ゲスト
(ka0000)
【王臨】サチコは猫語を喋りたい
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/23 07:30
- 完成日
- 2017/01/31 04:34
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
音楽の調べも消え、落ち着きを取り戻したガンナ・エントラータでサチコ・W・ルサスールはまだまったりと過ごしていた。否、ただ過ごしていたわけではない。ユグディラと仲良くなるべく、あれやこれやと戯れていたのだ。
「……やっぱり、なんて言いたいのかわかりませんわ」
ユグディラには知性があり、こちらの言葉や意思は伝わっているという。一方で、ユグディラの声は一般的な猫の鳴き声にしか聞こえないのだ。
「うぅ、私はあなたたちともっと仲良くなりたいんですのに!」
「それだけ懐いていれば、十分かと思いますが……」
数匹のユグディラに囲まれてもふもふを堪能するサチコを前に、サチコの従者タロは苦言を呈する。だが、サチコは納得しない。より見聞を広めるために旅立ったサチコにとって、ユグディラをもっと知ることも重要な使命なのだと主張する。
それでも滞在日数は長く、部屋は旅の宿というより下宿場のような雰囲気になりつつあった。
「そういえば……」
洗濯物をバルコニーから取り込みながら、もうひとりの従者ジロがいう。
「祭のとき、酒場でユグディラと喋れるようになる草を売ってるやつがいたなぁ」
「おい、馬鹿!」
タロが慌てて口をふさごうとするが、サチコの耳はしかりとジロの言葉を聞いていた。
「それですわ! その酒場はどこですの!?」
「祭のときでしたから、もう商人はいないと思いますけど」
情報ならあるかもしれないと、サチコは食い下がる。仕方がないとタロとジロが一緒に、その酒場へと向かうことになった。
●
「あぁ、あいつの売ってた草ね。それならガンナ・エントラータから、西へ一日ほど行った森の草だよ」
タロとジロは、そう語る酒場のオーナーを恨めしげに睨んでいた。話を聞けば、ガンナ・エントラータではよく使われる薬草らしい。形状もよく知っており、事細かに教えてくれた。
「でも、ユグディラと会話できるなんて聞いたこともなかったいけどね。ありゃ、詐欺の一種だろう……って……お嬢ちゃんは?」
「すでに出て行きましたよ……絶対見つけると息巻いてね」
ため息混じりにジロは語り、情報量代わりに強い酒を頼む。この先の展開は想像に難くない。試して見るべく、サチコはその森へと向かうと言い出すのだろう。
「行くのなら用心しないと、危ないぞ」
「え?」
「ほら、こないだの戦いがあったろ。あれの影響なのか、残党なのか、それとも別の何かか……よくはわかんないんだけどな。羊の化物が数匹いるらしいからなぁ」
ただでさえ薄暗い森なのにな、とマスターは肩をすくめた。
「いや、早く言ってくださいよ!?」
ジロは慌てて出された酒を煽ると、噎せ返る。マスターからもらった水を一気飲みすると、急いでサチコの後を追うのだった。
ジロが去った後、マスターはコップを洗いながらため息をつく。
「本当、警備隊も慌ただしいし……貴族もきな臭いし。また何か起きなきゃいいんだがなぁ」
そんなマスターの心配を斜め上にすっ飛ばすように、、
「なら、ついでに歪虚退治ですわ!」
夢見る少女に、詐欺かもしれないという言葉は通じなかった。
かくして、羊歪虚狩り+ユグディラと喋れる草(?)を探しに仲間を募るのサチコであった。
音楽の調べも消え、落ち着きを取り戻したガンナ・エントラータでサチコ・W・ルサスールはまだまったりと過ごしていた。否、ただ過ごしていたわけではない。ユグディラと仲良くなるべく、あれやこれやと戯れていたのだ。
「……やっぱり、なんて言いたいのかわかりませんわ」
ユグディラには知性があり、こちらの言葉や意思は伝わっているという。一方で、ユグディラの声は一般的な猫の鳴き声にしか聞こえないのだ。
「うぅ、私はあなたたちともっと仲良くなりたいんですのに!」
「それだけ懐いていれば、十分かと思いますが……」
数匹のユグディラに囲まれてもふもふを堪能するサチコを前に、サチコの従者タロは苦言を呈する。だが、サチコは納得しない。より見聞を広めるために旅立ったサチコにとって、ユグディラをもっと知ることも重要な使命なのだと主張する。
それでも滞在日数は長く、部屋は旅の宿というより下宿場のような雰囲気になりつつあった。
「そういえば……」
