ゲスト
(ka0000)
【初夢】クロウのくず鉄戦争
マスター:植田誠

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/08 19:00
- 完成日
- 2017/01/22 14:59
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
今日も今日とて、クロウはアイテム強化にいそしむ。
年末年始だろうがなんだろうが、依頼は山ほど舞い込んでくるのだ。
しかも、そのどれに対してもクロウは真摯に打ち込んでいる。
「ふむ……どうすっかな」
ここで、ふとクロウは手を止めた。
今強化を頼まれたこのアイテムに関してだ。
(ここをこうすれば上手くいくかもしれないな。でも壊れちまうリスクも……)
このまま強化を行っていては失敗するだけで、何の成果も得られないだろう。だが、少し違うアプローチをすればうまくいくかもしれない。だが、それで失敗したときはアイテムが再利用不可能になってしまう。
「どうすっかなぁ……」
好奇心と可能性に掛けてリスキーな手に打って出るか、それとも自制心と無難さをもってこのまま強化を進めるか。
さて、突然ではあるが、この時クロウの脳内ではどんなことが起こっているのか。のぞいてみようではないか。
●
「我々は! 何のためにここに立っているのか!」
「それは、強化を成功させるため!」
「「そうだ! その通りだ!」」
「そのためにリスクを恐れてどうするのだ!」
「「そうだ! その通りだ!」」
紅の装束に身をつつんだ男たちがそう叫んでいる。彼らは『リスク容認派』だ。強化の成功を目指すためならば多少のリスクはいとわない。その結果大失敗してくず鉄が出来たらその時はごめんなさいすればいいと思ってる派閥だ。
「奴らは勢いだけの間抜けだ。試行回数をこなして最終的に成功させればいいのだ。あくまでも重視すべきは安全」
対して、こちらは白の陣営。『安心安全派』だ。
クロウの脳内では日々これらの陣営がぶつかり合い、最終的な強化方針を決定するのだ。
ちなみに、これらの陣営に所属している人間は見た目すべてクロウである。
右を見てもクロウ。
左を見てもクロウ。
どこ見てもクロウ。
クロウクロウクロウクロウクロウクロウクロウクロウ……
まぁ服の色は明確に違うので陣営の間違いはしないのだろう。
だが今回はこれにクロウ以外の人間が紛れ込んでいるようだ。
彼らの存在がアイテムの強化。その結果にどんな影響を与えることになるのだろうか。
今日も今日とて、クロウはアイテム強化にいそしむ。
年末年始だろうがなんだろうが、依頼は山ほど舞い込んでくるのだ。
しかも、そのどれに対してもクロウは真摯に打ち込んでいる。
「ふむ……どうすっかな」
ここで、ふとクロウは手を止めた。
今強化を頼まれたこのアイテムに関してだ。
(ここをこうすれば上手くいくかもしれないな。でも壊れちまうリスクも……)
このまま強化を行っていては失敗するだけで、何の成果も得られないだろう。だが、少し違うアプローチをすればうまくいくかもしれない。だが、それで失敗したときはアイテムが再利用不可能になってしまう。
「どうすっかなぁ……」
好奇心と可能性に掛けてリスキーな手に打って出るか、それとも自制心と無難さをもってこのまま強化を進めるか。
さて、突然ではあるが、この時クロウの脳内ではどんなことが起こっているのか。のぞいてみようではないか。
●
「我々は! 何のためにここに立っているのか!」
「それは、強化を成功させるため!」
「「そうだ! その通りだ!」」
「そのためにリスクを恐れてどうするのだ!」
「「そうだ! その通りだ!」」
紅の装束に身をつつんだ男たちがそう叫んでいる。彼らは『リスク容認派』だ。強化の成功を目指すためならば多少のリスクはいとわない。その結果大失敗してくず鉄が出来たらその時はごめんなさいすればいいと思ってる派閥だ。
「奴らは勢いだけの間抜けだ。試行回数をこなして最終的に成功させればいいのだ。あくまでも重視すべきは安全」
対して、こちらは白の陣営。『安心安全派』だ。
クロウの脳内では日々これらの陣営がぶつかり合い、最終的な強化方針を決定するのだ。
ちなみに、これらの陣営に所属している人間は見た目すべてクロウである。
右を見てもクロウ。
左を見てもクロウ。
どこ見てもクロウ。
クロウクロウクロウクロウクロウクロウクロウクロウ……
まぁ服の色は明確に違うので陣営の間違いはしないのだろう。
だが今回はこれにクロウ以外の人間が紛れ込んでいるようだ。
彼らの存在がアイテムの強化。その結果にどんな影響を与えることになるのだろうか。
リプレイ本文
●
白と紅二つの陣営のクロウが今まさにぶつかり合おうとしている。そこかしこにクロウが居るというこの状況はなかなかにシュールな絵面ではあるだろう。
そんな中に幾人かクロウではない人間が紛れ込んでいた。
「白を! 紅に! 染めあげろっ!」
「「おーーーっ!」」
紅陣営ではステラ・レッドキャップ(ka5434)がクロウたちを鼓舞していく。
「ローリスクでは、いつまで経っても強化できねぇぞ!!」
そうだそうだとそこかしこから声が上がる。
「そうです! それに失敗すると必死でかき集めたお金がとけるんですよぅ?」
星野 ハナ(ka5852)も紅陣営の意見に賛同しこちら側についているようだ。
「ただの失敗繰り返されるよりはくず鉄になった方がまだくず鉄マイスターの夢が見られるだけましですぅ!」
……随分後ろ向きな意見な気もするが、確かにただの失敗よりはメリットがある……のか?
