭しか残らん」
 真面目な顔で答えるソティス。
 どんだけ強い火力なのか。
「大丈夫かな?」
 不安になったざくろに菊理と巴が言う。
「それなら、心配する必要はない」
「こういうのは、真面目にやらないと良い物ができませんからね」
 料理系が得意という事あって、見事なまでのスポンジ。
 ふわふわ感が見ているだけでも素晴らしい。
「ちょっとだけ、触っても良いかな?」
 瞳を輝かせその感触を試そうとしたざくろに、らきすけの神様が降臨したのは、その時であった。
 移動しようとした際、テーブルの足に引っ掛かり、ダイレクトに倒れこむ。その先にはアデリシアの豊満な胸が!
「……ざくろさん、大人な時間は後で、ですよ」
 優しげな微笑みでざくろを受け止めたアデリシア。
 ふわふわを堪能――ではなく、姿勢を直そうとして手を伸ばしたざくろが、別のふわふわしたものを掴んだ。
「ふぁ……どこ持っても、ふか、ふか……」
「ざくろよ……貴様、わざとか?」
 呆れ顔でソティスが言ったのも無理はない。
 彼が伸ばして手は、ソティスの胸を的確に掴んでいたからだ――再び、ざくろが鼻血を噴出させ倒れた。

 クリームを一生懸命に泡立てるざくろ。
 これは機械を使わなければ、なかなか骨の折れる事だ。シャカシャカシャカと軽快な音を響かせる。
「こ、これぐらいなら、僕にも!」
 だが、力むと必ず現れる。らきすけの神が。
 勢いよく掻き回したが為に跳ね飛ぶ白いナニか(クリームです)。真横で様子を見ていた菊理の首元へと飛ぶ。
「わわわ、ごめん! いっぱい、いっぱい飛んだ!」
「さすが、飛ばすのは得意だな」
 意味深な言葉を告げた菊理の首元にも飛んでいた。
「な、なんの事!? というか、つ、ついてるよ」
 慌てすぎて焦ったざくろが無意識に、そのクリームを舌で舐め取る。
「あっ……はしたないぞ」
 その言葉で、自分がナニをしたか理解したざくろに更なるらきすけが!
 ボールをドンとおいた衝撃で跳ねた苺が、巴の胸の谷間へと挟まったのだ。
 巴もクリームを泡立てている最中で両手が塞がっている。
「取ってちょうだい、ざくろ」
「とっ、とっ、取ってって……そこ」
 顔を真っ赤にし、目を閉じて、巴の胸に手を伸ばすざくろ。だが、目を閉じたのが更なるらきすけを呼ぶ。
 ナニかが指先に触れたので、優しく摘んだ。苺にしては小さいが……。
「これ……じゃないー!?」
「……ざくろ、ちょっと正座しなさい?」
 度が過ぎたざくろだったが、正座する前に、大量の鼻血を吹き出して倒れるのであった。

 拠点が前代未聞のらきすけ神の降臨場となっているとは、欠片も思わず、アルラウネ(ka4841)が帰って来た。蔦と七色の薔薇をイメージされた模様が入った指輪が太陽の光を反射した。
 レタニケ領で希と逢っていたからだ。そこから急いで戻り、転移門を使って飛ぶように移動してきた。
「ぅぅ……ノゾミちゃんにまで触られて、あんな声出しちゃうなんて……」
 先の温泉での出来事を思い出す。だが、希は至って普段通りのいつもの反応だった。あの子もあの子だが。
 とにかく、まさか、ここまで開発されていたとは思いもしなかった。
 ため息をついて拠点の扉の外に立つが、中は例のごとく叫び声やらなにやら聞こえてきて賑やかだ。
 両手いっぱいの荷物そのままで肩で押すように扉を開けて中に入る。
「遅れてごめんね。追加の物買ってきt――」
 ちょうど、眼前にはざくろ――が、倒れ込んで来る所だった。
 辺り一面、白いナニかが飛び散っており、どういう状態なのか把握できなかったアルラウネは、ざくろを受け止める事が出来なかった。
 倒れこむざくろの手がアルラウネの胸元を掴み――。
 どうなるかといえば、ご想像の通り、見事なまでにスパッとポロっと逝った。
「ア、アルラ、お、おかえ、リィィィィィィ!!」
 顔を上げたざくろの目の前に広がる、ふわふわな二つの頂きに、何回目かの鼻血を吹き出して、ざくろは仰向けに倒れるのであった。