洗濯物をバルコニーから取り込みながら、もうひとりの従者ジロがいう。
「祭のとき、酒場でユグディラと喋れるようになる草を売ってるやつがいたなぁ」
「おい、馬鹿!」
タロが慌てて口をふさごうとするが、サチコの耳はしかりとジロの言葉を聞いていた。
「それですわ! その酒場はどこですの!?」
「祭のときでしたから、もう商人はいないと思いますけど」
情報ならあるかもしれないと、サチコは食い下がる。仕方がないとタロとジロが一緒に、その酒場へと向かうことになった。
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「あぁ、あいつの売ってた草ね。それならガンナ・エントラータから、西へ一日ほど行った森の草だよ」
タロとジロは、そう語る酒場のオーナーを恨めしげに睨んでいた。話を聞けば、ガンナ・エントラータではよく使われる薬草らしい。形状もよく知っており、事細かに教えてくれた。
「でも、ユグディラと会話できるなんて聞いたこともなかったいけどね。ありゃ、詐欺の一種だろう……って……お嬢ちゃんは?」
「すでに出て行きましたよ……絶対見つけると息巻いてね」
ため息混じりにジロは語り、情報量代わりに強い酒を頼む。この先の展開は想像に難くない。試して見るべく、サチコはその森へと向かうと言い出すのだろう。
「行くのなら用心しないと、危ないぞ」
「え?」
「ほら、こないだの戦いがあったろ。あれの影響なのか、残党なのか、それとも別の何かか……よくはわかんないんだけどな。羊の化物が数匹いるらしいからなぁ」
ただでさえ薄暗い森なのにな、とマスターは肩をすくめた。
「いや、早く言ってくださいよ!?」
ジロは慌てて出された酒を煽ると、噎せ返る。マスターからもらった水を一気飲みすると、急いでサチコの後を追うのだった。
ジロが去った後、マスターはコップを洗いながらため息をつく。
「本当、警備隊も慌ただしいし……貴族もきな臭いし。また何か起きなきゃいいんだがなぁ」
そんなマスターの心配を斜め上にすっ飛ばすように、、
「なら、ついでに歪虚退治ですわ!」
夢見る少女に、詐欺かもしれないという言葉は通じなかった。
かくして、羊歪虚狩り+ユグディラと喋れる草(?)を探しに仲間を募るのサチコであった。
リプレイ本文
「クックック……ハーッハッハッハァー!!」
紫月・海斗(ka0788)は道中、腹が捩れるほどの笑い声をあげた。要因は今回の依頼における根本、ユグディラと話せる草の話題だ。
「ユグディラ語たぁ面白ぇ!」
サチコは海斗の反応に目を点にする。そんなサチコへ、海斗は薄っすら浮かぶ笑い涙を拭い親指を立てた。
「良いなぁ! 良いぜ! ロマンがある!」
勢いに載せられ、サチコは「ロマンですわ!」と口にする。
そこへ、そうそうロマン、と横からレム・フィバート(ka6552)が参入してきた。
「あの猫くんとコミュニケーションを取りたいとはっ! 中々良い夢をお持ちのようで」
弾む声でそういいながら、シュッシュと拳をうならせる。
「そーゆー事でしたら、レムさんも喜んでお手伝いといこーではありませんかっ」
「私もつい最近、ユグディラのお友達ができたんだよね~」
数名のテンションが上がる中、夢路 まよい(ka1328)がゆるりと会話に混ざる。そのまま、サチコとレムを交えてユグディラ談義に発展する。
「今日は連れてきてないけど、ユグディラと喋れる草が手に入ったら、私も持って帰って試してみるんだ」
サチコと同じぐらいに噂を信じるまよいは、すらりと告げる。草に夢見る人々がいる中、星野 ハナ(ka5852)はやや後ろで「んん~」と唸っていた。
「ユグディラちゃん達と話せるのか話した気分になるのかユグディラちゃん達が話せるようになるのかって聞かれたらぁ、多分話した気分になるが正しいと思うんで
すよねぇ」
どうやら件の草について思考実験をしているらしい。題は、ユグディラと果たして草で会話ができるようになるのか……である。
「人語を話せるか否かは結局骨格と舌と声帯の問題ですからぁ」
つまり、人体の構造を超えなければならない以上、
「魔法なら未だしも草では難しいと思いますぅ」
「ちょっと、サチコに聞こえたらどうするのよ」
ハナの発言内容に、天竜寺 舞(ka0377)が人差し指を口元にあてた。舞とて草は眉唾だと考えているが、口にはしない。サチコにどう真実を伝えるか考え、眉間にしわが寄っていた。
一方のハナは、「ごめんなさいぃ」と謝りつつ、
「ただその成分は気になりますからぁ」