「それじゃ頑張っていこうね!」
同じく紅陣営。そういいながら周囲に笑いかけるのは夢路 まよい(ka1328)。だが、その実……
(人の不幸は蜜の味……ってね♪)
その動機は単純に強化でくず鉄ができた方が楽しそうだから。そのために紅陣営に参加しているようだ。こいつはヒデェ!
一方、白陣営。
「準備できてる。行こうぜ!」
「……ええ。そうですね」
唯一の白陣営である天央 観智(ka0896)。だが、その心中は決して穏やかなものではない。あくまで『どちらかといえば』安心安全派を推しているだけだ。
「あなたは……あなた方の方針でいけば故障や喪失をゼロにできますか?」
「え? いや~さすがにゼロってのは難し……」
そういった瞬間、クロウの脳天に銃弾がぶち込まれていた。大丈夫、あくまで有象無象のクロウが一人死んだだけなので大勢に影響はない。
「殆ど無いは、ゼロではない……」
そう呟いて銃を下す観智。白陣営についていながら、味方であるはずのクロウにも容赦ない。
「故障や喪失を消極的にでも肯定している部分……これは腐った部分です……一緒に排除しないと」
他人を最大限尊重しようとする観智だが、腐った部分は見逃せない。その眼は完全に狩人のそれであり、その対象は敵陣営のクロウにとどまってはいなかった。
こうして陣営に分かれたハンターたちがいる中、独自の行動を取る者たちも多い。クロウの数が多いため勢力というには数が少ない。だがその戦闘力は非常に高い者たちばかりだ。
彼らの目的は何なのか、それはすぐには分からなかった。
●
「そもそも、大失敗のリスクなんてお星さまの力で練成安定化してれば気にしなくて済んだのにね~」
そんなどこぞの回し者みたいなことを言い出すまよい。だが大丈夫。クロウ本人も似たようなことを言っていた覚えがあるから何の問題もない。
「その通り。後悔したくなければ安定化装置は絶対につけておけってな」
ステラもそれに同意しつつ、接近してくる白陣営に対しダブルファイアを使い弾をばらまいていく……あれ? なんか紅クロウにも当たってるんですが……
「射線に立つのが悪い」
「あ、ちょっとごめんね」
味方ごと敵を屠るステラに対し、まよいも紅クロウを盾として使う。別に味方側を守る気もないらしい。そのままクロウを盾にしつつエクステンドキャストを使用。十分時間をかけてマテリアルを練り上げたのち……グラビティフォールを使用。紫色の光を伴う重力波がクロウ(味方含む)を圧壊させていく。
「往生せいや~! ですぅ」
ハナも方針的にはステラやまよいと同じだ。多少紅が混じっていても気にせず五色光符陣を使う。光によって無差別に焼かれていくクロウたち。
「全くず鉄の仇ぃ! クロウさん覚悟ですぅ!」
「……ちょっと待ってくれ。五色光符陣は敵味方を識別できるはずだよな? それで味方が焼かれるということは……」
一部紅クロウが疑問を持ったが……
「いや、これ以上考えるのはよそう。俺の考えで仲間を混乱させたくない」
こうしてクロウは考えるのをやめた。
白陣営では観智が淡々と攻撃を開始。ファイアーボールとグラビティフォールを打ち分けながら敵……とたまに味方を攻撃しながら戦線を維持していく。だが、やはりというか紅陣営の方がやや優勢に思える。
「ですが、多少の有利不利は関係ありません。ただ、可能な限り……できるだけ多く倒すだけです」
そういって攻撃を続ける観智。そんな紅白両陣営の戦いに横やりが入ったのはそんな時だった。
●
「間違ってる」
密集地に向かってアイシクルコフィンが放たれる。数人のクロウが氷柱に切り裂かれ倒されていく。敵を倒すために威力へと傾倒した、その結果敵味方が識別できない。だが、そんなことはザレム・アズール(ka0878)にとっては問題にならなかった。
「求めるのは、失敗少なく高確率で成功、大成功も高くだろ?」
それが暴論なのは言うまでもなく明らかだ。簡単な強化ならともかく、難度の高い強化となれば失敗の可能性が高くなるの仕方がない。だが、発注者は無理難題をいうものだ。
「それを目指さず何を目指すかっ!!」
叫び声をあげ、ザレムは重量級の機関銃を取り出し弾丸をばらまいていく。
「いいか! これは憎いからではない! クロウの可能性を信じればこそ、だ!!」
なるほど。つまりこれは愛の鞭というやつだろうか。それにしてはいささかサディスティックな気がするが気にしてはいけない。愛の鞭なのだから。
「次ぃっ!! 向上心の低い分身は諸共刈り取る!」
そういうとザレムはジェットブーツを使用して飛び上がり、次の集団を襲撃……あ、違った。これはあくまで愛の鞭。
アシェ-ル(ka2983)はザレムと同じ意見を持っているようだ。すなわち、失敗少なく高確率で成功する。そして大成功確率も出来るだけ高く。
それを達成するために取る手段は言うまでもない、手あたり次第クロウを吹き飛ばしまくることだ。
「積年の恨みを晴らすとき!」