 なんやかんやあったものの無事にケーキが完成した。
 慌ただしいうちに、陽も落ちて薄暗くなってきている。
「いちごのショートと、りんごのデニッシュ。それに……」
 アデリシアがテーブルに広がっている豪華な品々を見つめ、その言葉を続けるアルラウネ。
「王国産の羊肉と鹿肉と……」
 それは、レタニケ領に行っていた彼女のおみやげでもあるが。
 焼けた肉の香ばしさを感じながら、菊理がテーブルの一角を見た。
「同盟産の魚介類」
 リゼリオは海に面しているのだ。当然のように海産物は豊富である。
「飲み物は?」
「準備万端ですね」
 ソティスの疑問に巴が答える。これで、パーティーの準備は整った。
 全員の視線が、ざくろへと集まる。それに応じるように、ざくろが笑みを浮かべた。
「美味しい料理もそうだけど、ざくろ、みんなも食べちゃいたいな☆」
 開始の宣言の台詞には、いささかどうかと思うが、らきすけ神の申し子だから、許されるのだろう。
 歓声と共に、こうして、朝まで続く、ハーレムなパーティーが始まったのだった。
 パーティーでも、らきすけの神が降臨し、大変な事になるのだが――それは、また、別の話である。

●希望と決意の大地
 白銀の刀身が太陽の光を反射して輝いた。
「……其の首、失礼する」
 次の瞬間、巨人の雑魔を斬り伏せたセツナ・ウリヤノヴァ(ka5645)が愛馬の手網を手繰り、次の標的を定める。
 ホープ周辺に沸いた雑魔を討伐する依頼に参加中であるのだ。
 でかい獲物だが、戦い慣れしてきたセツナの敵ではない。すれ違いざまに馬上から刀を振り下ろし、脚を切った。
 同様に依頼に参加している鞍馬 真(ka5819)も刀を振るっていた。
 怒号をあげて迫ってくる巨人雑魔を落ち着いた様子で迎え撃つ。その動きに無駄はない。
 巨人雑魔の手足を削ぎ落としてから、動きが鈍った所を一気にケリをつける。
(……今年のはじめに比べて、少しは強くなれたのだろうか)
 一年色々とあった。恋人ができたこと、守れなかった命があったこと、死にかけたこと……。
(もっと強くなりたい)
 最後の敵を葬って、真は、刀を鞘に収めずに沈んでいく夕日を見つめた。
 悔しい思いも、救えなかった命もあったから……。
 強い決意を夕日に誓っていた。
「戦いは終わりましたよ」
「……そのようですね」
 セツナの声掛けに我に返り、真は辺りを見回した。
 同じように依頼を受けたハンター達は撤収の準備を始めている。
 軽い怪我人が居る程度で快勝と言えるだろう。セツナと真もホープへと帰る支度を始めた。

 ホープで雑魔討伐のお礼を兼ねた宴が開かれる。
「……そうですが、真様は、リアルブルー出身なのですね」
「出身ってだけで、転移した時に記憶を失ったけど」
 聞いてはいけなかった事だったかと思い、謝るセツナに対し、真は首を振った。
「良いんだ。未練はないし。むしろ、この世界に来てから、多くの思い出が出来たから」
「それなら、良かったです」
 安堵して酒を一口飲むセツナ。
「だから、守りたい。大切な人も、この世界も。その為にも、もっと、強くならないと」
「真様は、まさしく、戦士ですね」
 ふと、セツナは養父の事を思い出した。
 養父も似たような想いだったのだろうか。だとしたら……。
「私も、もっと、強くならなければなりませんね」
 それで救われる人が居るのであれば。
 希望を次の時代に繋げられるのであれば。
「どうかしましたか?」
 決意した後、急に穏やかな表情になったセツナに真が尋ねた。
「実は、ホープでこうして、ゆっくりと過ごした事がなかったので。それが嬉しくて」
 きっと、これからも、こうして過ごす日が来ると信じるセツナだった。