ハナの視線はサチコへと向けられる。
「何しろ今回は自主的被験者さまもいらっしゃいますしぃ?」
「え?」
視線に気づいたサチコが振り返るが、ハナは「今回はよろしくですぅ」と手を振っていた。そんなハナの
「猫語が話せる……というのは流石に偽りだと私も思いますよ。でも、ユグディラとは仲良くしたいですね」
リン・フュラー(ka5869)の言葉に、ハナは「どちらに転んでもいいようにぃ」と後ろの馬を見る。ちょっとした荷物が積まれていた。
「ユグディラとすぐ宴会できる準備はしておきましたよぉ」
「いや、流石に実験は街でやると思うけどよ……」
そっと、ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)がツッコミを入れるのだった。
そんな後方の会話を知ってか知らずか、
「俺はオメェにフルベットだサチコォ!」
海斗はバンっとサチコの背中を叩いて宣言した。そのためにも、と見えてきた薄暗い森へ真っ白い銃口を向ける。撃つふりをしながら、サチコに目配せした。
「手始めにクソ羊共を蹴散らすぜ!」
「あの羊くんには一回わりかし負け気味だったしリベンジマッチといこーではございませんかっ!」
海斗につづいて、レムも気合の一声を上げた。
「さっさと羊を倒して、ユグディラとお話ですわ!」
「気合入れすぎて空回らないでよ!」
負けじと声を張り上げたサチコに、舞が注意をかける。森へと足を踏み入れれば、薄暗さとぬかるんだ地面の感触が出迎えてくれた。
●
「福ちゃん、何か見つけたら教えに戻ってきて下さいねぇ」
ペットの梟を放ち、ハナはあたりを見渡す。見通しの悪さは、噂通りだ。ぬかるんだ地面対策に、靴は荒縄でガチガチに巻いておいた。
一方で依頼を持ち込んだサチコは、対策が甘いよう。
「サチコ様! 滑って転ぶと危険です!」
先を急くサチコを、アシェ-ル(ka2983)がそういいながら追いかける。
「転ぶと危ないですよ。私は準備万全ですが」
全身を鎧で包んだアシェールが、強気に胸を張る。
「サチコ様、万が一でも転んだら私にしがみついて下さい!」
「今がその時ですわ!」
と、追いついたアシェールにサチコが手をかける……のだが、アシェールの力ではわずかに及ばず。二人して転んでしまう。
「サチコ様のお召し物は、私が……守ります!」と無駄に気合を入れてサチコの下敷きになるアシェールであった。
「遊んでる場合じゃないよ」
そう告げた舞は先行させていた柴犬、ゴエモンを引き戻すとヴォーイに目配せした。ヴォーイもまた愛犬をそばに寄せて、耳を立てる。
「さっそくお出ましかな」
「そのようですね……では、打ち合わせ通りに」
つづいて、リンが犬たちを下がらせて刀を抜いた。立ち上がったアシェールもすぐ戦闘態勢に入る。木々が擦れる音が近づく中、サチコに海斗が声をかける。
「ところで、サチコよ」
「え?」
「オメェお嬢様じゃんよ。ダンスとか結構出来る感じ?」
突然の問いかけに、とっさに頷いたサチコへ海斗は畳み掛ける。
「アイススケートとかも出来たり……うんまぁ、出来なくてもやるんだけどな?」
「は?」
サチコが状況を理解するより早く、海斗がサチコを脇に抱えてショットアンカーを放った。海斗とサチコが太い枝の上に降り立った刹那――。
知性の欠片も感じられない慟哭を挙げて、羊たちが姿を見せた。
「符術は生態系に影響を与えないエコな術ですからぁ、バンバン使いますよぅ」
ハナが即座に五色光符陣を連続で放つ。
「これで少しはマシになるかな?」
その隙きに、まよいがウォーターウォークを舞たちへ与えていく。動き出したレムが、ぬかるんだ地面の中にある水溜まりへ足を踏み入れる。足を取られることなく、敵前へと進んでいった。
「それじゃあ。遠慮なく、ぶっとばーす!」
真っ直ぐに放たれた拳が、歪虚を穿つ。拳は羊毛を突き抜け、肉を打つ。
続けと躍り出たのは、リンだ。呼吸を整えると、鋭く刀を抜き放った。
一閃、そして、ひねりを加えてもう一太刀。
カウンター気味に放たれた羊の一撃を受け流す。刃の欠けた剣が地面をえぐった。
「足元注意……ですね」
ウォーターウォークの恩恵を感じながら、効果切れ時に足を取られぬよう足さばきに集中する。鞘当をするように、レムとリンが攻撃をあてて誘導する。つられて向かってきた
「かかってきやがれ、じゃ~ん♪」
待っていましたとばかりに、ヴォーイは霊呪奥義を発動させる。続けて砂をガントレットに集め、威力を高める。
「ほらほら、どうしたぁ」