炎弾を使い右のクロウたちを吹き飛ばす。
「そこ! 逃がしません!!」
銃を取って逃げ出す左のクロウを狙い撃つ。
「数が多いですね……ザレムさん! 強大な魔法を使いますので、援護よろしくなのです!」
「了解した……何をしているんだ?」
そんな二人の近くで、一人ディーナ・フェルミ(ka5843)は黙々と倒れたクロウの服をはぎ取っている。何をしているのだろうか……
「1番必要なのは成功裏が高くて大失敗率がほとんどないクロウさんだと思うの。つまり……第3勢力を作ればいいと思うの!」
その為の手段として、服を片方ずつはぎ取って片方ずつ着せ……要は紅白状態のクロウを作ろうというのだ。
「こうすると無限に紅白クロウさんと白紅クロウさんができていくの。第3勢力なの!」
「なるほど……だが、それだと成功率が低くて大失敗率が高いクロウも出来ないか?」
「そこを気にしたら負けなの、人間はチャレンジすることに意義があるの」
ふんすと鼻息も荒く胸を張るディーナ。ザレムはどこか釈然としないものを感じつつもまぁいいかと納得することにした。
「……そろそろか」
「……漆黒よりも深く、沸き立つ羶血よりも赤く、迸発する大地の力よ、今ここに爆ぜろ!」
話を聞き終わったところで、タイミングよくアシェールが魔法を使用。高威力のファイアーボールが周囲を焼き尽くした。
●
彼女……クリスティン・ガフ(ka1090)の姿ははっきり言って異常だった。
まず、その頭の上にはパルム……ではなくクロウが乗せられている。別に今回のクロウは手のひらサイズというわけではないのだが、あれだけ特別らしい。
その両手に持つ武器も異常だ。大ぶりの刀
を二刀流にしているのだが、それには屑鉄絶許と書かれているハリセンを何本も取り付けた巨大ハリセンとしてある。
「個人的には強化にはリスクは付き物だ……」
そう、静かにクリスティンは語りだす。
「ケーキや餅を強化したら故障するなど不可解もあるが、ツッコんでいたら強化ができない。分かっているんだ」
しかしクリスティンは往く。己が意思を貫くために。
クリスティンに負けず劣らず奇怪な装いなのは鬼道丸(ka4736)。
乗馬したその姿はまるごと全裸に身を包まれており、水中ゴーグルを装備。そして手に持つ武器は釘バット。
「走る! 走る! オラ達、流れるケツめがけて!」
歌でも歌うかのように高らかに声を上げ、クロウ……の主にケツをめがけてバットを振るう。
「ケーキ返せオラァ! モチ返せオラァ!」
ケツバットマンと化した鬼道丸は手あたり次第にクロウを攻撃していく。
「ンー……」
その様子を見ながら考え込んでいたナイア(ka6663)。
「私はまだハンターになって日が浅いし偉そうなことは言えないけど…てお金もらって仕事して壊して終了。なんていいのかなぁ」
「いや、そこは一応これぐらいの確率でこうなるぐらいは目安として説明してるぜ」
ナイアの疑問に、近くにいたクロウが答えてくれた。
「そっか、それならいいんだ……でもほら。みんな怒ってるし……」
そういってナイアは鞭を取り出す。
「ソンガイバイショウセイキュウ? 人間にはそういうシステムがあるって山の民の御爺様が言ってた」
そういって笑うナイア。
「だから、紅白関係なく、みんなの期待を裏切った罪により鞭でお仕置きよ♪」
ナイアは素早くクロウたちの間を走り回りその動きで翻弄しつつ、鞭での一撃を繰り返す。
「っと……ほかの人の攻撃に巻き込まれないようにしないとね」
マルチステップを使用して回避。数瞬前までナイアが居た場所を馬とともに鬼道丸が駆け抜けていった。
「オラオラオラオラどけ! チャンスを逃がすな! つかみ取れ!」
ケツにバットを叩き込みまくる鬼道丸。その見た目も相まって実際怖い。
「強化する品じゃねぇ! 発端になった大元のクロウを出せオラァン!」
クロウの脳内で起こっている戦いなのだから大元のクロウをたたけば戦いをぶっ潰すことができるという考えのようだ。それは正しい気がするがそうするとコンテンツ的に問題なので雑兵(クロウ)で我慢してもらいたいところだ。
「戦わなければ生き残れない……!」
クリスティンも本気を出してきた。
「まず武器を2個で攻撃力は2倍! いつもより保護剤を使うことでユキーチの消費が3倍!」
それはデメリットではないのだろうか。
「そして眼と感覚を活かしてソウルエッジを使い二刀流で1200マンクロウだ!」
言ってることはよくわからないがすごく強そうだ。そのままコマのごとく回転する必殺のシュツルム・ウント・ドランクによりクロウたちをしばき回った。
●
「さーて、日ごろの鬱憤を晴らさせてもらいますね?」
「ま、待て! 話せばわかる!!」
命乞いをする紅クロウ。だが葛音 水月(ka1895)はそんなクロウに問答無用でパイルバンカーをぶち込む。あまりにも無慈悲な行為。だが、そういう行動に出るのも致し方ないのかもしれない。