●目指せ!柴犬マイスター
「今日は1日天気が良さそうだから、久しぶりにみんなで釣りに行こう」
 宵待 サクラ(ka5561)の宣言が理解出来ているのか、そんな雰囲気を察したのか、一斉に家族(ペット)らが騒ぎ立てる。
 という事で、借りてきた馬車に乗り込み、愛馬が引いてピクニックに出掛けた。
 目的地は近隣の川辺。人も危険な生物も居なく、安心できる場所だ。
「みんな、お昼になったら、笛を吹くから戻ってくるんだよ? それじゃぁ、解散」
 わぁーと走り散る柴犬達。
「太郎と次郎も遊んでおいでよ。えーと、野鼠じゃなくて、野兎クラスを狩ってきてくれたら、うれしいな」
 ワフワフと返事をして林の中へと向かっていく。
 ちゃんと、野兎を狩ってくるのだろうか……。
「えーと、私は最低13匹以上の釣りかな」
 自然豊かな川ではあるが、不安にもなる。
 釣れなければ昼食にありつけない。なんという、サバイバル。
「頑張っている太郎と次郎の為にも!」
 こうして、必死の釣りが始まり、なんとか昼頃には最低人数分が揃った。
 そこへ朗報。
 戻ってきた太郎と次郎が、なんという偶然か、野兎を咥えて帰ってきたのだ。
「野兎……偉いよ太郎、次郎!」
 こうして美味い昼飯を全員で戴くのであった。

●心月
 何故か身震いをした玉兎 小夜(ka6009)は、気持ちを入れ替えて漆黒の太刀を構える。
 今は修練と食材を兼ねて森の中へと足を踏み込んでいる。
 ガサガサっと音が響き――野兎が飛び出してきた。それを見逃し、太刀を一閃。
 野兎を追い掛けていた狐を切り払った。
「ふ……他愛ない。けど、狐じゃなぁ」
 狐肉は食べられない事はないが……解体して家畜やペットの餌にすべきか。悩んでいた時、負のマテリアルの気配を感じた。
 神経を研ぎ澄ます。
 ぬそぉと姿を現したのは、猪の雑魔だった。血の匂いに引かれたのだろうか。

 ズン!

 牙を立てて襲い掛かってくるが、冷静に太刀で受け流した。
 刀を手首と全身のしなやかさで返し、隙だらけの雑魔へと振り下ろす。

「ヴォーパルバニーが刻み刈り取らん!」

 一瞬の出来事で狼雑魔の首が鞠の様に跳ねて転がり――間髪入れずに何度も斬りつける。
 あっと言う間に切り刻まれた雑魔は塵とな……らず、一部分が残る。
「ごはんゲット」
 思わず口元がニヤリとした。雑魔は倒すと塵になって消える。だが、稀に生前の肉体が残る時がある。
 それは旨みが凝縮され、極めて美味というではないか
 とても良いお土産になった。きっと、家に帰ったら、“嫁”が喜んでくれるだろう。いっぱい甘えようと心に誓う小夜だった。

●白星と黒星と
 ギルド区画内の稽古場で愛刀の手入れをしながら、アーク・フォーサイス(ka6568)は、やって来た幼馴染レム・フィバート(ka6552)に声を掛けた。
「手合わせをしよう。お互いの動きを再確認する事も兼ねてね」
「お、稽古か! 良いですなー。長らくしてなかったしね!」
 ハンターになって実践は幾度か経験したが、以前みたいに二人で稽古しなくなったからだ。
「レムも強くなったようだけど、俺も昔のままじゃないから。簡単に負けてあげるつもりはないよ」
「そーいう事なら、さあ、かかってきたまえアーくんよ!」
 右手でクイクイっとわざとらしく挑発するレム。
 こうして、幼馴染同士のガチな模擬戦が始まった。
 アークは舞刀士である。素早い刀捌きと動きが主体である。
 対して、レムは格闘士だ。近接戦を得意としている。
「よし、やろうか」
 間合いは充分。
 刀先を相手へと向けて構えたアークに、レムが手甲を掲げた。
「このレムさん、一筋縄で倒せぬと思えーっ」