挑発的な言葉に合わせ武器を打ち鳴らす。混乱を誘い、向かってきたところを思いっきり殴りつけた。揺らぐ身体をひねり、突撃してきた羊をガントレットで受け止める。
隣では、舞が軽いステップを踏んで攻撃をかわしていく。
「ほらほら、そんな鈍い動きじゃ当たらないよ!」
敵影を確認すれば、その数は3体……まだ少ないが試してみるべきか。するりと刃の脇を抜けながら、舞は後ろへ目配せする。
「アシェール、いくよ?」
「はい。行きましょう、まよいさん! 合体魔法です!」
わくわくする響きを匂わせながら、二人は舞へと頷きを返す。
「おー、嬢ちゃん達やっちまえー」
木の上から海斗が煽る中、前衛が歪虚と距離を取った。追おうとした歪虚たちの羊毛が下へと引っ張られる。身体が揺らぎ、地面に突っ伏す。
まよいが重力場を生成し、羊たちを地面へ縫い付けたのだ。身体が軋み、さらに移動が制される。すかさず、アシェールが魔杖を向けた。
桃色の銃弾が尾を引きながら、三匹の中央で弾けた。冷気と氷の爆発が巻き起こり、羊毛を刈り取り、肉も裂く。一瞬、冷気が地面を凍らせたが、すぐに溶ける。
「あらら、ま、ぬかるんだ程度なら蹄有るのは有利だけどよー」
まるで沼のように、氷解した地面は足へと絡みつく。
「こうなったら、一緒だわな」
引き抜いた足が再び地面へと飲み込まれかける。じゃぽっと泥がはねて顔にかかると、海斗は「これはこれで」と苦笑を浮かべた。
「おっし、そんじゃあ派手にやろうか!」
予定とは異なるものの、それで留まる海斗ではない。
「ハッ! 思い通りじゃつまらんさ。上品なもんじゃねぇ、楽しくばか騒ぎだよ!」
アイススケートがどろんこプロレスになっただけのこと。滑らないなら、空を飛んで縦横無尽に駆け巡ればいい。サチコも降り立つが、ぬかるみに足を取られて盛大に泥をはねさせる。
「あぁ、サチコ様のお召し物が! 許しませんよ、羊!」
完全にとばっちりの言葉を吐きつけながら、アシェールが羊へと狙いをつける。桃色のマテリアルから作り出した氷槍が、羊の角を打ち砕く。
悲痛な鳴き声に合わせて、海斗がショットアンカーを放った。そして、木々の間を滑空しながら引き金を引く。重力と氷結、二重の苦しみに苛まれる羊が弾丸に倒れていく、
タイミングを見計らって、ハナが五色光符陣を放つ。目がくらんだ羊の攻撃が、ヴォーイの面前で空振った。
「大人しく、倒れていな!」
返す形でガントレットを突き入れて、とどめを刺す。受けたダメージはマテリアルを循環させつつ、取り戻していく。思った以上に一撃が重たい。
「知性を失った獣のようであることを考えると、素手になった時のほうが恐ろしいのかもしれませんね」
刀を一度納め、リンがそんな感想を吐く。感覚は研ぎ澄ましたまま、周囲に気をやれば木々が騒がしく動いた。犬たちの声が一斉に響く。後方からの来襲、まず狙われたのはアシェールだった。
手早く魔杖を振りかざして、羊の頭に一撃を見舞う。
「魔術師は接近したら倒せると思いましたか?」
にやりと笑いながら距離を取ると同時に、重力場が目の前で生成された。
「羊が1匹2匹……良い子はねんねしないと、永遠にね♪」
重ねてアシェールも氷凍榴弾を放って、もう一度合体魔法を行使する。
「ほらほら、行くぞ……サチコ!」
「ふぇえ!?」
ジェットブーツからのショットアンカーで宙を舞う海斗……とそれに付き添われたサチコが敵前へと駆けつける。
「ほら、行ってきな!」
サチコが降り立つと素早く海斗は次の場所を目指す。目配せを受けて、木の上にいた羊歪虚へ強襲をかける。銃声が響き、歪虚はバランスを崩して落ちていった。
「おかわりだぜ!」の声を合図に、再び氷結された世界が広がる。
「羊毛もこの畳み掛けには、無意味ですか」
リンが動きの鈍った歪虚へと刃を閃かせる。散り散りとなり泥に汚れた羊毛が、いくつも宙を舞った。
その羊毛を潜り抜け、動きの止まった歪虚の間を舞が駆け抜ける。
「そろそろ終わりにするよ!」
数匹をまとめて切り伏せながら、時には毒を負わせていく。残り僅かな体力で歪虚たちは剣を振るう。
「――っ」
一撃を見舞いつつ、舞は攻撃の手を緩めない。
「ここはレムさんの出番ですなっ!」
地面をぐっと踏みしめて、真っ直ぐにレムが敵前へと姿を現す。全身のマテリアルを練り上げ、青龍翔咬波を放つ。巻き込まれた歪虚が限界を突破して、崩れ落ちた。
そして――勝負はついた。
●
「試すなら、町に戻ろうぜ」
草も摘み終わり、一息ついたところでヴォーイがそう提案した。ユグディラがいるほうがよいだろう、ということで即座に引き返した……のだが。