「一体、何度失敗大失敗を繰り返したか……」
小さくため息を吐く水月。クロウが色々頑張っているのは知っている。だが、失敗すれば費やした資金は戻らず、大失敗してくず鉄にでもなればアイテムすらも戻らない。
「あ、あんたこっちに味方してくれるのか!? 助かるぜ!」
そういって寄ってきた白クロウにも水月は無言でパイルバンカーをお見舞いした。
「な、なぜ……」
「紅白どっちが勝つのか……僕はどうでもいいんですよ」
「た、助けてくれぇ!」
逃げ出していくクロウを追いかけるように水月はチェイシングスローを使用。手裏剣による攻撃とともに移動して追尾。
「これは、僕の八つ当たりなんですけど……いいですよね?」
どこか清々しい笑みを浮かべ、水月はベノムエッジを使用した広角投射で周辺を無差別に攻撃。倒れたクロウたちを確認すると次の獲物を狙うために動き出した。
こちらにもすでに倒れたクロウの群れが。
「わふっ。今のは新年早々やらかしてくれた分です」
いい笑顔を見せる自称ポジティブな大型犬、アルマ・A・エインズワース(ka4901)。だが、先ほどの狂蒼極2連続により威力を高めた青星の魂による攻撃時は犬なんて生易しい生き物ではなかったように見えた。友人から交換してもらったアイテムを壊されたことで相当ご立腹だったように見える。
「さて……」
「ひぃっ!」
面白い悲鳴を上げて後ずさるクロウ。その目の前まで来たアルマは座り込む。
「お話聞きましょうか?」
もはや逃げられないと悟ったクロウはおとなしく聞かれたことに答えていく。
「わふわふ。安定か大成功か……大成功すると素敵ですよねぇ」
先ほどの攻撃とは打って変わって穏やかなアルマの態度に少し安心するクロウ。
「クロウさんにはいつもお世話になってるですよ。僕の杖も、モノクルも……いつもありがとうございますですー」
「そ、そうか……それじゃ多少失敗しても許して……」
「わふ? 何言ってるんですか」
おっと、流れが変わった。いい話で終わりそうだったのになー。
「それはそれ、これはこれです。失敗したら……燃やしちゃうですよ?」
その目つきは……完全に本気だ。
「た、助けてくれぇっ!」
あまりの威圧感に逃げ出すクロウ。
「わふ? 追いかけっこですか?」
逃げるクロウに追うアルマ。悪気があろうがなかろうが、その前にやったことを鑑みると恐怖しか出てこないであろう。
「クゥロォウくぅぅぅん? 俺の武器防具等々色々ぶっ壊してくれて、どうもありがとう?」
普段とは打って変わった様子の仙堂 紫苑(ka5953)。黒い笑みを浮かべながらファイヤースローワーを振りまく。
「ハッハッハ!お礼参りに来たから、ちょっとそこ並べやぁ!」
何が紫苑をこんな姿にしてしまったのだろう……いや、言葉を聞けばクロウだってすぐわかりますね、ハイ。
こうして捕らえられ並ばされたクロウたち。それを見下ろす紫苑の手にはくず鉄が。
そしてそれで……殴る。
さらに殴る。
殴る、殴る、殴る……凄い威力だ。
「威力? 恨みで上方修正に決まってんだろ? 憂さ晴らしだよ、こんなに標的がいるんだからよぉ! ハッハッハ!」
もはや悪の化身の如き形相だ。
本当は感謝もしている。所持しているアイテムのいくつか……魔導鋸や蒼機杖、パワードスーツも強化してもらっているのだ。冷静になればもう少し話もできるだろうが、今の紫苑にはそういった慈しみの心は持ち合わせていないようだった。
●
戦場は混迷を極めた。
「待ってください、お話しましょう! わふーーーっ!!」
逃げるクロウたちを止めようとしたアルマの紺碧の流星が降り注ぎ、クロウたちをオーバーキルしていく。
「もぉなんか面倒になっちゃった……果てなき夢路に迷え……ドリームメイズ!」
他方、色々面倒になってきたまよいが無差別にドリームメイズを使用。そこら中に眠りこけるクロウの姿が。
「寝てんじゃねぇ! 気合を入れろ!!」
そこに降り注ぐのはステラのフォールシュートによる弾丸の雨。
「クロウさんなんか……クロウさんなんか滅んじゃえばいいんですぅ、うわーん!」
ハナも五色光符陣を連続で使い攻撃していく。
「ついでに変化でドヤ顔するリーゼロッテも吹っ飛んじゃえですぅ、うわーん!」
矛先はよそ様にまで向いているが、ここはクロウを叩きのめすことで我慢してもらうしかない。
「くそっ! 状況がわけわかんなくなってるぞ!?」
「そうみたいですね……ところであなたも腐った部分ですか?」
「は? 何を言って……」
そう聞き返そうとしたクロウは観智による無慈悲なファイアーボールで焼き尽くされた。
「この戦いを戦い抜いて頂点に君臨し! 東西南北中央不敗! スーパークロウになってやるぞ!」
クリスティンも訳の分からないことを言いながらクロウを蹴散らしていく。スーパークロウになりたければまずマスタークロウになる必要があるのではないかという疑問はこの際おいておこう。