 ヒュンと刀先を軽快に動かしレムの動きを牽制するアーク。レムの直線的な動きに対し、円を描く動きで対抗する。
 リーチが長い方が有利なのが戦いのセオリーだ。小回りの効くレムを間合いの内側へ入り込ませなければ十分に勝てる。
「……いつもの『真っ直ぐ行ってぶっとばす』な戦い方、だろ?」
「そのつもりだよ!」
 お互いが有利の位置を得ようと刀と手甲で打ち合いながら、目まぐるしく動く。
 ザッとレムが動いた――が、それはジャケットだけだった。なまじ意識を集中していたアークの逆手をとったレム。
 瞬きするほどの一瞬の隙を突いて、レムが一直線に突貫する。
「させるか」
 受け流しで迎撃しようとしたが、レムの動きの方が早かった。
 捌く事ができず、レムの強烈な一撃がアークの胸に叩き込まれた。
 アークも刀の柄で反撃に出る為、マテリアルを活性化させて踏み込む。その一撃はレムの左肩を叩いた。。
 一撃離脱で距離を取ろうとした背後に電光石火の動きで回り込むアーク。
「逃がさない!」
「それならぁ!」
 急な姿勢ながら、レムが抉るような突きを繰り出した。
 これを外せば後はないが――受け止めようとした刀を弾き、一撃目に入った所へ再びレムの拳が突き刺さる。
 さすがのアークもそこまでだった。地に膝を付く。
「ふー。紙一重!」
 レムが汗を色っぽく払うと、アークへと手を伸ばした。
「お見事、レム」
 微笑を浮かべながら、アークは幼馴染の手を取った。

●黒髪の霊闘士
 リゼリオの酒場にトリプルJ(ka6653)が帰って来たのは日付が変わる前の事だった。
「活動し始めとはいえ、地理が不案内ってのはなぁ……」
 そう呟いて、ピースホライズン・ホープ・リゼリオを順繰りに巡り、半日で終わる簡単な依頼をこなして来た。
 さすがに、全身がクタクタだ。依頼三昧が過ぎてしまったようだ。
 だが、この疲れが、これからの一杯を美味しくすると知っていた。
「おやっさん、エールとツマミな。早く出るやつ」
 注文するとさっそく運ばれる品。
 まずは美味そうにエールを喉へと流し込み、潤した。独特の苦味がスカッとしていて気分が良い。
「カーッ! やっぱり、仕事の後の1杯は格別だなぁ、オイ」
「お客さん、見かけない顔だが、仕事かい?」
 牛のすじを煮込んだ物が出てきた。
 これは酒のつまみに、なかなか良い。
「俺ぁニュービーで知らねぇ事が多いからよ、実際に街を見て来ようと思ってな」
 それで回った街の名を告げた。
「ほう、で、どうだった?」
「何か、平和とか希望とか名付けてる場所の方が、傷跡が深い感じでな。もっと強くならねぇとと思ったぜ……」
「それは頼もしい限りだ。これは、サービスだ」
 サッと塩湯された、おにぎり草『まめし』が出てきた。
「実は辺境出身なんだ」
「そうか……ありがたくいただくぜ」
 まめしを口の中に放り込む。大地の味が広がった――気がした。

●幸せな灯り
 聖輝節に愛する人と過ごす。それは、檜ケ谷 樹(ka5040)にとって大事な事だった。
 それも、今回はピースホライズンで!
「綺麗……」
 色鮮やかに輝くイルミネーションの光景を眺め、ドレス姿のリルエナが呟いた。
 その光景はリアルブルー出身の樹が見ても、素晴らしい。
 刻令術で動く仕掛けに飾られた魔導装置の灯りは向こうの世界では再現できないだろう。
「ありがとう、樹」
 そっと身体を愛する人へと密着させて耳元で囁いた。
 豊かな胸の感触、甘い香り、優しい微笑み――。

 リルエナー! 俺だー! 愛してるぞぉー!

 と、叫びたい気持ちを抑え、リルエナを抱き締める。

「……実は、樹にね、伝えたい事があるの」
 小さく囁く言葉がくすぐったい。
「なんだい」
「実は……できたみたい」
 その問題発言に、思わず大声を上げる樹。
 まだ式だって挙げてないのに!?
「覚醒できるみたいなの」
「え……と……お、おぅ……えぇ!?」
 再び、樹の声が響いた。彼女の持っていた力は茨の力として回収されてしまっている。
 という事は、その力は……覚醒してみせた彼女に憑依するように一人の少女が現われた。
「これは……エリ……カ?」
「多分……お姉ちゃんなのかと」
 覚醒者は生まれ持った素質である事が多い、だが、稀に素質が無くとも、鍛えられた心身が精霊との繋がりも持つ場合があるともいう。
 二人は見つめ合い、歓喜と共に、抱き締め合うのであった。それは単に覚醒者という枠ではなく、一つの奇跡に、だ。
 幸せの灯りが重なった二人を照らしていた。