「退治が終わったら薬効調査ですよねぇ。うふふふふ、どれほどの作用があるのかとっても楽しみですぅ」
ハナが道中そんなことを言っていた中、ユグディラが着いてきていた。それも大漁だ。
「ミヤママタタビ? イヌハッカ? どっちでしょうねぇ」
弾む声でついてくるユグディラをハナは眺めていた。宴会場に着くと、ユグディラたちは草の置いたあたりに集まっていく。だが、一向にユグディラの声は聞こえてこない。
どうすればいいのか、とサチコが悩ましげに呟くとアシェールが手を上げた。
「わかりました。私が毒味してみます!」
「え?」
サチコが振り返ると即座に、アシェールは草を口へと運んだ。数回咀嚼して飲み込むと、急に目がとろんとなる。大丈夫だろうかとサチコが声をかけようとした時、
「これはすばらひいです! 食べてみてください!」
空いた口に草をねじ込まれた。思わず飲み込んだサチコは、ふわふわした気分がこみ上げてくる。
「ふぁ……」としか声に出ず、その場に座り込んで笑い始めた。
「面白そ~」
まよいが目を輝かせて、味見を試みる。
「やんっ、なにこれ気持ちい~」
弾むような声でもう一口、苦いはずの草をついばんでいく。軽い酩酊状態の三人を遠巻きにリンやレムが眺めていた。
「これちゃんと話す系っていうより、よっぱっぱーになって話してる気分になっちゃうとかそーゆー」
レムの言葉にリンがため息混じりに頷く。
「何だか、こうなる予感はしていましたけどね」
「でもでもっ、あの猫ちゃんが好きっていうか酔っちゃうなら! 他になにか材料あればワンチャン言葉わかったりするかもしれないですなっ!」
「調べてみないと何ともいえませんね」
「いや……多分調べても何もない単に人間にも効くマタタビじゃ……?」
二人の会話の隣で舞は、サチコたちの様子に頭を痛めていた。
一方で、ユグディラと笑う三人をハナは楽しげに見ていた。傍らには酒、そして揚げ物が積まれている。
「うふふふふ、面白い光景ですねぇ」
「いい趣味してるな、お嬢ちゃん」
隣席へ海斗が座り、同じく揚げ物を摘む。
「そういう海斗さんは止めに行かないんですかぁ?」
「他の誰かがやるだろ」
見ている方が楽しいとばかりに、二人の酒は進んでいく。そこへヴォーイが水筒を手に戻ってきた。
「良い土産ができたぜ」
「お、なんだそれ?」
「サチコさまの様子を見て、思いついたんだ。あの草を焼酎に漬け込んでみた」
「またたび酒ですねぇ。よかったら、今度飲ませてくださいよぉ」
酒に花咲かせる中、サチコたちのところへ奇妙な人影が近づいていった。
虎の仮面にコートの少女……舞である。声色を変え、ユグディラを抱えるサチコの目の前に立つと咳払いを一つ入れた。
「コホン、私は虎に見えてもユグディラ神」
「その草を飲んでもユグディラと話は出来ぬ。だが、お前が彼らを思う心は必ずや伝わっておるぞ。だから安心せい」
「ユグディラ……神?」
「神様! ユグディラの神様です、サチコ様!」
アシェールがぐいぐい舞の腕をひきながら、サチコにアピールをする。
「ユグディラの神様ぁ!」
サチコが唐突に舞に抱きついて、今度は泣き始めた。収拾がつかなくなってきたところで、ヴォーイが酔い覚ましの水を持ってくる。その向こう側では、クサヤに肴を変えたハナが楽しげに笑っていた。
紫月・海斗(ka0788)は道中、腹が捩れるほどの笑い声をあげた。要因は今回の依頼における根本、ユグディラと話せる草の話題だ。
「ユグディラ語たぁ面白ぇ!」
サチコは海斗の反応に目を点にする。そんなサチコへ、海斗は薄っすら浮かぶ笑い涙を拭い親指を立てた。
「良いなぁ! 良いぜ! ロマンがある!」
勢いに載せられ、サチコは「ロマンですわ!」と口にする。
そこへ、そうそうロマン、と横からレム・フィバート(ka6552)が参入してきた。
「あの猫くんとコミュニケーションを取りたいとはっ! 中々良い夢をお持ちのようで」
弾む声でそういいながら、シュッシュと拳をうならせる。
「そーゆー事でしたら、レムさんも喜んでお手伝いといこーではありませんかっ」
「私もつい最近、ユグディラのお友達ができたんだよね~」
数名のテンションが上がる中、夢路 まよい(ka1328)がゆるりと会話に混ざる。そのまま、サチコとレムを交えてユグディラ談義に発展する。
「今日は連れてきてないけど、ユグディラと喋れる草が手に入ったら、私も持って帰って試してみるんだ」
サチコと同じぐらいに噂を信じるまよいは、すらりと告げる。草に夢見る人々がいる中、星野 ハナ(ka5852)はやや後ろで「んん~」と唸っていた。