鬼道丸も叫び声をあげて走り回る。そして、走り去った後には叫び声を上げてケツを押さえているクロウ達の姿が。
「次! 逃がしはしませんよ!」
こちらでは水月のパイルバンカーによるダイナミック腹パンを食らいうずくまるクロウたちが見ることができた。
「よし、次壊したらどうなるか……わかるよな?」
「えーと……それは保証できないっていうかなんていうか……」
未だ並んだ状態で座らせられてるクロウは紫苑のくず鉄による制裁を受け続けている。逃げ出したいところだが、逃げたクロウはナイアに捕まり鞭で打たれていた。
「あっちでもやってるみたいだし……こっちもどんどんお仕置きよ?」
別の場所では紅白&白紅のクロウが量産されていた。
「いいか、高い触媒に安易に頼るな! 大失敗は0に! 成功率は高く! わかったか! ごらぁ! クロウ!」
「ザレムさんのいう通りです。大失敗は0に、成功率は高く! さぁ復唱してください!」
ザレムとアシェールによるクロウの洗脳……ではなく指導が進むその横で、せっせとクロウを着替えさせている。
当初こそまともに紅白の戦いになりそうだったのに、ふたを開けてみれば友軍からの誤射に始まり横やり、それにいつの間にか増殖した第3勢力。
もはや正常な強化に至る道は断たれている。そして、こういう時に起こるのは、決まって『予想外』な結果になるものだ。
●
後日……
「いや~、今回は予想外の方向に強化が進んじまったぜ!!」
そういって依頼人に手渡された品。
元々はどんな形だったのだろうか。それすらも分からないほど『突然変異』してしまっていたのだった。
なお、この突然変異が依頼主にとって良いことだったのか、それとも悪いことだったのか……それは各自の想像にお任せする。
最後にクロウから一言。
「強化は財布と相談して計画的にな!」
完。
白と紅二つの陣営のクロウが今まさにぶつかり合おうとしている。そこかしこにクロウが居るというこの状況はなかなかにシュールな絵面ではあるだろう。
そんな中に幾人かクロウではない人間が紛れ込んでいた。
「白を! 紅に! 染めあげろっ!」
「「おーーーっ!」」
紅陣営ではステラ・レッドキャップ(ka5434)がクロウたちを鼓舞していく。
「ローリスクでは、いつまで経っても強化できねぇぞ!!」
そうだそうだとそこかしこから声が上がる。
「そうです! それに失敗すると必死でかき集めたお金がとけるんですよぅ?」
星野 ハナ(ka5852)も紅陣営の意見に賛同しこちら側についているようだ。
「ただの失敗繰り返されるよりはくず鉄になった方がまだくず鉄マイスターの夢が見られるだけましですぅ!」
……随分後ろ向きな意見な気もするが、確かにただの失敗よりはメリットがある……のか?
「それじゃ頑張っていこうね!」
同じく紅陣営。そういいながら周囲に笑いかけるのは夢路 まよい(ka1328)。だが、その実……
(人の不幸は蜜の味……ってね♪)
その動機は単純に強化でくず鉄ができた方が楽しそうだから。そのために紅陣営に参加しているようだ。こいつはヒデェ!
一方、白陣営。
「準備できてる。行こうぜ!」
「……ええ。そうですね」
唯一の白陣営である天央 観智(ka0896)。だが、その心中は決して穏やかなものではない。あくまで『どちらかといえば』安心安全派を推しているだけだ。
「あなたは……あなた方の方針でいけば故障や喪失をゼロにできますか?」
「え? いや~さすがにゼロってのは難し……」
そういった瞬間、クロウの脳天に銃弾がぶち込まれていた。大丈夫、あくまで有象無象のクロウが一人死んだだけなので大勢に影響はない。
「殆ど無いは、ゼロではない……」
そう呟いて銃を下す観智。白陣営についていながら、味方であるはずのクロウにも容赦ない。
「故障や喪失を消極的にでも肯定している部分……これは腐った部分です……一緒に排除しないと」
他人を最大限尊重しようとする観智だが、腐った部分は見逃せない。その眼は完全に狩人のそれであり、その対象は敵陣営のクロウにとどまってはいなかった。
こうして陣営に分かれたハンターたちがいる中、独自の行動を取る者たちも多い。クロウの数が多いため勢力というには数が少ない。だがその戦闘力は非常に高い者たちばかりだ。
彼らの目的は何なのか、それはすぐには分からなかった。
●
「そもそも、大失敗のリスクなんてお星さまの力で練成安定化してれば気にしなくて済んだのにね~」
そんなどこぞの回し者みたいなことを言い出すまよい。だが大丈夫。クロウ本人も似たようなことを言っていた覚えがあるから何の問題もない。
「その通り。後悔したくなければ安定化装置は絶対につけておけってな」
ステラもそれに同意しつつ、接近してくる白陣営に対しダブルファイアを使い弾をばらまいていく……あれ? なんか紅クロウにも当たってるんですが……
「射線に立つのが悪い」
「あ、ちょっとごめんね」