●温もりの灯火
 幸せそうなカップルを大きな木の上で眺める少女――シェリル・マイヤーズ(ka0509)――が、一人。
 その木も飾りがつけられ、どういう訳か、クマさんやら、カエルさんやら、鮮やかなリボンだったり、これ乗るのかっていう位、ぬいぐるみだらけだった。
「……穏やかに……見られる……」
 今までは、賑やかな風景を見下ろし、切なさややるせなさを感じていた。
 だが、そんな少女も今年は違った。
「……この灯りの…一つ一つに……幸せがある」
 気持ちの整理がついたのだろうか。
 涙で滲む街の光景を受け入れられる。
「まもりたいなって……今は…ちゃんと思える。この幸せが……続くように……」
 ウスサマをギュっと強く握り締めた。
 多くの出会いと別れがあった。もう、二度と会えない別れも。
 今なら思える。きっと、シェリルと同じ願いなんだと。
「今、この時に…心から…祈ろう……」
 瞳を静かに閉じる。
 街に響くジングルベルの音色が通り過ぎていった。
「どうか願い……届きますように」
 しばらく身動きせずに祈り続けたシェリルの耳に少女の名を呼ぶ声がした。
 ハッとして目を開く――空耳だったようだ。だが、確かに“懐かしい声”が、聞こえた気もしたのだ。
「いつか……この灯火の中に…私も……戻れるかな?」
 穏やかな表情で少女は灯りを見つめ続けるのであった。


 おしまい。

依頼結果

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重体一覧

参加者一覧

  • 母親の懐
    時音 巴(ka0036
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士
  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 黒竜との冥契
    黒の夢(ka0187
    エルフ|26才|女性|魔術師
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 元気な墓守猫
    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 大口叩きの《役立たず》
    トライフ・A・アルヴァイン(ka0657
    人間(紅)|23才|男性|機導師
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 天に届く刃
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • 愛憐の明断
    霧島 キララ(ka2263
    人間(蒼)|26才|女性|猟撃士
  • 光森の太陽
    チョココ(ka2449
    エルフ|10才|女性|魔術師
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 誓槍の騎士
    ヴァルナ=エリゴス(ka2651
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
    ドワーフ|12才|女性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • 正秋隊(雪侍)
    銀 真白(ka4128
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 黒髪の機導師
    白山 菊理(ka4305
    人間(蒼)|20才|女性|機導師
  • 正秋隊(紫龍)
    劉 厳靖(ka4574
    人間(紅)|36才|男性|闘狩人
  • 千寿の領主
    本多 七葵(ka4740
    人間(紅)|20才|男性|舞刀士
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 元凶の白い悪魔
    マーゴット(ka5022
    人間(蒼)|18才|女性|舞刀士
  • 幸せを手にした男
    檜ケ谷 樹(ka5040
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 祓魔執行
    央崎 枢(ka5153
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • イコニアの騎士
    宵待 サクラ(ka5561
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師
  • 洗斬の閃き
    セツナ・ウリヤノヴァ(ka5645
    人間(紅)|24才|女性|舞刀士
  • 想いと記憶を護りし旅巫女
    夜桜 奏音(ka5754
    エルフ|19才|女性|符術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 符術剣士
    シェルミア・クリスティア(ka5955
    人間(蒼)|18才|女性|符術師
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • 流浪の聖人
    鳳城 錬介(ka6053
    鬼|19才|男性|聖導士
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士
  • 白腕の13
    ヴィント・アッシェヴェルデン(ka6346
    人間(蒼)|18才|男性|猟撃士
  • “我らに勝利を”
    ラジェンドラ(ka6353
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 白狼は焔と戯る
    ソティス=アストライア(ka6538
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • キャスケット姐さん
    レム・フィバート(ka6552
    人間(紅)|17才|女性|格闘士
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【タグ表明卓】
ソルラ・クート(kz0096
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/12/26 02:16:47
アイコン 【質問卓】ソルラがズバッと解決
ソルラ・クート(kz0096
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/12/24 08:56:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/25 22:17:47
アイコン 【行動表明】
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/12/25 22:19:15