「ユグディラちゃん達と話せるのか話した気分になるのかユグディラちゃん達が話せるようになるのかって聞かれたらぁ、多分話した気分になるが正しいと思うんで
すよねぇ」
どうやら件の草について思考実験をしているらしい。題は、ユグディラと果たして草で会話ができるようになるのか……である。
「人語を話せるか否かは結局骨格と舌と声帯の問題ですからぁ」
つまり、人体の構造を超えなければならない以上、
「魔法なら未だしも草では難しいと思いますぅ」
「ちょっと、サチコに聞こえたらどうするのよ」
ハナの発言内容に、天竜寺 舞(ka0377)が人差し指を口元にあてた。舞とて草は眉唾だと考えているが、口にはしない。サチコにどう真実を伝えるか考え、眉間にしわが寄っていた。
一方のハナは、「ごめんなさいぃ」と謝りつつ、
「ただその成分は気になりますからぁ」
ハナの視線はサチコへと向けられる。
「何しろ今回は自主的被験者さまもいらっしゃいますしぃ?」
「え?」
視線に気づいたサチコが振り返るが、ハナは「今回はよろしくですぅ」と手を振っていた。そんなハナの
「猫語が話せる……というのは流石に偽りだと私も思いますよ。でも、ユグディラとは仲良くしたいですね」
リン・フュラー(ka5869)の言葉に、ハナは「どちらに転んでもいいようにぃ」と後ろの馬を見る。ちょっとした荷物が積まれていた。
「ユグディラとすぐ宴会できる準備はしておきましたよぉ」
「いや、流石に実験は街でやると思うけどよ……」
そっと、ヴォーイ・スマシェストヴィエ(ka1613)がツッコミを入れるのだった。
そんな後方の会話を知ってか知らずか、
「俺はオメェにフルベットだサチコォ!」
海斗はバンっとサチコの背中を叩いて宣言した。そのためにも、と見えてきた薄暗い森へ真っ白い銃口を向ける。撃つふりをしながら、サチコに目配せした。
「手始めにクソ羊共を蹴散らすぜ!」
「あの羊くんには一回わりかし負け気味だったしリベンジマッチといこーではございませんかっ!」
海斗につづいて、レムも気合の一声を上げた。
「さっさと羊を倒して、ユグディラとお話ですわ!」
「気合入れすぎて空回らないでよ!」
負けじと声を張り上げたサチコに、舞が注意をかける。森へと足を踏み入れれば、薄暗さとぬかるんだ地面の感触が出迎えてくれた。
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「福ちゃん、何か見つけたら教えに戻ってきて下さいねぇ」
ペットの梟を放ち、ハナはあたりを見渡す。見通しの悪さは、噂通りだ。ぬかるんだ地面対策に、靴は荒縄でガチガチに巻いておいた。
一方で依頼を持ち込んだサチコは、対策が甘いよう。
「サチコ様! 滑って転ぶと危険です!」
先を急くサチコを、アシェ-ル(ka2983)がそういいながら追いかける。
「転ぶと危ないですよ。私は準備万全ですが」
全身を鎧で包んだアシェールが、強気に胸を張る。
「サチコ様、万が一でも転んだら私にしがみついて下さい!」
「今がその時ですわ!」
と、追いついたアシェールにサチコが手をかける……のだが、アシェールの力ではわずかに及ばず。二人して転んでしまう。
「サチコ様のお召し物は、私が……守ります!」と無駄に気合を入れてサチコの下敷きになるアシェールであった。
「遊んでる場合じゃないよ」
そう告げた舞は先行させていた柴犬、ゴエモンを引き戻すとヴォーイに目配せした。ヴォーイもまた愛犬をそばに寄せて、耳を立てる。
「さっそくお出ましかな」
「そのようですね……では、打ち合わせ通りに」
つづいて、リンが犬たちを下がらせて刀を抜いた。立ち上がったアシェールもすぐ戦闘態勢に入る。木々が擦れる音が近づく中、サチコに海斗が声をかける。
「ところで、サチコよ」
「え?」
「オメェお嬢様じゃんよ。ダンスとか結構出来る感じ?」
突然の問いかけに、とっさに頷いたサチコへ海斗は畳み掛ける。
「アイススケートとかも出来たり……うんまぁ、出来なくてもやるんだけどな?」
「は?」
サチコが状況を理解するより早く、海斗がサチコを脇に抱えてショットアンカーを放った。海斗とサチコが太い枝の上に降り立った刹那――。
知性の欠片も感じられない慟哭を挙げて、羊たちが姿を見せた。
「符術は生態系に影響を与えないエコな術ですからぁ、バンバン使いますよぅ」
ハナが即座に五色光符陣を連続で放つ。
「これで少しはマシになるかな?」