味方ごと敵を屠るステラに対し、まよいも紅クロウを盾として使う。別に味方側を守る気もないらしい。そのままクロウを盾にしつつエクステンドキャストを使用。十分時間をかけてマテリアルを練り上げたのち……グラビティフォールを使用。紫色の光を伴う重力波がクロウ(味方含む)を圧壊させていく。
「往生せいや~! ですぅ」
ハナも方針的にはステラやまよいと同じだ。多少紅が混じっていても気にせず五色光符陣を使う。光によって無差別に焼かれていくクロウたち。
「全くず鉄の仇ぃ! クロウさん覚悟ですぅ!」
「……ちょっと待ってくれ。五色光符陣は敵味方を識別できるはずだよな? それで味方が焼かれるということは……」
一部紅クロウが疑問を持ったが……
「いや、これ以上考えるのはよそう。俺の考えで仲間を混乱させたくない」
こうしてクロウは考えるのをやめた。
白陣営では観智が淡々と攻撃を開始。ファイアーボールとグラビティフォールを打ち分けながら敵……とたまに味方を攻撃しながら戦線を維持していく。だが、やはりというか紅陣営の方がやや優勢に思える。
「ですが、多少の有利不利は関係ありません。ただ、可能な限り……できるだけ多く倒すだけです」
そういって攻撃を続ける観智。そんな紅白両陣営の戦いに横やりが入ったのはそんな時だった。
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「間違ってる」
密集地に向かってアイシクルコフィンが放たれる。数人のクロウが氷柱に切り裂かれ倒されていく。敵を倒すために威力へと傾倒した、その結果敵味方が識別できない。だが、そんなことはザレム・アズール(ka0878)にとっては問題にならなかった。
「求めるのは、失敗少なく高確率で成功、大成功も高くだろ?」
それが暴論なのは言うまでもなく明らかだ。簡単な強化ならともかく、難度の高い強化となれば失敗の可能性が高くなるの仕方がない。だが、発注者は無理難題をいうものだ。
「それを目指さず何を目指すかっ!!」
叫び声をあげ、ザレムは重量級の機関銃を取り出し弾丸をばらまいていく。
「いいか! これは憎いからではない! クロウの可能性を信じればこそ、だ!!」
なるほど。つまりこれは愛の鞭というやつだろうか。それにしてはいささかサディスティックな気がするが気にしてはいけない。愛の鞭なのだから。
「次ぃっ!! 向上心の低い分身は諸共刈り取る!」
そういうとザレムはジェットブーツを使用して飛び上がり、次の集団を襲撃……あ、違った。これはあくまで愛の鞭。
アシェ-ル(ka2983)はザレムと同じ意見を持っているようだ。すなわち、失敗少なく高確率で成功する。そして大成功確率も出来るだけ高く。
それを達成するために取る手段は言うまでもない、手あたり次第クロウを吹き飛ばしまくることだ。
「積年の恨みを晴らすとき!」
炎弾を使い右のクロウたちを吹き飛ばす。
「そこ! 逃がしません!!」
銃を取って逃げ出す左のクロウを狙い撃つ。
「数が多いですね……ザレムさん! 強大な魔法を使いますので、援護よろしくなのです!」
「了解した……何をしているんだ?」
そんな二人の近くで、一人ディーナ・フェルミ(ka5843)は黙々と倒れたクロウの服をはぎ取っている。何をしているのだろうか……
「1番必要なのは成功裏が高くて大失敗率がほとんどないクロウさんだと思うの。つまり……第3勢力を作ればいいと思うの!」
その為の手段として、服を片方ずつはぎ取って片方ずつ着せ……要は紅白状態のクロウを作ろうというのだ。
「こうすると無限に紅白クロウさんと白紅クロウさんができていくの。第3勢力なの!」
「なるほど……だが、それだと成功率が低くて大失敗率が高いクロウも出来ないか?」
「そこを気にしたら負けなの、人間はチャレンジすることに意義があるの」
ふんすと鼻息も荒く胸を張るディーナ。ザレムはどこか釈然としないものを感じつつもまぁいいかと納得することにした。
「……そろそろか」
「……漆黒よりも深く、沸き立つ羶血よりも赤く、迸発する大地の力よ、今ここに爆ぜろ!」
話を聞き終わったところで、タイミングよくアシェールが魔法を使用。高威力のファイアーボールが周囲を焼き尽くした。
●
彼女……クリスティン・ガフ(ka1090)の姿ははっきり言って異常だった。
まず、その頭の上にはパルム……ではなくクロウが乗せられている。別に今回のクロウは手のひらサイズというわけではないのだが、あれだけ特別らしい。
その両手に持つ武器も異常だ。大ぶりの刀
を二刀流にしているのだが、それには屑鉄絶許と書かれているハリセンを何本も取り付けた巨大ハリセンとしてある。
「個人的には強化にはリスクは付き物だ……」
そう、静かにクリスティンは語りだす。
「ケーキや餅を強化したら故障するなど不可解もあるが、ツッコんでいたら強化ができない。分かっているんだ」
しかしクリスティンは往く。己が意思を貫くために。