その隙きに、まよいがウォーターウォークを舞たちへ与えていく。動き出したレムが、ぬかるんだ地面の中にある水溜まりへ足を踏み入れる。足を取られることなく、敵前へと進んでいった。
「それじゃあ。遠慮なく、ぶっとばーす!」
真っ直ぐに放たれた拳が、歪虚を穿つ。拳は羊毛を突き抜け、肉を打つ。
続けと躍り出たのは、リンだ。呼吸を整えると、鋭く刀を抜き放った。
一閃、そして、ひねりを加えてもう一太刀。
カウンター気味に放たれた羊の一撃を受け流す。刃の欠けた剣が地面をえぐった。
「足元注意……ですね」
ウォーターウォークの恩恵を感じながら、効果切れ時に足を取られぬよう足さばきに集中する。鞘当をするように、レムとリンが攻撃をあてて誘導する。つられて向かってきた
「かかってきやがれ、じゃ~ん♪」
待っていましたとばかりに、ヴォーイは霊呪奥義を発動させる。続けて砂をガントレットに集め、威力を高める。
「ほらほら、どうしたぁ」
挑発的な言葉に合わせ武器を打ち鳴らす。混乱を誘い、向かってきたところを思いっきり殴りつけた。揺らぐ身体をひねり、突撃してきた羊をガントレットで受け止める。
隣では、舞が軽いステップを踏んで攻撃をかわしていく。
「ほらほら、そんな鈍い動きじゃ当たらないよ!」
敵影を確認すれば、その数は3体……まだ少ないが試してみるべきか。するりと刃の脇を抜けながら、舞は後ろへ目配せする。
「アシェール、いくよ?」
「はい。行きましょう、まよいさん! 合体魔法です!」
わくわくする響きを匂わせながら、二人は舞へと頷きを返す。
「おー、嬢ちゃん達やっちまえー」
木の上から海斗が煽る中、前衛が歪虚と距離を取った。追おうとした歪虚たちの羊毛が下へと引っ張られる。身体が揺らぎ、地面に突っ伏す。
まよいが重力場を生成し、羊たちを地面へ縫い付けたのだ。身体が軋み、さらに移動が制される。すかさず、アシェールが魔杖を向けた。
桃色の銃弾が尾を引きながら、三匹の中央で弾けた。冷気と氷の爆発が巻き起こり、羊毛を刈り取り、肉も裂く。一瞬、冷気が地面を凍らせたが、すぐに溶ける。
「あらら、ま、ぬかるんだ程度なら蹄有るのは有利だけどよー」
まるで沼のように、氷解した地面は足へと絡みつく。
「こうなったら、一緒だわな」
引き抜いた足が再び地面へと飲み込まれかける。じゃぽっと泥がはねて顔にかかると、海斗は「これはこれで」と苦笑を浮かべた。
「おっし、そんじゃあ派手にやろうか!」
予定とは異なるものの、それで留まる海斗ではない。
「ハッ! 思い通りじゃつまらんさ。上品なもんじゃねぇ、楽しくばか騒ぎだよ!」
アイススケートがどろんこプロレスになっただけのこと。滑らないなら、空を飛んで縦横無尽に駆け巡ればいい。サチコも降り立つが、ぬかるみに足を取られて盛大に泥をはねさせる。
「あぁ、サチコ様のお召し物が! 許しませんよ、羊!」
完全にとばっちりの言葉を吐きつけながら、アシェールが羊へと狙いをつける。桃色のマテリアルから作り出した氷槍が、羊の角を打ち砕く。
悲痛な鳴き声に合わせて、海斗がショットアンカーを放った。そして、木々の間を滑空しながら引き金を引く。重力と氷結、二重の苦しみに苛まれる羊が弾丸に倒れていく、
タイミングを見計らって、ハナが五色光符陣を放つ。目がくらんだ羊の攻撃が、ヴォーイの面前で空振った。
「大人しく、倒れていな!」
返す形でガントレットを突き入れて、とどめを刺す。受けたダメージはマテリアルを循環させつつ、取り戻していく。思った以上に一撃が重たい。
「知性を失った獣のようであることを考えると、素手になった時のほうが恐ろしいのかもしれませんね」
刀を一度納め、リンがそんな感想を吐く。感覚は研ぎ澄ましたまま、周囲に気をやれば木々が騒がしく動いた。犬たちの声が一斉に響く。後方からの来襲、まず狙われたのはアシェールだった。
手早く魔杖を振りかざして、羊の頭に一撃を見舞う。
「魔術師は接近したら倒せると思いましたか?」
にやりと笑いながら距離を取ると同時に、重力場が目の前で生成された。
「羊が1匹2匹……良い子はねんねしないと、永遠にね♪」
重ねてアシェールも氷凍榴弾を放って、もう一度合体魔法を行使する。
「ほらほら、行くぞ……サチコ!」
「ふぇえ!?」
ジェットブーツからのショットアンカーで宙を舞う海斗……とそれに付き添われたサチコが敵前へと駆けつける。
「ほら、行ってきな!」
サチコが降り立つと素早く海斗は次の場所を目指す。目配せを受けて、木の上にいた羊歪虚へ強襲をかける。銃声が響き、歪虚はバランスを崩して落ちていった。