クリスティンに負けず劣らず奇怪な装いなのは鬼道丸(ka4736)。
乗馬したその姿はまるごと全裸に身を包まれており、水中ゴーグルを装備。そして手に持つ武器は釘バット。
「走る! 走る! オラ達、流れるケツめがけて!」
歌でも歌うかのように高らかに声を上げ、クロウ……の主にケツをめがけてバットを振るう。
「ケーキ返せオラァ! モチ返せオラァ!」
ケツバットマンと化した鬼道丸は手あたり次第にクロウを攻撃していく。
「ンー……」
その様子を見ながら考え込んでいたナイア(ka6663)。
「私はまだハンターになって日が浅いし偉そうなことは言えないけど…てお金もらって仕事して壊して終了。なんていいのかなぁ」
「いや、そこは一応これぐらいの確率でこうなるぐらいは目安として説明してるぜ」
ナイアの疑問に、近くにいたクロウが答えてくれた。
「そっか、それならいいんだ……でもほら。みんな怒ってるし……」
そういってナイアは鞭を取り出す。
「ソンガイバイショウセイキュウ? 人間にはそういうシステムがあるって山の民の御爺様が言ってた」
そういって笑うナイア。
「だから、紅白関係なく、みんなの期待を裏切った罪により鞭でお仕置きよ♪」
ナイアは素早くクロウたちの間を走り回りその動きで翻弄しつつ、鞭での一撃を繰り返す。
「っと……ほかの人の攻撃に巻き込まれないようにしないとね」
マルチステップを使用して回避。数瞬前までナイアが居た場所を馬とともに鬼道丸が駆け抜けていった。
「オラオラオラオラどけ! チャンスを逃がすな! つかみ取れ!」
ケツにバットを叩き込みまくる鬼道丸。その見た目も相まって実際怖い。
「強化する品じゃねぇ! 発端になった大元のクロウを出せオラァン!」
クロウの脳内で起こっている戦いなのだから大元のクロウをたたけば戦いをぶっ潰すことができるという考えのようだ。それは正しい気がするがそうするとコンテンツ的に問題なので雑兵(クロウ)で我慢してもらいたいところだ。
「戦わなければ生き残れない……!」
クリスティンも本気を出してきた。
「まず武器を2個で攻撃力は2倍! いつもより保護剤を使うことでユキーチの消費が3倍!」
それはデメリットではないのだろうか。
「そして眼と感覚を活かしてソウルエッジを使い二刀流で1200マンクロウだ!」
言ってることはよくわからないがすごく強そうだ。そのままコマのごとく回転する必殺のシュツルム・ウント・ドランクによりクロウたちをしばき回った。
●
「さーて、日ごろの鬱憤を晴らさせてもらいますね?」
「ま、待て! 話せばわかる!!」
命乞いをする紅クロウ。だが葛音 水月(ka1895)はそんなクロウに問答無用でパイルバンカーをぶち込む。あまりにも無慈悲な行為。だが、そういう行動に出るのも致し方ないのかもしれない。
「一体、何度失敗大失敗を繰り返したか……」
小さくため息を吐く水月。クロウが色々頑張っているのは知っている。だが、失敗すれば費やした資金は戻らず、大失敗してくず鉄にでもなればアイテムすらも戻らない。
「あ、あんたこっちに味方してくれるのか!? 助かるぜ!」
そういって寄ってきた白クロウにも水月は無言でパイルバンカーをお見舞いした。
「な、なぜ……」
「紅白どっちが勝つのか……僕はどうでもいいんですよ」
「た、助けてくれぇ!」
逃げ出していくクロウを追いかけるように水月はチェイシングスローを使用。手裏剣による攻撃とともに移動して追尾。
「これは、僕の八つ当たりなんですけど……いいですよね?」
どこか清々しい笑みを浮かべ、水月はベノムエッジを使用した広角投射で周辺を無差別に攻撃。倒れたクロウたちを確認すると次の獲物を狙うために動き出した。
こちらにもすでに倒れたクロウの群れが。
「わふっ。今のは新年早々やらかしてくれた分です」
いい笑顔を見せる自称ポジティブな大型犬、アルマ・A・エインズワース(ka4901)。だが、先ほどの狂蒼極2連続により威力を高めた青星の魂による攻撃時は犬なんて生易しい生き物ではなかったように見えた。友人から交換してもらったアイテムを壊されたことで相当ご立腹だったように見える。
「さて……」
「ひぃっ!」
面白い悲鳴を上げて後ずさるクロウ。その目の前まで来たアルマは座り込む。
「お話聞きましょうか?」
もはや逃げられないと悟ったクロウはおとなしく聞かれたことに答えていく。
「わふわふ。安定か大成功か……大成功すると素敵ですよねぇ」
先ほどの攻撃とは打って変わって穏やかなアルマの態度に少し安心するクロウ。
「クロウさんにはいつもお世話になってるですよ。僕の杖も、モノクルも……いつもありがとうございますですー」
「そ、そうか……それじゃ多少失敗しても許して……」
「わふ? 何言ってるんですか」
おっと、流れが変わった。いい話で終わりそうだったのになー。
「それはそれ、これはこれです。失敗したら……燃やしちゃうですよ?」
その目つきは……完全に本気だ。
「た、助けてくれぇっ!」
あまりの威圧感に逃げ出すクロウ。
「わふ? 追いかけっこですか?」
逃げるクロウに追うアルマ。悪気があろうがなかろうが、その前にやったことを鑑みると恐怖しか出てこないであろう。
「クゥロォウくぅぅぅん? 俺の武器防具等々色々ぶっ壊してくれて、どうもありがとう?」
普段とは打って変わった様子の仙堂 紫苑(ka5953)。黒い笑みを浮かべながらファイヤースローワーを振りまく。
「ハッハッハ!お礼参りに来たから、ちょっとそこ並べやぁ!」
何が紫苑をこんな姿にしてしまったのだろう……いや、言葉を聞けばクロウだってすぐわかりますね、ハイ。
こうして捕らえられ並ばされたクロウたち。それを見下ろす紫苑の手にはくず鉄が。
そしてそれで……殴る。
さらに殴る。
殴る、殴る、殴る……凄い威力だ。
「威力? 恨みで上方修正に決まってんだろ? 憂さ晴らしだよ、こんなに標的がいるんだからよぉ! ハッハッハ!」
もはや悪の化身の如き形相だ。
本当は感謝もしている。所持しているアイテムのいくつか……魔導鋸や蒼機杖、パワードスーツも強化してもらっているのだ。冷静になればもう少し話もできるだろうが、今の紫苑にはそういった慈しみの心は持ち合わせていないようだった。
●
戦場は混迷を極めた。
「待ってください、お話しましょう! わふーーーっ!!」
逃げるクロウたちを止めようとしたアルマの紺碧の流星が降り注ぎ、クロウたちをオーバーキルしていく。
「もぉなんか面倒になっちゃった……果てなき夢路に迷え……ドリームメイズ!」
他方、色々面倒になってきたまよいが無差別にドリームメイズを使用。そこら中に眠りこけるクロウの姿が。
「寝てんじゃねぇ! 気合を入れろ!!」
そこに降り注ぐのはステラのフォールシュートによる弾丸の雨。
「クロウさんなんか……クロウさんなんか滅んじゃえばいいんですぅ、うわーん!」
ハナも五色光符陣を連続で使い攻撃していく。
「ついでに変化でドヤ顔するリーゼロッテも吹っ飛んじゃえですぅ、うわーん!」
矛先はよそ様にまで向いているが、ここはクロウを叩きのめすことで我慢してもらうしかない。
「くそっ! 状況がわけわかんなくなってるぞ!?」
「そうみたいですね……ところであなたも腐った部分ですか?」
「は? 何を言って……」
そう聞き返そうとしたクロウは観智による無慈悲なファイアーボールで焼き尽くされた。
「この戦いを戦い抜いて頂点に君臨し! 東西南北中央不敗! スーパークロウになってやるぞ!」
クリスティンも訳の分からないことを言いながらクロウを蹴散らしていく。スーパークロウになりたければまずマスタークロウになる必要があるのではないかという疑問はこの際おいておこう。
鬼道丸も叫び声をあげて走り回る。そして、走り去った後には叫び声を上げてケツを押さえているクロウ達の姿が。
「次! 逃がしはしませんよ!」
こちらでは水月のパイルバンカーによるダイナミック腹パンを食らいうずくまるクロウたちが見ることができた。
「よし、次壊したらどうなるか……わかるよな?」
「えーと……それは保証できないっていうかなんていうか……」
未だ並んだ状態で座らせられてるクロウは紫苑のくず鉄による制裁を受け続けている。逃げ出したいところだが、逃げたクロウはナイアに捕まり鞭で打たれていた。
「あっちでもやってるみたいだし……こっちもどんどんお仕置きよ?」
別の場所では紅白&白紅のクロウが量産されていた。
「いいか、高い触媒に安易に頼るな! 大失敗は0に! 成功率は高く! わかったか! ごらぁ! クロウ!」
「ザレムさんのいう通りです。大失敗は0に、成功率は高く! さぁ復唱してください!」
ザレムとアシェールによるクロウの洗脳……ではなく指導が進むその横で、せっせとクロウを着替えさせている。
当初こそまともに紅白の戦いになりそうだったのに、ふたを開けてみれば友軍からの誤射に始まり横やり、それにいつの間にか増殖した第3勢力。
もはや正常な強化に至る道は断たれている。そして、こういう時に起こるのは、決まって『予想外』な結果になるものだ。
●
後日……
「いや~、今回は予想外の方向に強化が進んじまったぜ!!」
そういって依頼人に手渡された品。
元々はどんな形だったのだろうか。それすらも分からないほど『突然変異』してしまっていたのだった。
なお、この突然変異が依頼主にとって良いことだったのか、それとも悪いことだったのか……それは各自の想像にお任せする。
最後にクロウから一言。
「強化は財布と相談して計画的にな!」
完。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 15人 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/08 11:50:47 |