「おかわりだぜ!」の声を合図に、再び氷結された世界が広がる。
「羊毛もこの畳み掛けには、無意味ですか」
リンが動きの鈍った歪虚へと刃を閃かせる。散り散りとなり泥に汚れた羊毛が、いくつも宙を舞った。
その羊毛を潜り抜け、動きの止まった歪虚の間を舞が駆け抜ける。
「そろそろ終わりにするよ!」
数匹をまとめて切り伏せながら、時には毒を負わせていく。残り僅かな体力で歪虚たちは剣を振るう。
「――っ」
一撃を見舞いつつ、舞は攻撃の手を緩めない。
「ここはレムさんの出番ですなっ!」
地面をぐっと踏みしめて、真っ直ぐにレムが敵前へと姿を現す。全身のマテリアルを練り上げ、青龍翔咬波を放つ。巻き込まれた歪虚が限界を突破して、崩れ落ちた。
そして――勝負はついた。
●
「試すなら、町に戻ろうぜ」
草も摘み終わり、一息ついたところでヴォーイがそう提案した。ユグディラがいるほうがよいだろう、ということで即座に引き返した……のだが。
「退治が終わったら薬効調査ですよねぇ。うふふふふ、どれほどの作用があるのかとっても楽しみですぅ」
ハナが道中そんなことを言っていた中、ユグディラが着いてきていた。それも大漁だ。
「ミヤママタタビ? イヌハッカ? どっちでしょうねぇ」
弾む声でついてくるユグディラをハナは眺めていた。宴会場に着くと、ユグディラたちは草の置いたあたりに集まっていく。だが、一向にユグディラの声は聞こえてこない。
どうすればいいのか、とサチコが悩ましげに呟くとアシェールが手を上げた。
「わかりました。私が毒味してみます!」
「え?」
サチコが振り返ると即座に、アシェールは草を口へと運んだ。数回咀嚼して飲み込むと、急に目がとろんとなる。大丈夫だろうかとサチコが声をかけようとした時、
「これはすばらひいです! 食べてみてください!」
空いた口に草をねじ込まれた。思わず飲み込んだサチコは、ふわふわした気分がこみ上げてくる。
「ふぁ……」としか声に出ず、その場に座り込んで笑い始めた。
「面白そ~」
まよいが目を輝かせて、味見を試みる。
「やんっ、なにこれ気持ちい~」
弾むような声でもう一口、苦いはずの草をついばんでいく。軽い酩酊状態の三人を遠巻きにリンやレムが眺めていた。
「これちゃんと話す系っていうより、よっぱっぱーになって話してる気分になっちゃうとかそーゆー」
レムの言葉にリンがため息混じりに頷く。
「何だか、こうなる予感はしていましたけどね」
「でもでもっ、あの猫ちゃんが好きっていうか酔っちゃうなら! 他になにか材料あればワンチャン言葉わかったりするかもしれないですなっ!」
「調べてみないと何ともいえませんね」
「いや……多分調べても何もない単に人間にも効くマタタビじゃ……?」
二人の会話の隣で舞は、サチコたちの様子に頭を痛めていた。
一方で、ユグディラと笑う三人をハナは楽しげに見ていた。傍らには酒、そして揚げ物が積まれている。
「うふふふふ、面白い光景ですねぇ」
「いい趣味してるな、お嬢ちゃん」
隣席へ海斗が座り、同じく揚げ物を摘む。
「そういう海斗さんは止めに行かないんですかぁ?」
「他の誰かがやるだろ」
見ている方が楽しいとばかりに、二人の酒は進んでいく。そこへヴォーイが水筒を手に戻ってきた。
「良い土産ができたぜ」
「お、なんだそれ?」
「サチコさまの様子を見て、思いついたんだ。あの草を焼酎に漬け込んでみた」
「またたび酒ですねぇ。よかったら、今度飲ませてくださいよぉ」
酒に花咲かせる中、サチコたちのところへ奇妙な人影が近づいていった。
虎の仮面にコートの少女……舞である。声色を変え、ユグディラを抱えるサチコの目の前に立つと咳払いを一つ入れた。
「コホン、私は虎に見えてもユグディラ神」
「その草を飲んでもユグディラと話は出来ぬ。だが、お前が彼らを思う心は必ずや伝わっておるぞ。だから安心せい」
「ユグディラ……神?」
「神様! ユグディラの神様です、サチコ様!」
アシェールがぐいぐい舞の腕をひきながら、サチコにアピールをする。
「ユグディラの神様ぁ!」
サチコが唐突に舞に抱きついて、今度は泣き始めた。収拾がつかなくなってきたところで、ヴォーイが酔い覚ましの水を持ってくる。その向こう側では、クサヤに肴を変えたハナが楽しげに笑っていた。
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/01/22 17:44:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/19 02:16:56 |